説明

照明装置

【課題】光源として有機EL素子およびLED素子を用いるとともに、出射光の光量および配光を所望に調整可能な照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置1は、器具本体5と、発光ダイオード8および有機エレクトロルミネッセンス素子7を有し、有機エレクトロルミネッセンス素子7の発光面に直交する方向と発光ダイオード8Aから放射される放射光の光軸とが一致するように設けられ、器具本体5に配設された発光体2Aと、有機EL素子7および発光ダイオード8をそれぞれ調光点灯可能に形成された点灯装置3と、外部信号に応じて有機EL素子7および発光ダイオード8をそれぞれ調光点灯させるように点灯装置3を制御する制御装置4とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源としてエレクトロルミネッセンス(EL)素子および発光ダイオード(LED)素子を有する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置における発光体(光源)として、白色または各種単色の発光ダイオード(LED)が実用化されている。また、近年、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子の発光効率の向上に伴い、有機EL素子の照明用途への応用が進められている。このEL素子を使用した照明装置として、例えば、出射光の指向性を高めた面状光源装置が提案されている(特許文献1参照。)。この従来技術の面状光源装置は、各単位プリズムの頂点を連続した線の方向が互いに平行になるように、略三角状の断面を有する単位プリズムが一つの面に多数隣接して配置されたプリズムシートが2枚、各プリズムシートにおける各単位プリズムの頂点を連続した線の方向が互いに平行になるように、面状光源装置の出射面に積層して配置されることによって構成された集光部材を備えるものである。すなわち、2枚のプリズムシートからなる集光部材を備えることにより、ある方向に集中的に光を出射させることが可能であり、不要な方向に出射される光を減少させることができ、消費電力を低減させることができるというものである。
【0003】
また、EL素子および発光ダイオードを使用した照明装置として、例えば、透明基板の表面側に発光する平面発光体が提案されている(特許文献2参照。)。この従来技術の平面発光体は、透明基板の裏面にEL素子を備え、透明基板の端面に、透明基板内に光を照射するLED素子を備えたものであり、EL素子に補色関係にある青色と黄色を発光するものを用い、LED素子に発光波長が600〜700nmの赤色LED素子を用いることにより、発光効率が良好で、色ずれ等がなくて色度バランスに優れたものとなるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−357978号公報(第3頁、第6図)
【特許文献2】特開2003−92002号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有機EL素子は、面光源であるので、均等拡散に近い配光である。したがって、目的に応じた配光を得るには、特許文献1の面状光源装置のように、プリズムシートや光学フィルムなどを出射面側に配設する必要がある。このプリズムシートや光学フィルムなどの光吸収により、照明装置は、その出射光の光量が低下するという欠点を有する。
【0006】
また、特許文献2の平面発光体は、青色や黄色を発光する有機EL素子の放射光に、赤色LED素子からの赤色光を補強することにより白色光を得るものであり、配光や光量の可変を行うものではなく、配光や光量の可変を行うことができないものである。
【0007】
本発明は、光源として有機EL素子およびLED素子を用いるとともに、出射光の光量および配光を所望に調整可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の照明装置の発明は、器具本体と;有機エレクトロルミネッセンス素子および発光ダイオードを有し、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の発光面に直交する方向と前記発光ダイオードから放射される放射光の光軸とが一致するように設けられ、前記器具本体に配設された発光体と;前記有機エレクトロルミネッセンス素子および前記発光ダイオードをそれぞれ調光点灯可能に形成された点灯装置と;外部信号に応じて前記有機エレクトロルミネッセンス素子および前記発光ダイオードをそれぞれ調光点灯させるように前記点灯装置を制御する制御装置と;を具備していることを特徴とする。
【0009】
本発明および以下の発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
【0010】
「一致」とは、数学的や幾何学的に一致しているというものではなく、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子の発光面に直交する方向と、発光ダイオードから放射される放射光の光軸との相対的なずれが15°以下であれば、許容するものである。
【0011】
点灯装置は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子および発光ダイオード(LED)をそれぞれ点灯する個別の点灯装置の組み合わせからなっていてもよい。
【0012】
外部信号は、調光装置(調光器)から有線で送信される調光信号またはリモコン装置などから無線送信される制御信号を意味する。
【0013】
点灯装置および制御装置は、器具本体に配設されていてもよく、器具本体と別体に設けられていてもよい。
【0014】
本発明によれば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子の発光面に直交する方向に発光ダイオード(LED)から放射された放射光が出射されるとともに、当該放射光の出射方向において、有機EL素子および発光ダイオードのそれぞれの放射光の光量が合計される。そして、有機EL素子および発光ダイオードのそれぞれの放射光の光量に応じて、発光体(照明装置)の配光が形成される。そして、外部信号により、有機EL素子および発光ダイオードがそれぞれ個別に調光点灯されると、当該調光点灯に応じて、有機EL素子および発光ダイオードのそれぞれの放射光の光量の割合が変化するとともに、出射する合計光量が変化する。有機EL素子および発光ダイオードのそれぞれの光量の割合に応じて、発光体(照明装置)の配光が変化する。
【0015】
そして、発光体は、有機EL素子が発光ダイオードの背後に位置し、発光ダイオード側に放射光を出射するように形成されると、発光ダイオードの周囲の背景輝度が向上し、発光ダイオードから放射される放射光のグレアが低減される。
【0016】
請求項2に記載の照明装置の発明は、請求項1記載の照明装置の発明において、前記発光体は、透光性部材により覆われており、前記発光体から放射される放射光は、前記透光性部材を透過して出射されることを特徴とする。
【0017】
透光性部材は、シリコーン樹脂などの透光性樹脂であってもよく、強化ガラスやプラスチックであってもよい。
【0018】
本発明によれば、発光体が透光性部材により覆われるので、発光体が外気に露出しなく、外的要因から保護される。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、発光ダイオードから出射される放射光は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子の発光面に直交する方向に出射され、点灯装置により、有機EL素子および発光ダイオードがそれぞれ調光点灯可能であるので、有機EL素子および発光ダイオードをそれぞれ点消灯または調光点灯させて、有機EL素子および発光ダイオードのそれぞれの放射光の光量の割合を調整することにより、照明装置の配光を広角配光から狭角配光の間で所望に変化させることができる。また、発光体は、その有機EL素子が発光ダイオードの背後に位置して、発光ダイオード側に放射光を出射するように形成されると、有機EL素子からの放射光により、発光ダイオードの周囲の背景輝度が向上し、発光ダイオードから放射される放射光のグレアを低減することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、発光体は、透光性部材により覆われており、発光体から放射される放射光は、当該透光性部材を透過して器具本体から出射されるので、発光体の外気への露出が防止されて、器具本体の外観性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1を示す照明装置の概略ブロック図。
【図2】同じく、照明装置の概略斜視図。
【図3】同じく、照明装置を示し、(a)は一部切り欠き概略正面図、(b)は概略側面図。
【図4】同じく、発光体の概略断面図。
【図5】同じく、発光体の拡大概略断面図。
【図6】同じく、他の発光体の概略断面図。
【図7】同じく、発光体の配光図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
本発明において、発光体は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子および発光ダイオードを有し、有機EL素子の発光面に直交する方向と発光ダイオード(LED)から放射される放射光の光軸とが一致するように設けられて器具本体に配設されている。そして、外部信号により、点灯装置が有機EL素子および発光ダイオードをそれぞれ点消灯または調光点灯させて、有機EL素子および発光ダイオードのそれぞれの放射光の光量の割合を調整する。この放射光の光量の割合に応じて、発光体(照明装置)の配光が変化し、発光体から出射される光量も変化するものである。
【実施例1】
【0024】
図1ないし図7は、本発明の実施例1を示し、図1は照明装置の概略ブロック図、図2は照明装置の概略斜視図、図3は照明装置を示し、(a)は一部切り欠き概略正面図、(b)は概略側面図、図4は発光体の概略断面図、図5は発光体の拡大概略断面図、図6は他の発光体の概略断面図、図7は発光体の配光図である。
【0025】
図1において、照明装置1は、発光体2、点灯装置3、制御装置4および器具本体5を有して構成されている。
【0026】
発光体2は、図4に示すように、透光性基板6、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子7および複数個の発光ダイオード8を有して形成されている。有機EL素子7は、透光性基板6の裏面6b側に設けられ、発光ダイオード8は、透光性基板6の表面6a側に設けられている。透光性基板6は、可視光を透過するとともに電気絶縁性を有する材料からなり、例えば所定の厚さを有する長方形の透明ガラス板からなっている。透明ガラス板は、例えばソーダライムガラスや無アルカリガラスからなっている。
【0027】
有機EL素子7は、透光性基板6の裏面6bに、透明導電膜からなる陽極9、有機発光層10および陰極11の順に形成されている。陽極9は、例えば、ITO(インジウム−スズ酸化物)、SnO2、ZnO等の透明性導電材料からなり、透光性基板6の裏面6bに、真空蒸着やスパッタリングなどにより薄膜に形成されている。
【0028】
有機発光層10は、陽極9の側に図示しないホール輸送層、陰極11の側に図示しない電子注入層を積層した多層構成に形成されている。そして、陽極9側を正電圧として陽極9および陰極11間に直流電圧が印加されると、電子注入層を介して注入された電子と、ホール輸送層を介して注入されたホールとが有機発光層10内で結合して発光が起きるものである。有機発光層10は、直流電圧の印加により白色光を発光する各種有機物や有機化合物を用いて形成されている。
【0029】
陰極11は、例えば、アルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)などからなり、有機発光層10の表面に、真空蒸着やスパッタリングなどにより薄膜に形成されている。陰極11は、光透過しない又は光透過の低い電極材料が用いられることにより、有機発光層10における発光を陽極9側に照射する。これにより、陽極9側は、有機EL素子7の発光面となっている。
【0030】
そして、発光ダイオード8は、その複数個が透光性基板6の表面6a側にマトリックス状に配置され、例えば一列ごとに、透光性基板6の表面6aに形成された配線パターン12により直列接続されている。図中、配線パターン12は、パッドを包含している。配線パターン12は、例えばニッケル(Ni)の表面に銀(Ag)メッキした導電材からなり、その厚さが例えば10μmとなっている。発光ダイオード8は、青色光を放射するLEDベアチップ13および青色光を例えば黄色光に波長変換するYAG系蛍光体粒子14を有して構成されている。
【0031】
LEDベアチップ13は、図5に示すように、長方体状に形成されたサファイア15の表面に発光層16が形成され、この発光層16の表面に電極17,18が設けられたものである。サファイア15は、配線パターン12に金(Au)/錫(Sn)共晶はんだ19によりはんだ付けされている。発光層16は、例えば、紫外光から青色光の領域の光を放射する発光材料例えばInGaNを有して形成され、通電により青色光を放射する。そして、電極17は、ボンディングワイヤ20により配線パターン12の高電位側に接続され、電極18は、ボンディングワイヤ21により配線パターン12の低電位側に接続されている。
【0032】
そして、LEDベアチップ13は、内面が方物面に形成された略円筒体22に包囲されている。略円筒体22の内部には、透光性樹脂23が充填されて固化されている。すなわち、LEDベアチップ13およびボンディングワイヤ20,21は、透光性樹脂23により埋められている。透光性樹脂23は、例えば透明のシリコーン樹脂からなり、YAG系蛍光体粒子14や図示しない光拡散性粒子を混入している。
【0033】
発光ダイオード8は、LEDベアチップ13から放射された青色光およびYAG系蛍光体粒子14による波長変換で発生した黄色光が混色して、白色光を放射する。こうして、発光ダイオード8は、透光性基板6の表面6a側に設けられることにより、その放射光(白色光)の光軸が有機EL素子7の陽極9側(発光面)に直交する方向に一致している。すなわち、有機EL素子7および発光ダイオード8のそれぞれの放射光(白色光)が同一方向に出射するように、発光体2が形成されている。
【0034】
上述したように、発光体2は、透光性基板6、有機EL素子7および発光ダイオード8を有して形成されている。そして、有機EL素子7は、その陰極11が光透過しない又は光透過の低い電極材料が用いられて有機発光層10における発光を陽極9側に照射するので、その放射光(白色光)を透光性基板6の表面6a側から外部空間に出射する。そして、その放射光は、図7(a)に示すように、均等拡散に近い配光となっている。
【0035】
また、発光ダイオード8は、透光性基板6の表面6a側に設けられているので、その放射光(白色光)を透光性基板6の表面6a側から外部空間に出射する。そして、その放射光は、図7(b)に示すように、指向性を有する配光となっている。また、その放射光の光軸は、透光性基板6の表面6aと直交している。
【0036】
また、図6に示す発光体2Aは、図4に示す発光体2において、発光ダイオード8を発光ダイオード(LEDモジュール)8Aに替えたものである。すなわち、複数個のLEDベアチップ13は、透光性基板6の表面6aに、マトリックス状に配置されているとともに導電性ペーストなどの接着材24を用いて固着(実装)されている。そして、LEDベアチップ13は、例えば一列ごとに、電極17が隣り合うLEDベアチップ13の電極18にボンディングワイヤ25により接続され、最も一端側に位置するLEDベアチップ13の電極17が配線パターン12の高電位側に接続され、最も他端側に位置するLEDベアチップ13の電極18が配線パターン12の低電位側に接続されている。
【0037】
そして、全てのLEDベアチップ13は、長方形の角筒体26に包囲されている。角筒体26の内部には、YAG系蛍光体粒子14や図示しない光拡散性粒子を混入している透光性樹脂23が充填されて固化されている。LEDベアチップ13は、透光性樹脂23により埋められている。発光ダイオード8Aは、発光ダイオード8と同様に、LEDベアチップ13から放射された青色光およびYAG系蛍光体粒子14による波長変換で発生した黄色光が混色して、白色光を放射する。
【0038】
そして、発光ダイオード8Aは、発光ダイオード8と同様、その放射光(白色光)の光軸が有機EL素子7の陽極9側(発光面)に直交する方向と一致するように、透光性基板6の表面6a側に設けられている。すなわち、有機EL素子7および発光ダイオード8Aのそれぞれの放射光(白色光)が同一方向に出射するように、発光体2Aが形成されている。
【0039】
図1において、点灯装置3は、電源部27、EL点灯回路部28およびLED点灯回路部29を有して形成されている。電源部27は、図示しない商用交流電源に接続され、交流電圧を所定の直流電圧に変換して出力するように形成されている。EL点灯回路部28は、制御装置4の制御により、電源部27から出力された所定の直流電圧を調整して、有機EL素子7の陽極9および陰極11間に出力するように形成されている。すなわち、有機EL素子7に出力する直流電圧を可変して、有機EL素子7を調光点灯させるように形成されている。
【0040】
また、LED点灯回路部29は、制御装置4の制御により、電源部27から出力された所定の直流電圧を調整して、発光ダイオード8(8A)に出力するように形成されている。すなわち、発光ダイオード8(8A)に流れる電流を可変して、発光ダイオード8(8A)を調光点灯させるように形成されている。
【0041】
制御装置4は、信号受信部30、主制御部31および信号送信部32を有して形成されている。信号受信部30は、外部に設けられている調光装置33に接続され、調光装置33から出力された外部信号としての調光信号を入力するように形成されている。
【0042】
調光装置33は、手動操作されるフェーダー34,35を備え、このフェーダーの位置に応じた調光信号を出力するように形成されている。すなわち、フェーダー34,35は、図中、それぞれ0〜100%の範囲で移動される。そして、フェーダー34が0%に位置していると、有機EL素子7を消灯させる調光信号を出力し、100%に位置していると、有機EL素子7を全光(100%)点灯させる調光信号を出力し、中間(50%)に位置していると、有機EL素子7を調光率50%で点灯させる調光信号を出力する。また、フェーダー35が0%に位置していると、発光ダイオード8(8A)を消灯させる調光信号を出力し、100%に位置していると、発光ダイオード8(8A)を全光(100%)点灯させる調光信号を出力し、中間(50%)に位置していると、発光ダイオード8(8A)を調光率50%で点灯させる調光信号を出力する。
【0043】
主制御部31は、マイコンを有し、このマイコンにより、信号受信部30が入力した調光信号に応じて、有機EL素子7および発光ダイオード8(8A)をそれぞれ点消灯または調光点灯させる制御信号を演算生成するように形成されている。信号送信部32は、当該制御信号を点灯装置3のEL点灯回路部28およびLED点灯回路部29に出力するように形成されている。EL点灯回路部28およびLED点灯回路部29は、当該制御信号に応じて、それぞれ有機EL素子7および発光ダイオード8(8A)を点消灯または調光点灯させる。すなわち、有機EL素子7および発光ダイオード8(8A)は、調光装置33のフェーダー34,35の手動操作により点消灯または調光点灯される。
【0044】
器具本体5は、図3に示すように、長方形の略箱状に形成され、下面5a側に光源ユニット36を配設している。光源ユニット36は、ユニット本体37およびカバー体38からなっている。ユニット本体37は、その長手方向の寸法が器具本体5と同等であり、その幅方向の寸法が器具本体5よりも大きく形成されているとともに、比較的浅い深さを有する有底の枠体に形成されている。そして、図3(a)に示すように、底面37a側に有機EL素子7、開口37b側に発光ダイオード8Aが位置するようにして、図示しないねじなどにより、図5に示す発光体2Aを取り付けている。
【0045】
カバー体38は、例えばアクリル樹脂からなる透光性部材としての長方形の透光板39を具備している。そして、ユニット本体37の開口37bを閉塞するようにして、ねじ40,40により、ユニット本体37を介して器具本体5に取り付けられている。発光体2Aは、透光性基板6の表面6a側において、発光ダイオード8Aが透光板39により覆われている。すなわち、透光板39は、発光体2Aに正対するように設けられ、図2に示すように、有機EL素子7および発光ダイオード8Aのそれぞれの放射光(白色光)を出射する出射面となり、外部空間に露出する面が均等な発光面となるものである。
【0046】
そして、器具本体5は、図3(a)に示すように、その内部に点灯装置3および制御装置4を配設している。発光体2A、点灯装置3および制御装置4などは、図示しないリード線および電源線により電気接続されている。器具本体5は、例えば天井面に直付け又は吊り下げられている。
【0047】
なお、ユニット本体37は、図4に示す発光体2を配設しても、透光板39を均等な発光面とすることができるものである。
【0048】
次に、本発明の実施例1の作用について述べる。
【0049】
調光装置33のフェーダー34を移動操作すると、調光装置33から有機EL素子7を点消灯または調光点灯させる調光信号が照明装置1の制御装置4に出力される。制御装置4は、当該調光信号に応じた制御信号を演算生成し、点灯装置3のEL点灯回路部28に出力する。
【0050】
EL点灯回路部28は、当該制御信号に応じて、有機EL素子7の陽極9および陰極11間に印加する直流電圧を変化させる。有機EL素子7の有機発光層10は、当該直流電圧に応じた放射光(白色光)を放射する。こうして、調光装置33から出力された調光信号(外部信号)に応じて、有機EL素子7は、陽極9および陰極11間に印加される直流電圧が可変され、消灯から全光点灯の範囲で調光点灯される。
【0051】
有機EL素子7は、その陰極11が光透過しない例えばアルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)の電極材料からなるので、有機発光層10から放射された白色光は、陽極9側から透光性基板6に照射される。陽極9側の全域は、当該白色光を放射する発光面となっている。そして、当該白色光は、透光性基板6を透過し、透光性基板6の表面6a側に設けられたLEDベアチップ13,13間や配線パターン12,12間などから透光性樹脂23内に入射し、透光性樹脂23を透過し、さらにカバー体38の透光板39を透過して、被照射面(外部空間)に出射する。ここで、白色光は、透光性樹脂23に混入されているYAG系蛍光体粒子14に照射しても、ほとんど波長変換されないものである。
【0052】
有機EL素子7は、長方形の透光性基板6の裏面6bに長方形に形成され、カバー体38の透光板39は、発光体2A(透光性基板6)に正対するように長方形に設けられているので、有機EL素子7から放射された白色光は、透光板39の全域から均等に出射される。すなわち、透光板39は、その全域が均等な発光面および拡散面となる。これにより、透光板39から出射される白色光は、図7(a)に示すように、均等拡散に近い配光となり、発光体2Aは、広角配光が得られる。
【0053】
そして、有機EL素子7から放射される白色光の光量は、点灯装置3のEL点灯回路部28の点灯制御により、有機EL素子7が全光(100%)点灯されるときに最も多く、有機EL素子7の調光率が低くなるにしたがい、その調光率に対してほぼ比例的に減少する。ここで、白色光は、透光板39の全域からほぼ均等に光量が減少していくので、白色光の配光は、有機EL素子7が調光点灯されても、ほぼ均等拡散に近いものである。
【0054】
また、調光装置33のフェーダー35を移動操作すると、調光装置33から発光ダイオード8Aを点消灯または調光点灯させる調光信号が制御装置4に出力される。制御装置4は、当該調光信号に応じた制御信号を演算生成し、点灯装置3のLED点灯回路部29に出力する。
【0055】
LED点灯回路部29は、当該制御信号に応じて、LEDベアチップ13に流れる電流を変化させる。LEDベアチップ13は、その電極17,18間に流れる電流に応じた青色光を放射する。この青色光と、YAG系蛍光体粒子14により前記青色光の一部が波長変換された黄色光とが混色し、発光ダイオード8Aから白色光が出射される。こうして、調光装置33から出力された調光信号(外部信号)に応じて、発光ダイオード8Aは、LEDベアチップ13の電極17,18間に流れる電流が可変され、消灯から全光点灯の範囲で調光点灯される。
【0056】
LEDベアチップ13は、透光性基板6の表面6aにマトリックス状に設けられているので、発光ダイオード8Aから出射された白色光は、カバー体38の透光板39の全域に入射し、透光板39を透過して、被照射面(外部空間)に出射する。しかし、LEDベアチップ13は、指向性を有する青色光を放射する。ここで、透光性樹脂23に光拡散性粒子が混入されていても、その拡散性の効果よりも前記指向性が強く表れる。したがって、透光板39から出射される白色光は、図7(b)に示すように、その光軸が透光性基板6の表面6aと直交するとともに、楕円形状の指向性を有する配光となり、発光体2Aは、狭角配光が得られる。
【0057】
そして、発光ダイオード8Aから出射される白色光の光量は、点灯装置3のLED点灯回路部29の点灯制御により、発光ダイオード8A(LEDベアチップ13)が全光(100%)点灯されるときに最も多く、発光ダイオード8A(LEDベアチップ13)の調光率が低くなるにしたがい、その調光率に対してほぼ比例的に減少する。ここで、白色光は、個々のLEDベアチップ13からの放射光(青色光)の減少に伴い、透光板39の全域からほぼ均等に光量が減少していくので、白色光の配光は、発光ダイオード8Aが調光点灯されても、全光点灯時の配光と相似する。
【0058】
そして、有機EL素子7および発光ダイオード8Aがそれぞれ点灯されると、発光体2Aは、有機EL素子7から放射された白色光および発光ダイオード8Aから放射された白色光を出射する。ここで、発光体2Aは、有機EL素子7の陽極9側(発光面)に直交する方向と、発光ダイオード8Aから放射される放射光(白色光)の光軸が一致するように、透光性基板6に有機EL素子7および発光ダイオード8を設けているので、有機EL素子7および発光ダイオード8から放射されたそれぞれの白色光は、同一方向(被照射面側)に出射される。そして、発光体2Aから放射される白色光の光量は、有機EL素子7および発光ダイオード8Aからそれぞれ放射される白色光の光量の合計となる。
【0059】
また、発光体2Aから放射される白色光の配光は、有機EL素子7から放射される白色光の光量によって形成される配光と、発光ダイオード8Aから放射される白色光の光量によって形成される配光との組み合わせによって形成される。調光装置33からの調光信号により、例えば、有機EL素子7および発光ダイオード8Aがそれぞれ全光(100%)点灯されると、図7(c)に示すように、発光体2Aから放射される白色光は、均等拡散性かつ指向性を有する配光となるとともに、光量が最も多くなって被照射面を明るく照明することができる。そして、有機EL素子7および発光ダイオード8Aがそれぞれ調光率50%で点灯されると、有機EL素子7および発光ダイオード8Aからそれぞれ放射される白色光の光量は、それぞれ全光(100%)点灯時の50%となる。しかし、有機EL素子7および発光ダイオード8Aからそれぞれ放射される白色光の光量の割合は、全光(100%)点灯時とほぼ同等であるので、図7(f)に示すように、発光体2Aから放射される白色光の配光は、全光点灯時の配光と相似する。
【0060】
また、調光装置33からの調光信号により、例えば、有機EL素子7が全光(100%)点灯され、発光ダイオード8Aが調光率50%で点灯されると、有機EL素子7から放射される白色光は、発光ダイオード8Aの光量が全光点灯時の50%となることにより、その光量の割合が発光ダイオード8Aよりも大きくなる。これにより、発光体2Aから放射される白色光は、図7(d)に示すように、光量が大きく、均等拡散性のより大きい配光となる。
【0061】
また、調光装置33からの調光信号により、例えば、有機EL素子7が調光率50%で点灯され、発光ダイオード8Aが全光(100%)点灯されると、発光ダイオード8Aから放射される白色光は、有機EL素子7の光量が全光点灯時の50%となることにより、その光量の割合が有機EL素子7よりも大きくなる。これにより、発光体2Aから放射される白色光は、図7(e)に示すように、光量が大きく、指向性のより大きい配光となる。
【0062】
このように、調光装置33からの調光信号により、有機EL素子7および発光ダイオード8Aの調光率をそれぞれ所望に調整して、有機EL素子7および発光ダイオード8Aをそれぞれ調光点灯させることにより、発光体2Aから放射される白色光の光量および配光がそれぞれ所望に可変される。
【0063】
上述したように、調光装置33のフェーダー34,35を移動操作して、調光装置33から所望の調光信号を送信することにより、点灯装置3が有機EL素子7および発光ダイオード8Aをそれぞれ個別に点消灯または調光点灯する。これにより、有機EL素子7および発光ダイオード8Aのそれぞれの白色光の光量の割合を調整することができるので、発光体2A(照明装置1)から出射される出射光(白色光)の光量および配光を広角配光から狭角配光の間で所望に変化させることができる。
【0064】
また、発光体2Aは、有機EL素子7が透光性基板6の裏面6a側に設けられ、発光ダイオード8Aが透光性基板6の表面6a側に設けられているので、有機EL素子7が点灯することによって有機EL素子7から放射された放射光(白色光)が透光性基板6の裏面6b側から表面6a側に出射される。この有機EL素子7からの放射光(白色光)により、発光ダイオード8Aが点灯しているときの発光ダイオード8Aの背景となる背景輝度が高くなる。これにより、指向性の配光を有する発光ダイオード8Aから放射される放射光(白色光)のグレアを低減することができる。
【0065】
そして、発光体2Aは、図2に示すように、その発光ダイオード8Aが透光性部材としての透光板39により覆われて、外気への露出が防止されているので、発光ダイオード8Aを外的要因から保護することができるとともに、器具本体5の外観性を向上させることができる。
【0066】
なお、発光体2,2Aは、透光性基板6の表面6a側に発光ダイオード8,8Aを設け、裏面6b側に有機EL素子7を設けて、発光ダイオード8,8Aの背後から有機EL素子7の放射光を出射するように形成しているが、これとは逆に、透光性基板6の表面6a側に有機EL素子7を設け、裏面6b側に発光ダイオード8,8Aを設けて、透光性基板6の表面6a側から有機EL素子7および発光ダイオード8,8Aのそれぞれの放射光を出射するように形成してもよい。この場合、有機EL素子7は、その陰極11が透明性導電材料で形成され、発光面が例えばスリット状となるように形成され、発光ダイオード8,8Aは、その放射光が透光性基板6の裏面6bに入射するように、透光性基板6の裏面6b側に透光性基板6と別体に設けられる。
【0067】
また、照明装置1は、制御装置4が調光装置33から調光信号(外部信号)を入力するように構成したが、器具本体5に受信素子および受信装置を設け、これらが外部のリモコン装置から送信された外部信号としての無線信号を受信し入力するように構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、天井等の造営物に取り付けられる施設用または住宅用の照明装置などに利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…照明装置、 2,2A…発光体、 3…点灯装置、 4…制御装置、 5…器具本体、 7…エレクトロルミネッセンス(EL)素子、 8,8A…発光ダイオード、 39…透光性部材としての透光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と;
有機エレクトロルミネッセンス素子および発光ダイオードを有し、前記有機エレクトロルミネッセンス素子の発光面に直交する方向と前記発光ダイオードから放射される放射光の光軸とが一致するように設けられ、前記器具本体に配設された発光体と;
前記有機エレクトロルミネッセンス素子および前記発光ダイオードをそれぞれ調光点灯可能に形成された点灯装置と;
外部信号に応じて前記有機エレクトロルミネッセンス素子および前記発光ダイオードをそれぞれ調光点灯させるように前記点灯装置を制御する制御装置と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記発光体は、透光性部材により覆われており、前記発光体から放射される放射光は、前記透光性部材を透過して出射されることを特徴とする請求項1記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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