説明

照明器具および照明器具用部材

【課題】照明器具本体からのルーバの脱落を2重に防止することができる照明器具および照明器具用部材を提供する。
【解決手段】本発明に係る照明器具1は、照明器具本体2、ルーバ3、軸部材4および軸保持部、掛受部6aおよび引掛部6bを備える。軸部材4および軸保持部は、引掛部6bを掛受部6aから外した状態で、ルーバ3を照明器具本体2に対し回動可能に支持し、照明器具本体2およびルーバ3は、照明器具本体2内面のルーバ3の回動軸に直交する第1の面7aまたはルーバ3外面のルーバ3の回動軸に直交する第2の面7bに、ルーバ3の回動を係止する係止手段を備える。好ましくは、係止手段は、第1の面7aに設けられた第1の突起部8aと、第2の面7bに設けられた第2の突起部8bとが接触することにより係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプの光の配光を制御する照明器具用部材を備える照明器具および該照明器具用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具本体に、ランプからの光の配光を制御するルーバが取り付けられた照明器具が用いられている。このような照明器具では、照明器具本体の下面の矩形状に開口した開口部を覆うような形で、ルーバが取り付けられる。そのため、ランプ交換時にルーバを取り外す必要がある。しかし、ランプ交換の度にルーバを照明器具本体から取り外していると、ランプ交換に手間が掛かる。特に照明器具が高所に取り付けられている場合、はずしたルーバを安全な場所に置いてランプを交換し、再びルーバを取りに行って付ける必要がある。
【0003】
そこで、ルーバを照明器具本体から取り外すことなくランプ交換ができるよう、照明器具本体に対してルーバを回動可能に取り付ける工夫がなされている。この照明器具では、ルーバおよび照明器具本体の片側に軸となる箇所を、もう一方の側に引掛部材等の掛止箇所をそれぞれ設ける。軸となる箇所は、照明器具本体に対し水平方向にルーバを移動できるよう、長穴などで形成されている。ランプ交換の際には、ルーバを照明器具に対し水平方向に移動させることによって、引掛部材等の掛止箇所が外れる。すると、ルーバは軸部分を中心に回動し、照明器具本体の下面は開口した状態となる。このような構造の照明器具は、ランプ交換時にルーバを取り外す必要がなく、かつ、ドライバーなどの工具も必要なく簡単に作業ができる。そこで、当該構造を用いた照明器具が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、できるだけ細い枠で光制御部材の着脱が容易な照明器具が紹介されている。当該照明器具は、開口部を有し開口部内にランプを収納する器具本体と、外枠を有して開口部の内側に収納されたルーバと、ルーバの一端側においてルーバが開口部の開口面に略平行に移動可能でかつ開口部を開閉可能となるようにルーバを器具本体に保持する軸支部と、ルーバが開口面に略平行に移動することによりルーバの他端側を器具本体に着脱自在に取付ける取付部とを備えている。
【0005】
また、特許文献2には、ルーバの着脱を行わず、ルーバを容易に開閉できる蛍光灯器具について紹介されている。この蛍光灯器具では、ルーバの全体を持ち上げその後に水平に移動させると係止切込み・係止受け孔間の係止が解除されかつ横向き支軸が水平部に移行して該ルーバの傾斜が可能となるように係止切込み・係止受け孔・L字形スリット・横向き支軸の各配置および形状が定められている。
【0006】
特許文献3には、一方の端部に、器具に取り付けられた軸を受ける長穴を有し、オプション部材を長穴の長径方向にスライド自在となるよう保持する軸保持部を備え、他方の端部に器具の端部にあるスリットに引掛ける突起を有する引掛部を備えた照明器具のオプション部材が紹介されている。
【0007】
また、特許文献4には、器具本体が一対の突出片と一対のピンを、ルーバが係止片と長孔を有する照明器具について記載されている。この照明器具では、長孔は、係止片および突出片が係合した状態でピンが配置される固定位置と、係止片および突出片の係合が解除された状態でピンが配置される回転位置とを、ピンが通る幅寸法の縦案内部および横案内部で連結するように延長されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−038790号公報
【特許文献2】特開2007−012577号公報
【特許文献3】特開2007−200789号公報
【特許文献4】特開2008−123987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した特許文献1ないし4に記載の照明器具のルーバ取り付け構造は、いずれも照明器具本体またはルーバの一方の端部に軸部分を、もう一方の端部に引掛または係止部分をそれぞれ有するものである。この引掛または係止部分は、ランプ交換時に容易に作業できるよう簡単に外すことができる構造のものが多い。しかし、簡単に外すことができる構造ということは、外れやすい構造であるとも言え、正確に引掛または係止されていない場合等には、振動などにより外れてしまうことも想定される。この場合、ルーバは、軸部分が照明器具本体に固定されているため照明器具本体から外れて落下してくることはない。しかし、引掛部分が外れると、ルーバは軸部分を中心に勢いよく回動するため、照明器具本体やルーバ枠が傷付いたり、変形したりする可能性がある。
【0010】
また、天井に取り付けられた照明器具のランプ交換時においては、通常、引掛部分を外した後、ルーバを手で支えながら降ろす。特許文献1ないし4に記載の照明器具のルーバ取り付け構造は、何れも引掛または係止箇所が1箇所である。そのため、不注意等により手が離れてしまった場合、もしくは手で支える前にルーバの引掛部分が外れてしまった場合には、頭上にルーバが回動しながら落ちてくることになる。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、照明器具本体からのルーバの脱落を2重に防止することができる照明器具および照明器具用部材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の観点に係る照明器具は、開口部を有する照明器具本体と、前記開口部に取り付けられるルーバと、前記ルーバを前記照明器具本体に対し回動可能に支持する軸部材と、前記軸部材を保持する軸保持部と、前記ルーバを前記照明器具本体に掛止するための引掛部と、前記引掛部を掛止できる掛受部とを備え、
前記軸部材および前記軸保持部は、前記引掛部を前記掛受部から外した状態で、前記ルーバを前記照明器具本体に対し回動可能に支持し、
前記照明器具本体および前記ルーバは、前記ルーバの回動する外面と前記照明器具本体の内面との間に、前記ルーバの回動を係止する係止手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の観点に係る照明器具用部材は、開口部を有する照明器具本体に取り付けられ、
掛受部と前記掛受部に掛止できる引掛部により、前記照明器具本体に掛止され、
前記引掛部を前記掛受部から外した状態で、軸部材と前記軸部材を保持する軸保持部によって、前記照明器具本体に対し回動可能に支持され、
該照明器具用部材の外面に該照明器具用部材の回動を係止する係止手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の照明器具および照明器具用部材によれば、照明器具本体からのルーバの脱落を2重に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1に係る照明器具の構成例を示す分解斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る照明器具の構成例を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係る照明器具の構成例を示す正面図である。
【図4】実施の形態1に係る照明器具の構成例を示す左側面図である。
【図5】図3のA−A’線で切断した断面図である。
【図6】図5のR部分の拡大図である。
【図7】図4のB−B’線で切断した断面図である。
【図8】実施の形態1に係る照明器具のルーバが係止している状態を示す正面図である。
【図9】実施の形態1に係る照明器具のルーバが係止している状態を示す左側面図である。
【図10】図8のC−C’線で切断した断面図である。
【図11】図10のS部分の拡大図である。
【図12】図9のD−D’線で切断した断面図である。
【図13】実施の形態2に係る照明器具の構成例を示す正面図である。
【図14】実施の形態2に係る照明器具の構成例を示す左側面図である。
【図15】図13のE−E’線で切断した断面図である。
【図16】図15のT部分の拡大図である。
【図17】図14のF−F’線で切断した断面図である。
【図18】実施の形態2に係る照明器具のルーバが係止している状態を示す正面図である。
【図19】実施の形態2に係る照明器具のルーバが係止している状態を示す左側面図である。
【図20】図18のG−G’線で切断した断面図である。
【図21】図20のU部分の拡大図である。
【図22】図19のH−H’線で切断した断面図である。
【図23】実施の形態3に係る照明器具の構成例を示す正面図である。
【図24】実施の形態3に係る照明器具の構成例を示す左側面図である。
【図25】図23のI−I’線で切断した断面図である。
【図26】図24のJ−J’線で切断した断面図である。
【図27】実施の形態3に係る照明器具のルーバが係止している状態を示す正面図である。
【図28】実施の形態3に係る照明器具のルーバが係止している状態を示す左側面図である。
【図29】図27のK−K’線で切断した断面図である。
【図30】図28のL−L’線で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付す。なお、図中に描かれた構成要素の比率は、実際の比率ではない。特に、突起部や穴の部分は理解しやすいよう拡大して描いている。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る照明器具の分解斜視図を示す。なお、本発明に係る照明器具1は、天井面などへの取り付け型または埋め込み型のいずれでもよい。照明器具1は、照明器具本体2と、ルーバ3と、軸部材4とから構成されている。照明器具本体2は下面に矩形状の開口部を有する。ルーバ3の形状は該開口部に装着できるようそれに沿った形状をしている。なお、ルーバ3を照明器具本体2に対し回動させるため、ルーバ3の外枠は照明器具本体2の開口部の内枠よりも小さくなるように形成する。軸部材4は、軸部4aおよびつまみ部4bから構成されている。また、軸部材4は照明器具本体2とルーバ3とを固定するものであり、例えばネジやボルトおよびナットから構成されている。
【0018】
照明器具本体2は、図示しない点灯回路やコネクタが収容される金属製の筐体から構成される。また、図示していないが、照明器具本体2のソケット部にランプが装着される。その他、反射板等を備えてもよい。照明器具本体2には、第1の軸保持部5aと、掛受部6aと、第1の突起部8aとが形成されている。第1の軸保持部5aは、軸部材4の軸部4aが挿通する孔であり、照明器具本体2の2つの第1の面7aの一方の端部寄りにそれぞれ形成されている。なお、第1の面7aについては後に詳説する。
【0019】
掛受部6aは、引掛部6bが挿通し掛止できるよう、高さが幅より大きい長孔である。掛受部6aは照明器具本体2のもう一方の端部の左側面に2つ形成されている。第1の突起部8aは、後に詳説するが略1mm程度の内側に向いた略コの字状の突起であり、先端は面取りが施されている。また、第1の突起部8aは、2つの第1の面7aの下方に、下辺に沿って、下辺より少し短い程度の長さで延設されている。
【0020】
ルーバ3は、2つの矩形状の板からなるルーバ枠3aおよび所定の間隔で配置された複数枚のルーバ片3bから構成される。詳細は図示していないが、ルーバ片3bは、ルーバ枠3aに対する向きを変化できるよう、例えばそれぞれのルーバ片3bの中心軸のみがルーバ枠3aに固定されている。ルーバ枠3aには、第2の軸保持部5bと、引掛部6bと、第2の突起部8bとが形成されている。
【0021】
第2の軸保持部5bは、軸部材4の軸部4aが挿通できる幅が高さより大きい長孔である。第2の軸保持部5bは、ルーバ枠3aの2つの第2の面7bの一方の端部寄りに形成されている。なお、第2の面7bについても後に詳説する。引掛部6bは、掛受部6aに掛止できるよう一部が突出した形状であり、さらに自然に外れることがないようL字型のフック形状となっている。なお、引掛部6bはルーバ枠3aのもう一方の端部に形成されている。第2の突起部8bは、後に詳説するが略1mm程度の外側に向いた略Lの字状の突起である。また、第2の突起部8bは、2つの第2の面7bの上端に沿って、上辺より少し短い程度の長さで延設されている。
【0022】
図2は、実施の形態1に係る照明器具の斜視図を示す。図3は実施の形態1に係る照明器具の正面図を示す。図4は、実施の形態1に係る照明器具の左側面図を示す。つまり、図2ないし図4の照明器具1は、図1に示した照明器具本体2にルーバ3を装着し、軸部材4を照明器具本体2に固定した状態を示す。この際、軸部材4の軸部4aをルーバ3の第2の軸保持部5bおよび照明器具本体2の第1の軸保持部5aに挿通させ、軸部材4を照明器具本体2に固定する。軸部材4は、ルーバ3を照明器具本体2に対し、水平方向に移動でき、かつ、軸部材4を軸として回動できるよう固定されている。照明器具本体2側に長孔を形成し、軸部材4をルーバ3に固定する構造でも構わない。
【0023】
図2ないし図4に示すように、ルーバ3の引掛部6bは照明器具本体2の掛受部6aに掛止されている。照明器具本体2には図示しないランプが装着されているため、光が開口部から下方に向かって発せられるが、ルーバ3のルーバ片3bの向きを変化させることによって光の配光を制御することができる。
【0024】
図5は、図3のA−A’線で切断した照明器具の断面図を示す。図6は、図5のR部分の拡大図を示す。また、図7は図4のB−B’線で切断した照明器具の断面図を示す。これらの図中のルーバ3については、ルーバ枠3aのみ描いておりルーバ片3bを省略している。
【0025】
前述したとおり、照明器具本体2の2つの第1の面7aには下辺に沿って高さ略1mm程度の第1の突起部8aが形成されている。図6に示すように、第1の突起部8aはコの字形状であるが、突起の先端は面取りが施されている。また、ルーバ3の2つの第2の面7bにも同様に、上端に沿って高さ略1mm程度のL字形状の第2の突起部8bが形成されている。これらの突起部の位置関係は、図6に示すように、2つの突起部の頂点が少しずれた位置で、かつ、頂点同士が重なり合う位置になるように設定する。
【0026】
ルーバ3を回動させる場合、まず、引掛部6bを掛受部6aから外し、ルーバ3を第2の軸保持部5bの長穴に沿って移動させる。さらに、軸部材4を軸に、ルーバ3を回動させる。つまり、図2に示すX方向に移動・回動させる。この際、ルーバ3は、図2に示すYを回動軸として回動する。照明器具本体2の2つの第1の面7aおよびルーバ3の2つの第2の面7bは、この回動軸Yと直交する。つまり、第1の突起部8aが形成されている第1の面7aとは、照明器具本体2内面のルーバ3の回動軸Yに直交する面である。また、第2の突起部8bが形成されている第2の面7bとは、ルーバ3外面のルーバ3の回動軸Yに直交する面である。これらの面にそれぞれ第1の突起部8aまたは第2の突起部8bが、頂点同士が重なり合うように形成されているため、ルーバ3が回動する途中にこれらの突起部が接触し、ルーバ3は係止する。
【0027】
図8は、実施の形態1に係る照明器具のルーバが係止している状態の正面図を示す。また、図9は、ルーバが係止している状態の左側面図を示す。図10は、図8のC−C’線で切断した照明器具の断面図を示す。図11は、図10のS部分の拡大図を示す。また、図12は図9のD−D’線で切断した照明器具の断面図を示す。これらの図についても同様に、図中のルーバ3については、ルーバ枠3aのみ描いておりルーバ片3bを省略している。
【0028】
図8ないし図12に示すように、照明器具本体2の第1の突起部8aとルーバ3の第2の突起部8bが、軸部分から離れた方の端部において接触し、ルーバ3の回動が停止している状態となっている。図11に示すように、第1の突起部8aと第2の突起部8bの頂点が重なり合っているためである。さらに、突起部同士による摩擦力が働くためでもある。また、ルーバ3を完全に回動させたい場合には、回動方向に力を加えることによって簡単に係止を外すことができる。これは、第1の突起部8aの先端に面取りが施されているためである。なお、ルーバ3を下方から上方へ回動させ再び照明器具本体2の開口部を覆う場合も同様である。
【0029】
このように、本実施の形態1の照明器具1によれば、照明器具本体からのルーバの脱落を2重に防止することができる。つまり、引掛箇所が正しく掛止されていない場合でも、振動などによりルーバが落ちることはない。また、ランプ交換の際に不注意により頭上にルーバが落ちることもない。さらに、回動方向に力を加えることによって簡単に係止箇所が外れるため、ランプ交換時にドライバーなどの工具も必要なく簡単に作業ができる。
【0030】
また、このようなルーバを回動させることができる照明器具は、回動させる構造上、照明器具本体とルーバ枠の間に隙間を持たせなければならず、この隙間が光り漏れの原因になる場合がある。しかし、本実施の形態1では、図5および図6に示すように、第1の突起部8aと第2の突起部8bがそれぞれの頂点が重なる状態で、第1の面または第2の面の各長径方向に延設されている。そのため、照明器具本体とルーバ枠の隙間による光漏れが生じず、光漏れ防止のためのパッキン等の二次加工をする必要がない。
【0031】
本実施の形態1では、光漏れ防止の都合上、第1の突起部を第1の面の下辺に沿って下辺より少し短い程度の長さで加工し、第2の突起部を第2の面の上端に沿って上辺より少し短い長さで加工した。しかし、ルーバの取り外しの利便性を考慮して、第1の突起部および第2の突起部を、接触箇所のみに形成してもよい。また、係止の安定性を考慮し、接触時に突起部全箇所に渡って接触するようルーバの第2の突起部を傾斜させて延設してもよい。
【0032】
また、本実施の形態1に係る第1の突起部および第2の突起部の位置および形状は一例であり、図に示した位置および形状に限られない。例えば、第1の突起部を第1の面の下端にL字状に突出させて形成したり、第2の突起部を第2の面の上方にコの字状に形成してもよい。さらに、本実施の形態1では、図11に示すように第1の突起部を略コの字の先端を面取りした形状に形成したが、第2の突起部のみ、または第1の突起部と第2の突起部の両方の突起に面取りを施してもよい。
【0033】
(実施の形態2)
本実施の形態2では、第1の面7aおよび第2の面7bに、突起部同士の接触以外のルーバの係止手段を備える場合について述べる。本実施の形態2に係る照明器具1の構成例は、実施の形態1の図1および図2に示した照明器具1と詳細を除き同様であり、照明器具1は、照明器具本体2と、ルーバ3と、軸部材4とから構成されている。以下、詳細に説明する。
【0034】
図13は実施の形態2に係る照明器具の正面図を示す。図14は、実施の形態2に係る照明器具の左側面図を示す。実施の形態2に係る照明器具本体2は、第1の軸保持部5aと掛受部6aについては実施の形態1と同様であるが、第1の突起部8aに替わり嵌合穴9bを備えている点で実施の形態1と異なる。また、ルーバ3については、第2の軸保持部5bと引掛部6bについては実施の形態1と同様であるが、第2の突起部8bに替わり凸部9aを備えている点で実施の形態1と異なる。
【0035】
図15は、図13のE−E’線で切断した照明器具の断面図を示す。図16は、図15のT部分の拡大図を示す。また、図17は図14のF−F’線で切断した照明器具の断面図を示す。これらの図中のルーバ3については、ルーバ枠3aのみ描いておりルーバ片3bを省略している。
【0036】
嵌合穴9bは、水平方向の穴と傾斜した穴が結合したような長孔であり、照明器具本体2の2つの第1の面7aの掛受部6a寄りに形成されている。凸部9aは、ルーバ3の2つの第2の面7bの上方、引掛部6b寄りに形成されている矩形上の突起である。図16に示すように、凸部9aの突起の先端は面取りが施されている。掛受部6aと引掛部6bによりルーバが掛止されている状態では、図15ないし図17に示すように、嵌合穴9bの水平方向の部分の穴から凸部9aが突出している。
【0037】
引掛部6bを掛受部6aから外し、ルーバ3を水平移動させ回動させると、ルーバ3は回動途中で係止する。なお、ルーバ3の移動・回動の際、ルーバ3の凸部9aは照明器具本体2の嵌合穴9bから突出している。つまり、凸部9aは、嵌合穴9bに沿って移動・回動する。図18は、実施の形態2に係る照明器具のルーバが係止している状態の正面図を示す。また、図19は、ルーバが係止している状態の左側面図を示す。図20は、図18のG−G’線で切断した照明器具の断面図を示す。図21は、図20のU部分の拡大図を示す。また、図22は図19のH−H’線で切断した照明器具の断面図を示す。これらの図についても同様に、図中のルーバ3については、ルーバ枠3aのみ描いておりルーバ片3bを省略している。
【0038】
図18ないし図22に示すように、ルーバ3の凸部9aが照明器具本体2の嵌合穴9bの下端に接触し、ルーバ3の回動が停止している状態となっている。これは、凸部9aと嵌合穴9bによる摩擦力が働くためでもある。なお、凸部9aの位置ならびに嵌合穴9bの大きさ、位置および傾斜の角度は、ルーバ3が所定の位置で係止するように予め設計しておく。ルーバ3を完全に回動させたい場合には、回動方向に力を加えることによって簡単に係止を外すことができる。これは、凸部9aに面取りが施されているためである。なお、ルーバ3を下方から上方へ回動させ再び照明器具本体2の開口部を覆う場合も同様である。
【0039】
このように、本実施の形態2の照明器具1によれば、照明器具本体からのルーバの脱落を2重に防止することができる。つまり、引掛箇所が正しく掛止されていない場合でも、振動などによりルーバが落ちることはない。また、ランプ交換の際に不注意により頭上にルーバが落ちることもない。さらに、回動方向に力を加えることによって簡単に係止箇所が外れるため、ランプ交換時にドライバーなどの工具も必要なく簡単に作業ができる。
【0040】
本実施の形態2では、嵌合穴を水平方向の穴と傾斜した穴が結合したような長孔としたが、穴の形状は凸部が嵌合し、移動・回動できる形状であればよい。凸部の形状も嵌合穴に合わせて変更可能である。なお、凸部の大きさもルーバの大きさ・重量に合わせ自重で落ちることのないように設計すればよい。また、凸部および嵌合穴の位置も任意に変更可能である。本実施の形態2では、図18に示すように照明器具本体2に嵌合穴を空ける必要があるが、光の配光および美観を考慮して、穴の周囲に覆いを形成してもよい。または、嵌合穴の部分を凸部が移動・回動できるような凹部として形成してもよい。
【0041】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、第1の面7aおよび第2の面7b以外の位置にルーバの係止手段を備える場合について述べる。本実施の形態3に係る照明器具1も、照明器具本体2と、ルーバ3と、軸部材4とから構成されている。軸部材4の構造は、実施の形態1と同様である。
【0042】
図23は、実施の形態3に係る照明器具の正面図を示す。図24は、実施の形態3に係る照明器具の左側面図を示す。図25は、図23のI−I’線で切断した断面図を示す。また、図26は、図24のJ−J’線で切断した断面図を示す。これらの図中のルーバ3については、ルーバ枠3aのみ描いておりルーバ片3bを省略している。
【0043】
図23ないし図26に示すように、実施の形態3に係る照明器具本体2にも、第1の軸保持部5aと、掛受部6aと、第1の突起部8aとが形成されている。第1の軸保持部5aの構造は、実施の形態1と同様である。掛受部6aは、引掛部6bが挿通できる孔を有する部材であり、照明器具に対して図26に示すZ方向に移動可能である。掛受部6aは照明器具本体2の第3の面10aに2つ形成されている。ここで、第3の面10aとは、照明器具本体2内面のルーバ3の回動する外周面に対向する面を指す。第1の突起部8aは、内側に向いた突起であり、先端は面取りが施されている。また、第1の突起部8aは、第3の面10aの下方に、下辺に沿って、下辺より少し短い程度の長さで延設されている。
【0044】
ルーバ3は、ルーバ枠3aおよび図示しないルーバ片から構成される。実施の形態3では、ルーバ枠3aは3枚の矩形状の板からなり、照明器具本体2に掛止された状態で、照明器具本体2の開口に向かって掛止部側が底辺の、略コの字形状をしている。ルーバ枠3aには、第2の軸保持部5bと、引掛部6bと、第2の突起部8bとが形成されている。第2の軸保持部5bの形状については、実施の形態1と異なり、軸部材4の軸部4aが挿通できる第1の軸保持部5aと同様の円形の孔である。なお、位置については実施の形態1よりもややルーバ枠3a下部寄りに形成する。
【0045】
引掛部6bは、掛受部6aに掛止できるよう一部が突出した形状であり、図26に示すように例えばネジなどにより構成される。なお、引掛部6bはルーバ枠3aの第4の面10bに2つ形成されている。ここで、第4の面10bとは、ルーバ3の回動する外周面をなす面を指す。第2の突起部8bは、外側に向いた突起であり、第4の面10bの上端に沿って、上辺より少し短い程度の長さで延設されている。
【0046】
掛受部6aを図26に示すZ方向に移動させ引掛部6bを外し、ルーバ3を回動させると、ルーバ3は回動途中で係止する。この際、本実施の形態3ではルーバの水平方向の移動は不要である。図27は、実施の形態3に係る照明器具のルーバが係止している状態の正面図を示す。図28は、実施の形態3に係る照明器具のルーバが係止している状態の左側面図を示す。図29は、図27のK−K’線で切断した断面図を示す。図30は、図28のL−L’線で切断した断面図である。これらの図についても同様に、図中のルーバ3については、ルーバ枠3aのみ描いておりルーバ片3bを省略している。
【0047】
図27ないし図30に示すように、ルーバ3の第2の突起部8bが照明器具本体2の第1の突起部8aに接触し、ルーバ3の回動が停止している状態となっている。図30に示すように、第1の突起部8aおよび第2の突起部8bが、2つの突起部の頂点が少しずれた位置で、かつ、頂点同士が重なり合う位置で接触するためである。また、第1の突起部8aと第2の突起部8bによる摩擦力が働くためでもある。なお、第1の突起部8aと引掛部6bが接触しないよう、第1の突起部8a、第2の突起部8bおよび引掛部6bの位置・突起の高さを予め設計しておく必要がある。
【0048】
ルーバ3を完全に回動させたい場合には、回動方向に力を加えることによって簡単に係止を外すことができる。これは、第1の突起部8aに面取りが施されているためである。なお、ルーバ3を下方から上方へ回動させ再び照明器具本体2の開口部を覆う場合も同様である。
【0049】
このように、本実施の形態3の照明器具1によれば、照明器具本体からのルーバの脱落を2重に防止することができる。つまり、引掛箇所が正しく掛止されていない場合でも、振動などによりルーバが落ちることはない。また、ランプ交換の際に不注意により頭上にルーバが落ちることもない。さらに、回動方向に力を加えることによって簡単に係止箇所が外れるため、ランプ交換時にドライバーなどの工具も必要なく簡単に作業ができる。
【0050】
本実施の形態3に係る第1の突起部および第2の突起部の位置および形状は一例であり、図に示した位置および形状に限られない。例えば、引掛部と重ならないよう第1の突起部および第2の突起部の長さを短く形成してもよい。また、例えば、第1の突起部を第1の面の下端にL字状に突出させて形成したり、第2の突起部を第2の面の上方にコの字状に形成してもよい。さらに、本実施の形態3では、第1の突起部の先端を面取りした形状に形成したが、第2の突起部のみ、または第1の突起部と第2の突起部の両方の突起に面取りを施してもよい。
【0051】
また、本実施の形態3では、第2の軸保持部を長穴として形成せず、ルーバがスライドしない照明器具の場合について説明したが、実施の形態1または2のようにルーバがスライドする照明器具としてもよい。この場合、例えば、回動時に引掛部の先端が第3の面の第1の突起部に接触するよう設計する。さらに、照明器具本体に第1の突起部を設けなくとも、ルーバにのみ第2の突起部を設け、ルーバ回動時に第2の突起部が第3の面に接触するよう設計することによって係止させることも可能である。
【0052】
本実施の形態の図中において、ルーバの高さは説明の都合上厚めに描いているが、照明器具本体のランプ設置空間を広く取るために薄く形成してもよい。また、ルーバ枠は2または3枚の矩形状の板から構成される例を説明したが、4枚の板から構成される囲い形状のものを用いてもよい。
【0053】
本実施の形態および図で説明した軸部材は一例であり、ルーバを照明器具に対して回動可能に保持できる軸となる部材ならば何を用いてもよい。また、軸保持部についても、ルーバを保持・回動できるように、照明器具本体およびルーバに加工が施されていればよい。例えば、実施の形態1および2で示した第2の軸保持部のような長孔は、ルーバに形成されている必要はなく、照明器具本体に形成されていてもよい。また、長孔は、L字型やU字型に形成し、ルーバが回動しやすいようにしてもよい。
【0054】
また、図中において示した引掛部および掛受部の形状・位置は一例であり、互いに掛止できる位置・形状であればよい。例えば位置については、引掛部および掛受部は照明器具本体またはルーバのいずれに形成してもよく、また、それぞれのルーバの回動軸に直交する面に形成してもよい。また、形状については、実施の形態1および2では引掛部はL字のフックのような形状の例について説明したが、先をコの字に突出させたような構造でもよい。さらに、引掛部および掛受部の数も適宜変更可能である。例えば、実施の形態3のようなルーバ枠の場合には、もう1箇所中央に引掛部および掛受部を備えてもよい。
【0055】
なお、図中では説明の都合上、照明器具本体から引掛部および軸部材が突出して描かれているが、見栄えをよくするため周囲に覆いを形成してもよい。または、照明器具本体を2層の構造とし、内側の1層にのみ掛受部や軸保持部の穴を形成してもよい。
【0056】
発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内で種々の実施形態が可能である。
【0057】
その他、本発明の好適な変形として、以下の構成が含まれる。
【0058】
本発明の第1の観点に係る照明器具について、好ましくは、前記係止手段は、前記照明器具本体内面の前記ルーバの回動軸に直交する第1の面と、前記ルーバ外面の前記ルーバの回動軸に直交する第2の面とに設けられていることを特徴とする。
【0059】
さらに好ましくは、前記係止手段は、前記照明器具本体の内面に設けられた第1の突起部と、前記ルーバの外面に設けられた第2の突起部とが接触することにより前記ルーバを係止することを特徴とする。
【0060】
また、好ましくは、前記第1の突起部は、前記照明器具本体の前記第1の面の下部に下辺に沿って設けられており、
前記第2の突起部は、前記ルーバの前記第2の面の上部に上辺に沿って設けられていることを特徴とする。
【0061】
好ましくは、前記第1の突起部は高さ略1mmの略コの字状の突起であり、前記第2の突起部は高さ略1mmの略L字状の突起であり、それぞれの突起の頂点がずれた状態で、かつ、係止する際に重なり合う状態で設けられていることを特徴とする。
【0062】
さらに、好ましくは、前記第1の突起部または前記第2の突起部のいずれか一方の突起の端部に面取りが施されていることを特徴とする。
【0063】
また、好ましくは、前記照明器具本体は前記掛受部を備え、前記ルーバは前記引掛部を備えることを特徴とする。
【符号の説明】
【0064】
1 照明器具
2 照明器具本体
3 ルーバ
3a ルーバ枠
3b ルーバ片
4 軸部材
4a 軸部
4b つまみ部
5a 第1の軸保持部
5b 第2の軸保持部
6a 掛受部
6b 引掛部
7a 第1の面
7b 第2の面
8a 第1の突起部
8b 第2の突起部
9a 凸部
9b 嵌合穴
10a 第3の面
10b 第4の面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する照明器具本体と、前記開口部に取り付けられるルーバと、前記ルーバを前記照明器具本体に対し回動可能に支持する軸部材と、前記軸部材を保持する軸保持部と、前記ルーバを前記照明器具本体に掛止するための引掛部と、前記引掛部を掛止できる掛受部とを備え、
前記軸部材および前記軸保持部は、前記引掛部を前記掛受部から外した状態で、前記ルーバを前記照明器具本体に対し回動可能に支持し、
前記照明器具本体および前記ルーバは、前記ルーバの回動する外面と前記照明器具本体の内面との間に、前記ルーバの回動を係止する係止手段を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記係止手段は、前記照明器具本体内面の前記ルーバの回動軸に直交する第1の面と、前記ルーバ外面の前記ルーバの回動軸に直交する第2の面とに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記係止手段は、前記照明器具本体の内面に設けられた第1の突起部と、前記ルーバの外面に設けられた第2の突起部とが接触することにより前記ルーバを係止することを特徴とする請求項1または2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記第1の突起部は、前記照明器具本体の前記第1の面の下部に下辺に沿って設けられており、
前記第2の突起部は、前記ルーバの前記第2の面の上部に上辺に沿って設けられていることを特徴とする請求項3に記載の照明器具。
【請求項5】
前記第1の突起部は高さ略1mmの略コの字状の突起であり、前記第2の突起部は高さ略1mmの略L字状の突起であり、それぞれの突起の頂点がずれた状態で、かつ、係止する際に重なり合う状態で設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載の照明器具。
【請求項6】
前記第1の突起部または前記第2の突起部のいずれか一方の突起の端部に面取りが施されていることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項7】
前記照明器具本体は前記掛受部を備え、前記ルーバは前記引掛部を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項8】
開口部を有する照明器具本体に取り付けられ、
掛受部と前記掛受部に掛止できる引掛部により、前記照明器具本体に掛止され、
前記引掛部を前記掛受部から外した状態で、軸部材と前記軸部材を保持する軸保持部によって、前記照明器具本体に対し回動可能に支持され、
該照明器具用部材の外面に該照明器具用部材の回動を係止する係止手段を備えることを特徴とする照明器具用部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−262837(P2010−262837A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113067(P2009−113067)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】