説明

照明管

【課題】壁面のスイッチを操作することなく1台の照明器具ごとに点灯のオンオフすることができると共に、多灯式の照明器具の他の照明管をオンオフすることができる照明管を提供する。
【解決手段】多灯式の直管形照明器具の1灯として装着される直管形照明管1は、直管形照明器具に装着される全部を点灯させる配線(配線W2)と、他の直管形照明管のみを点灯させる配線(配線W1)、全部を消灯させる配線(配線W3)とを切り替えるスイッチ手段6が設けられている。このスイッチ手段6は、ロータリースイッチSW1により形成されていることで、配線W1から配線W3へ、そして再び配線W1へと、順次切り替えることができるのでスムーズに操作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多灯式の照明器具に装着される蛍光式またはLED式の照明管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスや工場等の多数の照明器具を使用する場所では、壁面に設けられているスイッチ1つにつき、通常、複数の照明器具をオンオフするようになっている。したがって、複数の照明器具のうち、任意の不要な照明器具のみをオンオフすることができず、スイッチごとに複数の照明器具をオンオフするか、予め点灯しないように照明器具を取り外しておくかしなければならない。特に、照明管のうち一般的な直管型照明管を2灯使用する2灯式の直管形照明器具では、2灯のうち片方の照明管のみを壁面スイッチによりオンオフすることは不可能であるため、節電をするためには予め1灯を取り外すなどしておく必要がある。
【0003】
蛍光灯にスイッチを設け、オンオフすることができるものとして、例えば、特許文献1,2に記載されたものが知られている。
特許文献1には、球形のグローブ内に収納された3本の非直線形蛍光管にそれぞれにスライドスイッチを設け、3本の蛍光管を点灯したり非点灯としたりすることで3段階の明るさに調光することができ電球口金型蛍光ランプが記載されている。
【0004】
特許文献2には、頂部にE形口金を有し、内部にランプ点灯手段が収納された樹脂製の箱型本体に、点灯・滅灯するためのプッシュ式またはランプ点滅操作用引紐を有するプル式のスイッチを設けた、電球口金形蛍光ランプが記載されている。
【0005】
また、光源としてLED素子を用いた直管蛍光灯型LED照明器であるが、例えば、特許文献3に記載されたものが知られている。
特許文献3には、電源変換部およびLED回路基板を収容するLED管と、LED管の両端に嵌め込まれ灯器具からの交流電源が供給される電源接続部とを備え、電源変換部への電源の供給または遮断させるスイッチ部を電源接続部に設けた直管蛍光灯型LED照明器が記載されている。この特許文献3では、グロータイプの灯器具に取り付ける場合と、ラピッドタイプの灯器具に取り付ける場合との回路構成が、それぞれ記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭62−103110号公報
【特許文献2】実開平1−160614号公報
【特許文献3】実用新案登録第3167851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
照明器具としては、グロー管を用いたグロースタート式やラピッドスタート式、インバータ式などがある。グロースタート式の照明器具でも2灯式のものは、1灯を取り外しても、もう1灯は点灯するが、ラピッドスタート式では、2灯が直列接続されているため、1灯を取り外してしまうと、もう1灯も消灯してしまう。
従って、特許文献1〜3の従来の照明管をラピッドスタート式の照明器具に装着した場合には、1灯だけを消灯しようとしてスイッチをオフすると、1灯だけでなく他の1灯も消灯してしまう。
【0008】
そこで本発明は、壁面のスイッチを操作することなく1台の照明器具ごとに点灯のオンオフすることができると共に、多灯式の照明器具の他の照明管をオンオフすることができる照明管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、多灯式の照明器具の1灯として装着される照明管であって、前記直管形照明器具に装着される他の照明管を点灯させる配線と、全部を消灯させる配線とを切り替えるスイッチ手段が設けられたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、他の照明管を点灯させる配線と全部を消灯させる配線とを切り替えるスイッチ手段が設けられているので、全部を消灯させたり、他の照明管を点灯させたりすることができる。従って、本発明の照明管が、蛍光灯や蛍光灯型LED照明管、自発光しないダミー管であっても、他の照明管を点灯させる配線と全部を消灯させる配線とを切り替えるスイッチ手段が設けられていれば、壁面のスイッチを操作することなく、個々の直管形照明器具のオンオフを操作することができる。
【0011】
前記他の照明管を点灯させる配線は、全部を点灯させる配線と、他の照明管のみを点灯させる配線であり、前記スイッチ手段は、3通りの配線を切り替えるものであるのが望ましい。本発明の照明管が蛍光灯や蛍光灯型LED照明管のような自発光するものであっても、他の照明管を点灯させる配線を、全部を点灯させる配線と、他の照明管のみを点灯させる配線としているため、スイッチにより、全部を点灯させたり、他の照明管のみを点灯させたりすることができる。
【0012】
前記スイッチ手段を、ロータリースイッチにより形成すると、切り換えの回転が1周すると元の配線の接続に戻るので、順に配線を切り替えることができる。従って、点灯・消灯の切り換えの操作性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、他の照明管を点灯させる配線と全部を消灯させる配線とを切り替えるスイッチ手段が設けられているので、壁面のスイッチを操作することなく、個々の直管形照明器具のオンオフを操作することができると共に、多灯式の照明器具の他の照明管をオンオフすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係る直管形照明管を示す図である。
【図2】図1に示す直管形照明管のスイッチ手段に接続する配線を説明するための図である。
【図3】図2に示すスイッチ手段を2回路3接点のロータリースイッチとした場合を説明するための図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る直管形照明管を示す図である。
【図5】図4に示す直管形照明管のスイッチ手段を2回路3接点のロータリースイッチとしたときの配線を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る他の直管形照明管を示す図である。
【図7】図6に示す直管形照明管のスイッチ手段を4回路3接点のロータリースイッチとしたときの配線を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る照明管の一例である直管形照明管について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、直管形照明管1は、2灯式の直管形照明器具に装着される蛍光灯である。
【0016】
直管形照明管1は、直線円筒形状に形成されたガラスバルブ2と、ガラスバルブ2の両端に設けられた一対の口金31,32とを備えている。ガラスバルブ2の内側面には、蛍光体(図示せず)が付与されている。
【0017】
それぞれに口金31,32には、直管形照明器具に設けられた一対のソケットに嵌め込まれる2本の電極4が設けられている。また、口金31,32の内部には、一対のフィラメント5が設けられている。
【0018】
一対の口金31,32のうち一方の口金31には、スイッチ手段6が設けられている。本実施の形態1では、スイッチ手段6の一例であるロータリースイッチを使用している。スイッチ手段6には、吊り下げ紐7が取り付けられている。
【0019】
ここで、スイッチ手段6が切り替える配線について、スイッチ手段6をロータリースイッチSW1として、図2に基づいて説明する。なお、図2に示すロータリースイッチSW1は、円周上にそれぞれの接点が設けられ、中心軸を回転軸として導体が回転して対向する接点同士を導通するように記載されているが、これは構造を示すものではなく、電気的な接続を示すものである。
【0020】
接点A1は、フィラメント5の一端と接続された一方の電極41に接続され、直管形照明器具に設けられた安定器8の一方の出力P1に接続される。接点A1と対をなす接点A2は、他方の電極42に接続され、安定器8の他方の出力P2に接続される。以下、接点A1,A2に接続された配線を配線W1と称す。
接点B1は、フィラメント5の他端に接続されている。接点B1と対をなす接点B2は、安定器8の他方の出力P2に接続された接点A2と接続されている。以下、接点B1,B2に接続された配線を配線W2と称す。
そして、接点C1と、接点C1と対をなす接点C2は開放である。以下、接点C1,C2を開放状態とする配線を配線W3と称す。
【0021】
このように配線されたロータリースイッチSW1の吊り下げ紐7を引くと、引く度に接点A1−接点A2、接点B1−接点B2、接点C1−接点C2の順に導通の接続が切り替わり、更に吊り下げ紐7を引くと接点A1−接点A2へ戻る。
【0022】
接点A1と接点A2とが導通状態であるときには、安定器8の一方の出力P1と他方の出力P2とが接続される。従って、フィラメント5へは電流が流れないため、直管形照明管1は点灯しないが、擬似的に装着状態を再現しているため、他の直管形照明管(図示せず)は点灯状態となる。つまり、接点A1と接点A2との導通は、他の直管形照明管のみを点灯させる配線を選択するものである。
【0023】
接点B1と接点B2とが導通状態であるときには、安定器8の一方の出力P1とフィラメント5の一端とが接続され、安定器8の他方の出力P2とフィラメント5の他端とが接続された状態となるため通常の接続状態となる。従って、フィラメント5へ電流が流れることで、直管形照明管1は点灯して、他の直管形照明管も点灯する。つまり、接点B1と接点B2との導通は、全部の直管形照明管を点灯させる配線を選択するものである。
【0024】
接点C1と接点C2とが導通状態であるときには、フィラメント5の一端しか安定器8の一方の出力P1に接続されないため、安定器8の他方の出力P2は開放状態となるため、直管形照明管1は点灯せず、擬似的に非装着状態を再現しているため、他の直管形照明管も点灯しない。つまり接点C1と接点C2との導通は、全部の直管形照明管を消灯させる配線を選択するものである。
【0025】
このように、他の直管形照明管を点灯させる配線(配線W1,W2)と全部を消灯させる配線(配線W3)とを切り替えるスイッチ手段6が設けられているので、直管形照明器具の全部を消灯させたり、他の直管形照明管を点灯させたりすることができる。従って、直管形照明管1は、壁面のスイッチを操作することなく1台の照明器具ごとに点灯のオンオフすることができると共に、多灯式の照明器具の他の直管形照明管をオンオフすることができる。
また、多灯式の照明器具の直管形照明管を点灯させる配線を、全部を点灯させる配線(配線W2)と、他の直管形照明管のみを点灯させる配線(配線W1)としているため、スイッチ手段6により、全部を点灯させたり、他の直管形照明管のみを点灯させたりすることができる。
【0026】
図2に示すロータリースイッチSW1では、接点A1−接点A2から接点B1−接点B2へ、また、接点B1−接点B2から接点C1−接点C2へ同時に切り替わる。このようなロータリースイッチSW1は、円周上に配置された対向する固定接点同士を中央で回転するローターと称される導体が導通するような機構を持つものとすることができる。しかし、このような順次接続が切り替わるロータリースイッチが調達できないときには、例えば、2回路3接点のロータリースイッチを用いて図3に示すように配線することで実現することができる。
【0027】
図3に示すロータリースイッチSW1は回路記号で示している。このロータリースイッチSW1は中心軸が可動接点で、円周上に固定接点が120°ごとに配置され、可動接点が回転して固定接点に導通するものである。
図3に示すように、1回路目の可動接点(摺動子)を接点A1とし、3つの固定接点のうちの1番目の可動接点を接点A2とする。また、2回路目の可動接点を接点B1とし、3つの固定接点のうちの2番目の固定接点を接点B2とする。接点C1,C2は未接続なので、図3に示す場合でも割り当てせず未接続である。
【0028】
このように2回路3接点のロータリースイッチSW1でも同様に各配線を切り替えることができる。なお、接点A1,A2は配線の接続が買わなければ入れ替わってもよい。また、接点B1,B2も同様である。
【0029】
なお、本実施の形態1では、直管形照明管1を自発光する蛍光灯としたため、ロータリースイッチSW1により、全部を点灯させる配線(配線W2)と、全部を消灯させる配線(配線W3)と、他の直管形照明管のみを点灯させる配線(配線W1)との3通りの配線を切り替えるようにしているが、省エネのために、1灯は外し、他の直管形照明管のみとしたい場合には、直管形照明管を自発光しないダミー管とすることができる。
【0030】
直管形照明管をダミー管としたときには、配線W2を省略することができる。そして、ロータリースイッチとして、一対の接点を2組備えたものとすることで、吊り下げ紐7を引いたときでも無駄なポジションができずにスムーズに切り替えすることができる。
また、スイッチ手段は、ロータリースイッチだけでなく、スライドスイッチ、押しボタンスイッチ、トグルスイッチなどとすることもできるが、複数個のスイッチなったり、操作が複雑になったりするためスイッチ手段はロータリースイッチとするのが望ましい。
【0031】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る直管形照明管について、図面に基づいて説明する。
本実施の形態2に係る直管形照明管はLEDを発光手段とし、このLEDを点灯させるための電源部を備えた照明管である。なお、図4から図7においては、図1から図3と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0032】
図4に示すように直管形照明管10は、LEDが配列されたLED発光部11と、交流を直流へ変換する変換回路を内蔵した電源部12とが、ガラスバルブ2に収納されている。
【0033】
電源部12へは、ガラスバルブ2の一方の端部に設けられた電極4(41,42)から電源が電源部12へ供給されているため、電源部12への2本の電源線を、図2に示すフィラメント5の2本の端子とすれば、スイッチ手段6は、図2に示すロータリースイッチSW1とすることができる。
従って、図5のように配線することで、図4に示すスイッチ手段6を2回路3接点のロータリースイッチとすることができる。
【0034】
また、図6に示す直管形照明管20では、ガラスバルブ2の両方の端部に設けられた電極4から電源がスイッチ手段14を介して電源部13へ供給されているため、電源部13への2本の2組の電源線を、図7に示すような4回路3接点のロータリースイッチSW2とすることができる。但し、電源部13の端子について、一方の電極4(41,42)から供給される端子を端子13a,13bとし、他方の電極4(43,44)から供給される端子を端子13c,13dとして説明する。
【0035】
図7に示すように、ロータリースイッチSW2は、1回路目の可動接点を接点A1として電極41へ接続すると共に、電源部13の端子13aへ接続する。1回路目の3つの固定接点のうちの1番目の固定接点を接点A2とし、電極42と接続する。2回路目の可動接点を接点B1とし、電源部13の端子13bへ接続する。2回路目の3つの固定接点のうちの2番目の固定接点を接点B2とし、接点A2と接続された電極42と接続する。
【0036】
3回路目の可動接点を接点C1として電極43へ接続すると共に、電源部13の端子13cへ接続する。3回路目の3つの固定接点のうちの1番目の固定接点を接点C2とし、電極44と接続する。4回路目の可動接点を接点D1とし、電源部13の端子13dへ接続する。4回路目の3つの固定接点のうちの2番目の固定接点を接点D2とし、接点C2と接続された電極44と接続する。
【0037】
図7に示す配線を行い、ロータリースイッチSW2と接続することで、両端の電極4から電源の供給を受ける直管形照明管であっても、全部を点灯させる配線と、全部を消灯させる配線と、他の直管形照明管のみを点灯させる配線との3通りの配線をロータリースイッチSW2により切り替えることができる。
【0038】
なお、本実施の形態1,2では2灯式の直管形照明器具を例に説明したが、本発明の直管形照明管は3灯以上の直管形照明器具でも装着することができる。この場合、他の直管形照明管を点灯させるときには、自身を除いた2灯以上が点灯することになる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の照明管は、グロースタート式(FL型)やラピッドスタート式(FLR型)、インバータ式(HF型)などの直管形の他に、2本の照明管を結合させたFHP型などの照明器具に使用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 直管形照明管
2 ガラスバルブ
31,32 口金
4,41,42,43,44 電極
5 フィラメント
6 スイッチ手段
7 吊り下げ紐
8 安定器
10 直管形照明管
11 LED発光部
12,13 電源部
13a〜13d 端子
14 スイッチ手段
20 直管形照明管
SW1,SW2 ロータリースイッチ
A1,A2,B1,B2,C1,C2,D1,D2 接点
P1,P2 出力
W1,W2,W3 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多灯式の照明器具の1灯として装着される照明管であって、
前記直管形照明器具に装着される他の照明管を点灯させる配線と、全部を消灯させる配線とを切り替えるスイッチ手段が設けられたことを特徴とする照明管。
【請求項2】
前記他の照明管を点灯させる配線は、全部を点灯させる配線と、他の照明管のみを点灯させる配線であり、
前記スイッチ手段は、3通りの配線を切り替えるものである請求項1記載の照明管。
【請求項3】
前記スイッチ手段は、ロータリースイッチにより形成されている請求項1または2記載の照明管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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