説明

照明付き鏡装置

【課題】鏡本体2の側縁に沿って広範囲に安定よく且つ均一な照明できるようにする。
【解決手段】銀膜4のない光通過部2cを形成した鏡本体2と、導光板6の端面6aに発光ダイオード7aからなる光源7で投光して導光板6の表面6bを発光させる照明具5とを備え、鏡本体2の裏面側に照明具5を配置して導光板6の発光表面6bを鏡本体2の光通過部2cに臨ませ、光通過部2cを鏡本体2の側縁部2a,2bに形成し、鏡本体2及び導光板6の外側から光通過部2c及び導光板6を跨ぐ取着部材8を鏡本体2に接合17し、鏡本体2の裏面と取着部材8の間に照明具5を保持し、光通過部2cと導光板6の間に水膜として広げる毛細管現象を生じさせない隙間9を形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡本体の銀膜のない光通過部を発光させて照明とする照明付き鏡装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、照明付き鏡装置としては、電気器具のON・OFF操作のために鏡本体の裏面側に付設した非接触式センサースイッチの位置を視認できるようにするために、センサースイッチの近辺に局部的に銀膜のない小さな光通過部を鏡本体に形成すると共に、導光板の端面に発光ダイオードで投光して導光板の発光表面を発光させる照明具を鏡本体の裏面側に配置して、光通過部を通じて導光板の発光を鏡本体の表面側へ放って照明するようにしたものがある(特許文献1)。この照明付き鏡装置は、照明具が小さな光通過部を通じて照明する小型軽量であるため、照明具を鏡本体裏面に接着又は粘着で簡単に配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−152609号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、発光ダイオードの省エネルギーの特徴を活かして鏡本体の手前側を明るく照明する要請に応えるためには、鏡本来の写す機能を損なわないように鏡鏡本体の上下又は左右の一つの側縁に上下又は左右方向へ沿って光通過部を形成し、従来よりも光通過部の面積を広くすると共に照明具を大きくする必要がある。
【0005】
しかし、鏡鏡本体の側縁に沿って形成した光通過部と照明具の導光板の間の隙間へ浸入した湿気が結露したときには、結露水がこの隙間による毛細管現象で水膜として不均一に広がると、水膜を形成する部分と形成しない部分とで光通過部を通過する通過光にムラを生じさせ、不均一な照明となって不快感を招くおそれがある。
【0006】
また、照明具を大きくすることは、照明具を鏡本体裏面に接着又は粘着で簡単に安定よく配置することが困難なため、従来の技術を直ちに用いることができない。
【0007】
そこで、本発明は、鏡鏡本体の側縁に沿って形成した光通過部と照明具の導光板の間の隙間へ湿気が浸入して結露したとしても、光通過部を通過する通過光にムラが生じさせ難くして均一な照明ができるようにし、また、照明具を安定よく保持することができる照明付き鏡装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
鏡本体の側縁に沿って広い範囲に均一な照明できるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、図1乃至図3に示す如く、鏡本体の側縁に沿って広範囲に安定よく且つ均一な照明できるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、図1乃至図3に示す如く、銀膜4のない光通過部2cを形成した鏡本体2と、導光板6の端面6aに発光ダイオード7aからなる光源7で投光して導光板6の表面6bを発光させる照明具5とを備え、鏡本体2の裏面側に照明具5を配置して導光板6の発光表面6bを鏡本体2の光通過部2cに臨ませた照明付き鏡装置において、光通過部2cを鏡本体2の側縁部2a,2bに形成し、光通過部2cと導光板6の間に水膜として広げる毛細管現象を生じさせない隙間9を形成したことを特徴とする照明付き鏡装置1である。
【0009】
請求項1記載の本発明にあっては、導光板と光通過部との間が水膜として広げる毛細管現象を生じさせない隙間となっているため、例え湿気が該隙間へ浸入しても、該隙間において結露水が毛細管現象で水膜として広がることもない。
【0010】
照明具を安定よく保持して鏡本体の側縁に沿って広い範囲に安定よく且つ均一な照明ができるようにするために請求項2記載の本発明が採用した手段は、図1乃至図3に示す如く、鏡本体2及び導光板6の外側から光通過部2c及び導光板6を跨いで光通過部2cの表側の縁面と導光板6の裏面側を挟む取着部材8を鏡本体2に接合17し、鏡本体2の裏面と取着部材8の間に照明具5を保持した請求項1記載の照明付き鏡装置である。
【0011】
請求項2記載の本発明にあっては、鏡本体の外側から光通過部及び導光板を跨ぐ取着部材を鏡本体に接合して、鏡本体の裏面と取着部材の間に照明具を安定よく保持することができると共に、安定よく配置した導光板と光通過部との間が水膜として広げる毛細管現象を生じさせない隙間となっているため、例え湿気が該隙間へ浸入しても、該隙間において結露水が毛細管現象で水膜として広がることもない。
【0012】
発光ダイオードの異常昇温を阻止して長寿命化を図るために請求項3記載の本発明が採用した手段は、図3に示す如く、前記発光ダイオード7aと前記鏡本体2の裏面2dとの間に伝熱部材(保持部材)16を配置し、発光ダイオード7aの熱を伝熱部材16を介して鏡本体2へ放熱させる請求項1記載の照明付き鏡装置1である。
【0013】
発光ダイオードの異常昇温を阻止して長寿命化を図るために請求項4記載の本発明が採用した手段は、図5に示す如く、前記発光ダイオード7aと前記取着部材8との間に伝熱部材(保持部材)16を配置し、発光ダイオード7aの熱を伝熱部材16を介して取着部材8へ放熱させる請求項2記載の照明付き鏡装置である。
【0014】
揺動自在な支持構造が簡単に得られるようにするために請求項5記載の本発明が採用した手段は、図1乃至図3に示す如く、前記取着部材8にヒンジ具19を接合して両者を一体化した請求項2又は4に記載の照明付き鏡装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の本発明に係る照明付き鏡装置は、導光板と光通過部の間に湿気が浸入しても、光通過部における通過光に大きなムラを生じさせることもないため、均一な照明を得ることができる。
【0016】
請求項2記載の本発明に係る照明付き鏡装置は、鏡本体の裏面側に照明具を取着部材で安定よく配置することができると共に、導光板と光通過部の間に湿気が浸入しても、光通過部における通過光に大きなムラを生じさせることもないため、鏡本体の縁部に沿って広範囲に安定よく且つ均一な照明を得ることができる。
【0017】
請求項3記載の本発明に係る照明付き鏡装置は、発光ダイオードの熱を鏡本体へ放熱させることで、発光ダイオードの異常昇温を阻止して長寿命化を図ることができる。
【0018】
請求項4記載の本発明に係る照明付き鏡装置は、発光ダイオードの熱を取着部材へ放熱させることで、発光ダイオードの異常昇温を阻止して長寿命化を図ることができる。
【0019】
請求項5記載の本発明に係る照明付き鏡装置は、取着部材とヒンジ具を一体化することで、揺動自在な装置の支持構造を簡単に得られるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1及び第5の実施の形態に係る本発明の照明付き鏡装置(以下、「本発明鏡装置」と言う。)1(51)をキャビネットBに備えたミラーキャビネット付き洗面台Aを示すものであって、図(A)は正面図、図(B)は部分破断した右側面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る本発明鏡装置1を示すものであって、図(A)は拡大して中間省略した正面図、図(B)は図1(A)のイーイ線において拡大して中間省略した右側面図である。
【図3】図1(A)のローロ線で断面して拡大した右側面図である。
【図4】第2の実施の形態に係る本発明鏡装置21の要部を示す縦断面図である。
【図5】第3の実施の形態に係る本発明鏡装置31の要部を示す縦断面図である。
【図6】第4の実施の形態に係る本発明鏡装置41の要部を示す縦断面図である。
【図7】第5の実施の形態に係る本発明鏡装置51を示すものであって、図(A)は図1(A)のハーハ線における部分破断して拡大した平面図、図(B)は図1(A)のニーニ線で断面して拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施の形態)
図1乃至図3に示す第1の実施の形態に係る本発明鏡装置1は、図1に示すミラーキャビネット付き洗面台AのキャビネットBに備えられる開閉式三面鏡Cの中央鏡装置Caを構成するものであって、鏡本体2の上下の側縁部2a,2bの左右幅方向域の全体又は大半から前方へ向かって光を放って鏡本体2の手前側を照明すると共に、鏡本体2の裏側(後側)上下寄りから後方へ向かって光を放ってキャビネットBの中央の収納部Ba側を照明するようになっている。
【0022】
本発明鏡装置1は、図2及び図3に示す如く、上下の側縁部2a,2bの各々に左右方向へ沿って銀膜(反射用膜)4のない光通過部2cを形成した鏡本体2と、発光ダイオード(以下、「LED」と言う。)からなる光源7で導光板6の光入射端面6aに投光して導光板6の発光表面6b及び発光裏面6cを発光させる上下の照明具5,5と、鏡本体2及び導光板6の外側から光通過部2c及び導光板6を跨いで光通過部2cの表側の上下一方の縁面と導光板6の裏面側を挟むようにして鏡本体2に接合17した上下の取着部材8,8とを備えている。本発明鏡装置1は、鏡本体2の銀膜4がある裏面2dと各取着部材8の間に各照明具5を保持させ、導光板6の発光表面6bを鏡本体2の光通過部2cに臨ませると共に導光板6の発光裏面6cを取着部材8の開口部8dを介してキャビネットBの収納部Ba側に臨ませ、鏡本体2の各光通過部2cと各照明具5の導光板6の間に水膜として広げる毛細管現象を生じさせない隙間9を形成してある。本発明鏡装置1は、図3に示すように照明具5等からなる上方寄り照明装置が構成され、照明具5等からなる下方寄り照明装置が上方寄り照明装置と上下対称に構成される。なお、本発明鏡装置1は、他の照明装置等との関係で、上下寄りの照明装置のうち、何れか一方を省略することも可能である。
【0023】
前記鏡本体2は、図3に示す如く、透明ガラス板3と、透明ガラス板3の裏面の上下の光通過部2c,2cを除く箇所に設けた銀膜4と、裏面側領域のうち上下の各照明具5を配置する領域を除いた部分の全部又は適所に接着剤又は粘着剤で接合11した合成樹脂素材又は木質素材等で成形した裏板10とを備えている。
【0024】
前記上下の各照明具5は、図3に示す如く、アクリル(PMMA)製等から形成された導光板6と、導光板6の光入射端部6aに投光する光源7と、導光板6の発光表面6bの反対側である裏面側に設けた反射シート12と、導光板6の発光裏面6cの反対側である表面側に設けた反射シート13と、導光板6の光入射端部6aの反対側である端面側に必要に応じて設けた反射シート14とを備え、光源7から導光板6の光入射端部6aへ入射した光を光伝達部6dで表面反射を繰り返して伝達させ(図中に破線の矢印線aで示す。)、発光表面6b及び発光裏面6cを発光させるようにしてある。導光板6は、鏡本体2の発光表面6b及び発光裏面6cと反対側面に凹溝加工を施して複数条の光散乱部6e及び光散乱部6fを設け、光伝達部6dを伝達する光を散乱させると共に反射シート12,13で反射させて発光表面6b及び発光裏面6cから出光させるようにしてある。なお、導光板6は、図示省略したが、光散乱部6eを発光表面6bに設けると共に、光散乱部6fを発光裏面6cに設けることも可能である。
【0025】
前記光源7は、図3に示す如く、配線基板7bに複数個の小型のLED7aを適宜間隔で列状に実装したもの等が用いられる。光源7は、鏡本体2の裏面2dに接着剤または粘着剤で接合15した保持部材16に配線基板7bを保持させ、LED7a等から出る熱を、熱伝導性の良好な接合部15、保持部材16及び配線基板7bからなる伝熱部材を介して鏡本体2へ放熱させてLED7aの異常昇温を阻止するようにしてある。保持部材16は、アルミニュウム等の熱伝導性の良好な素材から略L字状に成形され、配線基板7bを保持させ保持片16aと、鏡本体2の裏面に接合15する接合片16bを有する。なお、保持部材16は、熱伝導性を更に良好とするために、図示は省略したが、接合片16bに、鏡本体2の裏面2dに直接当接する凸部と、接合部15を介して鏡本体2の裏面2dに接合する凹部を多数分散させて設けることもある。
【0026】
前記取着部材8は、図3に示す如く、鏡本体2の外側から鏡本体2の各光通過部2c及び各照明具5の導光板6を前後で跨ぐように折曲げ形成した表側片8a,中間片8b及び裏側片8cを備え、表側片8aと裏側片8cで光通過部2cの表側の上下一方の縁面と導光板6の裏面側を挟むと共に鏡本体2の裏板10の無い裏面側と裏側片8cの間に照明具5の導光板6を配置して、裏側片8cを裏板10にビス等で接合17することで、保持部材16を介して鏡本体2と裏側片8cで照明具5の導光板6を挟持して保持するようにしてある。裏側片8cには、照明具5の導光板6の発光裏面6cと対向する位置に開口部8dを開口し、発光裏面6cの放つ光を開口部8dへ通過させてキャビネットBの収納部Ba側を照明するようにしてある。表側片8a及び中間片8bは、鏡本体2及び導光板6の端面側を覆う蓋体の役割を担っている。取着部材8は、図2に示す如く、当止め足8eを取付けてある。なお、鏡本体2に裏板10を設けない場合には、図示は省略したが、取着部材8の裏側片8cの適所を折曲げ加工する等して鏡本体2の裏面2dに接着剤または粘着剤で接合するとよい。
【0027】
前記隙間9は、図3に示す如く、外部の湿気が浸入して鏡本体2の光通過部2cの裏面2c−1や導光板6の発光表面6bに結露して付着水滴が生じたとき、付着水滴を両面2c−1,6bに架け渡して水膜として広げる毛細管現象を生じさせない隙間寸法Gを確保してある。隙間寸法Gは、鏡本体2の銀膜4の厚み寸法以上である1mm以上とし、本例では、銀膜4、接合部15、保持部材16の接合片16a及び反射シート14の厚み寸法の総和2〜4mmとなっている。もし、前記隙間9を設けることなく鏡本体2の光通過部2cと導光板6の発光表面6bの間が毛細管現象を生じさせる程に狭いときには、結露水が両面2c−1,6bの一部分に接触して広がる部分的な水膜となり、光通過部2cを通過しようとする通過光に対してこの部分的な水膜が大きなムラを生じさせ、鏡本体2の側縁に沿って広範囲に安定よく且つ均一な照明を得ることができなくなる。
【0028】
本発明鏡装置1は、図2に示す如く、鏡本体2の上下寄の左右側面を照明具5と共に覆うように、端板18,18を取付けて見栄えよくしてある。端板18,18は、鏡本体2の裏板10に、ビス(図示略)等で接合して固定される。また、本発明鏡装置1は、図2及び図3に示す如く、キャビネットB(図1参照)に揺動自在に連結して開閉扉を兼用するように、蝶番等からなるヒンジ具19が取着部材8に取付けられている。
【0029】
本発明鏡装置1は、光源7の光を導光板6の光伝達部6dへ伝達させて導光板6の発光表面6b及び発光裏面6cから放って鏡本体2の手前側及びキャビネットBの収納Ba側を照明する。本発明鏡装置1は、鏡本体2の外側から光通過部2c及び導光板6を跨ぐ取着部材8を鏡本体2に接合17して、鏡本体2の裏面と取着部材8の間に照明具5を安定よく保持することができると共に、安定よく配置した導光板6と光通過部2cとの間が水膜として広げる毛細管現象を生じさせない隙間9となっているため、湿気が該隙間9へ浸入して鏡本体2の光通過部2cの裏面2c−1や導光板6の発光表面6bに結露しても、該隙間9において結露水が毛細管現象で水膜として広がることもないため、鏡本体2における光通過部2cにおける通過光に大きなムラを生じさせることもなく、鏡本体2の縁部2a,2bに沿って広範囲に安定よく且つ均一な照明を得ることができる。
【0030】
本発明鏡装置1は、LED7a等が生ずる熱を、熱伝導性の良好な接合部15、保持部材16及び配線基板7bからなる伝熱部材で鏡本体2へ放熱させることで、LED7aの異常昇温を阻止して長寿命化を図ることができる。また、本発明鏡装置1は、取着部材8とヒンジ具19を一体化することで、揺動自在な支持構造を簡単に得るこができるようになる。
【0031】
(第2の実施の形態)
図4に示す第2の実施の形態に係る本発明鏡構造21は、取着部材8の裏側片8cに光通過用の開口部を設けることなくキャビネットBの収納部Ba側を照明しないようにした点、及び導光板6の固定構造が第1の実施の形態(図1〜図3)と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態(図1〜図3)と実質的に同一であり、図4において図3と同一符号は相当部分を示す。
【0032】
照明具5を構成する導光板6は、鏡本体2の光通過部2cと対面しない部分が、保持部材16の接合片16b及び取着部材8の裏側片8cとの間に隙間22,23を形成してある。これら隙間22,23は、導光板6のエバネッセント光を接合片16bや裏側片8cに至らしめない隙間寸法とし、光損失を少なくしてある。
【0033】
導光板6の固定構造は、左右両端面を端板18,18(図2参照)に凹凸嵌合、接着又は粘着等で接合し、端板18,18を介して鏡本体2に固定してある。また、導光板6の固定構造の別態様としては、図示は省略したが、導光板6の左右両側縁を保持部材16の接合片16bより左右外側へ延設させ、延設させた導光板6の左右両側縁を鏡本体2の銀膜4と取付部材8の裏側片8cとで挟んで固定させることもある。このときには、導光板6の表面側と鏡本体2の銀膜4との間にスペーサを介在させると共に、導光板6の裏面側と取付部材8の裏側片8cとの間にスペーサを介在させるとよい。
【0034】
(第3の実施の形態)
図5に示す第3の実施の形態に係る本発明鏡構造31は、取着部材8の裏側片8cに光通過用の開口部を設けることなくキャビネットBの収納部Ba側を照明しないようにした点、鏡本体2の裏板10と取着部材8の裏側片8cの間に保持部材16の接合片16bを挟持させ点、及び導光板6の固定構造が第1の実施の形態(図1〜図3)と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態(図1〜図3)と実質的に同一であり、図5において図3と同一符号は相当部分を示す。
【0035】
本発明鏡構造51は、LED7a等から出る熱を、熱伝導性の良好な保持部材16からなる伝熱部材を介して取着部材8へ放熱させてLED7aの異常昇温を阻止することができる。
【0036】
導光板6の固定構造は、前記第2の実施の形態と同様に、左右両端面を端板18,18(図2参照)に凹凸嵌合、接着又は粘着等で接合し、端板18,18を介して鏡本体2に固定してある。また、導光板6の固定構造の別態様としては、図示は省略したが、導光板6の左右両側縁に非発光部を延設させ、延設させた導光板6の左右両側縁を鏡本体2の透明ガラス板3の左右両側縁と取付部材8の裏側片8cとで挟んで固定させることもある。このときには、延設させた導光板6の左右両側縁と透明ガラス板3の左右両側縁との間にスペーサを介在させるとよい。
【0037】
(第4の実施の形態)
図6に示す第4の実施の形態に係る本発明鏡構造41は、鏡本体2の裏板10と取着部材8の裏側片8cの間に保持部材16の接合片16bを挟持させると共に、鏡本体2の裏面2dに導光板6を接着剤または粘着剤で接合15した点が第1の実施の形態(図1〜図3)と大きく異なり、その他の部分については第1の実施の形態(図1〜図3)と実質的に同一であり、図6において図3と同一符号は相当部分を示す。
【0038】
本発明鏡構造41は、LED7a等から出る熱を、熱伝導性の良好な保持部材16からなる伝熱部材を介して取着部材8へ放熱させてLED7aの異常昇温を阻止することができる。
【0039】
(第5の実施の形態)
図1に示す第5の実施の形態に係る本発明鏡構造51は、ミラーキャビネット付き洗面台AのキャビネットBに備えられる開閉式三面鏡Cの左右の脇鏡装置Cb,Cc(左右の脇鏡装置Cb,Ccは左右対称の構造である。)を構成するものであって、鏡本体52の左右の側縁部52a(又は52b)の上下幅方向域の全体又は大半から前方へ向かって光を放って鏡本体52の手前側を照明すると共に、鏡本体52の左右の側縁部52a(又は52b)の裏側(後側)から後方へ向かって光を放ってキャビネットBの脇側の収納部Bb側を照明するようになっている。
【0040】
左側の脇鏡装置Cbを構成する本発明鏡装置51は、図7に示す如く、左の側縁部52aに上下方向へ沿って銀膜4のない光通過部52cを形成した鏡本体52と、LEDからなる光源7で導光板6の光入射端面6aに投光して導光板6の発光表面6b及び発光裏面6cを発光させる照明具5と、鏡本体52及び導光板6の外側から光通過部52c及び導光板6を跨ぐようにして鏡本体52に接合17した取着部材8とを備え、鏡本体52の銀膜4がある裏面52dと取着部材8の間に照明具5を保持させ、導光板6の発光表面6bを鏡本体52の光通過部52cに臨ませると共に導光板6の発光裏面6cを取着部材8の開口部8dを介してキャビネットBの収納部Bb側に臨ませ、鏡本体52の光通過部52cと照明具5の導光板6の間に水膜として広げる毛細管現象を生じさせない隙間9を形成してある。なお、右側の脇鏡装置Ccを構成する本発明鏡装置51は、左側の脇鏡装置Cbを構成する本発明鏡装置51と左右対称の構造となる。
【0041】
前記鏡本体52は、図7に示す如く、第1の実施の形態と同様に、透明ガラス板3と、透明ガラス板3の裏面の光通過部52cを除く箇所に設けた銀膜4と、裏面側領域のうち照明具5を配置する領域を除いた部分の全部又は適所に接着剤又は粘着剤で接合11した合成樹脂素材又は木質素材等で成形した裏板10とを備えている。
【0042】
前記照明具5は、図7に示す如く、第1の実施の形態と同様に、導光板6、光源7、反射シート12、反射シート13及び反射シート14を備え、光源7から導光板6の光入射端部6aへ入射した光を光伝達部6dで表面反射を繰り返して伝達させ(図中に破線の矢印線aで示す。)、発光表面6b及び発光裏面6cを発光させるようにしてある。導光板6は、鏡本体52の発光表面6b及び発光裏面6cと反対側面に凹溝加工を施して複数条の光散乱部6e及び光散乱部6fを設け、光伝達部6dを伝達する光を散乱させると共に反射シート12,13で反射させて発光表面6b及び発光裏面6cから出光させるようにしてある。
【0043】
前記光源7は、図7に示す如く、第1の実施の形態と同様に、配線基板7bに複数個の小型のLED7aを適宜間隔で列状に実装したもの等が用いられる。光源7は、鏡本体52の裏面52dに接着剤または粘着剤で接合15した保持部材16に配線基板7bを保持させ、LED7a等から出る熱を、熱伝導性の良好な接合部15、保持部材16及び配線基板7bからなる伝熱部材を介して鏡本体52へ放熱させてLED7aの異常昇温を阻止するようにしてある。
【0044】
前記取着部材8は、図7に示す如く、第1の実施の形態と同様に、鏡本体52の外側から鏡本体52の光通過部52c及び照明具5の導光板6を前後で跨ぐように折曲げ形成した表側片8a,中間片8b及び裏側片8cを備え、表側片8aと裏側片8cで光通過部52cの表側の左縁面と導光板の裏面側を挟むと共に鏡本体52の裏面側と裏側片8cの間に照明具5の導光板6を配置して、裏側片8cを裏板10にビス等で接合17することで、保持部材16を介して鏡本体2と裏側片8cで導光板6を挟持するようにしてある。鏡本体52の裏面側と裏側片8cの間に照明具5の導光板6を配置するようにして、裏板10にビス等で接合17することで、保持部材16を介して鏡本体52と裏側片8cで導光板6を挟持するようにしてある。裏側片8cには、照明具5の導光板6の発光裏面6cと対向する位置に上下方向へ延びる開口部8dを開口し、発光裏面6cの放つ光を開口部8dへ通過させてキャビネットBの収納部Bb側を照明するようにしてある。
【0045】
前記隙間9は、図6に示す如く、第1の実施の形態と同様に、外部の湿気が浸入して鏡本体52の光通過部52cの裏面52c−1や導光板6の発光表面6bに結露して付着水滴が生じたとき、付着水滴を両面52c−1,6bに架け渡して水膜として広げる毛細管現象を生じさせない隙間寸法Gを確保してある。
【0046】
本発明鏡装置51は、図7及び図1に示す如く、鏡本体52の上下の側縁に覆蓋部58,58を取付け、導光板6及び照明具5を共に覆って見栄えよくしてある。また、本発明鏡装置51は、キャビネットB(図1参照)に揺動自在に連結して開閉扉を兼用するように、蝶番等からなるヒンジ具19が取着部材8に取付けられている。
【0047】
本発明鏡装置51は、光源7の光を導光板6の光伝達部6dへ伝達させて導光板6の発光表面6b及び発光裏面6cから放って鏡本体52の手前側及びキャビネットBの収納Bb側を照明する。本発明鏡装置51は、鏡本体52の外側から光通過部52c及び導光板6を跨ぐ取着部材8を鏡本体52に接合17して、鏡本体52の裏面と取着部材8の間に照明具5を安定よく保持することができると共に、安定よく配置した導光板6と光通過部2cとの間が水膜として広げる毛細管現象を生じさせない隙間9となっているため、例え湿気が該隙間9へ浸入して鏡本体52の光通過部52cの裏面52c−1や導光板6の発光表面6bに結露しても、隙間9において結露水が毛細管現象で水膜として広がることもないため、鏡本体52における光通過部52cにおける通過光に大きなムラを生じさせることもなく、鏡本体52の縁部52aに沿って広範囲に安定よく且つ均一な照明を得ることができる。また、本発明鏡装置51は、LED7a等が生ずる熱を鏡本体52へ放熱させることで、LED7aの異常昇温を阻止して長寿命化を図ることができる。
【0048】
(その他の実施の形態)
図7に示す本発明鏡装置51に下記変更を加えて、その他の実施の形態の本発明鏡装置とすることも可能である。
【0049】
第1の変更は、鏡本体52の両側の縁部に、光通過部52c、照明具5及び取着部材8からなる照明装置を設けることである。
【0050】
第2の変更は、第2の実施の形態(図4参照)又は第3の実施の形態(図5参照)と同様に、取着部材8の裏側片8cに光通過用の開口部を設けないようにして、キャビネットBの収納部Bb側を照明しないようにすること。
【0051】
第3の変更は、第4の実施の形態(図6参照)と同様に、鏡本体52の裏板10と取着部材8の裏側片8cの間に保持部材16の接合片16bを挟持させると共に、鏡本体52の裏面52dに導光板6を接着剤または粘着剤で接合することである。
【符号の説明】
【0052】
1(21,31,41,51) …本発明鏡装置、2…鏡本体、2a…上方の側縁部、2b…下方の側縁部、2c…光通過部、2c−1…光通過部の裏面、2d…裏面、3…透明ガラス板、4…銀膜、5…照明具、6…導光板、6a…光入射端面、6b…発光表面、6c…発光裏面、6d…光伝達部、6e…光散乱部、6f…光散乱部、7…光源、7a…LED、7b…基板、8…取着部材、8a…表側片、8b…中間片、8c…裏側片、8d…開口部、8e…当止め足、9…隙間、10…裏板、11…接合、12…反射シート、13…反射シート、14…反射シート、15…接合部、16…保持部材、16a…保持片、16b…接合片、17…接合、18…端板、19…ヒンジ具、52…鏡本体、52a…左方の側縁部、52b…右方の側縁部、52c…光通過部、52c−1…光通過部の裏面、52d…裏面、58…覆蓋部材、A…ミラーキャビネット付き洗面台、B…キャビネット、Ba…中央の収納部、Bb…脇の収納部、C…三面鏡、Ca…中央鏡装置、Cb(Cc)…脇鏡装置、G…隙間寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀膜のない光通過部を形成した鏡本体と、導光板の端面に発光ダイオードからなる光源で投光して導光板の表面を発光させる照明具とを備え、鏡本体の裏面側に照明具を配置して導光板の発光表面を鏡本体の光通過部に臨ませた照明付き鏡装置において、光通過部を鏡本体の側縁部に形成し、光通過部と導光板の間に水膜として広げる毛細管現象を生じさせない隙間を形成したことを特徴とする照明付き鏡装置。
【請求項2】
鏡本体及び導光板の外側から光通過部及び導光板を跨いで光通過部の表側の縁面と導光板の裏面側を挟む取着部材を鏡本体に接合し、鏡本体の裏面と取着部材の間に照明具を保持した請求項1記載の照明付き鏡装置。
【請求項3】
前記発光ダイオードと前記鏡本体の裏面との間に伝熱部材を配置し、発光ダイオードの熱を伝熱部材を介して鏡本体へ放熱させる請求項1記載の照明付き鏡装置。
【請求項4】
前記発光ダイオードと前記取着部材との間に伝熱部材を配置し、発光ダイオードの熱を伝熱部材を介して取着部材へ放熱させる請求項2記載の照明付き鏡装置。
【請求項5】
前記取着部材にヒンジ具を接合して両者を一体化した請求項2又は4に記載の照明付き鏡装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate