説明

照明装置

【課題】照明に必要な蓄光が十分に行われ、かつ、携帯の容易な照明装置1を提供する。
【解決手段】透明材料からなる円筒部2と、光源41から放射される入射光を蓄光として
蓄積する蓄光塗料或いは蓄光紙を円筒部2に塗布或いは張り合わせた蓄光部3と、光源4
1と光源41を保持する保持部42とプラスチック、ガラス等の透明材料からなり光源4
1から放射される入射光を蓄光部3に集光するレンズ部43とからなる光源部4と、光源
部4に電力を供給する電源部5と、から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED、蛍光灯、放電灯、タングステン灯等の光源から放射される光を蓄光
として蓄積し、この蓄積された蓄光を放射し照明光とする照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に記載されているように、光源から放射される光を蓄光する
蓄光体(蓄光部)を照明器具の近傍に設置し、光源から放射される光を蓄光体に蓄光した
後、蓄光体を照明器具の近傍から取り外して携帯し、照明器具から遠く離れた光のない場
所でこの蓄光体の蓄光を放射することにより照明していた。
以下、図面を参照しつつ、従来の照明装置について説明する。
【0003】
図5は、従来の照明装置における構成を示す断面図である。
【0004】
図5に示すように、従来の照明装置100は、着脱可能となされた蓄光体101を、ソ
ケット102とソケット102に取り付けられる光源103とからなる照明器具の近傍に
取り付けることにより構成されている。光源103は、白熱灯や、発光管などである。
【0005】
蓄光体101は、照明器具の近傍に装着されているときに、光源103から放射される
光によって蓄光する。蓄光体101は、透明或いは半透明材料からなる基材上に蓄光材料
を塗布することにより形成されており、照明器具の近傍に装着されたときに、光源103
を覆うようになっている。
【0006】
この実施の形態において、蓄光体101は、円盤状の底板部及び円錐面状の側壁部とか
ら円錐台形状に構成されている。この蓄光体101の上端部は、底板部よりも大きな開口
端となっており、光源103が挿入されるようになっている。
【0007】
この蓄光体101は、光源103の周囲を覆って配置されるので、光源103が放射す
る光により、直接、蓄光体101中の蓄光材料が励起されている。蓄光材料は、例えば、
非特許文献1に記載されている高耐候性蓄光塗料を透明或いは半透明材料からなる基材上
に半透明になるように薄く塗布して、光源103が放射する光の一部分が蓄光体101を
透過するよう設定する。
【0008】
この照明装置100において、蓄光体101が照明器具の近傍に装着されているときに、
光源103が通常の使用状態となされて光を放射することにより、この光による周囲の照
明が行われるとともに、蓄光体101による蓄光が行われる。
【0009】
このとき、光源103から放射された光は、一部が蓄光体101中の蓄光材料の励起に
消費されて蓄光として蓄積され、残部が蓄光体101を透過して、周囲を照明する。
そして、光源103が消灯されたときには、蓄光体101に蓄積された蓄光を放射する
ことにより、周囲の照明が行われる。
【0010】
そして、蓄光体101は、照明器具の近傍から離脱されたときに、光源103がなくて
も、この蓄光体101に蓄積された蓄光を放射して照明光とすることが出来る。このこと
から、照明器具の近傍から取外した蓄光体101は、無給電型の照明装置として、
携帯して使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−47376号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】高耐候性蓄光塗料「HOTARU」の開発 増田豊、小林正雄共著 塗料の研究(関西ペイント(株)広報誌)No.138 July 2002年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述のような蓄光体を用いた従来の照明装置においては、照明器具の光源から放射され
た光を蓄光体に蓄光するとともに、照明器具の光源から放射された光の一部は蓄光体を透
過させて照明光として用いるので、蓄光体を透明もしくは半透明にしなければならなかっ
た。
このため、蓄光体を透明もしくは半透明とするためには、蓄光体に塗布されている蓄光
塗料を薄く塗布しなければならないので十分な蓄光量が得られず、蓄光体から放射される
蓄光を照明光として用いるためには光量が不足すると言う問題点があった。
また、蓄光体を照明器具から取り外して無給電型の照明装置として用いる場合、蓄光体
は円盤状の底板部及び円錐面状の側壁部とから円錐台形状に構成されているため携帯に不
便であり、さらに全方向に蓄光を放射するので照明の必要とされる方向には照明量が著し
く不足してしまうと言う問題点があった。
【0014】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、照明に必要な蓄光が
十分に行われ、かつ、携帯の容易な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願発明における第1の発明は、LED、蛍光灯、放電灯、タングステン灯等の光源4
1から放射される入射光を蓄光し、蓄光を放射して照明光とする照明装置1において、プ
ラスチック或いはガラス等の透明材料からなる円筒部2と、光源41から放射される入射
光を蓄光として蓄積する蓄光塗料或いは蓄光紙を円筒部2に略半円筒状に塗布或いは張り
合わせた蓄光部3と、LED、蛍光灯、放電灯、タングステン灯等からなる光源41と、
光源41を保持する保持部42と、プラスチック、ガラス等の透明材料からなり光源41
から放射される入射光を蓄光部3に集光するレンズ部43と、からなる光源部4と、光源
部4に電力を供給する電源部5と、から構成され、電源部5から光源部4に電力が供給さ
れると光源部4から入射光が放射され蓄光部3に集光されて蓄光として蓄積され、この蓄
光部3に蓄積された蓄光が放射されると、照明光となることを特徴とする照明装置1を提
供するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、LED、蛍光灯、放電灯、タングステン灯等の光源41から放射され
る入射光を蓄光し、蓄光を放射して照明光とする照明装置1において、プラスチック或い
はガラス等の透明材料からなる円筒部2と、光源41から放射される入射光を蓄光として
蓄積する蓄光塗料或いは蓄光紙を円筒部2に略半円筒状に塗布或いは張り合わせた蓄光部
3と、LED、蛍光灯、放電灯、タングステン灯等からなる光源41と、光源41を保持
する保持部42と、プラスチック、ガラス等の透明材料からなり光源41から放射される
入射光を蓄光部3に集光するレンズ部43と、からなる光源部4と、光源部4に電力を供
給する電源部5と、から構成され、電源部5から光源部4に電力が供給されると光源部4
から入射光が放射され蓄光部3に集光されて蓄光として蓄積され、この蓄光部3に蓄積さ
れた蓄光が放射されると、照明光となることにより、照明に必要な蓄光が十分に行われ、
かつ、携帯の容易な照明装置1を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例における照明装置1を説明するための図であり、(A)は上面図を示し、(B)は正面図を示す。
【図2】本発明の実施例における照明装置1を説明するための断面図であり、図1(A)のA−A断面を示す図である。
【図3】本発明の実施例における照明装置1の動作を説明するための断面図であり、図1(B)のB−B断面を示す図である。
【図4】本発明の実施例における照明装置1の光源部4の拡大図である。
【図5】従来の照明装置100を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図4を用いて説明するが、本発明
はかかる実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0019】
次に実施例を説明すると、
図1(A)、図1(B)に示すように、照明装置1は、プラスチック或いはガラス等の
透明材料からなる円筒部2と、蓄光塗料或いは蓄光紙を円筒部の内側に略半円筒状に塗布
或いは張り合わせた蓄光部3と、LED、蛍光灯、放電灯、タングステン灯等からなる光
源と光源を保持する保持部とプラスチック、ガラス等の透明材料からなり光源から放射さ
れる入射光を蓄光部3に集光するレンズ部とからなる光源部4と、光源部4に電力を供給
し、円筒部2の一端に設置される電源部5と、円筒部2の他の一端に設置され蓋の役目を
するプラスチック、ガラス、金属、木材等の材料からなる保護部6と、から構成される。
【0020】
円筒部2は、アクリル、カーボネイト等のプラスチックやガラスのような透明材料で中
空の円筒として形成され、外径は携帯に便利なように略5cmから10cmとする。厚さ
は強度を持たせるため略1mm以上5mm未満とする。円筒部2の形状は、中空の円筒で
あるが、円筒のほかに中空の多角形の筒で代用しても良い。例えば4角形、5角形、6角
形、7角形、8角形・・等である。また、楕円でもよいのは当然である。
【0021】
蓄光部3は、蓄光を効率よく行うために円筒部2の内側の半円筒部分に白色塗料を塗布
し、その上に蓄光塗料を十分な蓄光が行える厚さに塗布する。このようにすれば、蓄光部
2に入射した光は蓄光塗料を透過しても白色塗料で反射されて再び蓄光塗料に照射され蓄
光される。また蓄光塗料に蓄積された蓄光は白色塗料側に放射されても蓄光塗料側に反射
されて戻される。白色塗料の代わりにアルミのような反射部材を用いても良い。蓄光紙を
用いる場合は、接着剤、白色紙、蓄光塗料、保護材料からなる構成のものが市販(株式会
社小松プロセス他)されているので、接着剤側を円筒部2の内側に貼り付ける。また、円
筒部2の内側ではなく、円筒部2の外側に蓄光塗料を塗布しさらにその外側に白色塗料を
塗布してもよい。
【0022】
光源部4は、LED、蛍光灯、放電灯、タングステン灯等からなる光源41と、光源4
1を保持し、電源からの電力を光源41に供給する配線材料も付加されている保持部42
と、プラスチック、ガラス等の透明材料からなり光源41から放射される入射光を蓄光部
3に集光するレンズ部43とからなる。保持部42を不透明な材料で形成すれば光源41
から放射される輝度の高い光を遮光することが出来る。レンズ部43は光源41から放射
された入射光が拡散しないよう蓄光部3に効率よく集光するものであり、図4に示すよう
な複数の凸状のレンズ(マイクロレンズ、レンチキラーレンズ等)とするが半円筒状の透
明部材としてもよい。
【0023】
電源部5は、円筒部2の底部である一端に設置され、図示されていないが、電力の供給
を制御する制御部と電力を供給するバッテリー部とからなり、光源41に電力を制御して
供給する。長時間電力を供給したい場合は、制御部で間欠的に電力を制御して光源41に
供給する。特に輝度が高く寿命の長いLEDの場合は、間欠的に電力を供給して電力消費
量を低減させる。
【0024】
保護部6は、円筒部2の頭部である他の一端に設置されて蓋の役目をし、プラスチック、
ガラス、金属、木材等の材料からなり、ここに携帯に便利なように取っ手を設けてもよい。
【0025】
次に図3、図4を用いて動作を説明する。
電源部5から電力が光源部4の保持部42の配線材料を経由して光源41に供給される
と、光源41から光が入射光として放射され、レンズ43により図3の実線の矢印で示さ
れているように蓄光部3に集光され、この集光された入射光が蓄光として効率よく蓄積さ
れる。次に蓄光部3に効率よく蓄積された蓄光は、図3の点線の矢印で示されているよう
に蓄光部3から照明光L0として放射される。
【0026】
図3に示すように、光源部4からは蓄光部3の方向には入射光が放射されるが、この入
射光は照明光L0には含まれないので、輝度の高い光源から放射される光が照明側からは
視認出来ないので眩しさを緩和することが出来る。
【0027】
例えば、光源部4の光源41を高輝度で発光するLEDとし電源部5から電力を間欠的
に供給する。間隔は発光時間をおよそ0.1〜30秒間に対し蓄光放射時間をおよそ1〜
30分とする。LEDの設置数は、所望される照明量によって決定されるが、1〜10個
程度が携帯性、消費電力を考えると適している。電源部5に設置されるバッテリーは単一
から単三程度の乾電池を数日の使用に耐えるよう複数個用意する。バッテリーは乾電池に
限定されるものではなく、リチウム、水素、鉛、燃料等の市販されている電池を用いれば
よい。
【0028】
以上述べてきたように、光源から放射される入射光を効率よく蓄光することにより、照
明に必要な蓄光が十分に行われ、かつ、携帯の容易な照明装置1を提供することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、光源部4から放射された入射光を蓄光部3に集光して蓄光として蓄積した後、
蓄積された蓄光を照明光とするもので、屋外における外灯やランタンのような携帯型照明
装置にも適用すれば電力の供給されない山間部、未開拓地、等にも容易に設置できる。ま
た屋内の非常灯、演奏会場の演奏時に照明を消した時のガイド灯としても十分利用できる。
特に、蓄光を効率よく行うことが出来るので、携帯用電池の長期間の有効使用が可能と
なり、省エネルギーに効果があるのは自明である。
【符号の説明】
【0030】
1 照明装置
2 円筒部
3 蓄光部
4 光源部
41 光源
42 保持部
43 レンズ部
5 電源部
6 保護部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED、蛍光灯、放電灯、タングステン灯等の光源から放射される入射光を蓄光し、前
記蓄光を放射して照明光とする照明装置において、
プラスチック或いはガラス等の透明材料からなる円筒部と、
前記光源から放射される前記入射光を前記蓄光として蓄積する蓄光塗料或いは蓄光紙を
前記円筒部に略半円筒状に塗布或いは張り合わせた蓄光部と、
前記LED、蛍光灯、放電灯、タングステン灯等からなる前記光源と、前記光源を保持
する保持部と、プラスチック、ガラス等の透明材料からなり前記光源から放射される入射
光を前記蓄光部に集光するレンズ部と、からなる光源部と、
前記光源部に電力を供給する電源部と、
から構成され、
前記電源部から前記光源部に電力が供給されると前記光源部から入射光が放射され前記
蓄光部に集光されて前記蓄光として蓄積され、この前記蓄光部に蓄積された前記蓄光が放
射されると、前記照明光となることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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