説明

照明器具

【課題】カバー部材がガタつかないように支持され、且つ、ランプを容易に交換することができる照明器具を提供する。
【解決手段】器具本体20の前方を覆う透光性のカバー部材30は、器具本体20およびカバー部材30に設けられている第1のネジ貫通穴25および第2のネジ貫通穴34を貫通するネジ31により、回動可能に器具本体20に取り付けられている。ネジ31に締結されているナット29は、第1のネジ貫通穴25を拡径して設けられているバネ収納凹部26に連続してさらに拡径して設けられているナット収納凹部27に、移動可能に収納されている。また、バネ収納凹部26にはスプリングバネ28が圧縮されて収納されており、ナット29をスプリングバネ28が伸張する方向へ付勢している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を収容する器具本体の前方を覆う透光性のカバー部材を有する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の照明器具には、光源を収容する器具本体の前方を覆う透光性のカバー部材を有するものがある(例えば特許文献1参照)。
以下、図5により従来の照明器具について説明する。この照明器具100では、器具本体101に直管形蛍光ランプ102が収容されており、器具本体101の開口面には、透光性のカバー部材として複数のルーバー103が取り付けられている。ルーバー103は、器具本体101の側縁部104に支持部105が回動可能に支持されており、器具本体102の開口面を開閉する。なお、器具本体101の内部には、蛍光ランプ102を取り付けるソケット106、蛍光ランプ102の光を反射する反射板107等が設けられている。
【0003】
器具本体101の側縁部104には断面略円形のポケット溝104aが設けられており、ポケット溝104aは開口104bを有する。一方、ルーバー103の支持部105は、断面円形の軸部105aと、軸部105aを先端に有する支持材105bを有する。
従って、支持材105bを開口104bに通して軸部105aをポケット溝104aに嵌合させることにより、ルーバー103は所定の角度の範囲で器具本体101により回動可能に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−172031号公報(第9図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した従来の照明器具100においては、ルーバー103を開閉することにより容易に蛍光ランプ102を交換することができるものの、ルーバー103は閉じる方向へ付勢されていないため、ガタつくという問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、カバー部材がガタつかないように支持され、且つ、ランプを容易に交換することができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明器具は、光源を収容する器具本体と、前記器具本体の前方を覆う透光性のカバー部材と、を有し、前記カバー部材がネジにより前記器具本体に対して回動可能に取り付けられた照明器具であって、前記器具本体または前記カバー部材の一方には、前記ネジが貫通する第1のネジ貫通穴を設けるとともに当該第1のネジ貫通穴の軸方向中央部を拡径してバネ収納凹部を設け、当該バネ収納凹部に連続してさらに拡径してナット収納凹部を設け、前記器具本体または前記カバー部材の他方には、前記第1のネジ貫通穴に対応する第2のネジ貫通穴を設け、前記ネジを前記第1のネジ貫通穴および前記第2のネジ貫通穴を貫通して設けるとともに前記ネジの外側に前記バネ収納凹部よりも長いスプリングバネを配設し、前記ナット収納凹部に収納されるナットを前記ネジに締結して前記スプリングバネを圧縮し、前記ナットは前記ナット収納凹部において前記スプリングを圧縮する方向へ移動可能に設けられ、前記カバー部材と前記器具本体との接触面に係合部を設けた構成を有している。
【0008】
この構成により、器具本体の前方を覆う透光性のカバー部材は、器具本体およびカバー部材に設けられている第1のネジ貫通穴および第2のネジ貫通穴を貫通するネジにより、回動可能に器具本体に取り付けられているので、ランプを容易に交換することができる。ネジに締結されているナットは、第1のネジ貫通穴を拡径して設けられているバネ収納凹部に連続してさらに拡径して設けられているナット収納凹部に、移動可能に収納されている。また、バネ収納凹部にはスプリングバネが圧縮されて収納されており、ナットをスプリングバネが伸張する方向へ付勢している。これにより、器具本体とカバー部材とが、相互に押圧するように接触するので、カバー部材はガタつくことなく器具本体に取り付けられる。また、カバー部材と器具本体との接触面に係合部が設けられているので、カバー部材は器具本体に対して所定位置に位置決めされてずれない。
【0009】
また、本発明の照明器具は、前記ナットと前記バネ収納凹部との間の隙間は、前記係合部の係合長さよりも大きい構成を有している。
【0010】
この構成により、ナットとバネ収納凹部との間の隙間は、係合部の係合長さよりも大きいので、スプリングバネに抗してカバー部材を引出して係合部を解放することができ、ネジを中心としてカバー部材を回動させることができる。これにより、カバー部材の落下を防止して、ランプを容易に交換することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、カバー部材を器具本体に回動可能に取り付けるネジに締結されているナットは、第1のネジ貫通穴を拡径して設けられているバネ収納凹部に連続してさらに拡径して設けられているナット収納凹部に、移動可能に収納されている。また、バネ収納凹部にはスプリングバネが圧縮されて収納されており、ナットをスプリングバネが伸張する方向へ付勢している。これにより、器具本体とカバー部材とが、相互に押圧するように接触するので、カバー部材はガタつくことなく器具本体に取り付けられる。また、カバー部材と器具本体との接触面に係合部が設けられているので、カバー部材は器具本体に対して所定位置に位置決めされてずれないという効果を有する照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)は本発明に係る実施形態の照明器具を示す斜視図、(B)はフードを回動して開けた状態を示す斜視図
【図2】フードをセードに装着した通常使用時の断面図
【図3】フードを前方へ移動させた状態の断面図
【図4】(A)はセードの係合凸部を前方から見た斜視図、(B)はフードの係合凹部を後方から見た斜視図
【図5】従来の照明器具の断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る実施形態の照明器具10は、光源であるランプ21を収容する器具本体20を有する。器具本体20は、ランプ21を収容して電力を供給する灯具22と、灯具22の前側に取り付けられてランプ21からの光を所定の方向へ照射するセード23とを有する。セード23の照射方向前側には、器具本体20の前方を覆う透光性のカバー部材であるフード30が、ネジ31により回動可能に取り付けられている(図1(B)参照)。
【0014】
このような照明器具10は、灯具22に支持部材(図示省略)を設けることにより、例えば天井に敷設されたレールに沿って移動可能なスポットライトとして使用することができる。
【0015】
灯具22は有底の円筒形状をしており、内部にランプ21やランプ装着用のソケット(図示省略)等を収容する。セード23は、灯具22の先端部に外嵌される円筒形状をしており、外周面231の一部にセード側回転支持部24が突設されている。フード30は、セード23と略同径の円筒形状をしており、先端の開口には透光性のカバー33が取り付けられてランプ21を保護している。フード30の外周面301の一部には、ネジ31によってセード側回転支持部24に回転可能に支持されるフード側回転支持部32が突設されている。セード側回転支持部24およびフード側回転支持部32は同じ断面形状を有しており、フード30をセード23の前方へ取り付けた通常使用状態で、外観的に一体化する(図1(A)参照)。
【0016】
図4に示すように、セード23とフード30との接触面には、係合部を設けるのが望ましい。係合部としては、例えばセード23の前面234に前方へ突出する係合凸部232を設け、フード30の後面303に係合凹部302を設けて、係合凸部232が係合凹部302に係合するようにすることができる。係合凹部302の深さH2は、少なくとも係合凸部232の高さH1よりも大きくする。これにより、係合状態では、セード23の前面234とフード30の後面303とが、接触する。
【0017】
なお、逆に、セード23に係合凹部を設け、フード30に係合凸部232を設けることもできる。いずれの場合も、係合部の係合長さは、係合凸部232の高さH1(図3参照)となる。
また、係合凸部232および係合凹部302は、図4(A)および(B)に示すように、それぞれセード23およびフード30の全周にわたって設けることができるが、対応する一部の位置のみに設けることもできる。
【0018】
図2および図3に示すように、器具本体20としてのセード23またはフード30の一方であるセード23のセード側回転支持部24には、ネジ31が貫通する第1のネジ貫通穴25を設けるとともに、この第1のネジ貫通穴25の軸方向中央部を拡径してバネ収納凹部26が設けられている。また、バネ収納凹部26に連続してさらに拡径してナット収納凹部27が設けられている。
【0019】
バネ収納凹部26は、スプリングバネ28が収容できる内径を有する円形断面の空間とすることができる。ナット収納凹部27は、ナット29が回転せずに往復移動できるような、六角形断面の空間とすることができる。これにより、ネジ31を回転させたときに、ナット29の供回りを防止できる。ナット収納凹部27は、セード側回転支持部24の後面241に開口(開口242)しており、ネジ31に螺合するナット29は開口242から挿入されて収納される。
【0020】
器具本体20としてのセード23またはフード30の他方としてのフード30のフード側回転支持部32には、ネジ31が貫通する第2のネジ貫通穴34が、第1のネジ貫通穴25と同軸で設けられている。
【0021】
バネ収納凹部26には、バネ収納凹部26の長さL1よりも長い自然長L2を有するスプリングバネ28が、ネジ31の外側に配設されており、ナット収納凹部27まで延びている。ナット29をネジ31に螺合させ、ネジ31を回転させてナット29を前進させることにより、スプリングバネ28を圧縮状態(図2に示す状態)とする。これにより、スプリングバネ28の前端はバネ収納凹部26の前壁に当接し、後端はナット29の前面に当接する。
【0022】
従って、ナット29は、スプリングバネ28によって後方へ付勢されるので、ナット29が締結されているネジ31は、スプリングバネ28によって後方へ付勢されることになる。これにより、ネジ31の頭部311が係止されているフード側回転支持部32が後方へ付勢されるので、セード側回転支持部24に押し付けられる。同時に、セード23の係合凸部232がフード30の係合凹部302に嵌合して押し付けられる。
【0023】
フード30がセード23の前方に嵌合して取り付けられている通常使用時においては、ナット29とバネ収納凹部26との間の隙間、すなわち、ナット収納凹部27におけるナット29の移動可能距離L3は、少なくとも、セード23とフード30の係合長さH1よりも大きく設定する。これにより、ナット29がバネ収納凹部26に当接する限界までフード30を前方へ移動(移動可能距離L3)させると、セード23の最先端である係合凸部232の前端面233と、フード30の後面303との間には、空間Sが形成される。
【0024】
次に、ランプ21の交換等におけるフード30の回転作業について説明する。
まず、通常使用時の嵌合状態にあるフード30を、ナット29がバネ収納凹部26に当接するまで前方へ移動させる。この状態では、セード23の最先端である係合凸部232の前端面233と、フード30の後面303との間には、空間S(図3参照)が形成されるので、フード30を前方へ引っ張った状態でネジ31を中心としてフード30を回転させる。
【0025】
また、通常使用状態に戻す際には、フード30を前方へ引っ張った状態でネジ31を中心としてフード30を回転させ、セード23の係合凸部232をフード30の係合凹部302に嵌合させる。手を離すと、スプリングバネ28の付勢力により、嵌合してフード30がセード23に押し付けられる。
【0026】
以上、説明した本発明の実施形態に係る照明器具10によれば、ネジ31に締結されているナット29は、第1のネジ貫通穴25を拡径して設けられているバネ収納凹部26に連続してさらに拡径して設けられているナット収納凹部27に、移動可能に収納されている。また、バネ収納凹部26にはスプリングバネ28が圧縮されて収納されており、ナット29をスプリングバネ28が伸張する方向(すなわち、後方)へ付勢している。これにより、セード23とフード30とが、相互に押圧するように接触するので、フード30はガタつくことなくセード23に取り付けられる。また、フード30とセード23との接触面に係合部302、232が設けられているので、フード30はセード23に対して所定位置に位置決めされてずれない。
【0027】
また、ナット29とバネ収納凹部26との間であるナット29の移動可能距離L3は、係合部の係合長さH1よりも大きく設定されており、スプリングバネ28に抗してフード30を前方へ引出して係合部を解放することができるので、ネジ31を中心としてフード30を回動させることができる。これにより、フード30の落下を防止して、ランプ21を容易に交換することができる。
【0028】
なお、本発明の照明器具は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した実施形態においては、器具本体20を構成する灯具22の前にセード23を設けた場合を例示したが、本発明はセード23を設けない場合にも適用可能である。この場合には、器具本体20としての灯具22の前端面にフード30が取り付けられることになり、前述したセード23に設けられているセード側回転支持部24と同様の回転支持部および係合部が、灯具22に設けられる。
【0029】
また、前述した実施形態においては、セード側回転支持部24にナット29およびスプリングバネ28を設ける構造としたが、フード側回転支持部32にナットおよびスプリングバネを設けることもできる。
【符号の説明】
【0030】
10 照明器具
21 ランプ(光源)
22 灯具(器具本体)
23 セード(器具本体)
232 係合凸部(係合部)
24 セード側回転支持部(一方)
25 第1のネジ貫通穴
26 バネ収納凹部
27 ナット収納凹部
28 スプリングバネ
29 ナット
30 フード(カバー部材)
302 係合凹部(係合部)
31 ネジ
32 フード側回転支持部(他方)
34 第2のネジ貫通穴
L3 移動可能距離(隙間)
H1 係合凸部の高さ(係合長さ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を収容する器具本体と、前記器具本体の前方を覆う透光性のカバー部材と、を有し、
前記カバー部材がネジにより前記器具本体に対して回動可能に取り付けられた照明器具であって、
前記器具本体または前記カバー部材の一方には、前記ネジが貫通する第1のネジ貫通穴を設けるとともに当該第1のネジ貫通穴の軸方向中央部を拡径してバネ収納凹部を設け、当該バネ収納凹部に連続してさらに拡径してナット収納凹部を設け、
前記器具本体または前記カバー部材の他方には、前記第1のネジ貫通穴に対応する第2のネジ貫通穴を設け、
前記ネジを前記第1のネジ貫通穴および前記第2のネジ貫通穴を貫通して設けるとともに前記ネジの外側に前記バネ収納凹部よりも長いスプリングバネを配設し、前記ナット収納凹部に収納されるナットを前記ネジに締結して前記スプリングバネを圧縮し、
前記ナットは前記ナット収納凹部において前記スプリングを圧縮する方向へ移動可能に設けられ、
前記カバー部材と前記器具本体との接触面に係合部を設けたことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記ナットと前記バネ収納凹部との間の隙間は、前記係合部の係合長さよりも大きいことを特徴とする請求項1記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−287529(P2010−287529A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142208(P2009−142208)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】