説明

照明器具

【課題】カバー装置が有する透光性カバーの交換が容易であるとともに、このカバーのがたつきを高い信頼性を持って抑制できる照明器具を提供する。
【解決手段】器具本体2の下方開口を閉じるカバー装置11が、側枠13と端枠21からなる枠体12、両側枠13にわたるカバー26、枠体覆い、パッキング45が固定された押え部材41、及び押えねじ51を備える。側枠は、本体2内に突出するカバー受け部14と内方突出部15を有する。カバー26は受け部14に載置されるカバー縁部26cを有し側枠の長手方向に移動して枠体に挿脱可能である。カバーの移動を妨げる枠体覆いを端枠に着脱可能に取付ける。突出部15に取付けられた押え部材41は、自己の弾性力で突出部14に沿う位置に付勢されていて縁部26cに寄り付き可能である。ねじ51を突出部15の複数個所に上方から上下に進退可能にねじ込み、その進退で押え部材41をカバー縁部26cに向けて押すとともに押え部材41が内方突出部15に沿う位置に向けて戻ることを許すようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に光源が配設されるとともに下方が開口された器具本体と、前記開口を覆って前記器具本体に取付けられたカバー装置とを具備し、例えば列車の天井等に設置して使用される照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内部にランプが配設された器具本体に、この器具本体の下方開口を閉じるカバー装置が取付けられた埋め込み型照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この照明器具のカバー装置は、外枠と内枠からなる保持枠内に光透過性カバーを取付けて形成されている。詳しくは、外枠の下面載置面部の上面に、この外枠の照射開口を閉じる大きさの光透過性カバーの周部が載置されており、この周部上面に弾性を有するずれ防止用パッキングが接着剤で貼り付けられている。外枠内に収められる内枠は、光透過性カバーの周部をずれ防止用パッキングとともに外枠の下面載置面部との間に挟持する挟持部を有しているとともに、外枠の外側面部の内面に接する内側面部を有している。
【0004】
このカバー装置は、外枠の下面載置面部と内枠の挟持部との間に光透過性カバーの周部を挟み込んでから、外枠の外側面部と内枠の内側面部とをねじで止めることにより組立てられている。そして、カバー装置は、それに仮保持された上向きの取付けねじを、器具本体に連結された枠位置決め部材のねじ孔に螺合させて締め付けることにより、器具本体に取外し可能にねじ止めされている。
【特許文献1】特許第3804083号公報(段落0032−0052、図1−図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の照明器具で、損傷した光透光性カバーを交換する場合には、カバー装置を、器具本体から取外し、既述の組立ての手順とは逆の手順で分解しなければならないから、光透光性カバーの交換作業が煩雑である。
【0006】
又、内枠の高さ位置で光透光性カバーを挟持する性能が規定される特許文献1の照明器具では、ずれ防止用パッキングの使用にも拘わらず、外枠、内枠の寸法や板厚のばらつき、及びねじを受けるねじ孔の位置のばらつき等により、光透光性カバーの挟持力がばらつく恐れがあり、光透光性カバーをがたつかないように保持するための信頼性が低い。
【0007】
本発明の目的は、カバー装置が有する透光性カバーの交換が容易であるとともに、このカバーのがたつきを高い信頼性を持って抑制できる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、内部に光源が配設されるとともに下方が開口された器具本体と;前記開口を覆って前記器具本体に取付けられたカバー装置とを具備した照明器具において、前記カバー装置が、一対の側枠及びこれら側枠に連結された一対の端枠からなる枠体であって、前記側枠が、この側枠の長手方向に延びるとともに前記枠体内に突出されたカバー受け部と、このカバー受け部の上方に位置して前記側枠の長手方向に延びるとともに前記カバー受け部よりも長く前記枠体内に突出された内方突出部を有している前記枠体と;前記カバー受け部に載置されるカバー縁部を有して一対の前記側枠にわたって配置され、前記側枠の長手方向に移動して前記枠体に挿脱される透光性のカバーと;一対の前記端枠に夫々着脱可能に取付けられて前記カバーの前記移動を妨げる枠体覆いと;前記カバー縁部と対向するように前記内方突出部に取付けられていて、自己の弾性力により前記内方突出部に沿う位置に付勢されているとともに前記カバー縁部に寄り付き可能な押え部材と;この押え部材又は前記カバー縁部に固定された弾性材料製のパッキングと;前記内方突出部の複数個所に上方から上下に進退可能にねじ込まれ、ねじ込まれることにより前記押え部材を前記カバー縁部に向けて押すとともに、ねじ込みが緩められることにより前記押え部材が前記内方突出部に沿う位置に向けて戻ることを許す押えねじと;を備えていることを特徴としている。
【0009】
この請求項1の発明では、複数の押えねじをねじ込むことにより、カバーのカバー縁部に寄り付くように押え部材が弾性変形される。これにより、押え部材とカバー縁部との間に配置されたパッキングの圧縮を伴いながらカバー縁部を側枠のカバー受け部に押付けるとともに、このカバー受け部と押え部材とでカバー縁部及びパッキングを挟んで、枠体にカバーを固定できる。この場合、側枠の内方突出部を各押えねじが挿通するが、各押さえねじのねじ込み量は内方突出部によって規制されて同じになるので、略均等な力でカバー縁部の複数個所が挟まれる。このため、外部から振動が作用しても、カバーががたつくことを高い信頼性を持って抑制できる。
【0010】
又、各押えねじを緩めると、押え部材が自己の弾性力で内方突出部に沿う位置に向けて戻る。すなわち、この押え部材がカバー受け部から遠ざかって、それに伴い復元するパッキングの厚み以上の隙間が押え部材とカバー受け部との間に形成される。これにより、カバーの固定が解除される。これとともに、枠体覆いを枠体の端枠から外すことにより、側枠の長手方向の端が開放されるので、カバーを枠体に対して抜き差し可能となる。したがって、カバーを交換する際に、以上の手順によってカバー装置全体の分解を伴うことなくカバーを容易に着脱できる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記カバー受け部に、前記側枠の長手方向の端から中央部に向けて延びる受け部側ラップ部が設けられているとともに、前記枠体覆いが前記カバーの端枠側部位を覆うカバー覆い部を有し、このカバー覆い部の側縁に覆い部側ラップ部が設けられており、前記両ラップ部が上下方向に重ね合わされていることを特徴としている。
【0012】
この請求項2の発明では、受け部側ラップ部と覆い部側ラップ部との重なり合いにより、カバー受け部の先端縁と枠体覆いのカバー覆い部とが接し合った部位での光漏れの通路が折れ曲がっている。このため、カバー受け部と枠体覆いのカバー覆い部とが接し合った部位に、カバーの端枠側部位を透過した光が差し込むにも拘わらず、その光が漏れることを抑制できる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記覆い部側ラップ部が前記受け部側ラップ部に上側から重ね合わされているとともに、複数の前記押えねじの内で前記側枠の長手方向の端部側に位置された押えねじが、前記受け部側ラップ部の長さ範囲内に配設されていることを特徴としている。
【0014】
この請求項3の発明では、カバーのカバー縁部を押える押えねじのねじ込みに伴い、押え力が覆い部側ラップ部に波及して、覆い部側ラップ部がその下側の受け部側ラップ部に密接されるので、カバー受け部と枠体覆いのカバー覆い部とが接し合った部位からの光漏れを確実に抑制できる。
【0015】
請求項4の発明は、請求項2又は3の発明において、前記カバー覆い部が前記カバー受け部の先端部に沿うとともに先細り状をなす一対の突出部位を有しており、これら突出部位の先端に前記覆い部側ラップ部に連続する先端ラップ部が設けられているとともに、前記カバー受け部の先端部に前記先端ラップ部が上側から重ね合わされるラップ部位が前記受け部側ラップ部に連続して設けられていることを特徴としている。
【0016】
この請求項4の発明では、カバー覆い部の一対の突出部位が先細り状であるにも拘らず、その細い先端部が、カバー受け部の下面に対して下方に浮くように突出することを、ラップ部位への先端ラップ部の重なりによって抑制できる。このため、体裁が良いとともに、カバー装置の下面を掃除する際に、先細り状の突出部位の先端に引っ掛かることが抑制されて安全かつ容易に掃除を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明の照明器具によれば、カバー装置が有する透光性カバーの交換が容易であるとともに、このカバーのがたつきを高い信頼性を持って抑制できる。
【0018】
請求項2,3の発明の照明器具によれば、請求項1の発明において、更に、カバー受け部の先端縁と枠体覆いのカバー覆い部とが接し合った部位での光漏れを抑制できる。
【0019】
請求項4の発明の照明器具によれば、請求項2又は3の発明において、更に、カバー装置の下面の体裁が良いとともに、カバー装置の下面を安全かつ容易に掃除することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1〜図10を参照して本発明の一実施形態を説明する。本実施形態の照明器具1は列車の天井に埋め込み設置して使用される。この照明器具1は、器具本体2と、カバー装置11とを具備している。
【0021】
図2に示すように器具本体2は、下方に開口されていて、この開口は正面から見て(言い換えれば、器具本体2を下方から上方に見て)長方形状をなしている。器具本体2は、その開口の両側に張出し部3を有している。一方の張出し部3にはヒンジ4が複数固定され、他方の張出し部3にはフック受け5が複数設けられている。
【0022】
図2に示すように器具本体2内には光源として例えば直管型の蛍光ランプ6が器具本体2の下方開口に対向して配設され、この蛍光ランプ6は器具本体2の長手方向両端部に夫々設置されたランプソケット7に支持されている。図1(B)及び図3に示すように器具本体2の上壁背面には、蛍光ランプ6の点灯を制御する電子安定器等の点灯装置8が装着されている。
【0023】
器具本体2は、図示しない列車の天井に開けた器具取付け孔に挿入されるとともに、それに伴い器具取付け孔の縁に当てられた張出し部3の夫々に複数のねじ(図示しない)を通して天井にねじ込むことにより天井に設置される。
【0024】
カバー装置11は、器具本体2の下方開口を下側から開閉可能に覆ってこの器具本体2に取付けられており、枠体12と、カバー26と、一対の枠体覆い31と、押え部材41と、パッキング45と、複数の押えねじ51とを備えている。
【0025】
図2〜図4に示すように枠体12は、一対の側枠13及び一対の端枠21により長方形に作られている。側枠13は押出し型材例えばアルミニウム製である。図7に示すように側枠13は枠体12内に突出されたカバー受け部14と内方突出部15を一体に有している。これらカバー受け部14と内方突出部15は、いずれも側枠13の長手方向に延びている。
【0026】
カバー受け部14は例えば側枠13の下端縁から折り曲げられていて、その上面にゴムのような弾性変形が可能な緩衝部材16が貼り付けられている(図3参照)。緩衝部材16は後述のガラス製のカバーが金属製のカバー受け部14に接することを妨げてカバーが破損する可能性を低減するために使用されている。
【0027】
図5〜図8に示すようにカバー受け部14の突出方向の先端縁に、このカバー受け部14の突出幅を狭くする切り欠き14aが設けられているとともに、この切り欠き14aに沿って受け部側ラップ部14b及びラップ部位14cが設けられている。受け部側ラップ部14b及びラップ部位14cは、カバー受け部14の厚みを略半分程度に薄くする切り欠き加工を、カバー受け部14にその上面側から施すことで形成されている。
【0028】
切り欠き14a及び受け部側ラップ部14bは側枠13の長手方向の一端及び他端から中央部に向けて延びていて、これら切り欠き14a及び受け部側ラップ部14bの一端は前記長手方向の一端又は他端に開放されている。ラップ部位14cは、受け部側ラップ部14bの他端から折れ曲がるように形成されていて、これら受け部側ラップ部14bとラップ部位14cは面一に連続している。
【0029】
図7〜図9に示すように内方突出部15はカバー受け部14の上方に離れて設けられていて、基部15aと、上向き部位15bと、先端部位15cとからなる。
【0030】
基部15aは側枠13の内面からカバー受け部14と平行に突出されており、その突出幅はカバー受け部14の幅よりも大きい。したがって、内方突出部15はカバー受け部14より長く枠体12内に突出されている。図7中符号13aは内方突出部15の基部15aとカバー受け部14との間に形成された保持溝を示している。この保持溝13aは、枠体12内に開放されているとともに、保持溝13aの長手方向両端は側枠13の両端が露出された枠体12の長手方向両端に夫々開放されている。
【0031】
上向き部位15bは基部15aに対して直角をなして基部15aの先端から折れ曲がっている。先端部位15cは上向き部位15bの上端から枠体12の内側方向に折れ曲がっている。この先端部位15c上には弾性変形が可能となるようにスポンジ状に発泡形成されたウレタン樹脂等からなる防虫パッキン17が接着されている。
【0032】
一対の側枠13にわたって設けられる各端枠21は、金属板を折り曲げてなるものであって、図4で代表して示すように左右一対の側枠13の長手方向の端に止めねじ22で固定されている。これらの端枠21は側枠13の開放された長手方向の端からずれた位置で内方突出部15の基部15aにねじ止めされている。端枠21の上端は内方突出部15の先端部位15cと同じ高さであり、この上端に防虫パッキン23が接着されている。防虫パッキン23は、弾性変形が可能となるようにスポンジ状に発泡形成されたウレタン樹脂等からなるとともに、図2に示すように防虫パッキン17の端に連続している。これら防虫パッキン17,23は器具本体2にその下方開口を囲んで密接されるようになっている。
【0033】
図3及び図4に示すようにカバー26は、例えば透光性の不燃材である透明なガラス板26aの背面に薄い透光性シート26bを貼り付けて形成されている。カバー26が透光性シート26bを有していることによって、ガラス板26aが破損した場合に、その破片が落下することが抑制されるようになっている。透光性シート26bには例えば乳白色のアクリルシートが用いられており、それにより、蛍光ランプ6の直視を防止するとともに拡散照明ができるようになっている。
【0034】
カバー26は、その両側縁(以下をカバー縁部26cと称する。)を保持溝13aに挿入してカバー受け部14上に載置することによって、一対の側枠13にわたって枠体12の下方開口を閉じて配置されている。このカバー26は側枠13の長手方向に移動されることにより、枠体12に対してその端面を通して挿脱できるようになっている。
【0035】
一対の枠体覆い31は、図1(A)に示すように枠体12の長手方向の両端部を覆って各端枠21の夫々に着脱可能に取付けられている。図1、図2、図4、及び図6中符号30は、枠体覆い31を通って端枠21に取外し可能にねじ込まれたねじを示している。
【0036】
枠体覆い31は、側枠13と同種の金属製であって、図6及び図10に示すように枠体覆い部32とカバー覆い部33を有している。
【0037】
枠体覆い部32は一対の側枠13の長手方向の端に渡って配置されて端枠21にねじ止めされた部分であって、この枠体覆い部32をストッパとして、枠体12に支持されたカバー26が側枠13の長手方向に移動することが妨げられるようになっている。したがって、枠体覆い31が枠体12から外された状態では、枠体12の端面を通してカバー26のカバー縁部26cを左右一対の保持溝13aに挿脱可能である。
【0038】
カバー覆い部33はカバー26の端枠側端部を下方から覆う部位である。このカバー覆い部33にはU字状の凹みが形成されている。それにより、カバー覆い部33は、カバー受け部14の先端部に沿うとともに先細り状をなす一対の突出部位33aを有している。
【0039】
図7、図8、及び図10に示すようにカバー覆い部33の両側縁の夫々には、これらの側縁の厚みを略半分程度に薄くする切り欠き加工を下面側から施すことによって、覆い部側ラップ部34と先端ラップ部35が形成されている。覆い部側ラップ部34は、カバー覆い部33の略全長にわたって設けられている。先端ラップ部35は、覆い部側ラップ部34に面一に連続して突出部位33aの先端に回り込んで設けられている。
【0040】
これらの枠体覆い31は枠体12の長手方向両端から中央部に向けて挿入されている。この挿入より、覆い部側ラップ部34と受け部側ラップ部14bがカバー受け部14及びカバー覆い部33の厚み方向に沿って上下方向に重ね合わされている。具体的には、覆い部側ラップ部34が受け部側ラップ部14bに上側から重ね合わされている。これとともに、先端ラップ部35とラップ部位14cもカバー受け部14及びカバー覆い部33の厚み方向に沿って上下方向に重ね合わされている。具体的には、先端ラップ部35がラップ部位14cに上側から重ね合わされている。
【0041】
更に、前記挿入により突出部位33aは前記切り欠き14aに入り込んで設けられ、それにより、図1(B)及び図5に示すようにカバー受け部14とカバー覆い部33の下面とが面一に連続されるとともに、カバー覆い部33のU字状の縁がカバー受け部14の先端縁に連続するようになっている。
【0042】
押え部材41は、一対用いられているとともに、弾性を有する材料好適には金属の板ばね製であり、図3に示すように上向き部位15bにねじ止めされる固定片部41aと、この固定片部41aから折り曲げられてカバー縁部26cと対向するように保持溝13aに挿入された押え片部41bとからなる。押え部材41は側枠13と同程度に長い。なお、図9(B)中符号13bは押え部材41を側枠13に固定するねじがねじ込まれるねじ孔を示している。
【0043】
押え部材41は、自己の弾性力によりその押え片部41bが内方突出部15の基部15aに沿う位置に付勢されている。押え片部41bの下面にパッキング45が貼り付けられている。なお、パッキング45は、押え部材41に接着することに代えてカバー縁部26cの上面に接着することもできる。パッキング45はゴムのように弾性変形が可能でかつ摩擦係数が大きい材料で作られている。このパッキング45は、押え片部41bと固定片部41aとがなした角を支点として押え片部41bが上下方向に弾性変形されるに伴い、カバー縁部26cに上方から接離されるようになっている。
【0044】
押え片部41bを上下に動かすために内方突出部15の基部15aには、その長手方向に所定間隔ごとに押えねじ51が上方からねじ込まれている。なお、図9(A)中符号13cは押えねじ51がねじ込まれるねじ孔を示している。又、図3および図7中符号は押えねじ51が挿通された座金を示している。これらの押えねじ51は座金52を介して基部15aに当たり止めされるまでねじ込まれている。それにより、押え片部41bが押下げられてカバー縁部26cに寄せられ、パッキング45を介してカバー縁部26cをカバー受け部14に押し付けた状態が保持している。
【0045】
複数の押えねじ51の内で側枠13の長手方向の端部側に位置された押えねじ51が、受け部側ラップ部14bの長さ範囲(図9にこの範囲を寸法Lで示す。)に配設されている。なお、この端部側の押えねじ51が螺合されるねじ孔13cの識別を容易にするために、図9(A)では括弧書きで示す。
【0046】
又、図2に示すようにカバー装置11は前記ヒンジ4に連結されていて、このヒンジ4を支点に回動して開閉されるようになっている。更に、カバー装置11の自由端側に位置された方の側枠13には図2及び図3に示すようにリリース部(図示しない)付きのフック装置9が複数取付けられている。これらのフック装置9は前記フック受け5に着脱可能であり、フック装置9がフック受け5に引っ掛かることにより、カバー装置11が閉じた状態が保持されるようになっている。
【0047】
前記照明器具1では、JIS規格を満足した各押えねじ51をねじ込むことにより、図3中二点鎖線で示したように押え部材41の押え片部41bがカバー26のカバー縁部26cに寄り付くように弾性変形される。これにより、押え片部41bとカバー縁部26cとの間に配置されたパッキング45の圧縮を伴いながらカバー縁部26cを側枠13のカバー受け部14に上方から押付けて、このカバー受け部14と押え片部41bとでカバー縁部26c及びパッキング45を挟んで、枠体12の側枠13にわたって配置されたカバー26を固定できる。
【0048】
この場合、側枠13の内方突出部14を各押えねじ51が挿通するが、その際のねじ込み量は内方突出部14の基部15aによって規制されて同じになるので、略均等な力でカバー縁部26cの複数個所が挟まれる。このため、列車の走行に伴う振動が照明器具1に作用しても、カバー26ががたつくことを高い信頼性を持って抑制できる。
【0049】
なお、説明の都合上、図3では照明器具1が組立てられた状態で押えねじ51が緩んだ状態を描いたが、実際に照明器具1の組立てが完了した状態では、以上説明したように各押えねじ51は基部15aを貫通してねじ込まれていて、カバー26ががたつかないように保持された状態となっているものである。
【0050】
又、カバー26の交換作業はカバー装置11を開いた状態で行われる。この交換作業で、各押えねじ51を緩めると、押え部材41の弾性力でその押え片部41bが、図3中実線で示すように内方突出部15に沿う位置に向けて戻り、この押え片部41bがカバー受け部14から遠ざかる。それに伴い、パッキング45が膨らむように復元するが、この膨らんだパッキング45の厚み以上の隙間が押え部材41の押え片部41bとカバー受け部14との間に形成される。これにより、カバー26の固定が解除される。
【0051】
これとともに、少なくとも一方の枠体覆い31を端枠21に固定しているねじ30を外した上で、枠体覆い31を引出して枠体12から外すことにより、側枠13の長手方向の少なくとも一端が開放されて、カバー26が枠体12に対して抜き差し可能となる。
【0052】
そのため、以上の手順によってカバー装置11全体の分解を伴うことなくカバー26をカバー装置11から抜出すことができる。そして、これと逆の手順により新たカバー26をカバー装置11全体の組立を伴うことなく取付けることができる。
【0053】
この場合、保持溝13aに対してカバー縁部26cは薄く、このカバー縁部26cが遊びを持って保持溝13aに挿入されるので、パッキング45及び緩衝部材16との接触が軽微となる。そのため、枠体12に対してカバー26を抜き差しするのに、パッキング45及び緩衝部材16が大きな抵抗とならならないようにできる。これにより、カバー26を容易に抜き差しできるとともに、この抜き差しに伴いパッキング45がめくれることも低減できる。
【0054】
以上のようにカバー装置11の分解と組立を伴うことなくカバー26を着脱できるので、その交換作業が容易である。
【0055】
又、前記構成の照明器具1では、カバー受け部14の突出方向の先端縁に設けた受け部側ラップ部14bと、枠体覆い31のカバー覆い部33に設けた覆い部側ラップ部34とが、上下方向に重なり合っている。この重なり合いにより、カバー受け部14の先端縁とカバー覆い部33とが接し合った部位での光漏れの通路が折れ曲がるように形成される。このため、カバー受け部14とカバー覆い部33とが接し合った部位に、カバー26の端枠側部位を透過した光が差し込むにも拘わらず、その光が、前記接し合った部位から漏れることを抑制できる。
【0056】
同様に、カバー覆い部33の先細り状をなす一対の突出部位33aの先端に覆い部側ラップ部34に連続して設けた先端ラップ部35と、カバー受け部14の先端部に受け部側ラップ部14bに連続して設けられたラップ部位14cも上下に重なり合っている。このため、先端ラップ部35とラップ部位14cとが接し合った部位に、カバー26の端枠側部位を透過した光が差し込むにも拘わらず、前記接し合った部位での光漏れの通路が折れ曲がっているので、前記接し合った部位から光が漏れることを抑制できる。
【0057】
更に、覆い部側ラップ部34は受け部側ラップ部14bに上側から重ね合わされているとともに、側枠13の長手方向の端部側に位置された押えねじ51が、受け部側ラップ部14bの長さ範囲L内に配設されているから、次の点で好ましい。すなわち、前記端部側の押えねじ51のねじ込みに伴い、その押え力が覆い部側ラップ部34に波及して、覆い部側ラップ部34がその下側の受け部側ラップ部14bに密接されるとともに、先端タップ部35がその下側位置にラップ部位14cに密接される。このため、カバー受け部14と枠体覆い31のカバー覆い部33とが接し合った部位からの光漏れを確実に抑制できる。
【0058】
しかも、カバー覆い部33はカバー受け部14の先端部に沿うとともに先細り状をなす一対の突出部位33aを有していて、これら突出部位33aの先端に設けられた先端ラップ部35が、カバー受け部14のラップ部位14cに上側から重ね合わされている。これにより、突出部位33aが先細り状であるにも拘らず、その先端部が、押えねじ51のねじ込み伴う押え力を受けてカバー受け部14の先端に対して下方に浮くように突出することを、ラップ部位14cへの先端ラップ部35の重なりによって抑制できる。したがって、照明器具1の体裁が良いとともに、カバー装置11の下面を掃除する際等に、先細り状をなした突出部位33aの先端部に引っ掛かることが抑制されるので、安全かつ容易に掃除などを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】(A)は本発明の一実施形態に係る列車用照明器具を示す斜視図。(B)は図1(A)中矢印1B方向から見て示す照明器具の図。
【図2】図1の照明器具をそのカバー装置を開いた状態で示す斜視図。
【図3】図1の照明器具の一部を示す断面図。
【図4】図1の照明器具の長手方向一端部を示す断面図。
【図5】図1の照明器具の長手方向一端部を示す正面図。
【図6】図1の照明器具の長手方向一端部をこれから分離された枠体覆いとともに示す斜視図。
【図7】図1の照明器具の側枠をこれから分離された枠体覆いの一部及び押えねじとともに示す横断面図。
【図8】図1の照明器具の側枠をこれから分離された枠体覆いの一部とともに示す縦断面図。
【図9】(A)は図7中F9A方向から見た側枠の平面図。(B)は図7中F9B方向から見た側枠の側面図。
【図10】図1の照明器具の枠体覆いを示す斜視図。
【符号の説明】
【0060】
1…照明器具、2…器具本体、6…蛍光ランプ(光源)、11…カバー装置、12…枠体、13…側枠、14…カバー受け部、15…内方突出部、14b…受け部側ラップ部、14c…ラップ部位、21…端枠、26…カバー、26c…カバー縁部、31…枠体覆い、32…枠体覆い部、33…カバー覆い部、33a…突出部位、34…覆い側ラップ部、35…先端ラップ部、41…押え部材、45…パッキング、51…押えねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に光源が配設されるとともに下方が開口された器具本体と;前記開口を覆って前記器具本体に取付けられたカバー装置とを具備した照明器具において、
前記カバー装置が、
一対の側枠及びこれら側枠に連結された一対の端枠からなる枠体であって、前記側枠が、この側枠の長手方向に延びるとともに前記枠体内に突出されたカバー受け部と、このカバー受け部の上方に位置して前記側枠の長手方向に延びるとともに前記カバー受け部よりも長く前記枠体内に突出された内方突出部を有している前記枠体と;
前記カバー受け部に載置されるカバー縁部を有して一対の前記側枠にわたって配置され、前記側枠の長手方向に移動して前記枠体に挿脱される透光性のカバーと;
一対の前記端枠に夫々着脱可能に取付けられて前記カバーの前記移動を妨げる枠体覆いと;
前記カバー縁部と対向するように前記内方突出部に取付けられていて、自己の弾性力により前記内方突出部に沿う位置に付勢されているとともに前記カバー縁部に寄り付き可能な押え部材と;
この押え部材又は前記カバー縁部に固定された弾性材料製のパッキングと;
前記内方突出部の複数個所に上方から上下に進退可能にねじ込まれ、ねじ込まれることにより前記押え部材を前記カバー縁部に向けて押すとともに、ねじ込みが緩められることにより前記押え部材が前記内方突出部に沿う位置に向けて戻ることを許す押えねじと;
を備えていることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記カバー受け部に、前記側枠の長手方向の端から中央部に向けて延びる受け部側ラップ部が設けられているとともに、前記枠体覆いが前記カバーの端枠側部位を覆うカバー覆い部を有し、このカバー覆い部の側縁に覆い部側ラップ部が設けられており、前記両ラップ部が上下方向に重ね合わされていることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記覆い部側ラップ部が前記受け部側ラップ部に上側から重ね合わされているとともに、複数の前記押えねじの内で前記側枠の長手方向の端部側に位置された押えねじが、前記受け部側ラップ部の長さ範囲内に配設されていることを特徴とする請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記カバー覆い部が前記カバー受け部の先端部に沿うとともに先細り状をなす一対の突出部位を有しており、これら突出部位の先端に前記覆い部側ラップ部に連続する先端ラップ部が設けられているとともに、前記カバー受け部の先端部に前記先端ラップ部が上側から重ね合わされるラップ部位が前記受け部側ラップ部に連続して設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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