説明

無針アクセスポートバルブ

無針アクセスポートバルブが、流体流を収容するための上部ピストン部に沿ったスリットを備えるピストンを組み込む無針アクセスポートバルブにまで拡張された具体的な検討をもって、本明細書で全般的に検討されている。当該スリットは、ピストンが注射器の先端等の医療器具によって圧縮されると開き、バルブ筐体の流入口と流出口との間の流体連通を可能にする。当該スリットを、高周波切り込み機または複数軸ロボットアームおよび切刃を使用して切り込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無針アクセスポートバルブに関する。特には、バルブ筐体の流入口と流出口との間に流体流入経路を作り出すための可動ピストンを有する無針アクセスポートバルブに関する。ある実施形態においては、ピストンはさまざまな構成のスリットと組み合わせてピストンと筐体の内面との間に流体が流れることができるようにする。
【発明の背景】
【0002】
無針アクセスポートバルブは、IVラインおよび/または患者または被験者内部へ通じるため、医療業界で幅広く使用されている。一般に、可動内部プラグまたはピストンと組み合わせたバルブ筐体は、無針バルブを通る流体流の制御に使用される。このプラグまたはピストンは、注射器または医療器具により動かすことができ、バルブの内部空洞に通じるためのバルブの流入口を開く。流体がバルブを通って送達されると、流体流は通常、プラグまたはピストンの外周周囲を流出口の方向に流れる。注射器または医療器具を取り外すと、プラグまたはピストンは、補助なしで、あるいはバネや隔壁などのバイアス手段による補助を受けて元の位置に戻る。
【0003】
一部のバルブでは、注射器または医療器具がプラグまたはピストンを押すと、プラグまたはピストンはスパイクなどの内部穴開け装置により穴が開けられる。スパイクは一般に、穴が開けられたピストンと、その次にスパイクの流体経路を通る流体体が流れるように、1つまたは複数の流体経路と組み合わせる。他の従来のバルブでは、自己出水または正出水機能が、バルブの内部空洞内に閉じ込められた残余流体を押し出すために組み込まれ、注射器または医療器具が取り外されると、流出口から流体が流出する。
【0004】
従来の技術の無針アクセスポートバルブは、その目的とする用途では実行可能な選択肢ではあるが、別の無針アクセスポートバルブへの需要も以前としてある。
【発明の概要】
【0005】
内部空洞と、下部開口部と、流入開口部および中心軸に沿った内壁表面を有する流入ノズルとを有するバルブ筐体と、フランジ、首部、本体部と、基部とを備えるピストンであって、当該ピストンが、フランジの2つの反対の外面部を横切って、流入開口部の縦方向に、下部開口部に向かって、フランジの下の首部の少なくとも一部を通じて放射状に延在する第1のスリット表面および第2のスリット表面が、フランジの下の首部の少なくとも一部を通じて延在し、かつ中心軸の周囲にある角度を備える、ピストンと、を備えるバルブアセンブリを提供することにより、本発明を実現することができる。
【0006】
バルブ筐体内に配置されたピストンであって、当該ピストンが、フランジと、首部と、内部空洞を画定する上部および下部を備える本体部と、外壁表面と、基部とを備える、ピストン、を備え、当該バルブ筐体が、流入開口部を有する流入ノズルと、内壁表面を有する内部空洞を画定する本体部と、下部開口部とを備え、当該ピストンの首部が、フランジの全体を横切って、首部の少なくとも一部を通じ、らせん構造にある当該ピストンの外壁表面まで形成されたスリットを備え、当該スリットが、流入ノズルを通じかつ下部開口部の外への流体流のために、当該バルブ筐体の内壁表面で流体空間を画定するバルブアセンブリを提供することによっても、本発明を実現することができる。
【0007】
本発明はさらに、アクセスポートバルブにおける使用のためにピストンを作成する方法を含み、前記方法は、ピストンを成形することであって、前記ピストンが、本体部に比較して低減した直径の首部を備え、それが内部空洞を画定することと、スリットを首部に切り込むことと、を備え、当該切り込むステップは、軸に沿ってある距離だけ刃を平行移動させながら、当該ピストンの軸の周囲にある角度だけ刃を回転させることを備える。
【0008】
本発明のさまざまな態様はさらに、スリットを開くための、ピストンに共成形されたアクチュエータに対する規定も含む。
【0009】
本発明のまた別のさまざまな態様では、バルブ筐体の内部空洞内に流体の流れる経路を作るための内部刻み目および/またはリブの組み込みを含む。
【0010】
本発明は、望まない微生物の増殖を制御するために、抗菌剤を少なくともピストン、バルブ筐体、およびナット取り付け部の1つに組み込むための規定を含む。例示的な作用剤としては、銀、金、銅、およびそれらの化合物が挙げられる。
【0011】
本発明のさらに別のさまざまな態様には、切り込み工程を経てピストンにスリットを切り込むための規定を含む。例示的な工程としては、薄刃切り込み、レーザーによる切り込み、水噴射による切り込み、および刃と超音波生成装置との組み合わせを用いた切り込みが挙げられる。
【0012】
本発明のこれらおよび他の特長および利点は、明細書、請求の範囲および添付の図面を参照してより良く理解されるにつれて理解されるようになるだろう。
【0013】
本明細書に添付されている図面は、以下のものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の態様に従って実現された、ピストンの上部が開放および閉塞して流体の流れる経路を作り出すよう構成された流入アクチュエータを有するバルブピストンの半概略断面側面図である。
【図2】図1のバルブピストンの、流入アクチュエータが開放位置にある半概略断面側面図である。
【図3】本発明の態様に従って実現されたアクチュエータの半概略斜視図である。
【図4】ピストンを形成するコアピン上に取り付けられたアクチュエータの半概略断面側面図である。
【図5】図1のピストンの、アクチュエータが開放位置にあり、さまざまな曲線や隠れている線が破線で示されている、半概略斜視図である。
【図6】第1の閉塞位置にあるバルブ筐体内に配置され、医療器具の先端が一部示された図1のピストンの半概略部分断面側面図である。
【図7】図6のバルブの、ピストンが強制的にバルブ筐体内の遠位に挿入され、流入アクチュエータが開放位置にある半概略断面側面図である。
【図8】本発明の態様に従って実現されたバルブ筐体の半概略部分側面図および断面図である。
【図9】本発明の態様に従って実現された別のバルブ筐体の半概略部分側面図である。
【図10】本発明の態様に従って実現された、ピストンの上部が開放および閉塞して流体の流れる経路を作り出すよう構成された流入アクチュエータを有する、別のバルブピストンの半概略断面側面図である。
【図11】図10のバルブピストンの、流入アクチュエータが開放位置にある半概略断面側面図である。
【図12】本発明の態様に従って実現された別のアクチュエータの半概略斜視図である。
【図13】本発明の態様に従って実現された、ピストンの首部にスリットが組み込まれた、さらに別のバルブピストンの半概略側面図である。
【図14】図13のピストンを線14−14に沿って切り取った半概略断面側面図である。
【図15】本発明の態様に従って実現された、バルブ筐体内に配置された図13のピストンを備えた、バルブアセンブリの半概略部分断面側面図である。
【図16】図15のバルブアセンブリの、医療器具の先端によりピストンが第2の位置に動かされた、半概略部分断面側面図である。
【図17】本発明の態様に従って実現された、貫通穴を有するピストンの首部にスリットが組み込まれた、さらに別のバルブピストンの半概略側面図である。
【図18】図17のピストンを線18−18に沿って切り取った半概略断面側面図である。
【図19】本発明の態様に従って実現された、流入ノズルの下部首部にクロスバーを組み込んだ、別のバルブ筐体の半概略断面側面図である。
【図20】図19のバルブ筐体を線20−20に沿って切り取った半概略断面側面図である。
【図21】図19のバルブ筐体の内部空洞に配置された図17のピストンの半概略部分斜視拡大図である。
【図22】本発明の態様で実現される、図19のバルブ筐体内に配置され、医療器具の先端がピストンの上面に接触して配置された図17のピストンを含む、別のバルブアセンブリの半概略部分断面部分側面図である。
【図22A】バルブ筐体の長軸に沿って90度回転して示した図22のバルブアセンブリの半概略部分断面部分側面図である。
【図22B】ピストンが医療器具の先端により第2の使用位置に移動してバルブアセンブリの流入口と流出口との間から流体の流れる経路を開いた図22のバルブアセンブリの、半概略部分断面部分側面図である。
【図23】本発明の態様に従って実現された、また別のバルブピストンの半概略断面側面図である。
【図24】本発明の態様に従って実現された、ピストンに配置された対になった空洞と協働するための対応する拡張部を有するバルブ筐体内に配置された図23のピストンを含む、さらに別のバルブアセンブリの半概略部分断面部分側面図である。
【図25】本発明の態様に従って実現された、さらに別のバルブピストンの半概略断面側面図である。
【図26】本発明の態様に従って実現された、バルブ筐体とかみ合うナットアセンブリの半概略断面側面図である。
【図27】図26のナットアセンブリを線27−27に沿って切り取った半概略断面側面図である。
【図28】本発明の態様に従って実現された、バルブ筐体の下部端部に対になった図26のナット取り付け部を有するバルブ筐体内に配置された図25のピストンを含む、さらに別のバルブアセンブリの半概略部分断面部分側面図である。
【図29】医療器具の先端によりピストンが第2の位置に動かされた図28のバルブアセンブリの、半概略図部分断面部分側面である。
【図30】本発明の態様に従ったピストンの部分半概略斜視図である。また、図30Aはこのピストンの部分上面図である。
【図31】図33のピストンを線31−31に沿って切り取った断面側面図である。
【図32】図31のピストンの、流体の流れる経路を実現するためのらせんスリット構造を図示した半概略側面図である。
【図33】図32のピストンの、ピストンの長軸に沿って180度回転させて図示した半概略側面図である。
【図34】図6および9および37で示すバルブ筐体の任意のいずれかを含んでいても良い、不可視になっているバルブ筐体内に配置された図31のピストンの半概略部分断面部分斜視図である。
【図35】図34のピストンの、医療器具の先端により第2の位置の方に動かされた、半概略部分断面部分斜視図である。
【図36】図34のピストンの、医療器具の先端により第2の位置に動かされた、半概略部分断面部分斜視図である。
【図37】本発明の別の実施形態に従った、図34のピストンを含むバルブの簡略部分断面図である。*
【図38】本発明の別の実施形態に従った、図34のピストンを含むY部位バルブを示す簡略部分断面図である。
【図39A】図39Aは、切刃を備えた超音波発生装置の一般的な半概略図である。
【図39B】図39Bは、ピストンにシームまたはスリットを切り込むための切刃を備えたロボット式カッターの一般的な簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面と連携した後述の詳細な説明は、本発明のさまざまな態様に従った無針アクセスポートバルブまたはバックチェックバルブ(以降「バルブ」)のさまざまな実施形態の説明を目的としており、これらのみが本発明が構築されるまたは使用されることのできる形式であることを示すことを目的としたものではない。説明は、本発明のバルブを構築および使用のための特徴および手順を、図示した実施形態と連携して説明している。しかしながら、同じまたは同等の機能と構造も、本発明の精神と範囲内に含まれるよう意図されている異なる実施形態により達成しても良いことを理解されたい。本明細書の他の場所でも示すように、要素の同じ番号は同じまたは同様の要素または機能示している。
【0016】
図1を参照すると、本発明のさまざまな態様に従って実現されたバルブピストンまたはピストンの半概略断面側面図を示しており、全体に参照番号10を付してある。後述でさらに説明するように、ピストン10はバルブ筐体に対し拡張および密閉して筐体の流入口と流出口との間の流れを阻止し、圧縮または変形してこの2つの間の流れを可能にすることにより、バルブ筐体の流れを調整するよう構成される。一実施形態例では、ピストン10は、基部または第1のフランジ16を備えた第1の端部14と、第2のフランジ20を備えた第2の端部18とを備えた柔軟性のあるエラストマー本体12を備える。説明のみを目的として、第1の端部14は基部とし、第2の端部18は調整端とする。
【0017】
本発明のさまざまな態様に従って実現されるように、第1のフランジまたは基部フランジ16は、ピストン本体12の本体部17の直径よりも大きな外部直径を有する。フランジ16上面22、下面24および窪んだ下面26は、米国特許第6,871,838(本明細書では’838特許)で説明されるように、バルブ筐体上に配置されたナット取り付け部とフランジ台座との間に圧縮されるよう構成され、その内容は本明細書で参照により組み込まれる。
【0018】
一実施形態例では、ピストン本体12の本体部17は、一般に、基部フランジ16と第1の肩部28との間に延在する、抜き勾配などのようにわずかに先細でも許容される、まっすぐの円筒形の壁構造を備える。下部首部30は、本体部17の直径よりも小さい直径を有する第1の肩部28の近くまで延在する。軽減部32は下部首部30の近く(または近位方向から遠位方向に見た場合により大きくなっている部分)に、上部フランジ20と接続する上部首部34内を延在する。ピストン10がバルブ筐体(図示されていない)内部に配置されている場合、第1の肩部28および第2のフランジ20が筐体の内部空洞内の対応する表面にかみ合って、後述でさらに説明するようにバルブ筐体の内部表面により画定される流れの空間の周囲であるピストンの外面の周囲の流れを制限する。
【0019】
ピストン本体12は、下部空洞チャンバー38と上部空洞チャンバー40とを有する内部空洞36を画定する。一実施形態例では、内部空洞36は周囲の空気と流体連通する。したがって、ピストン本体12を押したり離したりすると空気がピストン本体12の内部空洞36に出入りする。
【0020】
一実施形態例では、ピストン10はシリコンがより好ましいが、柔軟性のあるエラストマーから作られている。または、ピストンは、熱可塑性エラストマーのコポリアミド(COPA)族などの熱可塑性エラストマー(TPE)の種類から作られていても良い。一実施形態例では、COPAは市販の商品名がPEBAX(登録商標)であるコポリアミド熱可塑性エラストマーである。しかし、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、スチレン系熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、コポリエステル(COPE)、および熱可塑性加硫物エラストマー合金(TPV)などのその他のTPEも使用して良い。任意で、TPEは化学的または照射により交差結合しその特性を変えても良い。さらにその他に、ピストンは’838特許で開示しているような自己潤滑シリコン素材で作られていても良い。ピストン10は、圧縮したときに曲がり、ピストンにかかった荷重または力がなくなったときにばねの助けがなくてもおおよそ元の形状に復元するような自己復元性があることが好ましい。しかし、前述において参照により組み込まれた’838特許のように、かかった力が取り除かれたときのピストンの復元を促進するためにバネを組み込んでも良い。ピストンが第2の位置から圧縮が少ない第1の位置に復元するのを助けるために外部バイアス部品を使用する場合、ピストン本体はしなりやすい素材から作成することができるが、復元性素材である必要はない。圧縮の少ない状態は、本体部と比較して測定され、第2の位置と比べて第1の位置にあるときに軸方向の圧縮がより少ない状態になっている。
【0021】
一実施形態例では、バイオフィルム形成量を削減するなどといったバルブ内の細菌汚染を制御または駆除するために抗菌組成物が提供されている。抗菌組成物の医療機器での使用は、当該分野で周知であり、例えば米国特許4,603,152(Laurin et al.に対する)、5,049,139(Gilchristに対する)、5,782,808(Foldenに対する)などで説明されている。抗菌組成物の使用はまた、公報第2002/0133124 A1および2003/0199835 A1(両方ともLeinsing et al.に対する)において開示されている。これらの特許および公報は、その全体を説明しているものとして本明細書に参照により組み込まれる。本発明の具体的な一態様では、銀リン酸ジルコニウムがピストン10を成形するための成形素材内に処方されている。つまり、TPE、シリコン、または自己潤滑素材に添加されている。銀化合物は、混合された注入物質の重量の約4%から約10%の間で異なっていても良く、約6%から約8%の間の範囲が好ましい。これに代わり、またはこれに追加して、抗菌組成物は詳細を後述するバルブ筐体および/またはナット取り付け部を成形する素材に混合される。本発明の構成部に使用できる他の抗菌材には、銀、金、白金、銅、および亜鉛が含まれる。本明細書で使用されている抗菌金属化合物には、好ましくは銀および金の酸化物および塩化物、例えば酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、塩化銀、ヨウ化銀、硝酸銀、酸化銀、サルファジアジン銀、硫酸銀、塩化金および酸化金などが含まれる。塩化白金酸またはその塩化物(塩化白金酸ナトリウムおよび塩化白金酸カルシウムなど)などの白金化合物も使用して良い。また、銅および亜鉛の化合物、例えば、銀の場合において前述したような、銅および亜鉛の酸化物および塩化物なども使用して良い。単一の生理的な抗菌金属化合物または生理的な抗菌金属化合物の組み合わせも使用して良い。またさらに別の方法として、薄い抗菌剤を’808Folden特許で開示しているようにさまざまなバルブ構成部の壁面に蒸着しても良い。
【0022】
一実施形態例では、ピストンは、約1.1から約1.2の範囲が許容範囲の約1.15比重、約40から約60デュロメーターの範囲が許容範囲の50デュロメーターShore A、最小約800psiがより好ましいが、最低600psiの最小引っ張り強度、最小約350%がより好ましいが、最小約275%の伸張速度、および125ppiがより好ましいが、最小約100ppi(ポンド/インチ)の引き裂き強度の物理特性を有する。これらのバルブは、特定の用途および素材選択の場合の特定のピストンの実施形態の特性の例としてのみ提供されており、値は異なっても良い。
【0023】
一実施形態例では、流入アクチュエータ42は、第2のフランジ20および上部首部34の少なくとも一部分とで形成される流体経路を開いたり閉じたりするためにピストン本体12の上部首部34に組み込まれている。流入アクチュエータ42は、ガラス充填ナイロンなどの剛性または半剛性熱可塑性プラスチックで作り、過成形工程を使用してピストン本体12に成形しても良い。流入アクチュエータ42は一般に、V字形の構造をしており、内面46および外面48を有する(図2)。2つの反対側に付いた流入プレート44は、流入アクチュエータ42の内面46に形成される。シーム50は2つの流入プレート間に形成される。一実施形態例では、2つの流入プレート44は、ピストン本体12と同じ素材で作られており、流入アクチュエータ42に過成形され、ピストン本体と一体化している。流入プレート44はしなりやすく、ピストン10が、図1に示すようにバルブ筐体内に配置されているときのピストンの第1の位置に対応する、2つのプレートが互いに接触している圧縮が少ない状態にあるとき、シーム50の少なくとも一部に沿って流体を固く密閉する。シーム50は、ピストンの長軸に沿って傾いていることが好ましい。しかし、このシームは、本発明の精神および範囲から逸脱せずにピストンの長軸に対して横方向に拡張することができる。
【0024】
図2は、図1のバルブピストン10の、流入アクチュエータが開放構成にある半概略断面側面図である。一実施形態例では、流入アクチュエータ42は図2に示す開放位置に自然にバイアスをかけ、アクチュエータ42の外面48にかかる力が何もないときにシーム50が離れて隙間を形成する。一実施形態例では、流入アクチュエータの外面48上の突起52と上部首部34の内面にある対応する溝52とが組み合わされて、流入アクチュエータとピストン本体との接着または接合を強化する。しかし、流入アクチュエータとピストン本体との間の複数の溝と複数の突起、反転した溝と突起の構成または、流入アクチュエータとピストン本体上の突起と溝の両方の組み合わせを、本発明の精神および範囲から逸脱せずに組み込むことができる。
【0025】
図3は、本発明の態様に従って実現された流入アクチュエータ42の半概略斜視図である。一実施形態例では、流入アクチュエータ42は、普通のV字よりも円弧56で頂点がより丸くなったV字形構造を形成する円弧基部56と2つの拡張部品58とを備える。一般に、V字形構造により、2つの拡張部48が2つの内面46が通常時に触れたり片方に接触したりしないように、つまり互いに離れるようにバイアスがかかるようになる。
【0026】
図4はコアピン60に取り付けた流入アクチュエータ42の半概略断面側面図である。コアピン60は、ピストン本体12の曲線を形成し、モールドと流入アクチュエータ42と共に動作してピストン10を形成する。コアピン60は、2つの拡張部58の端部64が図3に示す通常の拡張状態にあるときよりも互いに近づいたなんらかの圧縮状態にある流入アクチュエータ42を受け入れ保持するための容器62を含む。
【0027】
図5は隠れている線を破線で表した、図2のピストン10の半概略斜視図である。内側に向かって働く力が流入アクチュエータ42の2つの拡張部58にかかっていないとき(つまり、拡張部58が拘束されていないとき)、これらは広がってシーム50を広げ、隙間66を作り出す。したがって、流体が拡張部58の端部64に配置されると、これがシーム50の側面の空間66間に入り、これを通って外に出る。
【0028】
図6は図1のピストン10の、注射器またはチューブアダプタなどの医療器具の先端69が図示された、閉塞または第1の位置にある、バルブ筐体68内部に位置した部分半概略側面図である。バルブ筐体68は流入開口部72を画定する流入ノズル70を備えている。一実施形態例では、流入口はルアー流入口を備えている。これは、外部ネジ山74を備えているが、ネジ山がなくても(つまりルアースリップでも)良い。流入ノズル70の内面76は、大きさが第2のフランジ20よりも十分に小さい外周を画定し、第2のフランジを図2に示す位置から図1に示す閉塞位置まで圧縮する。一実施形態例では、流入ノズルの内部IDは、第2のフランジ20の通常の閉じた直径よりも約0.5ミルから約8ミル小さく、約0.1ミルから約3ミルの範囲がより好ましい。流入ノズルと第2のフランジ20の通常の閉じた直径との間のこの相対寸法により、バルブアセンブリ78の流入口72と流出口(図示されていない)との間の流体連通を終了させるための流入口72での密閉が作り出される。図6では、ピストン10の下部首部30と上部首部34との間に配置された軽減部32が流入口70の内部空洞内の肩部70から間隔が離れて示されているが、一実施形態例では、2つが互いに接触して第2の密閉点を実現している。
【0029】
図7は図6のバルブアセンブリ78の、流入ノズル70の流入口内腔に医療器具の先端69が挿入された、第2または開放位置にある半概略部分断面側面図である。先端69は流入アクチュエータ42とピストン本体12の両方に下方への圧力を働かせ、この2つをバルブ68の内部空洞の遠位に押し込む。’838特許で説明するように、既に参照により本明細書に組み込まれているが、ピストン10がその第2の位置に移動すると、ピストン本体12が先端69の圧力を受けてランダムに折りたたまれる。一実施形態例では、折りたたんだピストン本体により、ピストンにより占められている空間が、ピストンがその第2の位置に動くにつれてバルブの内部空洞に流入する流体の量が少ないなどによる、ボーラス投与のマイナスの影響またはマイナスの流れを作り出すのに十分な大きさになるように変化する。
【0030】
流入アクチュエータ42はバルブ筐体69の拡大した下部首部82に移動し、上部流入ノズル部70の内部円周76よりも大きい内部円周84を画定する。より大きな下部首部82により、流入アクチュエータ42の拡張を可能にする十分な空間が実現する。これにより、シーム50が分離して、医療器具から、または医療器具の方向へ流体が流れるための流体経路または隙間66を作り出す。流体が医療器具により送達されると仮定すると、流体流は先端69から流れ出し、シーム50で形成される隙間66を通り、シームの2つの端を通って外に出る。次に流体は、バルブ筐体68の内壁表面とピストン10の外面との間の空間を通ってバルブ流出口(図示されない)から外に出る。先端69が流入ノズル70から離れると、ピストン10はピストン10を形成する素材の回復特性により拡張し、図6に示す位置に戻る。一実施形態例では、ピストン10がその第1の位置に拡張すると、バルブの内部空洞から押し出される流体の量が少量であることを特徴とする正のボーラス投与の影響が生み出される。
【0031】
図8は、本発明のさまざまな態様に従って実現された典型的なバルブ筐体68の、ピストンなしで示した部分的に切り取った半概略側面図である。図7に加えて図8を参照すると、内部空洞86はさらに別の、バルブ筐体68の主な本体部90により画定される拡張した内部円周88を有する。下部がより大きな内部円周88は、下部に通常丸くなったまたは曲面の肩部92を備える。一実施形態例では、曲面の肩部92は、ピストン本体12の第1の肩部28と接触してかみ合うために提供され、別の密閉点を実現する。
【0032】
一実施形態例では、主な本体部90の内部円周88は滑らかな表面を有する。内部円周88は、一般に主な本体部の多くに広がる一定の直径を有する主な内部直径89を画定し、1つの例では一般に下部肩部92の遠位から主な本体部90の接合部分とスカート94あたりまで一定である。一実施形態例では、主な内部直径89は、バルブ筐体68の流入開口部72を通じて送達される流体流や、バルブを通じてサンプル採取するバルブ筐体の流出口から流入開口部の方向へ送達される流体流が、バルブ流出口100から流れ出て行くために十分な流体の流れる空間を有するよう、ピストン10の本体部17(図1)の直径よりも十分に大きい大きさである。
【0033】
外面には、バルブ筐体68は複数のリブ93を組み込み、一実施形態例では4つの等間隔に離れたリブを含む。下方に伸長するスカート94は、主な本体部90に従属し、ナット取り付け部98を受け入れるために下部開口部96で終端する。’838特許で説明するように、ナット取り付け部98は流入開口部72を通って送達される流体を排出するための流出ポート100と、チューブアダプタ、カテーテル、または同様のものでも良い第2の医療器具(図示されない)とねじり込まれてかみ合うためのネジ山付きカラー102とを含む。ナット取り付け部98は、スカート94の端でナット取り付け部上のフランジ104に溶接または接着することにより、スカート94に超音波で溶接または別の方法で接着しても良い。
【0034】
図9は、本発明の態様に従って実現された、別のバルブ筐体の半概略断面側面図である。一実施形態例では、バルブ筐体106は、流入開口部72を画定する流入ノズル108と、主な本体部112と、下部筐体開口部118を画定する終端部116を有することでそこに従属するスカート114とを備える。
【0035】
内部には、バルブ筐体106は上部流入部または上部首部120と、先細になった部分または下部首部122と、主な内部本体部124と、内部スカート部126とを備える。一実施形態例では、内部本体部124は内部本体部124の内壁表面上に飛び出ている複数の隆起したリブ128と、内部本体部の内壁表面より窪んだ複数の刻み目130とを備える。隆起したリブ128と刻み目130により、バルブ筐体の内壁表面とピストンの外面とで画定される空間の間に、バルブの流入口から流出口への流体経路またはルートを実現する。
【0036】
一実施形態例では、複数の下部刻み目132は、スカート部114の内壁表面134に組み込まれる。下部刻み目132は、上部刻み目を通る流体流が、流出口の方向にある下部刻み目に流れ込むように上部刻み目130と整列していることが望ましい。一実施形態例では、8つの隆起したリブ128と、8つの上部刻み目130と、8つの下部刻み目132とが組み込まれている。このリブと刻み目は、互いに等間隔にあることが好ましい。また、スカート部上には、ナット取り付け具を固定するポジショナー117が形成されているのも図示されている。一実施形態例では、3つの間隔が空いたポジショナーが組み込まれている。
【0037】
図10は、本発明の態様に従って実現された、別のピストン136の半概略断面側面図である。ピストン136は、図6〜9に示すように、バルブ筐体と共に動作して、バルブ筐体の流入口から流出口への間、あるいはその逆方向の流体流を規制するよう構成されている。一実施形態例では、ピストン136は、内部空洞142を画定するピストン本体138と流入アクチュエータ140とを備える。ピストン本体138は、図1、2、および5を参照しながら開示したピストン本体と、いくつかの例外を除いて同様である。本実施形態では、上部首部34、下部首部30、および本体部17の一部は、ピストン壁と同じ素材で強固に形成されており、本明細書ではまとめて上部ピストンコア144と呼ぶ。空洞142の周囲に接する本体部17は、本明細書ではしなりやすく復元性のあるピストン基部146と呼ぶ。本実施形態の流入アクチュエータ140は、図1の実施形態の流入アクチュエータ42のように、上部首部34を通って露出するよう構成された突起148を備える。
【0038】
ピストン136がバルブ筐体内に設置され、操作中に圧縮されると、しなりやすく復元性のあるピストン基部146は、医療器具の先端を収容するようにランダムに曲がりねじれる。一実施形態例では、しなりやすく復元性のあるピストン基部146は、医療器具が取り除かれると、バネやその他の独立したバイアス部品による補助なしで跳ね返るよう構成される。十分な復元性のあるエラストマーまたはTPE、壁厚、および硬度を選択することにより、しなりやすいピストン基部146は、別個のバネを使用せずに跳ね返ることができる十分なバネ特性を示すことができる。しかし、通常の当業者には容易に明白となるように、’838特許で説明するようにコイルバネを内部空洞142内に配置してピストンの復元を促進しても良い。
【0039】
図11は図10のピストン136の断面側面図で、バルブ筐体の外側で通常状態にある流入アクチュエータ140と共に示した図である。はっきりと図示されているように、2つの拡張部58は互いに離れており、前述のように流体が流れるためにシーム50で隙間が空いている。
【0040】
図12は図10および11の流入アクチュエータの半概略斜視図である。2つの伸長部58はそれぞれ、拡張した脚150を備える。一実施形態例では、ピストン本体138は、まず流入アクチュエータを型穴に置き、その中にコアピンを置き、2つの拡張部の間に薄いシートを置き、次に射出成形によりエラストマーまたはTPEで成形することにより、流入アクチュエータ140上に成形される。射出工程に続いて、ピストンが取り外されシーム50が過成形工程で作成される。
【0041】
図13は、本発明の態様に従って実現された、ピストン152のさらに別の実施形態の半概略側面図である。一実施形態例では、ピストン152は下部フランジ16と、本体部154と、上部フランジ158を備えた首部156とを備える。スリット160は、首部156の中心に沿って近接して組み込まれ、2つのピストン首拡張部157を画定する。スリット160は、ピストンの上部上面162と、本体部154の上部端にある肩部154との間に伸長する。スリット160は開いたり閉じたりできる平面を有するシームを画定し、バルブ筐体内にあるときのピストン152の位置に基づき隙間を形成する。スリット160は、ピストンの長軸に沿って整列していることが好ましい。しかし、スリット160は、本発明の精神および範囲から逸脱せずにピストンの長軸に対して横方向に拡張することができる。
【0042】
図14は、図13のピストンを線14−14に沿って切り取った断面側面図である。一実施形態例では、首部156は、切り込み工程により成形工程の後に形成されたスリット160を有する、完全に強固な構造で成形されている。例示的な切り込み工程の例としては、薄刃を用いて、レーザー切り込みにより、または水噴射切り込みにより、首部に切り込むことが挙げられる。図39を参照すると、本発明の一実施例では、鋭利な端で約0.015インチから約0.03インチ厚程度で、好ましくはチタニウムなどのエキゾチック金属の薄刃290を使用してスリット160を切り込む。刃はカプラまたはシャフト292に取り付けられ、従来技術の超音波発生装置294に接続され、好ましい動作範囲は約20kHzから約40kHzである。発生装置の例には、Branson 2000aedモデルがある。ピストン152は次にベースまたはドラムなどの固定具296内に、首部が直接刃290に隣接するように配置される。超音波発生装置294は次に、励起されると同時に刃を、ピストンが垂直方向に固定されていた場合ピストンの同軸方向に移動し、ピストンが水平方向に固定されていた場合ピストンの中心線に対し垂直に移動する。スリット160が作成されると、刃は無励磁になり、ピストンから引き出される。または、振動刃を固定し、ベースまたはドラム296上に取り付けたピストンを、振動刃内に移動してスリットを作成しても良い。
【0043】
強固な上部本体部166からは、本体部154の内部空洞142内の遠位に伸長する停止ピン168が首部156の遠位に伸長している。停止ピン168は、物理的な停止を提供することにより医療器具の過剰挿入を防ぎ、ピストン壁が、上部からの医療器具と下からのナット取り付け具により曲げられたときに内部空洞142の内部に折りたたまれる量を制限する。
【0044】
図15は、バルブアセンブリ170を形成するバルブ筐体68の内部に取り付けられたピストン152の部分断面側面図である。ピストン152は、第1または閉塞位置にあり、バルブ170を密閉し、流入開口部72と流出口(図示されない)との間の流体連通を閉塞するよう機能する流入ノズル70の内壁表面に対して圧縮された上部フランジ158と共に図示されている。ピストン肩部164もまた、バルブ筐体68の下部肩部92に隣接して別の密閉点を実現する。
【0045】
図16は、図15のバルブアセンブリ170の、医療器具の先端69により第2または使用位置に動かされた、半概略部分断面側面図である。先端69はピストン152の上部上面162を、流入ノズル70の拡張した下部82の内側部分84の中に押し込む。拡大した下部82における内部空間がより大きくなるため、2つのピストン首拡張部157は強制的に離れ、医療器具および停止ピン168により発生する曲げ効果と説明することもできるが、これにより隙間66がシーム50において形成される。このとき、医療器具により送達された流体は先端69から流れ出て、その次にピストン152の外面周囲およびバルブ筐体68の内面周囲を流れる。反対に、サンプルを採取する場合は、流れはバルブ筐体の内面とピストンの外面との間に画定される空間の間を流れ、次にシーム50を通り、先端69内を通る。
【0046】
流入ノズル70から先端69が離れると、ピストン152は自動的に、第2の位置(図16)から第1の位置(図15)に移動する。ピストン本体部154は、本来備わっている復元特性により自動的に復元する。または、前述のように、コイルバネを使用して復元を促進しても良い。
【0047】
図17は、本発明の態様に従って実現された、さらに別のピストン172の半概略断面側面図である。一実施形態例では、別のピストン172は図13および14に開示したピストン152と、いくつかの例外を除いて同様である。たとえば、ピストン172はシームを画定し、首部156を2つのピストン首拡張部157に分割するスリット160、および停止ピン168を組み込む。本実施形態では、多角形の断面を有する貫通穴174が、貫通穴の少なくとも一部に沿って形成される。好ましい実施形態においては、貫通穴174は、2つの頂点176が垂直なスリット160と同じ方向に縦に揃うような方向を向いた、6つの側面を持つ多角形である。貫通穴174は、貫通穴の半分が、1つの首拡張部157上に形成され、もう半分がもう片方のピストン首拡張部上に形成されるように形成される。
【0048】
図18は、図17のピストン172を線18−18に沿って切り取った断面側面図である。一実施形態例では、貫通穴174は、側面182により互いに間隔が離れている先細の上面178および成形された先細の下面180とを成形することにより形成される。先細の上面178は、バルブ筐体内にあるクロスリブと隣接するよう構成され、先細の表面上に一対の分力を及ぼして、さらに後述するように、ピストン首拡張部157を外側に押す。下部の先細の表面領域180は、さらに後述するように、クロスリブの下面と同様の曲線を有し、ピストンが第1の位置にあるときに下に沿って進むよう構成されている。
【0049】
一実施形態例では、上部先細表面178は、下部先細表面180よりも相対的に短い長さである。この相対寸法により、その各端に、露出した貫通穴領域185が生み出される。2つの露出した端部185は、図21を参照すると示されているように、バルブ筐体内にあるクロスバーの対応する端部を受け入れるよう構成されている。しかし、通常の当業者には容易に明白となるように、2つの露出した端部185(図21)は、形状、大きさ、および曲線において、設計者の選択により異なっている可能性があるクロスバーで実現されている形状、大きさ、および曲線に応じて異なっていても良い。
【0050】
図19は、本発明の態様に従って実現された、バルブ筐体184の半概略断面側面図である。バルブ筐体184は、図8および9のバルブ筐体を参照して説明したバルブ筐体と、いくつかの例外を除いて同様である。相違点には、クロスバー186が流入ノズル70の拡張した下部82の内部空洞に組み込まれているということがある。一実施形態では、クロスバー186は一般に、丸い上部中央部188と頂点を備えるV字形の下部190とを備える。クロスバーは、バルブ筐体184と一体化されて成形されていることが好ましい。
【0051】
一実施形態例では、主な本体部90の内部円周88は平らまたは滑らかな内壁表面を有する。しかし、隆起したリブまたは流入刻み目またはその両方を、本発明の精神および範囲から逸脱せずに組み込むことができる。一実施形態例では、複数の下部刻み目132は、バルブ筐体のスカート部94に形成される。
【0052】
図20は、図20のバルブ筐体184を線20−20に沿って切り取った断面側面図である。クロスバー186は、前述のように丸い中央部188と、ピストン172の貫通穴174にある傾いた端部192に対応する2つの傾いた端部190とを有する。通常の当業者には容易に明白となるように、バルブ筐体およびピストンそれぞれの傾いた端部190、192は、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、たとえば丸い中央部188をクロスバーの長さ全体まで伸ばすなど、変更または除去することができる。また他に、単一の異なる上部頂点、異なる曲線、または複数の頂点を有するクロスバーを組み込んでも良い。
【0053】
図21は、図20のバルブ筐体184内に部分的に配置された図18のピストン172の半概略部分斜視断面図である。ピストン172は、バルブ筐体184の端部開口部96を通ってクロスバー186とスリット160が一致するように首部156を挿入することにより、バルブ筐体184の内部空洞86に挿入されるよう構成される。ピストンは次に、クロスバーが貫通穴174内に設置されるまで近位に押し込まれる。設置されると、クロスバーの2つの傾いた端部190は、2つの露出した貫通穴領域185内に支えられる。一実施形態例では、ロッド(図示されない)が、筐体内にピストン172を押し込むために使用される。ロッドは、ピストンの開口端194(図17)を通って挿入し、停止ピン168に押し込まれても良い。
【0054】
図22は、ピストン172、バルブ筐体184、およびナット取り付け部98を備えるバルブアセンブリ196の部分断面側面図である。ピストン172は、第1または閉塞位置に図示されており、この位置では上部フランジ158は流入ノズル70の内面76に対し圧縮されて、2つのピストン首部157の両方に一緒に圧力をかけ、流入開口部72と流出ポート100との間の流体流を止める。第2の密閉は、バルブ筐体の内部空洞86にある下部肩部92に隣接したピストン172の肩部164により実現される。
【0055】
図22Aは、図22のバルブアセンブリ196の、直交表示平面から見た部分断面側面図である。
【0056】
図22Bは、第2または使用位置にある図22および22Aのバルブアセンブリ196の部分断面側面図である。医療器具の先端69は、流入ノズル70の穴に挿入されてピストン172を圧縮する。前述のように、先端によりかけられた力により、ピストンの本体部154(図17)が曲がり、ねじれてランダムに折りたたまれる。これと同時に、スリット160はクロスバー186を覆うような力がかかり、スリット160を離して隙間66が拡大する。医療器具により送達された流れFは、先端69を通って流れ、シーム50に形成された隙間66を通りぬけてから、シームの2つの側面から流れ出て、ピストン172の外面を越えて流出口100の方向へ流れる。医療器具を通って流体が送達されると、先端69が流入ノズル70から取り外され、同時にピストンの上面に作用する力が取り除かれる。これにより、ピストン172は図22および22Aに示す、圧縮の少ない状態に復元する。
【0057】
前述のように、ピストン172は自己復元性があり、第2の位置から第1の位置まで、バネまたは独立したバイアス部品の補助を受けずに移動することができる。しかしながら、ピストンの第2の位置から第1の位置への復元を促進するためにバネまたは独立したバイアス部品をピストン172の内部空洞142内に配置しても良い。
【0058】
図23は、本発明の態様に従って実現された、さらに別のピストン198の半概略断面側面図である。ピストン198の本実施形態は、図17、18、20、および22で示すピストン172と同様の点が数多くある。しかし、図17、18、20、および22で示したピストン172は、貫通穴174を組み込んでいるが、ピストン198の本実施形態は、分離壁202を貫通穴に組み込んで、2つの空洞200を画定する。2つの空洞200の2つの上端204もまた、終端が単純な丸い角となるよう修正されている。一実施形態では、分離壁202は、壁の近位から遠位までの距離に従って外見上伸長する2つの先細の壁面206を備える。それぞれの空洞200は、先細の上面178および先細の下面180を、図18を参照して開示した貫通穴174と同様に備える。
【0059】
図24は、本発明の態様に従って実現された、バルブ筐体210内に取り付けられた図23に示したピストン198を備えたバルブアセンブリ208の部分断面側面図である。一実施形態例では、バルブ筐体210は、図19および20を参照して既に説明したバルブ筐体と、いくつかの例外を除いて同様である。本実施形態では、筐体の内部空洞は、流入ノズル70と主な本体部90との間で結合し、連続したクロスバー186ではなく2つのリブ拡張部212を備える。2つのリブ拡張部212は、2つの空洞200(図23)に挿入されるような大きさで、2つの空洞は、2つのリブ拡張部を収容するような大きさにされる。
【0060】
使用時には、医療器具の先端69は流入ノズル70により画定された内腔に挿入され、ピストン198に力をかける。ピストン198への下方への力は、2つの空洞200を2つのリブ拡張部212に対して押し込み、2つの空洞の先細の上面178に作用して、首部156をスリット160に沿って分割し、スリットに隙間を開ける。この隙間により、流入開口部72と流出口110との間を流体が流れる流通経路を実現する。
【0061】
注入後に先端69が流入ノズルから取り外されると、ピストン70は、第2の位置から第1の位置に動くことにより、圧縮が少ない状態に復元する。前述のように、バネまたは独立した復元性部品を任意でピストン198と共に使用して、先端69が取り外された後の復元を促進する。
【0062】
図25は、本発明の態様に従って実現された、さらに別のピストン214の半概略断面側面図である。一実施形態例では、ピストン214は、前述のその他のピストンで説明したような、首部156を2つのピストン拡張部157に分割するスリット160を備える。ピストン214はまた、本体部154と、下部フランジ16とを備える。本体部154は、上壁面216とスパイク状の穴218とを備える内部空洞142を画定する。スパイク状の穴218は、上壁面から上部本体部166および下部首部30の一部を通って近位に延在する。
【0063】
好ましい実施形態では、スパイク状の穴218は頂点220で、後方が開いたときにこの頂点の先端がスリット160と連通した状態で終端する。一実施形態例では、穴218は単一直径の円筒形の穴を備える。しかし、1つまたは複数の先細の首部222が穴218に組み込まれて、さらに後述するように、起動ピンの周囲の密閉リングとして動作することが好ましい。
【0064】
図26は、本発明の態様に従って実現された、ナット取り付け部224の半概略断面側面図である。一実施形態例では、ナット取り付け部224は、丸い先端230を有する細長い起動ピン228を有する中央突起226を除いて’838特許で開示したナット取り付け部と同様である。ナット取り付け部224のその他の特徴には、円形経路232、隆起した床234、および任意で突起238を備えた、隆起した表面フランジと類似の密閉シート236がある。さらに遠位には、ナット取り付け部224は2つの間隔の空いた流体経路240と、1つまたは複数の配置部品242を備えたスカート部246と、フランジ244と、内腔250を備える放電ノズル248とを含む。
【0065】
図27は、図26のナット取り付け部224を線27−27に沿って切り取った断面側面図である。一対の通気口ポート252が、’838特許で説明するようにピストンの後方が医療器具の先端で圧縮されたときのピストン214の内部空洞142内に閉じ込められた空気の排気のため組み込まれている。一実施形態例では、2つの通気口ポート252は、互いに180度間隔が空いており、それぞれ2つの、やはり互いに180度の間隔が空いている流体経路240の間に配置されている。
【0066】
図28は、本発明の態様に従って実現されたバルブアセンブリ254の半概略部分断面側面図で、図26および27のナット取り付け部224がバルブ筐体68の下部開口部96に固定されたバルブ筐体184に配置されている図25に示したピストン214を備えている。ピストンが図示されている第1の位置にあると、上部フランジ158は流入ノズルの内面に対して密閉され、ピストン肩部164は筐体上の下部肩部92に対して密閉して流入口72と流出口100との間の流体連通を止める。2つのピストン首拡張部157は、共に圧力をかけられ、圧力がかかっていないときにスリット160に形成される隙間を閉じる。
【0067】
細長い起動ピン228はピストンのスパイク状穴218内に露出し、丸い先端230がスリット160の最も遠位の点に近接して位置する。穴218は、中立となる、つまり干渉しない大きさまたは、ピン228の周囲の間隔が合計約0.5から約3ミル程度の余裕があることが好ましい。
【0068】
図29は第2または使用位置にあり、ピストンがより圧縮された状態にある図28のバルブアセンブリの半概略部分断面側面図である。ピストンは、医療器具の先端69がバルブ筐体184の流入ノズル70に挿入されることにより使用位置に移動し、ピストンは本体部154(図25)で折りたたまれる。このとき同時に、穴218が強制的に細長い起動ピン228の遠位に下がり、ピンがスリット160内に移動して隙間が開く。2つの首部157が分離するための十分な周囲空間が提供されるバルブ筐体184の下部82を十分に拡大させるため、ピストンの上部上面162が十分遠位に移動することが好ましい。この点において医療器具からバルブ254に送達された流体は、前述のように、先端69を流れ落ち、隙間66を通り、隙間の側面からピストンの外面とバルブ筐体184の内壁表面との間の空間に流れ出る。
【0069】
医療器具が流入開口部72から取り外されたときにピストン214が第2の位置から第1の位置に復元するのを促進するため、前述のように、ピストン214が単独で復元するのに十分な復元性があるか、および/または復元部品を使用して、ピストンが第1の位置に戻ることを付勢する。本実施形態では、起動ピン228と2つのピストン首拡張部157との間のスリット160での摩擦は最小限に抑えられなければならない。一実施形態例では、バルブに送達された流体の残りが、潤滑剤の役割を果たして摩擦を最小限にする。しかし、2つのピストン首拡張部157は屈折しているため、複数の空洞または不均一な壁面256が起動ピン228の近くに生成され、起動ピンと2つのピストン首拡張部157の壁面との間の摩擦を低減する。
【0070】
図30は、本発明の態様に従ったピストン258の部分半概略斜視図である。図31は、図33のピストンを線31−31に沿って切り取った断面側面図である。一実施形態例では、ピストン258は上部フランジ158と、上部首部34を備えた首部156と、下部首部30およびピストン本体136とを備える。ピストン本体136は、しなりやすく復元性のあるピストン基部146と、ベースフランジ16とを有する内部空洞142を画定する。ピストン258は、例えば図37に示すバルブ筐体のようにバルブ筐体302と共に使用して無針注射ポートバルブとして動作するよう構成される。
【0071】
図30および31と共に図33も参照すると、本発明の態様に従ったピストン258は、バルブ筐体302と組み合わせて使用されると、首部156を通る流体経路を提供するためのらせん状にねじれた構造で作成されたスリット260を組み込んでいる。一実施形態では、スリット260は下部首部30の上または近くに形成される。一実施形態例では、スリット260は上部スリット部262と2つの下部スリット部264とを備える。それぞれの下部スリット部264は、ねじれて首部156の周囲の少なくとも一部を反対方向に覆うように、上部スリット部262に対して反対方向に拡張する。図30Aに示すように、切り込み端は首部の外面まで拡張する。さらに後述するように、ピストンが圧縮されると、スリット260が強制的に開き、ピストンの上部首部34を通って流体が流れるための隙間が実現する。したがって、本明細書で提供するピストンは、2つの反対方向に延在する、互いに離れて伸長する切り込み端を備えたらせん状のカットを有する、固い上部ピストン部を含むことが理解される。本発明の別の態様は、図30に示すように上部フランジ158が1つの外端から別の外端まで連続して切り込みが入っているような上部首部34全体を横断して形成されるスリットを備えたピストンである。隙間がスリット260に示されているが、ピストンの弾力性および切刃の厚みにより、2つの部分が触れ合い1本の線だけが見えることがあることに留意されたい。
【0072】
図33と共に図32を参照すると、一実施形態では、上部スリット部262と下部スリット部264は、ピストンの上部から測定して深さ約0.100から0.180インチまでの切り込み工程により、射出成形後形成される。しかし、ピストンおよび素材のデュロメーターの要因を考えて他の深さとすることもできる。切り込み工程は、図39Aを参照するとより理解しやすいであろう。本発明の一実施形態では、チタニウムまたはステンレススチールなどの金属から作られた鋭利な端を持つ薄刃290が、スリット260の切り込みに使用される。刃はカプラまたはシャフト292に取り付けられ、従来技術の超音波発生装置294に接続され、好ましい動作範囲は約20kHzから約40kHzである。発生装置の例には、Branson 2000aedモデルがある。ピストン258は次にベースまたはドラムなどの固定具296内に、首部が直接刃290に隣接するように配置される。超音波発生装置294は次に励起し、同時に刃がピストン内に同軸方向に動いて刃が回転する。スリット260が作成されると、刃は無励磁になり、ピストンから引き出される。または、振動刃を固定し、ベースまたはドラム296上に取り付けたピストンを、振動刃内に移動してスリットを作成しても良い。
【0073】
一実施形態では、らせん状のカットはネジの動作と酷似しており、ピストンの長軸方向へのある程度の角度の回転(スクリュー角と呼ぶ)と、ピストンの長軸に沿ったある程度の距離の移動とを併用した組み合わせである。本実施形態では、上部スリット262は、刃が首部156の移動を開始すると、ピストンの長軸方向に沿って垂直に作成され並んでいる。下部スリット部264は、進む刃がピストンの長軸方向に対して角度を付けて回転するにつれて作成される。下部スリット部264は、首部156の周囲を部分的に覆っている。スリット260は首部156を、スリット260の一方または上部で画定される上流部268aと、スリット260のもう1方または下部で画定される下流部268bとに分割する。
【0074】
図39Bに示すように、らせん状スリット260を作るための切り込み工程は、取り付けピンまたは同様の装置などで、固定具310内に、ピストン258の開放端を下に向けて垂直方向にピストン258を取り付けることにより実施しても良い。本実施形態では、切り込みは、まっすぐな単一の、たとえばステンレススチールまたは同様の素材から作られた刃312を使用して行う。まっすぐな切刃312は、約0.010から0.015インチ、好ましくは約0.014インチの厚さを有していて良い。刃の切り込み側を下に向けて、刃は、たとえば、3‐axis Yamaha YK250X High Speed Scara Robotや、任意の適した装置などのロボット式カッター316のチャック214に取り付けられていても良い。ロボット式カッター316は最初に、刃312を、垂直に配置されたピストン258の上部および中心線のすぐ上の切り込み位置に移動する。刃は下方に移動してピストン258のZ軸に沿って切り込む。下方に移動するにつれて、刃は一定の速度で、約20度から90度の間の回転角度で回転し、部分的ならせん構造を作成する。刃の回転は、時計回りまたは反時計回りのいずれでも良く、上面から測定した合計深さは約0.100から約0.180インチで、ピストンの素材およびデュロメーターによって異なっていても良い。一実施形態では、切り込みは、注射器が挿入され時計回りに回転してバルブ筐体のネジ山がかみ合ったときに、時計回りの回転により流体が流れるためのスリットの開放を促進するように反時計回りである。この後、注射器をバルブ筐体から取り外すための注射器の反時計回りの回転により、スリットの閉塞が促進される。
【0075】
図34は図30から33のピストン258の半概略斜視図である。図34は、バルブアセンブリ272を形成するバルブ筐体302(図37)などのバルブ筐体内のピストン258の図である(図34から36には、分かりやすくするためバルブ筐体は図示されていない)。しかし実際には、バルブ筐体は前述の任意のバルブ筐体のいずれかまたは後述の図37を参照して説明するような筐体でも良い。医療器具の先端69の部分断面斜視図には、ピストンの上面162に配置された図を示している。バルブアセンブリ272を開放する直前、ピストン258は第1または準備位置にあり、バルブ筐体の流入口と流出口との間からの流体流を、前述のように妨害する。上部フランジ158は、流入ノズルの内壁表面に対し周囲に圧縮され、ピストン首部268aと268bを一緒に保持し、スリット260を圧縮して流体の流れる経路を閉じ、流体密閉を形成する。
【0076】
図35は図34のバルブアセンブリの、先端69の一部がバルブ筐体の流入ノズル内に挿入されている半概略斜視図である。図35は、流入ノズル内に、スリット260およびピストンのピストン首部268aと268bがピストンの長軸に沿って垂直に圧縮される点まで挿入されている先端69を示している。スリット260は、首部156の圧縮を軽減し、首部268aと268bがスリットに沿って移動または互いに離れたりするようにする。ピストンが更に圧縮されるにつれ(図35)、2つの首部268a、268bにより形成された隙間はさらに開き、筐体の内面により実現する導管の一部と共に、流入口と流出口との間の導管を形成する。このように、本実施形態の態様は、フランジを備えた上部首部、下部首部、本体部、および筐体内に配置されたベースフランジを有するピストンを備えたバルブを備え、このピストンは圧縮可能で、上部首部のフランジの周囲全体を通る流れを形成することが理解される。ピストンはさらに、隙間が首部の外面を通って実現するような首部の少なくとも一部を通るらせん状の流体経路を形成する。
【0077】
本実施形態の好ましいピストン258を有するバルブアセンブリの特定の用途では、平行および回転方向の力の組み合わせが、ピストンの注射器の先端69により適用される。これは一般的に、注射器がネジ山とルアーロックの配置内のバルブアセンブリの流入口とがねじり込みによりかみ合うよう構成されているネジ山付きカラーを有している場合である。スリット260はらせん状に切込みが入っているため、ピストン首部268aおよび268bは、先端69に対しピストンの長軸の周囲を「ねじれ」または回転することにより対応する。ねじり動作により、部分268aおよび268bはそれぞれ対応するバルブ筐体の拡張した下部82のスクリュー軸の周囲を回転する(図37)。ピストン首部268aおよび268bがねじれるにつれ、これらは互いに反対方向に移動し、スリット260が離れて上部スリット部262で隙間が広がる。この分離により、上面162を通って延在する上部スリット部262の隙間66が生み出される。隙間66は先端69からバルブを通って、またはサンプルがバルブアセンブリ272を介して採取された場合は先端の方への、流体の流れる流体経路を形成する。同時に、先端69の圧縮負荷の元で、しなりやすく復元性のある基部146は曲がり折りたたまれ始める。したがって、ピストン258は、注射器がバルブ筐体にねじり込まれ、先端69がピストンに回転方向と平行方向を組み合わせた力をかけるとスリットが開くまたは広がるようならせん状の切り込みを有することが理解される。逆に、注射器がバルブ筐体から取り外されると、注射器の反対方向の回転により、スリットが閉じて流体密閉が形成され、さらに、ピストンの上部首部に対する筐体流入口の形状により促進される。
【0078】
図36は、図35のバルブ筐体272の、第2の位置にあり、医療器具の先端69がバルブ筐体の流入ノズルの完全挿入位置にあることを示す半概略斜視図である。先端69は、先端69の相対形状およびバルブ筐体の流入ノズルによりさらに先に進んだ第2の位置で停止する。上部および下部首部268aおよび268bは、互いにねじれて離れ続け、上部スリット部262の隙間66はさらに広がり、下部スリット部263の隙間が広がる。しなりやすく復元性のある基部146はさらに圧縮され、ランダムな折りたたみがより顕著になる。医療器具からの流体流は、このとき、先端69により画定される内腔274を通り、隙間66を通り、ピストンの外面により画定された流れのための空間を通り、バルブ筐体の内面を通って流れても良い。この流れは、バルブ筐体の流出ノズルの外に流れ出るまで続く。
【0079】
先端69をバルブ筐体の流入ノズルから取り外すと、しなりやすく復元性のあるピストン基部146は跳ね返り、圧縮の少ない位置に復元する。この跳ね返りにより、首部156は流入ノズルの開口部の方向へ近位に押される。首部156の軸方向の圧縮がなくなるにつれて、ピストン首部268aおよび268bはピストンの復元性と注射器先端の反対方向への回転により「よりが戻り」始める。首部268aおよび268bは、元の位置に戻るまでよりが戻る。スリットの内面は、バルブ筐体の開口部に近い流入ノズルの内部周囲が制限されているまたはより小さくなっているため、同時に押したままになり、隙間66を閉塞に保ち、図示されていないバルブ筐体の流入口および流出口との間からの流体連通を止める。周囲の力は隙間66の閉塞を保持する助力として使用されるが、スリットの内面は、首部の軸方向の圧縮の適用により強制的に開くまで接触したままとなることは理解されるべきである。
【0080】
一実施形態では、ピストン258は、図38に示すようにY部位バルブ筐体304で使用しても良い。Y部位バルブ筐体304では、第2の流入口306は筐体内に形成される。第2の流入口306は、ピストン258を収納するために使用される筐体ではなく、筐体304の独立した脚内に形成される。筐体302は図示したように2つの脚を持つ一体になった部位として成形されるか、溶媒溶接またはその他の既知の技術を使用して結合した別々の部品で作成されていても良い。
【0081】
本発明のさらに別の態様では、ピストン258は2007年11月19日に出願された、前述で参照により本明細書に組み込んだ第11/942,163に説明するように抗菌剤を含浸、塗装、または両方を施していても良い。代替的にあるいはこれに加えて、ピストンを収納するバルブ筐体を、抗菌剤を使用して含浸または塗装をしても良い。
【0082】
本明細書では無針アクセスバルブアセンブリおよびその構成部に限定した実施形態を具体的に説明し図示してきたが、多くの変更と変形が、当業者には明らかであろう。たとえば、さまざまなバルブをルアーネジ山ではなくルアースリップに組み込むことができる、医療器具にはルアーロックを実装できる、選択した素材は不透明でも半透明でも良く、異なる色を使用しても良く、寸法が異なっても良いなどである。さらに、1つのバルブの実施形態に対し説明されている特徴は、その機能に互換性がある場合は別のバルブの実施形態に含めるよう選択しても良いことを理解されたい。たとえば、1つのバルブに組み込まれた特定の湾曲や曲線を、美的外観および掴みやすくするための改良などといった機能の改良のために、別のバルブに組み込むことができる。したがって、本発明の原理に従って構築されたバルブアセンブリおよびそれらの構成部を、具体的に本明細書で説明されているとおり以外に具現することができることを理解されたい。本発明はまた、以下の請求の範囲にて定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブアセンブリであって、
内部空洞と、下部開口部と、流入開口部および中心軸に沿った内壁表面とを有する流入ノズルとを有するバルブ筐体と、
フランジ、首部、本体部、および基部を有する、前記バルブ筐体内部に配置されたピストンであって、前記ピストンが、前記フランジの2つの反対の外面部を横切って、前記流入開口部の縦方向に、前記下部開口部に向かって、前記フランジの下の前記首部の少なくとも一部を通じて放射状に延在する第1のスリット表面および第2のスリット表面を有するスリットを備え、前記第1のスリット表面および前記第2のスリット表面が、前記フランジの下の前記首部の少なくとも一部を通じて延在し、かつ前記中心軸の周囲にある角度を備える、ピストンと、
を備えるバルブアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、ある角度で全体に延在するスリットがらせん状のパターン構造を備えるバルブアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、前記第1のスリット表面および前記第2のスリット表面が、前記表面が接触している第1の位置から、隙間が前記表面間に形成される第2の位置に移動するバルブアセンブリ。
【請求項4】
請求項3に記載のバルブアセンブリであって、前記本体部の一部が、前記ピストンが前記第1の位置から前記第2の位置に移動するときに曲がるバルブアセンブリ。
【請求項5】
請求項3に記載のバルブアセンブリであって、前記第1のスリット表面および前記第2のスリット表面が、前記第1の位置から前記第2の位置に移動するときに前記中心軸の周囲を反対方向に回転するバルブアセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、前記フランジが前記流入ノズルの前記内壁表面と接触して、前記第1のスリット表面および前記第2のスリット表面の少なくとも一部を強制的に互いに接触させるバルブアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、抗菌剤が前記ピストンおよび前記バルブ筐体の少なくとも1つに形成されるバルブアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、前記バルブ筐体の前記流入ノズルに配置された複数のネジ山をさらに備えるバルブアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載のバルブアセンブリであって、前記バルブ筐体が第2の流入開口部を備えるバルブアセンブリ。
【請求項10】
バルブアセンブリであって、
バルブ筐体内に配置されたピストンであって、前記ピストンが、フランジと、首部と、内部空洞を画定する上部および下部を備える本体部と、外壁表面と、基部とを備える、ピストン、を備え、
前記バルブ筐体が、流入開口部を有する流入ノズルと、内壁表面を有する内部空洞を画定する本体部と、下部開口部とを備え、
前記ピストンの前記首部が、前記フランジの全体を横切って、前記首部の少なくとも一部を通じ、らせん構造にある前記ピストンの前記外壁表面まで形成されたスリットを備え、前記スリットが、前記流入ノズルを通じかつ前記下部開口部の外への流体流のために、前記バルブ筐体の前記内壁表面で流体空間を画定するバルブアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載のバルブアセンブリであって、前記スリットのらせん構造が、前記ピストンの中心軸の周囲である角度の前記スリットの回転を備えるバルブアセンブリ。
【請求項12】
請求項10に記載のバルブアセンブリであって、前記スリットのらせん構造が、互いに反対の方向を指す2つの切り込みのある伸長する端部を備えるバルブアセンブリ。
【請求項13】
請求項10に記載のバルブアセンブリであって、前記バルブ筐体がY部位バルブ筐体を備えるバルブアセンブリ。
【請求項14】
請求項10に記載のバルブアセンブリであって、前記ピストンおよび前記バルブ筐体の少なくとも1つが抗菌組成物を備えるバルブアセンブリ。
【請求項15】
請求項10に記載のバルブアセンブリであって、前記スリットが、前記表面が接触している第1の位置から、隙間が前記表面間に形成されて前記流体空間の一部を形成する第2の位置に移動する、第1のスリット表面および第2のスリット表面を備えるバルブアセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載のバルブアセンブリであって、前記第1のスリット表面および前記第2スリット表面が、前記第1の位置から前記第2の位置に移動するときに中心軸の周囲を反対方向に回転するバルブアセンブリ。
【請求項17】
請求項15に記載のバルブアセンブリであって、前記本体部の一部が、前記ピストンが前記第1の位置から前記第2の位置に移動するときに曲がるバルブアセンブリ。
【請求項18】
アクセスポートバルブにおける使用のためにピストンを作成する方法であって、前記方法が、
ピストンを成形することであって、前記ピストンが、本体部に比較して低減した直径の首部を備え、それが内部空洞を画定することと、
スリットを前記首部に切り込むことと、を備え、
前記切り込むステップは、軸に沿ってある距離だけ刃を平行移動させながら、前記ピストンの軸の周囲にある角度だけ前記刃を回転させることを備える方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記ピストンが抗菌組成物を備える方法。
【請求項20】
請求項18に記載の方法であって、前記スリットがらせん形状の構造を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図30A】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39A】
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【図39B】
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【公表番号】特表2013−500453(P2013−500453A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522841(P2012−522841)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/039849
【国際公開番号】WO2011/016918
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(500102815)ビー ブラウン メディカル インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】