説明

照明付きまな板

【課題】持ち運びの不便さがなく、調理時の手元を照らして安全性および作業性を向上させる照明付きまな板を提供する。
【解決手段】本発明にかかる照明付きまな板10は、電源20と前記電源20と接続した光源30とをそれぞれ所望の位置に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まな板に照明用の光源を取り付けた照明付きまな板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、まな板に照明用の光源を取り付ける試みは一切なされてこなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、薄暗い環境の中で料理を行う場合、包丁の扱いを誤って指を怪我したり、調理作業や食材の並べ替えなどの作業が正確にあるいは迅速にできなかったりといった問題が起こりうる。特に、停電時や災害時、キャンプなどの野外での調理時などにこれらの問題が起こり易い。
【0004】
従来は、恐らく、他の照明器具で手元を照らすことがなされてきたと考えられるが、特に、停電時や災害時、野外などにおいて外部電源が使用できない場合には、手元を照らす適切な照明器具は存在しないのが現状である。
【0005】
例えば、懐中電灯で照らす場合には、手元を照らすために誰かが懐中電灯を持ち続けなければならない。また、電気スタンドでは持ち運びが面倒であるし、台が広い範囲を占有するので、調理の邪魔にもなる。さらに、調理作業者やその他の人間が、照明器具の光を遮り、手元が暗くなってしまうことが多いことも問題である。
【0006】
さらに、手元が十分に明るくない状況では、調理作業が手際良く行えないし、怪我をする危険があり、また、その危険ゆえに作業者にはストレスがかかる。さらに、まな板上部が十分に見えないために、雑菌の繁殖などが十分に判別できず、衛生面での不安も生じさせる。
【0007】
そこで、本発明は、持ち運びの不便さがなく、調理時の手元を照らして安全性および作業性を向上させる照明付きまな板を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、まな板が電源と前記電源と接続した光源とをそれぞれ所望の位置に備えるものであれば、上記課題が解決されることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明にかかる照明付きまな板は、電源と前記電源と接続した光源とをそれぞれ所望の位置に備えることを特徴とする。
【0010】
上記において、前記電源は電池であることができる。前記光源を内蔵するための中空を有して、前記光源がまな板本体の内外に出没可能となっているものであることができる。前記光源がアームによって支持されているものであることができる。前記アームがフレキシブルアームであることができる。前記電源および前記光源が防水されているものであることができる。前記光源をオン・オフするスイッチを備えるものであることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の照明付きまな板は、まな板自体が電源および光源を備えているので、持ち運びの不便さがない。そして、まな板とは別に照明器具を準備せずに、調理時の手元を照らして安全性および作業性を向上させることができる。簡易な構造であるので、比較的安価に製造できるという利点もある。
【0012】
電源が電池であると、扱いが便利である。
【0013】
前記光源を内蔵するための中空を有して、前記光源がまな板本体の内外に出没可能となっていれば、照明を使用する必要がないときには収納しておくことができるので、省スペース化が可能となり、また、通常のまな板と同様に使用することができる。
【0014】
光源がアームによって支持されていれば、適切な位置を照らすことができる。
【0015】
アームがフレキシブルアームであれば、光源の位置を柔軟に変えることができるので、利便性が向上する。
【0016】
電源および光源が防水されていれば、電源や光源が水によって損傷することがない。
【0017】
光源をオン・オフするスイッチを備えていれば、必要に応じて、容易に照明を点灯・消灯できるので、利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の照明付きまな板の一実施形態において、照明の非使用時における概観を示す斜視図である。
【図2】図1の実施形態において裏面側から見た電源取出口を示す部分拡大図である。
【図3】図1の実施形態において裏面側から見たアーム引出口を示す部分拡大図である。
【図4】図1に示す状態からアームを引き出した状態を示す斜視図である。
【図5】図1に示す状態からアームを引き出した状態を示す側面図である。
【図6】本発明の照明付きまな板の別の実施形態を示す斜視図である。
【図7】本発明の照明付きまな板の別の実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明の照明付きまな板の別の実施形態を示す側面図である。
【図9】本発明の照明付きまな板の別の実施形態として採用し得る内部構造の斜視図である。
【図10】本発明の照明付きまな板の別の実施形態として採用しうるスイッチ構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜10を用いて、本発明にかかる照明付きまな板の好ましい実施形態について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
【0020】
図1は、持ち運び時や収納時など、照明の非使用状態である。まな板10に設けられた中空部に、電源としての電池20と、照明用の光源30と、光源30を支持するアーム40とが内蔵されている。アーム40は、電池20と光源30とを電気的に接続する役割も果たしている。
【0021】
この実施形態では、電池20とアーム40とを配線50で電気的に接続するようにしている。
【0022】
後述のようにアーム40を引き出すことができるようにするため、配線50はアーム40の引き出し長さ分と同じだけ延長可能でなければならない。この場合、単に、配線50の長さに余裕を持たせておけばよいが、まな板10内部で絡まりあう可能性があるので、例えば、図1に示すように、巻き取り式など従来公知の配線収納部51を設けておくことができる。
【0023】
光源30としては、特に限定されないが、LEDのごとく省エネルギーの光源が好ましい。
【0024】
この実施形態では、電源20がまな板10本体から取り出せるようになっており、また、光源30がまな板10本体の内外に出没可能となっている。
【0025】
具体的には、図2に示すように、電池20は電池取出口21から取り出し可能であり、図3に示すように、アーム40はアーム引出口41から光源30とともに引き出し可能となっている。電池取出口21およびアーム引出口41は、電池20およびアーム40を内蔵している状態において、それぞれ、カバー22、カバー42で封止可能となっている。
【0026】
カバー22、カバー42は、いずれも内側にゴムパッキンが形成されていることにより(図示せず)、カバー22、カバー42を取り付けた状態で防水されるようになっている。そのため、この状態では、一般的なまな板と同様に、洗うことが可能である。
【0027】
電池20の残量がなくなった場合には、カバー22を取り外して電池20を取り出し、新しい電池20と交換したのち、再びカバー22を取り付ける。
【0028】
電池20としては、特に限定されず、一次電池だけでなく、蓄電池を使用してもよい。
【0029】
照明の使用状態においては、まず、アーム引出口41を封止するカバー42を取り外す。
【0030】
次に、照明の使用状態について説明すると、使用時には、図4,5に示すように、アーム引出口41から、光源30とともにアーム40を引き出す。
【0031】
図4,5に示すように、アーム40がアーム引出口41から引き出された状態において、アーム引出口41と接する周囲43を、ゴム素材で形成するようにして、照明使用時における防水性を確保している。アーム引出口41と接する周囲43をゴム素材で形成するには、例えば、アーム40全長をゴム素材で形成したり、周囲43のみをアーム40と異なるゴム素材で形成したり、周囲43のみにゴム素材のリング部材を取り付けたり、といった方法が挙げられる。
【0032】
図4,5に示すように、アーム40がフレキシブルアームであると、調理作業の際、光源30を自由に移動させることができ、利便性が高い。
【0033】
図4,5に示すように、光源30をアーム40の先端に取り付けると、光源30の移動可能な距離が長いので便利である。
【0034】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば、以下のような変更実施が可能である。
【0035】
すなわち、本発明は、まな板自体が電源とこれに接続した光源とをそれぞれ所望の位置に備えていればよく、上記実施形態のように、電源や光源がまな板に内蔵されることは必須ではないし、電池以外の電源を用いるようにしてもよい。
【0036】
また、電源として、例えば、図6に示すように、太陽電池を用いることもできる。
【0037】
図6に示す例では、太陽光パネル201をまな板10の側面に設けるようにし、太陽光パネル201により生成された電気エネルギーが配線50を介して蓄電池202に供給されるようになっている。
【0038】
蓄電池202の下部には、通電制御部203が設けられており、蓄電池202への太陽光パネル201からの電気エネルギーの供給量、蓄電池202の残量などに応じて、通電量を制御することができるようになっている。これにより、天候や時刻による照度の変動があっても蓄放電が適切になされ、省エネルギー化が実現できる。
【0039】
その他の構成は、上記実施形態と共通でよい。
【0040】
なお、図6に示す例では、太陽光パネル201を取り付ける位置をアーム引出口41側としているが、これに限定されず、アーム引出口41を設けた面以外の面(例えば、電池取出口21を設けた面)に設けるようにしてもよい。
【0041】
ただ、まな板の使用者は、通常、照明効果を十分に得るために光源30に対向する位置に立つであろうし、さらに、アーム40や光源30が調理の妨げとなる可能性があるので、敢えて、アーム引出口41側に立って調理することは想定し難い。そうすると、太陽光パネル201は、図6に示す例のように、まな板の使用者が立たないであろうアーム引出口41側に設けた方が、使用者の邪魔になったり、使用者がぶつかって損傷したりするといった可能性を低減できると考えられる。
【0042】
さらに、図示は省略するが、太陽電池と乾電池を組み合わせて、普段は、太陽電池からの電力を利用して光源を点灯させるようにし、日没後など太陽電池からの電力供給がなくなり、かつ、蓄電池に蓄電した電力も費やしてしまった後に、乾電池からの電力供給に切り替え可能となったものであってもよい。
【0043】
まな板を暗闇で使用することはそれほど頻繁ではないし、調理時間もせいぜい数時間程度であるから、その電力消費は大きくなく、太陽電池による電力供給で賄える場合が多いが、蓄電残量がない状態で夜間突然停電した場合など、予期せぬ事態にあっても乾電池による電力供給が可能であるという利点がある。
【0044】
また、上記実施形態では、アームとしてフレキシブルアームを用いたが、図7、8に示すように、直立のアーム40aを用いてもよい。アーム40aは、関節部44を有していて、関節部44を伸ばして、寝かせるようにすることで、まな板への収納が可能となっている。
【0045】
なお、この実施形態では、アーム40aは、その全長にわたって、まな板10の長辺に対して直交する方向に出没可能となっており、関節部44より前方を、光源30をまな板10の方に引き上げるように立ち上げて直立状態とするよう構成されているが、例えば、アーム40aを、関節部44より前方がまな板10の長辺に対して平行に、すなわち、まな板10の長辺に沿った状態で出没可能となるように構成し、関節部44より前方を、光源30をまな板10の長辺に沿って引き上げるように立ち上げて直立状態とするよう構成することもできる。
【0046】
アーム40aが、まな板10の長辺に沿った状態で出没可能であるため、引出方向にあまりスペースがなくても良いという利点がある。この場合、まな板10の長辺に沿った状態でアーム40aの関節部44より前方と光源30が出没可能となるよう、アーム引出口はやや広範囲にわたって形成されることになる。
【0047】
さらに、上記実施形態では、巻き取り式の配線収納部51を用いるようにしたが、図9に示すように、配線レール52を用いるようにしてもよい。
【0048】
すなわち、上部側がスライド可能となるように2つの絶縁体521、522を組み合わせ、配線ダクトとなる下部側の絶縁体521の内部には導体523がその全長にわたって敷設され、上部側の絶縁体522の内部には、導体523と摺接する凹状の受電部(図示せず)がその全長にわたって設けられている。導体523と受電部が摺接するようになっているので、アーム40および光源30の引出動作におけるいずれの時点においても、導電体523から受電部への電力の供給がなされ、さらに、受電部からアーム40および光源30へと電力が供給される。
【0049】
なお、この実施形態においても、上述する実施形態と同様に、アーム40におけるアーム引出口41と接する周囲43をゴム素材で形成することができるが、これに代えてあるいはこれに加えて、上部側の絶縁体522におけるアーム引出口41と接する周囲をゴム素材で形成するようにしても良い。
【0050】
この実施形態によれば、アーム40および光源30のスムーズな引出が可能となるとともに、配線50を巻き取る必要がないので、配線の消耗が大きくなく、安定的に使用できる利点がある。
【0051】
また、巻取り式の配線収納部、配線レールの他にも、例えば、カールコードを使用するなど、アームおよび光源を、その電気的接続を維持しつつ進退可能とするあらゆる手段が利用できる。なお、カールコードは、その形状が螺旋状にカールしており、螺旋の軸方向に伸縮自在となっているものであり、従来公知のものが利用できる。カールコードを用いた場合も、配線50を巻き取る必要がないので、配線50の消耗が大きくなく、安定的に使用できる利点がある。
【0052】
加えて、上記各実施形態では、スイッチを設けていないので、電池の着脱のみで点灯、消灯を制御するようになっているが、光源の点灯、消灯は、それほど頻繁になされるものではないので、このようにしてもほとんど問題はない。しかし、光源のオン・オフをより簡便に行うために、スイッチを設けてもよい。例えば、アームにスイッチを取り付けたり、電池取出口の近くにスイッチを取り付けたりした実施形態であってもよい。さらに、スイッチを、アームや電池取出口付近などの複数個所に設けるようにしてもよい。さらに、このスイッチは、照度調節機能を備えたものであってもよい。
【0053】
さらに、アームや電池取出口などに単にスイッチを設ける上記方法以外に、アームの動作に連動してスイッチングがなされるようにする方法も採用することができ、この場合には、照明を使用するために光源を引き出すとともに自動的に光源が点灯することとなるので、非常に使い勝手が良く、無駄な電力消費が抑えられ、省エネルギー化も実現できる。
【0054】
具体的には、例えば、図10に示すように、スライド式のスイッチ60を設けることも可能である。
【0055】
この実施形態では、図9に示す実施形態と同様に、配線レール52の基本構造、すなわち、位置が固定された下部側の絶縁体521とスライドしてアーム40を引出すための上部側の絶縁体522を設けており、ただし、図9に示す実施形態とは異なって、導体523とこれと摺接する凹状の受電部を有さず、その代わりに、下部側の絶縁体521には電源と接続した固定接点61を設け、上部側の絶縁体522にはアーム40を引出した状態で固定接点61と接して光源30への電力供給を可能とする可動接点62を設けるようにしている。
【0056】
この実施形態によれば、アーム40の収納時にはオフ(図10(a)に示す状態)、アーム40の引出時にはオン(図10(b)に示す状態)というスイッチ操作が、アーム40の動作に連動してなされるので、スイッチのオン・オフに際し、使用者には余分な負担が全くかからない。
【0057】
最後に、上記各実施形態では、アームにおけるアーム引出口と接する周囲をゴム素材で形成した例について説明したが、アーム側でなく、アーム引出口側、すなわち、アーム引出口におけるアームと接する引出口内周面にゴムパッキンを形成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、従来のまな板に代えて、例えば、停電時や災害時、野外などにおいて好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 まな板
20 電池
21 電池取出口
30 光源
40 アーム
41 アーム引出口
50 配線
60 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と前記電源と接続した光源とをそれぞれ所望の位置に備えることを特徴とする照明付きまな板。
【請求項2】
前記電源が電池であることを特徴とする請求項1に記載の照明付きまな板。
【請求項3】
前記光源を内蔵するための中空を有して、前記光源がまな板本体の内外に出没可能となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明付きまな板。
【請求項4】
前記光源がアームによって支持されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の照明付きまな板。
【請求項5】
前記アームがフレキシブルアームであることを特徴とする請求項4に記載の照明付きまな板。
【請求項6】
前記電源および前記光源が防水されていることを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の照明付きまな板。
【請求項7】
前記光源をオン・オフするスイッチを備えることを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の照明付きまな板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−13496(P2013−13496A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147375(P2011−147375)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(511161443)
【Fターム(参考)】