説明

無農薬農作物栽培方法及びそれに利用する土壌改善剤

【課題】無農薬にも関わらず、収量、味、色、寸法等に於いて優れた衛生的農作物栽培方法を提供する。
【解決手段】(1)所定量のマイクロバブル特にマイクロナノバブル水と、極微量の赤黄土抽出液と混合して液体土壌改善剤(母液)を生成する。(2)前記土壌改善剤母液の50倍希釈液で所定面積の栽培地を2−3日置きに3回散布して前記塩基置換容量を向上させる。(3)此の改善された栽培地に所望農作物を栽培し、その葉面と根株に、上記母液の20−50倍希釈液又は母液自体を10間隔で月1ー2回散布する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、無農薬農作物栽培方法、特にマイクロバブル利用の農作物栽培方法と、この方法に利用する土壌改善剤に関する。
【技術的背景】
【0002】
近時、通常の水中で極めて微細な気泡を発生させ、此の微細気泡の持つ水中での特異な物理化学的特性を種々な産業に利用せんとする数多い研究が盛んに行われている。
【0003】
この種水中の気泡に於いては、図1に示す如く、直径約50ミクロン以上の気泡即ち左側の気泡(MB)は、拡大しながら水中を上昇し、水面ではじけて消滅する性質があり、50ミクロン以下の左側のそれは、水中での滞留時間が長く、ゆっくりと浮遊する為、その溶存酸素濃度が増大し、更にその負に帯電した表面には,正に帯電した水中の浮遊塵等微細物質を吸着して浮上する。
【0004】
又、此のマイクロバブル(MMB)は、図示の如く,自己加圧系で、縮小しながら上昇し、約20ミクロン以下のバブル(MNB)を経て水中で消滅するが、此の消滅時に数千度で数千気圧の雰囲気の所謂圧壊現象を発生する
【0005】
此の様なマイクロバブルの数多い性質を利用して、脱脂洗浄、水質浄化、殺菌、マイクロバブル風呂、海産物の養殖、水耕栽培等等の多種多様の分野に利用され、夫々にそれなりの優れた効果を与えている。
【0006】
然しながら植物の実用的な栽培分野では、最近まで僅かに水耕栽培分野に利用されるに過ぎず、野菜,イチゴ、わさび等の栽培技術が文献上散見されるに過ぎない現状である。
【特許文献1】 特開2008−11789
【特許文献2】 特開2008−206448
【特許文献3】 特開2008−154512
【特許文献4】 特開2004−321009
【0007】
此れ等諸文献の内、特開2008−11789のわさびの栽培方法及びその装置以外の技術は、全てマイクロナノバブル又はマイクロバブルの混合の場合の何れかを利用し、活性炭等の付加的効果を持つ物質を加えるか加えず、イチゴ等を栽培する技術が開示されている。
然しながら従来より、植物水耕栽培に気泡を吹き込んで水中の溶存酸素濃度を高めて栽培効果を挙げるエアレーション技法は、多数提案されているので、さほど目新しい技術ではない。
【0008】
又一方、上記わさびの栽培技術は、砂礫層上に小石層を敷き詰め、その小石層の上部にわさび苗を植え付け、その植え床面を傾斜させて、ナノバブル養水を還流させながらわさび養殖を行う技術である。
従って、所定水温の清流を必要とするわさび栽培には、適当な技術と思料されるが、さりとて全ての農作物露地栽培に普遍的な技術と解釈する事は出来ないものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明に於いては、上記したマイクロバブル特にマイクロナノバブルの諸特性を巧みに利用して、植物の露地栽培、施設栽培に於ける耕作地の土壌を改善すると共に、作物えの此のバブル水の散水に依る殺菌効果をも併用して、無農薬にも関わらず、収量、味、色、寸法等に於いて優れた衛生的農作物栽培方法を提供する事を課題とする。
【課題を解決する為の手段】
【0010】
本来植物は、図2,3及び4に示す如く、主として幹及び枝部(3)、葉部(2)及び根部(4)より構成され、夫々の部分は、表皮(12)(22)・・・基本組織(16)(26)・・・、無数の維管束(13)(23)・・・・等より成り立っている
【0011】
更に又、上記維管束(13)(23)・・・は、木部(15)(25)・・・及び師部(14)(24)・・より構成され、前者は土中等から水分や無機成分の、後者は、葉で作られた同化産物の導通路と成り、共に植物の成長中枢とも云える組織を構成している。
【0012】
一方、前記表皮組織は、植物の保護と物質の出入りの調節を行い、表皮組織と孔辺細胞(気孔)(17)、毛状突起(18)等から構成され、更に他の基本組織(16)(26)は、形態的、機構的には、様々な組織の寄せ集めであり、葉に於けるそれは、光合成に働く組織であり,又根部のそれは、芋に見られる様に澱粉を貯蔵する組織と成り得る場合もある部分である。
【0013】
此の様な下方から上方え、又上方から下方えの水分、養分又は同化物質を運搬する導管状の維管束及び基本組織(13)(23)及び(16)(26)のあるものは、図2乃至図4に示す如く、根部(4)(4‘)や葉部(1)に散布機(11)から噴霧されるイオン化したナノバブル水(21)(21)・・を受け入れる事が出来、その結果例えば土中深く浸透したバブル水(9)(10)・・・は、根部(4)(4’)から幹部(3)の維管束を経て矢印(f)、(f)の如く葉部(1)のそれえと運ばれ、充分な溶存酸素を栄養分と共に組織全体に配分して、その成長を向上させる。
【0014】
一方、葉部の気孔(17)又は維管束(13)から浸透したナノバブルイオン水(21)は、太陽エネルギーと共に二酸化炭素の同化作用を充分補助すると同時に、矢印(f‘)(f’)方向から、夫々の維管束師部(14)(14)を経て、幹部或いは根部の基本組織内に、同化、形成された澱粉,糖分を搬送し、貯蔵する。
【15】
此の様な植物成長課程での触媒作用に加えて前記ナノバブル水は、その収縮、消滅時の二千度及び二千気圧にも達する雰囲気の発生作用に依り、図2の(5)(6)(7)に示す如く、葉上、土上、土中でのナノバブルの破裂現象で、一種の熱波、衝撃波殺菌並びに殺虫佐用を起すと同時に、土壌の耕作作用も行って、土壌の酸素、空気の溶存、含有率を高めると同時に、スポンジ状の肥沃な土壌層に変化させ、農作物の成長能並びに成長環境を改善する。
【0016】
此の様なマイクロバブル特にマイクロナノバブル水の特性は、植物の露地栽培にも有利に利用される。
即ち、露地栽培での土壌は、作物の生長に必要な養分を貯え、それを徐々に供給する役目をしているので、多量の養分を貯え得る上記スポンジ状の土壌は良質な土壌とされている。
【0017】
一般に、此の様な肥沃な土壌は、数種類の添加物(肥料又は土壌改善剤)を一種又は数種類加えて上記スポンジ状のふわふわした柔軟で通気性の高い物えと改質されているが、此の様な作業は手間が掛かり、経費も嵩むので、長年、その省力化、経費削減化が課題とされていた。
【0018】
この種の土造りは、上記マイクロバブル又はマイクロナノバブルの破裂消滅時の土壌耕作作用を利用する事に依り、適宜掘り起こされ、掻き混ぜられて、酸素、空気の侵入し得る無数の空隙を形成し、此の空隙内に多量の酸素や必要栄養分を貯え、又一方では、前記維管束えと導通し易い高い塩基置換容量のふわふわとした肥沃土壌えと改善する事が出来る。
従って、適当なナノバブル水を適宜散布し、上記の如き土造りに依り、作物組織自体を活性化し、それと同時に葉面、幹表面に寄生、又は付着する害虫、有害菌等を殺虫、殺菌して、内外から農作物の成長を助け、味、色,量、寸法の著しく改善された作物を収穫する事を可能とする。
以下、本発明の上記土壌改善剤と、此れを利用する無農薬農作物栽培方法の典型的な実施例を説明する。
【実施例】
【0019】
(1)−マイクロナノバブル水(天照水:商品名)の生成
青森県産赤黄土を水で抽出したミネラル含有水1ccを、10,000ccのマイクロナノバブル水に混合して調製する。
【0020】

上記天照水を50倍に薄めた希釈液5mを栽培地100mに均一に散布し、2−3日間隔で繰り返し3回散水して実験栽培地(A)(B)(C)(D)のC.E.C.改善作業を行う

【0021】
(3)此の様に天照水散布でC.E.C.を改善された4地点の耕作地と、地下水を同一条件で3回散布した4地点の耕作地とで栽培した作物の結果は、以下の通りであった。
【0022】
例1・・・・・A栽培地:作物=ゴボウ
場所: 青森県上北郡おいらせ町瓢45−9
栽培面積 1町8反
栽培方法 葉面;マイクロナノバルブ水散布ー10日間隔
(天照水20−50倍希釈液)
官株:(天照水母液)−1月当り1−2回散布
栽培結果 (1)土壌が柔らかく、根っこの活着が良い。
(2)収穫物の肌質がよく、長さが長い。
「天照水散布品:長さー106cm、首筋直径−3cm
井戸水散布品:長さー100cm、首筋直径−2.5cm」
(3)せん虫の発生が少ない。[病害虫に強い。]
(4)育成速度が速い
(5)初期からの散布が効果的である。
【0023】
例2.....B栽培地:作物=ニンニク
場所: 青森県五戸町大字倉石又重字北向
栽培面積 300坪
栽培方法 集面散布10日間隔(天照水20−50倍希釈液)
官株 1月当り1−2回(天照水母液)
栽培結果 (1)散布後丈夫になり、光合成が活発化した。
(2)生育状態がよく、球根の発育状態が良い。
(3)定期的に散布する化学農薬等の結果よりも相当優れた効果 を有していた。
(4)実が大きく、甘く、色も良好で、一株当り30−32%の 増量となり、従来より約30%の収穫増であった。
天照水散布作物寸法: 平面直径−9cm、高さー7cm
井戸水散布作物寸法::平面直径−7cm、高さー4.5cm
【0024】
例3.....C栽培地:作物=キューリ
場所: 青森県五戸町大字倉石又重字北向
栽培面積 300坪
栽培方法 葉面散布10日間隔(天照水20−50倍希釈液)
官株1月当り1−2回(天照水母液)
栽培結果 (1)菌が発生した状況下で、母液20−50倍希釈液に依り処 理し、完治する事が出来た。
(2)土壌が柔らかく成り、根っこの活着が良い。
(3)光合成作用が円骨に成る。
(4)奇形的な実が殆ど無く味が良い。
(5)実と形と色とが最上級である。
(6)収穫した実に花が付いているほど新鮮である。
(7)栽培期間中、病害虫の影響が無く、商品性が高い。
(8)収穫作物の寸法が大きい。
天照水散布作物寸法: 長さ25cm、 平均直径:3cm
井戸水散布作物寸法: 長さ20cm、 平均直径:2.5cm
【0025】
例4.....D栽培地:作物=ピーマン
場所: 青森県五戸町大字倉石又重字北向
栽培面積 300坪
栽培方法 葉面散布:5−7日間隔(天照水20−50希釈液)
官株散布:1月当り1−2回天照水母液(1L/300坪)
(実が着果して多量の栄養分を必要とする時:月2回)
試験結果 (1)土壌のEC濃度が、作物の栽培に適合する数値に改良でき て、初期の根っこ活着相当良好になる。
(2)菌で発生する病害がなく、既存の化学農薬等による効果よ り相当卓越している。
(3)奇形が少なく、実が甘く、色が鮮やかである。
使用したのと使用しないのとでは、大きさ、重量において 、従来品より30−40%の差異が生じ、市場指定のフィ ルムに収まりきれず、新規サイズの認証を求める必要があ る。
(4)収穫じゃ30−35%増収であった。
天照水散布ピーマン: 高さ、11.0cm、 直径、10cm
井戸水散布ピーマン: 高さ、9.5cm、 直径、8.5cm
【0026】
斯くの如く、マイクロナノバブル水と微量の特殊ミネラルとの混合水の散布に依って、土壌は改善され、作物自身の成長は活性化されて、収量を増大させることが証証された。
勿論、此の天照水は、単独での散水のみならず、必要な肥料、栄養分その他を混合又は懸垂して使用する事も出来、他の土壌改善剤、堆肥等と併用使用しても何ら差し支えない事も実証されている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】 水中の気泡寸法とその特性との関係を示す説明図である。
【図2】 マイクロバブル水を、土壌並びに植物根部に散布した場合の此れ等両者への物理化学的影響を示す説明図である。
【図3】 植物葉部の構図と、散布されたマイクロバブル水の作用とを示す説明図である。
【図4】 植物根部の構造と土壌内に浸透したマイクロバブル水の作用とを示す説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 植物葉部
3 植物幹部
4 植物根部
5 散布マイクロバブル水の土壌上での破裂体
6 散布マイクロバブル水の土壌中での破裂体
9 毛根組織内へ浸透する土壌中のマイクロバブル水
11 マイクロバブル散布機ノズル
12 葉部表皮
13 葉部維管束
14 維管束師部
15 維管束木部
16 基本組織
17 気孔
22 根部表皮
23 根部維管束
24 根部師部
25 根部木部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量のマイクロバブル水に極く少量の赤黄土抽出液を混合して農作物栽培用散布母液を調整して準備し、此の母液の定量希釈液を所定面積の耕作地に散布して、その塩基置換容量を改善した後、所定農作物を播種して一定期間栽培した上で、その葉面には前記母液の定量希釈液を、又官株には定量母液を所定日時間隔で夫々適量散布する事を特徴とする無農薬農作物栽培方法。
【請求項2】
堆肥、化学肥料、魚粉、骨粉、等の通常農業肥料、又場合に依っては、通常の土壌改善剤を併用する事を特徴とする請求項1記載の無農薬農作物栽培方法。
【請求項3】
前記農作物葉面えの母液希釈液の散布は、所定育成後10日間隔で、又官株母液散布は、所定育成後,一ヶ月当り1乃至2回の割合で実施する事を特徴とする請求項1又は2何れか一項に記載の無農薬農作物栽培方法。
【請求項4】
前記マイクロバブル水は、マイクロナノバブル水である事を特徴とする請求項1乃至3何れか一項に記載の無農薬農作物栽培方法。
【請求項5】
マイクロバブル又はマイクロナノバブル水10,000ccに、赤黄土抽出液1ccを混合した事を特徴とする液状の土壌改善剤。
【請求項6】
請求項1乃至4項何れかに記載の方法で栽培された事を特徴とするゴボウ、ニンニク、キュウリ又はピーマン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−94117(P2010−94117A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290375(P2008−290375)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(508336779)
【出願人】(508336780)
【出願人】(508336805)
【出願人】(508336816)
【Fターム(参考)】