説明

照明器具

【課題】組立作業性を向上でき、電源線の挟み込みを防止できる照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具10は、天井側に有する天井吊部材16に取り付けられる枠体13と、枠体13に支持される灯具本体11と、灯具本体11に収容され、天井面から引き出された電源線16に対して電気的に接続されるLED発光部17と、を備え、灯具本体11が、天井吊部材16を収容する凹部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井材の埋設孔に埋め込まれて設置されるダウンライト等に適用される照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、天井吊ボルトが通されるボルト通孔が形成された本体を有する器具本体と、器具本体に取付けられて支持される光源を点灯させる点灯装置と、を備えた照明器具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1は、埋め込み孔の縁部に下方から引っ掛かる天井係止端部を有して埋込孔に通される一対のベース部材と、ベース部材に上下に回転可能に連結されて両ベース部材にわたって設けられているとともに器具本体を支持する本体支持部材と、を備えている。
そして、特許文献1は、本体支持部が回転されることにより器具本体を相対的に低い位置と高い位置とに支持する複数の設置装置と、光源を内側に配して器具本体の下方に配置されるとともに天井係止端部を覆うカバー部を有した制光装置と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−146818号公報(図1、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、高さが異なる制光装置の選択に応じた遮光角を形成できるとともに選択に拘わらずに専用の設置装置を要しないで天井に埋め込み設置できる。
ところで、図10に示すように、特許文献1と同様に、光源101を収容し、反射板102が取り付けられる灯具本体103が、天井吊ボルト104に固定される枠体105に取り付けられる照明器具100が提案されている。
【0005】
ところが、このような従来の照明器具100は、灯具本体103が天井吊ボルト104に対向して突出しているために、枠体105に有するボルト吊金具106を天井吊ボルト104に挿通した後に、ナット等を締め込むためのスペースが小さい。
そのため、このような従来の照明器具100は、天井吊ボルト104に対する締込スペースを確保するために、枠体105のボルト吊金具106の高さ寸法を大きくしなければならない。
従って、このような従来の照明器具100は、天井吊ボルト104に対する締込スペースを確保できずに、全体の高さ寸法が大きくなって小型化できない。
【0006】
また、このような従来の照明器具100は、灯具本体103と枠体105のボルト吊金具106とのスペースが小さいために、灯具本体103から引き出されて外部回路に接続される電源線107が灯具本体103とボルト吊金具106との間に挟み込まれることがある。
そのため、このような従来の照明器具100は、電源線107を挟み込んだ場合に、電源線107を破損することがある。
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、小型化でき、電源線の挟み込みを防止できる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る照明器具は、天井側に有する天井吊部材に取り付けられる取付部材と、前記取付部材に支持される灯具本体と、前記灯具本体に収容され、前記天井面から引き出された電源線に対して電気的に接続されるLED発光部と、を備え、前記灯具本体が、前記天井吊部材を収容する凹部を有する。
【0009】
本発明に係る照明器具は、前記取付部材が、前記天井吊部材に固定されるボルト吊金具を有し、前記ボルト吊金具と前記灯具本体との間に、前記電源線を挿通させる隙間を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る照明器具によれば、小型化でき、電源線の挟み込みを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1実施形態の照明器具の斜め下方から視た分解斜視図
【図2】本発明に係る第1実施形態の照明器具の灯具本体周りの斜め下方から視た外観斜視図
【図3】本発明に係る第1実施形態の照明器具の一部破断側面図
【図4】本発明に係る第1実施形態の照明器具の天井吊ボルトの取付後の垂直断面図
【図5】本発明に係る第2実施形態の照明器具の灯具本体の平面図
【図6】本発明に係る第2実施形態の照明器具の天井吊ボルトの取付後の垂直断面図
【図7】本発明に係る第3実施形態の照明器具の一部破断側面図
【図8】本発明に係る第3実施形態の照明器具の電源線にねじれがない場合の側面図
【図9】本発明に係る第3実施形態の照明器具の電源線にねじれがある場合の側面図
【図10】従来の照明器具の外観図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る複数の実施形態の照明器具について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の照明器具10は、灯具本体11と、灯具本体11の下方に取り付けられる補助反射板12と、灯具本体11を支持する枠体13と、枠体13の上方に配置される電源ケース14と、を備える。
照明器具10は、電源ケース14から引き出されて灯具本体11内に引き込まれる電源線15と、を備え、枠体13が天井材90の上方に取り付けられている天井吊ボルト16に固定される。
照明器具10は、天井材90の埋設孔91に埋め込まれて床面等を照射するダウンライトに適用される。
【0013】
灯具本体11は、下方の内側にLED発光部17が収容されており、上部に複数の放熱フィン18を有する。
補助反射板12は、略円筒形状に形成されて内周面に補助反射面19を有し、外周部に枠体13に取り付けるための複数の補助反射板取付ばね20を有する。
【0014】
枠体13は、円環形状に形成された枠本体21と、この枠本体21の周方向に下端部が取り付けられた複数の連結板22と、を備える。
枠体13は、円環形状に形成されて連結板22の上端部に取り付けられた灯具取付枠部23と、天井吊ボルト16が挿通されるボルト孔24を有してコ字形状に形成されて灯具取付枠部23の上部に取り付けられたボルト吊金具25と、を備える。
ボルト吊金具25は、ボルト孔24が天井吊ボルト16の下端部に挿通される。天井吊ボルト16は、ボルト吊金具25の下面においてナット26がねじ込まれる。
【0015】
電源ケース14は、電源ユニット27を取り付けており、電源ユニット27に電源線15の一端部が電気的に接続されている。電源ユニット27は、外部の電源回路に電気的に接続される。
電源線15は、その他端部が枠体13の灯具取付枠部23および枠本体21の内側を挿通して灯具本体11内に引き込まれてLED発光部17に電気的に接続される。
【0016】
図2に示すように、枠体13は、灯具取付枠部23の外面に複数の孔付のばね取付板28を有する。ばね取付板28には、灯具本体11が枠体13に取り付けられた後に、補助反射板取付ばね20が挿通される。
ばね取付板28に補助反射板取付ばね20が挿通されることにより、補助反射板12が灯具本体11に組み付けられる。
【0017】
図3に示すように、灯具本体11は、放熱フィン18の基部が接続された隔板29を有し、この隔板29の外周部にLED発光部17が収容された発光部収容部30を有する。
LED発光部17は、複数の主反射板31を有する反射板体32と、回路基板33と、回路基板33に封止された複数のLED34と、光学レンズであるパネル35と、を備えている。
LED発光部17は、単一の主反射板31と単一のLED34とによりLEDユニット36が構成されている。
反射板体32は、主反射板31が略半球形状に形成されており、主反射板31の頂部開口37にLED34がそれぞれ位置している。
パネル35は、パッキン38および押板39を介して灯具本体11の発光部収容部30にねじ止めされている。
補助反射板12は、意匠を有して環状形に形成された装飾板40を下端部に有する。
【0018】
図4に示すように、灯具本体11は、放熱フィン18の中央部にボルト収容凹部41が形成されている。このボルト収容凹部41は、円柱形状の空間を形成する有底の丸孔に形成されている。
ボルト収容凹部41は、枠体13のボルト吊金具25にナット26により取り付けられた天井吊ボルト16の下端部の灯具本体11の天部からの長さ寸法L1よりも十分に大きい深さ寸法L2を有する。
また、ボルト収容凹部41は、枠体13のボルト吊金具25の下面において天井吊ボルト16にねじ込まれているナット26の外径寸法L3よりも十分に大きい内径寸法L4を有する。
【0019】
次に、天井吊ボルト16への枠体13の取付手順および枠体13への灯具本体11の取付手順について説明する。
まず、枠体13のボルト吊金具25のボルト孔24が天井吊ボルト16に挿通され、ボルト吊金具25の下面において天井吊ボルト16にナット26がねじ込まれる。
これにより、枠体13が天井材90の埋設孔91内において天井吊ボルト16に取り付けられる。
【0020】
次に、枠体13に対して灯具本体11が下方から挿入されていき、灯具本体11が枠体13に取り付けられる。
これにより、天井材90の埋設孔91内において天井吊ボルト16に固定されている枠体13に灯具本体11が取り付けられて照明器具10が天井に設置される。
このとき、灯具本体11が枠体13に取り付けられる際に、枠体13のボルト吊金具25にねじ止められている天井吊ボルト16およびナット26が灯具本体11のボルト収容凹部41に収容される。
従って、天井吊ボルト16およびナット26は、灯具本体11の高さ寸法内に収まることになる。
【0021】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の照明器具10によれば、天井吊ボルト16およびナット26を、灯具本体11のボルト収容凹部41に収容することにより、全体の高さ寸法を減少させて小型化できる。
【0022】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の照明器具について説明する。
なお、以下の各実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0023】
図5に示すように、本発明に係る第2実施形態の照明器具50は、天井材90の上方に取り付けられている一対の天井吊ボルト51,52に固定される。
灯具本体53は、放熱フィン18の中央側部に一対のボルト収容凹部54,55が独立して形成されている。これらボルト収容凹部54,55は、平面視長円形状の空間を形成する有底の孔に形成されている。
【0024】
図6に示すように、ボルト吊金具56は、天井吊ボルト51,52が挿通される一対のボルト孔57,58を有する。
ボルト収容凹部54,55は、枠体13のボルト吊金具56にナット26,26により取り付けられた天井吊ボルト51,52の下端部の灯具本体53の天部からの長さ寸法L5よりも十分に大きい深さ寸法L6を有する。
また、ボルト収容凹部54,55は、枠体13のボルト吊金具56の下面において天井吊ボルト51,52にねじ込まれているナット26,26の外径寸法L7よりも十分に大きい内径寸法L8を有する。
【0025】
照明器具50は、枠体13のボルト吊金具56のボルト孔57,58が天井吊ボルト51,52にそれぞれ挿通され、ボルト吊金具56の下面において天井吊ボルト51,52にナット26,26がそれぞれねじ込まれる。
このとき、灯具本体53が枠体13に取り付けられる際に、枠体13のボルト吊金具56にねじ止められている天井吊ボルト51,52およびナット26,26が灯具本体53のボルト収容凹部54,55にそれぞれ収容される。
従って、天井吊ボルト51,52およびナット26,26は、灯具本体53の高さ寸法内に収まることになる。
【0026】
照明器具50によれば、天井吊ボルト51,52およびナット26,26を、灯具本体53のボルト収容凹部54,55に収容することにより、全体の高さ寸法を減少させて小型化できる。
【0027】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の照明器具について説明する。
図7に示すように、本発明に係る第3実施形態の照明器具60は、枠体61に灯具本体11が取り付けられた状態において、ボルト吊金具62の下面と灯具本体11の天面63との間に、電源線挿通隙間64を有する。
この電源線挿通隙間64は、ボルト吊金具62の下面と灯具本体11の天面63との間において幅寸法L9を有し、この幅寸法L9は、電源線15の外径寸法L10よりも大きく設定されている。
【0028】
そのため、図8に示すように、灯具本体11の中央部から引き出されている電源線15にねじれが生じていない場合、電源線15は、ボルト吊金具62と灯具本体11とに挟み込まれることなく、電源線挿通隙間64からボルト吊金具62の上方へ引き出される。
そして、ボルト吊金具62の下面と灯具本体11の天面63との間の電源線挿通隙間64からボルト吊金具62の上方へ引き出された電源線15は、枠体13内を挿通して電源ユニット27に電気的に接続される。
【0029】
これに対して、図9に示すように、灯具本体11の中央部から引き出されている電源線15が暴れたりしてねじれ部65が生じている場合、電源線15の外径寸法L10が相対的に大きくなる。
しかし、ボルト吊金具62の下面と灯具本体11の天面63との間に電源線挿通隙間64を有するために、ねじれ部65を有する電源線15は、ボルト吊金具62と灯具本体11とに挟み込まれることがない。
【0030】
これにより、ねじれ部65を有する電源線15は、電源線挿通隙間64からボルト吊金具62の上方へ引き出される。
そして、ボルト吊金具62の下面と灯具本体11の天面63との間の電源線挿通隙間64からボルト吊金具62の上方へ引き出された電源線15は、枠体13内を挿通して電源ユニット27に電気的に接続される。
【0031】
照明器具60によれば、枠体61に灯具本体11が取り付けられた状態において、ボルト吊金具62と灯具本体11の天面63との間に、電源線15の外径寸法L10よりも大きい電源線挿通隙間64を有する。
従って、照明器具60によれば、電源線15にねじれがない場合およびねじれを生じている場合のいずれにおいても、電源線15のボルト吊金具62の下面と灯具本体11の天面63との間における挟み込みを防止できる。
【0032】
なお、本発明の照明器具において補助反射板、電源ケース、パネル等は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0033】
10,50,60 照明器具
11,53 灯具本体
13,61 枠体(取付部材)
15 電源線
16,51,52 天井吊ボルト(天井吊部材)
17 LED発光部
25,56,62 ボルト吊金具
41,54,55 ボルト収容凹部(凹部)
64 電源線挿通隙間(隙間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井側に有する天井吊部材に取り付けられる取付部材と、
前記取付部材に支持される灯具本体と、
前記灯具本体に収容され、前記天井面から引き出された電源線に対して電気的に接続されるLED発光部と、を備え、
前記灯具本体が、前記天井吊部材を収容する凹部を有する照明器具。
【請求項2】
請求項1に記載の照明器具において、
前記取付部材が、前記天井吊部材に固定されるボルト吊金具を有し、
前記ボルト吊金具と前記灯具本体との間に、前記電源線を挿通させる隙間を有する照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−97998(P2013−97998A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239472(P2011−239472)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】