説明

照明付き収納部材

【課題】 限られた居室スペースにあっても、十分な収納能力と空間の演出性とを兼ね備えて、質の高い住空間を形成することのできる照明付き収納部材を提供する。
【解決手段】 本発明の照明付き収納部材1は、壁面8に固定され前面に開口部21を有するボックス状の収納本体部2と、開口部21の辺縁に回動自在に取り付けられた開閉扉3とを備える。開閉扉3は拡散透過性を有する材料により形成され、この開閉扉3の背面に照明光源4が装着されて、この照明光源4の背面側が反射板5で覆われた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納部を確保しつつ室内照明として利用できる照明付き収納部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば住宅では、キッチンとダイニングルームとが分離され、キッチンをクローズド化することで雑然としがちな調理スペースを見えにくくし、食事スペースに落ち着いた雰囲気をもたらすような設計が多用されるようになっている。しかしながら、日本の住宅事情の下ではこれらのスペースを十分に確保しにくく、依然としてキッチンが食事の場と一体化された形態も多く提案されている。
【0003】
そこで、本出願人は、このような限られたスペースからなるキッチン・ダイニングルームにおいても、豊富な収納量を確保して美観を保ち、食事時や食後のくつろぎをも展開させることができるようにするために収納部と照明とが一体となった照明装置を発案した。
【0004】
従来、収納部に照明装置が付属されている例としては、例えば、洗面台上部やキッチン上部に設けられている吊り戸棚が挙げられ、吊り戸棚の下部に局部照明として蛍光灯などが備えられているのが一般的である。また、特許文献1に記載されているような照明付化粧鏡装置もあり、鏡の上部に設けられた収納キャビネット内を区画部材により区画して照明器具が収納され、収納キャビネットの下板に透光板が設けられることにより、化粧鏡の前方を照射しつつ、照明ボックスと収納キャビネットとが分離されるような設計となっている。
【特許文献1】特開平9−153307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示された技術は、もともと収納キャビネットの下面に設けられていた局部照明を収納キャビネットの内部に納めて、収納キャビネットと一体とした技術であって、この場合の照明器具は作業用照明であり、空間の演出性は備わっていない。しかし前記のように、キッチン・ダイニングルーム等の限られたスペース内においては、調理等の作業空間の機能として十分な収納量を確保しつつ、食事空間としては落ち着きやくつろぎ感をもたらすことが望まれている。
【0006】
そこで本発明は、上記のような問題点にかんがみてなされたものであり、限られた居室スペースにあっても、十分な収納能力と空間の演出性とを兼ね備えて、質の高い住空間を形成することのできる照明付き収納部材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するため、本発明に係る照明付き収納部材は、壁面に固定され前面に開口部を有するボックス状の収納本体部と、開口部の辺縁に回動自在に取り付けられた開閉扉とを備え、開閉扉は拡散透過性を有する材料により形成されるとともに、この開閉扉の背面に照明光源が装着され、この照明光源の背面側が反射板で覆われてなることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、収納本体部を物品の収納に使用することができ、かつ、開閉扉の背面に装着された照明光源によって居室内が照射されるので、室内照明としても使用することができる。このとき、照明光源からの光は反射板で反射するとともに開閉扉を透過して収納部本体の前方に拡散されるので、天井面に設けられる直接照明だけでは陰になってしまう壁と天井との境界部分にも光を供給して、居室内に空間的な広がりをもたらすことができる。
【発明の効果】
【0009】
上述のように構成される本発明の照明付き収納部材によれば、限られた居室スペースにあっても、収納部を確保しつつ、空間の広がり感をもたらす演出性に富む照明とすることができ、天井面に設けられる直接照明だけでは得られないインテリア性の高い住空間を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る照明付き収納部材を実施するための最良の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1および図2は本発明の照明付き収納部材を示す断面図である。なお、これら両図においては図面を見やすくするために、照明付き収納部材の各構成部材に断面を示すハッチングを省略して記載している。
【0011】
照明付き収納部材1は、背面が壁面8に固定され、前面に開口部21を有するボックス状の収納本体部2を備えている。この収納本体部2の開口部21の上縁部には、開閉扉3が蝶番等によって上下方向に回動自在に取り付けられている。
【0012】
この開閉扉3の背面上部には、蛍光灯などの照明光源4が装着されている。また、この開閉扉3は、例えば、摺りガラス、乳白色アクリル樹脂板等の半透光性の拡散透過性材料によって形成されている。
【0013】
さらに、この照明光源4の背面側には、反射板5が設けられている。反射板5は、照明光源4を覆う曲面形状に形成され、照明光源4を開閉扉3との間に挟み込むように配置されている。また、この反射板5は、照明光源4の側部に回動可能に取着されて、開閉できるようになっている。
【0014】
これにより、照明光源4の光は反射板5で反射するとともに半透光性の開閉扉3を透過して居室側に拡散照射される。また、居室側からは開閉扉3によって収納本体部2の内側が見えないようになっている。
【0015】
また、本発明の照明付き収納部材1では、反射板5が開閉可能であるので、照明光源4のメンテナンスに際しては、開閉扉3を開放した状態で反射板5を開け、蛍光灯等の照明光源4を容易に取り替えたり清掃したりすることができる。なお、この照明光源4の装着位置は、例示したように開閉扉3の背面上部に限らず、開閉扉3の開閉方式に応じて、開閉扉3の背面側であれば任意である。
【0016】
図3は、上記の照明付き収納部材1をキッチン・ダイニングルーム10の照明に適用した例を示している。図示するように、照明付き収納部材1は、キッチン上部の吊り戸棚として、天井面の直近に並列して配置され、煩雑になりがちな調理器具や保存食品等を収納するのに用いることができる。
【0017】
そして、照明付き収納部材1の照明光源4からの光は、半透光性の開閉扉3により拡散透過されて、天井の近傍を広い範囲にわたってやわらかく照射し、通常陰になりやすい壁と天井との境界部分にも光を供給するので、単に天井面に照明9を設置するだけでは得られない空間的な広がりをもたらすことができる。また、天井面の照明9を使用せず、照明付き収納部材1だけを点灯させることで、よりやわらかな雰囲気を作るような使用方法もできる。これにより、キッチン・ダイニングルーム10が限られたスペースからなる場合であっても、豊富な収納量を確保して機能性を高めるとともに、食事時や食後の落ち着きやくつろぎ感も提供することができるようになる。
【0018】
また、本発明の照明付き収納部材1は、例示したようにキッチン・ダイニングルーム10に設置するだけでなく、豊富な収納機能と空間の演出性との双方が必要とされる居室であれば、リビングスペースや寝室など、どのような場所にでも設置することができ、収納スペースを確保しつつ広がり感のあるインテリア性の高い居室を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、キッチン上部の吊り戸棚などの収納部に利用することができ、限られたスペース内において収納性と空間の演出性との両面を実現するのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る照明付き収納部材の断面図である。
【図2】図1の照明付き収納部材の開閉扉を開放したところを示す断面図である。
【図3】本発明に係る照明付き収納部材の使用例を説明する図である。
【符号の説明】
【0021】
1 照明付き収納部材
2 収納本体部
21 開口部
3 開閉扉
4 照明光源
5 反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に固定され前面に開口部を有するボックス状の収納本体部と、開口部の辺縁に回動自在に取り付けられた開閉扉とを備え、開閉扉は拡散透過性を有する材料により形成されるとともに、この開閉扉の背面に照明光源が装着され、この照明光源の背面側が反射板で覆われてなることを特徴とする照明付き収納部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−68317(P2006−68317A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255978(P2004−255978)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成15年度経済産業省「資源循環型住宅技術開発事業(長期耐用住宅のあり方研究とシステム開発)」に係る委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000198787)積水ハウス株式会社 (748)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】