説明

照明装置

【課題】光源部と電源側とを接続するコネクタに作用する負荷を軽減し、接続状態を確実に保持できる照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】給電側コネクタ11を先端に有する配線が接続された点灯装置8が収納され、下面に開口部21を有するケース本体2と、光源42を有する光源部4と、前記光源42から放射される光が出射する出射面を有する照射部5とを備える照明ユニット3と、前記照明ユニット3に設けられ、照射部5の出射面に対して直交する方向から給電側コネクタ11が接続される受電側コネクタ10と、照明ユニット3の照射部5が挿通する挿通口61を有し、この挿通口61の周縁に少なくとも照明ユニット3の一部が係止して前記照明ユニット3が支持されるとともに、ケース本体2の開口部21を覆うように取付けられるカバー部材6とを備える照明装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導灯などに適用され、電源と光源との接続状態を確実に保持できる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明装置としての天井埋込形の誘導灯では、装置本体が天井面に設けられた埋込み用開口に装着され、この装置本体からピクトグラムが表示された表示板がカバー部材に支持された状態で吊下げられて設置されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。そして、この種、誘導灯では、光源としての冷陰極蛍光ランプと電源とは、リード線によってコネクタを介して電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−272936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の誘導灯では、取付作業時において、例えば、表示板を装置本体に取り付けるに際し、コネクタの接続部分にその接続が離脱する方向の力が作用し、コネクタが外れてしまったり、又は電気的接続部分に接触不良等の不具合が生じてしまう課題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、光源部と電源側とを接続するコネクタに作用する負荷を軽減し、接続状態を確実に保持できる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の照明装置は、給電側コネクタを先端に有する配線が接続された点灯装置が収納され、下面に開口部を有するケース本体と;光源を有する光源部と、前記光源から放射される光が出射する出射面を有する照射部とを備える照明ユニットと;前記照明ユニットに設けられ、照射部の出射面に対して直交する方向から給電側コネクタが接続される受電側コネクタと;照明ユニットの照射部が挿通する挿通口を有し、この挿通口の周縁に少なくとも照明ユニットの一部が係止して前記照明ユニットが支持されるとともに、ケース本体の開口部を覆うように取付けられるカバー部材と;を具備することを特徴とする。
【0007】
本発明及び以下の発明において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は次による。光源としては、LED、有機EL等の固体発光素子や冷陰極放電ランプ等の各種ランプが適用でき、特段その種類に限定されるものではない。給電側コネクタを先端に有する配線が接続された点灯装置とは、当該配線が直接的又は間接的に点灯装置に接続される場合を含む。例えば、点灯装置と給電側コネクタとの間に他の部品や回路が介在していてもよく、結果的に先端に給電側コネクタが接続されていればよい。
【0008】
請求項2に記載の照明装置は、前記受電側コネクタは、照射部の出射面側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、光源部の受電側コネクタと電源側の給電側コネクタとの接続状態を確実に保持し、接続不良等の防止が可能で安全性を確保し得る照明装置を提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、適用範囲の広い照明ユニットを得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る誘導灯の設置状態を示す斜視図である。
【図2】同誘導灯を示す斜視図である。
【図3】同誘導灯を示す側面図である。
【図4】同照明ユニットを分解して示す斜視図である。
【図5】同光源部を分解して示す斜視図である。
【図6】同誘導灯を分解して示す斜視図である。
【図7】同照明ユニットを示す側面図である。
【図8】同照明ユニットを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る照明装置としての誘導灯について図1乃至図8を参照して説明する。なお、各図において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
図1に示すように、誘導灯1は、天井面に設置されて使用可能なように構成された天井埋込形である。天井面に設けられた埋込み用開口にケース本体2が装着され、このケース2本体から照射部としての表示板5が吊下げられて設けられている。この表示板5の表面側には、誘導表示として人が避難している状態を示すピクトグラムが照明されて表示されるようになっている。
【0014】
図2及び図3に示すように、誘導灯1は、下面に開口部21を有する略箱状のケース本体2、このケース本体2に吊り下げられるように配設された照明ユニット3、ケース本体2の開口部21を覆うように取付けられたカバー部材としての化粧枠6を備えている。なお、図においては、ケース本体2の側面板、化粧枠6の取付け用ばね部材は、省略して示している。
【0015】
ケース本体2は、亜鉛めっき鋼板等の金属板で形成され、下面に開口部21を有し、周壁には電源線の導入口や放熱用の孔等が形成されている。ケース本体2内には、端子台7、点灯装置8、バッテリ9が取付けられている。端子台7は、ケース本体2内の上面壁に取付けられており、略四角形の箱状に形成されて、電源線の導入口から導入される外部の電源線や内部の配線コード等の芯線が挿入されて電気的に接続される複数の自己鎖錠形の端子を有している。
【0016】
点灯装置8は、ケース本体2の前面壁に取付けられており、基板にトランス、IC、スイッチング素子としてトランジスタ、電解コンデンサ等の点灯回路部品が実装されて構成されている。また、点灯装置8は、端子台7を介して電源線に接続され、その出力を後述する光源部4に供給し、常用点灯として光源部4を点灯制御するとともにバッテリ9を充電し、電源からの電力が遮断された場合には、バッテリ9の電力に切替えて非常点灯として光源部4を点灯するようになっている。さらに、点灯装置8には、図示しない点検スイッチが接続され、点検スイッチの操作によりバッテリ9の充電状態等の点検動作を行うことが可能になっている。バッテリ9は、ケース本体2の背面壁に取付けられており、充電可能な二次電池が用いられ、バッテリケースに収納されている。
【0017】
ケース本体2の下面の開口部21には、この開口部21を覆うように閉塞する長方形平板状の化粧枠6が図示を省略する取付け用ばね部材によって装着されている。この化粧枠6は、冷間圧延鋼板等によって形成されており、略中央部に表示板5が挿通する細長の挿通口61が形成されている。
【0018】
次に、照明ユニット3は、光源部4と、照射部としての表示板5とを備え、表示板5が化粧枠6の挿通口61を挿通して支持されている(図3参照)。図4に示すように、表示板5は、略矩形枠状の表示板ケース51と、この表示板ケース51の内側に配設された導光板52と、この導光板52の表面側に設けられた表示パネル53とを備えている。導光板52は、上端面を光の入射面52aとし、表面側を出射面52bとするアクリル樹脂製の板状に形成されている。この導光板52の出射面52b側には、誘導表示として人が避難している状態を示すピクトグラムが表示された表示パネル53が設けられている。
【0019】
図5に示すように、光源部4は、合成樹脂製の基板取付ホルダ41、光源としてLEDチップ42が実装された基板43及び基板押え板44を備えている。基板取付ホルダ41は、断面略L字状であり、長方形状の細長のカバー部45と、このカバー部45から垂下するように形成された表示板案内壁46とから構成されている。カバー部45は、平板状であり、長手方向の端部寄りには長方形状の開口45aが形成されている。
【0020】
また、表示板案内壁46の前面側の一端部には、受電側コネクタ10が光源部4の上面よりも低い位置で突出して設けられている。この受電側コネクタ10は、表示板案内壁46と直交する方向に延出する接続ピン10aを有し、基板43に電気的に接続されてLEDチップ42に電力を供給するようになっており、後述する給電側コネクタを介して点灯装置8、電源等に接続される。
【0021】
基板43は、例えば、ガラスエポキシ樹脂等でL字状の細長の平板状に形成されており、その実装面に2個のLEDチップ42が表面実装されている。そして、この実装面には、銅箔で形成された配線パターンやレジスト層が形成されている。なお、LEDチップ42は、チップ・オン・ボード方式で基板43に実装してもよく、さらに、基板43を金属製とする場合は、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れた材料を適用するのが好ましい。基板押え板44は、絶縁性を有し、基板43と類似した形状で、略L字状の細長の平板状に形成されている。
【0022】
基板取付ホルダ41、基板43及び基板押え板44の組立てにおいては、まず、基板43を基板取付ホルダ41のカバー部45に重合するようにして配置する。続いて、基板押え板44を基板43の裏面側に重ねるように配設すると、基板押え板44の周縁部に弾性係止爪が係合し、基板押え板44が基板43を押圧し、基板43が基板押え板44とカバー部45との間に挟持されるように固定される。以上のような組立状態では、基板43の実装面側はカバー部45に覆われた状態になっており、カバー部45の開口45aに対向しているLEDチップ42の部分のみが表出されている。
【0023】
図4に示すように、上記構成の光源部4を表示板5、すなわち、表示板ケース51の上端部に取付ける。この状態では、光源部4の基板43は、LEDチップ42が実装された面を下方に向けた状態で表示板5の上部に取付けられるので、LEDチップ42から出射された光は、導光板52の上端面、すなわち、入射面52aに入射するようになっている。
【0024】
次に、上記のように構成された誘導灯1の取付工程の概要について図6及び図7を参照して説明する。図6に示すように、天井面に設けられた埋込み用開口にケース本体2が図示しない吊りボルト等によって固定されている。また、ケース本体2の開口部21からは、点灯装置8やバッテリ9を介して電源側と接続された給電側コネクタ11がリード線によって導出されている。この給電側コネクタ11には、前記受電側コネクタ10の接続ピン10aが挿入されて接続されるソケット端子11aが設けられている。
【0025】
化粧枠6に形成された挿通口61の周囲には、略長方形枠状の支持部材62が設けられており、この支持部材62の両端に形成された起立片62aには、取付け用ばね部材であるV字状ばね63が取付けられている。
【0026】
ここで、不具合の生じ難い取付け方法について説明する。照明ユニット3の表示板5を化粧枠6の挿通口61に挿通する。すると、表示板ケース51の肩部が挿通口61の周縁に係止し支持されて、照明ユニット3と化粧枠6とが組合せられる。この状態で、V字状ばね63を縮めるようにしてケース本体2内の図示しないばね受けに引っ掛け、照明ユニット3と化粧枠6とをケース本体2に仮の吊り下げ状態とする。その後、給電側コネクタ11を受電側コネクタ10に接続し、化粧枠6を下方から押し上げることにより取付けが完了する。このような工程の順序であれば、不具合は生じ難い。
【0027】
次に、不具合が生じ得る取付け方法について説明するとともに、本実施形態の作用について説明する。取付工程にあたって、V字状ばね63をケース本体2のばね受けに引っ掛ける前に、すなわち、まず、照明ユニット3の受電側コネクタ10と給電側コネクタ11とを接続し、照明ユニット3をリード線で吊り下げた状態とし、つまり、コネクタ10、11の接続による結合力のみで照明ユニット3の自重を支えるような状態としてしまう場合がある。そして、この状態から、照明ユニット3の表示板5を化粧枠6の挿通口61に落とし込むように挿通し、表示板5が化粧枠6に係止することで表示板5と化粧枠6との取付けを行う。その後、化粧枠6を下方から押し上げて取付けを終了する。
【0028】
このような工程の順序の場合、照明ユニット3がリード線で吊り下げられた状態となるため、受電側コネクタ10と給電側コネクタ11との接続部に負荷がかかる。特に、落とし込まれた表示板5が化粧枠6に係止する際に、リード線が下方に伸びきった状態となると、最も受電側コネクタ10と給電側コネクタ11との接続部に負荷がかかってしまう。すなわち、照明ユニット3の自重が作用し、コネクタ10、11に上下に方向の力が作用し、接続不良等が発生する可能性があるという施工上の特有の課題がある。
【0029】
しかしながら、本実施形態においては、図7に代表して示すように、給電側コネクタ11は、表示板5の光の出射面に対して直交する方向(図示矢印a)から受電側コネクタ10に接続されるようになっているので、照明ユニット3の重力が作用(図示矢印b)しても、相互の方向が異なるため、その重力が直接的に受電側コネクタ10と給電側コネクタ11との接続部に作用することがなく、接続部にかかる負荷を軽減できるものである。したがって、受電側コネクタ10と給電側コネクタ11との接続状態を確実に保持できるとともに、電気的接続部分にも不具合を生じさせることを抑制できることにより、接続不良等を防止でき、また、安全性を確保し得る。
【0030】
本実施形態の誘導灯1は、点灯装置8により、常時は、商用電源から電力が光源部4のLEDチップ42に供給され、非常時には、バッテリ9から電力がLEDチップ42に供給される。LEDチップ42から出射された光は、導光板52の入射面52aに入射し、導光板52を伝播して出射面52bから出射され、表示パネル53が照射されて照明がなされ、誘導表示のピクトグラムが明示的に表示されるようになる。
【0031】
次に、図8においては、照明ユニット3の上面図を示している。図8(a)に示すように、受電コネクタ10は、照射部としての表示板5の出射面側に突出して設けられている。したがって、図8(b)に示すように、誘導灯を両面表示タイプのものとして構成する場合、照明ユニット3をモジュールとして、2個用意し、双方の背面側を相対するように組合せて構成することが可能となる。仮に、受電コネクタ10が表示板5の背面側に突出している場合には、受電コネクタ10が邪魔になり、組合せが困難又は厚さ寸法が大きくなり大形化してしまう等の不都合が生じることとなる。また、仮に、受電コネクタ10が光源部4よりも十分に高い位置で突出して設けられていれば、両面表示タイプの誘導灯においても必ずしも受電コネクタ10が出射面側に突出していなくても相互のコネクタが干渉することなく構成することが可能であるが、この場合には、上方に余分なスペースが形成されることとなる。したがって、ケース本体2内の配置スペースを確保する等の対応が必要となり、大形化につながる虞がある。
【0032】
以上のように本実施形態によれば、施工上の特有の課題に着目し、この課題を解決するもので、光源部4の受電側コネクタ10と電源側の給電側コネクタ11との接続状態を確実に保持し、接続不良等の防止が可能で安全性を確保し得る誘導灯1を提供するものである。また、受電コネクタ10は、表示板5の出射面側に設けられているので、両面表示タイプのものとして構成する場合、大形化することなく構成することが可能となる。したがって、適用範囲の広い照明ユニット3となる。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、光源としては、LEDに限らず、有機EL等の固体発光素子や冷陰極放電ランプ等が適用できる。また、上記実施形態では、受電側コネクタに接続ピンを設け、給電側コネクタに接続ピンが挿入されて接続されるソケット端子を設けたが、逆の関係であってもよい。つまり、給電側コネクタに接続ピンを設け、受電側コネクタにソケット端子を設ける構成としてもよい。さらに、本発明は、誘導灯に限らず、いわゆる空間を照らす照明器具やディスプレイ装置等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1・・・照明装置(誘導灯)、2・・・ケース本体、3・・・照明ユニット、
4・・・光源部、5・・・照射部(表示板)、6・・・カバー部材(化粧枠)、
8・・・点灯装置、10・・・受電側コネクタ、11・・・給電側コネクタ、
21・・・開口部、42・・・光源(LEDチップ)、61・・・挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電側コネクタを先端に有する配線が接続された点灯装置が収納され、下面に開口部を有するケース本体と;
光源を有する光源部と、前記光源から放射される光が出射する出射面を有する照射部とを備える照明ユニットと;
前記照明ユニットに設けられ、照射部の出射面に対して直交する方向から給電側コネクタが接続される受電側コネクタと;
照明ユニットの照射部が挿通する挿通口を有し、この挿通口の周縁に少なくとも照明ユニットの一部が係止して前記照明ユニットが支持されるとともに、ケース本体の開口部を覆うように取付けられるカバー部材と;
を具備することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記受電側コネクタは、照射部の出射面側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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