照明装置、照明システムおよび制御装置
【課題】照明装置において、人間にとって自然な光色を出力しながら消費電力の低減を図る。
【解決手段】照明装置20は、赤色(R),緑色(G),青色(B),黄色(Y)のそれぞれの色を出力するためのLEDを備える。制御装置30は、照明装置20と電気機器10A〜10Cの消費電力の総量が一定量を超えると、照明装置20に対して、出力する基準光を切り替えるための指令を出す。これにより、照明装置20から出力される光は、RGB基準光から、RGBY基準光またはBY基準光へと切り換えられる。
【解決手段】照明装置20は、赤色(R),緑色(G),青色(B),黄色(Y)のそれぞれの色を出力するためのLEDを備える。制御装置30は、照明装置20と電気機器10A〜10Cの消費電力の総量が一定量を超えると、照明装置20に対して、出力する基準光を切り替えるための指令を出す。これにより、照明装置20から出力される光は、RGB基準光から、RGBY基準光またはBY基準光へと切り換えられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、照明システムおよび制御装置に関し、特に、複数の発光手段の光を組み合わせて出力する照明装置、照明システムおよび制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、照明装置において消費電力を抑えるための種々の技術が開示されている。たとえば、特許文献1には、防犯上の理由などから、人がいない場所において照明を点灯させる場合に、光色は不自然であっても低い消費電力で照明を点灯させるための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−144126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来では、消費電力を抑えることと自然な光色の両立を図ることは困難であると考えられた。消費電力を抑えたモードにおいて光色が不自然になるのであれば、結局、当該モードで照明を点灯させる場面は限られることになる。このことから、従来の技術によれば、照明装置における消費電力の低減を図るのは困難であった。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、照明装置において、人間にとって自然な光色を出力しながら消費電力の低減を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の或る局面に従った照明装置は、発光色の異なる複数の発光手段と、複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段とを備え、複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段と、青色の光を出力する第2発光手段とを含み、合成手段は、第1発光手段と第2発光手段が出力する光を合成して出力する。
【0007】
好ましくは、合成手段は、色度図において、第1発光手段が出力する光の座標である第1の座標と第2発光手段が出力する光の座標である第2の座標とを結ぶ線上の、基準光の色度図上の座標である第3の座標に最も近い座標である第4の座標の光を出力するように、第1発光手段と第2発光手段が出力する光を合成して出力する。
【0008】
好ましくは、発光手段は、赤色の光を出力する第3発光手段と、合成手段を、第1発光手段と第2発光手段が出力する光を合成して出力させる第1のモードと、第1発光手段と第2発光手段と第3発光手段が出力する光を合成して出力させる第2のモードとの間で、切り換えて制御するための制御手段とをさらに備える。
【0009】
好ましくは、発光手段は、緑色の光を出力する第4発光手段をさらに備え、制御手段は、第1のモード、第2のモード、および、第1発光手段と第2発光手段と第3発光手段と第4発光手段が出力する光を合成して出力させる第3のモードの間で、合成手段を切り換えて制御する。
【0010】
好ましくは、制御手段は、照明装置以外の装置の消費電力と照明装置の電力の消費電力の総量とに基づいて、合成手段のモードを切り換える。
【0011】
本発明の他の局面に従った照明装置は、発光色の異なる複数の発光手段と、複数の発光手段の光の出力比を制御することにより合成するための合成手段とを備え、複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段、青色の光を出力する第2発光手段、緑色の光を出力する第3発光手段と、赤色の光を出力する第4発光手段とを含み、合成手段は、第1発光手段と第2発光手段と第3発光手段と第4発光手段が出力する光を合成して出力する。
【0012】
好ましくは、合成手段は、第2発光手段と第3発光手段と第4発光手段の出力する光が合成されることによって出力される第1の基準光に対して、第3発光手段および第4発光手段の出力を低下させ、かつ、さらに第1発光手段の出力する光を追加することにより、第2の基準光を出力する。
【0013】
好ましくは、合成手段を、第1の基準光を出力させるモードと、第2の基準光を出力させるモードとの間で、切り換えて制御するための制御手段をさらに備える。
【0014】
好ましくは、制御手段は、照明装置以外の装置の消費電力と照明装置の電力の消費電力の総量とに基づいて、合成手段のモードを切り換える。
【0015】
本発明の別の局面に従った照明システムは、発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置と、照明装置を制御するための制御装置とを含む照明システムであって、制御装置は、複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段を含み、複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段と、青色の光を出力する第2発光手段とを含み、合成手段は、第1発光手段と第2発光手段が出力する光を合成して出力する。
【0016】
本発明のさらに別の局面に従った照明システムは、発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置と、照明装置を制御するための制御装置とを含む照明システムであって、制御装置は、複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段を含み、複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段、青色の光を出力する第2発光手段、緑色の光を出力する第3発光手段と、赤色の光を出力する第4発光手段とを含み、合成手段は、第1発光手段と第2発光手段と第3発光手段と第4発光手段が出力する光を合成して出力する。
【0017】
本発明の異なる局面に従った制御装置は、発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置を制御するための制御装置であって、複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段と、青色の光を出力する第2発光手段とを含み、複数の発光手段の光の出力比を制御することにより合成するための合成手段を備え、合成手段は、第1発光手段と第2発光手段が出力する光を合成して出力する。
【0018】
本発明のさらに異なる局面に従った制御装置は、発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置を制御するための制御装置であって、複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段、青色の光を出力する第2発光手段、緑色の光を出力する第3発光手段と、赤色の光を出力する第4発光手段とを含み、複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段を備え、合成手段は、第1発光手段と第2発光手段と第3発光手段と第4発光手段が出力する光を調光して出力する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、視感度が高く発光効率が良好な黄色の光源を含む複数の光源を含む複数の光源の光が合成されて、出力される。これにより、比較的自然な色の光を出力しつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態にかかる照明装置を含む、家庭内のエネルギー消費を管理するためのシステムの構成の具体例を示す図である。
【図2】図1の電気機器の構成の具体例を示すブロック図である。
【図3】図1の照明装置の構成の具体例を示すブロック図である。
【図4】図1の照明装置から出力される光の色味を説明するためのxy色度図である。
【図5】図1の照明装置における消費電力と照度の関係を示す図である。
【図6】図1の照明装置における消費電力と照度の関係を示す図である。
【図7】図1の照明装置における、BY基準光の色味をRGB基準光の色味に近づけるための方法を説明するための図である。
【図8】図1の照明装置に出力させる基準光を切り替えるために、制御装置において実行される処理のフローチャートである。
【図9】図8を参照して説明した処理の内容を具体的に説明するための図である。
【図10】図8の変形例の処理の内容を説明するための図である。
【図11】図1のシステム構成の変形例の具体例を示す図である。
【図12】図11の電気機器の構成の具体例を示すブロック図である。
【図13】図11の照明装置の構成の具体例を示すブロック図である。
【図14】図1の照明装置の変形例から出力される光の色味を説明するためのxy色度図である。
【図15】図1の照明装置の変形例における消費電力と照度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の照明装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能および作用を有する要素については、同じ符号を付し、重複する説明を繰返さない。
【0022】
<システムの構成>
図1は、実施の形態にかかる照明装置(または、照明装置の制御装置)を含む、家庭内のエネルギー消費を管理するためのシステム(HEMS(Home Energy Management System)、以下、システムと称する)100の構成の具体例を示す図である。
【0023】
図1を参照して、本実施の形態では、電力を消費する電気機器として後述する通信回線に接続可能な一般的な家電が想定され、具体的に空気調和機(以下、エアコンとも称する)、テレビ、および洗濯機が想定される。システム100には電気機器10としてこれら機器に相当する電気機器10A,10B,10Cが含まれる。
【0024】
さらに、システム100には、照明装置20と、制御装置30とが含まれる。
これら電気機器10、照明装置20、および制御装置30は、通信回線で接続され、ネットワークを形成し、互いに通信を行なう。ネットワークとして、たとえば、無線LAN(Local Area Network)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、またはPLC(Power Line Communication)などを利用する。以降の説明では、これらの間の通信は電源ケーブル50を利用した通信であるとして、電気機器10、照明装置20、および制御装置30は、それぞれ、通信装置として通信モデム(以下、PLC(Power Line Communication)とも称する)11、21、31を有している。電気機器10A,10B,10Cの各PLC11は、PLC11A,11B,11Cで示されている。PLCは、機器や装置の本体に着脱可能なものであってもよいし、本体に含まれた一つの機能であってもよい。通信装置が、無線LAN、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、有線LANであった場合でも当てはまる。
【0025】
<電気機器>
図2は、電気機器10の構成の具体例を示すブロック図である。図2を参照して、一般的な電気機器としての電気機器10は、ユーザからの操作入力を受け付けるための機構である入力部12と、制御装置である制御部13と、電気機器10として機能するための図示しない機構を駆動させるための機構である駆動部14と、エネルギー管理部15と、記憶部16とを含む。
【0026】
電気機器10がエアコンや洗濯機やテレビである場合、入力部12としてはスイッチなどが該当する。
【0027】
制御装置である制御部13は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などを含み、入力部12からの操作信号に従ってCPUがRAMに記憶されているプログラムを実行することによって駆動部14に制御信号を出力し、図示しない機構を駆動させる。駆動対象の機構は、電気機器10がエアコンである場合には送風機構や加熱機構、洗濯機である場合には洗濯槽の回転機構、などが該当する。
【0028】
エネルギー管理部15は、駆動部14に接続され、駆動部14による駆動動作によって上記機構で消費される電力を検出する。エネルギー管理部15は、その検出を行なうための駆動部14に接続された回路等のハードウェア構成であってもよいし、制御部13のCPUがプログラムを実行することによってCPUの実現する機能の一つ、つまりソフトウェア構成であってもよい。
【0029】
エネルギー管理部15は、RAMやHDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置に接続され、または記憶装置を含み、検出された電力消費を記憶する。該記憶装置には当該電気機器10を特定する情報も記憶される。記憶媒体として、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)などがある。電気機器10を特定する情報としては、たとえば「エアコン」や「洗濯機」であることを特定する情報であってもよいし、製造番号等であってもよい。これらは予め出荷時に記憶されているものであってもよいし、その後に入力されて記憶されるものであってもよい。
【0030】
エネルギー管理部15は、上記記憶装置に記憶された消費電力を表わす情報に当該電気機器10を特定する情報を関連付けてPLC11に渡し、制御装置30に送信させる。送信のタイミングは、いわゆるプッシュ型と言われる、予め規定された時間間隔や電源が投入されてから予め規定された時間後などの電気機器10側で規定したタイミングであってもよいし、いわゆるプル型と言われる、制御装置30から要求を受けてそのタイミングであってもよい。
【0031】
また、電気機器10では、PLC11を介して入力された情報が制御部13へと送られる。制御部13は、当該情報に基づいて、駆動部14による駆動動作を制御できる。
【0032】
記憶部16には、制御部13によって実行されるプログラム、および、当該プログラムの実行に必要なデータ等、種々のデータが記憶される。
【0033】
<制御装置>
図1に戻って、制御装置30は、たとえば汎用のコンピュータによって実現され、CPU33と、RAM34と、HDD(ハードディスクドライブ)35と、パネル36と、通信デバイス37と、PLC31とを含む。
【0034】
CPU33は、たとえばHDD35のハードディスクに格納された、プログラムを実行することにより、制御装置30に、本実施の形態において説明されるような機能を発揮させる。
【0035】
また、CPU33は、PLC31および電源ケーブル50を介して、図1に示されるシステム100内の機器と通信でき、さらに、通信デバイス37を介して、図示せぬ外部のネットワークを構成する機器と通信することもできる。
【0036】
RAM34は、CPU33のワークスペースとして機能する。
パネル36は、たとえば、タッチパネルのように、液晶表示装置等の表示装置とタッチセンサ等の外部からのタッチ操作を検出するための装置とが組み合わされることによって実現される。CPU33は、その処理内容等をパネル36に表示させることができる。また、CPU33は、パネル36に入力された情報に応じた処理を実行する。
【0037】
<照明装置>
図3は、照明装置20の構成の具体例を示すブロック図である。
【0038】
図3を参照して、照明装置20は、入力部22、制御部23、駆動部24、エネルギー管理部25、および、記憶部26を含む。これらは、電気機器10の入力部12,制御部13,駆動部14,エネルギー管理部15,記憶部16にそれぞれ相当する。
【0039】
また、照明装置20は、赤色(R)の光を出力するLED(Light Emitting Diode)27Rと、緑色(G)の光を出力するLED27Gと、青色(B)の光を出力するLED27Bと、黄色(Y)の光を出力するLED27Yとを含む。本実施の形態では、LED27R,27G,27B,27Yによって、発光手段が構成される。なお、照明装置20によって備えられる発光手段は、LEDに限定されず、例えば蛍光灯、有機EL(Electro-Luminescence)、無機ELなどの他の光源であっても良い。
【0040】
駆動部24は、制御部23からの指令に応じて、LED27R,27G,27B,27Yの出力比を制御し、そして、これらが発する光を合成して、出力する。これにより、照明装置20が出力する光の色味が制御される。
【0041】
<LED単体の色味>
図4は、照明装置20から出力される光の色味を説明するためのxy色度図である。
【0042】
図4の色度図では、LED27Rが単体で出力する光の座標が、塗りつぶされた丸印(R)で示されている。また、LED27Gが単体で出力する光の座標が、白抜きの三角印(G)で示されている。また、LED27Bが単体で出力する光の座標が、白抜きの四角印(B)で示されている。また、LED27Yが単体で出力する光の座標が、菱形印(Y)で示されている。なお、照明装置20に備えられる各LEDの座標は一例である。LED27R,27G,27B,27Yのそれぞれについての座標は、同様の色味を示す光源が利用されるのであれば、多少、図4に示されたものとは異なる場合も有り得る。
【0043】
表1に、LED27R,27G,27B,27Yのそれぞれの情報を示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1では、各LED27R,27G,27B,27Yのそれぞれについて、No.1〜4の番号が付され、xy色度、LEDの出力、消費電力、照度、発光効率、LED27R,27G,27B,27YのうちどのLEDを使用したか、が示されている。表1において、照度の単位はルクス(Lx)で表されている。
【0046】
なお、使用LEDの欄が「R」であるNo.1は、LED27R単色の光の情報を示す。また、使用LEDの欄が「G」であるNo.2は、LED27G単色の光の情報を示す。また、使用LEDの欄が「B」であるNo.3は、LED27B単色の光の情報を示す。また、使用LEDの欄が「Y」であるNo.3は、LED27Y単色の光の情報を示す。
【0047】
表1から理解されるように、4種類のLEDのうち、LED27Yは、発光効率が最も高い。つまり、一定の照度の光を出力するために消費する電力が、表1に挙げられた4種類のLEDのうち最も少ないと言える。
【0048】
<基準光>
次に、照明装置20において、LED27R,27G,27B,27Yが合成されて生成される基準光について説明する。
【0049】
図4では、基準色として、3種類の基準色(「RGB(基準色)」「BY」「RGBY」)についての座標が示されている。また、表2に、これらの3種類の基準色についての情報を示す。
【0050】
【表2】
【0051】
表2は、3種類の基準色の情報を、それぞれNo.1〜3として、示している。
表2では、各基準色についての、xy色度、LEDの出力、消費電力、照度、発光効率、どのLEDを使用したか、という情報が示されている。ここで、基準光とは、照明装置20が、照明として、室内等で出力する光である。
【0052】
表2において、使用LEDが「RGB(基準色)」であるNo.1は、LED27R,27G,27Bの光が合成されて出力される基準光の一例である。以下の説明では、この基準光を「RGB基準光」と呼ぶ。RGB基準光は、従来から一般的な照明として利用されていた基準光である。
【0053】
また、使用LEDが「BY」であるNo.2は、LED27B,27Yの光が合成されて出力される基準光の一例である。以下の説明では、この基準光を「BY基準光」と呼ぶ。
【0054】
また、使用LEDが「RGBY」であるNo.3は、LED27R,27G,27B,27Yの光が合成されて出力される基準光の一例である。以下の説明では、この基準光を「RGBY基準光」と呼ぶ。
【0055】
表2では、No.1〜3の各場合の照度がほぼ一定(160(Lx)程度)になるように合成および調光された例が示されている。
【0056】
図4では、表2のNo.1〜3のそれぞれの色度がプロットされている。No.1の光(RGB基準光)は、塗り潰された黒色の四角印(RGB(基準色))で示されている。No.2の光(BY基準光)は、図4では、塗り潰された黒色の三角印(BY)で示されている。No.3の光(RGBY基準光)は、図4では、白抜きの丸印(RGBY)で示されている。
【0057】
RGBY基準光とRGB基準光の座標は、図4の色度図において略同様の位置にプロットされている。つまり、これらの光の色味がほぼ同じである。一方、表2によれば、160(Lx)程度の照度の光を出力するのに消費される電力は、RGBY基準光では127.6(W)であり、RGB基準光では148.62(W)である。つまり、RGBY基準光の方が、20(W)程度消費電力が低く、エネルギー効率が良いといえる。このような消費電力における差異が生じる要因としては、RGBY基準光では、RGB基準光に視感度の比較的高い黄(Y)のLED(LED27Y)をさらに合成し、また、RGB基準光に対して、黄(Y)の光より視感度の低い赤(R)および緑(G)のLED(LED27R,27G)の出力比が低下させているため、効率よく照度が確保されていることが考えられる。
【0058】
また、図4を参照して、BY基準光とRGB基準光は、その色味が比較的近いものとなっている。一方、表2によれば、160(Lx)程度の照度の光を出力するのに消費される電力は、BY基準光では101.3(W)であり、RGB基準光では148.62(W)である。つまり、BY基準光の方が、47(W)程度消費電力が低く、エネルギー効率が良いといえる。このような消費電力における差異が生じる要因としては、BY基準光では、赤(R)および緑(G)のLED(LED27R,27G)を利用せず、視感度が比較的高い黄(Y)のLED(LED27Y)の出力を高くしているため、効率よく照度が確保されていることが考えられる。
【0059】
図5には、RGB基準光とRGBY基準光とBY基準光について、消費電力と照度の関係を示す。図5では、縦軸の右側に消費電力が示され、縦軸の左側に照度が示されている。また、図5では、各基準光について、消費電力が棒グラフで示されている。そして、図5では、各基準光の照度が点D1〜点D3で示され、これらは線で結ばれている。点D1はRGB基準光の照度であり、点D2はBY基準光の照度であり、点D3はRGBY基準光の照度である。
【0060】
図5に示されるように、RGB基準光とBY基準光とRGBY基準光では、照度はほぼ同じであるが、消費電力の値は、BY基準光では最も小さく、その次にRGBY基準光のものが小さく、RGBについてのものが最も大きい。つまり、BY基準光が最もエネルギー効率が高く、次にRGBY基準光が高く、RGB基準光はこれらの3つの基準光の中では最もエネルギー効率が低いと言える。
【0061】
なお、これらの3つの基準光について、消費電力を一定にしようとした場合の各種のデータを表3に示し、また、消費電力と照度の関係を図6に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
図6では、各基準光の照度が点D11〜点D13で示され、これらは線で結ばれている。点D11はRGB基準光の照度であり、点D12はBY基準光の照度であり、点D13はRGBY基準光の照度である。
【0064】
表3および図6から理解されるように、上記3つの基準光について、消費電力が101(W)程度で一定に調整されている。この場合、各基準光の照度は、RGB基準光では95.6(Lx)であり、RGBY基準光では116.8(Lx)であり、そして、BY基準光では160.7(Lx)である。つまり、この場合も、BY基準光が最もエネルギー効率が高く、次にRGBY基準光が高く、RGB基準光はこれらの3つの基準光の中では最もエネルギー効率が低いと言える。
【0065】
以上説明した本実施の形態では、RGB基準光の代わりに、RGBY基準光やBY基準光を合成して出力させることにより、照明装置20のエネルギー効率を向上させることができる。
【0066】
<BY基準光におけるLEDの出力比>
色度図において、LED27BとLED27Yの出力する光を合成されて生成されるBY基準光の座標は、青色を出力するLED27Bの座標と黄色を出力するLED27Yの座標とを結ぶ直線上に位置する。このことから、色度図におけるRGB基準光の座標が上記直線上に存在しない場合には、BY基準光は、RGB基準光との間で、多少色味に差が生じる。
【0067】
図7は、BY基準光の色味をRGB基準光の色味に近づけるための方法を説明するための図である。
【0068】
図7では、LED27Bの色度図上の座標が点Bで示されている。また、LED27Yの色度図上の座標が点Yで示されている。また、RGB基準色の色度図上の座標が点RGBで示されている。そして、線L1は、点Bと点Yを結ぶ直線である。
【0069】
LED27BとLED27Yを合成して生成されるBY基準光の座標は、線L1上のいずれかの座標となる。ここで、BY基準光の色味をRGB基準光の色味に近づけるためには、BY基準光を、点RGBに近い座標で表される光とすれば良い。そこで、BY基準光は、図7中の点BYで表される光とされる。なお、点BYは、点RGBから線L1に延ばした垂線と線L1の交点である。
【0070】
なお、本実施の形態では、図7に示された各座標(点)において、点Yは第1の座標に相当し、点Bは第2の座標に相当し、点RGBは第3の座標に相当し、そして、点BYは第4の座標に相当する。
【0071】
<基準光の切替>
本実施の形態のシステム100において、制御装置30のHDD35には、たとえば表2に示されたような、データ(すくなくとも、No.1〜3の各LEDの「LED出力」の値)が格納されている。CPU33が照明装置20に対して各基準光を出力するための各LEDの「LED出力」の値を送信することにより、照明装置20は、RGB基準光、RGBY基準光、および、BY基準光のいずれをも出力できる。
【0072】
なお、表2に示されたデータは、記憶部26等の、照明装置20側に記憶されていても良い。この場合、制御部23は、実行中のプログラムに応じて、または、制御装置30から入力された制御信号に応じて、各LED(LED27R,27G,27B,27Y)の出力を制御する。具体的には、制御部23は、制御信号に対応する基準光(RGB基準光、RGBY基準光、および、BY基準光のいずれか)を特定し、当該特定した基準光を出力するための各LEDの出力を記憶部26から読み出し、そして、読み出した各LEDの出力を駆動部24へ送信する。これに応じて、駆動部24は、各LEDの出力を制御する。結果として、照明装置20から、RGB基準光、RGBY基準光、または、BY基準光が出力される。
【0073】
<基準光の切替制御>
システム100では、上記したように、制御装置30は、各電気機器10の消費電力を取得できる。そして、制御装置30は、各電気機器10の消費電力の総量に基づいて、照明装置20が出力する光の種類を切り替えてもよい。具体的には、基本的には照明装置20にRGB基準光を出力させる。そして、システム100における消費電力の総量が一定量を超えた場合には、総量を下げるべく、照明装置20に、RGB基準光の代わりに、RGBY基準光またはBY基準光を出力させる。
【0074】
図8は、このように照明装置20に出力させる基準光を切り替えるために制御装置30のCPU33が実行する処理のフローチャートである。当該処理は、たとえば、制御装置30に電源が投入されている期間中、もしくは、制御装置30において基準光を切り替えるためのアプリケーションが起動されている期間中、実行される。
【0075】
図8を参照して、ステップS10で、CPU33は、PLC31を介して入力される照明装置20および電気機器10の消費電力の総量を算出し、当該総量が予め定められた一定量を超えたか否かを判断する。そして、超えたと判断すると、ステップS20へ処理を進める。なお、ステップS10の処理は、たとえば5秒など、一定時間ごとに実行される。
【0076】
ステップS20では、CPU33は、照明切替(1)処理を実行して、ステップS30へ処理を進める。照明切替(1)処理では、CPU33は、照明装置20に対して、出力する基準光を、RGB基準光からRGBY基準光またはBY基準光へと切り替えるための指令を出力する。これに応じて、照明装置20は、出力する基準光を、指令に従って切り替える。
【0077】
ステップS30では、CPU33は、PLC31を介して入力される照明装置20および電気機器10の消費電力の総量が所定量以下となったか否かを判断し、所定量以下となったと判断すると、ステップS40へ処理を進める。なお、「所定量」とは、上記した「一定量」以下の値である。
【0078】
ステップS40では、CPU33は、照明切替(2)処理を実行して、ステップS10へ処理を戻す。照明切替(2)処理では、CPU33は、照明装置20に対して、出力する基準光を、ステップS20で出力するよう指定したRGBY基準光またはBY基準光から、RGB基準光へと切り替えるための指令を出力する。これに応じて、照明装置20は、出力する基準光を、指令に従って切り替える。
【0079】
以上説明した処理では、照明装置20および電気機器10の消費電力の総量が一定量を超えると、ステップS20において、照明装置20に対して、消費電力を低減させるために、出力する基準光を切り替えるための指令が出力される。
【0080】
また、消費電力の総量が所定量以下となると、ステップS40で、照明装置20に対して、出力する基準光をRGB基準光に戻すための指令が出力される。なお、消費電力が上記した一定量以上となることを回避するだけでよければ、ステップS30およびステップS40の処理は省略されても良い。つまり、一度RGB基準光とは別の基準光を出力するよう指令が出された後は、そのまま、出力する基準光をRGB基準光に戻すための指令は出されなくてもよい。もしくは、出力する基準光をRGB基準光に戻す指令は、制御装置30に対して、および/または、照明装置20に対して、特定の操作がなされたことを条件として出されても良い。
【0081】
図9は、図8を参照して説明した処理の内容を具体的に説明するための図である。図9では、照明装置20および複数の電気機器10の消費電力の量の時間変化が示されている。また、図9では、上記したステップS10における「一定量」がWBで示され、また、ステップS30における「所定量」がWAで示されている。
【0082】
図9を参照して、時刻T1では、テレビと照明装置が電力を消費している状態が示されている。なお、図9では、テレビの消費電力がC10で示され、照明装置の消費電力がC20で示されている。この場合、上記した照明装置20と電気機器10の消費電力の総量は「C20+C10」であり、これは、WBより低い値であるとする。
【0083】
その後、時刻T2では、さらにエアコンが運転を開始している。図9では、エアコンの消費電力は、C30で示されている。時刻T2では、照明装置20と電気機器10の消費電力の総量は「C20+C10+C30」であり、これは、WBを超えた値であるとする。これにより、図8の処理において、ステップS20が実行される。その結果の消費電力が、時刻T3における消費電力で示されている。時刻T3では、照明装置が出力する基準光の種類を変えたことにより、その消費電力が、C21へと低減されている。
【0084】
なお、この後、エアコンの利用が停止されると、消費電力の総量は、「C21+C10」へと低下する。これは、WA以下の値である。この状態でステップS40の処理が実行されれば、照明装置が出力する基準光をRGB基準光に戻し、これにより、消費電力の総量は時刻T1に示したような「C20+C10」に戻る。
【0085】
なお、図8および図9を参照して説明した処理において、照明装置に、RGB基準光からそれ以外の基準光へと切り替えさせる電力消費量(一定量,WB)と、RGBに戻させる電力消費量(所定量,WA)とは異なる値とされている。これにより、これらの値が同一の値とされる場合と比較して、消費電力の総量がWB近傍で多少変化した場合にその都度、照明装置が出力する基準光の種類が変更される事態を回避できる。したがって、照明装置から出力される光の種類が変化することによる不快感を与えることを極力回避できる。
【0086】
ただし、ステップS10やステップS30が実行される時間間隔が十分に長い場合などには、これらの値は同一の値とされても良い。
【0087】
<切替制御の変形例>
なお、上記した処理では、RGB基準光と、それ以外の基準光(RGBY基準光またはBY基準光のいずれか)との間で切り換えられたが、RGB基準光、RGBY基準光、BY基準光の3種類の中で、段階的に切り換えられても良い。図10は、このような処理の内容を説明するための図である。
【0088】
図10には、基準光の切替についての4つの消費電力(W1〜W4)が示されている。このうち、W4が最も消費電力が大きく、W3、W2の順に小さくなり、W1が最も消費電力が小さい。
【0089】
この例では、消費電力の総量がW2を超えると、制御装置30のCPU33は、照明装置20に対して、RGB基準光から、(RGB基準光より消費電力が低い)RGBY基準光へと出力を切り換える旨の指令を送る。さらに、消費電力の総量がW4を超えると、制御装置30のCPU33は、照明装置20に対して、RGBY基準光から、(RGBY基準光より消費電力が低い)BY基準光へと出力を切り換える旨の指令を送る。
【0090】
なお、消費電力の総量がW3以下となると、CPU33は、照明装置20に対して、BY基準光からRGBY基準光へと出力を切り換える指令を送ることが好ましい。さらに、消費電力の総量がW1以下となると、CPU33は、照明装置20に対して、RGBY基準光からRGB基準光へと出力を切り換える指令を送ることが好ましい。
【0091】
<システム構成の変形例>
以上説明した本実施の形態では、システム100内の通信がPLCに従ったものとされたが、通信の方式はこれに限定されない。図11は、システム100構成の変形例の具体例を示す図である。
【0092】
図11を参照して、本変形例のシステム100では、電気機器10、照明装置20、および制御装置30は、家電向けの短距離無線通信規格の一つであるZigBee(登録商標)を用いたネットワークで通信する。本変形例では、電気機器10、照明装置20、および制御装置30は、それぞれZigbee(登録商標)に従った通信を行なうための通信装置を備える。具体的には、本変形例では、電気機器10A,10B,10C、照明装置20、および制御装置30は、それぞれ、通信装置111A,111B,111C(以下、これらを総称して「通信装置111」ともいう)、通信装置121、および通信装置131を備える。
【0093】
また、本変形例では、図2と図3を参照して説明された電気機器10と照明装置20の構成は、それぞれ図12と図13に示されるように変更される。
【0094】
図12では、本変形例の電気機器10のハードウェア構成が示されている。図12に示された電気機器10は、Zigbee(登録商標)に従った通信動作を実行する通信装置111を介して、他の機器と通信する。
【0095】
図13では、本変形例の照明装置20のハードウェア構成が示されている。図13に示された照明装置20は、Zigbee(登録商標)に従った通信動作を実行する通信装置121を介して、他の機器と通信する。
【0096】
<LEDの変形例>
<LED光源・基準光の変形例>
(単色光)
図14は、照明装置20の変形例から出力される光の色味を説明するためのxy色度図である。図14の色度図では、LED27Rが単体で出力する光の座標が、塗りつぶされた丸印(R)で示されている。また、LED27Gが単体で出力する光の座標が、白抜きの三角印(G)で示されている。また、LED27Bが単体で出力する光の座標が、白抜きの四角印(B)で示されている。また、LED27Yが単体で出力する光の座標が、菱形印(Y)で示されている。
【0097】
表4に、本変形例のLED27R,27G,27B,27Yのそれぞれの情報を示す。
【0098】
【表4】
【0099】
表4では、各LED27R,27G,27B,27Yのそれぞれについて、No.1〜4の番号が付され、xy色度、LEDの出力、消費電力、照度、発光効率、LED27R,27G,27B,27YのうちどのLEDを使用したか、が示されている。表4において、照度の単位はルクス(Lx)で表されている。
【0100】
表4においても、表1と同様に、使用LEDの欄が「R」であるNo.1は、LED27R単色の光の情報を示す。また、使用LEDの欄が「G」であるNo.2は、LED27G単色の光の情報を示す。また、使用LEDの欄が「B」であるNo.3は、LED27B単色の光の情報を示す。また、使用LEDの欄が「Y」であるNo.3は、LED27Y単色の光の情報を示す。
【0101】
表4から理解されるように、4種類のLEDのうち、LED27Yは、発光効率が最も高い。つまり、一定の照度の光を出力するために消費する電力が、表4に挙げられた4種類のLEDのうち最も少ないと言える。
【0102】
(基準光)
次に、表4に示したような光源を備えた照明装置20の変形例において、LED27R,27G,27B,27Yが合成されて生成される基準光について説明する。
【0103】
図14では、基準色として、3種類の基準色(「RGB(基準色)」「BY」「RGBY」)についての座標が示されている。また、表5に、これらの3種類の基準色についての情報を示す。
【0104】
【表5】
【0105】
表5は、3種類の基準色の情報を、それぞれNo.1〜3として、示している。
表5では、各基準色についての、xy色度、LEDの出力、消費電力、照度、発光効率、どのLEDを使用したか、という情報が示されている。ここで、基準光とは、照明装置20が、照明として、室内等で出力する光である。
【0106】
表5において、使用LEDが「RGB(基準色)」であるNo.1は、LED27R,27G,27Bの光が合成されて出力される基準光の一例である。以下の説明では、この基準光を「RGB基準光」と呼ぶ。RGB基準光は、従来から一般的な照明として利用されていた基準光である。
【0107】
また、使用LEDが「BY」であるNo.2は、LED27B,27Yの光が合成されて出力される基準光の一例である。以下の説明では、この基準光を「BY基準光」と呼ぶ。
【0108】
また、使用LEDが「RGBY」であるNo.3は、LED27R,27G,27B,27Yの光が合成されて出力される基準光の一例である。以下の説明では、この基準光を「RGBY基準光」と呼ぶ。
【0109】
表5では、No.1〜3の各場合の照度がほぼ一定(226(Lx)程度)になるように合成および調光された例が示されている。
【0110】
図14では、表5のNo.1〜3のそれぞれの色度がプロットされている。No.1の光(RGB基準光)は、塗り潰された黒色の四角印(RGB(基準色))で示されている。No.2の光(BY基準光)は、図14では、塗り潰された黒色の三角印(BY)で示されている。No.3の光(RGBY基準光)は、図14では、白抜きの丸印(RGBY)で示されている。
【0111】
RGBY基準光とRGB基準光の座標は、図14の色度図において略同様の位置にプロットされている。つまり、これらの光の色味がほぼ同じである。
【0112】
また、本変形例では、BY基準光とRGB基準光の座標は、図14の色度図において略同様の位置にプロットされている。つまり、これらの光の色味がほぼ同じである。
【0113】
本変形例では、226(Lx)程度の照度の光を出力するのに消費される電力は、RGB基準光では450(W)であり、RGBY基準光では341(W)であり、BY基準光では280(W)である。つまり、BY基準光が最もエネルギー効率が良く、次に、RGBY基準光がエネルギー効率が良いと言える。
【0114】
消費電力における差異が生じる要因として、RGBY基準光については、RGB基準光に視感度の比較的高い黄(Y)のLED(LED27Y)をさらに合成し、また、RGB基準光に対して、黄(Y)の光より視感度の低い赤(R)および緑(G)のLED(LED27R,27G)の出力比が低下させているため、効率よく照度が確保されていることが考えられる。また、BY基準光については、赤(R)および緑(G)のLED(LED27R,27G)を利用せず、視感度が比較的高い黄(Y)のLED(LED27Y)の出力を高くしているため、効率よく照度が確保されていることが考えられる。
【0115】
本変形例では、LED27BとLEC27Yの組合せとして、LED27BとLEC27Yのみを組み合わせることによってRGB基準光とほぼ同様の色味の光を出力することができる。図14の色度図においてLED27B単色の座標とLEC27Y単色の座標を結ぶ線を考慮した場合、ほぼ当該線上に、RGB基準光の座標が存在するからである。つまり、本変形例の照明装置20は、LED27BとLEC27Yのみを組み合わせることによって、RGB基準光とほぼ同じ色味を持つ光を、高いエネルギー効率で出力できる。
【0116】
図15は、RGB基準光とRGBY基準光とBY基準光について、消費電力と照度の関係を示す。図15では、縦軸の右側に消費電力が示され、縦軸の左側に照度が示されている。また、図15では、各基準光について、消費電力が棒グラフで示されている。そして、図15では、各基準光の照度が点D1〜点D3で示され、これらは線で結ばれている。点D21はRGB基準光の照度であり、点D22はBY基準光の照度であり、点D23はRGBY基準光の照度である。
【0117】
図15に示されるように、本変形例においても、RGB基準光とBY基準光とRGBY基準光では、照度はほぼ同じであるが、消費電力の値は、BY基準光では最も小さく、その次にRGBY基準光のものが小さく、RGBについてのものが最も大きい。つまり、BY基準光が最もエネルギー効率が高く、次にRGBY基準光が高く、RGB基準光はこれらの3つの基準光の中では最もエネルギー効率が低いと言える。
【0118】
<その他の変形例等>
以上説明した本実施の形態では、照明装置20と、照明装置20が出力する基準光の種類を切り換えるための制御を実行する制御装置30とによって、照明システムが構成されている。なお、基準光の種類の切替は、システム100における消費電力の総量に基づく場合もあれば、制御装置30(パネル36)に対する操作に基づく場合もある。
【0119】
また、照明装置20と制御装置30とがユニット化され、これをまとめて照明装置と考えることができる。つまり、照明装置20に、当該照明装置20およびシステム100における他の機器の消費電力を計測する機能が備えられ、そして、当該計測された消費電力に基づいて、その照明動作を制御する機能が備えられていても良い。
【0120】
本実施の形態においてシステム100を構成する電気機器10の種類は、図1に示されたものに限定されない。システム100には、図1に示されたものの一部の代わりに、または、図1に示されたものに加えて、他の電気機器(コンポーネントステレオ、パーソナルコンピュータ、等)が接続されていても良い。
【0121】
また、制御装置30は、システム100に接続されるすべての電気機器の消費電力を計測できない場合もある。このような場合、制御装置30は、消費電力を計測可能な電気機器についてのみ、その総量が、上記した一定量等に達したか否かを判断し、制御動作を実行する。
【0122】
なお、照明装置20は、制御装置30からの指令だけでなく、当該照明装置20の入力部22に対する操作によっても、出力する基準光の種類を切り換えることができる。
【0123】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態およびその変形例に記載の発明は、単独で、または、可能な限り組合わされて、実施されることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
10 電気機器、12,22 入力部、13,23 制御部、14,24 駆動部、15,25 エネルギー管理部、16,26 記憶部、20 照明装置、30 制御装置、34 RAM、36 パネル、37 通信デバイス、50 電源ケーブル、100 システム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置、照明システムおよび制御装置に関し、特に、複数の発光手段の光を組み合わせて出力する照明装置、照明システムおよび制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、照明装置において消費電力を抑えるための種々の技術が開示されている。たとえば、特許文献1には、防犯上の理由などから、人がいない場所において照明を点灯させる場合に、光色は不自然であっても低い消費電力で照明を点灯させるための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−144126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来では、消費電力を抑えることと自然な光色の両立を図ることは困難であると考えられた。消費電力を抑えたモードにおいて光色が不自然になるのであれば、結局、当該モードで照明を点灯させる場面は限られることになる。このことから、従来の技術によれば、照明装置における消費電力の低減を図るのは困難であった。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、照明装置において、人間にとって自然な光色を出力しながら消費電力の低減を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の或る局面に従った照明装置は、発光色の異なる複数の発光手段と、複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段とを備え、複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段と、青色の光を出力する第2発光手段とを含み、合成手段は、第1発光手段と第2発光手段が出力する光を合成して出力する。
【0007】
好ましくは、合成手段は、色度図において、第1発光手段が出力する光の座標である第1の座標と第2発光手段が出力する光の座標である第2の座標とを結ぶ線上の、基準光の色度図上の座標である第3の座標に最も近い座標である第4の座標の光を出力するように、第1発光手段と第2発光手段が出力する光を合成して出力する。
【0008】
好ましくは、発光手段は、赤色の光を出力する第3発光手段と、合成手段を、第1発光手段と第2発光手段が出力する光を合成して出力させる第1のモードと、第1発光手段と第2発光手段と第3発光手段が出力する光を合成して出力させる第2のモードとの間で、切り換えて制御するための制御手段とをさらに備える。
【0009】
好ましくは、発光手段は、緑色の光を出力する第4発光手段をさらに備え、制御手段は、第1のモード、第2のモード、および、第1発光手段と第2発光手段と第3発光手段と第4発光手段が出力する光を合成して出力させる第3のモードの間で、合成手段を切り換えて制御する。
【0010】
好ましくは、制御手段は、照明装置以外の装置の消費電力と照明装置の電力の消費電力の総量とに基づいて、合成手段のモードを切り換える。
【0011】
本発明の他の局面に従った照明装置は、発光色の異なる複数の発光手段と、複数の発光手段の光の出力比を制御することにより合成するための合成手段とを備え、複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段、青色の光を出力する第2発光手段、緑色の光を出力する第3発光手段と、赤色の光を出力する第4発光手段とを含み、合成手段は、第1発光手段と第2発光手段と第3発光手段と第4発光手段が出力する光を合成して出力する。
【0012】
好ましくは、合成手段は、第2発光手段と第3発光手段と第4発光手段の出力する光が合成されることによって出力される第1の基準光に対して、第3発光手段および第4発光手段の出力を低下させ、かつ、さらに第1発光手段の出力する光を追加することにより、第2の基準光を出力する。
【0013】
好ましくは、合成手段を、第1の基準光を出力させるモードと、第2の基準光を出力させるモードとの間で、切り換えて制御するための制御手段をさらに備える。
【0014】
好ましくは、制御手段は、照明装置以外の装置の消費電力と照明装置の電力の消費電力の総量とに基づいて、合成手段のモードを切り換える。
【0015】
本発明の別の局面に従った照明システムは、発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置と、照明装置を制御するための制御装置とを含む照明システムであって、制御装置は、複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段を含み、複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段と、青色の光を出力する第2発光手段とを含み、合成手段は、第1発光手段と第2発光手段が出力する光を合成して出力する。
【0016】
本発明のさらに別の局面に従った照明システムは、発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置と、照明装置を制御するための制御装置とを含む照明システムであって、制御装置は、複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段を含み、複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段、青色の光を出力する第2発光手段、緑色の光を出力する第3発光手段と、赤色の光を出力する第4発光手段とを含み、合成手段は、第1発光手段と第2発光手段と第3発光手段と第4発光手段が出力する光を合成して出力する。
【0017】
本発明の異なる局面に従った制御装置は、発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置を制御するための制御装置であって、複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段と、青色の光を出力する第2発光手段とを含み、複数の発光手段の光の出力比を制御することにより合成するための合成手段を備え、合成手段は、第1発光手段と第2発光手段が出力する光を合成して出力する。
【0018】
本発明のさらに異なる局面に従った制御装置は、発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置を制御するための制御装置であって、複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段、青色の光を出力する第2発光手段、緑色の光を出力する第3発光手段と、赤色の光を出力する第4発光手段とを含み、複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段を備え、合成手段は、第1発光手段と第2発光手段と第3発光手段と第4発光手段が出力する光を調光して出力する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、視感度が高く発光効率が良好な黄色の光源を含む複数の光源を含む複数の光源の光が合成されて、出力される。これにより、比較的自然な色の光を出力しつつ、消費電力の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態にかかる照明装置を含む、家庭内のエネルギー消費を管理するためのシステムの構成の具体例を示す図である。
【図2】図1の電気機器の構成の具体例を示すブロック図である。
【図3】図1の照明装置の構成の具体例を示すブロック図である。
【図4】図1の照明装置から出力される光の色味を説明するためのxy色度図である。
【図5】図1の照明装置における消費電力と照度の関係を示す図である。
【図6】図1の照明装置における消費電力と照度の関係を示す図である。
【図7】図1の照明装置における、BY基準光の色味をRGB基準光の色味に近づけるための方法を説明するための図である。
【図8】図1の照明装置に出力させる基準光を切り替えるために、制御装置において実行される処理のフローチャートである。
【図9】図8を参照して説明した処理の内容を具体的に説明するための図である。
【図10】図8の変形例の処理の内容を説明するための図である。
【図11】図1のシステム構成の変形例の具体例を示す図である。
【図12】図11の電気機器の構成の具体例を示すブロック図である。
【図13】図11の照明装置の構成の具体例を示すブロック図である。
【図14】図1の照明装置の変形例から出力される光の色味を説明するためのxy色度図である。
【図15】図1の照明装置の変形例における消費電力と照度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の照明装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能および作用を有する要素については、同じ符号を付し、重複する説明を繰返さない。
【0022】
<システムの構成>
図1は、実施の形態にかかる照明装置(または、照明装置の制御装置)を含む、家庭内のエネルギー消費を管理するためのシステム(HEMS(Home Energy Management System)、以下、システムと称する)100の構成の具体例を示す図である。
【0023】
図1を参照して、本実施の形態では、電力を消費する電気機器として後述する通信回線に接続可能な一般的な家電が想定され、具体的に空気調和機(以下、エアコンとも称する)、テレビ、および洗濯機が想定される。システム100には電気機器10としてこれら機器に相当する電気機器10A,10B,10Cが含まれる。
【0024】
さらに、システム100には、照明装置20と、制御装置30とが含まれる。
これら電気機器10、照明装置20、および制御装置30は、通信回線で接続され、ネットワークを形成し、互いに通信を行なう。ネットワークとして、たとえば、無線LAN(Local Area Network)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、またはPLC(Power Line Communication)などを利用する。以降の説明では、これらの間の通信は電源ケーブル50を利用した通信であるとして、電気機器10、照明装置20、および制御装置30は、それぞれ、通信装置として通信モデム(以下、PLC(Power Line Communication)とも称する)11、21、31を有している。電気機器10A,10B,10Cの各PLC11は、PLC11A,11B,11Cで示されている。PLCは、機器や装置の本体に着脱可能なものであってもよいし、本体に含まれた一つの機能であってもよい。通信装置が、無線LAN、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、有線LANであった場合でも当てはまる。
【0025】
<電気機器>
図2は、電気機器10の構成の具体例を示すブロック図である。図2を参照して、一般的な電気機器としての電気機器10は、ユーザからの操作入力を受け付けるための機構である入力部12と、制御装置である制御部13と、電気機器10として機能するための図示しない機構を駆動させるための機構である駆動部14と、エネルギー管理部15と、記憶部16とを含む。
【0026】
電気機器10がエアコンや洗濯機やテレビである場合、入力部12としてはスイッチなどが該当する。
【0027】
制御装置である制御部13は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などを含み、入力部12からの操作信号に従ってCPUがRAMに記憶されているプログラムを実行することによって駆動部14に制御信号を出力し、図示しない機構を駆動させる。駆動対象の機構は、電気機器10がエアコンである場合には送風機構や加熱機構、洗濯機である場合には洗濯槽の回転機構、などが該当する。
【0028】
エネルギー管理部15は、駆動部14に接続され、駆動部14による駆動動作によって上記機構で消費される電力を検出する。エネルギー管理部15は、その検出を行なうための駆動部14に接続された回路等のハードウェア構成であってもよいし、制御部13のCPUがプログラムを実行することによってCPUの実現する機能の一つ、つまりソフトウェア構成であってもよい。
【0029】
エネルギー管理部15は、RAMやHDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置に接続され、または記憶装置を含み、検出された電力消費を記憶する。該記憶装置には当該電気機器10を特定する情報も記憶される。記憶媒体として、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)などがある。電気機器10を特定する情報としては、たとえば「エアコン」や「洗濯機」であることを特定する情報であってもよいし、製造番号等であってもよい。これらは予め出荷時に記憶されているものであってもよいし、その後に入力されて記憶されるものであってもよい。
【0030】
エネルギー管理部15は、上記記憶装置に記憶された消費電力を表わす情報に当該電気機器10を特定する情報を関連付けてPLC11に渡し、制御装置30に送信させる。送信のタイミングは、いわゆるプッシュ型と言われる、予め規定された時間間隔や電源が投入されてから予め規定された時間後などの電気機器10側で規定したタイミングであってもよいし、いわゆるプル型と言われる、制御装置30から要求を受けてそのタイミングであってもよい。
【0031】
また、電気機器10では、PLC11を介して入力された情報が制御部13へと送られる。制御部13は、当該情報に基づいて、駆動部14による駆動動作を制御できる。
【0032】
記憶部16には、制御部13によって実行されるプログラム、および、当該プログラムの実行に必要なデータ等、種々のデータが記憶される。
【0033】
<制御装置>
図1に戻って、制御装置30は、たとえば汎用のコンピュータによって実現され、CPU33と、RAM34と、HDD(ハードディスクドライブ)35と、パネル36と、通信デバイス37と、PLC31とを含む。
【0034】
CPU33は、たとえばHDD35のハードディスクに格納された、プログラムを実行することにより、制御装置30に、本実施の形態において説明されるような機能を発揮させる。
【0035】
また、CPU33は、PLC31および電源ケーブル50を介して、図1に示されるシステム100内の機器と通信でき、さらに、通信デバイス37を介して、図示せぬ外部のネットワークを構成する機器と通信することもできる。
【0036】
RAM34は、CPU33のワークスペースとして機能する。
パネル36は、たとえば、タッチパネルのように、液晶表示装置等の表示装置とタッチセンサ等の外部からのタッチ操作を検出するための装置とが組み合わされることによって実現される。CPU33は、その処理内容等をパネル36に表示させることができる。また、CPU33は、パネル36に入力された情報に応じた処理を実行する。
【0037】
<照明装置>
図3は、照明装置20の構成の具体例を示すブロック図である。
【0038】
図3を参照して、照明装置20は、入力部22、制御部23、駆動部24、エネルギー管理部25、および、記憶部26を含む。これらは、電気機器10の入力部12,制御部13,駆動部14,エネルギー管理部15,記憶部16にそれぞれ相当する。
【0039】
また、照明装置20は、赤色(R)の光を出力するLED(Light Emitting Diode)27Rと、緑色(G)の光を出力するLED27Gと、青色(B)の光を出力するLED27Bと、黄色(Y)の光を出力するLED27Yとを含む。本実施の形態では、LED27R,27G,27B,27Yによって、発光手段が構成される。なお、照明装置20によって備えられる発光手段は、LEDに限定されず、例えば蛍光灯、有機EL(Electro-Luminescence)、無機ELなどの他の光源であっても良い。
【0040】
駆動部24は、制御部23からの指令に応じて、LED27R,27G,27B,27Yの出力比を制御し、そして、これらが発する光を合成して、出力する。これにより、照明装置20が出力する光の色味が制御される。
【0041】
<LED単体の色味>
図4は、照明装置20から出力される光の色味を説明するためのxy色度図である。
【0042】
図4の色度図では、LED27Rが単体で出力する光の座標が、塗りつぶされた丸印(R)で示されている。また、LED27Gが単体で出力する光の座標が、白抜きの三角印(G)で示されている。また、LED27Bが単体で出力する光の座標が、白抜きの四角印(B)で示されている。また、LED27Yが単体で出力する光の座標が、菱形印(Y)で示されている。なお、照明装置20に備えられる各LEDの座標は一例である。LED27R,27G,27B,27Yのそれぞれについての座標は、同様の色味を示す光源が利用されるのであれば、多少、図4に示されたものとは異なる場合も有り得る。
【0043】
表1に、LED27R,27G,27B,27Yのそれぞれの情報を示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1では、各LED27R,27G,27B,27Yのそれぞれについて、No.1〜4の番号が付され、xy色度、LEDの出力、消費電力、照度、発光効率、LED27R,27G,27B,27YのうちどのLEDを使用したか、が示されている。表1において、照度の単位はルクス(Lx)で表されている。
【0046】
なお、使用LEDの欄が「R」であるNo.1は、LED27R単色の光の情報を示す。また、使用LEDの欄が「G」であるNo.2は、LED27G単色の光の情報を示す。また、使用LEDの欄が「B」であるNo.3は、LED27B単色の光の情報を示す。また、使用LEDの欄が「Y」であるNo.3は、LED27Y単色の光の情報を示す。
【0047】
表1から理解されるように、4種類のLEDのうち、LED27Yは、発光効率が最も高い。つまり、一定の照度の光を出力するために消費する電力が、表1に挙げられた4種類のLEDのうち最も少ないと言える。
【0048】
<基準光>
次に、照明装置20において、LED27R,27G,27B,27Yが合成されて生成される基準光について説明する。
【0049】
図4では、基準色として、3種類の基準色(「RGB(基準色)」「BY」「RGBY」)についての座標が示されている。また、表2に、これらの3種類の基準色についての情報を示す。
【0050】
【表2】
【0051】
表2は、3種類の基準色の情報を、それぞれNo.1〜3として、示している。
表2では、各基準色についての、xy色度、LEDの出力、消費電力、照度、発光効率、どのLEDを使用したか、という情報が示されている。ここで、基準光とは、照明装置20が、照明として、室内等で出力する光である。
【0052】
表2において、使用LEDが「RGB(基準色)」であるNo.1は、LED27R,27G,27Bの光が合成されて出力される基準光の一例である。以下の説明では、この基準光を「RGB基準光」と呼ぶ。RGB基準光は、従来から一般的な照明として利用されていた基準光である。
【0053】
また、使用LEDが「BY」であるNo.2は、LED27B,27Yの光が合成されて出力される基準光の一例である。以下の説明では、この基準光を「BY基準光」と呼ぶ。
【0054】
また、使用LEDが「RGBY」であるNo.3は、LED27R,27G,27B,27Yの光が合成されて出力される基準光の一例である。以下の説明では、この基準光を「RGBY基準光」と呼ぶ。
【0055】
表2では、No.1〜3の各場合の照度がほぼ一定(160(Lx)程度)になるように合成および調光された例が示されている。
【0056】
図4では、表2のNo.1〜3のそれぞれの色度がプロットされている。No.1の光(RGB基準光)は、塗り潰された黒色の四角印(RGB(基準色))で示されている。No.2の光(BY基準光)は、図4では、塗り潰された黒色の三角印(BY)で示されている。No.3の光(RGBY基準光)は、図4では、白抜きの丸印(RGBY)で示されている。
【0057】
RGBY基準光とRGB基準光の座標は、図4の色度図において略同様の位置にプロットされている。つまり、これらの光の色味がほぼ同じである。一方、表2によれば、160(Lx)程度の照度の光を出力するのに消費される電力は、RGBY基準光では127.6(W)であり、RGB基準光では148.62(W)である。つまり、RGBY基準光の方が、20(W)程度消費電力が低く、エネルギー効率が良いといえる。このような消費電力における差異が生じる要因としては、RGBY基準光では、RGB基準光に視感度の比較的高い黄(Y)のLED(LED27Y)をさらに合成し、また、RGB基準光に対して、黄(Y)の光より視感度の低い赤(R)および緑(G)のLED(LED27R,27G)の出力比が低下させているため、効率よく照度が確保されていることが考えられる。
【0058】
また、図4を参照して、BY基準光とRGB基準光は、その色味が比較的近いものとなっている。一方、表2によれば、160(Lx)程度の照度の光を出力するのに消費される電力は、BY基準光では101.3(W)であり、RGB基準光では148.62(W)である。つまり、BY基準光の方が、47(W)程度消費電力が低く、エネルギー効率が良いといえる。このような消費電力における差異が生じる要因としては、BY基準光では、赤(R)および緑(G)のLED(LED27R,27G)を利用せず、視感度が比較的高い黄(Y)のLED(LED27Y)の出力を高くしているため、効率よく照度が確保されていることが考えられる。
【0059】
図5には、RGB基準光とRGBY基準光とBY基準光について、消費電力と照度の関係を示す。図5では、縦軸の右側に消費電力が示され、縦軸の左側に照度が示されている。また、図5では、各基準光について、消費電力が棒グラフで示されている。そして、図5では、各基準光の照度が点D1〜点D3で示され、これらは線で結ばれている。点D1はRGB基準光の照度であり、点D2はBY基準光の照度であり、点D3はRGBY基準光の照度である。
【0060】
図5に示されるように、RGB基準光とBY基準光とRGBY基準光では、照度はほぼ同じであるが、消費電力の値は、BY基準光では最も小さく、その次にRGBY基準光のものが小さく、RGBについてのものが最も大きい。つまり、BY基準光が最もエネルギー効率が高く、次にRGBY基準光が高く、RGB基準光はこれらの3つの基準光の中では最もエネルギー効率が低いと言える。
【0061】
なお、これらの3つの基準光について、消費電力を一定にしようとした場合の各種のデータを表3に示し、また、消費電力と照度の関係を図6に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
図6では、各基準光の照度が点D11〜点D13で示され、これらは線で結ばれている。点D11はRGB基準光の照度であり、点D12はBY基準光の照度であり、点D13はRGBY基準光の照度である。
【0064】
表3および図6から理解されるように、上記3つの基準光について、消費電力が101(W)程度で一定に調整されている。この場合、各基準光の照度は、RGB基準光では95.6(Lx)であり、RGBY基準光では116.8(Lx)であり、そして、BY基準光では160.7(Lx)である。つまり、この場合も、BY基準光が最もエネルギー効率が高く、次にRGBY基準光が高く、RGB基準光はこれらの3つの基準光の中では最もエネルギー効率が低いと言える。
【0065】
以上説明した本実施の形態では、RGB基準光の代わりに、RGBY基準光やBY基準光を合成して出力させることにより、照明装置20のエネルギー効率を向上させることができる。
【0066】
<BY基準光におけるLEDの出力比>
色度図において、LED27BとLED27Yの出力する光を合成されて生成されるBY基準光の座標は、青色を出力するLED27Bの座標と黄色を出力するLED27Yの座標とを結ぶ直線上に位置する。このことから、色度図におけるRGB基準光の座標が上記直線上に存在しない場合には、BY基準光は、RGB基準光との間で、多少色味に差が生じる。
【0067】
図7は、BY基準光の色味をRGB基準光の色味に近づけるための方法を説明するための図である。
【0068】
図7では、LED27Bの色度図上の座標が点Bで示されている。また、LED27Yの色度図上の座標が点Yで示されている。また、RGB基準色の色度図上の座標が点RGBで示されている。そして、線L1は、点Bと点Yを結ぶ直線である。
【0069】
LED27BとLED27Yを合成して生成されるBY基準光の座標は、線L1上のいずれかの座標となる。ここで、BY基準光の色味をRGB基準光の色味に近づけるためには、BY基準光を、点RGBに近い座標で表される光とすれば良い。そこで、BY基準光は、図7中の点BYで表される光とされる。なお、点BYは、点RGBから線L1に延ばした垂線と線L1の交点である。
【0070】
なお、本実施の形態では、図7に示された各座標(点)において、点Yは第1の座標に相当し、点Bは第2の座標に相当し、点RGBは第3の座標に相当し、そして、点BYは第4の座標に相当する。
【0071】
<基準光の切替>
本実施の形態のシステム100において、制御装置30のHDD35には、たとえば表2に示されたような、データ(すくなくとも、No.1〜3の各LEDの「LED出力」の値)が格納されている。CPU33が照明装置20に対して各基準光を出力するための各LEDの「LED出力」の値を送信することにより、照明装置20は、RGB基準光、RGBY基準光、および、BY基準光のいずれをも出力できる。
【0072】
なお、表2に示されたデータは、記憶部26等の、照明装置20側に記憶されていても良い。この場合、制御部23は、実行中のプログラムに応じて、または、制御装置30から入力された制御信号に応じて、各LED(LED27R,27G,27B,27Y)の出力を制御する。具体的には、制御部23は、制御信号に対応する基準光(RGB基準光、RGBY基準光、および、BY基準光のいずれか)を特定し、当該特定した基準光を出力するための各LEDの出力を記憶部26から読み出し、そして、読み出した各LEDの出力を駆動部24へ送信する。これに応じて、駆動部24は、各LEDの出力を制御する。結果として、照明装置20から、RGB基準光、RGBY基準光、または、BY基準光が出力される。
【0073】
<基準光の切替制御>
システム100では、上記したように、制御装置30は、各電気機器10の消費電力を取得できる。そして、制御装置30は、各電気機器10の消費電力の総量に基づいて、照明装置20が出力する光の種類を切り替えてもよい。具体的には、基本的には照明装置20にRGB基準光を出力させる。そして、システム100における消費電力の総量が一定量を超えた場合には、総量を下げるべく、照明装置20に、RGB基準光の代わりに、RGBY基準光またはBY基準光を出力させる。
【0074】
図8は、このように照明装置20に出力させる基準光を切り替えるために制御装置30のCPU33が実行する処理のフローチャートである。当該処理は、たとえば、制御装置30に電源が投入されている期間中、もしくは、制御装置30において基準光を切り替えるためのアプリケーションが起動されている期間中、実行される。
【0075】
図8を参照して、ステップS10で、CPU33は、PLC31を介して入力される照明装置20および電気機器10の消費電力の総量を算出し、当該総量が予め定められた一定量を超えたか否かを判断する。そして、超えたと判断すると、ステップS20へ処理を進める。なお、ステップS10の処理は、たとえば5秒など、一定時間ごとに実行される。
【0076】
ステップS20では、CPU33は、照明切替(1)処理を実行して、ステップS30へ処理を進める。照明切替(1)処理では、CPU33は、照明装置20に対して、出力する基準光を、RGB基準光からRGBY基準光またはBY基準光へと切り替えるための指令を出力する。これに応じて、照明装置20は、出力する基準光を、指令に従って切り替える。
【0077】
ステップS30では、CPU33は、PLC31を介して入力される照明装置20および電気機器10の消費電力の総量が所定量以下となったか否かを判断し、所定量以下となったと判断すると、ステップS40へ処理を進める。なお、「所定量」とは、上記した「一定量」以下の値である。
【0078】
ステップS40では、CPU33は、照明切替(2)処理を実行して、ステップS10へ処理を戻す。照明切替(2)処理では、CPU33は、照明装置20に対して、出力する基準光を、ステップS20で出力するよう指定したRGBY基準光またはBY基準光から、RGB基準光へと切り替えるための指令を出力する。これに応じて、照明装置20は、出力する基準光を、指令に従って切り替える。
【0079】
以上説明した処理では、照明装置20および電気機器10の消費電力の総量が一定量を超えると、ステップS20において、照明装置20に対して、消費電力を低減させるために、出力する基準光を切り替えるための指令が出力される。
【0080】
また、消費電力の総量が所定量以下となると、ステップS40で、照明装置20に対して、出力する基準光をRGB基準光に戻すための指令が出力される。なお、消費電力が上記した一定量以上となることを回避するだけでよければ、ステップS30およびステップS40の処理は省略されても良い。つまり、一度RGB基準光とは別の基準光を出力するよう指令が出された後は、そのまま、出力する基準光をRGB基準光に戻すための指令は出されなくてもよい。もしくは、出力する基準光をRGB基準光に戻す指令は、制御装置30に対して、および/または、照明装置20に対して、特定の操作がなされたことを条件として出されても良い。
【0081】
図9は、図8を参照して説明した処理の内容を具体的に説明するための図である。図9では、照明装置20および複数の電気機器10の消費電力の量の時間変化が示されている。また、図9では、上記したステップS10における「一定量」がWBで示され、また、ステップS30における「所定量」がWAで示されている。
【0082】
図9を参照して、時刻T1では、テレビと照明装置が電力を消費している状態が示されている。なお、図9では、テレビの消費電力がC10で示され、照明装置の消費電力がC20で示されている。この場合、上記した照明装置20と電気機器10の消費電力の総量は「C20+C10」であり、これは、WBより低い値であるとする。
【0083】
その後、時刻T2では、さらにエアコンが運転を開始している。図9では、エアコンの消費電力は、C30で示されている。時刻T2では、照明装置20と電気機器10の消費電力の総量は「C20+C10+C30」であり、これは、WBを超えた値であるとする。これにより、図8の処理において、ステップS20が実行される。その結果の消費電力が、時刻T3における消費電力で示されている。時刻T3では、照明装置が出力する基準光の種類を変えたことにより、その消費電力が、C21へと低減されている。
【0084】
なお、この後、エアコンの利用が停止されると、消費電力の総量は、「C21+C10」へと低下する。これは、WA以下の値である。この状態でステップS40の処理が実行されれば、照明装置が出力する基準光をRGB基準光に戻し、これにより、消費電力の総量は時刻T1に示したような「C20+C10」に戻る。
【0085】
なお、図8および図9を参照して説明した処理において、照明装置に、RGB基準光からそれ以外の基準光へと切り替えさせる電力消費量(一定量,WB)と、RGBに戻させる電力消費量(所定量,WA)とは異なる値とされている。これにより、これらの値が同一の値とされる場合と比較して、消費電力の総量がWB近傍で多少変化した場合にその都度、照明装置が出力する基準光の種類が変更される事態を回避できる。したがって、照明装置から出力される光の種類が変化することによる不快感を与えることを極力回避できる。
【0086】
ただし、ステップS10やステップS30が実行される時間間隔が十分に長い場合などには、これらの値は同一の値とされても良い。
【0087】
<切替制御の変形例>
なお、上記した処理では、RGB基準光と、それ以外の基準光(RGBY基準光またはBY基準光のいずれか)との間で切り換えられたが、RGB基準光、RGBY基準光、BY基準光の3種類の中で、段階的に切り換えられても良い。図10は、このような処理の内容を説明するための図である。
【0088】
図10には、基準光の切替についての4つの消費電力(W1〜W4)が示されている。このうち、W4が最も消費電力が大きく、W3、W2の順に小さくなり、W1が最も消費電力が小さい。
【0089】
この例では、消費電力の総量がW2を超えると、制御装置30のCPU33は、照明装置20に対して、RGB基準光から、(RGB基準光より消費電力が低い)RGBY基準光へと出力を切り換える旨の指令を送る。さらに、消費電力の総量がW4を超えると、制御装置30のCPU33は、照明装置20に対して、RGBY基準光から、(RGBY基準光より消費電力が低い)BY基準光へと出力を切り換える旨の指令を送る。
【0090】
なお、消費電力の総量がW3以下となると、CPU33は、照明装置20に対して、BY基準光からRGBY基準光へと出力を切り換える指令を送ることが好ましい。さらに、消費電力の総量がW1以下となると、CPU33は、照明装置20に対して、RGBY基準光からRGB基準光へと出力を切り換える指令を送ることが好ましい。
【0091】
<システム構成の変形例>
以上説明した本実施の形態では、システム100内の通信がPLCに従ったものとされたが、通信の方式はこれに限定されない。図11は、システム100構成の変形例の具体例を示す図である。
【0092】
図11を参照して、本変形例のシステム100では、電気機器10、照明装置20、および制御装置30は、家電向けの短距離無線通信規格の一つであるZigBee(登録商標)を用いたネットワークで通信する。本変形例では、電気機器10、照明装置20、および制御装置30は、それぞれZigbee(登録商標)に従った通信を行なうための通信装置を備える。具体的には、本変形例では、電気機器10A,10B,10C、照明装置20、および制御装置30は、それぞれ、通信装置111A,111B,111C(以下、これらを総称して「通信装置111」ともいう)、通信装置121、および通信装置131を備える。
【0093】
また、本変形例では、図2と図3を参照して説明された電気機器10と照明装置20の構成は、それぞれ図12と図13に示されるように変更される。
【0094】
図12では、本変形例の電気機器10のハードウェア構成が示されている。図12に示された電気機器10は、Zigbee(登録商標)に従った通信動作を実行する通信装置111を介して、他の機器と通信する。
【0095】
図13では、本変形例の照明装置20のハードウェア構成が示されている。図13に示された照明装置20は、Zigbee(登録商標)に従った通信動作を実行する通信装置121を介して、他の機器と通信する。
【0096】
<LEDの変形例>
<LED光源・基準光の変形例>
(単色光)
図14は、照明装置20の変形例から出力される光の色味を説明するためのxy色度図である。図14の色度図では、LED27Rが単体で出力する光の座標が、塗りつぶされた丸印(R)で示されている。また、LED27Gが単体で出力する光の座標が、白抜きの三角印(G)で示されている。また、LED27Bが単体で出力する光の座標が、白抜きの四角印(B)で示されている。また、LED27Yが単体で出力する光の座標が、菱形印(Y)で示されている。
【0097】
表4に、本変形例のLED27R,27G,27B,27Yのそれぞれの情報を示す。
【0098】
【表4】
【0099】
表4では、各LED27R,27G,27B,27Yのそれぞれについて、No.1〜4の番号が付され、xy色度、LEDの出力、消費電力、照度、発光効率、LED27R,27G,27B,27YのうちどのLEDを使用したか、が示されている。表4において、照度の単位はルクス(Lx)で表されている。
【0100】
表4においても、表1と同様に、使用LEDの欄が「R」であるNo.1は、LED27R単色の光の情報を示す。また、使用LEDの欄が「G」であるNo.2は、LED27G単色の光の情報を示す。また、使用LEDの欄が「B」であるNo.3は、LED27B単色の光の情報を示す。また、使用LEDの欄が「Y」であるNo.3は、LED27Y単色の光の情報を示す。
【0101】
表4から理解されるように、4種類のLEDのうち、LED27Yは、発光効率が最も高い。つまり、一定の照度の光を出力するために消費する電力が、表4に挙げられた4種類のLEDのうち最も少ないと言える。
【0102】
(基準光)
次に、表4に示したような光源を備えた照明装置20の変形例において、LED27R,27G,27B,27Yが合成されて生成される基準光について説明する。
【0103】
図14では、基準色として、3種類の基準色(「RGB(基準色)」「BY」「RGBY」)についての座標が示されている。また、表5に、これらの3種類の基準色についての情報を示す。
【0104】
【表5】
【0105】
表5は、3種類の基準色の情報を、それぞれNo.1〜3として、示している。
表5では、各基準色についての、xy色度、LEDの出力、消費電力、照度、発光効率、どのLEDを使用したか、という情報が示されている。ここで、基準光とは、照明装置20が、照明として、室内等で出力する光である。
【0106】
表5において、使用LEDが「RGB(基準色)」であるNo.1は、LED27R,27G,27Bの光が合成されて出力される基準光の一例である。以下の説明では、この基準光を「RGB基準光」と呼ぶ。RGB基準光は、従来から一般的な照明として利用されていた基準光である。
【0107】
また、使用LEDが「BY」であるNo.2は、LED27B,27Yの光が合成されて出力される基準光の一例である。以下の説明では、この基準光を「BY基準光」と呼ぶ。
【0108】
また、使用LEDが「RGBY」であるNo.3は、LED27R,27G,27B,27Yの光が合成されて出力される基準光の一例である。以下の説明では、この基準光を「RGBY基準光」と呼ぶ。
【0109】
表5では、No.1〜3の各場合の照度がほぼ一定(226(Lx)程度)になるように合成および調光された例が示されている。
【0110】
図14では、表5のNo.1〜3のそれぞれの色度がプロットされている。No.1の光(RGB基準光)は、塗り潰された黒色の四角印(RGB(基準色))で示されている。No.2の光(BY基準光)は、図14では、塗り潰された黒色の三角印(BY)で示されている。No.3の光(RGBY基準光)は、図14では、白抜きの丸印(RGBY)で示されている。
【0111】
RGBY基準光とRGB基準光の座標は、図14の色度図において略同様の位置にプロットされている。つまり、これらの光の色味がほぼ同じである。
【0112】
また、本変形例では、BY基準光とRGB基準光の座標は、図14の色度図において略同様の位置にプロットされている。つまり、これらの光の色味がほぼ同じである。
【0113】
本変形例では、226(Lx)程度の照度の光を出力するのに消費される電力は、RGB基準光では450(W)であり、RGBY基準光では341(W)であり、BY基準光では280(W)である。つまり、BY基準光が最もエネルギー効率が良く、次に、RGBY基準光がエネルギー効率が良いと言える。
【0114】
消費電力における差異が生じる要因として、RGBY基準光については、RGB基準光に視感度の比較的高い黄(Y)のLED(LED27Y)をさらに合成し、また、RGB基準光に対して、黄(Y)の光より視感度の低い赤(R)および緑(G)のLED(LED27R,27G)の出力比が低下させているため、効率よく照度が確保されていることが考えられる。また、BY基準光については、赤(R)および緑(G)のLED(LED27R,27G)を利用せず、視感度が比較的高い黄(Y)のLED(LED27Y)の出力を高くしているため、効率よく照度が確保されていることが考えられる。
【0115】
本変形例では、LED27BとLEC27Yの組合せとして、LED27BとLEC27Yのみを組み合わせることによってRGB基準光とほぼ同様の色味の光を出力することができる。図14の色度図においてLED27B単色の座標とLEC27Y単色の座標を結ぶ線を考慮した場合、ほぼ当該線上に、RGB基準光の座標が存在するからである。つまり、本変形例の照明装置20は、LED27BとLEC27Yのみを組み合わせることによって、RGB基準光とほぼ同じ色味を持つ光を、高いエネルギー効率で出力できる。
【0116】
図15は、RGB基準光とRGBY基準光とBY基準光について、消費電力と照度の関係を示す。図15では、縦軸の右側に消費電力が示され、縦軸の左側に照度が示されている。また、図15では、各基準光について、消費電力が棒グラフで示されている。そして、図15では、各基準光の照度が点D1〜点D3で示され、これらは線で結ばれている。点D21はRGB基準光の照度であり、点D22はBY基準光の照度であり、点D23はRGBY基準光の照度である。
【0117】
図15に示されるように、本変形例においても、RGB基準光とBY基準光とRGBY基準光では、照度はほぼ同じであるが、消費電力の値は、BY基準光では最も小さく、その次にRGBY基準光のものが小さく、RGBについてのものが最も大きい。つまり、BY基準光が最もエネルギー効率が高く、次にRGBY基準光が高く、RGB基準光はこれらの3つの基準光の中では最もエネルギー効率が低いと言える。
【0118】
<その他の変形例等>
以上説明した本実施の形態では、照明装置20と、照明装置20が出力する基準光の種類を切り換えるための制御を実行する制御装置30とによって、照明システムが構成されている。なお、基準光の種類の切替は、システム100における消費電力の総量に基づく場合もあれば、制御装置30(パネル36)に対する操作に基づく場合もある。
【0119】
また、照明装置20と制御装置30とがユニット化され、これをまとめて照明装置と考えることができる。つまり、照明装置20に、当該照明装置20およびシステム100における他の機器の消費電力を計測する機能が備えられ、そして、当該計測された消費電力に基づいて、その照明動作を制御する機能が備えられていても良い。
【0120】
本実施の形態においてシステム100を構成する電気機器10の種類は、図1に示されたものに限定されない。システム100には、図1に示されたものの一部の代わりに、または、図1に示されたものに加えて、他の電気機器(コンポーネントステレオ、パーソナルコンピュータ、等)が接続されていても良い。
【0121】
また、制御装置30は、システム100に接続されるすべての電気機器の消費電力を計測できない場合もある。このような場合、制御装置30は、消費電力を計測可能な電気機器についてのみ、その総量が、上記した一定量等に達したか否かを判断し、制御動作を実行する。
【0122】
なお、照明装置20は、制御装置30からの指令だけでなく、当該照明装置20の入力部22に対する操作によっても、出力する基準光の種類を切り換えることができる。
【0123】
今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態およびその変形例に記載の発明は、単独で、または、可能な限り組合わされて、実施されることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
10 電気機器、12,22 入力部、13,23 制御部、14,24 駆動部、15,25 エネルギー管理部、16,26 記憶部、20 照明装置、30 制御装置、34 RAM、36 パネル、37 通信デバイス、50 電源ケーブル、100 システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光色の異なる複数の発光手段と、
前記複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段とを備え、
前記複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段と、青色の光を出力する第2発光手段とを含み、
前記合成手段は、前記第1発光手段と前記第2発光手段が出力する光を合成して出力する、照明装置。
【請求項2】
前記合成手段は、前記色度図において、前記第1発光手段が出力する光の座標である第1の座標と前記第2発光手段が出力する光の座標である第2の座標とを結ぶ線上の、基準光の色度図上の座標である第3の座標に最も近い座標である第4の座標の光を出力するように、前記第1発光手段と前記第2発光手段が出力する光を合成して出力する、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記発光手段は、赤色の光を出力する第3発光手段と、
前記合成手段を、前記第1発光手段と前記第2発光手段が出力する光を合成して出力させる第1のモードと、前記第1発光手段と前記第2発光手段と前記第3発光手段が出力する光を合成して出力させる第2のモードとの間で、切り換えて制御するための制御手段とをさらに備える、請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記発光手段は、緑色の光を出力する第4発光手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1のモード、前記第2のモード、および、前記第1発光手段と前記第2発光手段と前記第3発光手段と前記第4発光手段が出力する光を合成して出力させる第3のモードの間で、前記合成手段を切り換えて制御する、請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記照明装置以外の装置の消費電力と前記照明装置の電力の消費電力の総量とに基づいて、前記合成手段のモードを切り換える、請求項3または請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
発光色の異なる複数の発光手段と、
前記複数の発光手段の光の出力比を制御することにより合成するための合成手段とを備え、
前記複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段、青色の光を出力する第2発光手段、緑色の光を出力する第3発光手段と、赤色の光を出力する第4発光手段とを含み、
前記合成手段は、前記第1発光手段と前記第2発光手段と前記第3発光手段と前記第4発光手段が出力する光を合成して出力する、照明装置。
【請求項7】
前記合成手段は、前記第2発光手段と前記第3発光手段と前記第4発光手段の出力する光が合成されることによって出力される第1の基準光に対して、前記第3発光手段および前記第4発光手段の出力を低下させ、かつ、さらに第1発光手段の出力する光を追加することにより、第2の基準光を出力する、請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記合成手段を、前記第1の基準光を出力させるモードと、前記第2の基準光を出力させるモードとの間で、切り換えて制御するための制御手段をさらに備える、請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記照明装置以外の装置の消費電力と前記照明装置の電力の消費電力の総量とに基づいて、前記合成手段のモードを切り換える、請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置と、前記照明装置を制御するための制御装置とを含む照明システムであって、
前記制御装置は、前記複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段を含み、
前記複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段と、青色の光を出力する第2発光手段とを含み、
前記合成手段は、前記第1発光手段と前記第2発光手段が出力する光を合成して出力する、照明システム。
【請求項11】
発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置と、前記照明装置を制御するための制御装置とを含む照明システムであって、
前記制御装置は、前記複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段を含み、
前記複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段、青色の光を出力する第2発光手段、緑色の光を出力する第3発光手段と、赤色の光を出力する第4発光手段とを含み、
前記合成手段は、前記第1発光手段と前記第2発光手段と前記第3発光手段と前記第4発光手段が出力する光を合成して出力する、照明システム。
【請求項12】
発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置を制御するための制御装置であって、
前記複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段と、青色の光を出力する第2発光手段とを含み、
前記複数の発光手段の光の出力比を制御することにより合成するための合成手段を備え、
前記合成手段は、前記第1発光手段と前記第2発光手段が出力する光を合成して出力する、照明装置の制御装置。
【請求項13】
発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置を制御するための制御装置であって、
前記複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段、青色の光を出力する第2発光手段、緑色の光を出力する第3発光手段と、赤色の光を出力する第4発光手段とを含み、
前記複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段を備え、
前記合成手段は、前記第1発光手段と前記第2発光手段と前記第3発光手段と前記第4発光手段が出力する光を調光して出力する、制御装置。
【請求項1】
発光色の異なる複数の発光手段と、
前記複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段とを備え、
前記複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段と、青色の光を出力する第2発光手段とを含み、
前記合成手段は、前記第1発光手段と前記第2発光手段が出力する光を合成して出力する、照明装置。
【請求項2】
前記合成手段は、前記色度図において、前記第1発光手段が出力する光の座標である第1の座標と前記第2発光手段が出力する光の座標である第2の座標とを結ぶ線上の、基準光の色度図上の座標である第3の座標に最も近い座標である第4の座標の光を出力するように、前記第1発光手段と前記第2発光手段が出力する光を合成して出力する、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記発光手段は、赤色の光を出力する第3発光手段と、
前記合成手段を、前記第1発光手段と前記第2発光手段が出力する光を合成して出力させる第1のモードと、前記第1発光手段と前記第2発光手段と前記第3発光手段が出力する光を合成して出力させる第2のモードとの間で、切り換えて制御するための制御手段とをさらに備える、請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記発光手段は、緑色の光を出力する第4発光手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記第1のモード、前記第2のモード、および、前記第1発光手段と前記第2発光手段と前記第3発光手段と前記第4発光手段が出力する光を合成して出力させる第3のモードの間で、前記合成手段を切り換えて制御する、請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記照明装置以外の装置の消費電力と前記照明装置の電力の消費電力の総量とに基づいて、前記合成手段のモードを切り換える、請求項3または請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
発光色の異なる複数の発光手段と、
前記複数の発光手段の光の出力比を制御することにより合成するための合成手段とを備え、
前記複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段、青色の光を出力する第2発光手段、緑色の光を出力する第3発光手段と、赤色の光を出力する第4発光手段とを含み、
前記合成手段は、前記第1発光手段と前記第2発光手段と前記第3発光手段と前記第4発光手段が出力する光を合成して出力する、照明装置。
【請求項7】
前記合成手段は、前記第2発光手段と前記第3発光手段と前記第4発光手段の出力する光が合成されることによって出力される第1の基準光に対して、前記第3発光手段および前記第4発光手段の出力を低下させ、かつ、さらに第1発光手段の出力する光を追加することにより、第2の基準光を出力する、請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記合成手段を、前記第1の基準光を出力させるモードと、前記第2の基準光を出力させるモードとの間で、切り換えて制御するための制御手段をさらに備える、請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記照明装置以外の装置の消費電力と前記照明装置の電力の消費電力の総量とに基づいて、前記合成手段のモードを切り換える、請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置と、前記照明装置を制御するための制御装置とを含む照明システムであって、
前記制御装置は、前記複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段を含み、
前記複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段と、青色の光を出力する第2発光手段とを含み、
前記合成手段は、前記第1発光手段と前記第2発光手段が出力する光を合成して出力する、照明システム。
【請求項11】
発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置と、前記照明装置を制御するための制御装置とを含む照明システムであって、
前記制御装置は、前記複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段を含み、
前記複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段、青色の光を出力する第2発光手段、緑色の光を出力する第3発光手段と、赤色の光を出力する第4発光手段とを含み、
前記合成手段は、前記第1発光手段と前記第2発光手段と前記第3発光手段と前記第4発光手段が出力する光を合成して出力する、照明システム。
【請求項12】
発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置を制御するための制御装置であって、
前記複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段と、青色の光を出力する第2発光手段とを含み、
前記複数の発光手段の光の出力比を制御することにより合成するための合成手段を備え、
前記合成手段は、前記第1発光手段と前記第2発光手段が出力する光を合成して出力する、照明装置の制御装置。
【請求項13】
発光色の異なる複数の発光手段を含む照明装置を制御するための制御装置であって、
前記複数の発光手段は、黄色の光を出力する第1発光手段、青色の光を出力する第2発光手段、緑色の光を出力する第3発光手段と、赤色の光を出力する第4発光手段とを含み、
前記複数の発光手段の光の出力比を制御して合成するための合成手段を備え、
前記合成手段は、前記第1発光手段と前記第2発光手段と前記第3発光手段と前記第4発光手段が出力する光を調光して出力する、制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−41720(P2013−41720A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176998(P2011−176998)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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