説明

照明制御装置、照明装置および照明システム

【課題】固定熱源と人体とを判別して照明負荷の照明状態を制御する。
【解決手段】照明システム1は、照明負荷2と、照明装置3とを備える。照明装置3は、赤外線の変化を検知する焦電型センサ5と、焦電型センサ5の受熱面への赤外線の放射を遮断するように上記受熱面の前方に設けられたシャッタ61と、シャッタ制御部73および点灯制御部76を有する照明制御装置7とを備える。シャッタ制御部73は、照明負荷2の点灯保持時間が経過した場合に、シャッタ61が短時間で閉じて開くようにシャッタ61を制御する。点灯制御部76は、シャッタ61が閉じて開いた際に焦電型センサ5がシャッタ61の開閉前後の赤外線の変化を検知しなかった場合、および、点灯保持時間内に焦電型センサ5が赤外線の変化を検知することなく点灯保持時間が経過することが規定回数または規定時間繰り返された場合、照明負荷2を消灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明制御装置、照明装置および照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、焦電型センサが人体を検知すると照明負荷を点灯させるシステムが種々開発されている。
【0003】
ところが、焦電型センサは、人が静止状態であると人を検知することができないため、上記のシステムでは、人の動作が止まると照明負荷が消灯してしまうという問題があった。
【0004】
このような問題を解決する手段として、特許文献1には、人の動きを検知してから開閉動作を開始するシャッタが人と焦電素子との間に設けられた装置が開示されている。特許文献1に記載された装置は、人が静止状態にあるときはシャッタを開閉させることによって、人が存在していれば静止状態であっても開閉時の焦電素子の変化分を検知することができる。したがって、特許文献1に記載された装置では、人が静止状態であっても、人の存在を検知することができるので、照明負荷が消灯することがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−37840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の装置は、単なる熱源(物体)と人体とを区別して検知することができなかった。したがって、人ではなく熱源が検知エリア内にあっても、照明負荷は点灯し続けることになる。例えば、人が焦電型センサの検知エリア内に入ってきてテレビまたは照明スタンドなどの熱源をオンにした後、人のみが検知エリアを離れたとしても、テレビまたは照明スタンドなどの熱源が検知エリア内に残る。このため、熱源が検知エリアから取り去られるまで、焦電型センサは検知状態を維持し、照明負荷は点灯を維持し続けることになり、省エネルギー化に反する結果となる。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みて為された発明であり、本発明の目的は、固定熱源と人体とを判別して照明負荷の照明状態を制御することができる照明制御装置、照明装置および照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明制御装置は、赤外線の変化を検知する焦電型センサと、前記焦電型センサにおける前記赤外線を感知する受熱面への前記赤外線の放射を遮断するように前記受熱面の前方に設けられたシャッタとともに用いられる照明制御装置であって、前記照明負荷の照明状態を制御する点灯制御部と、前記照明負荷を点灯させ続ける時間として予め決められた点灯保持時間が経過した場合に、前記シャッタが短時間で閉じて開くように当該シャッタを制御するシャッタ制御部とを備え、前記点灯制御部は、前記焦電型センサが赤外線の変化を検知した場合、前記照明負荷を点灯させる一方、前記シャッタが閉じて開いた際に前記焦電型センサが当該シャッタの開閉前後の赤外線の変化を検知しなかった場合、および、前記点灯保持時間内に前記焦電型センサが赤外線の変化を検知することなく前記点灯保持時間が経過することが規定回数または規定時間繰り返された場合、前記照明負荷を消灯させることを特徴とする。
【0009】
本発明の照明装置は、前記照明制御装置と、赤外線の変化を検知する焦電型センサと、前記赤外線を感知する受熱面に配置され、当該受熱面への前記赤外線の放射を遮断するシャッタとを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の照明システムは、前記照明装置と、前記照明制御装置による制御に従って点灯する照明負荷とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、人体と固定熱源とを判別することができるので、熱源が固定熱源である場合にのみ、照明負荷を消灯させることができ、照明負荷の消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る照明システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同上に係る照明システムの動作を示すフローチャートである。
【図3】同上に係る照明システムの使用例を示す図である。
【図4】同上に係る照明システムの使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本実施形態に係る照明システム1は、図1に示すように、照明負荷2と、照明負荷2を制御する照明装置3とを備えている。
【0014】
照明装置3は、照明負荷2を点灯させる点灯回路4と、赤外線を検知する焦電型センサ5と、赤外線を感知する受熱面に配置されたシャッタ61を含むシャッタ機構6と、点灯回路4に制御信号を出力して照明負荷2を制御する照明制御装置7とを備えている。
【0015】
点灯回路4は、照明制御装置7からの制御信号に従って、照明負荷2を点灯させたり、消灯させたり、調光させたりする。
【0016】
制御信号は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)信号で構成され、照明負荷2を点灯させるための点灯信号、照明負荷2を消灯させるための消灯信号、照明負荷2を所定の明るさで調光点灯させるための調光信号の総称である。
【0017】
焦電型センサ5は、人体などを含む熱源から発せられる赤外線を受ける受熱面を有し、この受熱面で受けた赤外線の変化量を検知することで、検知エリア内の熱源(人体を含む)の存在を検出する。
【0018】
シャッタ機構6は、焦電型センサ5の受熱面の前方に設けられた開閉自在なシャッタ61と、シャッタ61を開閉させるための駆動回路62とを備えている。シャッタ61は、焦電型センサ5の受熱面への赤外線の放射を遮断するように焦電型センサ5の受熱面の前方に設けられ、駆動回路62によって移動することで開閉する。駆動回路62は、照明制御装置7からの駆動信号に従って、シャッタ61を閉じたり、開けたりする。
【0019】
本実施形態で用いられるシャッタ61の一例として、焦電型センサ5の受熱面に赤外線を通過させるための開口(例えば窓または切欠部など)が一部に形成され受熱面に沿って水平移動可能に配置されたシャッタがある。この場合、シャッタ61が短時間で水平方向に往復運動することによって、焦電型センサ5の受熱面を短時間で閉じて開くことができる。また、シャッタ61の他の例として、焦電型センサ5の受熱面を閉じる位置と受熱面を開く位置との間を回動運動するシャッタがある。この場合、シャッタ61が短時間で回動運動を往復することによって、焦電型センサ5の受熱面を短時間で閉じて開くことができる。さらに、シャッタ61の他の例として、焦電型センサ5の受熱面に赤外線を通過させるための開口が一部に形成された円板状のシャッタがある。この場合、シャッタ61が短時間で回転することによって、焦電型センサ5の受熱面を短時間で閉じて開くことができる。
【0020】
照明制御装置7は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリが搭載されたマイクロコンピュータ(マイコン)を主構成要素とし、タイマ71と、第1の判定部72と、シャッタ制御部73と、カウンタ74と、第2の判定部75と、照明負荷2の照明状態を制御する点灯制御部76と、記憶部77とを備えている。
【0021】
タイマ71は、照明負荷2を照明状態に保持させる時間として予め決められた点灯保持時間をカウントする。
【0022】
第1の判定部72は、タイマ71でカウントされた点灯保持時間が完了したか否かを判定する。
【0023】
シャッタ制御部73は、シャッタ61の開閉を制御するために、駆動回路62に駆動信号を出力する。例えば、点灯保持時間が完了した場合、シャッタ制御部73は、シャッタ61が短時間で閉じて開くように、駆動回路62に駆動信号を出力する。
【0024】
カウンタ74は、点灯保持時間内に焦電型センサ5が赤外線を検知することなく点灯保持時間が経過した回数をカウントする。
【0025】
第2の判定部75は、カウンタ74でカウントされた回数が規定値であるか否かを判定する。
【0026】
点灯制御部76は、照明負荷2の点灯・消灯・調光を制御するために、焦電型センサ5の検知情報などに基づいて、点灯回路4に制御信号を出力する。例えば、焦電型センサ5が赤外線を検知した場合、点灯制御部76は、照明負荷2を点灯させるための制御信号として点灯信号または調光信号を点灯回路4に出力する。ただし、この場合、既に照明負荷2が点灯しているときは、点灯制御部76は、消灯信号を点灯回路4に出力しないようにしてもよい。
一方、シャッタ61が短時間で閉じて開いた際に焦電型センサ5が赤外線を検知しない場合、点灯制御部76は、照明負荷2を消灯させるための制御信号として消灯信号を点灯回路4に出力する。さらに、回数が規定値になったと第2の判定部75で判定された場合においても、点灯制御部76は、照明負荷2を消灯させるための消灯信号を点灯回路4に出力する。
【0027】
記憶部77には、各種のデータが記憶されている。また、記憶部77には、照明制御装置7が各種の機能を実行するためのプログラムが格納されている。つまり、記憶部77には、照明制御装置(コンピュータ)7をタイマ71、第1の判定部72、シャッタ制御部73、カウンタ74、第2の判定部75および点灯制御部76として機能させるためのプログラムが格納されている。
【0028】
上記のような構成の照明制御装置7は、シャッタ61を一瞬閉じて開いた際に、焦電型センサ5が赤外線を検知した場合、点灯保持時間を設定する。点灯保持時間が経過するまでに、焦電型センサ5が検知した場合、人の動きを検知したと判断し、点灯保持時間を設定し、照明負荷2を照明状態で継続させる。
【0029】
なお、人間が通常の生活の中で活動している状態で静止状態を維持し続ける静止時間を20分位から1時間程度と考えられる。
【0030】
さらに、人体を含む熱源がない状態になれば、できるだけ早く照明負荷2を消灯させたいので、点灯保持時間とシャッタ61の開閉頻度より10秒位から1分程度とする。これらの静止時間と点灯保持時間とによりカウント値Nを算出する。
【0031】
次に、本実施形態に係る照明制御システム1の動作について図2を用いて説明する。まず、初期状態として、照明負荷2は消灯し、シャッタ61は開いている(S1)。
【0032】
焦電型センサ5は赤外線の変化を検知する(S2)。焦電型センサ5が赤外線の変化を検知した場合、照明制御装置7は、照明負荷2を点灯させて(S3)、点灯保持時間のカウントを開始する(S4)。その後、照明制御装置7は、点灯保持時間が経過したか否かを判定する(S5)。点灯保持時間が経過して、シャッタ61が一瞬閉じて開いた際に(S6)、シャッタ61の開閉前後での赤外線の変化を焦電型センサ5が検知しなかった場合(S7)、照明制御装置7は、照明負荷2を消灯させる(S13)。
【0033】
一方、シャッタ61を一瞬閉じて開いた際に(S6)、シャッタ61の開閉前後での赤外線の変化を焦電型センサ5が検知した場合(S7)、照明制御装置7は、点灯保持時間を設定して照明負荷2の点灯を継続させる(S8)。
【0034】
点灯保持時間内に赤外線の変化を検知することなく点灯保持時間が経過した場合(S9,10)、照明制御装置7は、カウンタ値Nを加算する(S11)。照明制御装置7は、規定のN値であるかを判定して(S12)、規定のN値に達していなければ、再び、ステップS6に戻る。カウント値Nが規定値に達した場合、照明制御装置7は、人体ではない固定熱源と判断して照明負荷2を消灯する(S13)。ステップS9において、点灯保持時間内に赤外線の変化を焦電型センサ5が検知した場合、ステップS4に戻る。
【0035】
次に、本実施形態に係る照明システム1の使用例について図3,4を用いて説明する。図3は、熱源が人体8である場合、図4は、熱源が、例えば電気ストーブなど、検知エリア内に固定して配置された固定熱源9の場合である。
【0036】
図3に示すように、常時においては焦電型センサ5の前方のシャッタ61は開いている(図3(a))。焦電型センサ5が赤外線の変化を検知すると、照明制御装置7は、照明負荷2を点灯させて点灯保持時間のカウントを開始する(図3(b))。人体8が静止または不在の場合、赤外線の変化が検知されないため、そのまま点灯保持時間が経過する。点灯保持時間が経過すると、焦電型センサ5の前方のシャッタ61が一旦閉じて開く(図3(c))。
【0037】
シャッタ61が開いた瞬間、検知エリア(下面)に人体8が存在する場合(図3(d))、焦電型センサ5はシャッタ61の開閉前後での赤外線の変化を検知する。焦電型センサ5が赤外線の変化を検知すると、照明制御装置7は、照明負荷2の点灯を維持させて、点灯保持時間を再度設定してカウントを開始する。
【0038】
一方、シャッタ61が開いた瞬間、下面に人体8が存在しない場合(図3(e))、焦電型センサ5はシャッタ61の開閉前後での赤外線の変化を検知しないので、照明制御装置7は、照明負荷2を消灯させる。
【0039】
次は、図4に示すように、下面に人体8ではなく固定熱源9がある場合、点灯保持時間が経過すると、焦電型センサ5の前方のシャッタ61が一旦閉じて開く(図4(c))。
【0040】
シャッタ61が開いた瞬間、検知エリア(下面)に固定熱源9が存在する場合(図4(d))、焦電型センサ5はシャッタ61の開閉前後での赤外線の変化を検知する。焦電型センサ5が赤外線の変化を検知すると、照明制御装置7は、照明負荷2の点灯を維持させて、点灯保持時間を再度設定してカウントを開始する。
【0041】
上記の動作を規定回数繰り返す。すなわち、規定回数の間、点灯保持時間を更新しない場合、人体8でなく固定熱源9が存在すると判断して、照明負荷2を消灯させる。
【0042】
なお、シャッタ61が開いた瞬間、下面に固定熱源9が存在しない場合(図3(e))、焦電型センサ5はシャッタ61の開閉前後での赤外線の変化を検知しないので、照明制御装置7は、照明負荷2を消灯させる。
【0043】
以上説明した本実施形態の照明システム1によれば、点灯保持時間内に焦電型センサ5が赤外線の変化を検知することなく点灯保持時間が経過した回数が規定回数以上になった場合に、検知エリア内の熱源が固定熱源9であると判断することができる。すなわち、人体8と固定熱源9とを判別することができる。その結果、熱源が固定熱源9である場合にのみ、照明負荷2を消灯させることができ、照明負荷2の消費電力を低減させることができる。
【0044】
また、本実施形態の照明システム1では、検知エリア内に固定熱源9が存在し続けていても、シャッタ61の開閉動作を停止させることができるので、シャッタ61の開閉回数を大幅に減らすことができる。その結果、シャッタ61を開閉させるモータを駆動するための電力などを低減させることができる。
【0045】
なお、本実施形態の変形例として、点灯制御部76は、点灯保持時間内に焦電型センサ5が赤外線を検知することなく点灯保持時間が経過した回数が規定値になった場合ではなく、照明負荷2を点灯させてからの点灯時間が規定時間となった場合に、照明負荷2を消灯させてもよい。本変形例の場合、第2の判定部75は、タイマ71などでカウントされた時間が規定時間であるか否かを判定する。本変形例の照明システム1においても、本実施形態と同様に、人体8と固定熱源9とを判別することができるので、シャッタ61の開閉回数を大幅に減らすことができる。
【符号の説明】
【0046】
1 照明システム
2 照明負荷
3 照明装置
5 焦電型センサ
61 シャッタ
7 照明制御装置
73 シャッタ制御部
76 点灯制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線の変化を検知する焦電型センサと、前記焦電型センサにおける前記赤外線を感知する受熱面への前記赤外線の放射を遮断するように前記受熱面の前方に設けられたシャッタとともに用いられる照明制御装置であって、
前記照明負荷の照明状態を制御する点灯制御部と、
前記照明負荷を点灯させ続ける時間として予め決められた点灯保持時間が経過した場合に、前記シャッタが短時間で閉じて開くように当該シャッタを制御するシャッタ制御部とを備え、
前記点灯制御部は、前記焦電型センサが赤外線の変化を検知した場合、前記照明負荷を点灯させる一方、前記シャッタが閉じて開いた際に前記焦電型センサが当該シャッタの開閉前後の赤外線の変化を検知しなかった場合、および、前記点灯保持時間内に前記焦電型センサが赤外線の変化を検知することなく前記点灯保持時間が経過することが規定回数または規定時間繰り返された場合、前記照明負荷を消灯させる
ことを特徴とする照明制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の照明制御装置と、
赤外線の変化を検知する焦電型センサと、
前記赤外線を感知する受熱面に配置され、当該受熱面への前記赤外線の放射を遮断するシャッタと
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項2記載の照明装置と、
前記照明制御装置による制御に従って点灯する照明負荷と
を備えることを特徴とする照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−93114(P2013−93114A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232813(P2011−232813)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】