説明

無養生塗装方法

【課題】無養生塗装とするために、ブラシ基板の端辺を直角に延設してブラシ部が非塗装部位に当たらないようにして、ムラのない美しい塗装を補修や時間をかけずに提供する。
【解決手段】ブラシ基板1cの先端辺1dを湾曲する断面嘴状とした無養生塗装用ブラシ1と、ブラシ付きポンプ圧送塗装機と、多孔質部材2cの大判塗装用ブラシ2を用いて、無養生塗装用ブラシ1に塗料を含ませ、塗装部位Aと非塗装部位Bとの境界線に沿って先端辺1dを当接して非塗装部位Bから外方向に向けて塗装し、塗装部位Aの中方向にブラシ付きポンプ圧送塗装機で塗料を塗布し、塗布した塗料を大判塗装用ブラシ2でむら無く引き延ばし、非塗装部位にマスキングを含まない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無養生塗装方法に関するものであり、更に、詳細には、塗装作業において、最も時間のかかる作業となっている非塗装部位へのマスキング(養生)作業を無くすると共に、短時間で均一に美塗装する無養生塗装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物等の内装、外装において、塗装は必要なもので、カラフルに、或いは、シックに塗装しているものであるが、壁等の塗装を必要とする塗装部位と窓枠や壁に埋設されたコンセント等の塗装の必要のない非塗装部位とがあり、塗装作業を始める前に、非塗装部位には塗料が付着しないようにマスキングテープ等によりマスキングする作業をする必要があり、このマスキング作業は塗装作業以上に多大な時間と多量のマスキングテープ等を使用しており、また、塗装作業後はマスキングテープ等を丁寧に剥がさねば成らず、その手間暇と大量の産業廃棄物が発生し、その破棄にも苦慮しており、また、広い面積の塗装部位に塗装する時にブラシに塗料を付着させて塗装をすると時間がかかり、また、吹き付けて塗装すると塗装にムラができていた。
【0003】
その為に、無養生塗装とするために、図5に図示するような、ブラシ基板の端辺を下方に直角に延設してブラシ部が非塗装部位に当たらないように工夫しているものがあるが、塗装部位と非塗装部位との境界線に筋状に塗装されない部位が残り、後に小さな筆ブラシで塗装されない部位を補修塗装していたが、補修塗装は時間がかかると共に、塗装にムラができたりして仕上がり状態が良くなかった。
【0004】
また、先に開示されたものとして、こて刷毛、毛刷毛の一部分を塗装不可部分専用部分とし、斜めに取り付けたガード板と塗装不可部分専用部を使って塗装することにより不可部分に塗料が付着せず養生が不要となる。又こて刷毛の上部に塗料タンクを取付け塗装作業においての刷毛の動き、及び塗装液面の波状現象を考慮した最適の位置に塗料排出穴を設け、フォーム(スポンジ)へ塗料を最適に浸透させる。浸透したフォームに切り込みを入れその部分をシールする事により塗料が下部に集中せず必要な部分に必要なだけ浸透し簡単に早い塗装作業が可能となるもの(特許文献1参照)や、本願発明の発明者が先に開示した、塗布具1は、上面に取っ手部2aを付設した平板状の塗布具基板2と、塗布具基板2に着脱部3を介装して取着された支持板4と、支持板4に貼着された柔軟性を有した多孔質部材で形成された塗布部5とを備えたもの(特許文献2参照)等がある。
【特許文献1】特開2004−298858号公報(図1)
【特許文献2】特開2003−300006号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然し乍ら、特許文献1は、ブラシ部(フォーム)がスポンジであり、フォームの外周シール部分が設けられ、また、ガード板が斜めに取り付けられているもので、塗装部位と非塗装部位との境界線にガード板の先端辺を当接して塗装しても、境界線近傍にムラができ安定した美塗装はできないものであり、特許文献2では、広い面積の塗装部位では良好な塗装を実施できるもののマスキング(養生)は必要としていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記課題に鑑み、鋭意研鑽の結果、これらの課題を解決するもので、上面の略中央に把手部を備え下面に多数の毛束を植設した矩形平板状のブラシ基板の一辺の先端辺を鋭利で下方に湾曲する断面嘴状のアール形状とした無養生塗装用ブラシと、ブラシ付きポンプ圧送塗装機と、基板の上面の略中央に把手部を備え下面に柔軟性を有した多孔質部材を貼設した矩形平板状の大判塗装用ブラシとを用いて、無養生塗装用ブラシの多数の毛束に塗料を含ませるステップと、被塗装物の塗装部位と非塗装部位との境界線に沿ってブラシ基板の一辺の鋭利な先端辺を当接して非塗装部位から外方向に向けて任意巾を塗装するステップと、任意巾を塗装した塗装部位の中方向にブラシ付きポンプ圧送塗装機で塗料を塗布するステップと、ブラシ付きポンプ圧送塗装機で塗布した塗料を大判塗装用ブラシでむら無く引き延ばすステップと、を含み、非塗装部位にマスキングをするステップを含まないものである。
【発明の効果】
【0007】
前述の如く構成した本発明の無養生塗装方法は、上面の略中央に把手部を備え下面に多数の毛束を植設した矩形平板状のブラシ基板の一辺の先端辺を鋭利で下方に湾曲する断面嘴状のアール形状とした無養生塗装用ブラシと、ブラシ付きポンプ圧送塗装機と、基板の上面の略中央に把手部を備え下面に柔軟性を有した多孔質部材を貼設した矩形平板状の大判塗装用ブラシとを用いて、無養生塗装用ブラシの多数の毛束に塗料を含ませるステップと、被塗装物の塗装部位と非塗装部位との境界線に沿ってブラシ基板の一辺の鋭利な先端辺を当接して非塗装部位から外方向に向けて任意巾を塗装するステップと、任意巾を塗装した塗装部位の中方向にブラシ付きポンプ圧送塗装機で塗料を塗布するステップと、ブラシ付きポンプ圧送塗装機で塗布した塗料を大判塗装用ブラシでむら無く引き延ばすステップと、を含み、非塗装部位にマスキングをするステップを含まないものであり、塗装部位の全面をむら無く美塗装することができると共に、マスキング作業に費やす時間と手間暇と破棄するマスキングテープ等を無くする無養生塗装方法を提供するもので、画期的で実用性の高い有効な発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の無養生塗装方法の実施の形態を図面によって、具体的に説明すると、図1は本発明の無養生塗装方法の実施に用いる無養生塗装用ブラシの実施例の側面図であり、図2は本発明の無養生塗装方法の実施に用いる無養生塗装用ブラシの実施例の平面図であり、図3は本発明の無養生塗装方法の実施に用いる大判塗装用ブラシの実施例の側面図であり、図4は本発明の無養生塗装方法の実施の形態を説明するための説明図であり、図5は従来の塗装ブラシの側面図である。
【0009】
本発明は無養生塗装方法に関するものであり、更に、詳細には、塗装作業において、最も時間のかかる作業となっている非塗装部位へのマスキング(養生)作業を無くすると共に、短時間で均一に塗装する無養生塗装方法に関するものであり、上面の略中央に把手部1aを備え下面に多数の毛束1bを植設した矩形平板状のブラシ基板1cの一辺の先端辺1dを鋭利で下方に湾曲する断面嘴状のアール形状とした無養生塗装用ブラシ1と、ブラシ付きポンプ圧送塗装機と、基板2aの上面の略中央に把手部2bを備え下面に柔軟性を有した多孔質部材2cを貼設した矩形平板状の大判塗装用ブラシ2とを用いて、前記無養生塗装用ブラシ1の多数の毛束1bに塗料を含ませるステップと、被塗装物の塗装部位Aと非塗装部位Bとの境界線に沿って前記ブラシ基板1cの一辺の鋭利な先端辺1dを当接して非塗装部位Bから外方向に向けて任意巾を塗装するステップと、前記任意巾を塗装した塗装部位Aの中方向に前記ブラシ付きポンプ圧送塗装機で塗料を塗布するステップと、前記ブラシ付きポンプ圧送塗装機で塗布した塗料を前記大判塗装用ブラシ2でむら無く引き延ばすステップと、を含み、非塗装部位にマスキングをするステップを含まないことを特徴とするものである。
【実施例】
【0010】
即ち、本発明の無養生塗装方法に用いる無養生塗装用ブラシ1は、図1〜2に図示のように、合成樹脂等で形成した矩形平板状のブラシ基板1cの上面の略中央にL字状の把手部1aを備え、ブラシ基板1cの下面の略全面には多数の毛束孔を刻設して、該多数の毛束孔に多数の毛束1bを植設しているものである。
【0011】
そして、ブラシ基板1cの一辺の先端辺1dは、先端が鋭利で下方に湾曲する断面嘴状のアール形状としたものであり、後述する無養生塗装方法で塗装を実施するためのもので、非塗装部位Bや塗装部位Aのサイズに合わせて使用できるように数種類のサイズを備えるものである。
【0012】
次に、ブラシ付きポンプ圧送塗装機は、塗料を塗装するための圧力源とするポンプにホース2dを介して流体連通させたスポンジブラシを連繋させ、スポンジブラシで塗料を塗布させる汎用のもので構わないものである。
【0013】
次いで、大判塗装用ブラシ2は、合成樹脂で形成した比較的大きな矩形平板状の基板2aを備え、該基板2aの上面の略中央に把手部2bを備え、下面に柔軟性を有した多孔質部材2c、つまり、スポンジを貼設したもので、被塗装物の塗装部位Aの面積に合わせて複数のサイズを揃えているものである。
【0014】
更に、無養生塗装用ブラシ1の多数の毛束1bに塗料を含ませるステップでは、無養生塗装用ブラシ1のブラシ基板1cの上面に備えた把手部1aを片手で把持して、ブラシ基板1cの下面に植設した多数の毛束1bに塗料を含ませるものである。
【0015】
更には、任意巾を塗装するステップでは、多数の毛束1bに塗料を含ませ無養生塗装用ブラシ1のブラシ基板1cの一辺の鋭利な先端辺1dを壁等の被塗装物の塗装部位Aと壁等に埋め込まれたコンセント等の非塗装部位Bとの境界線に沿って当接して、非塗装部位Bから外方向に向かって、つまり、塗装部位Aの中方向に向けて任意巾を塗装するものである。
【0016】
次に、塗料を塗布するステップでは、任意巾を塗装した塗装部位の中方向に汎用のブラシ付きポンプ圧送塗装機で塗装を実施するもので、この場合、塗料がむらに成っていても構わないものである。
【0017】
次いで、大判塗装用ブラシ2でむら無く引き延ばすステップでは、ブラシ付きポンプ圧送塗装機で塗布した塗料を比較的大きい大判塗装用ブラシ2で引き延ばすものである。
【0018】
つまり、上述の無養生塗装方法によると、非塗装部位Bにマスキングをするステップを含まないものであり、マスキングをしなくとも非塗装部位Bに塗料を付着させることなく、塗装部位Aと非塗装部位Bとの境界線から塗装部位Aの中方向にかけて均一に塗装できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の無養生塗装方法は、上面の略中央に把手部を備え下面に多数の毛束を植設した矩形平板状のブラシ基板の一辺の先端辺を鋭利で下方に湾曲する断面嘴状のアール形状とした無養生塗装用ブラシと、ブラシ付きポンプ圧送塗装機と、基板の上面の略中央に把手部を備え下面に柔軟性を有した多孔質部材を貼設した矩形平板状の大判塗装用ブラシとを用いて、無養生塗装用ブラシの多数の毛束に塗料を含ませるステップと、被塗装物の塗装部位と非塗装部位との境界線に沿ってブラシ基板の一辺の鋭利な先端辺を当接して非塗装部位の外方向に向けて任意巾を塗装するステップと、任意巾を塗装した塗装部位の中方向にブラシ付きポンプ圧送塗装機で塗料を塗布するステップと、ブラシ付きポンプ圧送塗装機で塗布した塗料を大判塗装用ブラシでむら無く引き延ばすステップと、を含み、非塗装部位にマスキングをするステップを含まないものであり、塗装部位の全面をむら無く塗装することができると共に、マスキング作業に費やす時間と手間暇と破棄するマスキングテープ等を無くする無養生塗装方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は本発明の無養生塗装方法の実施に用いる無養生塗装用ブラシの実施例の側面図である。
【図2】図2は本発明の無養生塗装方法の実施に用いる無養生塗装用ブラシの実施例の平面図である。
【図3】図3は本発明の無養生塗装方法の実施に用いる大判塗装用ブラシの実施例の側面図である。
【図4】図4は本発明の無養生塗装方法の実施の形態を説明するための説明図である。
【図5】図5は従来の塗装ブラシの側面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 無養生塗装用ブラシ
1a 把手部
1b 毛束
1c ブラシ基板
1d 先端辺
2 大判塗装用ブラシ
2a 基板
2b 把手部
2c 多孔質部材
2d ホース
A 塗装部位
B 非塗装部位



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面の略中央に把手部を備え下面に多数の毛束を植設した矩形平板状のブラシ基板の一辺の先端辺を鋭利で下方に湾曲する断面嘴状のアール形状とした無養生塗装用ブラシと、ブラシ付きポンプ圧送塗装機と、基板の上面の略中央に把手部を備え下面に柔軟性を有した多孔質部材を貼設した矩形平板状の大判塗装用ブラシとを用いて、前記無養生塗装用ブラシの多数の毛束に塗料を含ませるステップと、被塗装物の塗装部位と非塗装部位との境界線に沿って前記ブラシ基板の一辺の鋭利な先端辺を当接して非塗装部位から外方向に向けて任意巾を塗装するステップと、前記任意巾を塗装した塗装部位の中方向に前記ブラシ付きポンプ圧送塗装機で塗料を塗布するステップと、前記ブラシ付きポンプ圧送塗装機で塗布した塗料を前記大判塗装用ブラシでむら無く引き延ばすステップと、を含み、非塗装部位にマスキングをするステップを含まないことを特徴とする無養生塗装方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−11353(P2012−11353A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152152(P2010−152152)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(505307002)株式会社壁紙革命 (3)
【Fターム(参考)】