説明

照明装置及びそれを備えたショーケース

【課題】前方に位置する半透明のシェードを背面から均一に照明するとともに、下方に位置する照明対象物を効率的に照明することが可能な薄型の照明装置及びそれを用いたショーケースを提供する。
【解決手段】照明ユニット2Aは、前方に位置する半透明のシェード3をバックライト照明するとともに下方に位置する照明対象物を照明する。透光性の導光板23は、シェード3に対向する側の前面23bとその裏側の背面23cでの全反射により、上端面23aからの入射光を下部射出面23dに導光する。複数のLED光源21は、長方形状の上端面23aの長手方向に沿って離散的に配列されて、上端面23aに入射させる光を射出する。前面23bと背面23cのうちの少なくとも一方の面に、入射光を拡散させる拡散ドットが複数設けられており、拡散ドットで拡散した光でシェード3を照明するとともに、導光板23の下部射出面23dから射出した光で照明対象物を照明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置及びそれを備えたショーケースに関するものであり、例えば、スーパーマーケット,コンビニエンスストア等の店舗内に据え付けられるショーケースに搭載されて、ショーケースの前面に配置された半透明のシェードと、ショーケース内の棚板上に陳列された商品と、を共に照明するのに好適な照明装置と、それを備えたショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ショーケース用の照明装置として、様々なタイプのものが提案されている。例えば、特許文献1に記載されているショーケース用の照明装置は、ショーケース内の棚板上に陳列された商品を上部から照明する機能と、ショーケースの前面に配置された半透明のシェード(例えば、商品名等が記載された名板から成る電照板)を背面から照明する機能と、の2つの照明機能を備えている。その照明装置では、シェードの下端付近にLED(light emitting diode)光源が背面側に発光面を向けて配置されており、下側に射出した光で商品を照明すると同時に、上向きに射出した光を反射板で反射してシェードを背面から照明する構成になっている。
【0003】
また、2種類の照明光を組み合わせて商品を照明するショーケース用照明装置が、特許文献2で提案されている。その照明装置は、棚板の先端に配置されており、棚板上に陳列された商品を下側から照明する構成になっている。透明な商品落下防止用ガード板を導光板として、その下端に配置されたLED光源からの光をLED光源と同等の配向特性で上端から射出させ、また、ガード板の前面に貼付されている反射シートで、導光中の光を背面側(つまり、商品側)に向けて拡散反射させて照度の均一化をはかっている。このように導光板と反射シートとを組み合わせることにより、棚板の先端から射出される照明光と、反射シートで商品側に偏向する照明光と、で全体の照明光を構成している。
【0004】
2つの照明機能を備えた書架棚用の照明装置も、従来より提案されている。例えば、特許文献3に記載の照明装置は、天井の下に位置する棚板の上(つまり、天井との隙間)に配置され、天井,棚板前の床面,棚板上に配置された本等を同時に照明することの可能な薄型照明装置である。天井に対して水平に配置された導光板に細型蛍光管からの射出光を入射させると、導光板内で全反射しながら進む光のうち、導光板の天井側面に配置された白反射シートで全反射角から外れた光が、導光板下面から射出して床面を照明する。また、導光板の先端は上側が斜面の楔形状になっており、斜面での反射光は下側面から射出して棚板上のものを照明し、斜面での屈折光は天井を照明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−88596号公報
【特許文献2】特開2010−82115号公報
【特許文献3】特開2002−42508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来より提案されている照明装置には様々な問題がある。例えば、特許文献1記載の照明装置では、シェードと反射板との間にLED光源を配置し、反射面を傾けて配置しているため、シェードの背面に配置する照明ユニットを薄型化することが難しい、という問題がある。また、LED光源をシェード下端付近に配置しているため、熱源となるLED基板からの効率的な放熱が難しいという問題があり、保持機構,配線等が複雑になりやすく、それがコストアップの要因になるという問題がある。さらに、LED光源から射出された光の配向をそのまま使用して棚板上の商品を照明しているため、LED光源に近い最上段のみが明るく照明され、下の棚にいくに従って急激に照度が落ちてしまう、という問題もある。
【0007】
特許文献2記載のショーケースは、商品棚の先端に設けられた商品落下防止用ガードを導光板とし、ガードの下端に配置されたLED光源の光を導光し、棚板上に配置された商品のフェース面を下側から照明するものであり、シェードと商品棚を効率的に照明するための配光特性を持たせることは難しい。
【0008】
特許文献3記載の照明装置は、棚の前水平面、棚の鉛直面および、天井面の3面を照明するための照明装置であり、照明光学系のサイズと比較し、照明対象面との距離が長い場合には、良好な照明が可能であるが、ショーケースのように、照明対象物、すなわち電照板や棚板上の商品を良好に照明することは難しい。
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、前方に位置する半透明のシェードを背面から均一に照明するとともに、下方に位置する照明対象物を効率的に照明することが可能な薄型の照明装置及びそれを用いたショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明の照明装置は、前方に位置する透過拡散特性を持つシェードに対するバックライト照明を行うとともに、下方に位置する照明対象物に対する照明を行う照明装置であって、前記シェードに対向する側の前面及びその裏側の背面での反射により、上端面からの入射光を下部射出面に導光する透光性の導光板と、前記上端面の長手方向に沿って離散的に配列されて、前記上端面に入射させる光を射出する複数のLED光源と、を有しており、前記前面及び背面のうちの少なくとも一方の面に、入射光を拡散させる拡散パターンが設けられており、前記拡散パターンで拡散した光で前記シェードを照明するとともに、前記導光板の下部射出面から射出した光で前記照明対象物を照明することを特徴とする。
【0011】
第2の発明の照明装置は、上記第1の発明において、前記導光板の下部射出面は、下方に向うにつれ、前記背面側から前記前面側に向って導光板の厚さが薄くなるように傾斜した斜面を含むことを特徴とする。
【0012】
第3の発明の照明装置は、上記第2の発明において、前記斜面の前記背面に対する傾斜角度θが式:θ<30°を満たすことを特徴とする。
【0013】
第4の発明の照明装置は、上記第2又は第3の発明において、前記導光板の前面が、導光板の媒質を介して前記斜面に対向する領域の少なくとも一部に、拡散面を含むことを特徴とする。
【0014】
第5の発明の照明装置は、上記第1〜第4のいずれか1つの発明において、前記拡散パターンの拡散部の面積が、前記LED光源から離れるほど大きくなることを特徴とする。
【0015】
第6の発明の照明装置は、上記第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記導光板の前面の下部に、前記導光板内に向けて光を反射させる反射部材を有することを特徴とする。
【0016】
第7の発明の照明装置は、上記第6の発明において、前記反射部材が前記導光板内に向けて光を拡散反射させることを特徴とする。
【0017】
第8の発明の照明装置は、上記第6又は第7の発明において、前記反射部材が、前記導光板との間に空気層を介することなく、前記導光板に一体的に貼り付けられていることを特徴とする。
【0018】
第9の発明の照明装置は、上記第1〜第8のいずれか1つの発明において、前記LED光源が、離散的に複数の可視光波長に発光ピークを有することを特徴とする。
【0019】
第10の発明の照明装置は、上記第1〜第9のいずれか1つの発明において、前記導光板の背面の近傍に、前記導光板の背面からの射出光を前記導光板に向けて反射させる背面板を有することを特徴とする。
【0020】
第11の発明の照明装置は、上記第10の発明において、前記背面板が前記導光板の背面からの射出光を拡散反射させることを特徴とする。
【0021】
第12の発明の照明装置は、上記第1〜第11のいずれか1つの発明において、前記LED光源から前記導光板の上端面までの間に、前記LED光源から射出した各光束を前記導光板の上端面に導く整形光学素子を備えており、その整形光学素子が、前記LED光源の配列方向に各光束を拡散又は発散させる機能と、前記LED光源の配列方向に対して垂直な方向に各光束を集光させる機能と、のうちの少なくとも一方を有することを特徴とする。
【0022】
第13の発明の照明装置は、上記第1〜第12のいずれか1つの発明において、前記導光板の左右両端面が反射機能を有することを特徴とする。
【0023】
第14の発明の照明装置は、上記第1〜第13のいずれか1つの発明において、前記シェードをショーケース本体の上部前面に備え、前記照明対象物としての商品が陳列される棚板をショーケース本体の内部に備えたショーケースに用いられる照明装置であって、前記拡散パターンで拡散した光で前記シェードを照明するとともに、前記導光板の下部射出面から射出した光で前記商品を照明することを特徴とする。
【0024】
第15の発明のショーケースは、上記第14の発明に係る照明装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、導光板において反射を行う前面及び背面のうちの少なくとも一方の面に、入射光を拡散させる拡散パターンが設けられた構成になっているため、前方に位置する半透明のシェードを背面から均一に照明することができる。それと同時に、導光板の下部射出面から射出した光で、下方に位置する照明対象物を効率的に照明することができる。したがって、薄型でありながら、前方に位置するシェードに対する均一なバックライト照明と、下方に位置する照明対象物に対する効率的な照明と、が可能な照明装置及びそれを用いたショーケースを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ショーケースの一実施の形態の外観を示す斜視図。
【図2】図1のショーケースの内部構造を示す断面図。
【図3】照明装置の第1の実施の形態を示す断面図。
【図4】第1の実施の形態の要部を導光板の背面側から見た状態で示す図。
【図5】照明装置の第2の実施の形態を示す断面図。
【図6】第2の実施の形態の要部を導光板の背面側から見た状態で示す図。
【図7】照明装置の第3の実施の形態を示す断面図。
【図8】照明装置の第4の実施の形態を示す断面図。
【図9】照明装置の第1の実施の形態の光路図。
【図10】照明装置の第2の実施の形態の光路図。
【図11】照明装置の第3の実施の形態の光路図。
【図12】照明装置の第4の実施の形態の光路図。
【図13】導光板下部での照度ムラの発生を説明するための断面図。
【図14】導光板の前側下部構造の具体例を示す断面図。
【図15】図14(A)の導光板の前側下部構造における光路等を示す断面図。
【図16】図14(B)の導光板の前側下部構造における光路等を示す断面図。
【図17】導光板と背面板との固定構造の一例を示す断面図。
【図18】導光板と背面板との固定構造の具体例を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る照明装置及びショーケースの実施の形態等を、図面を参照しつつ説明する。なお、各実施の形態等の相互で同一の部分や相当する部分には同一の符号を付して重複説明を適宜省略する。
【0028】
《ショーケースの実施の形態(図1,図2)》
図1にショーケース1の外観を示し、図2にショーケース1の内部構造を示す。このショーケース1は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットの店舗内に据え付けられる縦型のオープンショーケースであり、照明ユニット(照明装置)2,シェード(例えば、商品名等が記載された名板から成る電照板)3,棚板4,外装(ショーケース本体の一部)5,断熱用のロールカーテン6等で構成されている。なお、このショーケース1は店舗用のオープンショーケースを想定したものであるが、照明ユニット2の用途はショーケース1に限らない。例えば、ショーウインド,書架等も、照明ユニット2を用いることによりショーケース1と同様の構成をとることが可能である。
【0029】
ショーケース本体は、断面が略コの字形状(図2)で前面に開口する断熱性の外装5と、左右に配置される断熱性の側板(不図示)と、で構成されている。ショーケース本体の内部には複数の棚板4が所定の間隔をあけて設置されており、図2に示すように、各棚板4上には照明対象物としての商品9が陳列される。ショーケース本体の上部前面には、透光性の拡散板から成る半透明のシェード3が配置されている。シェード3の背面側には、シェード3を背面から照明すると同時に、棚板4上の商品9を照明するための照明ユニット2が配置されている。さらに、照明ユニット2の背面側には、断熱用のロールカーテン6が収納されている。
【0030】
照明ユニット2は、前方に位置するシェード3に対するバックライト照明を行うとともに、下方に位置する棚板4上の商品9に対する照明を行う。1つの照明ユニット2で、シェード3とすべての棚板4上の商品9を照明することができるため、照明用の配線等を簡素化してコストダウンを図ることができる。また、照明ユニット2には、後述するLED光源21やLED基板22が内蔵されている(図3等)。LED基板22等は熱源となるが、ショーケース1の最上部に配置されているため、放熱が容易であり、また商品9への熱の影響を最も効果的に抑えることができる。
【0031】
照明ユニット2は、後述する導光板23(図3等)を用いた薄型構造になっているため、シェード3の背面の空間を効果的に使用することができる。例えば、図2に示すように、断熱用のロールカーテン6を収納するスペースの確保が容易である。一般的な冷却機能付きのショーケースでは、冷却効率を上げて省電力化するために、店舗の閉店時にショーケースの内部と外部とが断熱用カーテンで断熱される。その断熱用カーテンは、使用しないときにシェードの背面部にロール状に巻かれて収納されるため、照明ユニットの背部には断熱用カーテンを配置するための空間を確保する必要がある。図2に示すショーケース1では、薄型の照明ユニット2を用いることにより、ロールカーテン6の収納用スペースの確保を容易にしている。
【0032】
《照明装置の第1の実施の形態(図3,図4,図9)》
図3に照明ユニット2Aの内部構造を示し、図4に照明ユニット2Aの要部を導光板23の背面側から見た状態で示す。また、図9に照明ユニット2Aが構成する光路を示す。照明装置の第1の実施の形態である照明ユニット2Aは、前方に位置する半透明のシェード3に対するバックライト照明を行うとともに、下方に位置する商品9(図2)に対する照明を行う照明装置であり、複数のLED光源21,LED基板22,透光性の導光板23,ユニット保持部材24,反射板(反射部材)25等で構成されている。
【0033】
外装5(図1,図2)の上部前面に配置されているシェード3は、図3に示すように、シェード枠31に固定されている。シェード3の背面側には、シェード3とほぼ同じ面積を有する透光性材料から成る薄板状の導光板23が配置されている。この導光板23は、例えばアクリル等の樹脂材料を成型することにより作製可能である。シェード3に対向する側の前面23bとその裏側の背面23cとは平行になっており、導光板23の背面23cには入射光を拡散させる拡散パターンが設けられている。拡散パターンは、ドット状の多数の拡散ドット26(図4)からなり、導光板の背面23cに規則的に配置されている。なお、拡散パターンはドット状に限らず、例えば格子状であってもよく、拡散部と非拡散部(鏡面)とが略均一に混在していればよく、規則的に配列していなくてもよい。つまり、背面23cの任意の領域を切りだしたときに、拡散部と非拡散部とが略一定の割合であればよい。また、導光板23の下部が背面側から前面側に、下方に向かって薄くなるように、長方形状の下部面(下部射出面)23dが前面23b及び背面23cに対して傾きを有しており、その楔形状を成す前面23bの下部には、導光板23内に向けて光を拡散反射させる反射板25が設けられている。
【0034】
外装5の内面には、金属製のユニット保持部材24がその上面で固定されている。ユニット保持部材24は、導光板23の背面23cの近傍に、導光板23の背面23cからの射出光(例えば、拡散ドット26での散乱光)を背面23c側に拡散反射させる背面板24aを、その一部として有している。背面板24aには、導光板23が間隔ワッシャを介してネジ(不図示)で固定されており、その固定に黒色ネジや不透明な白色ネジを使用することにより、ネジ部で光が散乱して2次光源とならないようにしている。
【0035】
導光板23の上端面(入射側端面)23aの上方には、複数のLED光源21が(図4)、長方形状の上端面23aの長手方向(つまり、ショーケース1の幅方向)に沿って離散的かつ一列に配列されている。LED光源21はLED基板22上に電気的に接続・固定されており、LED基板22はユニット保持部材24の基板固定面24cに固定されている。金属製のユニット保持部材24を用いることによって、LED基板22に蓄積される熱を効率的に放熱することができ、LED基板22が高温になることを防ぐことができる。LED基板22やLED光源21自体が高熱になると、発光効率が低下したりLEDの寿命が短くなったりするので、効率的に放熱することは重要である。なお、LED基板22とユニット保持部材24との間に放熱シートや放熱グリスを挟むことによって、更に効率的な放熱が可能となる。
【0036】
LED光源21から射出した光は、上端面23aから導光板23に入射する。ただし、LEDの放射角が広いので、導光板23の上端面23aに当たらない前後の光線は、不要光になってしまう。導光板23より前側に射出した光は、シェード3に直接当たった場合、シェード3上で強い輝線又は輝点となって、シェード3の品位を落とす要因となる。これを回避するため、ユニット保持部材24の前側部分に不要光遮光面24dを設けて、光がシェード3に直接当たらないように遮光している。また、導光板23の背面23cから射出した光も、ユニット保持部材24で反射したのち導光板23を透過して、シェード3を直接照明してしまうおそれがある。これを回避するため、ユニット保持部材24の背面板24aの上部に傾きを持たせて不要光反射面24bを構成し、LED光源21側に反射する構成としている。
【0037】
上端面23aから導光板23に入射した光は、シェード3に対向する側の前面23b及びその裏側の背面(拡散ドット配置面)23cで全反射されながら、下部射出面23dに導光される(図9の光路図参照。)。そして、下部射出面23dから射出した光は棚板4(図2)上の商品9を照明する。導光板23の背面23cには、円形・均一サイズの複数の拡散ドット26が、一定の間隔をあけて規則的に印刷されている。そのため、導光されている光のうち、拡散ドット26に入射した光はその場で拡散して、全反射条件を外れると導光板23の前後に射出される。導光板23の前側に射出した光は、シェード3を背面から直接照明し、導光板23の後ろ側に射出した光は、拡散反射特性を有する背面板24a(例えば、艶消し白塗装から成る拡散反射面)で反射されて、導光板23を透過した後、シェード3を背面から照明する。
【0038】
拡散ドット26(図4)は、導光板23の表面に、拡散特性を有するインクを用いて印刷することにより作製することができる。また、金型の平面に拡散ドット(つまり、全反射条件を外れた微細な凹凸から成る面形状のドット)を形成して、導光板23の成型時に拡散ドット26を同時に形成することも可能である。拡散ドット26の形状は、円形に限らない。ただし、円形の拡散ドット26は形成が容易であり、拡散光にエッジが出にくいので好ましい。
【0039】
拡散ドット26のサイズは、全面で均一である。導光板23の背面23cの面積に対する拡散面積が30%程度になるように、拡散ドット26の直径が決定されている。具体的には、ドットピッチが1.6mm、ドット間隔が0.6mm、拡散ドット26の直径が1.0mmである。導光板23中を導光する光量は、導光板23の下側になるほど小さくなる。しかし、拡散ドット26の面積比(つまり、拡散ドット配置面において拡散ドット26が占める面積の割合)が小さい場合、拡散ドットのサイズを均一にしても、その低下量はシェード3の上側と下側の照度が大きく異なるほどにはならない。この実施の形態では、シェード3の上側と下側での照度低下は15%程度である。このように、照度の低下を抑えることができる場合には、ドットサイズを均一とする方が安価に拡散ドット26を作製することができるので好ましい。
【0040】
拡散ドット26は、導光板23中を全反射しながら下方向へ導光される光の一部を、拡散により全反射条件から外して、背面(拡散ドット配置面)23cから導光板23外へ取り出すものである。拡散光を得るための反射手段として拡散ドット26を用いることにより、反射率及び輝度分布をドットのサイズ分布で詳細にコントロールすることが可能である。そのためには、拡散ドット配置面23cにおけるLED光源21からの各位置での拡散ドット26の面積比が重要であり、その面積比は、シェード照度,棚板照度等の仕様により決定される。また、シェード3上での照度をより一層均一にするためには、LED光源21から離れるに従って拡散ドットの面積比を大きくする必要がある。例えば、ドットピッチを均一にするならばドット径をLED光源21からの距離が離れるに従って大きくし、ドットサイズを均一にするならばドットピッチをLED光源21からの距離が離れるに従って小さくすることが好ましい。なお、拡散ドット26は前面23bに形成されていてもよい。
【0041】
ドットサイズに関しては、シェード3上で照度ムラとして観察されない程度にまで拡散ドット26のサイズを小さくする必要がある。具体的には、拡散ドット配置面23cからシェード3までの距離の1/5以下に拡散ドット26の直径を設定すれば、拡散ドット26による照度ムラを問題の無いレベルにまで抑えることができる。また、シェード3に対する照度をより均一にするためには、2次光源となる拡散ドット26からシェード3までの距離を長くすることが好ましい。また、シェードの上下方向の長さよりも短い距離の位置に拡散ドットが配置されることが好ましい。したがって、この実施の形態のように、シェード3に近い前面23bよりも遠い背面23cに拡散ドット26を配置することが好ましい。また、照明ユニット2Aの厚さは薄い方が好ましいので(例えば20mm以下)、シェード3上で拡散ドット26により生じる照度ムラを低減するには、拡散ドット26の直径を4mm以下とすることが好ましい。更に好ましくは、拡散ドット26の直径を1mm以下とすることにより、シェード3上での照度ムラをほぼ無くすことができる。
【0042】
導光板23の下部は、導光板厚が下端に向かって薄くなるように、背面23c側が傾きを持った楔形状になっている。その楔の斜面から成る下部射出面23dに到達した光は、屈折することにより導光板23外へ射出されて、棚板4上の商品9を照明するための照明光となる。また、下部射出面23dの前方に位置する前面23bには、拡散特性を有する反射板25(例えば、株式会社きもと製のレフホワイト等)が貼付されており、下部射出面23dで全反射した光は反射板25で拡散反射される。その拡散光は、導光板23中を前面23bから背面23cに向かって透過し、背面23c側から射出して、主に上の棚板4上の商品9を照明するための照明光となる。なお、反射板25はつや消し白塗装された金属板でもよい。
【0043】
導光板23の下側を楔形状にすることにより、棚板4に向かう照明光が上段に偏ることなく、最上段から最下段まで前後方向にバランス良く効率的に照明することが可能となる。もし楔形状でなければ、導光板23の下側に向けて前後に発散するように照明光が分布することになるので、棚板4上の商品9を効率的に照明する配向を得るには、導光板23の下部を背面23c側が傾きを持った楔形状にすることが好ましい。
【0044】
導光板23の下部に形成されている楔形状に関し、その楔の斜面から成る下部射出面23dの背面23cに対する傾斜角度(つまり、楔角度)を、図3に示すようにθと定義するとき、条件式(1):θ<30°を満たすことが望ましい。条件式(1)の上限を上回ると、下部射出面23dで屈折して棚板4の方向へ射出する光量のうち、上段の棚板4に向かって射出する光量が多くなるため、下段の棚板4に対する照度が極端に暗くなってしまうおそれがある。
【0045】
条件式(1a):5°<θ<20°を満たすことが更に望ましい。5°<θとすることにより、棚板4側に射出する光量を更に増加させることができるので、棚板4側をより効率的に照明することが可能となる。また、θ<20°とすることにより、棚板4の下段への射出光量を増加させることができるので、棚板4を上段から下段まで更にバランス良く照明することが可能となる。この照明ユニット2Aでは、θ=15°とすることにより、各棚板4に対する効率的でバランス良い照明を可能としている。
【0046】
導光板23の下部に反射板25を配置することにより、ショーケース1の前面から、前方に向かって射出する無駄な照明光を無くすことができる。このため、LED光源21からの光を照明すべきシェード3と棚板4上の商品9へと効率的に導くことができる。もし反射板25が無ければ、前方に向かって射出した光が、ショーケース1前面の床部を照明することになる。一般にショーケースを用いる店舗では天井等に照明がついているため、ショーケース1から前方床面を照明する光は不要である。その光を反射板25で棚板4側へ反射させることにより、LED光源21の光を効率的に照明すべきシェード3と棚板4上の商品9へと効率的に導くことができ、ショーケース1の省電力化を図ることが可能になる。
【0047】
なお、反射板25で拡散反射した光の配向中心は正反射角とほぼ等しいので、ほとんどの光は楔形状の下部射出面23dで屈折して下方の棚板4上を照明し、拡散光のうち上方向に進んだ光が最上段の棚板4上を照明する。反射板25で拡散反射した光がすべて最上段を照明するわけではないので、照明バランスが悪化することはない。光路図(図9)は、照明ユニット2Aからの射出光がシェード3と棚板4上の商品9とに向けて効率的に照明している様子を示している。
【0048】
導光板23は、左右両端面(つまり、ショーケース1の棚板4の幅方向の両端面)に反射機能を有している。導光板23の左右両端面に反射機能を持たせれば、導光板23の左右両端に到達した光を導光板23内へ戻すことができる。したがって、シェード3と棚板4上の商品9をより効率的に照明すると同時に、左右両端から射出した光が不要光になることを防ぐことができる。
【0049】
《導光板の前側下部構造(図13〜図16)》
照明ユニット2A(図3,図9)のように、導光板23に斜面から成る下部射出面23dを有する照明装置では、斜面から成る下部射出面23dが傾きを持つ断面において、斜面部での反射回数の違いにより射出光の角度が離散的になる。つまり、下部射出面23dが傾きを持つ断面内での射出光の照度分布にムラが生じることになる。また、導光板の下部に斜面から成る射出部を有する照明装置では、射出面での射出角度が大きいと(通常、射出角度30度以上の光が多い。)、導光板材料の分散により、色収差、言い換えれば照明対象物上での色ムラが発生することになる。これらの現象が組み合わさることにより、照度ムラの周期と同じ周期で照明光に着色が起こる。特に、光源強度の波長特性が、離散的な波長にピークを有する場合、照明光の色ムラが顕著になる。例えば、光源に蛍光タイプの白色LEDを用いた場合、励起光である青色と蛍光体の黄色の各波長ピークを有するため、照明対象物上で色ムラが発生する。
【0050】
上記のように導光板の下部に斜面から成る射出部を有する照明装置では、例えば図13(A)に示すように、導光板23の媒質を介して下部射出面23dに対向する部分で前面23bが略鏡面23eになっており、前面23bに沿って位置する反射板25(反射面は略鏡面である。)が空気層29を介して配置される場合、照明光のほとんどが全反射により下部射出面23dまで導光される。このとき、導光板23内の反射回数の違いにより、射出光の射出角は離散的となる。したがって、図13(B)に示すように、射出面から離れた位置にある被照射面28上での照度分布には前述した照度ムラが大きく生じることになる。
【0051】
図13(C)に、波長の異なる照明光の射出角の違いを模式的に示す。図13(C)から分かるように、下部射出面23dにおける射出光の射出角(つまり屈折角)が大きい場合、波長ごとの射出角が導光板23の色分散により異なるため、その導光板23の色分散により、長波長光(一点鎖線)よりも短波長光(破線)の射出角が大きくなる。したがって、照明光が波長幅を有する場合、照度ムラの周期に伴い色ムラも発生することになる。なかでもLED光源のように、離散的な複数の波長にピークを有する光源を用いた場合、色ムラの発生が顕著になる。
【0052】
前記照度ムラの発生を抑えるには、導光板内に向けて光を拡散反射させる機能を、導光板の前側下部構造に備えることが好ましい。導光板の前側下部に拡散反射機能を持たせるには、例えば、前述したように拡散反射特性を有する反射板25又は拡散シートを下部射出面23dの前方に位置する部分の前面23bに設けたり、導光板23の前面下部を拡散反射面化したりすればよい。
【0053】
図14(A),図14(C)及び図14(D)に拡散反射特性を有する拡散シート25s又は反射板25を用いた例を示し、図14(B)に導光板23の前面23bの下部を拡散反射面化した例を示す。図14(B)に示す照明装置では、導光板23の前面23bが、導光板23の媒質を介して斜面(下部射出面23d)に対向する領域の少なくとも一部に、拡散面23f(例えば、成型で製造される。)を含む構成になっている。拡散面23fは微細な凹凸構造を有しているため、その拡散機能と反射板25の反射機能との組み合わせにより拡散反射が可能となる(拡散面23fをミラーコートした場合も同様の効果が得られる。)。したがって、拡散面23fで拡散した光は、反射板25で反射された後、導光板23に再入射することになる。このように、斜面に対向する前面23bの少なくとも一部を拡散反射面化することにより、照度ムラを効果的に改善することができる。
【0054】
図14(A)及び図14(C)に示す照明装置では、反射部材である拡散シート25sが、導光板23との間に空気層29を介することなく、導光板23に一体的に貼り付けられており(例えば、光学両面テープで導光板23に接着されている。)、図14(D)に示す照明装置では、反射部材である反射板25が、導光板23との間に空気層29を介して、導光板23に設けられている。図14(A)に示す拡散シート25sは、光を散乱させる微細な拡散物質を含む拡散層25aと、そこで散乱した光を反射させる反射層25bと、から成っている。図14(C)に示す拡散シート25sは、微細な凹凸構造を持ちミラーコートされた拡散面25fを有している。図14(D)に示す反射板25は、微細な凹凸構造を持ちミラーコートされた拡散面25fを有している。これらのように、拡散反射特性を有する反射部材を設けることにより、照度ムラを効果的に改善することができる。また、図14(A)及び図14(C)に示すように、空気層29を介することなく反射部材と導光体23とを一体化することにより、更に効果的に照度ムラを改善することができる。
【0055】
図14に示す各構成を採用することは、LED光源が離散的に複数の可視光波長に発光ピークを有する場合において、効果的な色ムラの改善を可能とする。また前述したように、拡散機能を有する面と導光板23との間に空気層29が無ければ、拡散作用を強くすることが可能となるため、照度ムラ及び色ムラを低減してより一層高品位な照明が可能となる。さらに、拡散面の範囲を斜面とほぼ対向する領域に限定して配置することにより、シェード照明として用いる領域では、シェードの照度及び照度分布を拡散ドットで正確に制御することが可能になると同時に、不要光の発生を制限することも可能となる。
【0056】
導光板の厚さをt1とし、導光板の下端からの拡散面の幅をdとすると(図14参照。)、条件式(2):1<d/t1<3を満たすことが好ましく、前記条件式(1)と共に満たすことが更に好ましい。例えば、θ=15°の場合、d=15mm,t1=6mmであることが好ましい。条件式(2)の下限を下回ると、拡散領域の面積が小さすぎて棚板上の商品に対する照度ムラ及び色ムラを十分に改善することが困難になる。逆に、条件式(2)の上限を上回ると、下部射出光の発散角が大きくなりすぎて、棚板上の対象物を効果的に照明することが困難になる。また、不要光も多く発生するおそれがあり、照明効率の低下を招くおそれもある。
【0057】
図14(A)に示す導光板23の前側下部構造による光路を図15(A)に示し、被照射面28に対する照明状態を図15(B)に示す。図15(A)に示す構造では、光学両面テープで導光板23に接着されている拡散シート25sの部分において、光線が導光板23の表面で全反射することなく、拡散シート25sで拡散反射されて下部射出面23dに向かう。下部射出面23dに到達した照明光は、拡散シート25sにより拡散されて、ランダムな射出角で下部射出面23dから射出されるため、被照射面28上での照度分布には照度ムラがほとんど生じない。したがって、照度ムラの無い高品位な照明が実現され、しかも、照度ムラ周期と合わせて出現する色ムラも同時に改善される。
【0058】
図14(B)に示す導光板23の前側下部構造による光路を、図16に示す。導光板の前面23bは、下部射出面23dと対向する部分のみ、表面が拡散面23fとなっている。拡散面23fの外側は、空気層29を介して反射板25の略鏡面で覆われている。したがって、図15に示すタイプと同様、照度ムラ及び色ムラを改善することが可能となる。
【0059】
《導光板と背面板との固定構造(図17,図18)》
冷蔵ショーケースには、陳列商品の乾燥を防ぐための機能として、加湿機能又は霧状のシャワー機能を備えたものが知られている。そのようなショーケースでは高湿下で照明装置を使用することになるため、導光板と背面板との間隔が狭すぎると、毛細管現象により導光板と背面板との間に水分が充填されてしまうおそれがある。導光板と背面板との間に水分層が形成されると、導光板表面で全反射すべき光が背面板表面で拡散反射され、シェード側へ射出されてしまう。水滴がついた部分でのみシェード側への射出光が増えるため、シェード上に輝度ムラが発生することになる。また、導光板下部への導光光量が減少するため、下側射出光に照明光が暗くなってしまう。
【0060】
前記水分層の形成を防止するには、導光板から背面板までの距離を適正に設定することが望ましい。例えば、導光板と背面板との間隔をt2(mm)とすると(図3,図17参照。)、条件式(3):0.1<t2<2を満たすことが好ましい。条件式(3)の下限を下回ると、導光板と背面板との間の空気層を確実に確保することが困難になるため、シェードに輝度ムラが発生したり下側照明が暗くなったりするするおそれがある。逆に、条件式(3)の上限を上回ると、導光板と背面板との間隔が広くなりすぎるため、光学ユニットが厚くなりすぎてしまう。また、導光板背面の拡散パターンにより背面側に射出された光が、シェード側以外への洩れ光となって照明効率が下がるおそれがある。
【0061】
図17に示すように、導光板23の照明有効領域内に固定用の座ぐり穴34を設け、ネジ33(固定部材)で導光板23を背面板24aに固定する場合、導光板23中を導光する光が、図18(C)に示すように、座ぐり穴34の側面Qから射出されると、その結果として、座ぐり穴34の側面Qが2次光源となって、シェード上に輝点(照度ムラ)が発生するおそれがある。また、ネジ33等の固定部材の透過率が高い場合、固定部材自体が2次光源となり、シェード上に輝点(照度ムラ)が生じる可能性もある。照度ムラに加え、ネジ(固定部材)の材料が照明光の色と違うと、ネジが2次光源となり色ムラが発生する可能性もある。
【0062】
上記照度ムラの発生を抑えるには、導光板の照明有効領域内でネジ固定するときのネジ穴を工夫するのが好ましい。例えば、図18(A)に示すように、導光板23の照明有効領域内に固定用の座ぐり穴34を設け、ネジ33等の固定部材・固定部品の表面(例えば、ネジ頭33aの表面)が導光板23の表面と略同一面になるようにしたり、あるいは図17や図18(B)に示すように、固定部材・固定部品の表面を導光板23の表面から突出させたりすることが好ましい。固定部材・固定部品の表面を導光板表面と略同一面又は導光板表面から突出させると、座ぐり穴34の側面Qから射出された光がネジ33の頭部で遮光されるため、シェード上に輝点が生じるのを防ぐことができる。
【0063】
また、ネジ33等の固定部材・固定部品の材料として、可視光透過率の低いもの又は可視光吸収率の高いものを用いることが望ましい。例えば、金属材料等の可視光透過率の低い材料から成るネジ33を用いたり、黒色のネジ33を用いたりすることが望ましい。このような固定部材・固定部品を用いれば、それ自体が2次光源となることに起因する照度ムラを防ぐことができる。また、樹脂ネジを用いた場合、その色が照明光の白色と異なる白色(例えば、薄い緑色、薄い黄色)である場合、シェード上にネジに起因する色ムラが発生する可能性がある。したがって、反射特性に波長依存性の少ない金属ネジ(メッキネジ)や黒色ネジを用いれば、色ムラも改善することができる。
【0064】
固定部材・固定部品の幅又は径(例えば、ネジ頭33aの外径)をw、導光板23の表面又は固定部材・固定部品の先端(例えば、ネジ頭33aの先端)とシェード3との間隔をt3とすると(図17,図18参照。)、条件式(4):w/t3<3を満たすことが望ましい。固定部材・固定部品の幅又は径wが導光板23等とシェード3との間隔t3と比較して、条件式(4)の上限を越えると、固定部材・固定部品が影となってシェード3に照度ムラが生じるおそれがある。
【0065】
《照明装置の第2の実施の形態(図5,図6,図10)》
図5に照明ユニット2Bの内部構造を示し、図6に照明ユニット2Bの要部を導光板23の背面側から見た状態で示す。また、図10に照明ユニット2Bが構成する光路を示す。照明装置の第2の実施の形態である照明ユニット2Bは、前方に位置する半透明のシェード3に対するバックライト照明を行うとともに、下方に位置する商品9(図2)に対する照明を行う照明装置であり、複数のLED光源21,LED基板22,透光性の導光板23,ユニット保持部材24等で構成されている。
【0066】
外装5(図1,図2)の上部前面に配置されているシェード3は、図5に示すように、シェード枠31に固定されている。シェード3の背面側には、シェード3とほぼ同じ面積を有する透光性材料から成る薄板状の導光板23が配置されている。この導光板23は、例えばアクリル等の樹脂材料を成型することにより作製可能である。シェード3に対向する側の前面23bとその裏側の背面23cとは平行になっており、導光板23の背面23cには入射光を拡散させる拡散ドット26(図6)が複数設けられている。また、導光板23の下部が下方に向かって薄くなるように、長方形状の下部射出面23dが前面23b及び背面23cに対して傾きを有している。
【0067】
外装5の内面には、金属製のユニット保持部材24がその上面で固定されている。ユニット保持部材24は、導光板23の背面23cの近傍に、導光板23の背面23cからの射出光(例えば、拡散ドット26での散乱光)を背面23c側にミラー面で反射させる背面板24aを、その一部として有している。背面板24aには、導光板23が間隔ワッシャを介してネジ(不図示)で固定されており、その固定に黒色ネジまたは反射特性に波長依存性の少ない金属ネジ(メッキネジ)を使用することにより、ネジ部で光が散乱して2次光源とならないようにしている。
【0068】
導光板23の上端面(入射側端面)23aの上方には、複数のLED光源21が(図6)、長方形状の上端面23aの長手方向(つまり、ショーケース1の幅方向)に沿って離散的かつ一列に配列されている。LED光源21はLED基板22上に電気的に接続・固定されており、LED基板22はユニット保持部材24の基板固定面24cに固定されている。金属製のユニット保持部材24を用いることによって、LED基板22に蓄積される熱を効率的に放熱することができ、LED基板22が高温になることを防ぐことができる。LED基板22やLED光源21自体が高熱になると、発光効率が低下したりLEDの寿命が短くなったりするので、効率的に放熱することは重要である。なお、LED基板22とユニット保持部材24との間に放熱シートや放熱グリスを挟むことによって、更に効率的な放熱が可能となる。
【0069】
LED光源21から射出した光は、上端面23aから導光板23に入射する。ただし、LEDの放射角が広いので、導光板23の上端面23aに当たらない前後の光線は、不要光になってしまう。導光板23より前側に射出した光は、シェード3に直接当たった場合、シェード3上で強い輝線又は輝点となって、シェード3の品位を落とす要因となる。これを回避するため、ユニット保持部材24の前側部分に不要光遮光面24dを設けて、光がシェード3に直接当たらないように遮光している。また、導光板23の背面23cから射出した光も、ユニット保持部材24で反射したのち導光板23を透過して、シェード3を直接照明してしまうおそれがある。これを回避するため、ユニット保持部材24の背面板24aの上部に傾きを持たせて不要光反射面24bを構成し、LED光源21側に反射する構成としている。
【0070】
導光板23の上端面23aには、上端面23aと一体化された異方性拡散面から成る整形光学素子が設けられている。その異方性拡散面は、LED光源21の配列方向にのみ拡散特性を有する拡散構造(例えば、拡散方向に垂直なライン状のランダム構造)から成り、導光板23の成型時に同時に形成することが可能である。LED光源21の配列方向に拡散特性を持たせることにより、LED光源21の間隔を広げてもLED光源21の配列方向のシェード3の輝度ムラを小さく抑えることができる。
【0071】
上端面23aから導光板23に入射した光は、シェード3に対向する側の前面23b及びその裏側の背面(拡散ドット配置面)23cで全反射されながら、下部射出面23dに導光される(図10の光路図参照。)。そして、下部射出面23dから射出した光は棚板4(図2)上の商品9を照明する。導光板23の背面23cには、複数の円形の拡散ドット26(拡散ドット26のサイズは下方に位置するものほど大きくなっている。)が一定の間隔をあけて規則的に印刷されている。そのため、導光されている光のうち、拡散ドット26に入射した光はその場で拡散して、全反射条件を外れると導光板23の前後に射出される。導光板23の前側に射出した光は、シェード3を背面から直接照明し、導光板23の後ろ側に射出した光は、ミラー反射特性を有する背面板24a(ミラー反射面)で反射されて、導光板23を透過した後、シェード3を背面から照明する。
【0072】
第1の実施の形態のように背面板24aを拡散面にすると、拡散ドット26に起因するシェード3上の照度ムラは小さくなるが、ミラー面と比較すると照度は低くなる。この実施の形態ように背面板24aの反射面をミラー面にすると、シェード3を斜め下から見上げる方向の輝度を上げることができる。したがって、シェード3が高い位置に配置される場合にはシェード3に対する有効な照明が可能となる。
【0073】
拡散ドット26(図6)は、導光板23の表面に、拡散特性を有するインクを用いて印刷することにより作製することができる。また、金型の平面に拡散ドット(つまり、全反射条件を外れた微細な凹凸から成る面形状のドット)を形成して、導光板23の成型時に拡散ドット26を同時に形成することも可能である。拡散ドット26の形状は、円形に限らない。ただし、円形の拡散ドット26は形成が容易であり、拡散光にエッジが出にくいので好ましい。
【0074】
拡散ドット26は、導光板23中を全反射しながら下方向へ導光される光の一部を、拡散により全反射条件から外して、背面(拡散ドット配置面)23cから導光板23外へ取り出すものである。拡散光を得るための反射手段として拡散ドット26を用いることにより、反射率及び輝度分布をドットのサイズ分布で詳細にコントロールすることが可能である。そのためには、拡散ドット配置面23cにおけるLED光源21からの各位置での拡散ドット26の面積比が重要であり、その面積比は、シェード照度,棚板照度等の仕様により決定される。また、シェード3上での照度をより一層均一にするためには、LED光源21から離れるに従って拡散ドットの面積比を大きくする必要がある。導光板23中を導光する光量が、導光板23の下側になるほど小さくなるからである。
【0075】
ドットピッチを均一にした場合、LED光源21からの距離が離れるに従ってドット径を大きくし、ドットサイズを均一にした場合、LED光源21からの距離が離れるに従ってドットピッチを小さくすることが好ましい。この実施の形態では、拡散ドット26のドットピッチは均一であるが、拡散ドット26の直径は下方に位置するものほど(つまりLED光源21から遠ざかるに従って)大きくなっている。このように拡散ドット26のサイズを徐々に変化させることにより、導光板23中を導光中に拡散ドット26での拡散により光量が低下しても、シェード3に対する照度の上下方向の均一度を上げて、シェード3を均一に照明することができる。
【0076】
ドットサイズに関しては、シェード3上で照度ムラとして観察されない程度にまで拡散ドット26のサイズを小さくする必要がある。具体的には、拡散ドット配置面23cからシェード3までの距離の1/5以下に拡散ドット26の直径を設定すれば、拡散ドット26による照度ムラを問題の無いレベルにまで抑えることができる。また、シェード3に対する照度をより均一にするためには、2次光源となる拡散ドット26からシェード3までの距離を長くすることが好ましい。したがって、この実施の形態のように、シェード3に近い前面23bよりも遠い背面23cに拡散ドット26を配置することが好ましい。また、照明ユニット2Bの厚さは薄い方が好ましいので(例えば20mm以下)、シェード3上で拡散ドット26により生じる照度ムラを低減するには、拡散ドット26の直径を4mm以下とすることが好ましい。更に好ましくは、拡散ドット26の直径を1mm以下とすることにより、シェード3上での照度ムラをほぼ無くすことができる。
【0077】
導光板23の下部は、導光板厚が下端に向かって薄くなるように、背面23c側が傾きを持った楔形状になっている。その楔の斜面から成る下部射出面23dに到達した光は、屈折することにより導光板23外へ射出されて、棚板4上の商品9を照明するための照明光となる。導光板23の下側を楔形状にすることにより、棚板4に向かう照明光が上段に偏ることなく、最上段から最下段まで前後方向にバランス良く効率的に照明することが可能となる。もし楔形状でなければ、導光板23の下側に向けて前後に発散するように照明光が分布することになるので、棚板4上の商品9を効率的に照明する配向を得るには、導光板23の下部を背面23c側が傾きを持った楔形状にすることが好ましい。
【0078】
導光板23の下部に形成されている楔形状に関し、その楔の斜面から成る下部射出面23dの背面23cに対する傾斜角度(つまり、楔角度)θは、前述したように、条件式(1):θ<30°を満たすことが望ましく、条件式(1a):5°<θ<20°を満たすことが更に望ましい。条件式(1)を満たすことにより、棚板4を上段から下段までバランス良く照明することが可能となり、条件式(1a)を満たすことにより、棚板4側の照明をより効率的に行うことが可能となる。この照明ユニット2Bでは、θ=15°とすることにより、各棚板4に対する効率的でバランス良い照明を可能としている。
【0079】
この実施の形態では、下部射出面23dの前方に反射板25(図3)が配置されていない。このため、ショーケース1の前下側にも照明光は射出される(図10)。第1の実施の形態に比べて最上段の棚板4上の商品9に対する照度は低くなるが、店内照明を暗くしてショーケース1付近のみを照明するような店舗では、商品9だけでなく足元も明るく照明することができる。
【0080】
導光板23は、左右両端面(つまり、ショーケース1の棚板4の幅方向の両端面)に反射機能を有している。導光板23の左右両端面に反射機能を持たせれば、導光板23の左右両端に到達した光を導光板23内へ戻すことができる。したがって、シェード3と棚板4上の商品9をより効率的に照明すると同時に、左右両端から射出した光が不要光になることを防ぐことができる。また、LED光源21の間隔を広げることができ、LEDの個数を減らすことができる。
【0081】
《照明装置の第3の実施の形態(図7,図11)》
図7に照明ユニット2Cの内部構造を示し、図11に照明ユニット2Cが構成する光路を示す。照明装置の第3の実施の形態である照明ユニット2Cは、前方に位置する半透明のシェード3に対するバックライト照明を行うとともに、下方に位置する商品9(図2)に対する照明を行う照明装置であり、複数のLED光源21,LED基板22,透光性の導光板23,ユニット保持部材24,反射板(反射部材)25等で構成されている。
【0082】
外装5(図1,図2)の上部前面に配置されているシェード3は、図7に示すように、シェード枠31に固定されている。シェード3の背面側には、シェード3とほぼ同じ面積を有する透光性材料から成る薄板状の導光板23が配置されている。この導光板23は、例えばアクリル等の樹脂材料を成型することにより作製可能である。また、導光板23はシンプルな平行平板から成っており、シェード3に対向する側の前面23bとその裏側の背面23cとは平行になっている。導光板23の前面23bには、第1の実施の形態と同様に(図4)、入射光を拡散させる拡散ドット26が複数設けられており、導光板23の前面23bの下部には、導光板23内に向けて光をミラー面で反射させる反射板25が設けられている。
【0083】
一般的なショーケースは幅が1m以上あり、用いる導光板も大型になるため、硝子板を楔形状に研磨することはコストアップの大きな要因になる。しかし、この実施の形態のように導光板23を平行平板で構成すれば低コスト化が可能であり、熱や傷に強く変色の無い硝子板を用いることができる。また、アクリル等の樹脂材料を用いる場合には、板材を使用することができるので、低コスト化できる。
【0084】
外装5の内面には、金属製のユニット保持部材24がその上面で固定されている。ユニット保持部材24も断面がシンプルなコの字形状になっているため、照明ユニット2Cの低コスト化及び薄型化を効果的に達成することができる。ユニット保持部材24は、導光板23の背面23cの近傍に、導光板23の背面23cからの射出光(例えば、拡散ドット26での散乱光)を背面23c側に拡散反射させる背面板24aを、その一部として有している。背面板24aには、導光板23が間隔ワッシャを介してネジ(不図示)で固定されており、その固定に黒色ネジまたは不透明な白色ネジを使用することにより、ネジ部で光が散乱して2次光源とならないようにしている。
【0085】
導光板23の上端面(入射側端面)23aの上方には、第1の実施の形態と同様に(図4)、複数のLED光源21が、長方形状の上端面23aの長手方向(つまり、ショーケース1の幅方向)に沿って離散的かつ一列に配列されている。LED光源21はLED基板22上に電気的に接続・固定されており、LED基板22はユニット保持部材24の基板固定面24cに固定されている。金属製のユニット保持部材24を用いることによって、LED基板22に蓄積される熱を効率的に放熱することができ、LED基板22が高温になることを防ぐことができる。LED基板22やLED光源21自体が高熱になると、発光効率が低下したりLEDの寿命が短くなったりするので、効率的に放熱することは重要である。なお、LED基板22とユニット保持部材24との間に放熱シートや放熱グリスを挟むことによって、更に効率的な放熱が可能となる。
【0086】
LED光源21から射出した光は、上端面23aから導光板23に入射する。ただし、LEDの放射角が広いので、導光板23の上端面23aに当たらない前後の光線は、不要光になってしまう。導光板23より前側に射出した光は、シェード3に直接当たった場合、シェード3上で強い輝線又は輝点となって、シェード3の品位を落とす要因となる。また、導光板23の背面23cから射出した光も、ユニット保持部材24で反射したのち導光板23を透過して、シェード3を直接照明してしまうおそれがある。これらの問題を回避するため、ユニット保持部材24の前側部分に上下幅の広い不要光遮光面24dを設けて、光がシェード3に直接当たらないように遮光している。さらに、シェード枠31で規制されたシェード3の上端からLED配置位置までの距離も長くすることにより、背面板24aで反射してシェード3に到達する光が無いようにしている。
【0087】
上端面23aから導光板23に入射した光は、シェード3に対向する側の前面(拡散ドット配置面)23b及びその裏側の背面23cで全反射されながら、長方形状の下部射出面(射出側端面)23dに導光される(図11の光路図参照。)。そして、下部射出面23dから射出した光は棚板4(図2)上の商品9を照明する。導光板23の前面23bには、複数の円形の拡散ドット26(拡散ドット26のサイズは下方に位置するものほど大きくなっている。)が一定の間隔をあけて規則的に印刷されている。そのため、導光されている光のうち、拡散ドット26に入射した光はその場で拡散して、全反射条件を外れると導光板23の前後に射出される。導光板23の前側に射出した光は、シェード3を背面から直接照明し、導光板23の後ろ側に射出した光は、拡散反射特性を有する背面板24a(例えば、艶消し白塗装から成る拡散反射面)で反射されて、導光板23を透過した後、シェード3を背面から照明する。
【0088】
第1の実施の形態と同様、拡散ドット26(図4)は、導光板23の表面に、拡散特性を有するインクを用いて印刷することにより作製することができる。また、金型の平面に拡散ドット(つまり、全反射条件を外れた微細な凹凸から成る面形状のドット)を形成して、導光板23の成型時に拡散ドット26を同時に形成することも可能である。拡散ドット26の形状は、円形に限らない。ただし、円形の拡散ドット26は形成が容易であり、拡散光にエッジが出にくいので好ましい。
【0089】
拡散ドット26は、導光板23中を全反射しながら下方向へ導光される光の一部を、拡散により全反射条件から外して、前面(拡散ドット配置面)23bから導光板23外へ取り出すものである。拡散光を得るための反射手段として拡散ドット26を用いることにより、反射率及び輝度分布をドットのサイズ分布で詳細にコントロールすることが可能である。そのためには、拡散ドット配置面23cにおけるLED光源21からの各位置での拡散ドット26の面積比が重要であり、その面積比は、シェード照度,棚板照度等の仕様により決定される。また、シェード3上での照度をより一層均一にするためには、LED光源21から離れるに従って拡散ドットの面積比を大きくする必要がある。導光板23中を導光する光量が、導光板23の下側になるほど小さくなるからである。
【0090】
ドットピッチを均一にした場合、LED光源21からの距離が離れるに従ってドット径を大きくし、ドットサイズを均一にした場合、LED光源21からの距離が離れるに従ってドットピッチを小さくすることが好ましい。この実施の形態では、拡散ドット26のドットピッチは均一であるが、拡散ドット26の直径は下方に位置するものほど(つまりLED光源21から遠ざかるに従って)大きくなっている。このように拡散ドット26のサイズを徐々に変化させることにより、導光板23中を導光中に拡散ドット26での拡散により光量が低下しても、シェード3に対する照度の上下方向の均一度を上げて、シェード3を均一に照明することができる。
【0091】
ドットサイズに関しては、シェード3上で照度ムラとして観察されない程度にまで拡散ドット26のサイズを小さくする必要がある。具体的には、拡散ドット配置面23cからシェード3までの距離の1/5以下に拡散ドット26の直径を設定すれば、拡散ドット26による照度ムラを問題の無いレベルにまで抑えることができる。また、シェード3に対する照度をより均一にするためには、2次光源となる拡散ドット26からシェード3までの距離を長くすることが好ましい。また、照明ユニット2Cの厚さは薄い方が好ましいので(例えば20mm以下)、シェード3上で拡散ドット26により生じる照度ムラを低減するには、拡散ドット26の直径を4mm以下とすることが好ましい。更に好ましくは、拡散ドット26の直径を1mm以下とすることにより、シェード3上での照度ムラをほぼ無くすことができる。
【0092】
この実施の形態に用いられる導光板23は、前述したように平行平板から成っている。平行平板から成る導光板23を用いた場合、導光板23の下部射出面23bから光が前後対称に射出して、その前後方向の射出角度が大きくなるため、商品を効率的に照明することが困難になる。そこで、この実施の形態では、棚板4上の商品9を効率的に照明するために、導光板23の下部の前面23bに、ミラー反射特性を有する反射板25(ミラー反射面)を貼付している。反射板25としてミラーを用いることにより、最上段の棚板4の上側を必要なく照明する光の発生を抑えることができる。
【0093】
導光板23は、左右両端面(つまり、ショーケース1の棚板4の幅方向の両端面)に反射機能を有している。導光板23の左右両端面に反射機能を持たせれば、導光板23の左右両端に到達した光を導光板23内へ戻すことができる。したがって、シェード3と棚板4上の商品9をより効率的に照明すると同時に、左右両端から射出した光が不要光になることを防ぐことができる。
【0094】
《照明装置の第4の実施の形態(図8,図12)》
図8に照明ユニット2Dの内部構造を示し、図12に照明ユニット2Dが構成する光路を示す。照明装置の第4の実施の形態である照明ユニット2Dは、前方に位置する半透明のシェード3に対するバックライト照明を行うとともに、下方に位置する商品9(図2)に対する照明を行う照明装置であり、複数のLED光源21,LED基板22,透光性の導光板23,ユニット保持部材24等で構成されている。
【0095】
外装5(図1,図2)の上部前面に配置されているシェード3は、図8に示すように、シェード枠31に固定されている。シェード3の背面側には、シェード3とほぼ同じ面積を有する透光性材料から成る薄板状の導光板23が配置されている。この導光板23は、例えばアクリル等の樹脂材料を成型することにより作製可能である。また、導光板23はシンプルな平行平板から成っており、シェード3に対向する側の前面23bとその裏側の背面23cとは平行になっている。導光板23の背面23cには、第1の実施の形態と同様に(図4)、入射光を拡散させる拡散ドット26が複数設けられている。
【0096】
一般的なショーケースは幅が1m以上あり、用いる導光板も大型になるため、硝子板を楔形状に研磨することはコストアップの大きな要因になる。しかし、この実施の形態のように導光板23を平行平板で構成すれば低コスト化が可能であり、熱や傷に強く変色の無い硝子板を用いることができる。また、アクリル等の樹脂材料を用いる場合には、板材を使用することができるので、低コスト化できる。
【0097】
外装5の内面には、金属製のユニット保持部材24がその上面で固定されている。ユニット保持部材24も断面がシンプルなコの字形状になっているため、照明ユニット2Dの低コスト化及び薄型化を効果的に達成することができる。ユニット保持部材24は、導光板23の背面23cの近傍に、導光板23の背面23cからの射出光(例えば、拡散ドット26での散乱光)を背面23c側に拡散反射させる背面板24aを、その一部として有している。背面板24aには、導光板23が間隔ワッシャを介してネジ(不図示)で固定されており、その固定に黒色ネジまたは不透明な白色ネジを使用することにより、ネジ部で光が散乱して2次光源とならないようにしている。
【0098】
導光板23の上端面(入射側端面)23aの上方には、第1の実施の形態と同様に(図4)、複数のLED光源21が、長方形状の上端面23aの長手方向(つまり、ショーケース1の幅方向)に沿って離散的かつ一列に配列されている。LED光源21はLED基板22上に電気的に接続・固定されており、LED基板22はユニット保持部材24の基板固定面24cに固定されている。金属製のユニット保持部材24を用いることによって、LED基板22に蓄積される熱を効率的に放熱することができ、LED基板22が高温になることを防ぐことができる。LED基板22やLED光源21自体が高熱になると、発光効率が低下したりLEDの寿命が短くなったりするので、効率的に放熱することは重要である。なお、LED基板22とユニット保持部材24との間に放熱シートや放熱グリスを挟むことによって、更に効率的な放熱が可能となる。
【0099】
LED光源21から射出した光は、上端面23aから導光板23に入射する。ただし、LEDの放射角が広いので、導光板23の上端面23aに当たらない前後の光線は、不要光になってしまう。導光板23より前側に射出した光は、シェード3に直接当たった場合、シェード3上で強い輝線又は輝点となって、シェード3の品位を落とす要因となる。また、導光板23の背面23cから射出した光も、ユニット保持部材24で反射したのち導光板23を透過して、シェード3を直接照明してしまうおそれがある。これらの問題を回避するため、ユニット保持部材24の前側部分に上下幅の広い不要光遮光面24dを設けて、光がシェード3に直接当たらないように遮光している。さらに、シェード枠31で規制されたシェード3の上端からLED配置位置までの距離も長くすることにより、背面板24aで反射してシェード3に到達する光が無いようにしている。
【0100】
LED光源21と導光板23の上端面23aとの間には、導光板23の厚み方向に集光するための整形光学素子として、LED光源21側に凹のメニスカスシリンドリカルレンズ27が配置されている。このメニスカスシリンドリカルレンズ27により、前後方向に大きな角度の配向特性を有するLED光源21を用いた場合でも、導光板23への注光効率を上げることができる。したがって、LED光源21から射出した光を照明光として効率的に使用することが可能となる。
【0101】
上端面23aから導光板23に入射した光は、シェード3に対向する側の前面23b及びその裏側の背面(拡散ドット配置面)23cで全反射されながら、長方形状の下部射出面(射出側端面)23dに導光される(図12の光路図参照。)。そして、下部射出面23dから射出した光は棚板4(図2)上の商品9を照明する。導光板23の背面23cには、円形・均一サイズの複数の拡散ドット26が、一定の間隔をあけて規則的に印刷されている。そのため、導光されている光のうち、拡散ドット26に入射した光はその場で拡散して、全反射条件を外れると導光板23の前後に射出される。導光板23の前側に射出した光は、シェード3を背面から直接照明し、導光板23の後ろ側に射出した光は、拡散反射特性を有する背面板24a(例えば、艶消し白塗装から成る拡散反射面)で反射されて、導光板23を透過した後、シェード3を背面から照明する。
【0102】
第1の実施の形態と同様、拡散ドット26(図4)は、導光板23の表面に、拡散特性を有するインクを用いて印刷することにより作製することができる。また、金型の平面に拡散ドット(つまり、全反射条件を外れた微細な凹凸から成る面形状のドット)を形成して、導光板23の成型時に拡散ドット26を同時に形成することも可能である。拡散ドット26の形状は、円形に限らない。ただし、円形の拡散ドット26は形成が容易であり、拡散光にエッジが出にくいので好ましい。
【0103】
拡散ドット26のサイズは、全面で均一である。導光板23の背面23cの面積に対する拡散面積が30%程度になるように、拡散ドット26の直径が決定されている。具体的には、ドットピッチが1.6mm、ドット間隔が0.6mm、拡散ドット26の直径が1.0mmである。導光板23中を導光する光量は、導光板23の下側になるほど小さくなる。しかし、拡散ドット26の面積比(つまり、拡散ドット配置面において拡散ドット26が占める面積の割合)が小さい場合、拡散ドットのサイズを均一にしても、その低下量はシェード3の上側と下側の照度が大きく異なるほどにはならない。この実施の形態では、シェード3の上側と下側での照度低下は15%程度である。このように、照度の低下を抑えることができる場合には、ドットサイズを均一とする方が安価に拡散ドット26を作製することができるので好ましい。
【0104】
拡散ドット26は、導光板23中を全反射しながら下方向へ導光される光の一部を、拡散により全反射条件から外して、背面(拡散ドット配置面)23cから導光板23外へ取り出すものである。拡散光を得るための反射手段として拡散ドット26を用いることにより、反射率及び輝度分布をドットのサイズ分布で詳細にコントロールすることが可能である。そのためには、拡散ドット配置面23cにおけるLED光源21からの各位置での拡散ドット26の面積比が重要であり、その面積比は、シェード照度,棚板照度等の仕様により決定される。また、シェード3上での照度をより一層均一にするためには、LED光源21から離れるに従って拡散ドットの面積比を大きくする必要がある。例えば、ドットピッチを均一にするならばドット径をLED光源21からの距離が離れるに従って大きくし、ドットサイズを均一にするならばドットピッチをLED光源21からの距離が離れるに従って小さくすることが好ましい。
【0105】
ドットサイズに関しては、シェード3上で照度ムラとして観察されない程度にまで拡散ドット26のサイズを小さくする必要がある。具体的には、拡散ドット配置面23cからシェード3までの距離の1/5以下に拡散ドット26の直径を設定すれば、拡散ドット26による照度ムラを問題の無いレベルにまで抑えることができる。また、シェード3に対する照度をより均一にするためには、2次光源となる拡散ドット26からシェード3までの距離を長くすることが好ましい。したがって、この実施の形態のように、シェード3に近い前面23bよりも遠い背面23cに拡散ドット26を配置することが好ましい。また、照明ユニット2Dの厚さは薄い方が好ましいので(例えば20mm以下)、シェード3上で拡散ドット26により生じる照度ムラを低減するには、拡散ドット26の直径を4mm以下とすることが好ましい。更に好ましくは、拡散ドット26の直径を1mm以下とすることにより、シェード3上での照度ムラをほぼ無くすことができる。
【0106】
この実施の形態では、下部射出面23dの前方に反射板25(図7)が配置されていない。このため、ショーケース1の前下側にも照明光は射出される(図12)。第3の実施の形態に比べて最上段の棚板4上の商品9に対する照度は小さくなるが、店内照明を暗くしてショーケース1付近のみを照明するような店舗では、商品9だけでなく足元も明るく照明することができる。
【0107】
導光板23は、左右両端面(つまり、ショーケース1の棚板4の幅方向の両端面)に反射機能を有している。導光板23の左右両端面に反射機能を持たせれば、導光板23の左右両端に到達した光を導光板23内へ戻すことができる。したがって、シェード3と棚板4上の商品9をより効率的に照明すると同時に、左右両端から射出した光が不要光になることを防ぐことができる。
【0108】
《照明装置の実施の形態の特徴点等》
以下の表1に、各照明ユニット2A〜2Dの特徴点を示す。また、上述した記載から分かるように、各実施の形態には以下の特徴的な構成(#1)〜(#15)等が含まれている。
【0109】
【表1】

【0110】
(#1):前方に位置する透過拡散特性を持つシェードに対するバックライト照明を行うとともに、下方に位置する照明対象物に対する照明を行う照明装置であって、前記シェードに対向する側の前面及びその裏側の背面での反射により、上端面からの入射光を下部射出面に導光する透光性の導光板と、前記上端面の長手方向に沿って離散的に配列されて、前記上端面に入射させる光を射出する複数のLED光源と、を有しており、前記前面及び背面のうちの少なくとも一方の面に、入射光を拡散させる拡散パターンが設けられており、前記拡散パターンで拡散した光で前記シェードを照明するとともに、前記導光板の下部射出面から射出した光で前記照明対象物を照明することを特徴とする照明装置。
【0111】
(#2):前記導光板の下部射出面は、下方に向うにつれ、前記背面側から前記前面側に向って導光板の厚さが薄くなるように傾斜した斜面を含むことを特徴とする(#1)記載の照明装置。
【0112】
(#3):前記斜面の前記背面に対する傾斜角度θが式:θ<30°を満たすことを特徴とする(#2)記載の照明装置。
【0113】
(#4):前記導光板の前面が、導光板の媒質を介して前記斜面に対向する領域の少なくとも一部に、拡散面を含むことを特徴とする(#2)又は(#3)記載の照明装置。
【0114】
(#5):前記拡散パターンの拡散部の面積が、前記LED光源から離れるほど大きくなることを特徴とする(#1)〜(#4)のいずれか1項に記載の照明装置。
【0115】
(#6):前記導光板の前面の下部に、前記導光板内に向けて光を反射させる反射部材を有することを特徴とする(#1)〜(#5)のいずれか1項に記載の照明装置。
【0116】
(#7):前記反射部材が前記導光板内に向けて光を拡散反射させることを特徴とする(#6)記載の照明装置。
【0117】
(#8):前記反射部材が、前記導光板との間に空気層を介することなく、前記導光板に一体的に貼り付けられていることを特徴とする(#6)又は(#7)記載の照明装置。
【0118】
(#9):前記LED光源が、離散的に複数の可視光波長に発光ピークを有することを特徴とする(#1)〜(#8)のいずれか1項に記載の照明装置。
【0119】
(#10):前記導光板の背面の近傍に、前記導光板の背面からの射出光を前記導光板に向けて反射させる背面板を有することを特徴とする(#1)〜(#9)のいずれか1項に記載の照明装置。
【0120】
(#11):前記背面板が前記導光板の背面からの射出光を拡散反射させることを特徴とする(#10)記載の照明装置。
【0121】
(#12):前記LED光源から前記導光板の上端面までの間に、前記LED光源から射出した各光束を前記導光板の上端面に導く整形光学素子を備えており、その整形光学素子が、前記LED光源の配列方向に各光束を拡散又は発散させる機能と、前記LED光源の配列方向に対して垂直な方向に各光束を集光させる機能と、のうちの少なくとも一方を有することを特徴とする(#1)〜(#11)のいずれか1項に記載の照明装置。
【0122】
(#13):前記導光板の左右両端面が反射機能を有することを特徴とする(#1)〜(#12)のいずれか1項に記載の照明装置。
【0123】
(#14):前記シェードをショーケース本体の上部前面に備え、前記照明対象物としての商品が陳列される棚板をショーケース本体の内部に備えたショーケースに用いられる照明装置であって、前記拡散パターンで拡散した光で前記シェードを照明するとともに、前記導光板の下部射出面から射出した光で前記商品を照明することを特徴とする(#1)〜(#13)のいずれか1項に記載の照明装置。
【0124】
(#15):(#14)記載の照明装置を備えたことを特徴とするショーケース。つまり、ショーケース本体と、そのショーケース本体の上部前面に設けられた透過拡散特性を持つシェードと、前記ショーケース本体の内部に設けられて商品が陳列される棚板と、前方に位置する前記シェードに対するバックライト照明を行うとともに、下方に位置する前記商品に対する照明を行う照明装置と、を備えたショーケースであって、前記照明装置が、前記シェードに対向する側の前面及びその裏側の背面での反射により、上端面からの入射光を下部射出面に導光する透光性の導光板と、前記上端面の長手方向に沿って離散的に配列されて、前記上端面に入射させる光を射出する複数のLED光源と、を有しており、前記前面及び背面のうちの少なくとも一方の面に、入射光を拡散させる拡散パターンが設けられており、前記拡散パターンで拡散した光で前記シェードを照明するとともに、前記導光板の下部射出面から射出した光で前記商品を照明することを特徴とするショーケース。
【0125】
構成(#1)によれば、導光板において反射を行う前面及び背面のうちの少なくとも一方の面に(つまり、前面のみ、背面のみ、又は前面と背面の両面に)、入射光を拡散させる拡散パターン(例えば、複数の拡散ドット)が設けられた構成になっているため、導光中の光の一部を例えば拡散ドットで順次取り出して、前方に位置する透過拡散特性のシェードを背面から均一に照明することができる。それと同時に、導光板の下部射出面から射出した光で、下方に位置する照明対象物を効率的に照明することができる。したがって、薄型でありながら、前方に位置するシェードに対するバックライト照明と、下方に位置する照明対象物に対する照明と、が可能な照明装置を実現することができる。
【0126】
例えば、構成(#14)のように、シェードをショーケース本体の上部前面に備え、照明対象物としての商品が陳列される棚板をショーケース本体の内部に備えたショーケースに、構成(#1)の照明装置を用いて、拡散パターンで拡散した光でシェードを照明するとともに、導光板の下部射出面から射出した光で商品を照明する構成にすれば、シェードの均一なバックライト照明と商品棚の照明を1つの照明装置で効率的に行うことができる。このような照明装置を備えた構成(#15)により、薄型で省エネのショーケース(#15)を実現することができる。熱源となるLED光源やLED基板がショーケース本体の上部前面に位置することになるため、棚板上の商品から熱源を遠ざけることができる。また、ショーケース本体の天板等からの放熱が容易になり、基板への配線や防水・防湿処理も容易になる。
【0127】
シェードと棚板上の商品との照度比を、例えば、拡散ドットのサイズ,密度等でコントロールできるので、任意の照度比に設定することが容易である。したがって、ショーケースの設置位置,使用方法等に応じて照度比を容易に設定することができる。例えば、導光板の背面又は前面の全面積に対する拡散ドット面積比を大きくすることにより、全照明光のうち、シェードを照明する照明光の光量比を上げることができる。逆に、ドット面積比を小さくすることにより、棚板照明の光量比を上げることができる。ドット面積比を上げるには、ドットピッチが一定の場合、ドット径を大きくすればよい。また、ドット径が一定の場合、ドットピッチを小さくすればよい。ドットピッチやドット径は、シェードにその分布ムラが反映されない範囲で選択することが望ましい。
【0128】
導光板の下端が平板の面取りをしただけの形状では、例えば、ショーケースの前方に向けて射出する光が多くなるだけでなく、背面側に射出される光も一番上の棚板を中心に照明してしまうおそれがある。それに対し、構成(#2)のように導光板の下部射出面が、下方に向うにつれ、背面側から前面側に向って薄くなるように傾斜した斜面を含む形状(例えば、楔形状)にすれば(照明ユニット2A,2B)、ショーケース内の一番上の棚板だけでなく、下方の段の棚板まで効率的に照明することができる。
【0129】
構成(#3)のように、斜面の背面に対する傾斜角度θが式:θ<30°を満たすようにすると、棚板を上段から下段までバランス良く照明することが可能となる。
【0130】
構成(#4)のように、導光板の前面が、導光板の媒質を介して前記斜面に対向する領域の少なくとも一部に、拡散面を含む構成にすると、照度ムラを効果的に改善することが可能となる。
【0131】
構成(#5)のように、拡散パターンの拡散部の面積がLED光源から離れるほど大きくなるようにした場合、シェードをより一層均一に照明することが可能となる。例えば、LED光源から離れるに従って拡散ドットの面積(拡散ドットのサイズ,密度等)が大きくなるようにすれば(照明ユニット2B,2C)、導光板中を進行するにしたがって光量が低下しても、拡散ドットで順次取り出される光量を一定に保つことができるため、シェードをより一層均一に照明することが可能となる。なお、拡散ドットは、ドット配置面(導光板の前面又は背面)の面積の1/2以下であることが好ましい。また、拡散ドットは、導光板表面に印刷により形成してもよく、導光体と一体に成型したりすることにより形成してもよい。
【0132】
構成(#6)のように、導光板の前面の下部に反射部材を設けることにより反射機能を持たせれば(照明ユニット2A,2C)、例えばショーケースの前方に向けて射出する無駄な光を減らして、照明対象物である棚板上の商品を効率的に照明することが可能となる。構成(#7)のように、反射部材で拡散機能も持たせれば(照明ユニット2A)、より広い範囲の照明が可能となる。導光板の前面の下部に反射機能を付加するには、例えば、反射シートの貼付,ミラーコート等を導光板の前面の下部に施せばよく、また、導光板の前面の下部近傍のケース内面に反射面を形成してもよい。
【0133】
導光板の下端形状(#2)や反射部材(#6,#7)の有無により、棚板の照度やショーケース手前の照度を設置位置,使用方法等に応じて容易に設定することができる。例えば、ショーケースが設置される店舗の照明が十分な場合には、シェードとショーケース内部のみを照明すればよいので、導光板下端に反射面を設けることにより(照明ユニット2A,2C)、ショーケース前床部を照明する無駄な光をなくして、ショーケース内部を効率的に照明することができる。反対に、ショーケース前床部を照明する必要がある場合(店舗内照明が暗い場合等)は、導光板下部に反射面を設けなければ(照明ユニット2B,2D)、ショーケース内部だけでなくショーケース前床部も照明することが可能である。
【0134】
構成(#8)のように、反射部材が、導光板との間に空気層を介することなく、導光板に一体的に貼り付けられた構成にすると、照度ムラを効果的に改善することが可能となる。
【0135】
構成(#9)のように、LED光源が、離散的に複数の可視光波長に発光ピークを有する構成にすると、色ムラを効果的に改善することが可能となる。
【0136】
導光板に設けられた拡散ドットで生じる拡散光は、導光板のシェード側に拡散する光、再度導光板内を導光する光、導光板の背面側に拡散する光のいずれかとなる。構成(#10)のように、導光板の背面の近傍に背面板で反射機能を持たせれば(照明ユニット2A〜2D)、導光板の背面側に拡散した光を効率的にシェード側に拡散する照明光にすることができる。構成(#11)のように、背面板で拡散機能も持たせれば(照明ユニット2A,2C,2D)、シェード上の名板等をより広い範囲から明るく観察させることが可能となる。背面板をLED基板の保持部材と一体的に形成してもよい。また、LED基板の保持面と背面板とをつなぐ面が、保持面から背面板に向かって導光板の背面に近づくような傾きを有することが好ましい。このように構成すれば、保持部材での反射光がシェードを直接照明して輝線となり輝度ムラを発生させることを防ぐことができる。
【0137】
使用するLED光源は点光源であるため、薄板状の導光板に対する注光には工夫が必要である。構成(#12)のように、LED光源の配列方向に各光束を拡散又は発散させる機能を整形光学素子(異方性拡散面,負パワーの光学素子等)で付加すれば(照明ユニット2B)、離散的に配置されたLEDの配列方向の照度ムラを低減させることができる。そのような整形光学素子を付加するには、例えば、LED光源と導光板の上端面との間にLED配列方向に拡散角の大きい異方性拡散板を配置したり、導光板の上端面上に同拡散機能を有する拡散面を一体で成型したり、LED光源と導光板の上端面との間にLED光源の配列方向に負の光学的パワーを有するレンズ(例えば、シリンドリカルレンズアレイ)を挿入したりすればよい。
【0138】
また、LED光源の配列方向に対して垂直な方向(導光板の厚み方向)に各光束を集光させる機能を整形光学素子(正パワーの光学素子等)で付加すれば(照明ユニット2D)、導光板が薄板状であっても効率的な注光が可能となる。そのような整形光学素子を付加するには、例えば、LED光源から導光板の上端面までの間に、LED光源の配列方向に対して垂直な方向に正の光学的パワーを有するレンズ(例えば、シリンドリカルレンズ)を挿入すればよい。
【0139】
構成(#13)のように、導光板の左右両端面(例えば、ショーケースの棚の幅方向の両端面)に反射機能を持たせれば(照明ユニット2A〜2D)、導光板の左右両端に到達した光を導光板内へ戻すことができる。したがって、シェード及び照明対象物(棚板状の商品等)をより効率的に照明すると同時に、左右両端から射出した光が不要光となることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0140】
1 ショーケース
2,2A,2B,2C,2D 照明ユニット(照明装置)
3 シェード(電照板)
4 棚板
5 外装(ショーケース本体の一部)
6 ロールカーテン
9 商品(照明対象物)
21 LED光源
22 LED基板
23 導光板
23a 上端面
23b 前面
23c 背面
23d 下部射出面
23e 略鏡面
23f 拡散面
24 ユニット保持部材
24a 背面板
24b 不要光反射面
24c 基板固定面
24d 不要光遮光面
25 反射板(反射部材)
25s 拡散シート(反射部材)
25a 拡散層
25b 反射層
25f 拡散面
26 拡散ドット(拡散パターン)
27 メニスカスシリンドリカルレンズ(整形光学素子)
28 被照射面
29 空気層
33 ネジ
34 座ぐり穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に位置する透過拡散特性を持つシェードに対するバックライト照明を行うとともに、下方に位置する照明対象物に対する照明を行う照明装置であって、
前記シェードに対向する側の前面及びその裏側の背面での反射により、上端面からの入射光を下部射出面に導光する透光性の導光板と、前記上端面の長手方向に沿って離散的に配列されて、前記上端面に入射させる光を射出する複数のLED光源と、を有しており、
前記前面及び背面のうちの少なくとも一方の面に、入射光を拡散させる拡散パターンが設けられており、前記拡散パターンで拡散した光で前記シェードを照明するとともに、前記導光板の下部射出面から射出した光で前記照明対象物を照明することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記導光板の下部射出面は、下方に向うにつれ、前記背面側から前記前面側に向って導光板の厚さが薄くなるように傾斜した斜面を含むことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記斜面の前記背面に対する傾斜角度θが式:θ<30°を満たすことを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記導光板の前面が、導光板の媒質を介して前記斜面に対向する領域の少なくとも一部に、拡散面を含むことを特徴とする請求項2又は3記載の照明装置。
【請求項5】
前記拡散パターンの拡散部の面積が、前記LED光源から離れるほど大きくなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記導光板の前面の下部に、前記導光板内に向けて光を反射させる反射部材を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記反射部材が前記導光板内に向けて光を拡散反射させることを特徴とする請求項6記載の照明装置。
【請求項8】
前記反射部材が、前記導光板との間に空気層を介することなく、前記導光板に一体的に貼り付けられていることを特徴とする請求項6又は7記載の照明装置。
【請求項9】
前記LED光源が、離散的に複数の可視光波長に発光ピークを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記導光板の背面の近傍に、前記導光板の背面からの射出光を前記導光板に向けて反射させる背面板を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記背面板が前記導光板の背面からの射出光を拡散反射させることを特徴とする請求項10記載の照明装置。
【請求項12】
前記LED光源から前記導光板の上端面までの間に、前記LED光源から射出した各光束を前記導光板の上端面に導く整形光学素子を備えており、その整形光学素子が、前記LED光源の配列方向に各光束を拡散又は発散させる機能と、前記LED光源の配列方向に対して垂直な方向に各光束を集光させる機能と、のうちの少なくとも一方を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項13】
前記導光板の左右両端面が反射機能を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項14】
前記シェードをショーケース本体の上部前面に備え、前記照明対象物としての商品が陳列される棚板をショーケース本体の内部に備えたショーケースに用いられる照明装置であって、前記拡散パターンで拡散した光で前記シェードを照明するとともに、前記導光板の下部射出面から射出した光で前記商品を照明することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項15】
請求項14記載の照明装置を備えたことを特徴とするショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−142252(P2012−142252A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23044(P2011−23044)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】