説明

照明点灯装置および車両用前照灯装置

【課題】コスト及びタクトタイムを抑制でき、更には、点灯回路部を封止する樹脂層の厚みを精度よく形成することが可能な照明点灯装置を提供する。
【解決手段】入力カプラ2と、出力カプラ4と、回路部品31及び回路部品31が実装された基板32から構成され、入力カプラ2を介して電源から供給される電力を所望の電力に変換し、出力カプラ4を介して照明負荷に電源供給を行う点灯回路部3と、点灯回路部3の一面側に設けられ、点灯回路部3が固定されるケース本体1と、点灯回路部3の他面側に設けられてケース本体1と共に点灯回路部3を収納するケースカバー5とを備え、点灯回路部3の他面に対向してケース本体1と共に点灯回路部3を収納する金型部品6が、位置決め段部15を用いて位置決め固定され、金型部品6には、点灯回路部3の他面に実装された実装部品の形状に沿って凹凸部61aが形成されて収納部に樹脂が充填される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明点灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車用HID(High Intensity Discharge)ランプが一般化されるにつれ、HIDランプ点灯システムの小型化、軽量化に対する要求が強まっている。
【0003】
また、最近、自動車用LEDランプも普及しつつあり、LEDを点灯させる照明点灯装置(電源装置)も上記HIDランプ用点灯システムと同様に、小型化、軽量化に対する要求が強まっている。その中で、車輌のヘッドランプに取り付けられている照明点灯装置は、エンジンルームから受ける高温及び高湿度の空気に対する耐性を保つ必要があった。
【0004】
そこで、現在まで、照明点灯装置のケース内に収納される点灯回路部を2液性のシリコンによって封止し、照明点灯装置が上記耐性を保つようにする構成が一般的に用いられていた(例えば特許文献1参照)。上記照明点灯装置は、図11、12に示すように、一面が開口した矩形箱型のケース本体101と、ケース本体101内に収納される点灯回路部102と、ケース本体101の開口を覆設するケースカバー103とから構成され、シリコン104によって点灯回路部102が封止されている。
【0005】
ここで、点灯回路部の基板に実装された回路部品の内、背の高い部品まで封止しようとすると、図13に示すように、充填されるシリコンの充填高さ(基板表面からシリコンの表面までの寸法)が一様に高くなるため、封止する必要がない箇所にもシリコンが充填されて照明点灯装置が重くなってしまうといった問題があった。
【0006】
そこで、照明点灯装置の軽量化に対応するために、シリコンの充填高さを5mm以下として、シリコンの表面から突出する実装部品については別途コーティングを施したものもあった。
【0007】
しかしながら、照明点灯装置は、一般的にヘッドランプの底面側に取り付けられていることから元来、ケース内部に水が溜まりやすいものであった。そのため、ケース内への水の浸入等によって照明点灯装置の入力端子部の周囲が水没した場合、電源オン時に15Aの高電流が流れる入力端子にコーティングされた薄膜の絶縁が破壊され、端子間のショートによるバッテリー短絡が発生し、ヘッドランプが不灯になる虞があった。
【0008】
また、上記コーティングを行う方法とは別に、入力端子部が下方に位置するようにケースを傾けてシリコンを充填することで、入力端子部の封止を行う方法もあった。
【0009】
しかしながら、上記ケースを傾けてシリコンを充填する方法においても、封止する必要がない箇所にもシリコンが充填されて照明点灯装置が重くなってしまうといった問題があった。
【0010】
また、樹脂封止を行う方法として、2つの治具(金型部品)を用いて封止対象物を挟み込み、2つの治具間に樹脂を充填する方法が一般的になされていた。
【0011】
しかしながら、上記2つの金型部品を用いた封止方法では、金型製作のためのコストがかかり、加えて、2つの金型部品完成までの納期がかかるといった問題あった。
【0012】
そこで、点灯回路部を収納するケースを下金型として用い、ケースと金型部品(上金型)とで囲まれた空間に点灯回路部を収納し、当該収納部に樹脂を充填することで、金型部品のコスト及び納期を低減した照明点灯装置が提供されていた(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2002―367413号公報
【特許文献2】特開2001−102778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ここで、点灯回路部に対して、防湿性、防水性、耐振動性、耐高熱性を持たせるためには、点灯回路部を封止する樹脂層の厚みを精度よく管理する必要がある。しかしながら、上記従来例におけるケースを下金型として用いた構成では、樹脂層の厚みの精度を考慮したものとはなっていなかった。
【0015】
また、充填材として2液性のシリコン104を用いた場合には、シリコンを充填する際、例えば、予備乾燥(85度)に1時間、シリコン注入に10分、充填材の硬化(100度)に1時間、除冷(常温となるまで)に2時間の合計4時間強の時間がかかっていた。
【0016】
また、上記2液性のシリコンを用いた場合、高温の乾燥炉、硬化炉、除冷層等の複数の大型設備が多岐にわたって必要となることから、設備費が膨大なものとなっていた。加えて、生産数の増減に臨機応変に対応することが難しく、少量生産時でも上記複数の大型設備を使用するため、熱効率的にも非常に不利なものとなっていた。
【0017】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、点灯回路部を封止する樹脂層の厚みを精度よく形成することが可能で、且つ、コストを抑制でき、更には、軽量化を図った照明点灯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1の発明は、電源との接続に用いられる入力カプラと、照明負荷との接続に用いられる出力カプラと、回路部品及び当該回路部品が実装された基板から構成され、入力カプラを介して電源から供給される電力を所望の電力に変換し、出力カプラを介して照明負荷に電源供給を行う点灯回路部と、点灯回路部の一面側に当該点灯回路部の放熱のために設けられ、点灯回路部が固定される第一の金属部品と、点灯回路部の他面側に設けられて第一の金属部品と共に点灯回路部を収納する第二の金属部品とを備え、前記第一の金属部品には、点灯回路部の他面に対向して第一の金属部品と共に点灯回路部を収納する金型部品が、第一の金属部品に形成される位置決め手段を用いて位置決め固定され、前記金型部品には、点灯回路部の他面と対向する面に、点灯回路部の他面に実装された実装部品の形状に沿って凹凸部が形成され、金型部品を収納する収納部に樹脂が充填されることで点灯回路部が封止されることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、金型部品が、点灯回路部が固定された第一の金属部品に対して位置決め手段を用いて位置決め固定されることから、点灯回路部に形成される樹脂層を所望の厚みで精度よく形成することができ、また、点灯回路部の封止を行う際に、第一の金属部品が金型部品の役割を果たすことで、金型製作のコストを抑制することができる。更に、金型部品には、点灯回路部の他面に実装された実装部品の形状に沿った凹凸部が形成されていることから、封止が必要な箇所にのみ樹脂層を形成することができて、照明点灯装置の軽量化を図ることができる。
【0020】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、前記金型部品は、凹凸部と点灯回路部との隙間が0.5〜5mmとなるように凸凹部が形成されることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、点灯回路部に対する防湿性、防水性、耐熱性を保ちつつ、樹脂層の厚みを抑えることができ、照明点灯装置の更なる軽量化を図ることができる。
【0022】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記入力カプラは、防水カプラであることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、照明負荷において、例えば、洗車や、雨、結露等によって、入力カプラを介して点灯回路部に水が侵入してくることを阻止して、端子間の短絡を防止することができる。
【0024】
請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれか記載の発明において、前記点灯回路部は、両面実装基板であることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、回路部品が基板の両面に実装されることで、基板の片面にのみ回路部品を実装する場合に比べて基板のサイズを小さくすることができ、照明点灯装置の小型化を図ることができる。
【0026】
請求項5の発明は、請求項1乃至3いずれか記載の発明において、前記点灯回路部は、他面のみに電子部品が実装された片面実装基板であり、一面と第一の金属部品との間に粘着性の放熱シートが設けられ、当該粘着性の放熱シートによって第一の金属部品に固定されることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、粘着性の放熱シートが、放熱の機能と点灯回路部に対する固定の機能との2つの機能を有することで、放熱効率を向上すると共に、部品点数を削減することができる。
【0028】
請求項6の発明は、請求項1乃至4いずれか記載の発明において、前記第一の金属部品は、ダイカストによって一面が開口した中空箱型に形成されて内部に点灯回路部を収納し、開口側に金型部品が固定されて内部に樹脂が充填されることで点灯回路部が封止されることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、第一の金属部品がダイカストによって形成されることで、加工性を向上させることができる。
【0030】
請求項7の発明は、請求項1乃至6いずれか記載の照明点灯装置と、当該照明点灯装置から電源供給を受けて点灯する照明負荷とを備えることを特徴とする車両用前照灯点灯装置。
【0031】
この発明によれば、金型部品が、点灯回路部が固定された第一の金属部品に対して位置決め手段を用いて位置決め固定されることから、点灯回路部に形成される樹脂層を所望の厚みで精度よく形成することができ、また、点灯回路部の封止を行う際に、第一の金属部品が金型部品の役割を果たすことで、金型製作のコストを抑制することができる。更に、金型部品には、点灯回路部の他面に実装された実装部品の形状に沿った凹凸部が形成されていることから、封止が必要な箇所にのみ樹脂層を形成することができて、照明点灯装置の軽量化を図ることができる。そして、防湿性、防水性、耐振動性、耐高熱性を備えた車両用前照灯点灯装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明では、点灯回路部を封止する樹脂層の厚みを精度よく形成することが可能で、且つ、コストを抑制でき、更には、軽量化を図った照明点灯装置を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態1における照明点灯装置の分解斜視図を示す。
【図2】同上における照明点灯装置の樹脂封止前の斜視図を示す。
【図3】同上における照明点灯装置の樹脂封止前の断面図を示す。
【図4】同上における照明点灯装置の金型部品設置時の斜視図を示す。
【図5】同上における照明点灯装置の金型部品設置時の斜視図を示す。
【図6】同上における照明点灯装置の樹脂封止後の斜視図を示す。
【図7】本発明の実施形態2における照明点灯装置の分解斜視図を示す。
【図8】本発明の実施形態3における照明点灯装置の斜視図を示す。
【図9】本発明の実施形態4における車両用前照灯点灯装置におけるヘッドライドの断面図を示す。
【図10】同上における車両用前照灯点灯装置のブロック図を示す。
【図11】従来例における照明点灯装置の分解斜視図を示す。
【図12】同上における照明点灯装置の断面図を示す。
【図13】同上における照明点灯装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
(実施形態1)
本実施形態1における照明点灯装置について図1〜6を用いて説明を行う。
【0036】
本実施形態の照明点灯装置は、図1、2に示すように、一面が開口した中空箱型のケース本体(第一の金属部品)1と、ケース本体1の外面に設けられる入力カプラ2と、ケース本体1内に収納される点灯回路部3と、点灯回路部3に実装される出力カプラ4と、ケース本体1の開口に覆設されるケースカバー(第二の金属部品)5とを備える。なお、以下、図1における上下方向を基準として説明を行う。
【0037】
ケース本体1は、上面が開口した中空略円筒状にアルミダイカストによって形成され、その側壁11の外面からは当該外面に沿って鍔部11aが突設されている。また、側壁11の外面からは、鍔部11aよりも下方に、先端部に図示しないねじが挿通する挿通孔12aが穿設された取り付けリブ12が突設されている。
【0038】
また、底面10の外周部分からは、円筒状の位置決めリブ13が複数(本実施形態では2つ)突設され、底面10の略中央からは、位置決めリブ13よりも背の低い、内径部にねじ溝が形成された円筒状の固定リブ14が突設されている。加えて、位置決めリブ13近傍には、側壁11に沿って略三日月状の位置決め段部(位置決め手段)15が形成されている。
【0039】
また、底面10の外面には、放熱フィン10aが複数形成されており、ケース本体1の放熱効率が高められている。
【0040】
ここで、ケース本体1は、ダイカストによって形成されていることから、寸法精度が高く、大量生産可能であって加工性のよいものとなっている。
【0041】
入力カプラ2は、略楕円状のカプラ本体21と、カプラ本体21内に設けられる一対の入力端子22とから構成され、図示しない電源から導出されるコネクタとの接続に用いられている。カプラ本体21は、側壁11に穿設される略楕円形の挿通孔11bの周縁部から外側方向へ向けて突設される。そして、一対の入力端子22は、その一端が挿通孔11bを介してカプラ本体21内からケース本体1内へ延設されて点灯回路部3に接続されている。
【0042】
点灯回路部3は、外形が円柱状や直方体状等の、電解コンデンサ、トランス、FET、チップ部品、ダイオード等の複数の回路部品31と、当該複数の回路部品31が両面にそれぞれ実装される基板32とから構成される。ここで、点灯回路部3は、基板32の両面に回路部品31が実装された所謂両面実装基板であることから、基板31の一方の面にのみ回路部品31を実装する片面実装基板に比べて回路基板32を小さくすることができ、照明点灯装置の小型化を図ることができる。
【0043】
そして、点灯回路部3は、入力カプラ2を介して電力が供給され、当該電力を所望の点灯電力に変換した後、出力カプラ4を介して点灯電力を照明負荷へ出力する。
【0044】
基板32は、略円板状に形成されており、その周縁部の一部が2箇所切り欠かれ、当該切り欠かれた箇所の端部には半円状の切り欠き32aが各々形成されている。そして、点灯回路部3をース本体1内に収納する際、切り欠き32aをケース本体1の位置決めリブ13に嵌め込むことで、点灯回路部3がケース本体1に対して位置決めされる。次に、位置決めされた基板32は、当該基板32に穿設される挿通孔32bにねじ33が挿通し、図3に示すように、当該ねじ33がケース本体1の固定リブ14のねじ溝に螺合することでケース本体1に固定される。つまり、点灯回路部3は、ケース本体1に対して位置決め固定されている。
【0045】
ここで、基板32の下面(一面)に実装された回路部品31は、当該回路部品31とケース本体1の底面11との間に介設される図示しない放熱部材(例えば、放熱ゲル)を介してケース本体1へ放熱を行っている。
【0046】
更に、基板32において、その上面(他面)に高温となる回路部品(例えば、トランス、FET,ダイオード等)31が実装されている箇所には、基板32の上面から下面まで挿通する図示しない放熱ビアが形成されている。そして、基板32において放熱ビアが形成された箇所に対向するケース本体1の底面10からは、当該基板32の下面へ向けて図示しない凸部が形成されており、当該凸部の先端面に放熱ビアが押し当てられる。従って、基板32の上面に実装された高温となる回路部品31は、放熱ビアを介してケース本体1へ放熱を行っている。なお、放熱ビアとケース本体1との間に放熱ゲルを介装することで更に放熱性能を高めることができる。
【0047】
出力カプラ4は、基板32の上面に実装され、図示しない照明負荷との接続に用いられる。
【0048】
ケースカバー5は、円板状の天板51と、天板51の周縁から当該天板51に対して略垂直下向きに延設されるカバー壁部52とから下面が開口した中空円筒状に形成される。そしてカバー5は、開口をケース本体1の開口に対向させた状態で配置され、ケース本体1における側壁11の外面にカバー側壁52の内面を嵌合させることでケース本体1に固定される。
【0049】
また、天板51には、点灯回路部3に実装された出力カプラ4と対向する箇所に、当該出力カプラ4に接続する図示しないコネクタをケース本体1内へ導入するためのコネクタ挿通孔51aが穿設されている。ここで、天板51からは、点灯回路部3の位置決めリブ13へ向けて図示しない突部が形成されている。そして、ケース本体1に対してケースカバー5を組み付ける際、上記突部が位置決めリブ13の内径部に嵌挿することで、ケース本体1に対してケースカバー5の回転方向の位置決めがなされる。
【0050】
そして、ケース本体1に位置決め固定された点灯回路部3は、樹脂(例えば、シリコン、エポキシ、フェノール等)35によって封止される。ここで、樹脂封止を行う際には、まず、ケース本体1からケースカバー5を取り外し、ケース本体1における側壁11の内面に嵌まり込む金型部品6とケース本体1とで点灯回路部3を挟み込む。そして、金型部品6とケース本体1とで囲まれた空間に樹脂35を充填することで、点灯回路部3の樹脂封止を行う。ここで、本実施形態では、樹脂35として、硬化時間の短い、例えば、シリコン、エポキシ、フェノール等を用いることで、樹脂封止を行う際のタクトタイムを短縮することができる。
【0051】
金型部品6は、図4,5に示すように、略円柱状の金型本体61と、金型本体61の上面略中央から突設される、円柱状の取っ手部62とから構成される。
【0052】
そして、点灯回路部3の上面に対向する金型本体61の下面には、基板32の上面に実装された回路部品31及び出力カプラ4の形状に沿って凹凸部61aが形成されている。例えば、円柱状の回路部品31(例えば、電解コンデンサ)と対向する箇所には、当該円柱状の回路部品の外形よりも所定の寸法(0.5mm〜5mm)だけ大きな円柱状の凹部が形成されている。また、直方体状の回路部品31(例えば、トランス)と対向する箇所には、当該直方体状の回路部品31の外形よりも所定の寸法(0.5mm〜5mm)だけ大きな直方体状の凹部が形成されている。そうすることにより、金型部品6の凹凸部61aと、点灯回路部3との間に全体に亘って所定の隙間(0.5mm〜5mm)が形成される。
【0053】
更に、金型本体61の他面において、一対の入力端子22と対向する箇所には、略矩形状の切り欠き61bが形成されており、金型部品6をケース本体1に嵌合させた際に、当該切り欠き61b内に一対の入力端子22が収納される。
【0054】
また、金型本体61の周縁部には、ケース本体1における2つの位置決め段部15と対向する箇所に、略三日月状の切り欠き61cが各々形成されている。更に、切り欠き61cの近傍には、位置決め突部13と対向する箇所に、略半円状の切り欠き61dが形成されている。そして、切り欠き61cがケース本体1の位置決め段部15に嵌まり込むと共に、切り欠き61dに位置決めリブ13が嵌挿することで、ケース本体1に対して金型部品6が位置決め固定される。
【0055】
ここで、ケース本体1に対して金型部品6が位置決め固定されたことで、金型部品6の凹凸部61aの各凹部内に、基板32の上面に実装された実装部品(回路部品31、出力カプラ4、入力端子22)が各々収納され、凹凸部61aと実装部品との隙間は、0.5〜5mmとなる。
【0056】
そして、ケース本体1と金型部品6とに囲まれた空間に点灯回路部3を収納した状態で、上記空間に樹脂35を充填することで点灯回路部3の封止を行う。ここで、金型部品6が上金型、ケース本体1が下金型として機能することから、下金型を別途用意する必要がなく、下金型を製作するためのコスト、及び納期を抑えることができる。
【0057】
上記構成からなる本実施形態の照明点灯装置では、上記の通り点灯回路部3は、位置決めリブ13によってケース本体1に位置決めされ、金型部品6は、位置決め段部15によってケース本体1に位置決めされている。従って、点灯回路部3と金型部品6との相対位置は、ケース本体1を介して精度よく決定され、金型部品6の凹凸部61aと点灯回路部3に実装された実装部品との隙間寸法を所望の値で精度よく設定することができる。すなわち、図6に示すように、各回路部品31表面に形成される樹脂層の厚みは、所望の厚みで精度よく形成される。
【0058】
従って、本実施形態の照明点灯装置では、基板32に実装された実装部品に対して、所望の厚みで精度よく樹脂層を形成することができるため、絶縁破壊を阻止できて確実に短絡を防止することができる。また、点灯回路部3は、樹脂封止されたことで、耐水性、耐湿性、耐高熱性、耐振動性を備える。
【0059】
また、本実施形態では、金型部品6の凹凸部61aによって、点灯回路部3の各回路部品31表面に沿って樹脂層が形成されることから、封止を必要としない箇所にまで樹脂が充填されることを防止でき、照明点灯装置の軽量化を図ることができる。
【0060】
なお、樹脂の充填方法は、熱可塑性樹脂を用いたホットメルトや、注形機を用いた注形、射出成型機を用いた射出成型等であってもよい。
【0061】
(実施形態2)
本実施形態の照明点灯装置について図7を用いて説明を行う。なお、以下、図7における上下方向を基準として説明を行う。
【0062】
本実施形態の照明点灯装置と実施形態1の照明点灯装置とでは、入力カプラ2と出力カプラ4との代わりに入出力カプラ7が基板32の上面に実装されて、ケース本体1に挿通孔11bが形成されていない点が異なっている。なお、その他の構成については実施形態1と共通であるため、共通の符号を付して説明を省略する。
【0063】
本実施形態では、入力カプラと出力カプラとが一体となった入出力カプラ7が、基板32に実装されることで、ケース本体1の側壁11に、入力端子をケース本体1内へ引き込むための挿通孔11bが必要ない。そのため、樹脂封止を行う際に下金型として用いられるケース本体1の強度を高めることができる。従って、例えば、射出成型によって樹脂封止を行う際、樹脂の回り込み不良を防止するために高圧力成型を行ったとしても、ケース本体1が変形することを抑制でき、品質を向上させることができる。
【0064】
また、入出力カプラ7を防水カプラとすることで、例えば、洗車や雨、結露等によって照明負荷に水滴が発生した場合に、照明負荷と照明点灯装置とを接続する図示しないハーネスを伝って水がケース本体1内に浸入することを入出力カプラ7で阻止することができる。従って、ケース本体1内へ水が浸入せず、点灯回路部3において、短絡の発生を阻止できて照明負荷の不灯を防止することができる。なお、防水カプラは、点灯回路部3を封止する樹脂が、カプラ本体内に充填されることで形成されてもいいし、当該樹脂とは別に設けられるものであってもよい。
【0065】
また、入出力カプラ7に接続する図示しないコネクタとケースカバー5との間にパッキンを設けることで、ケース本体1内への水の浸入を防止してもよい。
【0066】
(実施形態3)
本実施形態の照明点灯装置について図8を用いて説明を行う。なお、以下、図8における上下方向を基準として説明を行う。
本実施形態の照明点灯装置と実施形態2の照明点灯装置とでは、基板32の一面にのみ回路部品31が実装され、ケース本体1が矩形平板状に形成されている点が異なっている。なお、その他の構成については実施形態2と共通であるため、共通の符号を付して説明を省略する。
【0067】
本実施形態では、点灯回路部3が基板32の上面にのみ回路部品31が実装された所謂片面実装基板となっており、その下面が平板状のケース本体1に対向して配置されている。そして、点灯回路部3の下面とケース本体1との間に図示しない粘着性の放熱シートが介装され、当該粘着性放熱シートによって、点灯回路部3がケース本体1に固定されている。つまり、粘着性の放熱シートが、点灯回路部3で発生する熱をケース本体1へ放熱する放熱材としての機能と、点灯回路部3をケース本体1に固定する固定部材としての機能とを備えることで、放熱性能を向上すると共に、部品点数を削減することができる。
【0068】
また、ケース本体1が平板状であることから、構造が簡単となって製造コストを削減することができ、更には、平板状に形成されたケース本体1に点灯回路部3が近接して固定されることから、不要照射ノイズを低減することができる。
【0069】
また、基板32とケース本体1とをワイヤーボンディング34によって接続することで、点灯回路部3のノイズを低減することができる。
【0070】
また、点灯回路部3に実装された回路部品31の内、発熱部品についてはケース本体1にベアチップ実装してもよい。その場合、ケース本体1にベアチップ実装した回路部品31と点灯回路部3とは、ワイヤーボンディングによって接続する。ここで、ケース本体1にベアチップ実装された回路部銀31は、ケース本体1に、接着剤や粘着性の放熱シート等を用いて直接固定されることから、放熱効率を向上させることができる。
【0071】
また、ベアチップ実装された回路部品31は、パッケージ封止する工程が必要なくなることから、部品点数及び工数を削減することができる。
【0072】
(実施形態4)
本実施形態の車両用前照灯装置について、図9.10を用いて説明を行う。
【0073】
車両用前照灯装置は、図9に示すように、上記実施形態1乃至3いずれか記載の照明点灯装置Aと、ヘッドランプ9とから構成される。
【0074】
照明点灯装置Aは、直流電圧を交流電圧に変換するインバータ80を備え、車両の運転者が操作スイッチ81をオンした際に、車両に搭載されたバッテリー82から直流12Vがインバータ80に供給される。そして、インバータ80が、直流電圧を所望の交流電圧に変換して後述の放電灯始動装置93に電源供給を行う。
【0075】
ヘッドランプ部9は、箱状の灯体90と、HIDランプ91と、凹面状の反射面を有しHIDランプ91からの光を反射する反射板92と、HIDランプ91が電気的、機械的に接続される放電灯始動装置93とから構成される。
【0076】
灯体90は、前面が図9における左面が開口した箱状に形成され、開口した前面を覆うようにレンズ94が装着されている。また、灯体90の後壁には、HIDランプ91を灯体90内に挿入するためのランプ挿入孔90aが形成され、このランプ挿入孔90aの周縁には、放電灯始動装置93の一部を収納する凹部94aを備えてランプ挿入孔90aを閉塞するランプ交換用キャップ94が着脱自在に取り付けられている。加えて、灯体90の下壁には、インバータ80に一端が接続されたハーネスL2等の電源線を灯体90内に導入するための電源線挿入孔90bが形成されている。さらに、灯体90の後壁に形成されたランプ挿入孔90aの近傍には、光軸調整用ねじ95が後壁を貫通するように螺入されるねじ挿通孔(図示せず)が形成されている。
【0077】
この灯体90内には、反射板92が反射面を前方に向けるとともに、上下方向に回動自在に配置収納され、この反射板92は、上記ねじ挿通孔を介して灯体90内に挿入した光軸調整用ねじ95を前後させることによって上下方向に光の反射方向を調整することができるようになっている。
【0078】
また、灯体90の下面側には、バッテリー82に電源線L1にて接続されたインバータ80が配置され、一端がインバータ80に接続されたハーネスL2が、電源線挿入孔90bを介して灯体90内に導入されている。
【0079】
放電灯始動装置93は、ソケット931にHIDランプ91が接続されるとともにコネクタ932にハーネスL2が接続されて、HIDランプ91をランプ挿入孔90aから灯体90内に挿入するようにして灯体90の後壁近傍に配置されている。そして、灯体90の後壁においてランプ挿入孔90aの周縁部には、放電灯始動装置93を凹部94aに収納してランプ交換用キャップ94が取り付けられている。
【0080】
上記車両用前照灯点灯装置は、実施形態1乃至3いずれか記載の照明点灯装置Aを備えることから、絶縁破壊を阻止できて確実に短絡を防止することができる。また、照明点灯装置Aにおける点灯回路部3が、樹脂封止されたことで、耐水性、耐湿性、耐高熱性、耐振動性を備える。
【0081】
また、本実施形態では、点灯回路部3の各回路部品31表面に沿って樹脂層が形成されていることから照明点灯装置Aの軽量化を図ることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 ケース本体
2 入力カプラ
3 点灯回路部
4 出力カプラ
5 ケースカバー
6 金型部品
15 位置決め手段
31 回路部品(実装部品)
32 基板
61a 凹凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源との接続に用いられる入力カプラと、
照明負荷との接続に用いられる出力カプラと、
回路部品及び当該回路部品が実装された基板から構成され、入力カプラを介して電源から供給される電力を所望の電力に変換し、出力カプラを介して照明負荷に電源供給を行う点灯回路部と、
点灯回路部の一面側に当該点灯回路部の放熱のために設けられ、点灯回路部が固定される第一の金属部品と、
点灯回路部の他面側に設けられて第一の金属部品と共に点灯回路部を収納する第二の金属部品とを備え、
前記第一の金属部品には、点灯回路部の他面に対向して第一の金属部品と共に点灯回路部を収納する金型部品が、第一の金属部品に形成される位置決め手段を用いて位置決め固定され、
前記金型部品には、点灯回路部の他面と対向する面に、点灯回路部の他面に実装された実装部品の形状に沿って凹凸部が形成され、金型部品を収納する収納部に樹脂が充填されることで点灯回路部が封止されることを特徴とする照明点灯装置。
【請求項2】
前記金型部品は、凹凸部と点灯回路部との隙間が0.5〜5mmとなるように形成されることを特徴とする請求項1記載の照明点灯装置。
【請求項3】
前記入力カプラは、防水カプラであることを特徴とする請求項1または2記載の照明点灯装置。
【請求項4】
前記基板は、両面実装基板であることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の照明点灯装置。
【請求項5】
前記基板は、他面のみに電子部品が実装された片面実装基板であり、一面と第一の金属部品との間に粘着性の放熱シートが設けられ、当該粘着性の放熱シートによって第一の金属部品に固定されることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の照明点灯装置。
【請求項6】
前記第一の金属部品は、ダイカストによって一面が開口した中空箱型に形成されて内部に点灯回路部を収納し、開口側に金型部品が固定されて内部に樹脂が充填されることで点灯回路部が封止されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の照明点灯装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれか記載の照明点灯装置と、当該照明点灯装置から電源を供給されて点灯する照明負荷とを備えることを特徴とする車両用前照灯装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−154836(P2011−154836A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14765(P2010−14765)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】