説明

照明付き梯子

【課題】スイッチを容易に発見・作動させることができ、暗所でも安全に使用することができる照明付き梯子を提供する。
【解決手段】本発明の照明付き梯子は、支柱10と、支柱10間に架設された複数の踏み桟20と、を有する梯子において、複数の踏み桟20の少なくとも1つが踏み面にスイッチ30aを備え、スイッチ30aにより梯子に設けた照明用の光源40がオン・オフされる、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梯子に照明用の光源を取り付けた照明付き梯子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に広く利用されている梯子には、照明装置が取り付けられていないため、夜間や地下などの暗所で使用する際には、手元や足元の確認が容易でなく、使用者が感覚で昇降することが多い。
【0003】
そのため、使用者が落下したり梯子が転倒したりするなどの事故が多く発生しているのが現状であり、死亡事故などの重大な事故に発展する危険性も孕んでいる。
【0004】
したがって、日中などの周囲が明るい環境において使用するのが正常な利用方法と認識されているが、これでは、使用可能な時間帯が限られ、使用効率が低い。
【0005】
例えば、工事作業においては、全体の作業工程に影響する場合があるし、作業の延長などの事情で日没後も不本意に使用する場合などもあって、一般的に正常と認識されている利用方法(明るい環境での使用)が必ずしも順守されているわけではない。
【0006】
そのような中で、特に、災害時や緊急時においては、梯子を急いで使用するため、その踏み桟を誤って踏み外しバランスを失って、落下や転倒などにつながる危険性がさらに高くなる。
【0007】
そこで、従来、梯子に照明器具を取り付けることが検討されてきた。
【0008】
例えば、建物に固定される一対の固定支柱間に、踏み板を架設して梯子に形成し、該梯子の固定支柱の前面に、背かご状に形成した可動支柱を起倒可能に配設するとともに、固定支柱の上方に背かご形状の可動支柱の起立と連動して点灯する照明灯が設けられていることを特徴とする避難梯子が知られている(特許文献1参照)。
【0009】
しかし、この避難梯子では、照明灯は、背かご形状の可動支柱の起立と連動して点灯するようになっており、建物に固定されることを前提としているものであって、自由に持ち運びができないので、移動して使用することができないという問題がある。
【0010】
また、二本の両側の支柱と、該支柱間に略一定間隔で架設された踏み板と、からなり、支柱の下端が床面に接地し、かつ壁に傾斜した状態で立てかけられて使用される室内用の梯子であって、照明部を支柱の上側と下側や手すりに配置したことを特徴とする室内用の梯子が知られている(特許文献2参照)。
【0011】
さらに、脚立の脚柱の内側または踏桟の下部に照明器具を内蔵し、脚柱の内側に内蔵した場合は踏桟の上部に光を照射し、また踏桟の下部に内蔵した場合は当該踏桟の一段下の踏桟上部に光を照射する形態とし、その照明器具を点灯するためのスイッチを脚柱の表面に設けるようにした脚立が知られている(特許文献3参照)。
【0012】
しかし、これらの梯子や脚立は、スイッチを支柱や脚柱に設けているため、以下の問題があった。
【0013】
すなわち、梯子や脚立の使用者は、子供や高齢者まで様々であるため、支柱や脚柱のどの高さにスイッチを設けるべきかを一概に決めることはできない。
【0014】
また、スイッチを入れれば照明を付けることができるものの、そもそも、スイッチを入れる前にスイッチを見つけることが困難であるという問題がある。
【0015】
なお、上述の特許文献1の技術では、避難梯子の照明灯は、固定支柱の上方一点だけに設けられているものであるので、この梯子を降下する際には、その照明灯の明かりが降下する者自身によって阻まれ足元の踏み桟が最下部まで容易に確認できないという問題もあった。
【0016】
また、特許文献2の技術では、照明部が、支柱の上側と下側や手すりといった限られた位置に設けられているものであるので、照明から離れた中央付近では明かりが十分でない場合がある。これを確実に克服するためには照度を上げる必要があるが、その場合、照明部近くで照度が強くなりすぎる恐れがあった。
【0017】
特許文献3の技術では、脚柱の内側に内蔵した場合は、脚柱の内側から踏桟の上部に光を照射するので、足元には光が十分に照射されない。踏桟の下部に内蔵した場合は、足元を一段上の踏み桟から照らすので、照度を上げる必要があってコスト高となるし、上側から下側に光を照射するので、梯子を昇るときにまぶしく感じるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2003−328670号公報
【特許文献2】特開平10−037641号公報
【特許文献3】特開2010−163847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
そこで、本発明は、スイッチを容易に発見・作動させることができ、暗所でも安全に使用することができる照明付き梯子を提供することを目的としている。好ましくは、梯子全体にわたりバランス良く光を照らし、かつ、僅かな照度で視認性が確保されるとともに、梯子を昇るときにまぶしく感じることのない照明付き梯子をも提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、複数の踏み桟の少なくとも1つが踏み面に前記スイッチを備えるようにすれば、スイッチの発見および作動が極めて容易となることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0021】
また、複数の踏み桟のそれぞれが、踏み面側に光を照射するように前記光源を内蔵しているものであれば、梯子全体にわたりバランス良く光を照らすことができ、かつ、僅かな照度で視認性を確保できるとともに、梯子を昇るときにまぶしく感じるおそれもなくなることも見出した。
【0022】
すなわち、本発明にかかる照明付き梯子は、支柱と、前記支柱間に架設された複数の踏み桟と、を有する梯子において、前記複数の踏み桟の少なくとも1つが踏み面にスイッチを備え、前記スイッチにより梯子に設けた照明用の光源がオン・オフされる、ことを特徴とする。
【0023】
本発明にかかる照明付き梯子は、上記において、前記複数の踏み桟のそれぞれが、踏み面側に光を照射するように前記光源を内蔵しているものであることができる。
【0024】
また、前記支柱または前記踏み桟が電源として電池を備えているものであることができる。
【0025】
さらに、配線が前記支柱および前記踏み桟に沿って設けられているとともに、前記配線が外部にまで延出されて外部電源と電気的に接続可能となっているものであることができる。
【0026】
そして、前記光源のオン・オフが、有線式または無線式の遠隔操作機器に設けられたスイッチの作動によっても可能となっているものであることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、複数の踏み桟の少なくとも1つが踏み面にスイッチを備えているので、踏み面の限られた面積内でスイッチを探せばよく、支柱の任意の高さに設けられたスイッチと比べると、スイッチの発見および作動が遥かに容易である。
【0028】
各踏み面に光源を設けるようにすれば、梯子全体にわたりバランス良く光を照らすことができる。また、足元の近くに光源があることで僅かな照度で安全性を確保でき省エネルギー化にも資するものとなる。さらに、踏み面で足元を照らすものであって、上から下向きに光が照射されるものではないので、梯子を昇るときにまぶしいという問題も生じない。
【0029】
上記において、支柱または踏み桟が電源として電池を備えているものであれば、外部電源のない屋外や停電時においても利用することができる。
【0030】
配線が前記支柱および前記踏み桟に沿って設けられているとともに、この配線が外部にまで延出されて外部電源と電気的に接続可能となっているものであれば、外部電源の利用により、長時間の使用が可能である。上述する電池と併用することにより、普段は電池を利用し、電池の残量が少なくなったときや長時間の使用時には外部電源を利用するという方法や、逆に、普段は外部電源を利用し、停電時などの緊急時や外部電源のない屋外での使用の際に、電池を予備バッテリーという位置づけで利用する方法など、使用態様に応じた使い分けが可能であり、利便性が増大する。
【0031】
また、光源のオン・オフが、有線式または無線式の遠隔操作機器に設けられたスイッチの作動によっても可能となっているものであれば、梯子直近やその周辺で手軽にスイッチ操作ができる。遠隔からのスイッチ操作で照明を点灯させることにより、事前に昇降位置を確認することが容易にでき、昇降に際して昇降に適応したスムーズな体制で臨めるとともに、利便性もよく、より安全でかつ安心して昇降できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の照明付き梯子の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の照明付き梯子の一実施形態を示す部分拡大図である。
【図3】本発明の照明付き梯子の一実施形態におけるフットスイッチの取付け状態を示す断面図である。
【図4】本発明の照明付き梯子の一実施形態における光源の取付け状態を示す断面図である。
【図5】本発明の照明付き梯子の一実施形態における電池収納ボックスの取付け状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の照明付き梯子の別の実施形態における太陽電池の取付け状態を示す部分断面図である。
【図7】本発明の照明付き梯子の別の実施形態における電池収納ボックスの取付け状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図1〜7を用いて、本発明にかかる照明付き梯子の好ましい実施形態について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
【0034】
図1,2に示す照明付き梯子は、基本構造は一般的な梯子と共通しており、具体的には、支柱10と、支柱10間に架設された複数の踏み桟20と、を有している。踏み桟20は、水平に一定間隔で設けられており、その上端にはエンドキャップ11が設けられ、その下端には滑り止め端具12が設けられている。最下部の踏み桟20には、補強金具21が設けられている。
【0035】
支柱10や踏み桟20の材質としては、持ち運びの便のため、軽量であることが好ましく、また、その用途上、衝撃などにも強いものであることが好ましい。このような条件を満足するものとして、例えば、アルミニウムなどの軽金属製のものや、スチール製のものが好ましい。また、電力会社や消防機関などで災害などの緊急出動の際に用いられる梯子などは、絶縁性の高いガラス強化プラスチック製など、その目的に応じた特殊な材質を採用してもよい。
【0036】
本発明にかかる照明付き梯子は、このような従来と同様の構成において、複数の踏み桟20の少なくとも1つが踏み面にスイッチ30aを備え、スイッチ30aにより照明用の光源40がオン・オフされる。
【0037】
図1,2では、最下部の踏み桟20の右端にスイッチ30aを設けている。
【0038】
このように、通常、最下部の踏み桟20にスイッチ30aを設けるようにする。これは、昇降のできるだけ早い段階で照明を点灯させることが望ましいからである。
【0039】
このスイッチ30aとしては、フットスイッチやマットスイッチなど、脚で踏んでスイッチ操作できるものが望ましい。
【0040】
例えば、図3に示すようなフットスイッチが好適である。
【0041】
図3において、紙面左側が梯子の前側、すなわち、使用者が昇降を行う側である。
【0042】
踏み桟20の一部が凹部となっており、そこに、フットスイッチ30aが配置されていて、該フットスイッチ30aは、使用者がスイッチの切り替えのために踏むペダル31を表面に有するとともに、その内側では、梯子の後ろ側(紙面左側)で高さが固定されていて、中央にスプリング32、梯子の前側に接点33が設けられている。
【0043】
踏み桟20の一部に設けられた凹部22は、例えば、踏み桟20表面の一部を切断除去し、そこに、鋼板などの使用者の体重にも耐え得る強度の材料で、フットスイッチ30aを配置するのに十分な空間を形成することにより設けることができる。
【0044】
フットスイッチ30aは、使用者がペダル31を踏むと上下の接点33が接触し、これにより、オン・オフが切り替わるようになっている。使用者による踏み付け力が解除されると、スプリング32の弾性によって上下の接点33の接触が解消し、再び、オン・オフの切り替えが可能な状態に戻る仕組みになっている。
【0045】
フットスイッチ30aは、配線50を介して、光源40および電池60と電気的に接続しており、この配線50は、踏み桟20に設けられた中空部に内蔵されるようにしている。
【0046】
ここで、図1,2において、踏み桟20の右端にスイッチ30aを設けているのは、スイッチ30aが昇降の邪魔にならないようにするためと、スイッチ30aを分かりやすい位置に配置して発見をより容易になし得るようにするためである。スイッチ30aを左端に設けるようにしても同様の効果が得られる。
【0047】
図1では、さらに、支柱10の上部・下部の2箇所で内側にスイッチ30b、30cを設けている。このように、スイッチ30a以外に、従来あるようなスイッチを別途設けてもよいのである。
【0048】
ここで、支柱10は、その断面形状がコの字状となっており、図示しないが、スイッチ30b、30cは、支柱10の凹部内に収まるように設けられている。これらスイッチ30b、30cも配線50を介して、光源40および電池60と電気的に接続している。
【0049】
また、図示しないが、これらスイッチ30b、30cには、使用者がスイッチ操作を行うための操作部が支柱の内側に設けられている。この操作部は、単に光源40のオン・オフを行い得るものであってもよいが、さらに、照度調節機能を備えたものであってもよい。
【0050】
次に、光源40については、図1,2に示すように、複数の踏み桟20のそれぞれに光源40を内蔵させるようにすることが好ましい。
【0051】
光源40は、例えば、図4に示すように、踏み桟20内に内蔵されている。
【0052】
すなわち、図4に示す例では、踏み桟20は、光源40を内蔵できるように中空としておき、その表面の一部を切断除去して、その内部に光源40を取り付けるようにしている。
【0053】
光源40は、踏み桟20内部に固定されているとともに、その表面上には、強化プラスチックなどの耐衝撃性かつ透光性の素材からなり、かつ、踏み桟20との接合部分においてゴムパッキンを形成するなどして防水加工が施されたカバー部材41が形成されている。
【0054】
光源40は、配線50を介して、電池60およびスイッチ30a〜30cと電気的に接続しており、この配線50は、踏み桟20に設けられた中空部に内蔵されている。
【0055】
光源40としては、特に限定されないが、LEDのごとく省エネルギーの光源が好ましい。
【0056】
次に、電源について説明すると、例えば、図5に示すように、支柱10に電池収納ボックス61を取り付ける。
【0057】
ここで、支柱10は、上述のとおり、その断面形状がコの字状となっており、その凹部内に収まるように電池収納ボックス61が設けられている。
【0058】
電池収納ボックス61は、取り替え作業を容易になし得るようにするため、片開き式に開閉可能な扉を有しており、その内部に電池収納袋62を設けて、この電池収納袋62の内部に電池60を納めるようにしている。
【0059】
電池収納ボックス61の扉は、雨水の浸入などを防ぐため、開閉面の周囲にゴムパッキンを形成するなどして防水加工を施すようにするとよい。
【0060】
電池収納袋62は、対衝撃保護、すなわち、梯子の移動時や使用者の昇降時などにおける梯子の振動などの衝撃に対して、電池60の振動あるいは転動や、それらによる配線50の断線、電池60の損傷などを防ぐ効果がある。
【0061】
電池60は、小型の電池を複数設けるなどした場合には、その位置の制御が困難になるので、図5に示すように、角型電池を1つ設けるなどして、極力、その位置の制御が容易になるようにしておくことが好ましい。
【0062】
電池60は、配線50を介して、スイッチ30a〜30cおよび光源40と電気的に接続しており、この配線50は、コの字状の支柱10における凹部の角沿いに設けるようにしている。この配線50は、アルミなどで保護しておいても良い。
【0063】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば、以下のような変更実施が可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、最も単純な構造の梯子を例に説明したが、脚立も同様に採用することができる。すなわち、本発明でいう梯子には、脚立も含まれる。
【0065】
また、電源として、例えば、図6、7に示すように、太陽電池を用いることもできる。
【0066】
図6、7に示す例では、太陽光パネル601を支柱10の外側面に設けるようにし、太陽光パネル601により生成された電気エネルギーが配線50を介して、蓄電池602に供給されるようになっている。
【0067】
蓄電池602の下部には、通電制御部603が設けられており、蓄電池602への太陽光パネル601からの電気エネルギーの供給量、蓄電池602の残量などに応じて、通電量を制御することができるようになっている。これにより、天候や時刻による照度の変動があっても蓄放電が適切になされ、省エネルギー化が実現できる。
【0068】
その他の構成は、上記実施形態と共通でよい。
【0069】
なお、太陽光パネル601に照射する光は、必ずしも強い光である必要はないのであって、太陽光パネル601を支柱10外側に設けるのではなく、支柱10の内側(コの字の凹部の位置)に配置しても良い。内側に設けることで、太陽光パネル601の損傷リスクを低減できる。
【0070】
また、図示は省略するが、太陽電池と乾電池を組み合わせて、普段は、太陽電池からの電力を利用して光源を点灯させるようにし、日没後など太陽電池からの電力供給がなくなり、かつ、蓄電池に蓄電した電力も費やしてしまったときに、乾電池からの電力供給に切り替え可能となったものであってもよい。
【0071】
梯子は頻繁に使用されたり、長時間にわたって使用されたりすることは稀であるから、その電力消費も大きくなく、太陽電池による電力供給で賄える場合が多いが、天候不順や、蓄電残量がない状態で夜間突然停電した場合などの予期せぬ事態にあっても乾電池による電力供給が可能であるという利点がある。
【0072】
また、上では、電源として電池を用いるようにしたが、これに代えて、商用電源、発電機などの外部電源を利用することもできる。
【0073】
この場合、支柱および踏み桟に沿って設けられている配線が外部にまで延出されて外部電源と電気的に接続可能となっていればよい。
【0074】
支柱や踏み桟に、外部電源と接続するための配線を収納するための空間を設けておけば、持ち運び時や収納時に邪魔にならない。
【0075】
電池に代えて外部電源を利用するだけでなく、電池と外部電源を併用することもできる。
【0076】
例えば、電池と外部電源用の配線の両方を設けておいて、普段は電池を利用し、電池の残量が少なくなったときや長時間の使用時には外部電源を利用するという方法や、逆に、普段は外部電源を利用し、停電時などの緊急時や外部電源のない屋外での使用の際に、電池を予備バッテリーという位置づけで利用する方法が採用できる。
【0077】
電池としては、一次電池だけでなく、蓄電池を使用してもよいが、蓄電池を使用する場合に、蓄電池を取り外すことなく外部電源からの充電が可能となるように構成しておけば、充電のたびに蓄電池を取り外す手間が省ける利点もある。
【0078】
次に、踏み面に設けられたスイッチのほかに、支柱の上部・下部の2箇所にもスイッチを設けるようにしたが、これらの支柱に設けたスイッチは省略してもよいし、1箇所あるいは3箇所以上に設けるようにしてもよい。
【0079】
また、同一の踏み面または異なる2以上の踏み面に、2以上のスイッチを設けるようにしてもよい。
【0080】
例えば、上記実施形態では、最下部の踏み桟20にフットスイッチ30aを設けるようにしているが、この実施形態は、梯子を昇る際にフットスイッチ30aで照明を付け、用事を終え梯子を降りた後にフットスイッチ30aで照明を消すという場合には何の問題もないものの、既に高所にいる者が暗闇で梯子を降りる場合には、その者が最下部の踏み桟20のフットスイッチ30aを作動させることはできない。
【0081】
したがって、そのような使用状況が想定される場合には、例えば、梯子の最上部の踏み桟20にもフットスイッチを設けることが好ましいといえる。
【0082】
さらに、スイッチを有線式または無線式の遠隔操作機器に設けるようにしてもよい。これにより、梯子直近やその周辺で手軽にスイッチ操作ができる。
【0083】
有線式の場合は、支柱や踏み桟に沿って設けられている配線を外部にまで延出して、スイッチを設けた遠隔操作機器と接続するようにすればよい。支柱や踏み桟に、遠隔操作機器およびこれと接続している配線を収納するための空間を設けておけば、持ち運び時や収納時に邪魔にならない。また、上述のように、支柱および踏み桟に沿って設けられている配線を外部にまで延ばして外部電源と電気的に接続可能とした場合には、梯子外部への延出から外部電源に至るまでの間に遠隔操作機器を設けるようにしてもよい。
【0084】
無線式の場合は、遠隔操作機器から赤外線や電波などによる信号を送信し、支柱や踏み桟には、遠隔操作機器からの信号を受信してスイッチのオン・オフを切り替えるための受信機を設けるようにすればよい。
【0085】
上述した本発明の照明付き梯子は、暗所での使用、特に、以下に説明するように、災害時や緊急時、工事現場などでの使用に最適である。
【0086】
すなわち、災害時や緊急時などに梯子が早急に必要となる場合に、直ちに光源を点灯することができるので、落下や転倒の危険性を減少させるとともに、使用者に安心感を与え、スムーズな昇降と安全性の向上を実現できる。特に、女性や子供などは、梯子の使用が未経験であったり慣れていなかったりするので、転落からくる心配が大きく、災害時や緊急時における切迫した状況下においても迅速に昇降できない場合があるが、本発明によれば、足元や手元が十分に視認できるので、転落の心配が軽減され、恐怖心を和らげることにより、スムーズな昇降を可能とさせる。また、工事関係では、作業の延長で、日没後に梯子の必要が生じた場合、本発明の照明付き梯子を用いることができるので、作業能率が向上し、工事を翌日に繰り越す場合の経費を削減することができるとともに、順調な工事工程の推移、さらには、安全性と品質向上にも役立つ効果が期待される。
【0087】
本発明の照明付き梯子を、通常の梯子と同じように明るい場所で使用してもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、従来の梯子に代えて、例えば、暗所、特に災害時や緊急時、工事現場などにおいて好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
10 支柱
20 踏み桟
30a〜30c スイッチ
40 光源
50 配線
60 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱と、前記支柱間に架設された複数の踏み桟と、を有する梯子において、前記複数の踏み桟の少なくとも1つが踏み面にスイッチを備え、前記スイッチにより梯子に設けた照明用の光源がオン・オフされることを特徴とする照明付き梯子。
【請求項2】
前記複数の踏み桟のそれぞれが、踏み面側に光を照射するように前記光源を内蔵していることを特徴とする請求項1に記載の照明付き梯子。
【請求項3】
前記支柱または前記踏み桟が電源として電池を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明付き梯子。
【請求項4】
配線が前記支柱および前記踏み桟に沿って設けられているとともに、前記配線が外部にまで延出されて外部電源と電気的に接続可能となっていることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の照明付き梯子。
【請求項5】
前記光源のオン・オフが、有線式または無線式の遠隔操作機器に設けられたスイッチの作動によっても可能となっていることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の照明付き梯子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−14910(P2013−14910A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147374(P2011−147374)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(511161443)
【Fターム(参考)】