説明

照明器具

【課題】放熱フィンによる放熱効率を向上させるとともに、軽量化を図ることができる照明器具を提供する。
【解決手段】LED光源24が発した熱は、LED光源24の背面側に設けられたヒートシンク部30により放熱される。ヒートシンク部30を構成する複数枚の放熱フィン31は、所定間隔で積層されており、各放熱フィン31の間を流れる空気により冷却される。積層されている放熱フィン31は、積層方向の中央部に配置される放熱フィン31Bの高さ寸法HA2を小さく、積層方向の両端部に配置される放熱フィン31Aの高さ寸法HA1を大きくし、放熱フィン31の面方向に沿って見たときに、放熱フィン31の頂部311を結ぶ線が谷形状となるようにする。これにより、放熱フィン31の間を空気が流れるので、放熱フィン31による放熱効率を向上させるとともに、軽量化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED光源の背面側に、放熱用のヒートシンク部を有する照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、LED光源の背面側に、放熱用のヒートシンク部を有する照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図10に示すように、特許文献1に記載の照明器具100は、ハウジング101を備え、このハウジング101が天井、壁等のパネルへ固定される。ハウジング101の下端部には外方に突出した係合縁102が全周に亘って形成されており、取付孔の開口縁に係合縁102が係合した状態で取り付けられる。ハウジング101の後方(図10において上方)には本体部103が回動可能に取り付けられており、本体部103は、ベース部104を有する。ベース部104は、上方に取り付けられたヒートシンク部105と、下端に取り付けられるレンズ部106を有する。
【0003】
ヒートシンク部105は中心部に形成された圧入孔107を有し、圧入孔107の周囲に多数の放熱フィン105Aを有する。
なお、ベース部104の円筒部108が下方からヒートシンク部105の圧入孔107に圧入され、これによって、ベース部104とヒートシンク部105とが結合される。
また、ベース部104の下面でレンズ部106の上方には、中心部にLED109が実装された実装基板110が設けられている。
【0004】
従って、LED109から発せられた光は、レンズ部106を通って、下方へ照射される。このときに発生した熱は、ベース部104の円筒部108からヒートシンク部105の圧入孔107に伝達されて、ヒートシンク部105の放熱フィン105Aにより放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−134067号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の照明器具100においては、放熱フィン105Aの高さは,中央部が高くなっているため、自然空冷においては空気の対流が起きづらく、放熱効率が低下するとともに重量も大きくなるという問題があった。
また、放熱フィンの上側に電源装置を設ける場合には、一層空気の対流が悪くなって、電源装置に熱の影響が生じるという問題があった。
【0007】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、放熱フィンによる放熱効率を向上させるとともに、軽量化を図ることができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明器具は、LED光源の裏面側に設けられた複数枚の放熱フィンを所定間隔で積層したヒートシンク部を有し、積層方向の中央部において前記放熱フィンの高さ寸法が小さく、積層方向の両端部に向かうにつれて前記放熱フィンの高さ寸法が大きくなり、前記放熱フィンの面方向に沿って見たときに、前記放熱フィンの頂部を結ぶ線が谷形状であるものである。
【0009】
また、本発明の照明器具は、LED光源の裏面側に設けられた複数枚の放熱フィンを所定間隔で積層したヒートシンク部を有し、前記放熱フィンが、幅方向中央において低く、外側に向かうにつれて高く形成され、積層方向から見たときに、前記放熱フィンの頂部が谷形状であるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、積層されている放熱フィンは、積層方向の中央部に配置される放熱フィンの高さ寸法を小さく、積層方向の両端部に配置される放熱フィンの高さ寸法を大きくし、放熱フィンの面方向に沿って見たときに、放熱フィンの頂部を結ぶ線が谷形状となるようにする。これにより、例えばヒートシンク部の上側に電源装置等を配置した場合でも、放熱フィンの間を空気が流れるので、放熱フィンによる放熱効率を向上させるとともに、軽量化を図ることができるという効果を有する照明器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1実施形態の照明器具の斜視図
【図2】(A)はヒートシンク部における放熱フィンの形状を示す斜視図であり、(B)は(A)中B方向から見た正面図
【図3】(A)はヒートシンク部のカットを設けた効果を検証する実験の斜視図であり、(B)は谷形状の寸法等を示す説明図
【図4】本発明に係る第2実施形態の照明器具の斜視図
【図5】(A)はヒートシンク部における放熱フィンの形状を示す斜視図であり、(B)は(A)中B方向から見た正面図
【図6】(A)はヒートシンク部のカットを設けた効果を検証する実験の斜視図であり、(B)は谷形状の寸法等を示す説明図
【図7】本発明に係る第3実施形態の照明器具の斜視図
【図8】(A)はヒートシンク部における放熱フィンの形状を示す斜視図であり、(B)は(A)中B方向から見た正面図
【図9】(A)はヒートシンク部のカットを設けた効果を検証する実験の斜視図であり、(B)は谷形状の寸法等を示す説明図
【図10】従来の照明器具の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の照明器具について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の照明器具10は、被取付部である天井11に形成された取付孔(図示省略)に埋設して下方を照明するダウンライトとすることができる。
【0013】
照明器具10は、LED光源24(図2(B)参照)を収容して所定方向へ照明光を照射する灯具20を有する。灯具20は、円柱形状の枠体21に、回動可能に支持されており、照明方向の調整が可能となっている。枠体21の下端(図1において下端)には、鍔部材22が取り付けられ、枠体21の側面には複数個(ここでは、例えば3個)の取付バネ23が放射状に外側へ張り出して設けられている。
従って、灯具20は、天井11の下面に鍔部材22を当接させ、取付バネ23が天井11の上面(天井裏)を下方へ押圧することにより、鍔部材22と取付バネ23とで天井11を挟んで取り付けられる。
【0014】
灯具20は、LED光源24が発する熱を放熱するヒートシンク部30を有する。ヒートシンク部30では、複数枚の薄板状の放熱フィン31が、水平方向へ所定の間隔を保持しつつ積層されて一体的に設けられている。
放熱フィン31の上には、天井裏に配線されている商用電源(図示省略)に接続されて、LED光源24を点灯させる電力を供給する電源装置12が取り付けられる。
【0015】
図1および図2に示すように、複数枚の薄板状の放熱フィン31が、水平方向へ積層されており、積層方向(図2(A)中矢印A方向)の中央部の放熱フィン31Bの高さ寸法が小さく、両端部に向かうにつれて放熱フィン31Aの高さ寸法が大きくなる。
これにより、図2(B)に示すように、ヒートシンク部30を正面から(すなわち、放熱フィン31の面方向に沿った方向から)見ると、放熱フィン31の頂部311を結ぶ線312が、中央が凹んだ谷形状となっている。
【0016】
図3(A)には、ヒートシンク部30の放熱フィン31を谷型に形成した効果を示す実験装置が示されている。ここでは、ヒートシンク部30の上方に電源装置12を配置して、電源装置12における温度を測定する。
また、図3(B)に示すように、このときの放熱フィン31の寸法を規定する。ヒートシンク部30の全幅をWA、外側の放熱フィン31Aの高さをHA1、内側の放熱フィン31Bの高さをHA2とする。また、奥行きをDA(図3(A)参照)とする。
【0017】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の照明器具10によれば、LED光源24が発した熱は、LED光源24の背面側に設けられたヒートシンク部30により放熱される。
ヒートシンク部30を構成する複数枚の放熱フィン31は、所定間隔で積層されており、各放熱フィン31の間を流れる空気により冷却される。
【0018】
積層されている放熱フィン31は、積層方向の中央部に配置される放熱フィン31Bの高さ寸法を小さく、積層方向の両端部に配置される放熱フィン31Aの高さ寸法を大きくする。そして、放熱フィン31の面方向に沿って見たときに、放熱フィン31の頂部311を結ぶ線が谷形状となるようにする。
これにより、例えばヒートシンク部30の上側に電源装置12等を配置した場合でも、放熱フィン31の間を空気が流れるので、放熱フィン31による放熱効率を向上させるとともに、照明器具10の軽量化を図ることができる。
【0019】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の照明器具について説明する。
なお、前述した第1実施形態に係る照明器具10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0020】
図4および図5に示すように、第2実施形態の照明器具10Bでは、ヒートシンク部30Bにおいて複数枚の薄板状の放熱フィン32が、水平方向へ所定間隔をおいて積層されている。
各放熱フィン32は、幅方向(図5(A)中矢印A方向)中央において低く、外側に向かうにつれて高く形成されている。なお、全ての放熱フィン32は同形状とすることができる。
これにより、図5(B)に示すように、ヒートシンク部30Bを正面から(すなわち、積層方向から)見ると、放熱フィン32の頂部321は、中央が凹んだ谷形状となっている。
【0021】
図6(A)には、ヒートシンク部30Bの放熱フィン32を谷型に形成した効果を示す実験装置が示されている。ここでは、ヒートシンク部30Bの上方に電源装置12を配置して、電源装置12における温度を測定する。
また、図6(B)に示すように、このときの放熱フィン32の寸法を規定する。ヒートシンク部30Bの全幅をWB、放熱フィン32の外側端部における高さをHB1、中央における放熱フィン32の高さをHB2とする。また、奥行きをDB(図6(A)参照)とする。
【0022】
以上、説明した本発明に係る第2実施形態の照明器具10Bによれば、LED光源24が発した熱は、LED光源24の背面側に設けられたヒートシンク部30Bにより放熱される。
ヒートシンク部30Bを構成する複数枚の放熱フィン32は、所定間隔で積層されており、各放熱フィン32の間を流れる空気により冷却される。
【0023】
積層されている放熱フィン32では、各放熱フィン32を、幅方向中央において低く、外側に向かうにつれて高くなるように形成する。
これにより、例えばヒートシンク部30Bの上側に電源装置12等を配置した場合でも、放熱フィン32の間を空気が流れるので、放熱フィン32による放熱効率を向上させるとともに、軽量化を図ることができる。
【0024】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の照明器具について説明する。
なお、前述した第1実施形態の照明器具10および第2実施形態の照明器具10Bと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0025】
図7および図8に示すように、第3実施形態の照明器具10Cでは、ヒートシンク部30Cにおいて複数枚の薄板状の放熱フィン33が、水平方向へ積層されている。
各放熱フィン33は、積層方向(図8(A)中矢印A方向)の中央部の放熱フィン33Bの高さ寸法が小さく、積層方向の両端部に向かうにつれて、放熱フィン33Aの高さ寸法が大きくなる。
さらに、放熱フィン33は、幅方向(図8(A)中矢印C方向)中央において低く、外側に向かうにつれて高く形成されている。
これにより、図8(B)に示すように、ヒートシンク部30Cを正面から見ると、放熱フィン33の頂部331を結ぶ線332は、中央が凹んだ谷形状となっている。
また、側面から見ても、中央が凹んだ谷形状となっている。
【0026】
図9(A)には、ヒートシンク部30Cの放熱フィン33を、前述したような谷型に形成した効果を示す実験装置が示されている。ここでは、ヒートシンク部30Cの上方に電源装置12を配置して、電源装置12における温度を測定する。
また、図9(B)に示すように、このときの放熱フィン33の寸法を規定する。ヒートシンク部30Cの全幅をWC、放熱フィン33の外側端部における高さをHC1、中央における放熱フィン33の高さをHC2とする。また、奥行きをDC(図9(A)参照)とする。
さらに、側面から見た際の、放熱フィン33の中央における高さをHC3とする(図9(B)において括弧書きで表示)。
【0027】
以上、説明した本発明に係る第3実施形態の照明器具10Cによれば、LED光源24が発した熱は、LED光源24の背面側に設けられたヒートシンク部30Cにより放熱される。
このとき、ヒートシンク部30Cを構成する複数枚の放熱フィン33は、所定間隔で積層されており、各放熱フィン33の間を流れる空気により冷却される。
【0028】
ヒートシンク部30Cは、積層方向から見ても、放熱フィン33の面方向に沿った方向から見ても、谷型となるように形成する。
これにより、例えばヒートシンク部30Cの上側に電源装置12等を配置した場合でも、放熱フィン33の間を空気が流れるので、放熱フィン33による放熱効率を向上させるとともに、軽量化を図ることができる。
【0029】
なお、本発明の照明器具は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0030】
10、10B、10C 照明器具
24 LED光源
30、30B、30C ヒートシンク部
31、32、33 放熱フィン
311、321、331 頂部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光源の裏面側に設けられた複数枚の放熱フィンを所定間隔で積層したヒートシンク部を有し、
積層方向の中央部において前記放熱フィンの高さ寸法が小さく、積層方向の両端部に向かうにつれて前記放熱フィンの高さ寸法が大きくなり、
前記放熱フィンの面方向に沿って見たときに、前記放熱フィンの頂部を結ぶ線が谷形状である照明器具。
【請求項2】
LED光源の裏面側に設けられた複数枚の放熱フィンを所定間隔で積層したヒートシンク部を有し、
前記放熱フィンが、幅方向中央において低く、外側に向かうにつれて高く形成され、
積層方向から見たときに、前記放熱フィンの頂部が谷形状である照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−114813(P2013−114813A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257962(P2011−257962)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】