説明

照明冷却システム、および、照明冷却システムに用いられる冷蔵庫

【課題】励起光源として用いられる半導体レーザを効率的に冷却することのできる照明冷却システム、および、該照明冷却システムに用いられる冷蔵庫を提供すること。
【解決手段】励起光を放出するための励起光源である半導体レーザを内蔵する容器3と、励起光源から放出された励起光の少なくとも一部を吸収し、異なる波長の光を発光するための波長変換部10と、一端が波長変換部10と接続され、励起光源からの励起光を波長変換部10に導くための光ファイバ8,9とを備え、容器3を冷蔵庫1内の冷蔵室2Aに設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明冷却システム、および、照明冷却システムに用いられる冷蔵庫に関し、特に、半導体レーザを励起光源に用いた照明冷却システム、および、該励起光源を冷却することのできる冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭が消費する電力の約16%を照明器具が消費しているといわれている。
環境問題、特に地球温暖化問題の対策として、エネルギー消費量を削減することは非常に効果的である。そこで近年、LED(発光ダイオード)や有機ELを利用した固体照明が注目され始めている。固体照明は、低消費電力、長寿命であることから、エネルギー消費量を大幅に削減でき、さらに、コンパクト、省資源、水銀レス、放出される光には赤外線、紫外線が含まれないなどの特長を有し、照明器具として有望である。
【0003】
たとえば、特許文献1には、LEDなどの半導体発光素子を用いた光配給ユニット、照明ユニット、及び照明システムが開示されている。
【特許文献1】特開2005−71870号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固体照明器具の光源としての白色LEDの発光効率は年々向上している。現在では、蛍光灯の発光効率(80〜100lm/W)を上回る150lm/Wを達成したという報告もあり、その省エネ効果は大いに期待されている。
【0005】
しかしながら、白色LEDから放射される光には熱線である赤外線は含まれないものの、LED素子自体が大きく発熱するという問題があり、このことにより、励起光源であるLED素子自体が内部量子効率の低下、低寿命化を引き起こす。そのため、LEDを用いた固体照明は、十分な冷却を行わないと照明光として得られる光の強度が低くなったり、光源の寿命が短くなったりするので照明器具の取替え頻度が高くなってしまうという問題が知られている。
【0006】
上述した通り大きな省エネ効果が期待されるLED照明であるが、その性能を発揮しつつ、大きな光束を得るためにはLED素子を十分に冷却しなければならない。照明用途では一般に大光束が必要とされるので、一般家庭の照明器具をLED照明に置き変えることを考えると、各照明器具ごとに電源を要する強制的な冷却装置を備えることが必須となる。このような構成とすることによって、固体照明の本来の特長である長寿命が活かせるようになる。
【0007】
しかしながら、それぞれの場所で用いられている、それぞれのLED照明器具ごとに冷却装置を取り付けると、それぞれの冷却装置が消費する電力の総和は大きなものとなり、折角の省エネ効果を弱めてしまうという課題が生じる。
【0008】
また、それぞれのLED照明器具ごとに電源を要するような強制冷却装置を備えない構成とした場合は、照明器具が発する熱が室内を暖め、冷房効果を低下させてしまうという課題もある。
【0009】
そこで、本発明はこれらの課題を克服し、固体照明の励起光源として半導体レーザを用い、さらに、これを1箇所で効率的に冷却することのできる照明冷却システム、および、該照明冷却システムに用いられる冷蔵庫を提供し、さらに装置の小型化を実現し、発光部が発熱しない照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明のある局面に従う照明冷却システムは、励起光を放出するための励起光源と、励起光源から放出された励起光の少なくとも一部を吸収し、異なる波長の光を発光するための波長変換部と、一端が波長変換部と接続され、励起光源からの励起光を波長変換部に導くための導光部と、励起光源を冷却するための冷却機構とを備え、励起光源は、半導体レーザであり、冷却機構は、貯蔵物を冷却するための冷蔵庫であることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、半導体レーザを内蔵するための容器をさらに備え、容器は、冷蔵庫に着脱可能であり、冷蔵庫に設置された場合に、導光部の他端と接続される。
【0012】
好ましくは、容器は、半導体レーザから放出された励起光を導光部に導くためのレンズをさらに含むことを特徴とする。
【0013】
好ましくは、冷蔵庫には、導光部と接続するための光接続部をさらに備え、容器は、半導体レーザから放出された励起光を導光部に導くための窓部をさらに含み、光接続部は、窓部と対向し、窓部から透過される励起光を導光部に導くためのレンズを有することを特徴とする。
【0014】
好ましくは、半導体レーザの発光を制御するための制御手段と、半導体レーザに電力を供給するための電源手段とをさらに備え、冷蔵庫は、電源手段と電気的に接続され、容器を接続するための容器接続部を含む。
【0015】
好ましくは、容器接続部は、電源手段と電気的に接続された端子を含み、容器は、半導体レーザと電気的に接続された電気回路と、端子を差込むための差込部とを有し、端子が端子差込口に差し込まれた場合に、端子と電気回路とが電気的に接続されることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、容器接続部は、容器を設置するための設置部を含み、設置部は、電源手段と電気的に接続された第1電極を有し、容器は、半導体レーザと電気的に接続された電気回路と、電気回路と電気的に接続され、かつ、容器が載置部に載置された場合に第1電極と接続するための第2電極とを有する。
【0017】
好ましくは、容器接続部は、冷蔵庫の冷蔵室内に設けられることを特徴とする。
好ましくは、容器接続部は、冷蔵庫の冷凍室内に設けられることを特徴とする。
【0018】
好ましくは、容器接続部は、冷蔵庫のチルド室内に設けられることを特徴とする。
好ましくは、電源手段は、冷蔵庫の駆動系の電源を兼ねており、電源手段は、交流電流を直流電流に変換するための変換手段を有する。
【0019】
好ましくは、容器内は、露点温度が−25℃以下の乾燥空気が充填されていることを特徴とする。
【0020】
好ましくは、波長変換部および導光部は、それぞれ複数設けられ、少なくとも1つの半導体レーザを用いて、複数の波長変換部に励起光を照射することを特徴とする。
【0021】
好ましくは、導光部を分離可能にするための一対のコネクタをさらに備え、コネクタにより導光部が光学的に接続されていることを特徴とする。
【0022】
好ましくは、導光部を巻き付けるためのコードリールをさらに備える。
好ましくは、波長変換部が設置される箇所の近傍に、波長変換部の発光のオン/オフを指示するための照明スイッチをさらに備え、照明スイッチは、無線により冷蔵庫内の半導体レーザの発光を指示することを特徴とする。
【0023】
この発明の他の局面に従う冷蔵庫は、照明冷却システムに用いられる冷蔵庫であって、励起光源である半導体レーザを内蔵する容器を接続するための容器接続部と、半導体レーザから放出された励起光を外部に導くための導光部と接続するための光接続部と、半導体レーザの発光を制御するための制御手段と、半導体レーザに電力を供給するための電源手段とを備え、電源手段は、冷蔵庫の駆動系の電源を兼ねており、電源手段は、交流電流を直流電流に変換するための変換手段を有し、容器接続部は、電源手段と電気的に接続される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、励起光源として用いられる半導体レーザの冷却機構として、冷蔵庫を利用する。冷蔵庫は一般家庭に広く普及しているため、それを利用することにより、半導体レーザを冷却するための別機構を設けることなく、効率的に半導体レーザを冷却することができる。
【0025】
また、その結果、照明装置のエネルギー消費量を削減することができる。また、照明装置の小型化、および、励起光源の長寿命化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0027】
本実施の形態に係る照明冷却システムは、照明装置を構成する励起光源を冷蔵庫に設置することで、励起光源の冷却を効率的に行なうものであり、冷蔵庫内に設置した励起光源から発せられた励起光を光ファイバを介して、波長変換部に照射することにより、照明光を得る。
【0028】
以下に、本実施の形態に係る照明冷却システムを詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態における照明冷却システムを模式的に示した図である。図1において、冷蔵庫1の側板、および、冷蔵庫1が備える各貯蔵室の側壁が取り除かれているものとする。
【0029】
図1を参照して、本実施の形態の照明冷却システムは、少なくとも冷蔵室2Aを有した冷蔵庫1、後述する励起光源28を有する容器3、励起光源電源部7、プラグ12、波長変換部10、導光部としての光ファイバ8,9、コネクタ部14、リモコン信号受信部(アンテナ)15、無線式照明スイッチ16、制御ユニット5、配線4,6,13を有している。
【0030】
冷蔵庫1は、飲食物等の貯蔵物を低温で保管するための電気製品を表わす。冷蔵庫1は、冷蔵室2Aと、野菜室2Bと、冷凍室2Cとを含む。冷蔵室2Aは、冷蔵庫1内において室内温度が3℃以上6℃未満に制御された貯蔵室である。冷凍室2Cは、冷蔵庫1内において室内温度が−1℃以下に制御された貯蔵室である。また、冷蔵庫1は、図示しないチルド室をさらに含んでいてもよい。チルド室とは、冷蔵庫1内において室内温度が−1℃以上3℃未満に制御された貯蔵室をさす。
【0031】
冷蔵庫1の冷蔵室2Aには、容器3が着脱可能である。
図2は、冷蔵庫1の冷蔵室2Aの内部を示す図である。冷蔵室2Aには、奥方面W1に、光ファイバ接続部22および端子24、下方面W2に、容器3をはめ込むためのレール23が設けられる。端子24およびレール23は、容器3を接続するための容器接続部として機能する。なお、ここでは、容器3をはめ込み可能にするためのレールを用いたが、容器3が設置できればレールに限定されるものではない。
【0032】
図3は、容器3の外観斜視図である。図4は、図3のIV−IV線に沿った断面を含む容器3の斜視図である。
【0033】
図3および4を参照して、容器3は、レール23にはめ込むための溝部27、端子24を差し込むための端子差込口25、励起光源28、レンズ26、電気回路29を有している。励起光源28は、半導体レーザであり、たとえばGaN系半導体レーザである。その発光波長は、405nmである。
【0034】
このように、本実施の形態によると、励起光源28が容器3の中に設置されている。そのため、故障などにより必要に応じて励起光源28を交換する際、励起光源28を直接手などで触れる必要がなく、励起光源28から放出された励起光30の光路となるキャップガラスに汚れが付着せず、光出力の低下を防止することができ、励起光30を有効に利用することができる。また、冷蔵庫1内に励起光源28を内蔵した容器3を設置した時に、発熱している励起光源28に貯蔵物が直接に接しないため、貯蔵物を傷めない。また、容器3が着脱可能であるため、必要に応じて励起光源28を容器3ごと取り替えることができる。
【0035】
なお、容器3の内部構造については、後に詳述する。
ここで、本実施の形態において、「照明装置」とは、波長変換部10、励起光源28、および、励起光源28からの光を波長変換部10に導くために必要な構成を表すものとする。さらに、後述する「照明器具」とは照明装置が実際に使用される最終製品形態をとったときの構成を表し、例えば、照明装置の構成に加え、波長変換部10にシーリングライトのようなカバーが取り付けられたようなものを照明器具と呼ぶことにする。
【0036】
冷蔵庫1の冷蔵室2Aは、複数(たとえば4つ)の容器3を有しており、各容器3に含まれる励起光源28は、電気回路29、冷蔵室2Aの奥方面W1に設けられた端子24、端子24と接続された配線4、配線4と接続された制御ユニット5、および、制御ユニット5と接続された配線6を介して、冷蔵庫1内部に設置されている電源部7と電気的に接続されている。励起光源28から放出された励起光30は、光ファイバ8,9を介して、光ファイバ9の一端が接続された波長変換部10に伝達される。
【0037】
波長変換部10は、励起光源28から放出された励起光30を受け、より波長の長い変換光を放出する蛍光体を有している。蛍光体としては、たとえば、CaAlSiN:Eu2+とCaα‐SiAlONを使用することができる。また、波長変換部10から出力される照明光11は、励起光源28から放出された励起光30を受けた蛍光体から発せられた光により、白色光となる。
【0038】
このように、容器3に内蔵された励起光源28は冷蔵室2Aにあり、3℃以上6℃未満の環境で動作する。これにより、励起光源28への霜の付着が防止でき、励起光30の取り出し効率を低下させない。したがって、光ファイバ8,9を介して波長変換部10に伝えられる励起光30の強度が下がらず、エネルギー消費量を削減した明るい照明装置を実現することができる。
【0039】
プラグ12を有する配線13は、電力会社から供給される交流電力と、励起光源電源部7とを電気的に接続するために取り付けられおり、励起光源電源部7は配線6により制御ユニット5内の駆動制御回路100(図9)と電気的に接続されている。
【0040】
また、励起光源電源部7は、交流電流を直流電流に変換し、直流電流を励起光源28に供給する装置であり、冷蔵庫1を動作させるための電源装置でもある。励起光源電源部7は電力会社から交流電力が供給される電力線からプラグ12および配線13を介して交流電力を受ける。このように、1つの電源を励起光源28と冷蔵庫1とで共有させることで製造上の部品点数を少なくすることができる。
【0041】
図5は、図1に示されるコネクタ部14の模式図である。コネクタ部14は、2つのコネクタ141,142から構成されている。コネクタ141は、光ファイバ9の一端(波長変換部10の反対側の端部)を保持し、コネクタ142は、光ファイバ8の一端(容器3の反対側の端部)を保持している。さらに、コネクタ141とコネクタ142は、光ファイバ9と光ファイバ8とを光学的に接続している。ここで、コネクタ141とコネクタ142は互いに着脱可能である。このようにすることで、一組の波長変換部10と光ファイバ9とコネクタ141は、コネクタ142から取り外しができるよう照明モジュール化され、交換を容易に行うことが可能となる。よって、照明モジュール110を容易に交換できるので、波長変換部10の設置場所を変更するために別の長さの光ファイバ9を有する照明モジュールに交換したり、別の発光色や色温度の照明光を発生させることのできる照明モジュールに交換したりしたい際にも、簡単に取り替えることができる。その結果、波長変換部10の設置場所の自由度が高まり、照明光、照明器具の選択肢の幅が広がる。
【0042】
リモコン信号受信部15は、無線式照明スイッチ16からの指示信号を受信するための装置であり、制御ユニット5に接続されている。
【0043】
ここで、図3および図4を参照して、容器3の内部構造について詳細に説明する。
レンズ26は、励起光源28から放出された励起光30を光ファイバ接続部22に保持された光ファイバ8の端面に集光する。このように、光ファイバ8の端面に励起光30を導く際にレンズ26を用いることで、励起光源28と光ファイバ8の結合損失を少なくすることができ、励起光源28から放出された励起光30の利用効率を上げることができる。
【0044】
さらに、励起光30の利用効率を上げるために、レンズ26の淵と容器3の内壁を密着させることにより、密閉空間31を設けている。密閉空間31内に、露点温度が約−25℃の乾燥空気を封入し、励起光源28をこの密閉空間31内に取り付けている。このようにすることで、密閉空間31内において、励起光源28から放出される励起光30の光路に、露、霜、ほこりなどの付着による光出力の低下を防ぐことができる。その結果、励起光30の利用効率をさらに上げることができる。
【0045】
ここで、露点温度を−25℃としたのは、次のような理由による。すなわち、容器3が3℃以上6℃未満である冷蔵室2に設置された時に、密閉空間31内の励起光30の光路に露、霜が付かないようにするためには、露点温度が冷蔵室2の取る温度範囲以下である乾燥空気が必要であることを考慮し、露点温度に十分余裕を持たせたためである。なお、通常の家庭用冷蔵庫では、最も低温(例えば−18℃〜−20℃)となる冷凍室2C内に容器3を設置する場合においても、露点温度−25℃の乾燥空気を封入しておけば、露や霜の付着を防止することができる。
【0046】
このように、容器3内を露点温度が−25℃以下の乾燥空気で充填・密閉することで、励起光源28を密閉空間31に保持することができ、励起光の光路となるキャップガラスやレンズの励起光30が入射する面などにほこりなどの汚れが付着しない。さらに、冷蔵庫1内の低温下においても結露が発生せず、光出力の低下を防止することができる。
【0047】
なお、容器3には、励起光源28の放熱を助けるため、熱伝導率の高い材料として、たとえば、絶縁塗料を塗布したアルミニウムを用いることが好ましい。
【0048】
溝部27は、冷蔵室2Aに容器3を取り付ける際に、レール23にはめ込んで取り付けるために設けられており、容器3は、レール23に着脱可能である。これは、励起光源28の寿命が切れるなどして励起光源28を交換する際、容器3ごと交換できるようにするためである。このとき、交換作業者は、励起光源28に直接触れないので、静電気により励起光源28を破壊する恐れがない。さらに、溝部27とレール23により、容器3を精度よく冷蔵室2の所定の位置に取り付けることができるので、励起光源28から放出された励起光30を効率よく光ファイバ8の端面に導くことができる。また、容器3を冷蔵室2Aのレール23に着脱する際に、余計な力が入ったとしても端子24を曲げることがなくなる。
【0049】
ここで、上述したように、励起光源28から放出された励起光30は、レンズ26により光ファイバ8端面に集光された後、光ファイバ8、9を介して波長変換部10に伝達される。ここで、光ファイバ8、9には、励起光源28の発光波長405nmの光に対して伝送損失の小さい石英系光ファイバを用いているが、これに限定されない。
【0050】
本実施の形態では、溝部27は1個しか設けられていないが、複数個設けていてもよい。その場合、図2のレール23も、容器3に設けられた溝部27の数に対応して複数個設けられるものとする。
【0051】
なお、溝部27がレール23にはめ込まれると、端子24は端子差込口25に差し込まれ、図1に示される配線4、制御ユニット5、配線6を介して、励起光源電源部7と励起光源28とが電気的に接続される。これにより、励起光源28に電圧が印加され、電流が流れ、励起光源28から励起光30が放出される。
【0052】
このように、端子24が端子差込口25に差し込まれて励起光源28に電流が流れるようにすることで、電気回路29を人が直接触れないので、静電気により励起光源28である半導体レーザが破壊されることがない。また、冷蔵庫1内にある端子24が容器3の端子差込口25に差し込まれることによってはじめて励起光源28と電源部7とが電気的に接続されるので、容器3を交換中に誤って励起光源28から放出された励起光30が直接、人の目に照射されることがなくなる。さらに、端子24が端子差込口25に差し込まれる構造とすることで、容器3が精度良く冷蔵室2Aの所定の位置に取り付けられる際の助けとなり、容器3の交換作業性が良くなり、容器3の交換の際に熟練した技術を要さない。
【0053】
なお、端子差込口25、レンズ26、溝部27の配置位置は、図3,4に示されている位置に限られるわけではない。
【0054】
次に、無線式照明スイッチ16について説明する。
無線式照明スイッチ16は、励起光源28の発光をオン/オフするための着脱式の照明スイッチであり、波長変換部10が設置される箇所の近傍に設けられる。
【0055】
無線式照明スイッチ16は、たとえば、図6に示すように、壁17に取り付けたスイッチホルダ18に載置可能とすることで、所望の壁面場所に設置することができる。あるいは、図7に示すように、壁17に設けた釘19を、無線式照明スイッチ16の裏面に設けたくぼみ20に引っ掛けるようにしてもよい。あるいは、図8に示すように、壁17に貼り付けられた第1の面ファスナー21Aに、無線式照明スイッチ16の裏面に設けた第2の面ファスナー21Bを付着させるようにしてもよい。あるいは、マグネット(図示せず)などで所望の壁面場所に設置することとしてもよい。
【0056】
無線式照明スイッチ16からは、照明のオン・オフ信号に加えて、光量調節や消灯時間、点灯時間などの指示が与えられる。無線信号としては、電波の他に、冷蔵庫1に設置された受信部から所望の範囲であれば赤外線なども使用することが出来る。
【0057】
無線式照明スイッチ16から出力された信号は、リモコン信号受信部15を介して、冷蔵庫1内部に設けられた駆動制御回路100に伝達され、駆動制御回路100は受信した信号に応じて励起光源の点灯状態を制御する。
【0058】
このように、着脱可能な無線式の照明スイッチ16を備えるので、波長変換部10の設置箇所を自在に変更することが可能となる。また、照明スイッチ16を好きな場所に取り付けることができる。
【0059】
次に、図9を用いて、本実施の形態における照明冷却システムの回路構成の一例について説明する。図9は、本発明の実施の形態における照明冷却システムの回路構成の一例を示す図である。
【0060】
図9において、4つの励起光源28は、それぞれ、励起光源28a,28b,28c,28dとして示される。また、これらの励起光源28a,28b,28c,28dそれぞれと電気的に接続される構成要素、および、それぞれを励起させるための照明スイッチ16の符号に、a〜dが付されている。
【0061】
また、たとえば、励起光源28a、電気回路29aおよびレンズ26aを内蔵する容器3を、容器3Aと示し、波長変換部10a、光ファイバ9aおよびコネクタ141aを含む照明モジュール110を、照明モジュール110aと示す。また、たとえば、励起光源28b、電気回路29bおよびレンズ26bを内蔵する容器3を、容器3Bと示し、波長変換部10b、光ファイバ9bおよびコネクタ141bを含む照明モジュール110を、照明モジュール110bと示す。他の組も同様に示す。
【0062】
図9を参照して、照明冷却システムの制御ユニット5は、各部を制御するための駆動制御回路100と、プログラムやデータを記憶するための不揮発性のメモリ102と、リモコン信号受信部15を介して各スイッチ16と無線通信を行なうための無線部104とを含む。駆動制御回路100は、たとえばCPUなどのプロセッサにより構成される。
【0063】
制御ユニット5には、さらに、励起光源28a,28b,28c,28dそれぞれと接続される切替スイッチ106a,106b,106c,106dを含む。各切替スイッチ106は、各々、電源部7に含まれるAC/DCコンバータ70と接続される。駆動制御回路100は、照明スイッチ16からの指令信号に応じて、対応する切替スイッチ106の導通/非導通などを制御する。
【0064】
AC/DCコンバータ70は、プラグ12および配線13より得られる交流電流を直流電流に変換する。変換された直流電流は、配線6および切替スイッチ106を介して、(励起光源28と電気的に接続するための)端子24に供給される。
【0065】
なお、電源部7は、上述のように、冷蔵庫駆動系130(たとえばコンプレッサなど)にも電力を供給するものとする。冷蔵庫駆動系130には、プラグ12および配線13を介して交流電流が供給される。
【0066】
このように、冷蔵庫1が備える電源部7により、励起光源28を駆動することが出来るので、システムの構成がシンプルになり、低コスト化を図ることが出来る。また、冷蔵庫1の外側に新たに励起光源28の電源を設ける場合に比べ、余計な配線等を無くすことができる。また、交流電流を利用して励起光源28を点灯させることができる。
【0067】
図10は、本発明の実施の形態における照明冷却システムに用いられる無線式照明スイッチ16のハードウェアブロック図である。
【0068】
各照明スイッチ16は、各部を制御するための制御部200と、プログラムおよびデータを記憶するための不揮発性のメモリ202と、ユーザからの指示を受付けるための操作部204と、制御ユニット5に指令信号を送信するための通信I/F206と、電源部208とを備える。電源部208は、たとえば乾電池209を含む。
【0069】
図11は、本発明の実施の形態の照明冷却システムの利用例を示す模式図である。ここでは、本実施形態の照明冷却システムを、台所照明、玄関照明、居間の間接照明、テレビ脇のムード照明として用いている。なお、各場所にはそれぞれ適した色となるように、蛍光体の種類、配合比率を調整した波長変換部10を用いて、適した明るさとなるように、光出力を調整することが好ましい。具体的には、台所照明では、照明光が演色性に富み、手元を明るく照らせるように使用する蛍光体を選択することが好ましい。また、玄関照明では、来訪者の顔が陰にならないような位置に演色性に富む温かみのある光を発する波長変換部を設置することが好ましい。居間の間接照明には色温度が低く、くつろぎの空間が演出できるような波長変換部を使用することが好ましい。さらに、テレビ脇のムード照明には、映像に応じた明るさが得られるよう調節ができるようにすることが好ましい。
【0070】
さてここで、環境問題が深刻になった現在、照明用の光源として、将来的に大いに省エネ効果が期待される白色LEDが注目されている。従来の蛍光灯や白熱灯は特別な冷却機構を必要としなかった。しかしこれとは逆に、白色LEDから放射される光には熱線である赤外線は含まれないがゆえにLED素子自体が大きく発熱するという問題があり、これにより、励起光源であるLED素子自体が内部量子効率の低下、低寿命化を引き起こすため、照明器具の光源としてLED素子を用いた時には、照明光として得られる光の強度が低くなったり、光源の寿命が短くなったりするので、冷却機構が必要である。
【0071】
蛍光灯、白熱灯、照明器具の光源として用いられるLED素子、それぞれの一般的な光源自体の体積を比べると、LED素子は圧倒的にその他の2つより小さいが、LED素子は冷却機構を加えた構成で用いられるため、これらトータルで照明器具として見たときにはLED照明器具の体積は大きなものとなる。しかも、十分に冷却を行おうとすれば、冷却機構はさらに大型化し、その結果、LED照明器具も大型化する。このように、LED照明器具の体積の内訳は、光源であるLED素子の体積が占める割合より、冷却機構の体積が占める割合の方が非常に大きい構造となっている。よって、LED照明器具は冷却機構の体積に大きく依存し、超小型であるというLED素子の固体素子光源としてのメリットを十分に活かしきれない。
【0072】
このLED照明器具を各場所、各部屋で用いようとした場合、それぞれに冷却機構を備えるために、LED照明器具が大型化しているので、デザインの自由度が減少したり、器具のコストが高くなったりする。さらに、能動的冷却機構を備える場合には、電力消費が増加するというデメリットがある。この、寿命、器具コスト、デザイン性、消費電力はトレードオフの関係にあり、どれかを重視しようとすると、残りは悪化してしまう。また、照明器具の設置という観点からしても、冷却機構の大きさには制約ができてしまい、必ずしもLEDにとって最適な条件で駆動させることはできなかった。
【0073】
それに対して、半導体レーザと光ファイバを用いる本実施の形態によれば、光ファイバ8,9を介させることで、照明光11を発する波長変換部10と、半導体レーザからなる励起光源28とを空間的に分離することができる。レーザはLEDに比べ光ファイバとの結合性が優れているので、素子から放出される光をより有効に利用することができる。このようにして分離した1個、またはそれ以上の複数の励起光源28を、冷蔵庫の1箇所にまとめて冷却するので、各場所、各部屋の照明光を発する部分ごとに必要であった冷却機構は不要となり、各場所、各部屋に設置する発光部分を小型・軽量化できる。よって、固体発光素子本来の超小型光源というメリットを活かした超小型の発光部分が実現できるため、発光部分のデザインの自由度が向上し、これまでにない照明器具が実現でき、照明装置のコストも低くすることができる。加えて、住宅設計の際には冷蔵庫を設置する空間はもともと確保されているので、励起光源を冷却するためだけに存在する冷却機構とは異なり、冷蔵庫、すなわち本実施形態の励起光源に対する冷却機構の設置場所を確保する問題は生じない。よって、本実施の形態によれば、新しい空間設計が可能になり、また、冷却機構として冷蔵庫を使用しているので、冷却機構の大きさ・冷却能力と半導体レーザの駆動最適温度条件の妥協点を探らなくてもよい。
【0074】
ここで、1個の半導体レーザでもある程度発熱するが、複数個の半導体レーザを1箇所にまとめればその発熱量はより大きくなり、冷却機構としては十分に大きな冷却能力を有したものでなければ半導体レーザを満足に冷却することはできない。一般家庭において、冷蔵庫は冷却能力が高く、加えて24時間稼動している電気製品であり、いつ、何時間使用するか分からない半導体レーザ、すなわち励起光源28の冷却機構には好都合である。よって、励起光源28はいつでも最適な温度条件下で駆動できるので、励起光源28の寿命が長くなるばかりでなく、励起光源28の消費電力が低くなるという利点もある。また、半導体レーザ自体は非常に小型なので、冷蔵庫1内に設置しても場所をとらないため、飲食物を低温保管するという、冷蔵庫1本来の目的達成に支障をきたすことなく、半導体レーザである励起光源28を冷却することが可能となる。
【0075】
なお、本実施の形態では、容器3は冷蔵室2Aに設置したが、これに限られるわけではない。室温以下になる部分であれば、容器3の取り付け場所として適用可能であり、冷凍室2C、チルド室(図示せず)なども可能である。したがって、必ずしも冷蔵室を含んだ冷却庫である必要はなく、冷凍室のみを有する冷却庫であってもよい。
【0076】
例えば、容器3を室内温度が−1℃以下の冷凍室2Cに設置した場合、励起光源28をより低温で冷却しながら駆動するので、励起光源28の寿命がさらに長くなる。したがって、容器3の交換頻度を少なくすることができ、より経済的になる。つまり、より長期間使用可能な環境にやさしい照明装置(および照明冷却システム)を提供することができるようになる。
【0077】
また、容器3を室内温度1℃以上3℃未満のチルド室に取り付けた場合、励起光源28を冷却できるとともに、上記温度範囲においてはチルド室内に露、霜がつくことがないので、結果として、レンズ26表面や光ファイバ8の端面などの露・霜付きによる励起光の強度低下がなくなる。すなわち、エネルギー利用効率のよい(エネルギー消費量を削減した)、明るい照明装置(および照明冷却システム)を実現することができるようになる。
【0078】
(第1変形例)
次に、上記実施の形態における容器3および光ファイバ接続部22の変形例を、本実施の形態の第1変形例として説明する。
【0079】
図12は、本実施の形態の第1変形例における容器3iの構成例を示す図である。図13は、本実施の形態の第1変形例における光ファイバ接続部22iの構成例を示す図である。図12には、図4と同様に断面を含む斜視図が示されているものとする。
【0080】
図12を参照すると、容器3iには、上記した実施の形態の容器3と比較すると、レンズ26のかわりに窓32が取り付けられている。この窓32により容器3i内は密閉されており、密閉空間31内には乾燥空気が封入されている。
【0081】
窓32は、励起光源28から放出された励起光30のピーク波長を透過させる。
図13を参照すると、第1変形例では、光ファイバ接続部22iの一端にはレンズ26が取り付けられ、光ファイバ接続部22iの他端には光ファイバ8が取り付けられている。
【0082】
励起光源28から放出された励起光30は、窓32を透過し、レンズ26に達する。レンズ26により光ファイバ8の端面に集光される。
【0083】
このようにレンズ26を光ファイバ接続部22iに取り付けることで、以下のような効果を奏することができる。すなわち、上記実施の形態では容器3の交換に付随して容器3に取り付けられている高価なレンズ26も交換することになるが、本変形例では容器3iを交換しても高価なレンズ26は交換しなくてよいので、容器3iの交換コストを低くすることができる。さらに、容器3iの製造の際には、励起光源28とレンズ26の位置あわせも必要としないので、製造コストをより低減できる。
【0084】
また、図12に示したように、窓部32は、容器3iをレール23に設置した場合に、光ファイバ接続部22iと接触する位置に設けられているため、光ファイバ接続部22iと窓部32との間にゴミの入る可能性を少なくすることができる。また、その結果、ゴミにより光が散乱される可能性も少なくなるので、励起光30の利用効率を上げることができる。
【0085】
しかしながら、容器3iをレール23に設置した場合に、窓部32が光ファイバ接続部22iと対向する位置に設けられていれば、必ずしも接触していなくてもよい。このように、窓部32と光ファイバ接続部22iとを非接触にすることで、窓部32に傷ができる可能性を少なくすることができる。また、その結果、窓部32にできた傷に起因する励起光30の散乱を防ぐことができる。
【0086】
以上より、たとえば、図21(a),(b)に示すような位置に、窓部32を設けることで、接触および非接触両方のメリットを活かすことが好ましい。このような構成とすることで、光ファイバ接続部22iと窓部32との間にゴミが入りにくく、かつ、窓部32に傷がつくことも防止することができる。
【0087】
(第2変形例)
次に、上記実施の形態における容器3およびレール23の変形例を、本実施の形態の第2変形例として説明する。
【0088】
図14は、本実施の形態の第2変形例における容器3iiの側面図である。図15は、図14のXV−XV線に沿った断面を含む容器3iiの斜視図である。図16は、本実施の形態の第2変形例における、冷蔵室2Aに設けられたレール23iを示す構成図である。
【0089】
図14および図15を参照して、容器3iiは、レンズ26および溝部27iを有している。容器3iiは、図14で示される構造に加えて、励起光源28、励起光源28と電気的に接続される電気回路29を有している。溝部27iには電気回路29と電気的に接続される電極33が取り付けられている。実施の形態における容器3と比較すると、容器3iiは、端子差込口25を含まない。
【0090】
ここで、図14において矢印301で示される溝部27iの幅はたとえば5mmとする。これは、容器3iiの交換作業者の指が図15に示される電極33に触れることがなくなり、静電気により励起光源28を破壊することがなくなるためである。
【0091】
図16を参照すると、レール23iは電極34を有している。電極34は、励起光源28の電源と配線6を介して電気的に接続されている。つまり、冷蔵庫1の奥方面W1には、端子24が設置されず、電極34は、切替スイッチ106を介して、電源部7のAC/DCコンバータ70と電気的に接続されている。
【0092】
容器3iiの溝部27iをレール23iにはめ込むことにより、容器3を冷蔵室2Aに取り付けると、電極33と電極34とは電気的に接続される。
【0093】
このように、レール23iに電極34を設け、上記実施の形態に示した端子24の役割をレール23に担わせることで、冷蔵室2Aに端子24を設けなくてよくなる。その結果、製造コストを低減でき、さらに端子24を破損する恐れがなくなる。さらに、容器3iiに端子差込口25を設けなくてよくなるので、容器3iiの製造コストを低減できる。
【0094】
(第3変形例)
次に、上記した実施の形態における無線式照明スイッチ16の変形例について、本実施の形態の第3変形例として説明する。
【0095】
図17は、本発明の実施の形態の第3変形例における無線式照明スイッチ16iの模式図である。無線式照明スイッチ16iは、乾電池209に代えて、太陽光を受光し、受講した光エネルギーを電気エネルギーに変換するための太陽電池35、および、太陽電池35からの電力を蓄えるための蓄電池36を備える。また、照明スイッチ16iは、液晶表示部37を備える。
【0096】
このように、照明スイッチ16iは、太陽電池35により発電された電力を蓄電池36に蓄えることより動作させる。これにより、無線式照明スイッチ16の電池交換の必要がなくなるので、電池交換の煩わしさがなく、低コストである。また、使い切った電池のゴミが出ないので環境にも優しい。
【0097】
液晶表示部37は、現在の照明光11の明るさ,消灯時間,点灯時間などの照明装置の動作状態、現在の時刻、および、照明装置の消費電力量や消費電力量に対する電気料金などを表示させる働きを持つ。このように、液晶表示部37を設けることで、照明装置の動作状態が容易に把握することができる。また、現在時刻の表示により消灯時間および点灯時間を指定する時に、別の場所にある時計をわざわざ見る必要がなくなる。また、照明装置の消費電力量および電気料金の表示により、照明装置の無駄な点灯がなくなり省エネにつながる。
【0098】
なお、照明スイッチ16iは、さらに、計時動作を行なうためのクロック(図示せず)を備えているものとする。
【0099】
(第4変形例)
次に、上記した実施の形態におけるリモコン信号受信部15の変形例を、本実施の形態の第4変形例として説明する。
【0100】
図18は、本発明の実施の形態の第4変形例におけるリモコン信号受信部を示す模式図である。無線式照明スイッチ16からの指示信号をより受信しやすいようにするため、リモコン信号受信部としてアンテナ38,39が光ファイバ8,9に束ねられている。
【0101】
アンテナ38の一端は、コネクタ部14のコネクタ141に接続され、他端は、波長変換部10に接続されている。アンテナ39の一端は、制御ユニット5の駆動制御回路100に接続されており、他端は、コネクタ部14のコネクタ142に接続されているものとする。
【0102】
本変形例のようにすることによって、無線式照明スイッチ16から送信される指示信号の出力を、冷蔵庫1本体にリモコン信号受信部(アンテナ)15を設置した場合に比べて弱めることができる。その結果、無線式照明スイッチ16の消費電力が低減できる。
【0103】
(第5変形例)
上記した実施の形態では、無線式の照明スイッチ16を用いたが、必ずしも無線式である必要はない。照明冷却システムに有線式の照明スイッチを設ける場合を本実施の形態の第5変形例として説明する。
【0104】
本変形例において、照明の点灯状態の指示信号を駆動制御回路100に伝達するための照明スイッチは、無線式照明スイッチ16にかわり、有線式照明スイッチ(図示せず)を用いる。有線式照明スイッチは、たとえばビニールで被覆された導線からなる配線(図示せず)により、駆動制御回路100と接続されている。
【0105】
当該配線は、駆動制御回路100から有線式照明スイッチまでの経路において、その途中光ファイバ8,9と同じ経路をたどっているものとするが、光ファイバ8,9と別の経路をたどっていてもよい。
【0106】
これにより、無線式照明スイッチ16が消費していたエネルギーを削減することができる。
【0107】
(第6変形例)
上記した実施の形態においては、コネクタ部14を設けることで、照明モジュール110を取り替えることができたが、コネクタ部14に代えて、光ファイバ8を巻き付けるためのコードリールを設けてもよい。このような形態を、本実施の形態の第6変形例として説明する。
【0108】
図19は、本発明の実施の形態の第6変形例におけるコードリール40および保持具42を示す図である。図19には、本変形例の照明冷却システムにおいて、光ファイバ8が冷蔵庫1に引き込まれた部分の断面が示されている。本変形例による照明冷却システムは、上記コネクタ部14に代えて、図20に示されるコードリール40を有している。
【0109】
本変形例において、光ファイバ8の一端は、光ファイバ接続部22に保持され、他端は波長変換部10に接続される。そして、光ファイバ8は、その途中経路においてコードリール40に巻かれている。なお、コードリール40は、冷蔵室2A内に取り付けられた容器3の数に対応した数だけ配置されることが好ましい。コードリール40は、冷蔵庫1の壁面41に取り付けられる。
【0110】
このように、光ファイバ8をコードリール40で巻くことにより、冷蔵庫1外にある光ファイバ8の長さを調節することが可能となる。その結果、上記照明モジュール110ごとわざわざ取り替えなくても、波長変換部10の設置場所を自由に変更することができる。
【0111】
本変形例において、波長変換部10は、保持具42に取り付けられる。保持具42は、光ファイバ8と波長変換部10とを光学的に接続する役割を担っている。波長変換部10は、保持具42に着脱可能である。このようにすることで、別の発光色や色温度の照明光を発生させたい時には、波長変換部10のみを取り替えるだけでよくなるので、より経済的になる。
【0112】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の実施の形態における照明冷却システムを模式的に示した図である。
【図2】本発明の実施の形態の照明冷却システムにおける冷蔵庫の冷蔵室の内部を示す図である。
【図3】冷蔵庫に着脱可能な容器の外観斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面を含む容器の斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の照明冷却システムにおけるコネクタ部の模式図である。
【図6】本発明の実施の形態の照明冷却システムにおける照明スイッチの設置例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の照明冷却システムにおける照明スイッチの他の設置例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態の照明冷却システムにおける照明スイッチのさらに他の設置例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態における照明冷却システムの回路構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における照明冷却システムに用いられる無線式照明スイッチ16のハードウェアブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態の照明冷却システムの利用例を示す模式図である。
【図12】本発明の実施の形態の第1変形例における容器の構成例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態の第1変形例における光ファイバ接続部の構成例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態の第2変形例における容器の側面図である。
【図15】図14のXV−XV線に沿った断面を含む容器の斜視図である。
【図16】本発明の実施の形態の第2変形例における、冷蔵庫の冷蔵室に設けられたレールを示す構成図である。
【図17】本発明の実施の形態の第3変形例における無線式照明スイッチの模式図である。
【図18】本発明の実施の形態の第4変形例におけるリモコン信号受信部を示す模式図である。
【図19】本発明の実施の形態の第6変形例における波長変換部から容器までの構成例を示す模式図である。
【図20】本発明の実施の形態の第6変形例におけるコードリールを示す模式図である。
【図21】本発明の実施の形態の第1変形例における容器の他の構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0114】
1 冷蔵庫、2A 冷蔵室、2B 野菜室、2C 冷凍室、3,3i,3ii 容器、4,6,13 配線、5 制御ユニット、7 電源部、8,9 光ファイバ、10 波長変換部、11 照明光、12 プラグ、14 コネクタ部、15 リモコン信号受信部、16,16i 無線式照明スイッチ、17 壁、18 スイッチホルダ、19 釘、21A,21B 面ファスナー、22,22i 光ファイバ接続部、23,23i レール、24 端子、25 端子差込口、26 レンズ、27,27i 溝部、28 励起光源(半導体レーザ)、29 電気回路、30 励起光、31 密閉空間、32 窓、33,34 電極、35 太陽電池、36 蓄電池、37 液晶表示部、38,39 アンテナ、40 コードリール、41 壁面、42 保持具、70 AC/DCコンバータ、100 駆動制御回路、102 メモリ、104 無線部、106 切替スイッチ、110 照明モジュール、130 冷蔵庫駆動系、141,142 コネクタ、200 制御部、202 メモリ、204 操作部、206 通信I/F、208 電源部、209 乾電池。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を放出するための励起光源と、
前記励起光源から放出された励起光の少なくとも一部を吸収し、異なる波長の光を発光するための波長変換部と、
一端が前記波長変換部と接続され、前記励起光源からの励起光を前記波長変換部に導くための導光部と、
前記励起光源を冷却するための冷却機構とを備え、
前記励起光源は、半導体レーザであり、
前記冷却機構は、貯蔵物を冷却するための冷蔵庫であることを特徴とする、照明冷却システム。
【請求項2】
前記半導体レーザを内蔵するための容器をさらに備え、
前記容器は、前記冷蔵庫に着脱可能であり、前記冷蔵庫に設置された場合に、前記導光部の他端と接続される、請求項1に記載の照明冷却システム。
【請求項3】
前記容器は、前記半導体レーザから放出された励起光を前記導光部に導くためのレンズをさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の照明冷却システム。
【請求項4】
前記冷蔵庫には、前記導光部と接続するための光接続部をさらに備え、
前記容器は、前記半導体レーザから放出された励起光を前記導光部に導くための窓部をさらに含み、
前記光接続部は、前記窓部と対向し、前記窓部から透過される励起光を前記導光部に導くためのレンズを有することを特徴とする、請求項2に記載の照明冷却システム。
【請求項5】
前記半導体レーザの発光を制御するための制御手段と、
前記半導体レーザに電力を供給するための電源手段とをさらに備え、
前記冷蔵庫は、前記電源手段と電気的に接続され、前記容器を接続するための容器接続部を含む、請求項2〜4のいずれかに記載の照明冷却システム。
【請求項6】
前記容器接続部は、前記電源手段と電気的に接続された端子を含み、
前記容器は、
前記半導体レーザと電気的に接続された電気回路と、
前記端子を差込むための差込部とを有し、
前記端子が前記端子差込部に差し込まれた場合に、前記端子と前記電気回路とが電気的に接続されることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の照明冷却システム。
【請求項7】
前記容器接続部は、前記容器を設置するための設置部を含み、
前記設置部は、前記電源手段と電気的に接続された第1電極を有し、
前記容器は、
前記半導体レーザと電気的に接続された電気回路と、
前記電気回路と電気的に接続され、かつ、前記容器が前記載置部に載置された場合に前記第1電極と接続するための第2電極とを有する、請求項2〜5のいずれかに記載の照明冷却システム。
【請求項8】
前記容器接続部は、前記冷蔵庫の冷蔵室内に設けられることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の照明冷却システム。
【請求項9】
前記容器接続部は、前記冷蔵庫の冷凍室内に設けられることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の照明冷却システム。
【請求項10】
前記容器接続部は、前記冷蔵庫のチルド室内に設けられることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載の照明冷却システム。
【請求項11】
前記電源手段は、前記冷蔵庫の駆動系の電源を兼ねており、
前記電源手段は、交流電流を直流電流に変換するための変換手段を有する、請求項5〜10のいずれかに記載の照明冷却システム。
【請求項12】
前記容器内は、露点温度が−25℃以下の乾燥空気が充填されていることを特徴とする、請求項2〜11のいずれかに記載の照明冷却システム。
【請求項13】
前記波長変換部および前記導光部は、それぞれ複数設けられ、
少なくとも1つの前記半導体レーザを用いて、複数の前記波長変換部に励起光を照射することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の照明冷却システム。
【請求項14】
前記導光部を分離可能にするための一対のコネクタをさらに備え、
前記コネクタにより前記導光部が光学的に接続されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の照明冷却システム。
【請求項15】
前記導光部を巻き付けるためのコードリールをさらに備える、請求項1〜13のいずれかに記載の照明冷却システム。
【請求項16】
前記波長変換部が設置される箇所の近傍に、前記波長変換部の発光のオン/オフを指示するための照明スイッチをさらに備え、
前記照明スイッチは、無線により前記冷蔵庫内の前記半導体レーザの発光を指示することを特徴とする、請求項1〜15に記載の照明冷却システム。
【請求項17】
照明冷却システムに用いられる冷蔵庫であって、
励起光源である半導体レーザを内蔵する容器を接続するための容器接続部と、
前記半導体レーザから放出された励起光を外部に導くための導光部と接続するための光接続部と、
前記半導体レーザの発光を制御するための制御手段と、
前記半導体レーザに電力を供給するための電源手段とを備え、
前記電源手段は、前記冷蔵庫の駆動系の電源を兼ねており、
前記電源手段は、交流電流を直流電流に変換するための変換手段を有し、
前記容器接続部は、前記電源手段と電気的に接続される、冷蔵庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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