説明

照明装置及び照明器具

【課題】任意の調色及び調光の状態を再現可能として使い勝手の向上を図る。
【解決手段】リモコン200から調色アップ指令を受け取った制御部5は、調光制御を優先し、第1の調光・調色状態から第2の調光・調色状態に遷移したときの履歴を逆向きに辿るように第1点灯回路部3及び第2点灯回路部4を制御する。故に、メモリに記憶された第1の調光・調色状態(□の座標位置)に戻るように第1光源部1及び第2光源部2の調光比が調整される。その結果、任意の調色及び調光の状態を再現可能として使い勝手の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)を光源とする照明装置、及び当該照明装置を用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光色が異なる複数種類の光源を有し、各光源の光出力を各別に調整(調光)して混色させることにより、照明空間に照射される光の色を調光可能とした照明装置が提供されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、白色光を照射する白色LEDと、昼光色の光を照射する昼光色LEDと、電球色の光を照射する電球色LEDとを有し、各色のLEDの光出力を各別に調整して調色する照明装置が記載されている。この従来例では、赤外線リモコンから送信される赤外線信号を受光し、赤外線信号に含まれる制御コマンドに応じて各色のLEDの光出力を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−49123号公報(段落0061〜0068及び図8参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、昼光色の光源と電球色の光源が用いられる照明装置において、少なくとも何れか一方の光源が定格点灯している状態で明るさ(照度)を一定に保ったままで調色制御が行われる場合、その調光状態における調色の限界に達した後は明るさを一定に保てない。そして、最初の調色状態から明るさが変化した別の調色状態に移行した後に逆向きの調色制御が行われた場合、従来は、調光制御に対して調色制御が優先されるために前記最初の調光状態(明るさ)に戻すことができず、使い勝手が良くなかった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、任意の調色及び調光の状態を再現可能として使い勝手の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明装置は、第1の色温度の光を放射する1乃至複数個の発光ダイオードを有する第1光源部と、前記第1の色温度と異なる第2の色温度の光を放射する1乃至複数個の発光ダイオードを有する第2光源部と、前記第1光源部に給電して点灯させる第1点灯回路部と、前記第2光源部に給電して点灯させる第2点灯回路部と、外部から与えられる調色指令及び調光指令に基づいて前記第1点灯回路部及び第2点灯回路部を制御することで前記第1光源部及び第2光源部を任意の調光・調色状態に遷移させる制御部とを備え、前記制御部は、前記調色指令に基づいて第1の調光・調色状態から前記第1の調光・調色状態と異なる第2の調光・調色状態に遷移させるように前記第1点灯回路部及び第2点灯回路部を制御した後、前記第1の調光・調色状態から前記第2の調光・調色状態へ遷移させたときと逆向きの前記調色指令が与えられた場合、前記第1の調光・調色状態から前記第2の調光・調色状態に遷移したときの履歴を逆向きに辿るように前記第1点灯回路部及び第2点灯回路部を制御することを特徴とする。
【0008】
この照明装置において、前記制御部は、前記第1の色温度の光色に調色する調色指令が与えられた場合に前記第1光源部を調光範囲の上限で点灯させるとともに前記第2光源部を調光範囲の下限で点灯又は消灯させるように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御し、前記第2の色温度の光色に調色する調色指令が与えられた場合に前記第2光源部を調光範囲の上限で点灯させるとともに前記第1光源部を調光範囲の下限で点灯又は消灯させるように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御し、最も明るい状態に調光する調光指令が与えられた場合に前記第1光源部並びに第2光源部を双方とも調光範囲の上限で点灯させるように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御することが好ましい。
【0009】
この照明装置に置いて、前記調光指令及び調色指令を前記制御部に与えるリモートコントローラを備え、前記リモートコントローラは、押操作される押釦を有し、前記押釦が押操作される毎に、前記第1の色温度の光色に調色する調色指令と、前記第2の色温度の光色に調色する調色指令と、前記最も明るい状態に調光する調光指令とを順番に前記制御部に与えることが好ましい。
【0010】
この照明装置において、前記調光・調色状態を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、任意の前記調光・調色状態を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部に記憶された前記調光・調色状態を再現するように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御することが好ましい。
【0011】
この照明装置において、前記制御部は、外部から与えられる記憶指令に応じて前記調光・調色状態を前記記憶部に記憶させることが好ましい。
【0012】
この照明装置において、前記制御部は、前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御することで前記第1光源部及び前記第2光源部を段調光させるものであって、前記段調光における段数が、調光範囲内の上限側に対して下限側の方が多くなるように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御することが好ましい。
【0013】
この照明装置において、前記制御部は、前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御することで前記第1光源部及び前記第2光源部を段調光させるものであって、前記第1光源部及び前記第2光源部の光が照射される照明空間の明るさを検出する明るさ検出部を備え、前記制御部は、前記明るさ検出部の検出値を目標値に一致させるように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御する場合、前記第1光源部及び前記第2光源部を複数段ずつ連続して段調光させるように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御することが好ましい。
【0014】
本発明の照明器具は、前記何れかの照明装置と、当該照明装置を保持する器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の照明装置及び照明器具は、任意の調色及び調光の状態を再現可能として使い勝手の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る照明装置の実施形態1を示し、(a)はブロック図、(b)は点灯回路部の回路構成図である。
【図2】(a)〜(c)は同上における制御部の動作を説明するための波形図である。
【図3】同上における光源部の調光比と全調光比及び調色比との関係を説明するための説明図である。
【図4】同上におけるリモートコントローラを示し、(a)はブロック図、(b)は正面図である。
【図5】本発明に係る照明装置の実施形態2を示すブロック図である。
【図6】同上における制御部の自動調光制御動作を説明するための説明図である。
【図7】同上における制御部の自動調光制御動作を説明するための説明図である。
【図8】本発明に係る照明器具の実施形態を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る照明装置及び照明器具の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(実施形態1)
本実施形態の照明装置は、図1(a)に示すように2つの光源部1,2、2つの点灯回路部3,4、制御部5、力率改善回路6、リモコン受信部7などを備えている。一方の光源部(以下、第1光源部と呼ぶ。)1は、第1の色温度(例えば、相関色温度6500K)の光(涼色の光)を放射する1乃至複数個の発光ダイオードの直列回路を有している。また、他方の光源部(以下、第2光源部と呼ぶ。)2は、第2の色温度(例えば、相関色温度3000K)の光(暖色の光)を放射する1乃至複数個の発光ダイオードの直列回路を有している。これらの光源部1,2は、各発光ダイオードの順電圧に個数を乗じた電圧(以下、駆動電圧と呼ぶ。)が印加されることで電流が流れて発光(点灯)する。なお、日本工業規格(JIS Z9110 照明基準総則)において、相関色温度が3300K未満の光色が「暖色」、5300Kを超える光色が「涼色」、3300K〜5300Kの範囲の光色が「中間色」と定義されている。
【0019】
力率改善回路6は従来周知の昇圧チョッパ回路からなり、商用の交流電源100から供給される交流電圧よりも高い直流電圧を出力する。一方の点灯回路部(以下、第1点灯回路部と呼ぶ。)3は、力率改善回路6から出力される直流電圧を所望の直流電圧(第1光源部1の駆動電圧)まで降圧するスイッチング電源回路を有している。同様に、他方の点灯回路部(以下、第2点灯回路部と呼ぶ。)4は、力率改善回路6から出力される直流電圧を所望の直流電圧(第2光源部2の駆動電圧)まで降圧するスイッチング電源回路を有している。
【0020】
第1点灯回路部3及び第2点灯回路部4は、図1(b)に示すように降圧チョッパ回路と、降圧チョッパ回路を駆動する駆動回路30,40とで構成される。降圧チョッパ回路は従来周知であって、力率改善回路6の正極側の出力端子にダイオードD1のカソードが接続され、ダイオードD1のアノードと力率改善回路6の負極側の出力端子との間にスイッチング素子Q1及び抵抗R1の直列回路が挿入される。また、ダイオードD1のカソード・アノード間に、電解コンデンサからなる平滑コンデンサC1及びインダクタL1が直列に接続され、平滑コンデンサC1の両端に放電用の抵抗R2が接続される。なお、第1光源部1及び第2光源部2の各発光ダイオードLEDが平滑コンデンサC1の両端間に直列に接続される。このように構成される降圧チョッパ回路の動作は従来周知であって、スイッチング素子Q1が高周波でスイッチングされることにより、入力電圧(力率改善回路6の出力電圧)から降圧された直流電圧が平滑コンデンサC1の両端より第1光源部1や第2光源部2に出力される。また駆動回路30,40は、制御部5から与えられる制御信号に応じてスイッチング素子Q1をスイッチングするものである。
【0021】
制御部5は、マイクロコンピュータ及びROMやRAM等のメモリなどのハードウェアと、ROMに保存されてマイクロコンピュータで実行されるプログラム(ソフトウェア)とで構成されている。そして、以下に説明する制御部5の動作(処理)は、マイクロコンピュータがプログラムを実行することで実現される。なお、制御部5の動作電源は、図示しない電源回路が力率改善回路6の出力電圧から作成して供給される。
【0022】
ここで、制御部5は、点灯回路部3,4のスイッチング電源回路を間欠動作させ且つ間欠動作の周期T0に対する動作期間(オン期間)T1のデューティ比(=T1/T0×100)を100%から下限値(例えば、5%)の範囲で増減することによって光源部1,2の光出力を調整(調光)することができる(図2参照)。つまり、図2(b)に示すようにデューティ比が高くなるほど光源部1,2の光出力が増加し、図2(c)に示すようにデューティ比が低くなるほど光源部1,2の光出力が減少する。そして、図2(a)に示すようにデューティ比が100%(調光範囲の上限)の場合はスイッチング電源回路が常時動作して光源部1,2が定格点灯する。なお、以下の説明では、上述したデューティ比を調光比と呼ぶ。
【0023】
また、本実施形態では第1光源部1の発光色(涼色)と第2光源部2の発光色(暖色)が異なっている。したがって、制御部5が第1光源部1の光出力(調光比)と第2光源部2の光出力(調光比)との割合を変化させることにより、第1光源部1及び第2光源部2から照明空間に照射される光(以下、照明光と呼ぶ。)の色を暖色と中間色と涼色の間で調整(調色)することができる(図3参照)。つまり、第1光源部1の光出力(調光比)の割合が高くなるほど光色が涼色に近くなり、第2光源部2の光出力(調光比)の割合が高くなるほど光色が暖色に近くなる。そして、第1光源部1の調光比が0%よりも高く且つ第2光源部2の調光比が0%の場合は、光色が涼色となり、第1光源部1の調光比が0%且つ第2光源部2の調光比が0%よりも高い場合は、光色が暖色となる。なお、以下の説明では、第1光源部1の調光比と第2光源部2の調光比との割合(比率)を調色比と呼び、第1光源部1の調光比と第2光源部2の調光比の総和(照明光の調光比)を全調光比と呼ぶ。
【0024】
図3は各光源部1,2の調光比と調色比及び全調光比の関係を模式的に表した図である。図3において二等辺三角形の相等しい2辺が交わる頂点の位置は、第1光源部1の調光比と第2光源部2の調光比が双方とも100%(調光範囲の上限)、すなわち、全調光比が200%に設定された調光・調色状態に対応している。以下では、この状態を「全灯状態」と呼ぶ。なお、全灯状態における照明光の光色は中間色となる。また、前記二等辺三角形の他の2つの頂点のうちで左側の頂点の位置は、第1光源部1の調光比が100%、第2光源部2の調光比が調光下限(又は消灯)に設定された調光・調色状態に対応している。以下では、この状態を「涼色状態」と呼ぶ。一方、右側の頂点の位置は、第2光源部2の調光比が100%、第1光源部1の調光比が調光下限(又は消灯)に設定された調光・調色状態に対応している。以下では、この状態を「暖色状態」と呼ぶ。
【0025】
而して、図3における三角形の部分は、全調光比が100%以上となる範囲で第1光源部1の調光比と第2光源部2の調光比が任意の値に設定された調光・調色状態に対応している。また、図3における長方形の部分は、全調光比が100%未満となる範囲で第1光源部1の調光比と第2光源部2の調光比が任意の値に設定された調光・調色状態に対応している。そして、前記二等辺三角形と長方形とを組み合わせた図形(五角形)の内部(ただし、各辺を含む。)の任意の位置が照明光の調光・調色状態に対応している。つまり、調色比を横軸(x軸)とし、全調光比を縦軸(y軸)とする2次元直交座標系を想定すると、五角形内部の任意の位置、すなわち、任意の調光・調色状態が、調色比をx座標とし、全調光比をy座標とする点で表すことができる。例えば、図3において□で示された位置の座標は(60,150)と表される。
【0026】
ここで、制御部5では各光源部1,2の調光比をディジタル値として処理しているので、実際には、各光源部1,2を段調光していることになる。ただし、蛍光ランプ照明器具などで行われている一般的な段調光に比べて、調光可能な段数は数十倍から数百倍と非常に多くなっている。
【0027】
リモコン受信部7は、リモートコントローラ(以下、リモコンと略す。)200から送信される赤外線信号を受信(受光)するものであって、受信した赤外線信号から復調した制御コード(後述する)を制御部5に出力する。そして、制御部5は、制御コード(調光指令や調色指令)に対応した全調光比及び調色比となるように、第1点灯回路部3及び第2点灯回路部4を制御して各光源部1,2の調光比を調整する。ただし、赤外線信号の代わりに、電波を媒体とする無線信号や信号線を介した電気信号がリモコン200から送信されても構わない。
【0028】
リモコン200は、図4(a)に示すように制御部201、操作入力部202、発光素子203、駆動部204、液晶表示部205、電源部206などを備える。発光素子203は赤外線信号を送信するための光源、例えば、赤外線発光ダイオードであり、駆動部204から駆動電流が供給されることで赤外線(赤外線信号)を放射(送信)する。操作入力部202は、後述する複数種類の操作釦が押操作されることで各別にオンする複数個の押釦スイッチ(図示せず)を有し、各押釦スイッチがオンされた場合にそれぞれの押釦スイッチに対応した操作入力を受け付けて制御部201に操作信号を出力する。制御部201は、操作部201から受け取る操作信号に対応した制御コード(調光指令や調色指令を含む)を生成して駆動回路204に出力したり、前記操作信号や制御コードに対応した文字などを液晶表示部205に表示させる。なお、制御コードは駆動回路204において変調され、赤外線信号として発光素子203より送信される。また、電源部206は電池を電源とした各部201〜205に動作電源を供給する。
【0029】
図4(b)にリモコン200の外観図(正面図)を示す。扁平な矩形箱状の合成樹脂成形体からなるケース210の内部に、上述した各部201〜206が収納されている。ケース210の前面上部に液晶表示部205の表示面が露出し、この表示面より下側に操作入力部202が有する複数個の押釦スイッチを押操作するための複数個(図示例では13個)の押釦211〜223が配設されている。
【0030】
例えば、ケース210の前面中央に配設されている2つの押釦218,219のうち、上側の押釦218が押操作されると全調光比を上昇させるための制御コード(調光指令<調光アップ指令>)が生成される。一方、下側の押釦219が押操作されると全調光比を下降させるための制御コード(調光指令<調光ダウン指令>)が生成される。また、押釦218,219の押操作が終了すると、全調光比の上昇及び下降を停止させるための制御コード(調光指令<調光停止指令>)が生成される。そして、制御部5は、調光アップ指令又は調光ダウン指令を受け取ってから調光停止指令を受け取るまでの間、調色比を変えずに全調光比のみを継続して上昇又は下降させるように第1点灯回路部3及び第2点灯回路部4を制御して光源部1,2の調光比を調整する。
【0031】
また、ケース210前面下部において左右に並べて配設されている2つの押釦220,221のうち、左側の押釦220が押操作されると調色比を下げる(光色を涼色に近付ける)ための制御コード(調色指令<調色ダウン指令>)が生成される。一方、右側の押釦221が押操作されると調色比を上げる(光色を暖色に近付ける)ための制御コード(調色指令<調色アップ指令>)が生成される。また、押釦220,221の押操作が終了すると、調色比の上昇及び下降を停止させるための制御コード(調色指令<調色停止指令>)が生成される。そして、制御部5は、調色アップ指令又は調色ダウン指令を受け取ってから調色停止指令を受け取るまでの間、全調光比を変えずに調色比のみを継続して上昇又は下降させるように第1点灯回路部3及び第2点灯回路部4を制御して光源部1,2の調光比を調整する。
【0032】
また、2つの押釦218,219を囲むように円周上に並べて配設されている4つの押釦214〜217のうち、上の押釦214が押操作されると調光・調色状態を「全灯状態」に切り換えるための制御コードが生成される。また、左の押釦215が押操作されると調光・調色状態を「涼色状態」に切り換えるための制御コードが生成され、右の押釦216が押操作されると調光・調色状態を「暖色状態」に切り換えるための制御コードが生成される。さらに、下の押釦217が押操作されると、利用者が制御部5のメモリに記憶させた調光・調色状態に切り換えるための制御コードが生成される。つまり、任意の調光・調色状態において、これら4つの押釦214〜217の何れかが押操作されると、直ちにそれぞれの押釦214〜217に対応した調光・調色状態(全灯状態、涼色状態、暖色状態など)に切り換えることができる。したがって、押釦218〜221を押操作して全灯状態、涼色状態、暖色状態などに設定する場合と比較して、操作性や使い勝手の向上を図ることができる。ただし、1つの押釦が押操作される毎に全灯状態、涼色状態、暖色状態などの各調光・調色状態に切り換えるための制御コードが順番に生成されるようにすれば、押釦の個数を減らすことができる。
【0033】
また、ケース210前面の液晶表示部205の直下に左右方向に並べて配設されている3つの押釦211〜213のうちの中央の押釦212が押操作されると、調光・調色状態(全調光比及び調色比)を制御部5のメモリに記憶させるための制御コードが生成される。そして、前記制御コードを受け取った制御部5は、その時点の全調光比及び調色比をメモリに記憶し、押釦217が押操作されて生成される制御コードを受け取ったときに、メモリに記憶させた調光・調色状態に切り換える。したがって、利用者が任意の調光・調色状態を予め記憶させておけば、リモコン200の押釦217が押操作されるだけで直ちに前記調光・調色状態が再現されるので、操作性や使い勝手の向上が図れる。なお、ケース210前面の最下部に配設されている押釦222が押操作されると全ての光源部1,2を消灯させるための制御コードが生成される。
【0034】
次に、本発明の要旨、すなわち、任意の調光・調色状態を容易に再現可能にするための制御部5の動作(処理)について、図3を参照して詳細に説明する。
【0035】
全調光比が100%以上に設定されている調光・調色状態、例えば、図3における□の座標位置に対応した調光・調色状態(以下、第1の調光・調色状態と呼ぶ。)において、制御部5がリモコン200から調色ダウン指令を受け取った場合を想定する。制御部5は、調色ダウン指令に基づいて、第1の調光・調色状態をメモリに記憶させた後、全調光比を変化させずに調色比のみを下降させるように第1点灯回路部3及び第2点灯回路部4を制御する。ここで、調色比の下降中に第1光源部1の調光比が100%に達した場合、制御部5は、第1光源部1の調光比を100%に維持したままで第2光源部2の調光比のみを調整(下降)させる。すなわち、図3において左向きの破線矢印で示すように、三角形の斜辺に到達するまでは全調光比(y座標)を変化させずに調色比(x座標)のみを変化させることができるが、斜辺に達すると、斜辺に沿って調色比だけでなく全調光比も変化してしまう。なお、調光・調色状態は、最終的に斜辺上の任意の位置(第2の調光・調色状態と呼ぶ。)で下降が停止されたものと仮定する。
【0036】
ここで、利用者が第2の調光・調色状態から調色比を上昇させるためにリモコン200の押釦216を押操作した場合を考える。この場合、リモコン200から調色アップ指令を受け取った制御部5は、調色制御を優先するのであれば、第2の調光・調色状態における全調光比を変えずに調色比のみを上昇させるように第1点灯回路部3及び第2点灯回路部4を制御すればよい。しかしながら、上述のように調色制御を優先した場合、図3において二点破線矢印で示すように、全調光比(y座標)を変化させずに調色比(x座標)のみが変化するために最初の調光・調色状態(第1の調光・調色状態)に戻すことができない。
【0037】
そこで本実施形態では、リモコン200から調色アップ指令を受け取った制御部5は、調光制御を優先し、第1の調光・調色状態から第2の調光・調色状態に遷移したときの履歴を逆向きに辿るように第1点灯回路部3及び第2点灯回路部4を制御する。つまり、図3における破線矢印に沿って、メモリに記憶された第1の調光・調色状態(□の座標位置)に戻るように第1光源部1及び第2光源部2の調光比が調整される。このように本実施形態によれば、第1の調光・調色状態から第2の調光・調色状態へ遷移させたときと逆向きの調色指令が与えられた場合、制御部5が第1の調光・調色状態から第2の調光・調色状態に遷移したときの履歴を逆向きに辿るように各点灯回路部3,4を制御するので、任意の調色及び調光の状態を再現可能として使い勝手の向上を図ることができる。
【0038】
ところで、明るさの変化に対する人の感覚は暗い(光出力が低い)ときほど鋭敏になり、明るく(光出力が高く)なるほど鈍感になる。したがって、制御部5は、段調光における段数が、調光範囲内の上限側(図3における三角形の部分)に対して下限側(図3における長方形の部分)の方が多くなるように点灯回路部3,4を制御することが好ましい。本実施形態では、下限側の段数が上限側の段数の約3倍に設定されている。
【0039】
(実施形態2)
本実施形態の照明装置のブロック図を図5に示す。本実施形態の照明装置は、実施形態1の照明装置に対して、照明空間の明るさ(照度)を検出する明るさ検出部8が追加されたものであり、その他の構成は実施形態1と共通である。
【0040】
明るさ検出部8は、フォトダイオードや太陽電池のような光電変換素子を有し、照明空間の明るさ(照度)に対応したレベルの電気信号(検出信号)を制御部5に出力する。リモコン200のケース210前面に配設されている押釦211が押操作されると、制御部201が自動調光制御開始の制御コードを生成し、赤外線信号によって当該制御コードを送信する。また、押釦211が再度押操作されると、制御部201が自動調光制御終了の制御コードを生成し、赤外線信号によって当該制御コードを送信する。
【0041】
制御部5は、自動調光制御開始の制御コードを受け取ると自動調光制御を開始し、自動調光制御終了の制御コードを受け取ると自動調光制御を終了し、自動調光制御中においては、明るさ検出部8の検出値を目標値に一致させるように点灯回路部3,4を制御する。なお、制御部5は、リモコン200の押釦213が押操作されて生成される制御コードを受け取った場合、その時点の明るさ検出部8の検出値を目標値としてメモリに記憶する。
【0042】
次に、図6,7を参照して制御部5による自動調光制御を詳細に説明する。制御部5は、図6に示すように目標値を中心として±5%の範囲を許容範囲とし、明るさ検出部8の検出値が許容範囲内に収まるように点灯回路部3,4を制御して光源部1,2の調光比を調整する。例えば、図6に●(1)で示すように検出値が目標値に一致していた状況から外光の影響で検出値が許容範囲の上限を超えたとすると、制御部5は、点灯回路部3,4を制御して調光比を下げることにより光源部1,2の光量を減少させる。このとき、制御部5は全調光比を複数段(例えば、8段)ずつ連続して下げた後に明るさ検出部8の検出値が許容範囲内に収まったか否かを確認し、検出値が許容範囲内に収まるまで全調光比の下降と検出値の確認を繰り返す(図7参照)。ここで、制御部5が全調光比を複数段ずつ一気に下降あるいは上昇させた場合、照明空間の明るさが断続的に変化して違和感を与える虞があるので、上述のように全調光比を複数段ずつ連続して下げることが好ましい。
【0043】
而して、本実施形態によれば、外光(太陽光)の影響で照明空間の明るさが変化する場合においても照明空間の明るさを常に一定に保つことができるので、快適性の向上と電力消費の低減による省エネルギー化とを同時に図ることができる。
【0044】
(実施形態3)
図8は実施形態1又は2の照明装置を用いた照明器具の実施形態を示す分解斜視図である。本実施形態の照明器具は、引掛シーリング(図示せず)に着脱自在に取り付けられて天井に配置されるものであって、一般にシーリングライトと呼称される照明器具である。ただし、本発明に係る照明器具の技術思想が適用可能な照明器具はシーリングライトに限定されるものではない。
【0045】
照明器具は、器具本体10、給電部11、4つのLEDユニット12、配光パネル13、カバー14などを備える。器具本体10は金属製の板材によって円盤状に形成され、引掛シーリングと電気的且つ機械的に着脱自在に結合する給電部11が中央部分に配置されている。LEDユニット12は、円弧状に湾曲形成された実装基板12Aの表面(下面)に複数個の発光ダイオードが弧状に2列に並べて実装されて構成されている。各LEDユニット12の実装基板12Aには、第1光源部1を構成する涼色の発光ダイオードと第2光源部2を構成する暖色の発光ダイオードが混在して実装されている。なお、これら4つのLEDユニット12は、給電部11を中心とする円周方向に並べて器具本体10の下面に取り付けられる。
【0046】
配光パネル13は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂によって円環状に形成され、4つのLEDユニット12の下面を被うように器具本体10に固定される。配光パネル13における各発光ダイオードとの対向部分には、発光ダイオードから放射される光の配光を制御するための光学部品(レンズ)13Aが一体成形されている。
【0047】
カバー14は、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂により、上面が開口した扁平な円筒形状に形成され、LEDユニット12や配光パネル13を内部に収納するようにして器具本体10の下面に着脱自在に取り付けられる。ただし、器具本体10に対するカバー14の取付構造については、一般的なシーリングライトにおいて周知な構造であるから詳細な説明を省略する。
【0048】
なお、照明装置を構成する各部のうちで光源部1,2を除く点灯回路部3,4、制御部5、力率改善回路6などは、器具本体10の上面側における給電部11の周囲に配置されている。また、照明装置(力率改善回路6)は、図示しない給電線が給電部11と接続されることにより、商用の交流電源100から給電される。
【符号の説明】
【0049】
1 第1光源部
2 第2光源部
3 第1点灯回路部
4 第2点灯回路部
5 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色温度の光を放射する1乃至複数個の発光ダイオードを有する第1光源部と、前記第1の色温度と異なる第2の色温度の光を放射する1乃至複数個の発光ダイオードを有する第2光源部と、前記第1光源部に給電して点灯させる第1点灯回路部と、前記第2光源部に給電して点灯させる第2点灯回路部と、外部から与えられる調色指令及び調光指令に基づいて前記第1点灯回路部及び第2点灯回路部を制御することで前記第1光源部及び第2光源部を任意の調光・調色状態に遷移させる制御部とを備え、
前記制御部は、前記調色指令に基づいて第1の調光・調色状態から前記第1の調光・調色状態と異なる第2の調光・調色状態に遷移させるように前記第1点灯回路部及び第2点灯回路部を制御した後、前記第1の調光・調色状態から前記第2の調光・調色状態へ遷移させたときと逆向きの前記調色指令が与えられた場合、前記第1の調光・調色状態から前記第2の調光・調色状態に遷移したときの履歴を逆向きに辿るように前記第1点灯回路部及び第2点灯回路部を制御することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の色温度の光色に調色する調色指令が与えられた場合に前記第1光源部を調光範囲の上限で点灯させるとともに前記第2光源部を調光範囲の下限で点灯又は消灯させるように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御し、前記第2の色温度の光色に調色する調色指令が与えられた場合に前記第2光源部を調光範囲の上限で点灯させるとともに前記第1光源部を調光範囲の下限で点灯又は消灯させるように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御し、最も明るい状態に調光する調光指令が与えられた場合に前記第1光源部並びに第2光源部を双方とも調光範囲の上限で点灯させるように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御することを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記調光指令及び調色指令を前記制御部に与えるリモートコントローラを備え、前記リモートコントローラは、押操作される押釦を有し、前記押釦が押操作される毎に、前記第1の色温度の光色に調色する調色指令と、前記第2の色温度の光色に調色する調色指令と、前記最も明るい状態に調光する調光指令とを順番に前記制御部に与えることを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記調光・調色状態を記憶する記憶部を備え、前記制御部は、任意の前記調光・調色状態を前記記憶部に記憶させ、前記記憶部に記憶された前記調光・調色状態を再現するように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記制御部は、外部から与えられる記憶指令に応じて前記調光・調色状態を前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項4記載の照明装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御することで前記第1光源部及び前記第2光源部を段調光させるものであって、前記段調光における段数が、調光範囲内の上限側に対して下限側の方が多くなるように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御することで前記第1光源部及び前記第2光源部を段調光させるものであって、前記第1光源部及び前記第2光源部の光が照射される照明空間の明るさを検出する明るさ検出部を備え、前記制御部は、前記明るさ検出部の検出値を目標値に一致させるように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御する場合、前記第1光源部及び前記第2光源部を複数段ずつ連続して段調光させるように前記第1点灯回路部及び前記第2点灯回路部を制御することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかの照明装置と、当該照明装置を保持する器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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