説明

焼結体および樹脂粒子の製造方法

【課題】不純物の溶出を伴うことなく、高い透水、透気量で液体、気体中の微量成分を吸着、濃縮、分離、除去することができる吸着体を提供する。
【解決手段】イオン交換基、キレート基及び群特異性アフィニティ吸着基よりなる群から選択される少なくとも一種の官能基がその表面に結合された焼結体の製造方法において、ポリオレフィン樹脂粒子焼結体表面にグラフト重合鎖からなる架橋体層を形成し、次いで前記官能基を該グラフト重合鎖に結合させることを包含する、焼結体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水、各種水溶液、又は有機溶媒等の液体の処理において、あるいは、気体混合物の処理において、液体あるいは気体中に含まれる不純物等を吸着、濃縮、分離、除去に用いることのできる吸着体を提供することを目的とする。
特に、超純水製造プロセスにおいて、微粒子、コロイド状物質、金属イオンを極低濃度まで吸着除去する必要のあるプロセスに用いることの出来る多孔性の吸着体を提供することを目的としている。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への影響を軽減する目的で、種々廃棄物の発生を極力抑えたプロセスへの転換が始まっていることや、不純物の除去への関心の高まりから、液体・気体中の微量物質を吸着、濃縮、分離除去可能なメディアへの要求が強まっている。
例えば、従来水処理プロセスにおいて、水中のイオンの除去には、主にイオン交換樹脂が使われている。従来のイオン交換樹脂は一般的に粒径が300μm〜1200μmに分布しており、このような樹脂を樹脂搭に詰めて被処理水を通水した場合、樹脂間の隙間(通水流路)が大きいため被処理水中のイオン類の樹脂表面への接触確率が小さくなり、特に超純水のようにイオン濃度の低い水でのイオン除去効果が著しく悪い結果となっていた。また、半導体産業をはじめとする超純水を使用する分野では、イオン交換樹脂の重合時に樹脂内部に取り込まれた有機系の不純物(超純水の場合はTOCとして検出される)が長時間に渡って溶出し、むしろ処理水に不純物をもたらすという問題を有している。
【0003】
焼結体を吸着、除去、分離用のメディアとして応用する試みとしては、特許文献1、特許文献2等がある。
特許文献1特開昭51−23492号公報にはシリカゲル、アルミナ等の吸着剤をポリオレフィン等樹脂粉末と混合してスラリー化し、支持体上に展着させて、加熱して焼結体とする技術が開示されている。しかし、シリカゲル、アルミナ等の無機吸着体が、それら同士の接触部分においては接着できず、また熱可塑性樹脂粉末との接着力も小さいため吸着体粒子の脱落が生じ、とても実用に耐えるものでなかった。
【0004】
特許文献1及び特許文献2には、イオン交換樹脂を熱可塑性樹脂粒子と混合し焼結して用いる技術が開示されているが、イオン交換樹脂が用いられているので、TOC等の溶出による不純物の混入という本質的な問題を解決できていなかった。
特許文献3には、ポリオレフィン系樹脂からなる焼結多孔体を発煙硫酸等のスルホン化剤によりスルホン化し親水性を付与する方法が提案されている。しかし焼結体樹脂そのものをスルホン化しているため、交換容量が少ないうえに、発煙硫酸や熱濃硫酸等でスルホン化するという製造方法の本質的な問題として、酸化、脱水等に伴う副生成物が多く、イオン交換樹脂と同様に、不純物の溶出による逆汚染については全く解消できていない。加えて、酸化、脱水等の副反応によって脆くなった樹脂から微細な粒子状物が脱落して処理水中に混入するという問題もある。
【0005】
そこで水処理の分野では、TOC溶出が低く、高純度の超純水の要求に応えるため新たな脱イオンの技術としてイオン吸着膜による超純水製造システムが研究開発されている(特許文献4、特許文献5)。このイオン吸着膜はイオン交換樹脂と比較してイオン除去効率が高い、TOC溶出が少ないという利点があり、平膜、繊維、中空糸などの形状で利用できる。しかしながら、分離機能及び透水能力、機械強度などのバランスの観点から、製造できる孔径、膜厚の範囲が限られ、膜面積を大きくするために平膜はプリーツ状に折り畳んでカートリッジに、中空糸は束ねてモジュールに成型する等の工夫が必要であった。吸着体としては、第一に吸着性能が良いことが必要であるが、水や気体の処理のためにこれらを利用するため、透水能力、気体透過性が高いものでないと実用的ではなく、それには膜厚が厚く、且つ孔径の大きいものが好ましいが上記イオン吸着膜の技術では製造が困難であった。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかる吸着焼結体の製造フローを示す図である。
【図2】本発明にかかる吸着焼結体を用いたカートリッジ型フィルターの概要図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明についてさらに詳しく説明する。
<熱可塑性樹脂粒子>
本発明でいう熱可塑性樹脂粒子(以下、熱可塑性樹脂粒子という)は、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等を包含する塩化ビニル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂;ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリメチルメタアクリレート、ポリエーテルエーテルケトン等を包含するいわゆるエンジニアリングプラスティック類;ポリビニリデンフルオライド、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素樹脂;の粒状物を包含する。
【0013】
本発明において、熱可塑性樹脂粒子は焼結成形の工程において融点付近まで加熱され、溶融し、吸着能を有する官能基をグラフト重合鎖を介して結合された樹脂粒子(以下、吸着樹脂粒子という)と共に、粒子が接触する点同士で溶着し合うことにより、粒子同士の間隙により形成される空孔を有する焼結体の構造を形成する。
従って、吸着樹脂粒子の官能基の耐熱性に応じて、適切な融点を有する熱可塑性樹脂を選択することが重要である。特に180℃以上の高温では官能基の熱分解が激しくなるため、180℃以下の温度で粒子同士が融着する樹脂を用いることが望ましい。
【0014】
また、熱可塑性樹脂の溶融流動性が大きいと、焼結成形の工程において流動変形し、空孔を潰したり、あるいは官能基が結合された表面を覆い隠す問題が発生するため、流動し難いものが好ましい。溶融した熱可塑性樹脂の流動性の指標として、例えばASTM D1238に基づいて測定されるMI(メルトインデックス)値でいうと、0.5g/10分以下であることが好ましく、0.1g/10分以下が更に好ましい。MI値が測定できない程度に流動し難いものでもよい。
【0015】
熱可塑性樹脂の中でも、安価であること、耐薬品性に優れること、加工性に優れること、素材の吸湿性、吸水性が低いこと等から、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン樹脂やフッ素樹脂の中で比較的融点の低いポリビニリデンフルオライドが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。中でも、焼結成形の際に用いる粒子が得やすいこと、焼結成形が容易であること、耐薬品性に優れること等の理由から、ポリエチレンが良い。上記の焼結成形の工程における流動性の観点からは、重量平均分子量で10万以上の高分子量ポリエチレンが流動性が小さく、空孔を粒子間隙によって形成し易いため好ましい。更に好ましくは重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンである。
【0016】
本発明で用いる熱可塑性樹脂粒子の形状は特に制限はない。真球状でも不定形でもよく、一次粒子からなるものでも、一次粒子が複数個凝集し一体化した二次粒子でも、二次粒子をさらに粉砕したものでも構わない。
一方、粒径は、300μm以下が望ましく、より好ましくは、10μm以上100μm未満である。本発明でいう粒径とは、平均粒子径であり、樹脂粒子の拡大写真から粒子50個以上について個々に短径と長径とを測定し、その平均値をもって示したものである。粒径が300μmより大きいと、得られる焼結体の空孔のサイズも大きくなり、被吸着物質と吸着性官能基との会合頻度が低下するため吸着効率が悪い。逆に、粒径が10μmより小さいと焼結体の空孔のサイズが小さくなり、透水・透気率が低下するため実用的でない。
【0017】
<架橋体粒子及び吸着樹脂粒子>
本発明の吸着樹脂粒子に用いる樹脂としては、セルロース系等の天然樹脂の他に、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂;ポリスチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリメチルメタアクリレート、ポリエーテルエーテルケトン等を包含するいわゆるエンジニアリングプラスティック類;ポリビニリデンフルオライド、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素樹脂;等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0018】
これらの樹脂の中でも、安価であること、耐薬品性に優れること、溶出物が少ないこと、素材の吸湿性、吸水性が低く溶出性が小さいこと、また、樹脂粒子表面への官能基の導入が容易であること、比較的融点が低く焼結の際の吸着官能基の熱分解が少ないことから、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン樹脂やフッ素樹脂の中でも比較的融点の低いポリビニリデンフルオライドが好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。中でも、粒子形態での入手が容易なこと、耐薬品性に優れること、吸着性官能基を導入する手法の一つとして利用される放射線照射によるグラフト重合の際のラジカル保持率に優れていることにより、ポリエチレンがよい。
【0019】
熱可塑性樹脂粒子と同様に、用いる樹脂の溶融流動性が大きいと、焼結成形の工程において流動変形し、表面に形成した吸着性官能基が潜り込んだり、焼結体の空孔を潰すといった問題が発生するため、流動し難いものが好ましい。
例えば、流動性の指標であるMI値でいうと、0.5g/10分以下であることが好ましく、0.1g/10分以下が更に好ましい。MI値が測定できない程度に流動し難いものでよい。重量平均分子量で10万以上の高分子量ポリエチレンが流動性が小さく、上記の問題が無いため好ましい。重量平均分子量が100万以上の超高分子量ポリエチレンが更に好ましい。
【0020】
本発明の吸着樹脂粒子は、これらの樹脂粒子を基材として吸着能を有する官能基(以下、吸着官能基という)を導入した粒状物である。
吸着官能基を導入する方法は、これを樹脂粒子表面に均一に導入し得る方法が好ましい。例えば、基材となる樹脂粒子に均一にラジカルを生成させ、そのラジカルを開始点としてモノマー及び架橋剤をグラフト重合させて架橋体層を形成したのち、吸着官能基を導入する方法が適当である。あるいは吸着官能基を持つモノマーを直接グラフト重合して架橋体層と共に結合させる方法などである。
ラジカルを表面全体に均一に生成させる方法としては、プラズマによる方法、光による方法、放射線による方法又は各種ラジカル開始剤による方法が包含される。特に均一性を確保することを意図した場合、放射線照射によりラジカルを生成させる方法が最も好適である。
【0021】
吸着官能基を多く導入するのに好適な放射線グラフト重合に用いられる電離性放射線は、α、β、γ線、電子線、紫外線などがあり何れも使用可能であるが、より均一にラジカルを生成させるにはγ線が適している。グラフト重合に十分なラジカルの生成量が得られ、不必要な架橋や部分的な分解が起こらない経済的な照射線量は、10kGy〜300kGyであり、好ましくは50kGy〜100kGyである。
樹脂粒子に放射線グラフトを行う方法としては、樹脂粒子とモノマーの共存下に放射線を照射する同時照射法と、予め樹脂粒子に放射線を照射した後、モノマーと接触させる前照射法があるが、モノマーの単独重合物の生成が少ない前照射法の方が好ましい。
【0022】
グラフト重合して形成される架橋体層としては、例えばモノマーとしてスチレンとジビニルベンゼンを用いた共重合体層、メタクリル酸グリシジルを用いた重合体層、メタクリル酸グリシジルとアクリロニトリルの共重合体層、メタクリル酸グリシジルとジビニルベンゼンによる共重合体層などがある。中でもスチレンとジビニルベンゼンによる共重合体は反応が制御し易く好適である。
【0023】
グラフト重合して形成される架橋体層の比率は、基材となる樹脂粒子の重量に対して、50重量%以上150重量%未満であることが好ましい。50重量%未満では、吸着官能基の導入量を大きくすることができず、150重量%以上では架橋体の粒径が大きくなりすぎ、焼結体の孔径を増大させ、吸着性能の低下につながることがある。該比率は、より好ましくは60重量%以上120重量%未満である。
これにより、吸着官能基を導入することができる架橋体粒子(以下、架橋体粒子という)が得られる。
【0024】
樹脂粒子表面に吸着官能基を均一に導入するには、グラフト重合反応及び官能基導入反応を溶媒中で、すなわち液相で行うのがよい。また、反応を樹脂粒子表面近傍に止まらせるため、溶媒は用いる樹脂に対して膨潤性の小さいものを用いることが好ましい。具体的には、基材として用いる樹脂の膨潤度が10%以下の溶媒がよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類や、モノマーを水に分散した分散液を用いることもできる。ここでいう膨潤度とは、[溶媒中に1時間浸漬した樹脂粒子の粒径]と[浸漬前の樹脂粒子の粒径]との差を、[浸漬前の樹脂粒子の粒径]で除した値である。
これにより、吸着官能基が粒子の表面に偏在化した吸着粒子が実現し、汎用のイオン吸着樹脂と異なり、溶出分の小さい吸着材を提供することができる。
なお、本願でいう表面とは粒子表面から深さ方向に5μmまでの表層部分を含む。
【0025】
吸着官能基の表面への偏在の程度は、以下の方法で測定できる吸着官能基分布指標で表した。
吸着樹脂粒子を樹脂包埋した後、ミクロトーム等を用いて切削し、粒子の断面を露出する。走査型電子顕微鏡に断面を露出させた試料をセットし、適当な倍率で拡大した後、吸着官能基に特異的な元素について、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)により、粒子の表面から中心にかけて線分析を行う。線分析のラインプロファイルから表面部分の強度と中心部分の強度をそれぞれ読みとる。なお、ラインプロファイルとして得られる強度は試料中の元素の量に比例する。吸着官能基分布指標は[粒子中心部のEDXラインプロファイルの強度(ピークの高さ)]を[粒子表面部のEDXラインプロファイルの強度(ピークの高さ)]で除した値で表した。すなわち、官能基が表面から中心に均一であれば、EDXラインプロファイルの強度は等しいためほぼ1となり、官能基が表面に多く分布すれば表面部の強度が大きくなり、値は1より小さくなる。
本発明の吸着粒子はこの値が0.9に満たないのが好ましい。より好ましくはこの値が0.8未満である。
なお、吸着官能基に特異的な元素とは、例えばスルホン酸基の場合のS(イオウ)の様に、バックグラウンドとなる樹脂に含まれない元素を言い、吸着官能基が樹脂とほぼ同様の元素構成の場合には、金属イオン等を官能基に吸着させた後、上記手法で解析すればよい。
【0026】
導入する吸着官能基の濃度は、樹脂を含めた全重量あたり0.3mmol/g以上10mmol/g未満が好ましく、より好ましくは、0.5mmol/g以上5mmol/g未満である。0.3mmol/g未満では、吸着官能基の濃度が小さすぎ、実用上の吸着能力が不足している。
例えば、Naイオンのような1価でかつプロトンとの選択性が低いイオンは1pptレベル(すなわち10−10mol/Lレベルの濃度)ではイオン交換の際に競合するプロトンの濃度(およそ10−7mol/L)に影響され、イオン交換基の利用効率が極めて低くなる。従って、0.3mmol/g未満のイオン交換容量ではかなり大量のイオン吸着樹脂を用いないと殆どイオン除去効果が観測されない。一方10mmol/gを超えて吸着官能基を導入しようとすると、樹脂表面ばかりか樹脂内部まで反応が進行し、反応に伴う副生成物が残留することになり、例えば水処理の際にそれらを不純物として溶出することになり好ましくない。
【0027】
吸着官能基の具体例としては、以下のものがある。
イオン交換基の内、カチオン交換基としてはスルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、アニオン交換基としては、4級アンモニウム塩基、ピリジウム塩基、3〜2級アミノ基、キレート基としては、イミノジ酢酸基、メルカプト基、エチレンジアミン基等がある。
群特異性アフィニティ吸着基としては、Cibacron Blue F3G-A、Protein A、コンカナバリンA、ヘパリン、タンニン、金属キレート基等がある。
アフィニティ吸着基として、抗原や抗体類を導入することも可能である。
これらを単独で結合するだけでなく複数の基を組み合わせて、又はさらにそれらを水酸基等、他の官能基と組み合わせて結合、導入してもよい。
【0028】
焼結成形時の吸着官能基の熱安定性、実用環境における熱化学的安定性の観点から、カチオン交換基は強酸であるスルホン酸型が好ましく、アニオン交換基は強塩基である4級アンモニウム塩型又はピリジニウム塩型が好ましい。
更に、それら官能基を金属塩とし、焼結体を成形した後等に、金属をプロトン置換する方法も採用し得る。一般に、金属塩にすることで官能基の耐熱性は向上し、置換しない場合よりもより高温の焼結温度まで採用できる条件範囲が拡大するからである。また、塩素等ハロゲン置換する方法も同様に用いることができる。具体的には、例えばスルホン基は、NaOH水溶液と接触させることにより、スルホン酸Naの形で用いることができる。
吸着官能基の導入方法は特に限定されないが、例えばイオン交換基は以下の方法で導入できる。
【0029】
カチオン交換基の場合には、スルホン化試剤を用いて置換反応により芳香族化合物にスルホン酸基を導入する方法や亜硫酸塩の付加による方法などがある。例えば、γ線照射した樹脂粒子へ、スチレン又はメタクリル酸グリシジル及び架橋剤をグラフト重合した後、スチレンにはクロロスルホン酸を用い、メタクリル酸グリシジルには亜硫酸ソーダ水溶液を反応させてスルホン基を導入する。スルホン酸基を有するモノマー、例えばスチレンスルホン酸塩を直接グラフト重合させる手法もある。
【0030】
アニオン交換基の場合は、例えば、γ線照射した樹脂粒子へクロルメチルスチレン又はメタクリル酸グリシジルをグラフト重合した後、4級アンモニウム基を導入する。クロルメチルスチレンの場合はトリメチルアミンによる処理により行う。メタクリル酸グリシジルの場合は、トリメチルアミン塩酸塩との反応で4級アンモニウム基を導入する。4級アンモニウム基を有するモノマー、例えばビニルベンジルトリメチルアンモニウム塩を樹脂粒子に直接グラフト重合する方法もある。
【0031】
キレート交換基の場合は、例えば、γ線照射した高分子樹脂粒子をメタクリル酸グリシジル及びジビニルベンゼンを溶存させたエタノール溶液とグラフト重合させた後、イミノジ酢酸ナトリウムを含むジメチルスルホキシドと水との1対1の混合液を反応させキレート交換基を導入する方法が挙げられる。
【0032】
本発明においては樹脂粒子に直接吸着官能基を結合させるのではなく、グラフト重合鎖を形成した層に導入するため、例えばポリオレフィンに熱濃硫酸等を用いてスルホン基を導入するような直接的手法に比べ、反応が穏やかで、制御しやすく、副反応に伴う生成物が少ないという点でも優れている。
このようにして得られる吸着樹脂粒子の形状は特に制限はない。真球状でも不定形でも良く、一次粒子からなるものでも、一次粒子が複数個凝集し一体化した二次粒子でも、二次粒子をさらに粉砕したものでも構わない。粒径は、300
μm以下が望ましく、より好ましくは、10μm以上100μm未満である。粒径が300μmより大きいと、得られる焼結体の空孔のサイズも大きくなり、吸着物質と吸着性官能基との会合頻度が低下するため吸着効率が悪い。逆に、粒径が10μmより小さいと焼結体の空孔のサイズが小さくなり、透水・透気率が低下するため実用的でない。
【0033】
<吸着焼結体の製造方法>
本発明の吸着性を有する焼結体(以下、吸着焼結体という)は以下の方法で得ることができる。
第一の方法は、熱可塑性樹脂粒子と吸着官能基を導入することができる架橋体層を形成した樹脂粒子との混合物を焼結し、多孔質樹脂マトリックスを作成した後、吸着官能基を反応させる方法である。
第2の方法は、熱可塑性樹脂粒子に、吸着能を有する官能基をグラフト重合鎖を介して導入した樹脂粒子を混合した粒子混合物を焼結する方法である。
第3の方法は、熱可塑性樹脂粒子を焼結して焼結体を作成した後、その表面に架橋体層を形成し、次いで架橋体層と反応しうる吸着能を有する官能基を反応させる方法である。
図1にこれらのフローを整理した。
【0034】
第一の方法は、すでに焼結工程が終了し架橋体層が形成された焼結体に吸着官能基を導入するため、吸着官能基が焼結の際の高温に晒されることがなく、比較的熱安定性に劣る吸着官能基を使用した場合でも、吸着官能基の熱分解、熱分解に伴う不純物の生成の懸念がないという好ましい利点を有する。
第2の方法は、樹脂粒子に予め液相でグラフト重合により官能基を導入するので、吸着官能基をその表面に均一に導入しやすいという利点がある。
第3の方法は、工程が最も単純であるという利点を有する。
【0035】
図1からも分かる通り、吸着焼結体の製造には、粒子の混合、金型への粒子の充填、焼結、架橋体層の形成、吸着官能基の導入、の要素がある。これらの内、架橋体層の形成と吸着官能基の導入方法はすでに述べた通りである。以下には、粒子の混合、金型への粒子の充填、焼結の方法について説明する。
【0036】
熱可塑性樹脂粒子と吸着樹脂粒子、及び熱可塑性樹脂粒子と吸着官能基を導入することができる架橋体層を形成した樹脂粒子との混合は、タンブラー混合機、レディーゲミキサー、高速流動型混合機、V型混合機等を用いて実施することができるが、混合の際に粒子状物が帯電しないように装置、混合条件を選択するのが望ましい。粒子状物が帯電すると粒子同士の凝集が発生しやすくなり、均一な混合が難しくなる。混合機のアースを適切にすること、混合機への粒子の供給及び取り出しの際に送風式除電装置等で静電気を除電することが好ましい。
【0037】
吸着樹脂粒子、又は吸着官能基を導入することができる架橋体層を形成した樹脂粒子を熱可塑性樹脂粒子と混合する比率は、前者が両者の合計の10重量%以上70重量%未満であることが好ましく、30重量%以上60重量%未満の範囲がより好ましい。実用上十分な吸着能力を得るためには、吸着樹脂粒子の比率が10重量%以上であることが必要であり、70重量%を超えると熱可塑性樹脂粒子の割合が少なく、粒子同士の溶着が不完全で吸着焼結体の強度が充分に得られない。
【0038】
粒子混合物の金型の充填には例えばバイブレートリパッカー等の振動式の充填装置を用いることができる。
振動充填させる際の振幅が粒子に与える影響は比較的少ないものの、振動充填に要する時間は充填装置に合わせて必要最小限にすることが好ましい。長時間の振動負荷は、粒径の小さな粒子が下部に沈み込むという粒子の再分配を引き起こし、均一に混合した意味を消失させることになりかねないからである。
【0039】
金型の材質としては、特に制限はなく、鉄、ステンレス、真鍮、アルミニウム等を包含する。耐久性があり、熱容量が小さく、軽量で取扱が容易な点でアルミニウムが好ましい。
金型の形状は、2枚の平板を平行に配した板用のもの、直径の異なる円筒状のものを二重に配した円筒用のもの等、粒子の充填が可能であれば特に制限はない。
【0040】
金型に充填された粒子混合物の加熱方法としては制御可能な加熱手段の何れかを用いて行われる。熱風乾燥機や電気誘電加熱、電気抵抗加熱等の方法がある。
加熱温度は樹脂の融点付近で、粒子同士が充分に溶着する温度で、且つ、熱可塑性樹脂が流動し、粒子間隙を埋めることのない温度に選択される。例えば、ポリエチレンの場合、110℃以上180℃未満が好ましく、より好ましくは120℃以上150℃未満である。吸着官能基は高温では分解が起こり易く、特に180℃以上の高温ではその傾向が強いため、焼結体を成形するときの加熱温度を180℃未満とするのが望ましい。
【0041】
本発明の吸着性焼結体の形状は、シート状、ブロック状、パイプ状、円柱状、球状など特に限定されることはなく、任意の形状で用いることができる。
本発明の吸着焼結体の平均空孔径は、1μm以上100μm未満が好ましい。1μm未満の空孔径では十分な透水、透気量を得ることができず、100μmを超える領域では、吸着物質と吸着官能基の会合する頻度が減少し、使用の初期から吸着能力が不十分で、吸着すべき不純物の流出が起こるからである。尚、平均空孔径は表面及び断面の拡大写真から隣接する空孔50個以上について個々に短径と長径とを測定し、その平均値をもって示した。
本発明の焼結体の空孔率は、20%以上60%未満が好ましく、より好ましくは30%以上50%未満である。20%未満では透水、透気量が小さく実用的でなく、60%以上では焼結体の強度が不足するからである。尚、空孔率は、水を含浸させた状態と乾燥状態の質量の差に基いて後述の方法で求める。
【0042】
本発明は、表面に種々の吸着性官能基を高濃度で有する樹脂粒子を提供し、該粒子を多量に含み制御された空孔径と従来の膜材料では得ることのできなかった厚みとを有する吸着性焼結体を提供することにより、液体あるいは気体中の微量な成分まで、吸着、濃縮、分離除去できるメディアを提供することができる。
特に、イオン吸着性の官能基を導入した吸着焼結体は、微粒子、カチオン成分、アニオン成分、アルカリ及びアルカリ土類金属、遷移金属類を極低濃度まで除去することができ、高い透水性能と相まって、超純水の製造の分野等に好適に使用できる。
以下にイオン交換基を吸着官能基とする具体例をもって本発明を詳細に説明する。
【0043】
<測定方法>
本発明において例における測定方法は以下のように行った。
(1)熱可塑性樹脂の溶融流動性
ASTM D1238に基づいて、MI(メルトインデックス)値を測定した。
(2)粒径
粒子の拡大写真において、粒子50個以上について個々に短径と長径とを測定し、その平均値を算出して求めた。
(3)架橋体層の導入量
予め、架橋体層を導入する樹脂粒子の重量を測定しておき、得られた架橋体粒子の重量から樹脂粒子の重量を差し引いた値を樹脂粒子の重量で除して求めた。
【0044】
(4)吸着官能基分布指標
吸着樹脂粒子を樹脂包埋した後、ミクロトーム等を用いて切削し、粒子の断面を露出する。走査型電子顕微鏡に断面を露出させた試料をセットし、適当な倍率で拡大した後、吸着官能基に特異的な元素について、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて、試料の表面から中心にかけて線分析を行う。線分析のラインプロファイルから表面部分の強度と中心部分の強度をそれぞれ読みとる。なお、ラインプロファイルとして得られる強度は試料中の元素の量に比例する。表面部と中心部の分布比較には、[粒子中心部のEDXラインプロファイルの強度(ピークの高さ)]を[粒子表面部のEDXラインプロファイルの強度(ピークの高さ)]で除した値を吸着官能基分布指標とした。
【0045】
(5)カチオン交換基導入量
カチオン交換基を導入した吸着樹脂を10g計量し、純水に浸漬した後ガラス製のクロマトカラムにつめ、1規定NaOH溶液、純水、1規定硝酸溶液、純水の順で洗浄した。次いで1規定NaCl溶液を通水し、得られた透過水を1規定NaOHで滴定してイオン交換容量を求めた。吸着樹脂はその後エタノールで置換し、50℃で2時間真空乾燥を行って乾燥重量を求め重量当たりのカチオン交換基導入量を算出した。
【0046】
(6)アニオン交換基導入量
アニオン交換基を導入した吸着樹脂を10g計量し、1Nの水酸化ナトリウム溶液を十分量通水し、アニオン交換基をOH型にした後、1NのNaCl水溶液を通水して、Clイオンを吸着させた後、1Nの硝酸カリウム溶液を十分量通水し、透過液について、沈殿滴定し、Clイオン吸着量を求めた。吸着樹脂はその後エタノールで置換し、50℃で2時間真空乾燥を行って乾燥重量を求め重量当たりのアニオン交換基導入量を算出した。
【0047】
(7)キレート交換基導入量
キレート交換基を導入した焼結体を、1N塩酸でH型にしたのち、100
ppmの硫酸銅溶液を通水して、Cuイオンを吸着させ、1N塩酸で脱離させ、脱離液について、原子吸光法で銅イオン濃度を求めた。吸着樹脂はその後エタノールで置換し、50℃で2時間真空乾燥を行い、乾燥重量を求め重量当たりのキレート交換基導入量を算出した。尚、原子吸光装置は、セイコー電子工業社製のSAS−727型を用いた。
【0048】
(8)平均空孔径
平均空孔径は表面及び断面の拡大写真において、隣接する空孔50個以上について個々に短径と長径とを測定し、その平均値を算出して求めた。
(9)空孔率
焼結体をエタノールに1時間浸漬後、純水中へ20分×5回浸漬し、焼結体表面の水を切った後質量を測定する。その後、再びエタノールに浸漬した後50℃で10時間乾燥させ、乾燥後の質量を測定して両者の差aをcm3単位で求める。一方、焼結体の寸法を測定して見かけの体積bをcm3単位で求めた。空孔率はa/bによって算出した。
【0049】
(10)TOC
試料水をアナーテル社製TOC計、A1000XPに導いて測定した値を用いた。なお、ΔTOCはイオン交換基を導入した吸着焼結体(あるいは吸着樹脂を充填したカラム)に超純水を通水する際、入口と出口における試料水中のTOCをそれぞれ測定した値の差([出口のTOC]−[入口のTOC])である。
(11)微粒子数
試料水をPMS社製微粒子カウンター ウルトラDI−50、に導いて測定し、0.1μm未満の総粒子数を指標とした。なお、Δ微粒子は吸着焼結体の入口と出口における試料水中の総微粒子数を測定した値の差([出口の微粒子量]−[入口の微粒子量])である。
【0050】
(12)透水量
イオン交換基を導入した吸着焼結体に超純水を9.8N/cm2の差圧で透水させ、透過水の重量を計測して透水量を求めた。
(13)水中の金属イオン含有量
試料水をクリーンルーム内で10〜100倍に濃縮し、横河アナリティカルシステムズ製ICP−MSにより測定した。
(14)処理水の抵抗率
東亜DKK社製のAQ−11型を用いて処理水の抵抗率を直接測定した。
【0051】
<吸着樹脂粒子の例>
実施例1
重量平均分子量が350万の旭化成(株)製ポリエチレン粉末「サンファインUH901」(商標)を200メッシュの金網で篩い粒径83μmのポリエチレン粉末を得た。樹脂のMI値はほぼ0であった。この粉末250gをアルミ蒸着したポリエチレンの袋に入れ窒素ガスで封じ、100kGyのγ線を照射した。スチレン300g、ジビニルベンゼン43.6g(純度55%)をイソプロピルアルコール1Lに溶解し、50℃とし、30分間窒素バブリングして溶存酸素を除去した。このモノマー溶液に、γ線照射後の「サンファインUH901」を窒素バブリング下に投入した。3時間攪拌を行い、反応スラリーをブフナーロートで濾過し、ジクロロメタン3L、で洗浄し真空乾燥した。このグラフト体の収量は410gで、架橋体層の形成量は64%であった。ジクロロメタン1Lにクロルスルホン酸71gを溶解した反応液に、該グラフト体200gを投入し3時間攪拌した。この反応液にイソプロピルアルコール500mLを投入し、しばらく攪拌した後、ブフナーロートで濾過、その後イソプロピルアルコール1L、純水10Lで洗浄し、真空乾燥した。得られたカチオン型イオン吸着樹脂の収量は約240gであった。該樹脂の粒径は84μmで、イオン吸着容量は2.4
mmol/gであった。S(イオウ)について測定したEDXの吸着官能基分布指標で0.7であった。
【0052】
実施例2
実施例1で得たイオン吸着樹脂100mLを内径15mmφのガラスカラムに詰め、1規定硝酸で再生後、80℃熱超純水を100mL/minの流速で48時間通水しΔTOCを求めた。
洗浄初期はΔTOCが500ppb程度であったが、24時間以降ほぼ20
ppbで安定した。その後、常温の超純水を通水したところΔTOCは1ppb以下となった。
また、Δ微粒子は0.05個/mLであった。
【0053】
比較例1
実施例2のイオン吸着樹脂に変えて、三菱化学(株)製イオン交換樹脂「ダイヤイオンPK212」(商標)を使った他は実施例2と同様にして、イオン交換樹脂のΔTOCを評価した。熱超純水通水では48時間通水後もΔTOCは120〜150ppbであり、その後常温の超純水通水でのΔTOCは10〜15
ppbを観測した。またΔ微粒子も0.3個/mLと例1より1桁大きかった。
【0054】
実施例3
実施例1と同様にして、重量平均分子量が20万の旭化成(株)製ポリエチレン粉末「サンファインSH801」(商標)250gに100kGyのγ線を照射した。樹脂のMI値は0.08g/10分、粒径は86μmであった。300gのクロロメチルスチレン及び43.6gのジビニルベンゼンを1Lのイソプロピルアルコールに溶解させた反応液に、50℃で窒素バブリングを30分行い、γ線照射後のポリエチレン粉末250gを投入した。3時間後、ブフナーロートで濾過し塩化メチレン1Lで洗浄し真空乾燥した。収量は480gで、架橋体層の形成量は92%であった。得られた架橋体粒子を、トリメチルアミン30%を溶存させたイソプロピルアルコールに浸漬し、35℃で50時間反応させ、4級アンモニウム化した。得られたアニオン型イオン吸着樹脂は、エタノール、水で洗浄後、エタノール置換し真空乾燥機で乾燥した。アニオン型イオン吸着樹脂のイオン交換容量を測定した結果、3.26mmol/gであった。得られた粒子の粒径は88μmであった。また、交換基をCl(塩素)置換して測定した吸着官能基分布指標は0.6であった。
このアニオン型イオン吸着樹脂のTOC溶出を実施例2と同様の方法で評価したところ、80℃熱超純水で48時間洗浄後のΔTOCは1ppb以下であった。
また、Δ微粒子は0.07個/mLであった。
【0055】
実施例4
実施例1と同様にして、ポリエチレン粉末250g(旭化成製サンファインSH801)に100kGyのγ線を照射した。樹脂のMI値は0.08g/10分、粒径は86μmであった。300gのメタクリル酸グリシジル及び43.6gのジビニルベンゼンを1Lのイソプロピルアルコールに溶解し、30℃で窒素バブリングにより、溶存酸素を除去し、γ線照射後のポリエチレン粉末250gを投入した。0.5時間反応を行い、グラフトされた樹脂粉末を取り出してイソプロピルアルコールで洗浄した。得られたグラフト共重合体を、イミノジ酢酸ナトリウム10重量%を溶存させたジメチルスルホキシドと水の容積比1対1の混合液に投入し、80℃で72時間反応させた。このようにして得られたキレート型イオン吸着樹脂のイオン交換容量は0.86mmol/gであった。
このキレート型イオン吸着樹脂のTOC溶出を実施例2と同様の方法で評価したところ、80℃熱超純水で48時間洗浄後のΔTOCは1ppb以下であった。Δ微粒子は0.05個/mLであった。
【0056】
<焼結体(官能基導入後の粒子と熱可塑性樹脂粒子との混合物を焼結)の例>
実施例5
実施例1において合成したカチオン型イオン吸着樹脂とポリエチレン粉末(「サンファインSH801」を200メッシュの金網で篩ったもので、粒径は84μmであった。)を質量比50/50で混合した。外径/内径=80mmφ/70mmφのアルミ押出管の内側に外径/内径=60mmφ/50mmφのアルミ押出管を同心円状に設置したものを金型とし、その隙間に上記粉末混合体をバイブレートリパッカーを用いて充填し、150℃の熱風乾燥器中に20分保持し焼結を行った。得られた焼結体の平均空孔径は22μmで、空孔率は42%であった。
得られた円筒状の焼結体の上下にポリエチレンで製作したプレートと濾過水口を取り付け、図2の様なカートリッジ型フィルターとした。このフィルターを市販のPFA製カートリッジフィルターハウジングに設置し、1規定硝酸を通液して再生した後、TOC溶出を実施例2と同様の方法で評価した。なお、通水の方向はいわゆる外圧濾過の方向で、図2のカートリッジの外から内の方向とした。
80℃熱超純水で48時間洗浄後のΔTOCは1ppb以下であった。また、イオン交換容量は0.72mmol/gであった。Δ微粒子は−0.3個/mLで処理水の方が少なかった。透水量は21000000L/m2・hr・MPaであった。
【0057】
実施例6
実施例1において合成したカチオン型イオン吸着樹脂に変えて、実施例3で合成したアニオン型イオン吸着樹脂を用いる他は実施例5と同様にしてアニオン型焼結体を得た。平均空孔径は21μmで、空孔率は40%であった。このアニオン型イオン吸着体のTOC溶出を実施例5と同様の方法で評価したところ、80℃熱超純水で48時間洗浄後のΔTOCは1ppb以下であった。Δ微粒子は−0.04個/mLとほぼ0であった。また、得られたアニオン型多孔質イオン吸着体のイオン交換容量は0.96mmol/gであった。透水量は、20800000L/m2・hr・MPaであった。
【0058】
実施例7
実施例1において合成したカチオン型イオン吸着樹脂に変えて、実施例4で合成したキレート型イオン吸着樹脂を用いる他は実施例5と同様にしてキレート型多孔質イオン吸着体を得た。平均空孔径は23μmで、空孔率は42%であった。
このキレート型多孔質イオン吸着体のTOC溶出を実施例5と同様の方法で評価したところ、80℃熱超純水で48時間洗浄後のΔTOCは1ppb以下であった。Δ微粒子は−0.2個/mLと出口での微粒子数が少なかった。また、得られた多孔質イオン吸着体のイオン交換容量は0.36mmol/gであった。
【0059】
実施例8
実施例5及び7のフィルター前後の水質を測定するため、金属イオンを微量含有するモデル純水を通水し、供給水とフィルターを通った処理水中の金属イオンを分析した。通水は実施例5及び7のフィルターへ20L/minで50日間行った。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
カチオン型多孔質イオン吸着体及びキレート型多孔質イオン吸着体において明らかに超純水中のZn濃度の低減が認められた。カチオン吸着体においては、
Na濃度の低減も見られた。すなわち、金属イオンがイオン吸着焼結体中に吸着されたものである。
【0062】
<焼結体(官能基を金属塩にして焼結)の例>
実施例9
実施例1において合成したカチオン型イオン吸着樹脂を1規定−NaOH水溶液に浸漬し、濾過水洗することでNa型とした。該Na型カチオン吸着樹脂を真空乾燥機で乾燥したものとポリエチレン粉末(「サンファインUH901」を200メッシュの金網で篩ったもので、粒径は83μmであった。)を質量比50/50で混合した。外径/内径=80mmφ/70mmφのアルミ押出管の内側に外径/内径=60mmφ/50mmφのアルミ押出管を同心円状に設置したものを金型とし、その隙間に上記粉末混合体を入れ、若干振動をかけ充填した。180℃の熱風乾燥器中に20分保持し焼結を行った。焼結体の平均空孔径は23μmで、空孔率は43%であった。
得られた円筒状のイオン吸着体の上下にポリエチレンで製作したプレートと濾過水口を取り付け、図2の様なカートリッジ型フィルターとした。このフィルターを市販のPFA製カートリッジフィルターハウジングに設置し、1規定硝酸を通液し再生した後、TOC溶出を評価したところ、80℃熱超純水で48時間洗浄後のΔTOCは1ppb以下であった。また、該多孔質イオン吸着体のイオン交換容量は0.93mmol/gであった。すなわち、比較的高温での焼結にもかかわらず吸着基の分解は認められず、熱分解によるTOC成分の増大もなかった。Δ微粒子は−0.1ヶ/mLで処理水の方がやや少なかった。透水量は22000000L/m2・hr・MPaであった。
【0063】
<焼結体(官能基をハロゲン化して焼結)の例>
実施例10
実施例3で合成したアニオン型イオン吸着樹脂を1規定塩酸水溶液に浸漬し、濾過水洗し、Cl型とした。該Cl型アニオン吸着樹脂を真空乾燥機で乾燥し、実施例9と同様にして、アニオン型多孔質イオン吸着体を得た。平均空孔径は21μmで、空孔率は39%であった。
このアニオン型多孔質イオン吸着体のTOC溶出を評価したところ、80℃熱超純水で48時間洗浄後のΔTOCは1ppb以下であった。また、該イオン吸着体のイオン交換容量は0.65mmol/gであった。Δ微粒子は−0.04個/mLで焼結体からの微粒子発生はなかった。透水量は19500000L/m2・hr・MPaであった。
【0064】
<焼結体(架橋体樹脂粒子と熱可塑性樹脂との混合物を焼結後、官能基導入)の例>
実施例11
ポリエチレン粉末 旭化成(株)製サンファインUH901を200メッシュの金網で篩い粒径86μmのポリエチレン粒子を得た。この粒子250gをアルミ蒸着したポリエチレンの袋に入れ窒素ガスで封じ、100kGyのγ線を照射した。スチレン375g、ジビニルベンゼン54.5g(純度55%)をイソプロピルアルコール1Lに溶解し、50℃とし、30分窒素バブリングにより、溶存酸素を除去した。このモノマー溶液に、γ線照射後のサンファインUH901を窒素バブリング下に投入した。3時間攪拌を行い、反応スラリーをブフナーロートで濾過し、ジクロロメタン3Lで洗浄し真空乾燥した。このグラフト共重合体の収量は410gであった。架橋体層の形成量は64%であった。また粒径は87μmであった。
【0065】
実施例12
実施例11で合成した架橋体粒子と、サンファインUH901を200メッシュの金網で篩った粒径85μmのポリエチレン粒子とを重量比で50/50に混合した。該粒子混合物を25mmφ×3mmtの円盤状に溝を切ったアルミ製金型に充填し、180℃の熱風乾燥機中で30分加熱し焼結を行った。得られた焼結体の平均空孔径は22μmで、空孔率は41%であった。
500mLのセパラブルフラスコに塩化メチレン200mLと、上記で作成した25mmφ×3mmtの焼結体を入れ、5℃以下に冷却した後、攪拌下にクロロスルホン酸0.26gを添加した。添加後液温を30℃まで昇温し、3時間保持した。エタノール20mLを添加し30分後に焼結体を取り出し、エタノールと水で洗浄し、真空乾燥した。
このカチオン交換基を導入した焼結体の空孔径は21μmで、空孔率は41%であった。イオン交換容量は0.87mmol/gであった。これを専用のホルダーに設置し、純水を通水して測定したΔTOCは1ppb以下で、Δ微粒子はほぼ0個/mLであった。
【0066】
比較例2
実施例11で得られた架橋体粒子50gと塩化メチレン200mLをセパラブルフラスコに入れ5℃に冷却し、攪拌下にクロルスルホン酸17.5gを滴下した。滴下後30℃に昇温し、3時間保持した。エタノール50mLを投入し30分保持した後、ブフナーロートで濾過、エタノール、純水で洗浄し真空乾燥した。このスルホン化された樹脂粒子とサンファインUH901を200メッシュの金網で篩った粒径84μmの粒子を重量比で50/50で混合したもののイオン交換容量は0.82mmol/gであった。この混合体を実施例9で用いたアルミ製金型に充填し、180℃の熱風乾燥機で30分加熱し焼結体とした。得られた焼結体のイオン交換容量は0.55mmol/gであった。すなわち焼結によりイオン交換容量が焼結前の約70%に低下した。
【0067】
実施例13
実施例11と同様にして、ポリエチレン粒子250g(旭化成製サンファインUH901を200メッシュで篩ったもので、粒径は86μmであった。)に100kGyのγ線を照射した。375gのクロロメチルスチレン及び54.5gのジビニルベンゼン(純度55%)を1Lのイソプロピルアルコールに溶解させた反応液に、50℃で窒素バブリングを30分行い、γ線照射後のポリエチレン粒子250gを投入した。3時間後、ブフナーロートで濾過しアセトン1Lで洗浄し真空乾燥した。得られた架橋体粒子の収量は470gであった。架橋体層の形成量は88%であった。また粒径は87μmであった。
【0068】
実施例14
実施例13で合成した架橋体粒子と、サンファインUH901を200メッシュの金網で篩った粒径85μmのポリエチレン粒子を重量比で50/50に混合した。該粒子混合物を25mmφ×3mmtの円盤状に溝を切ったアルミ製金型に充填し、180℃の熱風乾燥機中で30分加熱し焼結を行った。
500mLのセパラブルフラスコにトリメチルアミン30%を溶存させたイソプロピルアルコール200mLと、上記で作成した25mmφ×3mmtの焼結体を入れ、35℃で50時間反応させ4級アンモニウム化した。反応後焼結体を取り出し、エタノールと水で洗浄し、真空乾燥した。
得られたアニオン型多孔質イオン吸着体のイオン交換容量は0.95mmol/gであった。
【0069】
比較例3
実施例13で得られた架橋体粒子を、トリメチルアミン30%を溶存させたイソプロピルアルコールに浸漬し、35℃で50時間反応させ、4級アンモニウム化した。得られたアニオン吸着樹脂は、エタノール、水で洗浄後、エタノール置換し真空乾燥機で乾燥した。
この四級アンモニウム化された樹脂粒子と、サンファインUH901を200メッシュの金網で篩った粒径85μmの粒子とを重量比で50/50で混合したもののイオン交換容量は0.93mmol/gであった。この混合体を実施例9で用いたものと同じアルミ金型に充填し、180℃の熱風乾燥機で30分加熱し焼結体とした。得られた焼結体のイオン交換容量は0.28mmol/gであった。すなわち焼結によりイオン交換容量が焼結前の約30%に低下した。
【0070】
実施例15
実施例11と同様にして、ポリエチレン粒子250g(旭化成製サンファインSH801を200メッシュの金網でふるったもので、粒径84μm)に100kGyのγ線を照射した。300gのメタクリル酸グリシジル及び43.6gのジビニルベンゼンを1Lのイソプロピルアルコールに溶解し、30℃で窒素バブリングにより、溶存酸素を除去し、γ線照射後のポリエチレン粒子250gを投入した。30℃で0.5時間反応を行い、グラフト架橋体を取り出してイソプロピルアルコールで洗浄した。得られたグラフト共重合体の収量は395gであった。架橋体の形成量は58%、粒径は84μmであった。
該グラフト共重合体と、サンファインUH901を200メッシュの金網で篩った粒径85μmのポリエチレン粒子を重量比で50/50に混合した。該粒子混合物を25mmφ×3mmtの円盤状に溝を切ったアルミ製金型に充填し、180℃の熱風乾燥機中で30分加熱し焼結を行った。得られた焼結体の平均空孔径は20μm、空孔率は39%であった。
500mLのセパラブルフラスコにイミノジ酢酸ナトリウム10重量%を含むジメチルスルホキシドと水の容積比1/1の混合液と、上記で作成した25
mmφ×3mmtに整形した焼結体を入れ、80℃で72時間反応させた。反応後焼結体を取り出し、水で洗浄し、真空乾燥した。得られたキレート型多孔質イオン吸着体のキレート交換基の導入量は1.75mmol/gであった。
【0071】
<焼結体(樹脂焼結体を放射線グラフトし官能基を導入する)の例>
実施例16
シート状ポリエチレン粒子焼結体、旭化成(株)製 サンファインAQ−800(孔径:20μm、膜厚:2mm、空孔率:35%)に対し、100kGyのγ線を照射した。スチレン80g、ジビニルベンゼン6g(純度55%)をイソプロピルアルコール1Lに溶解して、70℃に加温し、30分間窒素バブリングして溶存酸素を除去した。このモノマー溶液にγ線照射後のサンファインAQ−800をφ47mmの円板状に切り出したものを全部で60g投入した。5時間撹拌下に反応を行い、焼結体を取り出してイソプロピルアルコールで洗浄後、50℃の真空乾燥機で2時間乾燥させた。乾燥後の総重量は109gで、架橋体層の形成量は82%であった。この架橋体層を形成した焼結体の空孔径は20μmで、空孔率は34%であった。
得られた焼結体をジクロロエタンに浸漬し、その後10%クロロスルホン酸を溶存させたジクロロエタン溶液を滴下し氷冷下で1時間反応後、更に室温で30分反応させてクロロスルホン酸を導入した。
得られたカチオン吸着体のイオン吸着容量は1.87mmol/g、透水量は24100000L/m2・hr・MPaであった。平均空孔径は、19μm、空孔率は33%となった。
この一部を切り出し、焼結体を構成する粒子の断面方向のスルホン基分布を分析した結果、吸着官能基分布指標で0.8であった。
【0072】
実施例17
サンファインAQ−800に、100kGyのγ線を照射した。クロロメチルスチレン120g、ジビニルベンゼン(純度55%)6gをイソプロピルアルコール1Lに溶解し、50℃に加温し、30分間窒素バブリングして、溶存酸素を除去した。このモノマー溶液にγ線照射後のサンファインAQ−800をφ47mmの円板状に切り出したものを全部で60g投入した。2時間、撹拌下に反応を行い、焼結体を取り出してイソプロピルアルコールで洗浄し真空乾燥機で乾燥した。乾燥後の総重量は105gで、架橋体層の形成量は75%であった。この架橋体層を形成した焼結体の平均空孔径は19μmで、空孔率は30%であった。
得られた焼結体をトリメチルアミン30%を溶存させたイソプロピルアルコールに浸漬し、35℃で50時間反応させ、導入したクロロメチルスチレンを4級化した。得られたアニオン吸着体は、エタノール、水で洗浄後、エタノール置換し真空乾燥機で乾燥した。
アニオン吸着体のカチオン交換基導入量(イオン交換容量)は3.26
mmol/g、透水量は19000000L/m2・hr・MPaであった。また、平均空孔径は、19μm、空孔率は30%となった。焼結体をNaClの水溶液に浸漬してアニオン交換基にClイオンを吸着せしめ、ついで焼結体を構成する粒子の断面をClについてEDX分析した。結果、アニオン交換基の分布指標は0.75であった。
【0073】
実施例18
実施例16及び17において合成したカチオン、アニオン交換基を有する焼結体を専用のホルダーにセットして超純水を通液し、処理水側の抵抗率及びTOC濃度を測定した。
通水開始後24時間経過した時点で測定した抵抗率値は、供給水:18.1に対し、カチオン吸着体:18.2、アニオン吸着体:18.1であった。またTOCについても、供給水:2.0ppbに対し、カチオン吸着体:2.0、アニオン吸着体:1.9と、イオン性不純物、TOC共に溶出は見られなかった。
【0074】
実施例19
実施例16のカチオン吸着焼結体について、実施例8と同様の方法で、Zn及びNaの吸着性能を測定した。結果を表2に示す。
【0075】
【表2】

【0076】
カチオン吸着体により明らかにモデル純水中のZn、Na濃度の低減が認められ、そのイオン吸着性能が優れたものであることが分かった。
【0077】
比較例4
架橋体層を介さずにカチオン交換基を導入した比較例として、実施例17で用いたサンファインAQ−800を、80℃に加熱した濃硫酸に8時間浸漬し、スルホン化した焼結体を得た。
得られた焼結体は、全体に褐色を呈し、部分的には黒く焦げた部分が存在した。また、手で触れると、目で見える粒状物が焼結体から脱落した。
47mmφに打ち抜き、専用のホルダーに通水して、ΔTOC、Δ微粒子を測定した結果、ΔTOCは25ppbで、本発明の焼結体の25倍以上に相当した。
Δ微粒子は1.8個/mLと2桁高かった。また、処理水を不織布で濾過すると、不織布の上に、目で見えるサイズの黒色物が濾取された。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、TOC等、不純物の発生が極めて少なく、処理した液体、あるいは気体を汚染することがなく、透水、透気性に優れ、且つ極低濃度の不純物まで除去できる、優れた吸着性構造体を提供するものである。特に、超純水中の金属イオンを極低濃度まで低減できる吸着焼結体を提供する。
る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換基、キレート基及び群特異性アフィニティ吸着基よりなる群から選択される少なくとも一種の官能基がその表面に結合された焼結体の製造方法において、ポリオレフィン樹脂粒子焼結体表面にグラフト重合鎖からなる架橋体層を形成し、次いで前記官能基を該グラフト重合鎖に結合させることを包含する、焼結体の製造方法。
【請求項2】
ポリオレフィン樹脂粒子焼結体を構成するポリオレフィン樹脂粒子の粒径が300μm以下である、請求項1に記載の焼結体の製造方法。
【請求項3】
ポリオレフィン樹脂粒子焼結体に放射線を照射した後、ポリオレフィン樹脂粒子を膨潤させない溶媒中で撹拌下に反応性モノマーと接触させることによりポリオレフィン樹脂粒子焼結体表面にグラフト重合鎖からなる架橋体層を形成し、次いで前記官能基を該グラフト重合鎖に液相で結合させる、請求項1または2に記載の焼結体の製造方法。
【請求項4】
前記官能基がイオン交換基である、請求項1〜3のいずれかに記載の焼結体の製造方法。
【請求項5】
イオン交換基、キレート基及び群特異性アフィニティ吸着基よりなる群から選択される少なくとも一種の官能基が表面に結合された樹脂粒子の製造方法において、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる群から選択されるポリオレフィン樹脂粒子表面にグラフト重合鎖からなる架橋体層を形成し、次いで前記官能基を該グラフト重合鎖に結合させることを包含する、樹脂粒子の製造方法。
【請求項6】
樹脂粒子の粒径が300μm以下である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
樹脂粒子に放射線を照射した後、樹脂粒子を膨潤させない溶媒中で撹拌下に反応性モノマーと接触させることにより樹脂粒子表面にグラフト重合鎖からなる架橋体層を形成し、次いで前記官能基を該グラフト重合鎖に液相で結合させる、請求項5又は6に記載の樹脂粒子の製造方法。
【請求項8】
前記官能基がイオン交換基である、請求項5〜7のいずれかに記載の樹脂粒子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−235417(P2009−235417A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164403(P2009−164403)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【分割の表示】特願2003−519147(P2003−519147)の分割
【原出願日】平成14年8月1日(2002.8.1)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】