説明

照合情報分離シート

【課題】簡易に情報の照合ができる照合情報分離シートを提供する。
【解決手段】
第1シートと第2シートとが、第1シートの基シート上に部分的に配された接着剤層を介して剥離可能に接着され、前記第2シートは基シート上の接着剤対向面に剥離層及び文字、図形、記号、模様又は色彩若しくはこれらの組み合わせが印刷されてなる照合印刷層をこの順に有し、第1シートと第2シートとを剥離した際に、前記第2シートの照合印刷層が部分的に配された第1シートの接着剤層に取られて一部残り、その代の残部が第2シートに残り、前記第1シートに取られた一部の照合印刷と、第2シートに残る照合印刷と照合することで、第1シートと第2シートとが照合される分離照合情報シートにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照合情報を改ざん不能に別々のシートに分離することができ、さらにその分離された各シートの照合情報の一致、不一致を容易に判断することができる照合情報分離シートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、(1)注文書と注文請書のように分離使用を前提としその分離後にそれらの照合が要求されるような伝票類、(2)契約書などにおける複本と正本、さらには(3)ホテル等のクロークに荷物を預けた際への控え書と荷札など、情報を複数の基材に分離した後、分離された情報を照合することで本人確認や真偽の確認を簡易に行なう必要性のある場面は生活において多々ある。
【0003】
従来のこの種の情報照合手段は、その確認の重要性に応じて種々の態様が存在し、例えば、割印、同じ数字・番号を付与した一組のシート体、タグなどが用いられている(例えば、下記特許文献1)。
【0004】
しかし、従来のこの種の情報照合手段は、改ざん容易なものが多い。また、高度なICチップなどの電子暗号を用いれば、改ざん性の点では高度なセキュリティーが発揮されるが、上記(1)のような使用では各書類にICチップや照合のための手段を電子機器などを用意するのは現実的ではない。上記(1)〜(3)に例示する使用場面やあるいは照合回数が少ない使用態様ではコスト的に見合わないし、利便性に欠ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3668220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、照合情報を改ざん不能に別々のシートに分離することができ、さらにその分離された各シートの照合情報の一致、不一致を容易に判断することができる照合情報分離シートを提供し、低コストで簡易に真偽の確認や本人確認をすることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明およびその作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
第1シートと第2シートとが、第1シートの基シート上に部分的に配された接着剤層を介して剥離可能に接着され、
前記第2シートは基シート上の接着剤対向面に剥離層及び文字、図形、記号、模様又は色彩若しくはこれらの組み合わせが印刷されてなる照合情報印刷層をこの順に有し、
第1シートと第2シートとを剥離した際に、前記第2シートの照合情報印刷層が部分的に配された第1シートの接着剤層に取られて一部残り、その代の残部が第2シートに残り、
前記第1シートに取られた一部の照合情報印刷と、第2シートに残る照合情報印刷と照合することで、第1シートと第2シートとが照合される、
ことを特徴とする照合情報分離シート。
【0008】
<請求項2記載の発明>
一方面に粘着剤層を有する少なくとも一部が透明である第3シートを有し、
前記第1シートから分離した第2シートを、照合情報印刷層の残部が前記第3シートの前記粘着剤層に対面するように接着した後、前記第2シートと第3シートとの接着面を剥離させると、第2シートの剥離層で剥離して、第2シートの照合情報印刷層の残部が、第3シートに転写されるように構成され、
前記第3シートの透明部分を、その第2シートから転写された照合情報印刷層の残部に折り重ねることで、転写された照合情報印刷層の残部が被覆保護される、請求項1記載の照合情報分離シート。
【0009】
<請求項3記載の発明>
前記第3シートは、照合情報印刷層の残部を第3シートに転写した後の第2シートを貼着するための余白部を有する請求項2記載の照合情報分離シート。
【発明の効果】
【0010】
以上の本発明によれば、照合情報を改ざん不能に別々のシートに分離することができ、さらにその分離された各シートの照合情報の一致、不一致を容易に判断することができる照合情報分離シートが提供され、低コストで簡易に情報の真偽や本人確認をすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる照合情報分離シートの平面図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】本発明の照合情報分離シートの第1シート及び第2シートを説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態にかかる照合情報分離シートの第1シートと第2シートとを分離した態様を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態にかかる照合情報分離シートの第1シートと第2シートとを分離した態様を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態にかかる第3シートの図である。
【図7】第3シートに第2シートを接着した態様を示す断面図である。
【図8】第3シートに第2シートを接着した態様を示す平面図である。
【図9】第3シートに第2シートの照合情報を転写する態様をしめす断面図である。
【図10】第3シートに第2シートの照合情報を転写した状態をしめす平面図である。
【図11】第3シートに転写された照合情報の一部を被覆保護した状態を示す断面図である。
【図12】第3シートに転写された照合情報の一部を被覆保護した状態を示す平面図である。
【図13】第1シートの照合情報の一部と第3シートに転写された照合情報の残部の照合態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次いで、本発明の実施形態を図面を参照しながら以下に詳述する。
(第1の実施形態)
本形態の照合情報分離シートX1は、図1〜図3に示されるように、第1シート10と第2シート20とが、第1シート10の基シート11上に部分的に配された接着剤層12を介して接着されている。
【0013】
前記第1シート10に部分的な接着剤層12の付与態様としては、平面視において、線状或いは点線状の接着部を間隔を開けて配した態様、円、楕円、三角形、四角形、多角形等の接着部を点在、散在、規則正しく等間隔で配した態様が例示できる。図示の形態では、線状の接着部を間隔を開けて配置した態様となっている。
【0014】
他方、前記第2シート20は、適宜の大きさ例えば名刺サイズ程度の大きさであり、前記第1シート10の接着剤層12に対向する部位が、基シート21、剥離層22、照合印刷層23がこの順に形成され、前記照合印刷層23が前記接着剤層12に対面するようにして、前記第1シート10に対して剥離可能に接着されている。
【0015】
第1シート10、第2シート20の基シート11,21は、アート紙、コート紙、クラフト紙等の既知の洋紙とすることができる。坪量は剛性の関係から64〜200g/m2程度であるのが望ましい。
【0016】
前記剥離層22は、前記第2シート20の基シート21に対して、シリコン、長鎖アルキルポリマー、ポリオレフィン、アルキド樹脂、フッ素化合物等の離型剤を0.1〜2.5g/m2程度塗布して形成することができる。離型剤の塗布は、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドメタリングコーター、カーテンコーター、ロールコーター等の従来各種塗工機による塗工やオフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷等の従来各種印刷機による印刷塗工によって塗布することができる。特に、網点印刷、模様印刷あるいはベタ印刷によって離型剤の塗布量や塗布分布を適宜調整することが容易なオフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷など各種印刷による印刷塗工が好適である。
【0017】
前記照合情報23は、前記剥離層21上に、例えば、文字、図形、記号、模様又は色彩若しくはこれらの組み合わせを印刷したものであり、複雑な印刷模様、ランダムな数字の羅列等が例示できる。図示の形態では、数字の羅列を反転したものである。照合情報23の印刷は、オフセット印刷、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、レーザープリンタ等の電子写真方式の印刷機等の従来各種印刷機により印刷によって塗布することができる。但し、印刷に用いるインキ等としては、前記接着剤層12との親和性が高く、剥離層22との親和性が低いものが望ましい。この点から、電子写真方式のトナーはかかる性質が高く、もって、照合情報23の印刷は、いわゆるレーザープリンタ等のトナーを印刷媒体とする電子写真方式の印刷機により行なうのが望ましい。
【0018】
ここで、本発明の照合情報分離シートX1では、分離された第1シート10と第2シート20との関連性を付与すべく或いは照合を容易にならしめるべく、図1に示されるように、好ましく、第1シート10の第2シート20と重ならない部分に第1照合補助情報13が印刷され、第2シート20の照合情報23が印刷されている面と反対の面に第2照合補助情報24が印刷されている。これらの照合補助情報13,24は、例えば、既知の印刷機により印刷された同一の識別番号、照合の案内文章等の不変情報であり、照合を簡易に行えるようにするためのものである。
【0019】
以上の本発明の本形態の第1の実施形態の照合情報分離シートX1では、図4、図5に示すように第1シート10から第2シート20を剥離させる操作を行なうと、図5に示されるように、前記第2シート20の照合印刷層23が部分的に配された第1シート10の接着剤層12に取られて一部23Aが残り、その代の残部23Bが第2シート20に残る。従って、この第1シート10と第2シート20とを別々の物に貼付したり所持したりするなど分離した状態で各々使用するなどし、その後に、上記照合補助情報13、24に基づき、前記第1シート10の接着剤12に取られた一部の照合印刷23Aと、第2シート20に残るその代の照合印刷23Bとの一致を目視にて照合することで、第1シート10と第2シート20とが照合することで、真偽確認、本人確認等の確認を行なうことができるようになる。
【0020】
本発明の照合情報分離シートX1では、照合情報23及び接着部12の配置態様の少なくとも一方をシート毎に変更或いは複数パターン用意することで、多数の照合情報の分離パターンが得られ、もって簡易に真偽確認等のセキュリティー性を高めることができる。そして、照合情報23及び接着部12の配置態様の少なくとも一方をシート毎に変更或いは複数パターン用意することは、印刷設定を変更するだけでよく極めて簡易かつ低コストで行なうことができる。
【0021】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態にかかる照合情報分離シートX1では、上記第1シート10及び第2シート20の他に、さらに、好ましい形態として、図6に示すような、一方面に透明な粘着剤層32を有する少なくとも一部が透明である第3シート30を有する。この第3シート30は、第1シート10及び第2シート20と別体であってもよいし、第1シート10、第2シート20と切り離し可能に連接させるようにして付属させてもよい。図示例の形態では、透明なフィルムシート31の一方面の全面に透明な粘着剤層32を形成し、さらにその粘着剤層32を被覆保護する剥離紙33を設けたものとしており、第1シート10及び第2シート20とは、別体のものとしている。なお、透明粘着剤層32及透明フィルム31の部分の大きさは、少なくとも第2シート10を2枚連接した大きさとされる。
【0022】
前記透明粘着剤層32及び透明フィルムシート31は、無色透明が好ましいが有色透明であってもよい。また、完全透明に限らず背面に位置するものを透過して視認可能な程度の透明性があればよく半透明であってもよい。
【0023】
透明フィルムシート31としては、例えば、ポリエチレンフィルムシート、ポリプロピレンシート、ポリカーボネートシート、ポリエチレンテレフタレートソート等が挙げられる。
【0024】
透明粘着剤層32としては、特開2003−27026、特開2004−217838に開示される剥離性粘着剤、アクリル酸アルキルエステルを含有したアクリル共重合水性エマルジョン等の剥離性接着剤、エマルジョン系強粘着剤、ゴム系粘着剤、溶剤系粘着剤等の非剥離性粘着剤が例示できる。粘着剤の塗布、印刷は既知の技術による。
【0025】
剥離紙は、既知のものが用いられる。例えばクラフト紙等の洋紙の一方面に離型剤を塗布或いは印刷したものが例示できる。
【0026】
本第2の実施形態の照合情報分離シートX1では、まず、第3シート30の剥離紙33を剥離して透明粘着剤層32を露出させる。次いで、前記第1シート10から剥離した照合情報印刷層23の残部を有する第2シート20を、前記第3シート30の前記透明粘着剤層32に対して、前記照合情報印刷層23Bが対面するようにして接着した後、前記第2シート20を第3シート30の透明粘着剤層32から剥離させるようにする。
【0027】
なお、この操作は、図示の形態では、図7〜図10に示すように、まず、第3シート30の一方縁部側に合わせるようにして第2シート20の照合情報非印刷面を接着して一体化し、図7の矢印Aのように第2シート20の縁部で第3シート30を折り返すようにして、第2シート20の照合情報印刷層23Bを第3シート30の透明粘着剤層32に対面させて接着し、その後、図9の矢印Bで示すように、この折り返しを開くようにして第2シート20の照合情報印刷層23Bと剥離層22とが剥離されて第2シート20の照合情報23Bが第3シート30に転写されるように操作することができる。図示の形態では、第3シート30を第2シート20が3枚連接された大きさとすることでこの操作を容易にしている。また、第3シートのすべてを透明フィルムシート31及び透明粘着剤層32で構成していることから、第2シート20の照合補助情報24も第3シート30を介して透過視認できるようになっている。
【0028】
本第2の実施形態の照合情報分離シートX1では、さらに、図9〜図12から理解されるように、前記第3シート30の第2シート20が接着されている部分と反対側の縁部を、図9の矢印Cで示すように、前記第2シート20から転写された照合情報印刷層23Bに折り重ねることで、転写された照合印刷層23Bが被覆保護される。そして、この状態では第2シート20に起因する照合情報23Bは表裏面が第3シート30により被覆されていることから改ざんが不能な状態となる。さらに、第3シート30は透明粘着剤層32及び透明フィルムシート31により構成されているため転写された照合情報23Bは第3シート30の表裏いずれの面からも視認することが可能である。
【0029】
なお、第3シート30は、上記折り返し操作がし易いように、折り線34、ミシン目線を形成することができる。
【0030】
そして、本第2の実施形態の照合情報分離シートX1では、図13に示すように、第1シート10の照合情報の一部23Aと、第2シート20及び第3シート30からなる第2シート20に起因する照合情報23Bを有するシートの当該照合情報の一部23Bとを、照合することで、真偽確認等が行える。この際、特に、第2の実施形態における照合情報分離シートX1では、第2シート20に起因する照合情報23Bが付与された第3シート30に起因する部分では、照合情報23B以外の部分が透明であるため第1シート10の照合情報23Aと重ね合わせるようにすると、基の照合情報印刷23として視認でき、照合一致の確認が極めてしやすいものとなる。
【符号の説明】
【0031】
X1…照合情報分離シート、10…第1シート、11…第1シートの基シート、12…接着剤層、13…第1照合補助情報、23A…第1シートに取られた照合情報印刷層(照合情報)の一部、20…第2シート、21…第2シートの基シート、22…剥離層、23…照合情報印刷層(照合情報)、23B…第2シートに残る照合情報印刷層(照合情報)の一部、24…第2照合補助情報、30…第3シート、31…透明フィルムシート、32…透明粘着剤層、33…剥離紙、34…折り線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1シートと第2シートとが、第1シートの基シート上に部分的に配された接着剤層を介して剥離可能に接着され、
前記第2シートは基シート上に接着剤対向面に文字、図形、記号、模様又は色彩若しくはこれらの組み合わせが印刷されたなる照合印刷層を有し、
第1シートと第2シートとを剥離した際に、前記第2シートの照合印刷層が部分的に配された第1シートの接着剤層に取られて一部残り、その代の残部が第2シートに残り、
前記第1シートに取られた一部の照合印刷と、第2シートに残る照合印刷と照合することで、第1シートと第2シートとが照合される、
ことを特徴とする分離照合情報シート
【請求項2】
一方面に粘着剤層を有する少なくとも一部が透明である第3シートを有し、
前記第2シートは、基シートと照合印刷層との間に透明剥離層を有し、
前記第1シートから剥離した照合印刷層の残部を有する第2シートを、前記第3シートの前記粘着剤層に照合印刷層を対面して接着し、その後に前記第2シートを第3シートから剥離させると、第2シートの剥離層で剥離して、第2シートの照合印刷層の残部が、第3シートに転写されるように構成され、
前記第3シートの透明部分を、その第2シートから転写された照合印刷層の残部に折り重ねることで、転写された照合印刷層の残部が被覆保護される、請求項1記載の分離照合情報シート。
【請求項3】
前記第3シートは、照合印刷層の残部を第3シートに転写した後の第2シートを貼着するための余白部を有する請求項1又は2記載の分離照合情報シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−223979(P2012−223979A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93419(P2011−93419)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】