説明

照明システム

【課題】施工性を向上させつつ、各照明器具の設置場所を容易に特定できる照明システムを提供する。
【解決手段】照明システムは、固有の識別IDがそれぞれ割り当てられた複数の照明器具2と、複数の照明器具2を制御するコントローラ1とを備える。コントローラ1は、各照明器具2に対して、各照明器具2に割り当てられた識別IDと、所定の動作を行わせる制御情報とを少なくとも含む伝送信号を送信するとともに、上記の所定動作を行った照明器具2の設置場所に基づいて設置場所を示す場所アドレスを割り当て、上記の識別IDと対応付けて記憶する。また、コントローラ1は、各照明器具2に割り当てられた場所アドレスに基づいて一括動作させるグループを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の照明器具と、これらの照明器具を制御するコントローラとが通信線を介して接続された照明システムが提供されている。この照明システムでは、各照明器具に対してそれぞれ固有の識別IDが割り当てられており、例えばタイムスケジュールやスイッチ操作、センサ出力などに応じて、コントローラから識別IDを含む所定の伝送信号が送信される。そして、上記の伝送信号を受け取った各照明器具では、この伝送信号に含まれる識別IDが自己に割り当てられた識別IDに一致すると、伝送信号に含まれる制御命令に従って光源を点灯、消灯又は点滅させるのである。
【0003】
ここにおいて、大規模な照明システムでは、上述のような各照明器具毎に制御する方法よりも、複数の照明器具をグループ単位で制御する方法が一般的である(例えば特許文献1参照)。そのグループ設定の方法としては、設置後の各照明器具に対して1台ずつ順番にグループ設定する方法や、各照明器具に対して予めグループ設定を行い、設定したグループに従って各照明器具を設置する方法などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−287682号公報(段落[0011]、及び、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各照明器具に対して1台ずつ順番にグループ設定したり、予め設定したグループに従って各照明器具を設置する場合には、照明器具の設置台数が増えるにつれて手間がかかるものであった。また、各照明器具に対して直接グループ設定した場合には、通信によりランプ切れなどの異常がコントローラへ送信された場合に、上記の識別IDだけでは、どの場所に設置された照明器具で異常が発生したのかを判断できるものではなかった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、施工性を向上させつつ、各照明器具の設置場所を容易に特定できる照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明システムは、固有の識別符号がそれぞれ割り当てられた複数の照明器具と、複数の照明器具を制御するコントローラとを備え、コントローラは、複数の照明器具の各々に対し、各照明器具に割り当てられた識別符号と、所定の動作を行わせる制御情報とを少なくとも含む伝送信号を送信するとともに、所定の動作を行った照明器具の設置場所に基づいて設置場所を示す第1のアドレスを割り当て、この照明器具の識別符号と対応付けて記憶し、各照明器具に割り当てられた第1のアドレスに基づいて一括動作させるグループを設定することを特徴とする。
【0008】
この照明システムにおいて、コントローラは、第1のアドレスと、グループに対応させた第2のアドレスとを対応付けたデータテーブルを有し、複数の照明器具が同じレイアウトで配置された空間が複数ある場合には、データテーブルを用いることで各空間に対して一括してグループ設定を行うのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
施工性を向上させつつ、各照明器具の設置場所を容易に特定可能な照明システムを提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態の照明システムの概略ブロック図である。
【図2】同上を構成する照明器具の配置例である。
【図3】同上を構成する照明器具の他の配置例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る照明システムの実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0012】
本実施形態の照明システムは、図1に示すように複数(図1では3台)の照明器具2と、これらの照明器具2を制御するコントローラ1とを備えており、通信線Lsにより接続されている。なお、以下の説明において、各照明器具2を区別する必要がある場合には、照明器具2(N=1,2,3,…)と表記する。
【0013】
各照明器具2は、コントローラ1との間で伝送信号の送受信を行う送受信部21と、光源(例えば蛍光ランプなど)22と、送受信部21及び光源22を制御するとともに全般的な制御を行う制御部20と、記憶部23とを備える。また、各照明器具2には、他の照明器具2と区別するために固有の識別ID(識別符号)が割り当てられており、上記の記憶部23にそれぞれ記憶されている。なお、この識別IDは、工場出荷時に記憶部23に記憶させてもいいし、設置後においてシステムを立ち上げた際にランダムに設定して記憶部23に記憶させるようにしてもよい。
【0014】
コントローラ1は、各照明器具2との間で伝送信号の送受信を行う送受信部11と、後述する場所アドレスやグループアドレスなどを設定する設定部12と、送受信部11及び設定部12を制御するとともに全般的な制御を行う制御部10と、記憶部13とを備える。そして、設定部12により設定された場所アドレスやグループアドレスは、各照明器具2に割り当てられた識別IDに対応付けて記憶部13に記憶される。なお、詳細については後述する。
【0015】
ここで、図2は本照明システムを構成する照明器具2(N=1,2,…,22)の配置例であり、例えばオフィスビルなどの1フロアを示している。図2に示す例では、フロアが4つのエリアA〜Dに分けられており、エリアAには9台の照明器具2〜2が配置され、エリアBには3台の照明器具210〜212が配置されている。また、エリアCには4台の照明器具213〜216が配置され、エリアDには6台の照明器具217〜222が配置されている。ここに、図2中の各照明器具2〜222に記載された数字は、各照明器具2〜222の場所アドレスを示している。
【0016】
また、表1は、各照明器具2(N=1,2,…,22)にそれぞれ設定される場所アドレスとグループアドレスとの対応関係を示すデータテーブルである。このデータテーブルによれば、場所アドレス1〜9が設定される(つまりエリアAに配置される)照明器具2〜2にはグループアドレス1が設定され、場所アドレス10〜12が設定される(つまりエリアBに配置される)照明器具210〜212にはグループアドレス2が設定されることになる。また、場所アドレス13〜16が設定される(つまりエリアCに配置される)照明器具213〜216にはグループアドレス3が設定され、場所アドレス17〜22が設定される(つまりエリアDに配置される)照明器具217〜222にはグループアドレス4が設定されることになる。なお、このデータテーブルは、図示しないアドレスマップなどに基づいて事前に作成されて記憶部13に記憶させてあり、各照明器具2に対してグループアドレスを設定する際に記憶部13から読み出される。ここに、本実施形態では、照明器具2の設置場所を示す第1のアドレスとして場所アドレス1〜22を用い、また一括動作させるグループに対応させた第2のアドレスとしてグループアドレス1〜4を用いている。
【0017】
【表1】

【0018】
次に、場所アドレスの設定方法について説明する。設定部12を操作して本照明システムの動作モードを場所アドレス設定モードに設定すると、コントローラ1は、例えば照明器具2に対して、この照明器具2の識別IDと、所定の動作(例えば点滅動作など)を行わせる制御情報とを少なくとも含む伝送信号を通信線Lsを介して送信する。すると、照明器具2では、コントローラ1から送信された伝送信号に含まれる識別IDが自己の識別IDに一致することから、伝送信号に含まれる制御情報に基づいて点滅動作を開始する。
【0019】
照明器具2が点滅しているのを確認した設定者は、コントローラ1の設定部12を操作して、点滅している照明器具2に対応する場所アドレス1を設定するとともに、照明器具2の識別IDと場所アドレス1とを含む伝送信号を通信線Lsを介して送信する。上記の伝送信号を受信した照明器具2では、伝送信号に含まれる識別IDが自己の識別IDに一致することから、伝送信号に含まれる場所アドレス1を取り込み、記憶部23に記憶させる。なお、その他の照明器具2〜222では、伝送信号に含まれる識別IDが自己の識別IDに一致しないため、場所アドレス1が取り込まれることはない。また、コントローラ1では、照明器具2の場所アドレス1が識別IDと対応付けて記憶部13に記憶される。以下同様の処理を経て、照明器具2〜222に対して場所アドレス2〜22がそれぞれ設定され、各場所アドレス2〜22は、各照明器具2〜222の記憶部23にそれぞれ記憶されるとともに、それぞれの識別IDに対応付けてコントローラ1の記憶部13に記憶される。
【0020】
続けて、グループアドレスの設定方法について説明する。本実施形態では、各照明器具2の場所アドレスとグループアドレスとを対応付けたデータテーブル(表1参照)がコントローラ1の記憶部13に記憶させてあるため、例えば設定部12を操作することで照明器具2〜222に対して順次グループアドレスを設定することが可能である。つまり、各照明器具2に対してそれぞれグループアドレスを設定しなくてもいいことから、作業時間の短縮を図ることができる。
【0021】
次に、図3は本照明システムを構成する照明器具2の他の配置例であり、複数(図3では3箇所)のフロアにおいて同じレイアウトで照明器具2〜222が配置された場合を示している。このような場合、上述したデータテーブルを用いることによって複数のフロアのグループ設定を一括で行うことが可能であり、そのため作業時間をさらに短縮することができる。
【0022】
而して、本実施形態によれば、各照明器具2を設置した後にコントローラ1から場所アドレス(第1のアドレス)の割り当て及びグループ設定を行うため、予めグループ設定した照明器具2を設置する場合に比べて、設置場所に応じて照明器具2を選択する手間を省くことができ、施工性が向上するという利点がある。また、各照明器具2にそれぞれ設定された場所アドレスによって照明器具2の設置場所を特定できるため、例えばランプ切れや電力オーバーなどの異常が発生した場合に、異常の発生した照明器具2を容易に特定することができる。
【0023】
なお、本実施形態では、場所アドレスを設定する際の所定の動作として照明器具2を点滅させているが、例えば対象となる照明器具2を点灯させてもいいし、また対象となる照明器具2を消灯させてそれ以外の照明器具2を点灯させるようにしてもよく、他の照明器具2と視覚的に識別できるように異なる動作状態で動作させればよい。また、各照明器具2に設定される識別ID(識別符号)は、数字であってもいいし、アルファベットなどの記号であってもいいし、数字と記号を組み合わせたものでもよい。さらに、本実施形態では、場所アドレスやグループアドレスを設定する際にコントローラ1の設定部12を操作して設定しているが、例えば赤外線を用いたリモコンなどによって設定するようにしてもよい。また、照明器具2の台数についても本実施形態に限定されるものではなく、複数であればよい。さらに、本実施形態では、場所アドレスやグループアドレスを設定する際に照明器具2側から順番に設定しているが、照明器具222側から順番に設定してもいいし、ランダムに設定してもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 コントローラ
2 照明器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有の識別符号がそれぞれ割り当てられた複数の照明器具と、前記複数の照明器具を制御するコントローラとを備え、
前記コントローラは、前記複数の照明器具の各々に対し、各照明器具に割り当てられた前記識別符号と、所定の動作を行わせる制御情報とを少なくとも含む伝送信号を送信するとともに、前記所定の動作を行った前記照明器具の設置場所に基づいて設置場所を示す第1のアドレスを割り当て、この照明器具の識別符号と対応付けて記憶し、各照明器具に割り当てられた前記第1のアドレスに基づいて一括動作させるグループを設定することを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記第1のアドレスと、前記グループに対応させた第2のアドレスとを対応付けたデータテーブルを有し、前記複数の照明器具が同じレイアウトで配置された空間が複数ある場合には、前記データテーブルを用いることで各空間に対して一括してグループ設定を行うことを特徴とする請求項1記載の照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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