説明

焼付け装置、焼付け方法及びコンピュータプログラム

【課題】湿式化学処理を用いずに焼付け像を迅速に生成し焼付け媒体の浪費を最小とする焼付け方法と装置を提供する。
【解決手段】像焼付け装置は、顧客の注文を分析し、像の焼付け順序を決定し、焼付け媒体が高度の焼付け生産性を有し媒体の浪費を少なくするようにさせる、デジタル像を焼付けるためのソフトウェアプログラムを有している。本発明はまた小さな床のスペースを占める化学的でない焼付け装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は像を再生する装置に関し、さらに詳細には焼付けする時間と焼付け材料の浪費とを最小とするよう像を焼付けるコンパクトな像再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル写真撮影は急速に一般化しており、もとの像がデジタルカメラと、普通のカメラ及び後で処理されデジタル走査されるフィルムとによって捕えられるようにする。写真製造者は未処理のフィルム、処理ずみのフィルム、又は種々のデジタルファイル入力からデジタルプリントされた像をつくり出すようになっている現像焼付け装置を導入している。実例はコニカからのQD−21小写真処理装置(ミニラブ)、富士写真フィルムからのフロンティア(登録商標)デジタルラブシステム、及びノーリツコーキからのオーエスエス(登録商標)−2711である。しかし、これら全ての装置は銀ハロゲン写真紙の上に焼付けを行い、またこれら装置はそのためカラープラントをつくり出すために湿式の化学的処理を必要とする。処理されたフィルム又はデジタルファイルを入力として用い銀ハロゲン紙とそれに伴う湿式処理を必要としないで写真の良質な焼付けを生み出す他の装置が知られている。例えば、コダックピクチャメーカーは熱染料転写プリントをつくり出し、またキャノンハイパーフォトはインクジェットプリントをつくり出す。これら装置は共に選択された像から少数の焼き増しと拡大とを行う顧客には適しているが、標準の多数の像の顧客の注文を処理するには遅すぎる。キャノンハイパーフォトはさらにその大きな占有面積のため不利となる。したがって湿潤紙処理を必要としないで高品質のプリントを迅速に行うことのできるコンパクトな像再生装置が必要である。
【0003】
1996年10月15日に発行されたナルドーン他の米国特許第5,565,902号(アトランテック)は連続するロール媒体上に焼付け個々の印画に切断するよう構成されまた媒体の浪費を最小とする熱染料転写焼付け器を記載している。この発明の焼付け器は多数の像の顧客の注文を迅速に満足させるのに必要とされる焼付け速度を得ることはできない。
【0004】
1998年6月16日に発行されたイ.エー.エスタブロックスの米国特許第5,768,675号(インターメック)は低い材料浪費で切符、ラベル等を焼付けする、即時応動の狹小ウェブ電子写真焼付け器を記載している。この発明は切符やラベルの間けつ的な即時応動焼付けを中心とするものであり、そのため一人又は複数の顧客に関連する複数の像を迅速に焼付けることについての要求を認識し又は意図するものではない。
【0005】
1996年11月12日発行のアール.グレンダの米国特許第5,574,831号は概して一列の低速焼付け器を用いる高速焼付けを記載しておりそして特に多数の焼付け器に分配された単一の仕事のページ(単位情報)を照合する種々の手段を記載している。これに関し、個々のページ(単位情報)の焼付けは交互に配列されそのためこれらのページは正しい順序で照合器に到着するようになる。各像は1つのページに生成され、異なった寸法の像を焼付けする時に浪費もしくは錯綜を生じ又はその両方を生じることになる。また、実際には、多数の焼付け器を較正し均一で正確な色の平衡と色調度とを生み出すことは非常に困難である。したがって、このような装置によりつくり出された顧客の印画の色の特性は変わりやすくまた問題を生じるものとなる。
【0006】
焼付け解像力を増すことのできる焼付け器が2000年7月18日に発行された米国特許第6,089,696号に記載されている。1つの実施態様では焼付け器が連続したロールの一部を残している媒体の一部の上に焼付ける。この方法は新しく焼付けられた像を不鮮明にし又は焼付け後巻き上げるにつれて像によって接触された媒体の裏側にインクが転写されるという潜在的な欠点を有している。
【0007】
1996年11月19日に発行されたジェー.シー.デマルチ.ジル他の米国特許第5,576,794号(イーストマンコダック)はフィルムのロールが一括して現像され異なった群で焼付けられる現像焼付け方法を記載している。与えられたフィルムのロールに対して、像が捕捉順に焼付けされる。この例は異なる寸法を有する個々の像の集積の低浪費焼付けに関連する問題を認識しこの問題を単独で解決することはできない。
【0008】
低浪費で高品質の写真像を迅速につくり出すことのできる乾式又は外見上乾式のデジタル焼付け器を有する小型の像再生装置の必要性が依然として残されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は銀ハロゲン焼付け媒体に関連する湿式化学処理を用いないで焼付け像を迅速につくり出すことである。
【0010】
本発明の他の目的は焼付け媒体の浪費を最小として焼付け像を生み出すことである。
【0011】
本発明のまた他の目的は顧客の注文の複数の焼付け像をつくり出すのに必要とされる時間を最小にすることである。
【0012】
本発明のさらに他の目的は多くの懸案の顧客の注文を最小時間で完了することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つの形態によれば、複数の像を供給ロール上の得られた所定幅の媒体に焼付けする装置が提供され、この装置は、第1の方向の最大の所定長さを有する所定の直線経路に沿って動くことのできる走査焼付けヘッドと、媒体を前記直線経路に実質的に平行な移送経路に沿って移動させ像を走査焼付けヘッドにより供給ロールが繰出される媒体に焼付けできるようにする移送機構と、複数のデジタル像を焼付けされる像の大きさ及び形状の少なくとも一方に関して分析しまたデジタル像を焼付け順序と供給ロールから焼付けのために繰出される媒体の長さを決定する型(判)とに編成し、媒体の効率的な使用と焼付け時間の効率的な利用とができるようにするコンピュータ、とを具備している。
【0014】
本発明の他の形態によれば、複数のデジタル像を可変の計算された長さを有する媒体の一部に焼付けする装置が提供され、該装置は、デジタル像をプリントゲートにおいて焼付けする焼付け器と、媒体の一部をプリントゲートを通って可変の計算された長さだけ移動させ、焼付けヘッドが像を媒体の一部に焼付けできるようにする移送機構と、顧客の像の注文を分析しまた複数の像を像の少なくとも1つの群を規定する焼付け順序に編成し、可変の計算された長さの媒体の一部の上に配置しかつ顧客の像の注文の像の数、プラテンの最大長さ、及び焼付けされる像の大きさを考慮して可変の計算された長さを決定するコンピュータ、とを具備している。
【0015】
本発明のさらに他の形態によれば、複数の像を可変の計算された長さの1枚の媒体を用いて焼付けする方法が提供され、該方法は、(a)各像が関連した焼付けサイズを有する複数のデジタル像を有している顧客の像の注文を得る段階と、(b)顧客の像の注文を分析しまた複数の像を像の少なくとも1つの群を規定する焼付け順序に編成し、可変の計算された長さの媒体の一部の上に配置しかつ顧客の像の注文の像の数とプラテンの最大の長さと焼付けられる像の大きさとを考慮して可変の計算された長さを決定する段階、とからなっている。
【0016】
本発明の他の形態において、媒体の一部を用いて複数の像を焼付けする方法が提供され、該方法は、(a)各デジタル像が関連した焼付けの大きさを有する複数のデジタル像をそれぞれが有している、第1の顧客の像の注文と第2の顧客の像の注文とを得る段階と、(b)前記像を所定の大きさに関して分析し、焼付けの順序とデジタル像の焼付け用の切断された媒体の一部を効率的に使用する型(判)とを決定する段階、とからなっている。
【0017】
本発明のさらに他の形態によれば、コンピュータに装填された時にコンピュータが以下の段階の作動をするようになるコンピュータプログラムを有するコンピュータで読取り可能な貯蔵媒体を具備するコンピュータプログラム製品が提供される。(a)各デジタル像が選択された焼付けサイズを有する複数のデジタル像を有している顧客の像の注文を得る段階と、(b)選択された焼付けサイズを所定のサイズに関して分析して焼付け順序と媒体の一部上の型とを決定する段階。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の上記のまた他の目的と利点と新規な特徴とは以下の図面と関連して考察した時次の詳細な記載からさらに明らかとなるであろう。
【図1】本発明により構成された現像焼付け装置のブロックダイヤグラムである。
【図2】図1の装置の焼付け器の一実施態様の頂面図である。
【図3】図2の装置に対する顧客の注文に関する第1の段階のアルゴリズム(演算規則)を示す図である。
【図4】図2の装置に対する図3の同じ顧客の注文に関する第2の段階のアルゴリズムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の以下の好ましい実施態様の詳細な記載において、添付図面が参照される。
【0020】
この記載は特に本発明の装置の一部を形成する要素に向けられ又は本発明装置とさらに直接共働してなされるものである。詳細には図示又は記載されない要素は当業者にとって周知の種々の形式とすることのできることが理解される。
【0021】
図1は本発明により構成された現像焼付け装置のブロックダイヤグラムを示す。図示の特定の実施態様において、装置10はフィルム処理装置12、走査器14、像データ処理装置16、焼付け器18、焼付け後処置処理装置20、及び印画区分け装置22を含んでなる。1つの装置における特徴のこの組合せはミニラブと称されることが多い。フィルム処理装置12は顧客の注文した写真フィルムのロールのような露出された現像されていない感光媒体を現像された感光媒体に処理する。図示の実施態様の感光媒体は感光フィルム(図示しない)である。しかし、感光媒体は任意の所望の型式とすることのできることが理解されるべきである。走査器14はフィルム上の現像された像を走査しまた像のデジタルデータを像データ処理装置16に送り像を予めプログラムされたように又は指示されたように操作する。図示の特定の実施態様では走査器14はフィルムから像を数字化する複数の線型CCD(荷電結合素子)を具備している。走査器14は像のデジタルデータを得るため任意の適当な型のセンサーを具備してもよいことが理解されるべきである。像データ処理装置16は数字化された像上でデジタル像処理を行いそしてこれらの像を焼付けのために用意する。焼付け器18は像を媒体上に焼付け個々の印画を形成する。図示された実施態様では焼付け器18はインク噴射焼付け器である。焼付け後処置処理装置20は切断、耐久性付与、乾燥又はバックプリントのような焼付けに続く任意の作用を行う。印画区分け装置22は印画を区分けし顧客に送り返すのを容易にする。
【0022】
図2を参照すると図1の装置のインク噴射焼付け器18が示されている。以下はインク噴射焼付け器18の詳細な作用である。最初に生じる作用は媒体の一部26をプラテン28の上に置くことである。媒体供給ロール30が媒体部分26をX−X軸(ここでは迅速走査軸線と定義される)に沿って供給する。媒体部分26は媒体供給移送機構32により供給ロール30を出てプラテン28上で計算される。図示の実施態様では移送機構32はその一方が駆動ローラである一対のピンチローラ31,33を具備している。媒体は媒体をピンチローラ31,33の間に供給することにより駆動される。移送機構は媒体を移送することのできる任意の他の型の機構を具備してもよいことが理解されるべきである。プラテン28は長さLMを有する媒体部分26を受取るため最大の所定長さLを有している。媒体部分26はプラテン28の幾何学形状によって画定される最大長さLまで任意の所望の長さLMに計量される。したがって、媒体部分26の長さLMはこの部分に対して焼付けられる像にとって必要とされる実際の長さに対応するよう変えることができる。好ましくは、焼付け器18は典型的には約3フィート(91.5cm)に等しいか又はこれ以下の比較的小さな空間を占める長さを有するように設計されている。したがって、プラテン28にとって利用可能な長さLは制限される。
【0023】
インク噴射焼付け器18はここで、一連の機構の運動で行われる焼付け作用を行うために準備される。最初に、焼付けヘッド高速軸線移送機構36によって高速軸線X−Xに沿い往復動するよう動かすことのできる走査焼付けヘッド34が用意される。好ましくはこの焼付けヘッド34は高速走査軸線X−Xに沿って一定距離移動しそれにより焼付けヘッドがプラテン28によって与えられた全長Lに沿って書き込み全長に沿った像データの1つの線を形成することができるようにする。プラテン28の1回の横行に対するこの運動の回転(一定速度)部分の間、焼付けヘッド34は電子的に作動されインクの滴をプラテン28上に位置する媒体26の上に噴射する。高速走査軸線X−Xに沿った焼付けヘッド34によるプラテン28の1回の横行が完了すると、焼付けヘッド34は高速軸線X−Xに直角でプラテン28の頂面に隣接する1つの平面内にある低速軸線Y−Yに沿って動くことができる。この運動は低速軸線焼付けヘッド移送機構38によって生じる割出し型の運動である。この割出し運動が完了すると、焼付けヘッド34はもう1つの高速軸線運動をすることができプラテン28を像のもう1つの線の焼付けが媒体部分26上で再び生じる間に横行させる。これらの高速走査運動と割出し運動とを交互に続けることにより、プラテン28上に位置している媒体26上に一連の焼付けられた像が得られる。
【0024】
焼付け作用の完了に続いて、供給カッター48が用いられ媒体部分26をプラテン28上に媒体部分26を残している供給ロール30から切り離す。供給ロールから分離されると、プラテン28上の媒体部分26はここで部分(シート)44と称される。この切断部分44は焼付け後処理移送機構46により焼付け後処置処理装置20に移送される。任意の焼付け後処理に続いて、最後の切断がカッター48により切断部分44上で行われそして得られた印画50は印画区分け装置22を通りトレイ52に向って送られる。
【0025】
上記の場合は焼付けヘッド34を移動させることにより低速軸線Y−Yの割出しを行ったことが注目されるべきである。しかし、これに代え、供給ロールからの媒体部分44の切断が焼付けの前に行われてもよい。この場合、媒体部分44とプラテン28はプラテン低速軸線移送機構を用いて焼付けヘッド34に対して動かされる。
【0026】
現像焼付け装置10を図2に記載された構造のように構成することの主なる利点のあるものは、媒体部分26の焼付けと焼付け後処置処理装置20とが同時に作用しそれにより現像焼付け装置の処理能力が向上することである。好ましくは焼付け後処置処理装置20を基本的なインク噴射焼付け器18に対してモジュール式とし、焼付け後処置処理装置20の清掃と保守を容易にする。また上記の媒体供給移送機構の使用により、インク噴射焼付け器18はこの焼付け器18の一部であるコンピュータ24によって処理されている像に必要とされる焼付け部分の長さだけを用いることで足りるものとなる。これは媒体の浪費を最小にする。
【0027】
ここに述べられた装置10の向上した生産性は、現像焼付け装置を基礎とする(すなわち一連の顧客の注文にわたって評価された)又は一人の顧客の注文を基礎とする全体の生産性から評価することができる。これらの性能特性をさらに向上させるため、インク噴射焼付け器18の内部のコンピュータ24(図1参照)はコンピュータ演算規則を用い像データ処理装置16によって処理されている顧客の注文を分析する。この演算規則は媒体部分26に焼付けられる像の寸法を分析しそして焼付けた像40の分配又は焼付け群への“配列”を行い像を1つ又は複数の媒体部分26に焼付ける。
【0028】
配列演算規則は多くの形式で得ることができる。このほかに、好ましい実施態様では配列演算規則はタイリングルック−アップ−テーブル(LUT)〔配列参照用テーブル〕を用いる。この配列LUTは特定のインク噴射焼付け器18によって調整することのできる有限数の焼付け像40の配列組合せが存在する時にのみ最良に使用される概念を用いる。これら配列の組合せの決定における大きな要素は用いられる高速走査軸線X−Xに沿った焼付け長さ能力の長さLの最大量である。切断される隣接焼付け部と前縁及び後縁の廃棄部分との間の空間のような高速軸線に沿って生じる廃棄材料のための余地がなくてはならないため長さLは利用できる長さLを表わすものでないことを認識されたい。配列の組合せを決定するもう1つの大きな要素はインク噴射焼付け器18の規定された焼付け型(判)の融通性である。例えば、インク噴射焼付け器18が「アドバンスドフォトシステム(APS)」と4R判の標準35mm印画のみを生み出すと仮定する。これは4インチ×6インチ(クラシック、10.16cm×15.24cm)、4インチ×7インチ(HDTV;10.16cm×17.78cm)及び4インチ×11インチ(パノラミック;10.16cm×27.94cm)の判の印画だけが生み出されることを意味する。ここで媒体部分26上に像を焼付けする最大の長さLMが供給ロール30にとって24インチ(60.96cm)であると仮定する。これら2つの仮定を用いると、24インチ(60.96cm)以内に適合できる全ての可能な「タイリング(配列)」群のリスト(一覧表)を作ることができ。この例の場合にこのようにすることにより、表1に掲載された組合せが得られる。
【0029】
【表1】

【0030】
表1は24インチ(60.96cm)の焼付け長さLに適合できる任意の可能なケースを挙げていることに注目されたい。この表が表わしているのはこの例の場合のタイリング(配列)LUTである。この配列LUTの使用は全体の配列演算規則の構成に依存する。配列演算規則は好ましくは次の要素を考慮する。すなわち異なる顧客の注文からの像がその焼付け順序に差し込まれ、一人の顧客の注文の中の焼付け順序が変えられ、異なる顧客の注文が媒体の一部分を占めることができるようにする。
【0031】
これらの焼付け方式を表の形式にすることにより表2に示される少なくとも8つの可能な形式が得られる。表2を参照することにより分かるように、最初の5つの形式だけが任意の論理的な使用を有している。例えば、表2の焼付け形式#6においては大概の状態にとって異なる顧客の注文からの像をその焼付け順序に差し込むことは論理的ではなく、しかも異なる顧客の注文が同じ焼付け部分を占めることを阻止する。
【0032】
【表2】

【0033】
表2と図3に示される最初の5つの焼付け群が参照される。配列演算規則#1はファースト−イン−ファースト−アウト(FIFO)工程で作用する演算規則である。コンピュータ24は1つの媒体部分44に焼付けできる像の最大数と必要とされる媒体部分44の最小数とを決定し、また供給ロール30からの媒体の供給を制御し浪費を最小とする。
【0034】
配列演算規則#2もまたFIFOに基づいて作用するか、2つの異なる顧客の注文が1つの媒体部分を占めることができるようにする。これはより高い生産性を生じまた前縁と後縁を有する焼付けされた媒体部分の数を減少することにより浪費を少なくする。
【0035】
配列演算規則#3は顧客の注文の像が捕捉され及び/又は得られた順序とは異なった順序で焼付けできるようにする。これは配列LUTを用いることにより達成される。特定の顧客の注文の像が基礎の焼付け判から分析される。配列LUTが用いられこれら像の配列を与えられた媒体部分の長さで最大にする。像の印画は戻され印画区分け装置22を用いることにより順序を捕捉することができる。
【0036】
配列演算規則#4は異なる顧客の注文を同じ媒体部分に焼付けできるようにしまた焼付け順序を顧客の注文内で変えることができるようにする。これらの自由度のため全ての顧客の注文にわたって評価されるさらに高い生産性がもたらされる。
【0037】
最後に、配列演算規則#5は3つの度合の自由度が生産性を最大にする手段となるようにし、すなわち異なる顧客の注文が焼付け媒体部分26を占めることができ、焼付け順序が顧客の注文内で変えることができ、焼付け順序がまた異なる顧客の注文から像の焼付けを介在させることができる。これは最大の焼付け媒体部分の長さが使用される可能性を高めることにより生産性を向上させる。演算規則#3と#4におけるように、印画区分け装置22は顧客の注文により印画を区分けし顧客の注文の順序を捕捉するために用いることができる。
【0038】
5つの群の全てが要求された数の像を媒体部分26に焼付けるのに必要な大きさの媒体を計量することとだけで浪費を最小にすることが注目されるべきである。でき得れば、最大の長さの媒体部分26と最小の長さの媒体部分26とが各顧客の注文に応じて用いられ焼付け器18を最も効率的に用いるようにする。
【0039】
実際には、装置10の操作者は操作の簡単、生産性の要求、及び主要な装置の経費などを考慮して図示のような又は現像されるのに用いるプログラムされた演算規則の1つを選択する。この5つの演算規則は広範囲の焼付け順序を提供する。焼付け順序#1は最も簡単で最小の集約的選択とを表わしているが、比較的低い生産性をもたらす。これに対し焼付け順序#5は最高の生産性と最小の浪費とを可能にするが、焼付け器18と区分け装置22に高度の要求を課す。
【0040】
図3を参照すると、26インチ(66.04cm)の最大長さを有する媒体部分44上に焼付けする配列演算規則#1を用いた1つの顧客の注文に対する焼付け順序が示されている。特にこの顧客の注文は焼付けされる15個の像、クラシックサイズを有する6個の像、HDTVサイズを有する5個の像、及びパノラミックサイズを有する4個の像を含んでいる。図に見られるように6個の媒体部分44a,44b,44c,44d,44e及び44fは全部の顧客の注文を焼付けるのに必要である。長さLは焼付けに要する媒体の実際の量を表わす。距離Da,Db,Dc,Dd,De及びDfは一定長さの1枚の媒体を計量しないで媒体部分44a〜44fの各々にとって節約される媒体の量を表わす。
【0041】
図4を参照すると図3に関して述べられた同じ顧客の注文に対する焼付け順序が示されている。しかし、この実施態様では配列演算規則#5が用いられた。この結果、5つの焼付け媒体部分44a,44b,44c,44d及び44eだけがこの顧客の全部の注文を焼付けるのに必要となる。ここでもまた、距離Da,Db,Dc,Dd及びDeは一定長さの1枚の媒体を計量しないことにより媒体部分44a〜44eの各々の節約される媒体の量を表わす。図で分かるように特定の顧客の注文のための配列演算規則#5の利用は配列演算規則#1を利用するよりも少ない媒体部分を用いる。
【0042】
各像を焼付けるのに好適な型(判)は種々の供給源からの情報を用いて決定される。例えば、情報は焼付けサイズを指示する顧客との直接の相互作用、各像のコピーの数などから得られる。本発明装置にデジタル形式で与えられる像は好ましい判、焼付けサイズ、及びデジタル像が供給される重複の情報によって随伴される。露出され処理された写真フィルムに対して、印画の判はネガフィルム上の露出されたフレームの寸法の簡単な光学的分析によって決定することができる。本発明装置はまたフィルム上の符号化された印画判情報を磁気的又は光学的に利用することができる。磁気的に符号化された焼付け判情報を有するフィルムの場合は、この情報が迅速に読取られまたマイクロコンピュータにより分析され、像焼付け順序の分析がフィルムの高い解像力の走査をする前に開始できるようにする。
【0043】
焼付け器18は1つの幅より多い媒体と焼付けのために係合される媒体ロールを自動的に変える手段とを含むことができる。この自動ロール変換手段はまた1つのロールが消費された時に同じ幅のロールを交換するのに用いることができる。
【0044】
本発明の好ましい形式においては、媒体が所望の長さに切断され媒体の浪費を最小とすることのできる連続したロール上で供給される。しかし、本発明はまた媒体が所定の長さのシート形式に切断されて供給される焼付け器にも利点をもたらすことができる。像の焼付けの注文を分析することにより、像の焼付け順序が調節され切断されたシートの所定の長さと装置の操作者によって設定された他のパラメータとに最も良く適合するようにすることもできる。図3と4を参照すると、演算規則#1を用いることから演算規則#5を用いることにわたって媒体の浪費を少なくすることが示されており、媒体部分45の各々は増分の距離を表わしている。図示の実施態様では媒体部分45は1インチ(2.54cm)の距離を表わす。さらに所望のように、焼付けヘッドが動く走行長さは調節することができ像が焼付けされる媒体の面積に一致するようにし、そのためさらに焼付けヘッドの走行時間は最小となり、それにより焼付けの速度を向上させることができる。
【0045】
焼付けされたウェブ又はシートから縁をつけた又は縁のない印画を切断する公知の技術を用いることが意図される。例えば、1974年8月27日に発行されたエル.エム.ライト他の米国特許第3,831,478号は縁をつけた又は縁のない印画を生み出すことのできる切断機構を記載している。これに代え、縁のない印画は1974年4月30日に発行されたピー.ピー.ザ ジャックの米国特許第3,807,855号に開示された方法を用いてウェブから分離することができ、この方法では隣り合う印画の間の境界は印画を分離する前に印がつけられる。個々の印画は1996年3月27日発行のビー.エー.フィリップス他のヨーロッパ特許出願第703,497A1号に記載されているような方法を用いて多数像のシートから分離される。
【0046】
像がもともと捕えられ及び/又は設けられていた順序とは異なる順序に焼付けされる場合に対しては順序仕上げ部署が焼付けられた像をもとの順序に配置するための印画区分け装置22を含むことができる。印画区分け装置22はまた、各印画の裏面に注文番号と像番号を焼付ける裏面焼付け器と、各印画の裏面の注文番号と像番号を読取る読取り装置と、印画を像番号により順序づけられた各群を有する注文番号の群に区分けする群区分け装置とを含むことができる。このような区分け装置は、1978年2月3日に発行されたジエンセン他(パコ)の米国特許第4,114,349号と1998年2月3日に発行されたヤモマト(ノーリツ)の米国特許第5,715,034号との技術を用いて像の焼付けを記録することができるようにし、これら特許は注文を分離する問題と見出し焼付けを各注文に結合する問題とを総合的に扱っている。注文仕上げ部署は、注文の被覆、処理されたフィルム、印画、見出し焼付け、及びデジタル像情報を有する媒体を含む顧客の注文の様々な部分を自動的に照合する公知の技術を用いることができる。
【0047】
図示の特定の実施態様では、媒体部分44に焼付けられた像は全て実質的に矩形の形状の像を有している。像が他の形状及び/又は構造を取ることのできることが意図される。例えば像は楕円、円、三角形、又は任意の他の所望の形状とすることができる。これらの場合、像は任意の所望の向きに位置しそれにより媒体を最良に利用し及び/又は焼付け器18の焼付け効率を向上させるようにする。
【0048】
本発明の装置は任意に典型的にはミニラブと称されるフィルム処理装置をその一部として含むことができる。このフィルム処理装置はカラーネガフィルムのための公知のC−41処理を行い又は所望の感光材料を処理するための他の化学薬品を処理するように構成することができる。フィルム処理装置はこれに代えて1998年5月12日に発行されたイシカワの米国特許第5,752,122号に記載されているような迅速処理サイクルを用いてもよいことが特に意図される。ロールのフィルムを処理し乾燥するのに必要な全時間を好ましくは3分より少なく、さらに好ましくは2分より少なく、最も好ましくは1分よりも少ない。
【0049】
本発明の現像焼付け装置と方法は1998年10月9日出願のキャプルソの普通に譲渡された日本特許出願平成10年第287527号に記載されているような区画なしインク噴射焼付けの公知の方法と組合わせてもよい。
【0050】
本発明に用いられるインク噴射焼付け装置は耐久性があり浪費のない焼付けの任意の様々な手段を用いることができる。像は透明なプラスチック材料を積層することができる。印画は1994年12月27日に発行されたティー.オガワ他(コニカ)の米国特許第5,376,434号に記載されているような、後で硬化する流体層の焼付けに対する事前又は事後の焼付け剤発射により保護される。焼付け器は、エム.ヒグマ(キャノン)の1988年11月15日発行の米国特許第4,785,313号、ピー.シー.ウォルクリ(セルファ)の1994年12月20日発行の米国特許第5,374,475号、及びケー.ミスダ他の1998年8月19日発行のヨーロッパ特許出願0858905A1号と1998年8月19日発行の同0858906A1号に記載されているように、可溶性の最上層を有する熱溶性のインク噴射媒体を用いることができる。印画は、ボハン他(イーストマン コダック)の1998年9月8日発行の米国特許第5,804,341号に記載されているように、透明なトナーの塗布と溶解によって保護される。印画の保護はまた、タット他(イーストマン コダック)の1998年12月8日発行の米国特許第5,847,738号に記載されているように、透明層の熱昇華転写によって達成することができる。
【0051】
本発明はデジタルインク噴射焼付け器を参照して記載されてきたが、本発明は任意の型の走査デジタル焼付け器に組込むことができる。
【符号の説明】
【0052】
10 現像焼付け装置
12 フィルム処理装置
14 走査器
16 像データ処理装置
18 インク噴射焼付け器
20 焼付け後処置処理装置
22 印画区分け装置
24 コンピュータ
26 媒体部分
28 プラテン
30 供給ロール
31 ピンチローラ
32 媒体供給移送機構
33 ピンチローラ
34 焼付けヘッド
38 移送機構
40 像
44a〜44f 媒体部分(シート)
45 媒体部分
46 焼付け後処理移送機構
48 供給カッター
50 印画
52 トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の像の注文による複数の個々の像を媒体上に焼付けする装置であって、
最大の所定の長さを有するプラテンと、
可変の計算された長さの媒体部分を前記プラテンに供給する機構と、
前記媒体に対して動くことができ前記像を前記媒体部分に焼付け前記像の個々の印画を形成し、また最大の所定の書込み長さを有している走査焼付け機構と、
前記顧客の像の注文を分析しまた前記複数の像を少なくとも1つの像の群を規定する焼付け順序に編成し可変の計算された長さの前記媒体部分上に配置し前記顧客の像の注文における像の数、前記プラテンの最大の長さ、及び焼付けされる像の大きさを考慮して前記可変の計算された長さを決定する、コンピュータと
を具備している焼付け装置。
【請求項2】
複数のデジタル像を可変の計算された長さを有する媒体部分に焼付ける装置であって、
デジタル像を焼付けゲートで焼付ける焼付け器と、
前記媒体部分を可変の計算された長さだけ前記焼付けゲートを通って動かし焼付けヘッドが像を前記媒体部分に焼付けできるようにする移送機構と、
前記顧客の像の注文を分析しまた前記複数の像を少なくとも1つの像の群を規定する焼付け順序に編成し、可変の計算された長さの前記媒体部分の上に配置しまた前記顧客の像の注文の像の数、プラテンの最大長さ及び焼付けられる像の大きさを考慮して前記可変の計算された長さを決定するコンピュータと
を具備している焼付け装置。
【請求項3】
複数の像を可変の計算された長さの媒体のシートを用いて焼付ける方法であって、
(a)それぞれが関連した焼付けサイズを持った複数のデジタル像を有する顧客の像の注文を得る段階と、
(b)前記顧客の像の注文を分析し前記複数の像を少なくとも1つの像の群を規定する焼付け順序に編成し、可変の計算された長さの前記媒体部分の上に配置し、前記顧客の像の注文の像の数、プラテンの最大長さ、及び焼付けされる像の大きさを考慮して前記可変の計算された長さを決定する段階と
からなる像の焼付け方法。
【請求項4】
複数の像を媒体部分を用いて焼付け方法であって、
(a)各々の像が関連した焼付けサイズを有する複数のデジタル像をそれぞれが有する第1の顧客の像の注文と第2の顧客の像の注文とを得る段階と、
(b)前記像を所定の大きさに関して分析し焼付け順序と焼付け判とを決定し前記デジタル像の焼付けのための前記媒体部分を効率的に使用する段階と
からなる複数の像の焼付け方法。
【請求項5】
コンピュータプログラムを有するコンピュータで読取り可能な貯蔵媒体を具備しているコンピュータプログラム製品であって、コンピュータプログラムがコンピュータに装填された時にコンピュータに、
(a)各々が選択された焼付けサイズを有する複数のデジタル像を有している顧客の像の注文を得る段階と、
(b)前記像の前記選択された焼付けサイズを所定のサイズに関して分析し媒体部分上の焼付け順序と焼付け判とを決定する段階
の作動を行わせるようにしているプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−128439(P2012−128439A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−21493(P2012−21493)
【出願日】平成24年2月3日(2012.2.3)
【分割の表示】特願2000−382538(P2000−382538)の分割
【原出願日】平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】