説明

照明器具

【課題】器具本体内の電線を、別部材を設けることなく容易に固定することができるとともに、他の部品を別部材を設けることなく取付けることができる照明器具を提供する。
【解決手段】器具本体20内部に設けられて器具本体20を天井11等に取り付けるための取付部材21に、平板状の取付部21bから下方へ縦壁部26a、26bを折曲形成し、この縦壁部26a、26bに部品保持部27a、27bを形成したので、別部品を設けることなく部品14を容易に取付けることができるとともに、コストダウンを図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を有する器具本体を天井等に直付けや埋め込みにより取り付けし、光源の前方を透光カバーによって覆う照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図12に示すように、従来の天井に取り付けて用いる照明器具100は、光源である蛍光ランプ101を内部に有する器具本体102を天井103に取付け、蛍光ランプ101の前方である器具本体102の開口を、透光カバー104によって覆っている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−76614号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前述したような照明器具においては、電線は、テープ、インシュロック、ビニタイ、コードキープ等の別部品によって器具本体に固定されており、固定作業が面倒であるとともにコストアップを招いているという問題があった。また、端子台やソケット台等の部品を取り付けるために、取付用の別部材を設けなければならない。
【0004】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、その目的は、器具本体内の電線を、別部材を設けることなく容易に固定することができるとともに、他の部品を別部材を設けることなく取付けることができる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の照明器具は、内面に設けられた取付部材を介して天井に支持されるとともにランプを支持する器具本体と、前記器具本体に支持されるとともに前記ランプを覆うカバーと、を有する照明器具であって、前記取付部材の平板状の取付部から下方へ縦壁部を折曲形成し、前記縦壁部に部品保持部を形成した構成を有している。
【0006】
この構成により、器具本体内部に設けられて器具本体を天井等に取り付けるための取付部材に、平板状の取付部から下方へ縦壁部を折曲形成し、この縦壁部に部品保持部を形成したので、別部品を設けることなく部品を容易に取付けることができるとともに、コストダウンを図ることができる。
【0007】
また、本発明の照明器具は、前記部品保持部が、前記縦壁部に設けられた部品保持部に、前記ランプに電力を供給する電線を保持する電線保持部を有する構成を有している。
【0008】
この構成により、取付部材に設けた縦壁部に電線保持部として切欠きを設け、この切欠きに電線を保持するので、他の部品を設けることなく電線を保持することができる。
【0009】
さらに、本発明の照明器具は、前記縦壁部を前記取付部の両端から折曲形成し、一方の前記縦壁部に前記電線保持部を設けるとともに、他方の前記縦壁部に他の部品の取付穴を設けた構成を有している。
【0010】
この構成により、取付部材に設けた一方の縦壁部を電線保持部として電線を保持し、他方の縦壁部に取付穴を設けて他の部品を取り付けるようにしたので、他の部品を設けることなく電線や部品等を保持することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、器具本体内部に設けられて器具本体を天井等に取り付けるための取付部材に、平板状の取付部から下方へ縦壁部を折曲形成し、この縦壁部に部品保持部を形成したので、別部品を設けることなく部品を容易に取付けることができるとともに、コストダウンを図ることができるという効果を有する照明器具を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態にかかる照明器具の分解斜視図、図2(A)は照明器具の横断面図、図2(B)は(A)中(B)部分の拡大図、図3はカバーを器具本体に取付ける取付部を示す斜視図、図4(A)は取付金具の正面図、図4(B)は同じく底面図、図4(C)は同じく側面図、図5は取付金具の部品保持部の斜視図、図6(A)はカバーの平面図、図6(B)は(B)方向から見た正面図、図6(C)は(C)方向から見た側面図、図7はカバーの断面図、図8(A)は枠体の角部の平面図、図8(B)は図8(A)中(B)−(B)位置の断面図、図9は器具本体に対するカバーの着脱手順を示す分解斜視図、図10は器具本体における突出部の配置例を示す平面図である。
【0013】
図1および図2に示すように、本発明にかかる照明器具10は、天井11等に設けられている取付穴12に埋め込んで取付けられるものであり、下方が開口した矩形箱状の器具本体20と、器具本体20の開口を覆うカバー30を有している。そして、カバー30に取付けられているバネ部材31が、器具本体20に設けられているバネ受け25に支持されることにより、カバー30が器具本体20に着脱可能に取付けられるようになっている。
【0014】
器具本体20の天板20a内面には複数箇所(例えば2箇所)に取付部材として取付金具21が設けられており、天井11から下方に向かって設けられている取付ボルト13aを取付金具21の貫通穴21aに挿嵌し、ナット13bを締結することにより、器具本体20を取付穴12に取付けている。器具本体20の内部には、長手方向の両端部に、蛍光ランプ22を支持するとともに給電するためのソケット23が設けられている。また、器具本体20の天板20aの下面には、反射板24がネジ24aにより取付けられており、蛍光ランプ22の光を下方へ反射するようになっている。
【0015】
また、図2に示すように、器具本体20において、後述するバネ部材取付部としての取付金具31dやネジ31eに対向する面である両側板20bの内面の下端部には、複数個の突出部29が設けられている。
【0016】
図3および図4に示すように、取付金具21は、器具本体20の天板20aを略全幅にわたって補強する平板状の取付部21bを有しており、取付用の貫通穴21aが設けられている。また、取付部21bにおける器具本体20の幅方向両端部(図3においては片方のみ表示)は、下方へ折り曲げられてバネ受け25が一体的に設けられている。バネ受け25は、取付部21bから下方へ折り曲げて形成された連結部25aと、連結部25aの下端を器具本体20の内側へ水平に折り曲げて形成された支持部25bを有しており、支持部25bには、バネ部材31を引っ掛ける一対の支持穴25c、25cが、器具本体20の長手方向の前後に対向して設けられている。
【0017】
従って、カバー30に取付けられているバネ部材31を支持するために器具本体20に設けられているバネ受け25が、器具本体20を天井11に取付ける取付金具21と一体的に設けられているので、従来のように、バネ受け25が器具本体20から外れてカバー30が落下するのを防止することができる。また、部品点数を減少させて、組立性を向上させることができる。
【0018】
なお、バネ受け25を有する取付金具21を、予め器具本体20に固定するのが望ましい。これにより、バネ受け25は確実に器具本体20に取付けられるので、バネ受け25が器具本体20から脱落するのを防止して、カバー30が脱落するのを防止することができる。
【0019】
また、図4および図5に示すように、取付金具21の幅方向(すなわち、器具本体の長手方向)両端部は、下方(図5においては上方)へ折り曲げられて縦壁部26a、26bが形成されており、この縦壁部26a、26bに部品保持部27が設けられている。ここでは、縦壁部26aの高さを低く、縦壁部26bの高さを高く形成している。
【0020】
両縦壁部26a、26bには、器具本体20の長手方向に通る位置(すなわち、器具本体20の断面において同じ位置)に電線保持部としての切欠き27a、27bが設けられており、蛍光ランプ22に電力を供給する電線14を保持するようになっている。切欠き27a、27bの位置は、取付ボルト13aの位置、すなわち、貫通穴21aの位置を避けるのが望ましい。これにより、取付ボルト13aを締める際に、電線14を挟みこむような事態を回避することができる。
【0021】
切欠き27a、27bの形状は、入り口を狭く、奥を広く形成するのが望ましい。これにより、押し込んだ電線14を確実に保持して脱落するのを防止することができる。また、電線14を通す際には入り口の縦壁部をまげて広げ、電線線14を通した後に入り口を元に戻すことにより、電線14の脱落を防止するようにしても良い。
【0022】
従って、器具本体20内部に設けられて器具本体20を天井11等に取り付けるための取付金具21に、下方へ縦壁部26a、26bを折曲形成し、この縦壁26a、26bに部品保持部である切欠き27a、27bを形成したので、従来のようなテープ、インシュロック、ビニタイ等の別部品を設けることなく、電線14を容易に取付けることができ、コストダウンを図ることができる。
【0023】
また、高い方の縦壁部26bには、端子台やソケット台等の他の部品28を取り付けるための取付穴27cが設けられている。
これにより、他の取付用の部品を別途設けることなく、他の部品28を保持することができる。また、他の部品28を、高さの高い縦壁部26bによって、隔離することもできる。
【0024】
図6および図7に示すように、カバー30は、枠体32と、この枠体32に取り付けられる透光性を有するパネル33と、パネル33を枠体32に固定するパネル押え34を有する。枠体32は、樹脂製で一定の幅を有し、全体として例えば矩形状をしている。また、パネル33は透光性を有する樹脂製であり、矩形状をしていて、枠体32の開口全体を覆っている。
【0025】
従って、パネル33を枠体32に固定するパネル押え34は、枠体32の一対の長辺32aに沿って取り付けられる一対の長いパネル押え35と、枠体32の一対の短辺32bに沿って取付けられる一対の短いパネル押え36を有している。
【0026】
図8に示すように、枠体32は角部において長辺32aと短辺32bとが結合されている。また、枠体32の内側に設けられているパネル押え34においては、角部において長いパネル押え35と短いパネル押え36を交わらせるとともに、一方のパネル押え(ここでは長いパネル押え35)のみを枠体32に固定するとともに、長いパネル押え35の端部の水平部35aを切欠いて垂直部35bにより他方(短い方)のパネル押え36の水平部36aを保持する。
【0027】
これにより、短いパネル押え36を固定するネジを無くすことができ、器具本体20の内面を擦って傷付けるのを減少させることができる。また、ネジによる固定を少なくすることができるので、部品点数を減少させるとともに、組立作業性を向上させることができる。
【0028】
なお、短いパネル押え36の水平部36aの上面に、長いパネル押え35の垂直部35bを位置決めする凹凸としての凸部37を設けるのが望ましい。これにより、パネル押え34がずれるのを防止することができる。
【0029】
図1に示すように、長いパネル押え35には、複数箇所(ここでは2箇所)にバネ部材31が取付けられている。図3に示すように、バネ部材31は線材によるぜんまい形状をしており、中心軸31aから一対の支持アーム31bが互いに離れる方向に設けられていて、支持アーム31bの先端は折り曲げて係止部31cが設けられている。図2(B)に示すように、中心軸31aは、バネ部材取付部である取付金具31dに保持され、取付金具31dをネジ31eによって長いパネル押え35に取付けることにより、バネ部材31をカバー30に取付けている。
【0030】
次に、天井11に取付けられている器具本体20に対するカバー30の着脱方法について説明する。
図2および図9に示すように、まず、バネ部材31の一対の支持アーム31b、31bの先端を互いに接近させて閉じ(図9中矢印A)、カバー30を器具本体20に近付けて、支持アーム31bの先端をバネ受け25の支持穴25cに挿入して係止する(図2および図9中矢印B)。この状態では、一対の支持アーム31b、31bは開く方向へ付勢されており、カバー30は器具本体20のバネ受け25に保持されて、落下しなくなる。次いで、カバー30を押し上げて、器具本体20に密着させる(図2および図9中矢印C)。このとき、一対の支持アーム31b、31bはさらに開いて、支持アーム31bの中心軸31a寄りの部分でカバー30を支持する。
【0031】
なお、図2において前述したように、器具本体20の両側板20bの内面下端部に突出部29を複数個設け、この突出部29の高さ(突出量)H1(図2(B)参照)を、バネ部材取付部である取付金具31dやネジ31e等の突出量H2(図7参照)よりも大きくする。
これにより、カバー30を器具本体20に装着する際に、取付金具31dやネジ31e等が器具本体20の内面に擦れて傷つくのを防止することができる。
【0032】
また、図10に示すように、突出部29は、器具本体20において少なくとも対向する位置に配置されるようにする。
これにより、カバー30が器具本体20に接触する際に、確実に突出部29が先に接触することとなる。また、カバー30を、容易に器具本体20の中心位置に位置決めすることができ、外観が向上する。
【0033】
一方、蛍光ランプ22の交換時等において器具本体20に装着されているカバー30を取り外す際には、カバー30を強く引き下ろして、バネ部材31の係止部31cがバネ受け25の支持穴25cによって係止された状態とする。この状態では、カバー30と器具本体20との間には手を入れる隙間が形成されているので、隙間から手を入れてバネ部材31の一対の支持アーム31bを閉じ、係止部31cをバネ受け25の支持穴25cから外す。これを全てのバネ部材31について行い、カバー30を器具本体20から外す。
【0034】
なお、本発明の照明器具は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態においては、短いパネル押え36の水平部36aの上面に、長いパネル押え35の垂直部35bを位置決めする凹凸として凸部37を設けた場合について説明したが、図11(A)に示すように、水平部36aの上面に凹部38を設けるとともに、長いパネル押え35の垂直部35bの先端に係止突起35cを設け、図11(B)に示すように、係止突起35cを凹部38に嵌合させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態にかかる照明器具の分解斜視図
【図2】(A)は照明器具の横断面図、(B)は(A)中(B)部分の拡大図
【図3】カバーを器具本体に取付ける取付部を示す斜視図
【図4】(A)は取付金具の正面図、(B)は同じく底面図、(C)は同じく側面図
【図5】取付金具の部品保持部の斜視図
【図6】(A)はカバーの平面図、(B)は(B)方向から見た正面図、(C)は(C)方向から見た側面図
【図7】カバーの断面図
【図8】(A)は枠体の角部の平面図、(B)は(A)中(B)−(B)位置の断面図
【図9】器具本体に対するカバーの着脱手順を示す分解斜視図
【図10】器具本体における突出部の配置例を示す平面図
【図11】(A)はパネル押えに設ける凹凸としての凹部の一例を示す斜視図
【図12】従来の照明器具の断面図
【符号の説明】
【0036】
10 照明器具
11 天井
14 電線
20 器具本体
21 取付金具(取付部材)
21b 取付部
22 蛍光ランプ(ランプ)
26a、26b 縦壁部
27a、27b 切欠き(部品保持部、電線保持部)
27c 取付穴
28 他の部品
30 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に設けられた取付部材を介して天井に支持されるとともにランプを支持する器具本体と、
前記器具本体に支持されるとともに前記ランプを覆うカバーと、を有する照明器具であって、
前記取付部材の平板状の取付部から下方へ縦壁部を折曲形成し、前記縦壁部に部品保持部を形成したことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記部品保持部が、前記縦壁部に設けられた部品保持部に、前記ランプに電力を供給する電線を保持する電線保持部を有することを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記縦壁部を前記取付部の両端から折曲形成し、一方の前記縦壁部に前記電線保持部を設けるとともに、他方の前記縦壁部に他の部品の取付穴を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−259624(P2009−259624A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107785(P2008−107785)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】