説明

照明システム

【課題】誘電体バリア放電ランプ、この誘電体バリア放電ランプを駆動させるための駆動装置および改善された接続ケーブルを備えた照明システムを提供する。
【解決手段】誘電体バリア放電ランプ2と、2つの高電圧端子7,8を有する電気的な駆動装置1と、前記誘電体バリア放電ランプ2の電極3,4を前記電気的な駆動装置1の前記高電圧端子7,8に接続する2つの高電圧ワイヤ9,10を包含する電気的な接続ケーブル6とを備えた照明システムにおいて、前記接続ケーブル6は高電圧フラットリボンケーブルとして設計されていることを特徴とする、照明システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体バリア放電ランプと、2つの高電圧端子を有する電気的な駆動装置と、誘電体バリア放電ランプの電極を電気的な駆動装置の高電圧端子に接続する2つの高電圧ワイヤを包含する電気的な接続ケーブルとを備えた照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のところ重要な誘電体バリア放電ランプの適用領域はオフィスオートメーション、殊にスキャナ、FAXおよび同様の用途における線形のランプ、また液晶技術を使用するモニタおよびテレビスクリーンおよび他のグラフィックディスプレイのバックライトのための大型のフラットランプ、いわゆる面型放射器である。しかしながら本発明はこれらの用途に制限されるものではない。その代わりに商工業におけるUV処理、一般的な照明、照明器具デザインなどのさらなる適用領域も存在する。
【0003】
誘電体バリア放電ランプはそれ自体公知であり、また従来技術において広く開示されている。それらの誘電体バリア放電ランプは電極が放電管の内部に配置されている放電媒体から誘電体によって分離されていることを特徴とする。この場合には、原則として、電極を全て放電管の内部に配置することができるか、全て放電管の外部に配置することができるか、一方の極の電極を放電管の内部に配置し、他方の極の電極を放電管の外部に配置することができる。放電管の外部に配置される電極に関して、放電管の壁は誘電体バリアとして機能する。しかしながら全ての電極が放電管の内部に配置される場合、一方の極の少なくとも1つまたは複数の電極を誘電体によって、例えば誘電体コーティングによって放電管の内側から分離しなければならない。駆動中にはこの誘電体バリアにより一方の側においていわゆる誘電的に阻止(バリア)される放電が生じる。択一的に、全ての内部電極に誘電性コーティングを付与することもできる。これは両方の側での誘電的に阻止される放電である。後者の場合は殊に、全ての電極が放電管の外部に配置されている前述のケースにも関連する。
【0004】
少なくとも1つの電極と放電媒体との間の誘電体バリアに基づき、時間に関して変化する電圧、例えば正弦波状の交流電圧が誘電体バリア放電ランプを駆動させるために必要とされる。特許文献1に記載されているパルス動作は殊に効率的であることが証明された。
【0005】
特許文献2には上述のパルス動作に従い誘電体バリア放電ランプを駆動させるための回路装置が記載されている。このために、数キロボルト(kV)のパルス電圧シーケンスおよび典型的には25〜80kHzのパルス繰り返し周波数がフライバックコンバータを用いて形成される。
【0006】
(一般的に別個の複数のケーブルである)慣例の高電圧ケーブルが高周波数における比較的大きい容量に起因して高損失を有するということは不利である。誘電体バリア放電ランプの容量は長い慣例の高電圧ケーブルの容量よりも小さく、したがって接続されているランプに供給される実際の電力は低減される。これらの作用は上述のパルス動作の間は殊に重要である。何故ならば、パルス電圧は典型的には50〜200kHzのパルス繰り返し周波数以外にも他の比較的高い周波数成分を有するからである。殊に、比較的長い高電圧ケーブルの場合には、ランプがもはや点呼されないほどの電力損失が生じる可能性がある。したがって現在のところ、典型的には約25〜35cmの長さの比較的短い接続ケーブルしか使用されていない。
【特許文献1】US 5 604 410
【特許文献2】US 6 323 600
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、誘電体バリア放電ランプ、この誘電体バリア放電ランプを駆動させるための駆動装置および改善された接続ケーブルを備えた照明システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、接続ケーブルが高電圧フラットリボンケーブルとして設計されていることにより解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、誘電体バリア放電ランプと駆動装置との間の慣例の高電圧接続ケーブルにおける損失はケーブルの長さが増し、また周波数が高くなると共に大きくなり、したがってランプに供給される電力が低減し、ランプが点弧されないという結果が生じる可能性さえあるという知識を基礎とする。この問題は、誘電体バリア放電ランプに比べて慣例の高電圧接続ケーブルの電気的な容量が大きいことに起因する。
【0010】
本発明は、高電圧接続ケーブルを最も簡単な実施形態においては2つのワイヤを有する高電圧フラットリボンケーブルとして設計することを提案する。このケースにおける高電圧ワイヤ間の距離は、著しい電力損失または点弧に関する問題がもはや生じない程に高電圧フラットリボンケーブルの容量が小さいように設計されている。本発明者は、基準値として高電圧フラットリボンケーブルの容量が点弧されていないランプの容量にほぼ等しいかそれ以下であるべきことを発見した。高電圧ワイヤ間の適切な距離は、ケーブルの他の寸法設計以外にも、関連する誘電体バリア放電ランプの容量にも依存する。殊にオフィスオートメーション用の装置において使用されるような、典型的には線形の誘電体バリア放電ランプのケースにおける典型的な値は数mmであり、例えばワイヤの中心間では約8〜12mmである。殊に使用領域が比較的長い接続ケーブル、例えば30cm、40cm、50cm、さらには60cm以上の接続ケーブルを必要とする場合、本発明により提案される高電圧フラットリボンケーブルは、接続されている誘電体バリア放電ランプの点弧および電力供給の両方に関して、殊にパルス動作中において慣例の接続ケーブルを遙かに上回る利点を有する。
【0011】
本発明による高電圧フラットリボンケーブルの1つの実施形態においては、少なくとも1つの別のワイヤが2つの外側のワイヤの間に配置されており、これら2つの外側のワイヤは高電圧での使用が意図されており、またそのために設計されている。この解決手段は簡単なやり方で保護クラスIの用途を実現することができるという利点を有する。このために、少なくとも1つの付加的なワイヤを一方ではアース電位に接続し、他方では誘電体バリア放電ランプが接続されているか、高電圧に関して保護することが意図されている金属ケーシング、ランプマウントなどに接続するだけでよい。したがって中央の付加的なワイヤは保護接地導体として機能する。さらには電磁的な干渉波も低減される。すなわち照明システム全体の電磁干渉(EMC)が改善される。
【0012】
幾つかの用途においては、接続ケーブルがフレキシブルである場合、例えば誘電体バリア放電ランプが可動のマウント、例えばスキャナ装置などのキャリッジ上に支持されている場合には有利である。一般的にフレキシビリティは、殊に個々のワイヤがその組に関していかなるケースにおいても編組ワイヤの形である場合には、適切な絶縁材料を有するフラットリボンケーブルのケースにおいて効果的に達成することができる。
【0013】
さらには、殊に冒頭で述べたようなパルス動作中の比較的高い周波数に基づき、個々のワイヤを編組ワイヤとして設計することはやはり有利である。結果として、高電圧フラットリボンケーブルの通電容量は、表皮効果が周波数と共に上昇するにもかかわらず改善されている。
【0014】
一般的に、高電圧フラットリボンケーブルをいかなるケースにおいても複数の絶縁ワイヤとして構成することができ、これらの絶縁ワイヤは共通の面において隣り合って平行に配置されており、またこのフラットな配置においてケーブルシースによって、例えばシリコーンゴムから成るシースを用いて固定されている。ワイヤを同様に共通のフラットな絶縁シースに埋め込むこともできる。高電圧のために提供される2つの外側のワイヤの電気的な容量を可能な限り低く維持するためにこれらの2つのワイヤ間の効果的な距離が存在することのみが決定的に重要である。この点に関するさらなる詳細は実施形態に関連させた以下の説明に記載されている。
【実施例】
【0015】
以下では実施例を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
図1aは駆動装置1と、ランプ容器の内部に配置されており、且つそれぞれが誘電体層(図示せず)によって覆われている2つの長い電極3,4を備えた線形の誘電体バリア放電ランプ2と、約70cmの長さのフレキシブルな接続ケーブル6とを有する照明システムを示し、ここで誘電体バリア放電ランプ2は金属マウント5に固定されている。この接続ケーブル6は3ワイヤ型高電圧フラットリボンケーブルであり、その詳細は以下ではケーブルの拡大された断面図が示されている図1bを参照する。駆動装置1は冒頭で述べた特許文献1に記載されているパルス動作のために設計されている。このために、同様に冒頭で述べた特許文献2に記載されている回路装置が使用される。それらの詳細は本発明の理解にとって本質をなすものではないので、ここでは回路に関するさらなる詳細をこれ以上言及しない。駆動装置1の入力側には+24VのDC電圧が供給される。選択的に、負側の端子を接地することができる。出力側において駆動装置1は2つの高電圧端子7,8を有し、これらの高電圧端子7,8は接続ケーブル6の2つの外側のワイヤ9,10に接続されている。中央のワイヤ11は一方ではアース電位に接続されており、他方では金属マウント5に接続されている。すなわちここではこのワイヤ11が保護接地導体として機能する。全てのワイヤ9〜11は一方で高電圧フラットリボンケーブル6のフレキシビリティを保証するために編組ワイヤの形である。他方では2つの外側の高電圧ワイヤ9および10の編組ワイヤは高周波電流の効率的な電流供給を提供する。このために3つの編組ワイヤ9〜11はそれぞれ19本の個別のワイヤを包含する。2つの外側の編組ワイヤ9および10の中心間の距離は約10mmである。高電圧の強さは2kVから10kV、有利には6kVである。ワイヤ9〜11はスペーサによって相互に間隔が空けられており、このスペーサは絶縁性のウェブ、例えばシリコーンゴムから成るウェブである。
【0017】
保護接地導体を必要としない使用分野に関して中央のワイヤ11は未使用のままである。すなわちどこにも接続されていない(ここでは図示せず)。一般的に、これらのケースにおいては中央のワイヤを完全に省略することすら可能である。すなわち、この場合接続ケーブルは2ワイヤ型高電圧フラットリボンケーブルとして設計されている。いかなるケースにおいても、2つの高電圧ワイヤ間の最小距離が維持されることが決定的に重要である。
【0018】
図2は択一的なフラットな4ワイヤ型接続ケーブル12の概略図を示す。4ワイヤ型接続ケーブル12は4つの絶縁編組ワイヤ13,14,15,16からなるフラットな形状であり、これらの偏組ワイヤは隣り合って平行に配置されている。接続ケーブル12のシース17はシリコーンゴムから構成されており、このシリコーンゴムの内部に絶縁編組ワイヤ13,14,15,16が埋め込まれて固定されている。2つの外側のワイヤ13,16は約6kVの高電圧用と想定される。したがってこのためにいずれの場合にも、KURABE社の編組ケーブルワイヤCSAタイプTV−6、シリコーンゴム150℃ FT1が準備される。編組ワイヤ13,16はそれぞれ19本の別個のワイヤを包含する。編組ワイヤの直径は約0.75mmであり、編組ケーブルワイヤの外径は約2mmである。この場合2つの中央のワイヤ14,15は主として、2つの高電圧編組ワイヤ13,16の間において、可能な限り低損失の接続のために必要とされる距離を生じさせるために使用される。この実施形態における距離は約8〜10mmである。必要であれば、中央の編組ワイヤ14,15の内の一方または両方を保護接地導体として使用することもできる。いずれの場合にも比較的高価なKURABE社の編組ワイヤを中央のワイヤ14,15のために使用する必要はない。むしろこのためには廉価で非常にフレキシブルな編組ケーブルワイヤが適している。図2に示されている接続ケーブル12の4ワイヤ型の設計は、2つの外側の高電圧ワイヤ13,16間に必要とされる距離を比較的簡単に実現することができるという利点を有する。このために、4つの個々のケーブル13〜16には、密接に隣り合わせて配置されてシースされることのみが必要とされる。
【0019】
1つの変形形態(図示せず)においては、上述のケーブル複合体は3つのワイヤのみを有する。ワイヤを1つ節約することはコストを削減することができるという利点を有するが、2つの外側ワイヤ間の最小距離を維持することは僅かに複雑になる。何故ならば、隙間の一部をシースの材料で充填することが必要とされるからである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1a】高電圧フラットリボンケーブルを有する本発明による照明システムの実施形態。
【図1b】高電圧フラットリボンケーブルの細部の断面図。
【図2】択一的な高電圧フラットリボンケーブルの断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体バリア放電ランプ(2)と、2つの高電圧端子(7,8)を有する電気的な駆動装置(1)と、前記誘電体バリア放電ランプ(2)の電極(3,4)を前記電気的な駆動装置(1)の前記高電圧端子(7,8)に接続する2つの高電圧ワイヤ(9,10)を包含する電気的な接続ケーブル(6)とを備えた照明システムにおいて、
前記接続ケーブル(6)は高電圧フラットリボンケーブルとして設計されていることを特徴とする、照明システム。
【請求項2】
高電圧フラットリボンケーブル(6)は、前記2つの高電圧ワイヤ(9,10)間の電気的な容量が可能な限り小さいように設計されている、請求項1記載の照明システム。
【請求項3】
前記2つの高電圧ワイヤ(9,10)間の距離は絶縁耐力に関して必要とされる距離よりも大きい、請求項1または2記載の照明システム。
【請求項4】
高電圧フラットリボンケーブル(6)の容量は、点弧されていない誘電体バリア放電ランプ(2)の容量にほぼ等しいかそれ以下である、請求項1から3までのいずれか1項記載の照明システム。
【請求項5】
ワイヤはスペーサによって相互に間隔を空けている、請求項1から4までのいずれか1項記載の照明システム。
【請求項6】
前記スペーサは絶縁性のウェブから成る、請求項5記載の照明システム。
【請求項7】
前記ワイヤ(9〜11)は偏組ワイヤから成る、請求項1から6までのいずれか1項記載の照明システム。
【請求項8】
高電圧フラットリボンケーブル(6)のワイヤ(9〜11)の数は少なくとも3つであり、2つの外側のワイヤ(9,10)は2つの高電圧ワイヤである、請求項1から7までのいずれか1項記載の照明システム。
【請求項9】
2つの高電圧ワイヤ(9,10)間に配置されている少なくとも1つの別のワイヤ(11)はアース電位に接続されている、請求項8記載の照明システム。
【請求項10】
高電圧フラットリボンケーブル(12)はワイヤ毎にそれぞれ別個のケーブル(13〜16)から成り、該別個のケーブル(13〜16)は平面において隣り合って平行に配置されており、共通のフラットリボンケーブル複合体を形成する、請求項1から9までのいずれか1項記載の照明システム。
【請求項11】
2つまたは複数の別個のケーブル(14,15)が高電圧ワイヤを有する2つの別個のケーブル(13,16)間に配置されている、請求項10記載の照明システム。
【請求項12】
隣り合って配置されている別個のケーブルを共通のシース材料(17)によってシースする、請求項10または11記載の照明システム。
【請求項13】
高電圧フラットリボンケーブル(6,12)は数kVの高電圧、例えば2kVから10kV用に設計されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の照明システム。
【請求項14】
前記駆動装置(1)は前記誘電体バリア放電ランプ(2)のパルス動作のために設計されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の照明システム。
【請求項15】
前記駆動装置(1)は50kHZから200kHzのパルス繰り返し周波数のために設計されている、請求項14記載の照明システム。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−280953(P2007−280953A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96692(P2007−96692)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(390009472)パテント−トロイハント−ゲゼルシヤフト フユール エレクトリツシエ グリユーラムペン ミツト ベシユレンクテル ハフツング (152)
【氏名又は名称原語表記】Patent−Treuhand−Gesellschaft fuer elektrische Gluehlampen mbH
【住所又は居所原語表記】Hellabrunner Strasse 1, Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】