説明

照明装置

【課題】
水槽の外側から非接触的に電源を供給する照明装置において、岩等のオブジェを利用して受電部を嵌め込むことにより固定する方法では、水槽のデザインが制約される。
【解決手段】
上記課題を解決するために、本発明者は、以下の水槽のデザイン上の制約が少ない発光ダイオードを用いた照明装置であって、発光ユニットとパワーユニットが磁石を利用して着脱可能に構成された照明装置、又は照明装置を利用した水槽構造体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光ダイオードを用いた照明装置又は照明装置を利用した水槽構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
水族館の照明など水中を照明する必要がある際、水上から水面を照明装置によって照射する場合、水面の反射により、水中に到達する光量が減少するため、水中に照明装置を設置する方が効率的である。
【0003】
従来、室内インテリアとして利用する等の用途で利用される水中照明装置として、本発明と同様に電磁誘導の原理によって非接触手段で電力を供給する水中照明装置が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
この水中照明装置においては、電磁誘導の原理によって非接触手段で電力を供給するための電磁結合の方法として、例えば、水槽外に固定する給電部については、接着テープ等を用いて貼り付けることにより固定する方法、水槽内に固定する受電部については、水槽内に配置する岩等のオブジェの側面ガラス側に接する部位に、例えば嵌込溝を形成し、この嵌込溝を利用して、受電部を嵌め込むことにより、給電部に受電部を対向配置して、固定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許文献1:特開2002-251901
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、岩等のオブジェを利用して受電部を嵌め込むことにより固定する方法では、水槽のデザインが制約される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者は、以下の水槽のデザイン上の制約が少ない発光ダイオードを用いた照明装置又は照明装置を利用した水槽構造体を提供する。
【0008】
すなわち、第一の発明としては、発光する発光ユニットと、発光ユニットに対して着脱可能に構成され絶縁状態で電源を供給するパワーユニットと、からなる照明装置であって、発光ユニットは、発光ダイオードを複数配列した発光部と、発光部に対して電源を供給する電源供給部と、パワーユニットから受ける電磁波を磁電変換して電源供給部に出力する磁電変換部と、磁電変換部にてパワーユニットとの電磁結合が可能となるようにパワーユニットに対して直接的又は間接的に発光ユニットを結合するための磁石を備えた発光ユニット側結合部と、を有し、パワーユニットは、外部電源を受電するための受電部と、受電力を電磁波に変換し発光ユニットの磁電変換部に送出するための電磁変換部と、電磁変換部にて発光ユニットとの電磁結合が可能となるように発光ユニットに対して直接的又は間接的に結合するための磁石を備えたパワーユニット側結合部と、を有する照明装置を提供する。
【0009】
第二の発明としては、発光ユニットの磁電変換部は、コイルを備えた発光ユニット側内部磁芯と、外部磁芯であって、発光ユニット側結合部の磁石の少なくとも一部を収容し、パワーユニットとの着脱境界面に伏せられるカップ状の第一外部磁芯と、さらに第一外部磁芯と発光ユニット側内部磁芯とを内部に収容して前記境界面に伏せられるカップ状の第二外部磁芯とを有し、パワーユニットの電磁変換部は、コイルを備えたパワーユニット側内部磁芯と、外部磁芯であって、パワーユニット側結合部の磁石の少なくとも一部を収容し、発光ユニットとの着脱境界面に伏せられるカップ状の第三外部磁芯と、さらに第三外部磁芯とパワーユニット側内部磁芯とを内部に収容して前記境界面に伏せられるカップ状の第四外部磁芯とを有する第一の発明に記載の照明装置を提供する。
【0010】
第三の発明としては、前記外部磁芯を境界面に伏せられるカップ状に代えて、境界面に立てられ内部磁芯を挟むサンドイッチ状とした第二の発明に記載の照明装置を提供する。
【0011】
第四の発明としては、パワーユニットは、発光ユニットを制御するためのパワーユニット側制御部と、発光ユニットと通信するために発光ユニットとの着脱境界面から入出力を行う赤外線通信手段を有するパワーユニット側送受信部と、を有し、発光ユニットは、パワーユニットと通信するためにパワーユニットとの着脱境界面から入出力を行う赤外線通信手段を有する発光ユニット側送受信部と、を有する第一の発明から第三の発明のいずれか一に記載の照明装置を提供する。
【0012】
第五の発明としては、前記発光ダイオードの輝度劣化を示す指標である劣化値を取得する劣化値取得手段と、取得した劣化値に基づいて電源供給部を制御する制御手段と、を有する発光ユニット側制御部を発光ユニットにさらに備えた第一の発明から第四の発明のいずれか一に記載の照明装置を提供する。
【0013】
第六の発明としては、パワーユニット側制御部は、前記発光ダイオードの輝度劣化を示す指標である劣化値を取得する劣化値取得手段と、取得した劣化値に基づいて発光ユニットの電源供給部を制御する制御手段と、をさらに有する第一の発明から第四の発明のいずれか一に記載の照明装置を提供する。
【0014】
第七の発明としては、前記複数配列された発光ダイオードから生じる熱によって昇温される高温部材と、室温や水温などの環境温度によって相対的に低温の低温部材と、高温部材と低温部材との温度差を用いて発電する熱発電素子と、熱発電素子にて生まれた電力を電源供給部に対して送出する回生電力送出手段と、を有する熱回収部をさらに有する第一の発明から第六の発明のいずれか一に記載の照明装置を提供する。
【0015】
第八の発明としては、熱回収部は、低温部材の温度を相対的に低温に保つための放熱フィンをさらに有する第七の発明に記載の照明装置を提供する。
【0016】
第九の発明としては、発光ユニットの発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部とは、防水構造を有する一の筐体に一体に収納されている第一の発明から第八の発明のいずれか一に記載の照明装置を提供する。
【0017】
第十の発明としては、発光ユニットの電源供給部と磁電変換部と発光ユニット側結合部とは防水構造を有する一の筐体に一体に収納されており、さらに発光部がヒンジを利用して直接的に連結されている第一の発明から第八の発明のいずれか一に記載の照明装置を提供する。
【0018】
第十一の発明としては、発光ユニットの防水構造は、ポリウレア樹脂の吹き付けにてなされている第九の発明又は第十の発明に記載の照明装置を提供する。
【0019】
第十二の発明としては、発光ユニットの発光ユニット側結合部の磁石又はパワーユニットのパワーユニット側結合部の磁石のいずれか一方を磁性金属に代替した第一の発明から第十一の発明のいずれか一に記載の照明装置を提供する。
【0020】
第十三の発明としては、第一の発明から第十二の発明のいずれか一に記載の照明装置を利用した水槽構造体であって、水槽の内側に発光ユニットを配置し、前記配置された発光ユニットとの電磁結合が可能となるように水槽の水密壁の外側にパワーユニットを配置し、電力ラインが直接的に水槽内に配置されないようにした水槽構造体を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の照明装置によれば、水槽のデザイン上の制約のない照明装置を提供することができる。また、本発明の照明装置は磁石で結合しているので、魚がつついて水槽の内側に配置された発光ユニットの位置がずれたとしても、水槽の水密壁の外側に配置されたパワーユニットも磁石の引き合う力によって動くので、相対的位置関係が修正される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態1に係る照明装置の外観の一例を示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係る照明装置において、発光ユニットとパワーユニットとが着脱可能であることを説明するための図である。
【図3】実施形態1に係る照明装置の機能ブロック図の一例である。
【図4】実施形態1に係る照明装置の具体的構成を示す正面図の一例である。
【図5】実施形態1に係る照明装置の発光ダイオードユニットの構成を示す図の一例である。
【図6】実施形態1に係る照明装置のうち、小型の照明装置の発光部の具体的構成を示す図の一例である。
【図7】実施形態1に係る照明装置の具体的構成の断面図を示す図の一例である。
【図8】実施形態1に係る照明装置の発光ユニットとパワーユニットとの着脱境界面を示す図の一例である。
【図9】実施形態2に係る照明装置の発光ユニット側結合部と、磁電変換部とパワーユニット側結合部と、電磁変換部との概念図である。
【図10】実施形態3に係る照明装置の発光ユニットとパワーユニットとの着脱境界面を示す図の一例である。
【図11】実施形態3に係る照明装置の発光ユニット側結合部と、磁電変換部とパワーユニット側結合部と、電磁変換部との構成を示す部分断面斜視図の一例である。
【図12】実施形態4に係る照明装置の機能ブロック図の一例である。
【図13】実施形態5に係る照明装置の機能ブロック図の一例である。
【図14】実施形態5に係る照明装置を用いた場合の印可電圧と獲得電力の時間経過による変化を模式的に示す折れ線グラフの一例である。
【図15】実施形態5に係る照明装置を用いた場合の印可電圧と獲得電力の時間経過による変化を模式的に示す折れ線グラフの光センサを用いた場合の一例である。
【図16】実施形態5に係る照明装置のハードウェア構成図の一例である。
【図17】実施形態7に係る照明装置の機能ブロック図の一例である。
【図18】実施形態8に係る照明装置のうち、小型の照明装置の一例を示す断面図である。
【図19】実施形態8に係る照明装置のうち、小型の照明装置の一例を示す平面図である。
【図20】実施形態13に係る照明装置を利用した水槽構造体の概念図の一例である。
【図21】実施形態13に係る照明装置のうち小型の照明装置を利用した水槽構造体の概念図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。実施形態1は、主に請求項1などについて説明する。実施形態2は、主に請求項2などについて説明する。実施形態3は、主に請求項3などについて説明する。実施形態4は、主に請求項4などについて説明する。実施形態5は、主に請求項5などについて説明する。実施形態6は、主に請求項6などについて説明する。実施形態7は、主に請求項7などについて説明する。実施形態8は、主に請求項8などについて説明する。実施形態9は、主に請求項9などについて説明する。実施形態10は、主に請求項10などについて説明する。実施形態11は、主に請求項11などについて説明する。実施形態12は、主に請求項12などについて説明する。実施形態13は、主に請求項13などについて説明する。
〈〈実施形態1〉〉
〈実施形態1:概要〉
【0024】
実施形態1は、発光ユニットとパワーユニットが磁石を利用して着脱可能に構成された照明装置である。
〈実施形態1:構成〉
【0025】
本実施形態の照明装置は、発光する発光ユニットと、発光ユニットに対して着脱可能に構成され絶縁状態で電源を供給するパワーユニットと、からなる照明装置であって、発光ユニットは、発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部と、を有し、パワーユニットは、受電部と、電磁変換部と、パワーユニット側結合部と、を有する。
〈実施形態1の各構成の説明〉
〈照明装置の全体〉
【0026】
図1は、本実施形態の照明装置の外観の一例を示す斜視図である。図2に示すように、「照明装置」は、発光ユニット(0201)と、発光ユニットに対して着脱可能に構成され絶縁状態で電源を供給するパワーユニット(0202)とからなる。発光ユニットは、照明光源を含むユニットで、これに対して電力を供給する役目をパワーユニットが果たす。また両者は着脱可能に構成されており、かつ、両者間は絶縁状態となるように構成されている。
〈発光ユニットの各構成〉
【0027】
図3は、実施形態1に係る照明装置の機能ブロック図の一例である。この図を用いて、発光ユニット(0301)の各構成を説明する。
【0028】
「発光部」(0303)は、発光ダイオードを複数配列した構成を有する。発光ダイオードとは、電圧を加えると発光するダイオードをいう。配列は、例えば、図4の照明装置の正面図に示すように、発光ダイオードユニット(0401)を、3列にわたって配置し、各列に13ユニット、19ユニット、13ユニットと全部で45ユニット配列することが考えられる。図5は、発光ダイオードユニットの構成の一例であるが、発光ダイオードユニットは、例えば、プリント基板(0501)上に、1から数個の発光ダイオード(0502)を、直列に接続して構成される。また、プリント基板(0503)に、面発光型のLED(0504)を接続して構成してもよい。例えば、小型の照明装置における配列の一例として、図6に示すように、発光ダイオードユニット(0601)を3ユニットずつ2列配列することが考えられる。色は白色が代表であるがこれに限定されるものでない。各種の色を採用しうる。ただし、水槽などに利用する場合には水槽で飼育される魚類などの動物や、水生植物の生育に悪影響を及ぼさない色を選択しなければならない。色温度としては2000Kから8000K程度の範囲内となる。発光ダイオード以外の構成としては、例えば、発光ダイオードを外部環境から保護するための保護構造が備えられている。例えば水中に配置される場合には水密構造で保護されており、発光ダイオードから発する光は水密のガラスを介して外部に放射される。またこのガラスと、発光ダイオードの配列との間にカラー液晶パネルを配置してもよい。この場合にはカラー液晶パネルを外部からの信号で制御することにより、照明の色彩を変化させることが可能となる。
【0029】
ガラスは透明のプラスティックで代替することも可能である。さらに発光ダイオードからの光は直進性が高いので全体に光が拡散するように拡散板を発光ダイオードの前方に配置してもよい。この場合には、前述のガラスに代替した透明プラスティック板を拡散板と兼用するように構成してもよい。
【0030】
ここで図7を参照する。図7は、実施形態1に係る照明装置の断面図の一例である。発光ユニット(0701)には、前述の、発光ダイオードユニット(0702)が配列され、拡散板(0703)が配置されている。また、発光ユニット側回路(0708)は、電源供給部を含む。パワーユニット側回路(0709)は、受電部を含む。なお、この図に示された発光ユニットの開口部(0704)、放熱フィン(0705)、筐体(0706)、ポリウレア樹脂層(0707)については、後述する。
【0031】
ここで、再び図3を参照する。
【0032】
「電源供給部」(0304)は、発光部に対して電源を供給する。電源供給部は、後述する磁電変換部から電力を受け取り、これを発光部に対して供給するように構成されている。なお、電力は磁電変換部以外からも受け取れるように構成されていてもよい。例えば充電式のバッテリーを備えており、磁電変換部からの電力を受け取れなくなった場合には臨時にこのバッテリーに蓄えられている電力を利用するように構成されていてもよい。さらにソーラーバッテリーなどを備えており、太陽光や室内照明から電力を得るように構成してもよい。発光部が発光ダイオードである場合には直流を供給するように構成される。さらに供給すべき電圧が所定の値となるように電圧安定化回路を備えていてもよいし、電源の供給をできるだけ低ノイズで行うためのノイズリダクション回路を備えていてもよい。
【0033】
「磁電変換部」(0305)は、パワーユニットから受ける電磁波を磁電変換して電源供給部に出力する。具体的には、磁電変換部のコイル(給電用コイル)により、電磁波による磁界の変化に合わせて電磁誘導の原理で電流を発生させる。そして、この発生した電流を電源供給部に出力する。磁電変換部は、磁芯を有し、その磁芯に対して電線が巻きつけられることでコイルを構成している。この磁芯はたとえば略コの字型をしており、一方の端部と他方の端部とがパワーユニットとの接合面に略垂直に配置されるのが典型的な構成である。ただし、これに限定されるものではない。磁芯は一本のみならず二本、すなわち二つの磁芯によって磁電変換部が構成されていてもよい。この場合には略コの字状の磁芯が前記発光ユニットとの接合面側から観察して略十字となるように組み合わされる構成が一般的であろう。磁芯の材質は、透磁率の大きい軟磁性材料がよい。例えばパーマロイなどの合金である。
【0034】
「発光ユニット側結合部」(0306)は、磁電変換部にてパワーユニットとの電磁結合が可能となるようにパワーユニットに対して直接的又は間接的に発光ユニットを結合するための磁石を備えている。例えば、ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする合金磁石を利用して結合すれば、機械的な結合構造が不要なので境界面は凹凸のない平滑な形状とすることができる。例えば、ねじ込み式と併用すれば、より確実に結合することができる。ここで、「直接的に結合する」とは、パワーユニットから電磁波を受け取れる位置関係に、発光ユニットが密着している場合をいう。また「間接的に結合する」とは、例えば、ガラスやアクリル、紙などの物質又は空間を隔てて結合している場合をいい、パワーユニットから電磁波を受け取れる位置関係にあれば、密着していなくとも結合に含まれる。
【0035】
また、発光ユニット側とパワーユニット側に位置決め用に磁石を配置しても良い。例えば、図8に示すように、発光ユニット側結合部の磁石(0801)がパワーユニット側結合部の磁石(0802)によって形成される多角形の内側になるように配置すれば、磁石が引き合う力が相互に作用して、発光ユニットとパワーユニットとを、望ましい相対的位置関係で結合することができる。発光ユニット側の磁石の方が外側になってもよい。この磁石には、例えば、フェライト磁石を用いればよい。
〈パワーユニットの各構成〉
【0036】
ここで再び図3を参照して、パワーユニット(0302)の各構成を説明する。
【0037】
「受電部」(0307)は、外部電源を受電する。家庭用の100vや、産業用の200vの電源を想定している。ただし、これに限定されるものではない。受電部はこれら電源から有線で電力を受け取る。しかし、無線で受け取ってもよいし、バッテリーなどから受け取るように構成してもよい。また、太陽電池や燃料電池などから受け取るように構成してもよいし、ハイブリッドカーなどのバッテリーや、船のエンジンなどにつながった発電機から受電するように構成してもよい。
【0038】
「電磁変換部」(0308)は、受電力を電磁波に変換し発光ユニットの磁電変換部に送出する。具体的には、電磁変換部のコイル(受電用コイル)に交流を流すことで、電磁波を発生するように構成されている。電磁変換部は、磁芯を有し、その磁芯に対して電線が巻きつけられることでコイルを構成している。この磁芯はたとえば略コの字型をしており、一方の端部と他方の端部とが発光ユニットとの接合面に略垂直に配置されるのが典型的な構成である。ただし、これに限定されるものではない。磁芯は一本のみならず二本、すなわち二つの磁芯によって電磁変換部が構成されていてもよい。この場合には略コの字状の磁芯が前記発光ユニットとの接合面側から観察して略十字となるように組み合わされる構成が一般的であろう。磁芯の材質は、透磁率の大きい軟磁性材料がよい。例えばパーマロイなどの合金である。
【0039】
「パワーユニット側結合部」(0309)は、電磁変換部にて発光ユニットとの電磁結合が可能となるように発光ユニットに対して直接的又は間接的に結合するための磁石を備える。例えば、ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする合金磁石を利用して結合すれば、機械的な結合構造が不要なので境界面は凹凸のない平滑な形状とすることができる。例えば、ねじ込み式と併用すれば、より確実に結合することができる。「直接的に結合する」とは、パワーユニットから電磁波を受け取れる位置関係に、発光ユニットが密着している場合をいう点、「間接的に結合する」とは、例えば、ガラスやアクリル、紙などの物質又は空間を隔てて結合している場合をいい、パワーユニットから電磁波を受け取れる位置関係にあれば、密着していなくとも結合に含まれる点については、発光ユニット側結合部と同様に構成される。
〈実施形態1:効果〉
【0040】
本発明の照明装置によれば、水槽のデザイン上の制約のない照明装置を提供することができる。また、本発明の照明装置は磁石で結合しているので、魚がつついて水槽の内側に配置された発光ユニットの位置がずれたとしても、水槽の水密壁の外側に配置されたパワーユニットも磁石の引き合う力によって動くので、相対的位置関係が修正される。
【0041】
なお、パワーユニットと発光ユニットとは、ともに結合された状態で水中に配置されて利用されてもよい。この場合には発光ユニットの劣化に伴う交換作業が容易に行えるという効果を有する。本実施形態は、水中での使用に限られるものではなく、屋外における照明装置としても、好適である。
〈〈実施形態2〉〉
〈実施形態2:概要〉
【0042】
実施形態2は、実施形態1を基本としつつ、発光ユニット側結合部と、パワーユニット側結合部の磁石を外部磁芯で二重に遮蔽することを特徴とする照明装置である。
〈実施形態2:構成〉
【0043】
本実施形態の照明装置は、発光ユニットと、パワーユニットと、からなり、発光ユニットは、発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部と、を有し、パワーユニットは、受電部と、電磁変換部と、パワーユニット側結合部と、を有する点で実施形態1と共通する。そして、発光ユニット側の磁電変換部と、パワーユニット側の電磁変換部の構成に特徴を有する。以下にこの特徴部分について説明をする。その他の部分に関しては実施形態1と同様であるので説明を省略する。
〈実施形態2の各構成の説明〉
〈発光ユニットの磁電変換部の説明〉
【0044】
図9は、実施形態2に係る照明装置の発光ユニット側結合部と、発光ユニットに備えられた磁電変換部とを示す概念図である。なお、パワーユニット側各部に関しても示している。この図を用いて、まず発光ユニットの磁電変換部の構成を説明する。
【0045】
「磁電変換部」は、コイルを備えた発光ユニット側内部磁芯(0901)と、第一外部磁芯(0902)と、第二外部磁芯(0903)とを有する。
【0046】
「第一外部磁芯」は、外部磁芯であって、発光ユニット側結合部の磁石の少なくとも一部を収容し、パワーユニットとの間の境界面に伏せられるカップ状の磁芯である。カップ形状は特に問わない。飲み口が丸いコーヒーカップ状のものでもよいし、図8で示すように四角い弁当箱の本体や蓋のような形状であってもかまわない。材質は高透磁率の材料が好ましい。パーマロイなどの鉄系の合金などである。パワーユニットとの境界面とはパワーユニットと磁石結合した場合の境界をなす側の面を言い、具体的にはプラスティック材料などの非磁性材料からなる板状の部材である。この部材を発光ユニット蓋部材(0904)と称することとする。この発光ユニット蓋部材と第一外部磁芯とによって発光ユニット側結合部の磁石(0905)などが外部環境から隔離され保護されるように構成される。
【0047】
「第二外部磁芯」は、外部磁芯であって、さらに第一外部磁芯と発光ユニット側内部磁芯とを内部に収容して前記境界面に伏せられるカップ状の磁芯である。ここで、「境界面」は、前述の発光ユニット蓋部材である。また、「外部磁芯」とは、コイルを覆う磁性体である。第一及び第二外部磁芯により、発光ユニット側内部磁芯に備えられたコイルの周りが覆われている。コイルのまわりを覆うことによって、磁力線は磁芯を構成する磁性体に集中し、磁力線が外部に漏れることを少なくでき、かつ、磁電変換部の磁束密度を大きくすることができる。また第二外部磁芯は第一外部磁芯を覆うように構成されるので、発光ユニット側結合部の磁石をも覆うように構成されこれら構造を外部環境から隔離して保護する機能をも併せ持つ。なお、第一外部磁芯と第二外部磁芯とにはさまれた領域には磁電変換部であるコイルが存在するが、このコイルが存在する領域を絶縁性の液体などで満たす構成としてもよい。そうすればこの領域が空気で満たされている場合よりもスパークなどの発生を抑制でき、また全体の密度を高めることができるので水中にこの照明装置の発光ユニットを配置した場合に浮力を軽減することができる。浮力が軽減することができると発光ユニットが水中で浮きにくくなるので、パワーユニットとの結合力を相対的に弱く設計することができる。
〈発光ユニット側内部磁芯〉
【0048】
発光ユニット側内部磁芯は、前述の通り発光ユニットの第一外部磁芯と第二外部磁芯と、発光ユニット蓋部材とによって構成される閉空間に配置される。発光ユニット側内部磁芯の一端部は発光ユニット蓋部材に対してパワーユニットとの境界面の法線方向に磁力線が入射するように配置される。この磁力線はパワーユニット側内部磁芯から放射されたものである。また発光ユニット側内部磁芯の他端部も同様にパワーユニットとの境界面の法線方向に磁力線が入射するように配置される。この磁力線がワーユニット側内部磁芯から放射されたものである点は前述と同様である。発光ユニット側内部磁芯の材料は、やはり高透磁率材料を用いる。パーマロイなどの鉄系合金である。さらに発光ユニット側内部磁芯には電線が巻きまわされており、コイルを形成している。このコイルによってパワーユニットから入力される電磁界変化が電力として取り出される。電力として取り出すためには第二外部磁芯の一部に電力取り出しの穴を設けておき、その穴から電力線などを導いて発光ユニットの用に供する。この穴はシール材料などで密封されているとよい。なお、パワーユニットからの制御を受けて発光ユニットで取り出す電力を調整する場合には発光ユニットにおける発光部に供する電力のためのコイル(0906)と、発光ユニットにおける制御回路などで利用する電力のためのコイルである制御電力用コイル(0907)とを別として構成するとよい。つまり、発光ユニット側内部磁芯には、発光部用のコイルと、制御回路用のコイルとを別々に独立して巻きまわすことが考えられる。
〈パワーユニットの電磁変換部の構成〉
【0049】
図9は、実施形態2に係る照明装置のパワーユニット側結合部と、パワーユニットに備えられた電磁変換部とを示す概念図である。なお、前述のとおり発光ユニット側各部に関しても示している。この図を用いて、さらにパワーユニットの電磁変換部の構成を説明する。
〈電磁変換部の説明〉
【0050】
「電磁変換部」は、コイルを備えたパワーユニット側内部磁芯(0908)と、第三外部磁芯(0909)と、第四外部磁芯(0910)とを有する。
【0051】
「第三外部磁芯」は、外部磁芯であって、パワーユニット側結合部の磁石の少なくとも一部を収容し、発光ユニットとの間の境界面を構成する非磁性材料であるプラスティックなどからなるパワーユニット蓋部材(0911)に伏せられるカップ状である。カップ形状は特に問わない点、材質は高透磁率の材料が好ましい点、パワーユニット蓋部材と第三外部磁芯とによってパワーユニット側結合部の磁石(0912)などが外部環境から隔離され保護される点、などは、発光ユニット側磁電変換部と同様に構成される。
【0052】
また、第三外部磁芯のパワーユニット蓋部材に被せられる縁は、発光ユニットの第一外部磁芯が発光ユニット蓋部材に被せられる縁とちょうど重なるように構成してもよい。そうすればパワーユニット側の第三外部磁芯に生じる磁束が発光ユニットの第一外部磁芯にスムーズに伝達可能となるからである。
【0053】
「第四外部磁芯」は、外部磁芯であって、さらに第三外部磁芯とパワーユニット側内部磁芯とを内部に収容して前記境界面に伏せられるカップ状である。ここで、「境界面」は、前述のパワーユニット蓋部材である。また、「外部磁芯」とは、コイルを覆う磁性体である点、第三及び第四外部磁芯により、パワーユニット側内部磁芯に備えられたコイルの周りが覆われている点、第四外部磁芯は第三外部磁芯を覆うように構成されるので、パワーユニット側結合部の磁石をも覆うように構成されこれら構造を外部環境から隔離して保護する機能をも併せ持つ点、第三外部磁芯と第四外部磁芯とにはさまれた領域には磁電変換部であるコイルが存在するがこのコイルが存在する領域を絶縁性の液体などで満たす構成としてもよい点、などは、発光ユニット側磁電変換部と同様に構成される。
【0054】
また、第四外部磁芯のパワーユニット蓋部材に被せられる縁は、発光ユニットの第二外部磁芯が発光ユニット蓋部材に被せられる縁とちょうど重なるように構成してもよい。そうすればパワーユニット側の第四外部磁芯に生じる磁束が発光ユニットの第二外部磁芯にスムーズに伝達可能となるからである。
〈第一から第四外部磁芯全体〉
【0055】
さらに、発光ユニット側結合部の磁石及びパワーユニット側結合部の磁石は、第一から第四外部磁芯によって、二重に覆われる構成となっている。すなわち、図8に示されるように、発光ユニット側結合部の磁石(0803、0804)は、発光ユニット側内部磁芯(0805)の周囲を覆う第一外部磁芯(0806)と、第二外部磁芯(0807)に覆われている。したがって、結合のための磁石から生じる磁気を遮蔽することができる。これは、磁気の影響を受けやすい生物を収容する水槽などの照明に利用するためには重要である。
【0056】
例えば、磁石を保持する部材を第一外部磁芯内などに配置することも考えられる。図9中ではアルミ部材からなる磁石保持構造(0913、0913)を例示した。この磁石保持構造には、磁石を余裕をもって保持できるようにするための余裕が設けられている。魚につつかれたときなどに生じる振動などから磁石を保護するためにこの余裕領域には緩衝材料などを配置するとよい。磁石にはもろいものもあるからである。また、発光ユニットとパワーユニットを導電体、例えばアルミの筐体で覆うことが考えられる。これらの場合、パワーユニット側コイル(受電用コイル)や発光ユニット側コイル(給電用コイル)によって生じる動磁場の外部漏えいをさらに軽減できる。
〈パワーユニット側内部磁芯〉
【0057】
パワーユニット側内部磁芯は、前述の通りパワーユニットの第三外部磁芯と第四外部磁芯と、パワーユニット蓋部材とによって構成される閉空間に配置される。パワーユニット側内部磁芯の一端部はパワーユニット蓋部材に対して発光ユニットとの境界面の法線方向に磁力線が放射するように配置される。この磁力線は発光ユニット側内部磁芯が磁電変換のために利用する。またパワーユニット側内部磁芯の他端部も同様に発光ユニットとの境界面の法線方向に磁力線を放射するように配置される。この磁力線が発光ユニットにて利用される点は前述と同様である。パワーユニット側内部磁芯の材料は、やはり高透磁率材料を用いる。パーマロイなどの鉄系合金である。さらにパワーユニット側内部磁芯には電線が巻きまわされており、コイルを形成している。このコイルによって発光ユニットに対して磁力を出力する。コイルに電流を流すためには第四外部磁芯の一部に電線引き入れの穴を設けておき、その穴から電力線などを導いてパワーユニットの用に供する。この穴はシール材料などで密封されているとよい。
〈実施形態2:効果〉
【0058】
本実施形態では、磁界のもれを抑えられるので、水槽内などの魚や鳥の生態に影響を与えるおそれを減少できる。その理由は以下のとおりである。動物の耳胞又は内耳にある石灰質の結石あるいは砂などの小片を耳石といい、この耳石は、平衡感覚に関与するといわれている。鳥や魚には磁性を持つ耳石が耳石器内にあり、これが地磁気を感知してナビゲーターの役割を果たしている可能性が高いとの研究成果もある。したがって、磁石や、コイルが発生する磁界が魚の耳石に影響を及ぼす可能性がある。しかしながら、本実施形態ではこの影響を少なくできるのでこの種の生物を飼育する環境の照明に適している。
【0059】
また、本実施形態では、磁石は、第一から第四外部磁芯により、略すき間なく、二重に遮蔽される構成とすれば、さらに磁界が漏れることを少なくできるので、魚に対して影響を与えるおそれを減少することができる。
〈〈実施形態3〉〉
〈実施形態3:概要〉
【0060】
実施形態3は、実施形態2を基本としつつ、外部磁芯が内部磁芯を挟むサンドイッチ状とした点を特徴とする照明装置である。
〈実施形態3:構成〉
【0061】
本実施形態の照明装置は、発光ユニットと、パワーユニットと、からなり、発光ユニットは、発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部と、を有し、パワーユニットは、受電部と、電磁変換部と、パワーユニット側結合部と、を有する。さらに、発光ユニット側の磁電変換部と、パワーユニット側の電磁変換部に内部磁芯と外部磁芯を有する点で実施形態2と共通する。そして、この外部磁芯の形状に特徴を有する。以下にこの特徴部分について説明をする。その他の部分に関しては実施形態1又は2と同様であるので説明を省略する。
〈実施形態3の各構成の説明〉
【0062】
外部磁芯の形状は、境界面に伏せられるカップ状に代えて、境界面に立てられ内部磁芯を挟むサンドイッチ状である。図10は、実施形態3の照明装置の発光ユニットとパワーユニットとの着脱境界面の一例を示す図である。例えば、略コの字型の発行ユニット側内部磁芯(1001)が、略コの字型の第一外部磁芯(1002)と第二外部磁芯(1003)に挟まれている構成とすれば良い。あるいは、発光ユニット側内部磁芯が一方の端部と他方の端部とを結ぶ線が平行となるように配置されており、アーチ型又はコの字型に形成された第一外部磁芯と第二外部磁芯に挟まれている構成としても良い。また、この図面には、発光ユニット側結合部の磁石(1004)、位置決め用の発光ユニット側結合部の磁石(1005)、パワーユニット側結合部の磁石(1006)も示されている。
【0063】
図11は、実施形態3の照明装置の発光ユニットの発光ユニット側結合部と磁電変換部と、パワーユニットのパワーユニット側結合部と電磁変換部との具体的構成を示す部分断面斜視図の一例である。この図に示すように、発光ユニット側内部磁芯(1101)はコイル(1102)を備え、第一外部磁芯(1103)と第二外部磁芯(1104)とにサンドイッチ状に挟まれており、これらが、発光ユニット側結合部の磁石(1105)を覆う構成となっている。なお、本図面には、同様に構成されたパワーユニット側各部も示されている。
〈実施形態3:効果〉
【0064】
本実施形態の照明装置は、外部磁芯の形状が比較的単純なので、製造が容易である。
〈〈実施形態4〉〉
〈実施形態4:概要〉
【0065】
実施形態4は、実施形態1から3までのいずれか一を基本としつつ、パワーユニットと発光ユニットとの間で入出力を行う赤外線通信手段を有することを特徴とする照明装置である。
〈実施形態4:構成〉
【0066】
図12は、実施形態4に係る照明装置の機能ブロック図の一例である。
【0067】
本実施形態の照明装置は、発光ユニット(1201)と、パワーユニット(1202)と、からなり、発光ユニットは、発光部(1203)と、電源供給部(1204)と、磁電変換部(1205)と、発光ユニット側結合部(1206)と、を有し、パワーユニットは、受電部(1207)と、電磁変換部(1208)と、パワーユニット側結合部(1209)と、を有する点で、実施形態1から3までのいずれか一と共通する。そして、本実施形態の照明装置は、パワーユニットに、さらに、パワーユニット側制御部(1210)と、パワーユニット側送受信部(1211)と、を有し、発光ユニットに、発光ユニット側送受信部(1212)と、を有する点に特徴を有する。以下にこの特徴部分について説明をする。その他の部分に関しては実施形態1から3までのいずれか一と同様であるので説明を省略する。
〈実施形態4の各構成の説明〉
〈パワーユニットの各構成〉
【0068】
「パワーユニット側制御部」は、発光ユニットを制御する。例えば、発光部に配列されている発光ダイオードのうち、一部のみを点灯させたり、発光色が複数種類ある場合には発光色を制御したり、点滅をさせたり、照度を変えたり、発光ユニット側の内部回路の定数を変えたり、発光ユニットの内部回路の動作を停止したり、作動させたりするように制御する。図7のパワーユニット側回路(0709)には、このパワーユニット側制御部がさらに含まれる。パワーユニット側制御部は、本件照明装置外からこの制御のための信号を受信するように構成されていてもよい。信号はたとえば無線、有線で送られてくる。また発光ユニットから発光ユニットの稼働状況などを示す信号を受信して、これに応じてパワーユニット側制御部内部で制御信号を選択し、これを発光ユニットに送信するなども考えられる。
【0069】
「パワーユニット側送受信部」は、発光ユニットと通信するために発光ユニットとの着脱境界面であるパワーユニット蓋部材から入出力を行う赤外線通信手段を有する。パワーユニット側送受信部から発光ユニット側送受信部に対して出力される信号としては、例えば、前述のパワーユニット制御部が発光ユニットを制御するための制御信号が考えられる。発光ユニット側送受信部からパワーユニット側送受信部に入力される信号としては、例えば、前述の発光ユニットの稼働状況などを示す信号が考えられる。赤外線は、可視光である赤色光より波長の長い電磁波であるが、通信手段としては、近赤外線を用いるのが良い。このパワーユニット蓋部材の一部は、赤外線を透過するよう、透明に構成すれば良い。なお、送受信に赤外線を利用する構成とすれば外部放射によって魚類や鳥類などに悪影響を与えることを少なくすることができる。なぜなら光は直進性が高いためである。またパワーユニットと発光ユニットとの間に水槽のガラス壁などがあっても赤外光を透過できるので便利である。一方、赤外光に代えて電波などを利用することも考えられる。この場合には外部放射による問題は残るがパワーユニットと発光ユニットとが多少ずれていても信号の授受が可能である点で優れている。また電波や、赤外光に代えて音波としたり、可視光とすることも可能である。
〈発光ユニットの各構成〉
【0070】
「発光ユニット側送受信部」は、パワーユニットと通信するためにパワーユニットとの着脱境界面である発光ユニット蓋部材から入出力を行う赤外線通信手段を有する。赤外線は、可視光である赤色光より波長の長い電磁波であるが、通信手段としては、近赤外線を用いるのが良い。発光ユニットの一部は、赤外線を透過するよう、透明に構成すれば良い。
〈実施形態4:効果〉
【0071】
本実施形態に係る照明装置により、パワーユニット側から制御を無線で行えるので、間にガラスやアクリルが挟まっていてもパワーユニット側からの制御が可能となる。また、赤外線という光を用いるので、直進性が強く、外部に漏れるおそれがなく、魚などの生物に悪影響を与えない。
〈〈実施形態5〉〉
〈実施形態5:概要〉
【0072】
実施形態5は、実施形態1から4のいずれか一を基本としつつ、発光ダイオードの輝度劣化を示す指標である劣化値に基づいて電源供給部を制御する発光ユニット側制御部を発光ユニットにさらに備えることを特徴とする照明装置である。
〈実施形態5:機能的構成〉
【0073】
図13は、実施形態5に係る照明装置の機能ブロック図の一例である。
【0074】
この図に示すように、本実施形態の照明装置は、発光ユニット(1301)と、パワーユニット(1302)と、からなり、発光ユニットは、発光部(1303)と、電源供給部(1304)と、磁電変換部(1305)と、発光ユニット側結合部(1306)と、を有し、パワーユニットは、受電部(1307)と、電磁変換部(1308)と、パワーユニット側結合部(1309)と、を有する。また、この図には示されていないが、パワーユニットに、パワーユニット側制御部、パワーユニット側送受信部を有し、発光ユニットに、発光ユニット側送受信部を有することとしても良い。以上の点は、実施形態1から4までのいずれか一と共通する。そして、本実施形態の照明装置は、発光ユニット側制御部(1310)を発光ユニットにさらに備える点に特徴を有する。以下にこの特徴部分について説明をする。その他の部分に関しては実施形態1から4までのいずれか一と同様であるので説明を省略する。
〈実施形態5の各構成の説明〉
〈発光ユニットの各構成〉
「発光ユニット側制御部」は、劣化値取得手段(1311)と、制御手段(1312)と、を有する。この発光ユニット側制御部の制御手段は、図7の発光ユニット側回路(0708)に含まれている。
【0075】
「劣化値取得手段」は、前記発光ダイオードの輝度劣化を示す指標である劣化値を取得する。例えば、電圧検知器が考えられ、劣化値は、その計測電圧値が挙げられる。図14は、実施形態5に係る照明装置を用いた場合の印加電圧と獲得電力の時間経過による変化を模式的に示す折れ線グラフの一例である。部品が劣化すると、抵抗値は増大する。抵抗値の増大は、自然対数関数で記述されるべきだが、短期間(素子寿命の1/2以下)で減衰することを問題にすると仮定して、線形に近似されると想定した。すると、電位差E、電流I、抵抗Rにおいて、単位時間tにおける電流は、
【数1】

より、
【数2】

と変化する。
一方、実際に得られる明るさPは、
【数3】

より、
【数4】

と変化する。つまり、定電流制御の場合、電圧と抵抗の変化に従って、輝度が変化していくと想定される。そこで、印加する電圧と実際に劣化する抵抗値の間で、P=IEに従い、獲得できる明るさを算出すればよい。
【0076】
また、より直接的に、光センサを用いて、獲得された明るさを劣化値として、制御することも考えられる。この場合、電圧と抵抗の変化の和に応じて制御する結果となる。この場合、印加電流などと獲得電力の時間経過による変化を模式的に示す折れ線グラフは、図15のようになる。
【0077】
「制御手段」は、取得した劣化値に基づいて電源供給部を制御する。すなわち、例えば劣化値が閾値以下となったら、電源供給部から発光部のために供給される電源電圧を昇圧する。その他、関数y=f(x)に劣化値xを入れ、算出された電圧値yに制御することも考えられる。
〈実施形態5:制御部のハードウェア構成〉
【0078】
図16は、実施形態5に係る照明装置のハードウェア構成図の一例である。この図を用いて、発光ユニット側制御部の構成について説明する。
【0079】
本実施形態の発光ユニット側制御部は、「CPU(中央演算装置)」(1601)、「RAM(主メモリ)」(1602)、「I/O」(1603、1606)、「記憶装置」(1604)等で構成されており、また、I/Oには、「電圧検知器」(1605)が接続されている。そして、それらが「システムバス」(1607)等のデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。また、記憶装置には、制御プログラム、判定プログラム、制御命令生成プログラム等が保持されており、装置の起動時にRAM(主メモリ)上に展開される。
【0080】
電圧検知器で発光ダイオードから検知された電圧値は、定期的にRAM(主メモリ)に一時的に蓄積される。RAM(主メモリ)上に展開された判定プログラムにしたがって、CPUは、この電圧値が一定値以下になることを判定する。一定値以下との判定がされると、CPUは、RAM(主メモリ)上に展開された制御プログラムにしたがって、劣化値として取得された電圧値に対応する変更後の電源電圧値を算出する演算を行う。具体的にCPUは、例えば電源電圧値又は/及び電源電流値を関係テーブルや関数から算出する。この関係テーブルや関数は、ROM又はハードディスク等の記憶装置に保持されている。算出された電源電圧値又は/及び電源電流値は、RAM(主メモリ)に一時的に蓄積される。この電源電圧値又は/及び電源電流値となるよう電源供給部から発光部のために供給される電源電圧を昇圧する制御命令を制御プログラムにしたがって生成し、図示しない電源供給部の制御回路に出力する。
〈実施形態5:効果〉
【0081】
発光ダイオードの寿命は、輝度が50%に減少するまでとされている。
本実施形態に係る照明装置により、電源電圧値又は/及び電源電流値を変更することで輝度を回復し、長寿命化を図ることができる。そして、発光ユニット側で制御を行うので、赤外線通信等の通信手段を介したデータの授受を行う必要がなく、制御の信頼性が高められる。
〈〈実施形態6〉〉
〈実施形態6:概要〉
【0082】
実施形態6は、実施形態4又は実施形態4に従属する実施形態5を基本としつつ、パワーユニット側制御部は、発光ダイオードの輝度劣化を示す指標である劣化値に基づいて発光ユニットの電源供給部を制御することを特徴とする照明装置である。
〈実施形態6:構成〉
【0083】
本実施形態の照明装置は、発光ユニットと、パワーユニットと、からなり、発光ユニットは、発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部と、発光ユニット側送受信部と、を有し、パワーユニットは、受電部と、電磁変換部と、パワーユニット側結合部と、パワーユニット側制御部と、パワーユニット側送受信部と、を有する点で実施形態4又は実施形態4に従属する実施形態5と共通する。そして、本実施形態の照明装置は、パワーユニット側制御部が、劣化値取得手段と制御手段をさらに有する点に特徴を有する。以下にこの特徴部分について説明をする。その他の部分に関しては実施形態1から5までのいずれか一と同様であるので説明を省略する。
〈実施形態6の各構成の説明〉
〈パワーユニット側制御部の説明〉
【0084】
「パワーユニット側制御部」は、劣化値取得手段と、制御手段を有する。
【0085】
劣化値取得手段は、例えば劣化値である計測電圧値や明るさを、発光ユニットの発光ユニット側送受信部からパワーユニットのパワーユニット側送受信部に対する赤外線通信を介して取得する。あるいは、パワーユニットにて電圧検知器により、劣化値である計測電圧値を取得しても良い。
【0086】
制御手段は、パワーユニットの電磁変換部に供給される電力を制御する。あるいは、発光ユニットの制御のための制御信号を、パワーユニット側送受信部から発光ユニット側送受信部に対する赤外線通信を介して電源供給部の制御回路に出力することとしても良い。
【0087】
その他の部分については、実施形態5で説明したところと同様であるので、省略する。
〈実施形態6:効果〉
【0088】
本実施形態に係る照明装置により、発光ダイオードの寿命は、輝度が50%に減少するまでとされているが、電源電圧値又は/及び電源電流値を変更することで輝度を回復し、長寿命化を図ることができ、メンテナンスの回数自体を減らすことができる。パワーユニット側で電圧の制御を行う場合には、発光ユニットに無駄なエネルギーが供給されて、この無駄なエネルギーが熱として排出されるのを少なくすることができる。
〈〈実施形態7〉〉
〈実施形態7:概要〉
【0089】
実施形態7は、実施形態1から6のいずれか一を基本としつつ、さらに発光ダイオードから生じる熱によって発電を行う熱回収部を有することを特徴とする照明装置である。
〈実施形態7:構成〉
【0090】
図17は、実施形態7に係る照明装置の機能ブロック図の一例である。この図を用いて、構成について説明する。
【0091】
本実施形態の照明装置は、発光ユニット(1701)と、パワーユニット(1702)と、からなり、発光ユニットは、発光部(1703)と、電源供給部(1704)と、磁電変換部(1705)と、発光ユニット側結合部(1706)と、を有し、パワーユニットは、受電部(1707)と、電磁変換部(1708)と、パワーユニット側結合部(1709)と、を有する。また、この図には示されていないが、パワーユニット側制御部と、パワーユニット側送受信部と、発光ユニット側送受信部とを有する構成としても良いし、発光ユニット側制御部を有する構成としても良い。以上の点で、実施形態1から6のいずれか一と共通する。そして、本実施形態の照明装置は、熱回収部(1710)を発光ユニットにさらに有する点に特徴を有する。この熱回収部は、図7の発光ユニット側回路(0708)に含まれる。以下にこの特徴部分について説明をする。その他の部分に関しては実施形態1から6のいずれか一と同様であるので説明を省略する。
〈実施形態6の各構成の説明〉
〈熱回収部の各構成〉
【0092】
「熱回収部」は、高温部材(1711)と、低温部材(1712)と、熱発電素子(1713)と、回生電力送出手段(1714)とを有する。
【0093】
「高温部材」は、前記複数配列された発光ダイオードから生じる熱によって昇温される。高温部材の材質は、熱伝導率の高い物質であることが望ましい。例えば、銅、アルミ、鉄、ステンレスなどであるが、これに限定されず、高熱伝導率のセラミックス、例えば窒化ボロンセラミックス、アルミナセラミックス、炭化チタンセラミックス、酸化チタンセラミックスなどでもよい。あるいは、例えば熱伝導性の高いシリコーンゲルを用いれば、発光ダイオードの基板と熱発電素子の基板を密着させ、発光ダイオードの基板の熱によって効率的に昇温させることができる。
【0094】
「低温部材」は、環境温度によって相対的に低温である。「環境温度」とは、室温や水温などの低温部材周囲の温度をいう。相対的に低温であるとは、高温部材の昇温された温度と比較した場合に、温度が、より低いという意味である。例えば、図7のように低温部材の周囲に、水や空気が通過できるように貫通させた開口部(0704)を設ける構成をとれば、低温部材の相対的な低温を保つことができる。熱せられた水や空気は上昇するので、開口部を上下に向け、鉛直方向に水や空気が通過できるようにすると良い。
【0095】
「熱発電素子」は、高温部材と低温部材との温度差を用いて発電する。すなわち、2種類の金属に温度差がある場合、金属の自由電子が低温側、残りの金属イオンが高温側に移動することで電位差が生じる現象(ゼーベック効果)を利用して、電力を発生させる。例えば、ペルチェ素子を用いることが考えられる。
【0096】
「回生電力送出手段」は、熱発電素子にて生まれた電力を電源供給部に対して送出する。ただし、電源供給部以外に対しても送出して良い。例えば、バッテリーに対して送出し、バッテリーに回生電力を蓄えても良い。
〈実施形態7:効果〉
【0097】
本実施形態に係る照明装置により、発光ダイオードを発光させるのに必要な電力を、発光ダイオードから生じる熱を利用して発生させることで、省エネルギー化を実現できる。
〈〈実施形態8〉〉
〈実施形態8:概要〉
【0098】
実施形態8は、実施形態7を基本としつつ、低温部材の温度を相対的に低温に保つように放熱フィンを有することを特徴とする照明装置である。
〈実施形態8:構成〉
【0099】
本実施形態の照明装置は、発光ユニットと、パワーユニットと、からなり、発光ユニットは、発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部と、熱回収部と、を有し、パワーユニットは、受電部と、電磁変換部と、パワーユニット側結合部と、を有する。また、パワーユニット側制御部と、パワーユニット側送受信部と、発光ユニット側送受信部とを有する構成としても良いし、発光ユニット側制御部を有する構成としても良い。以上の点で本実施形態の照明装置は、実施形態7と共通する。そして、本実施形態に係る照明装置は、熱回収部が、放熱フィンをさらに有する点に特徴を有する。以下にこの特徴部分について説明をする。その他の部分に関しては実施形態1から7までのいずれか一と同様であるので説明を省略する。
〈実施形態8の各構成の説明〉
〈放熱フィンの説明〉
【0100】
図7を参照する。
【0101】
「放熱フィン」(0705)は、低温部材の温度を相対的に低温に保つ。放熱フィンの材質は、熱伝導率の高い物質であることが望ましい。例えば、銅、アルミ、鉄、ステンレスなどであるが、これに限定されず、高熱伝導率のセラミックス、例えば窒化ボロンセラミックス、アルミナセラミックス、炭化チタンセラミックス、酸化チタンセラミックスなどでもよい。放熱フィンの形状は、表面積が広い方が、放熱量が大きくなる。例えば、波型にして、表面積を広くすればよい。
〈実施形態8:効果〉
【0102】
本実施形態に係る照明装置により、放熱量を大きくすることが出来るので、低温部材の温度を相対的に低温に保つことができる。さらに、これにより、熱発電素子による発電効率を上げることができる。この照明装置が水槽にて使用される場合にはLEDなどによって生じる熱が水温の上昇につながりにくくすることが可能なので水槽の水温管理上好ましい。
〈〈実施形態9〉〉
〈実施形態9:概要〉
【0103】
実施形態9は、実施形態1から8までのいずれか一を基本としつつ、発光ユニットの発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部とが防水構造を有する一の筐体に一体に収納されていることを特徴とする照明装置である。
〈実施形態9:構成〉
【0104】
本実施形態の照明装置は、発光ユニットと、パワーユニットと、からなり、発光ユニットは、発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部と、を有し、パワーユニットは、受電部と、電磁変換部と、パワーユニット側結合部と、を有する。また、パワーユニット側制御部と、パワーユニット側送受信部と、発光ユニット側送受信部とを有する構成としても良いし、発光ユニット側制御部を有する構成としても良いし、熱回収部を有する構成としても良い。以上の点で、実施形態1から8までのいずれか一の照明装置と共通する。そして、本実施形態の照明装置は、発光ユニットの発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部とが、防水構造を有する一の筐体に一体に収納されている点に特徴を有する。以下にこの特徴部分について説明をする。その他の部分に関しては実施形態1から8までのいずれか一と同様であるので説明を省略する。
〈実施形態9の各構成の説明〉
〈発光ユニットの各構成〉
〈防水構造の構成〉
【0105】
発光ユニットの発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部とは、一の筐体に一体に収納されている。例えば、発光ユニット側送受信部や、発光ユニット側制御部や、熱回収部も一体に収納されていても良い。
【0106】
筐体の材質は、防水性のあるものが良い。例えば、ガラスやアクリルなどである。または、防水性を有しない材質を使用し、筐体を防水性のある樹脂等の素材で覆うこととしても良い。海水中で使用する場合、防錆性のある素材を使用するとよい。あるいは、筐体を防錆性のある樹脂等の素材で覆うこととしても良い。これらの素材を複数使用しても良い。前述のとおりアルミ材料を含む構成としてもよい。
【0107】
筐体の形状は特に問わない。筐体の中央に開口部を設けることとしても良い。
筐体の色も特に問わない。さまざまな色を用いることで、水槽のデザインを向上させることができる。
【0108】
防水構造は、例えば、筐体の開閉口をねじ込み式とし、間にゴム等の弾力性ある素材でできたOリングを挟む等することが考えられる。
〈実施形態9:効果〉
【0109】
本実施形態に係る照明装置により、一の筐体に一体に収納されていることにより、個々の部材の防水を考慮しなくとも、防水性を実現できる。また発光ユニットが水槽内に配置される場合には、発光ユニットの送電線などが外部露出しないので魚やペンギンなどにかまれたり、ラッコやイルカなどの海獣にいたずらされるなどを防止できる。
〈〈実施形態10〉〉
〈実施形態10:概要〉
【0110】
実施形態10は、実施形態1から8のいずれか一を基本としつつ、発光ユニットの電源供給部と磁電変換部と発光ユニット側結合部とは防水構造を有する一の筐体に一体に収納されており、さらに発光部がヒンジを利用して直接的に連結されていることを特徴とする照明装置である。
〈実施形態10:構成〉
【0111】
図18は、実施形態10に係る照明装置の断面図の一例である。この図には、前述の発光ダイオードユニット(1801)、パワーユニット(1802)、発光ユニット側結合部の磁石(1806)、パワーユニット側結合部の磁石(1807)放熱フィン(1808)も示されている。また、後述する水槽の壁(1809)も示されている。
【0112】
本実施形態の照明装置は、発光ユニット(1801)と、パワーユニット(1802)と、からなり、発光ユニットは、発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部と、を有し、パワーユニットは、受電部と、電磁変換部と、パワーユニット側結合部と、を有する。また、パワーユニット側制御部と、パワーユニット側送受信部と、を有し、発光ユニット側送受信部とを有する構成としても良いし、発光ユニット側制御部を有する構成としても良いし、熱回収部を有する構成としても良い。以上の点で、実施形態1から8のいずれか一の照明装置と共通する。そして、本実施形態の照明装置は、発光ユニットの電源供給部と磁電変換部と発光ユニット側結合部とが防水構造を有する一の筐体(1803)に一体に収納されており、さらに発光部がヒンジ(1804)を利用して直接的に連結されている点に特徴を有する。以下にこの特徴部分について説明をする。その他の部分に関しては実施形態1から8のいずれか一と同様であるので説明を省略する。
〈実施形態10の各構成の説明〉
【0113】
「直接的に連結されている」とは、発光部とヒンジ及びヒンジと筐体がそれぞれ密着していることをいう。発光部を収容した筐体とヒンジとが密着している場合を含む。密着する位置は、図19に示すように、発光部(1901)の略中央がヒンジ(1902)と密着することとしてもよいし、いずれか一方にずらしても良い。なお、この図には、発光ユニット側結合部の磁石(1903)、パワーユニット側結合部の磁石(1904)、水槽の側面壁(1905)も示されている。密着する面積についても、発光部の重量を支えることが可能であれば、特に制限されない。発光部への電力供給については、例えば、ヒンジの内側に電線を備えて発光部へ電力を供給しても良い。または、ヒンジの両側にコイルを備えて、電磁誘導の原理により、無線で電力を供給しても良い。
〈実施形態10:効果〉
【0114】
発光部に電力を供給する配線が露出しないため、魚などがつついて配線が傷つくおそれを低減でき、さらに、発光部がヒンジによって直接的に連結されているので、発光部からの照射の角度を調整できる。
〈〈実施形態11〉〉
〈実施形態11:概要〉
【0115】
実施形態11は、実施形態9又は10を基本としつつ、発光ユニットの防水構造は、ポリウレア樹脂の吹き付けにてなされていることを特徴とする照明装置である。
〈実施形態11:構成〉
【0116】
本実施形態の照明装置は、発光ユニットと、パワーユニットと、からなり、発光ユニットは、発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部と、を有し、パワーユニットは、受電部と、電磁変換部と、パワーユニット側結合部と、を有する。また、パワーユニット側制御部と、パワーユニット側送受信部と、を有し、発光ユニット側送受信部とを有する構成としても良いし、発光ユニット側制御部を有する構成としても良いし、熱回収部を有する構成としても良い。さらに、発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部とは、一の筐体に一体に収納されていても良いし、発光ユニットの電源供給部と磁電変換部と発光ユニット側結合部とは防水構造を有する一の筐体に一体に収納され、かつ、発光部がヒンジを利用して直接的に連結されていても良い。以上の点で、実施形態1から10までのいずれか一の照明装置と共通する。そして、本実施形態の照明装置は、発光ユニットの防水構造が、ポリウレア樹脂の吹き付けにてなされている点に特徴を有する。以下にこの特徴部分について説明をする。その他の部分に関しては実施形態1から10までのいずれか一と同様であるので説明を省略する。
〈実施形態11の各構成の説明〉
〈発光ユニットの防水構造〉
【0117】
図7を参照する。
【0118】
発光ユニットの防水構造は、ポリウレア樹脂の吹き付けにてなされている。このため、発光ユニットの筐体(0706)には、ポリウレア樹脂層(0707)が形成されている。ポリウレア樹脂とは、イソシアネートとアミノ基との化学反応によって形成されるウレア結合が主体となった化合物である。ポリウレア樹脂は、50℃から60℃に熱して吹き付ける。例えば、絶縁性を有するよう処理したポリウレア樹脂を利用すれば、防水性と絶縁性と防錆性を同時に得ることができる。例えば、ポリウレア樹脂に、さまざまな色をつけて、照明装置の美観を増すこともできる。
【0119】
パワーユニットに対しても、ポリウレア樹脂の吹き付けを行えば、屋外での使用の際に、雨がかかっても、漏電の心配がない。この場合、図7に示されているように、パワーユニットへの外部電源からの電力ラインもポリウレア樹脂層で覆うと良い。
〈実施形態11:効果〉
【0120】
本実施形態の照明装置によれば、簡易な構成で防水性等を得ることができる。またポリウレア樹脂は、魚類などの生物に対して無害であることが検証されているので水槽の水中などに照明装置を配置する際に優れている。
〈〈実施形態12〉〉
〈実施形態12:概要〉
【0121】
実施形態12は、実施形態1から11のいずれか一を基本としつつ、発光ユニットとパワーユニットを結合するための磁石の一方を磁性金属に代替したことを特徴とする照明装置である。
〈実施形態12:構成〉
【0122】
本実施形態の照明装置は、発光ユニットと、パワーユニットと、からなり、発光ユニットは、発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部と、を有し、パワーユニットは、受電部と、電磁変換部と、パワーユニット側結合部と、を有する。また、パワーユニット側制御部と、パワーユニット側送受信部と、を有し、発光ユニット側送受信部とを有する構成としても良いし、発光ユニット側制御部を有する構成としても良いし、熱回収部を有する構成としても良い。さらに、発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部とは、一の筐体に一体に収納されていても良いし、発光ユニットの電源供給部と磁電変換部と発光ユニット側結合部とは防水構造を有する一の筐体に一体に収納され、かつ、発光部がヒンジを利用して直接的に連結されていても良い。また、防水構造はポリウレア樹脂の吹き付けによっても良い。以上の点で、実施形態1から11までのいずれか一の照明装置と共通する。そして、本実施形態の照明装置は、発光ユニットの発光ユニット側結合部の磁石又はパワーユニットのパワーユニット側結合部の磁石のいずれか一方を磁性金属に代替している点に特徴を有する。以下にこの特徴部分について説明をする。その他の部分に関しては実施形態1から11までのいずれか一と同様であるので説明を省略する。
〈実施形態12の各構成の説明〉
【0123】
磁性金属には、例えば、鉄、磁性フェライト、などが考えられる。
〈実施形態12:効果〉
【0124】
本実施形態の照明装置によれば、発光ユニット側結合部の磁石を磁性金属に代替している場合には、水槽内で、発光ユニットをパワーユニットから取り外して移動させる際に、発光ユニット側には磁石が使用されていないので、水槽内の魚などの生物に磁力線が影響を与えることを防止できる。一方、パワーユニット側結合部の磁石を磁性金属に代替している場合には、パワーユニット側結合部の磁石同士が反発することがなく運搬や、保管の際に、邪魔にならない。
〈〈実施形態13〉〉
〈実施形態13:概要〉
【0125】
実施形態13は、実施形態1から12までのいずれか一の照明装置を利用した水槽構造体であって、電力ラインが直接的に水槽内に配置されないようにした点を特徴とする。
〈実施形態13:構成〉
【0126】
図20は、実施形態13に係る水槽構造体の概念図の一例である。
【0127】
本実施形態の水槽構造体は、実施形態1から12のいずれか一に記載の照明装置を利用しており、水槽(2001)の内側に発光ユニット(2002)を配置し、この配置された発光ユニットとの電磁結合が可能となるように水槽の水密壁の外側にパワーユニット(2003)を配置し、電力ライン(2004)が直接的に水槽内に配置されないようにしている点に特徴を有する。以下にこの特徴部分について説明をする。実施形態1から12のいずれか一に記載の照明装置に関しては、実施形態1から12までのいずれか一と同様であるので説明を省略する。
〈実施形態13の各構成の説明〉
【0128】
本実施形態の水槽構造体は、例えば、アクリル水槽の側面壁をはさんで照明装置の発光ユニットとパワーユニットとを配置すればよい。また、水槽の底面や上蓋をはさんで配置しても良い。
【0129】
「電力ライン」とは、電力を供給するための電線をいう。「電力ラインが直接的に水槽内に配置されない」とは、この電線が水槽内に露出していないことをいう。
【0130】
なお、図21のように、小型の照明装置を利用する場合も、同様に、水槽(2101)の側面壁をはさんで照明装置の発光ユニット(2102)とパワーユニット(2103)を配置できる。
〈実施形態13:効果〉
【0131】
電力ラインが直接的に水槽内に配置されている場合、この電力ラインを魚などがつついて、電力ラインが破損したり、発光ユニットにおける配線の接続部が引っ張られて、接続部から漏電したりするおそれがある。これに対し、本発明の照明装置は、漏電のおそれが少ない。また巨大水槽などでは係員がダイビングを行って魚にえさを与えたり、水槽内部の清掃を行ったり、水槽内部の構造物の修理をしたりするが、そのような場合でも漏電の可能性が低いので安全面で優れている。
【符号の説明】
【0132】
0201、0301、0701、1201、1301、1701、1801、2002、2102 発光ユニット
0202、0302、1202、1302、1702、1802、2003、2103 パワーユニット
0303、1203、1303、1703、1901 発光部
0304、1204、1304、1704 電源供給部
0305、1205、1305、1705 磁電変換部
0306、1206、1306、1706 発光ユニット側結合部
0307、1207、1307、1707 受電部
0308、1208、1308、1708 電磁変換部
0309、1209、1309、1709 パワーユニット側結合部
0401、0601、0702 発光ダイオードユニット
0501、0503 プリント基板
0502 発光ダイオード
0504 面発光型のLED
0703 拡散板
0704 開口部
0705 放熱フィン
0706、1803 筐体
0707 ポリウレア樹脂層
0708 発光ユニット側回路
0709 パワーユニット側回路
0801、0803、0804、0905、1004、1005、1105、1903 発光ユニット側結合部の磁石
0805、0901、1001、1101 発光ユニット側内部磁芯
0806、0902、1002、1103 第一外部磁芯
0807、0903、1003、1104 第二外部磁芯
0904 発光ユニット蓋部材
0906 発光部に供する電力のためのコイル
0907 制御電力用コイル
0908 パワーユニット側内部磁芯
0909 第三外部磁芯
0910 第四外部磁芯
0911 パワーユニット蓋部材
0802、0912、1006、1904 パワーユニット側結合部の磁石
0913 磁石保持構造
1102 コイル
1210 パワーユニット側制御部
1211 パワーユニット側送受信部
1212 発光ユニット側送受信部
1310 発光ユニット側制御部
1311 劣化値取得手段
1312 制御手段
1601 CPU(中央演算装置)
1602 RAM(主メモリ)
1603、1606 I/O
1604 記憶装置
1605 電圧検知器
1607 システムバス
1710 熱回収部
1711 高温部材
1712 低温部材
1713 熱発電素子
1714 回生電力送出手段
1804、1902 ヒンジ
1905 水槽の側面壁
2001、2101 水槽
2004 電力ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光する発光ユニットと、発光ユニットに対して着脱可能に構成され絶縁状態で電源を供給するパワーユニットと、からなる照明装置であって、
発光ユニットは、
発光ダイオードを複数配列した発光部と、
発光部に対して電源を供給する電源供給部と、
パワーユニットから受ける電磁波を磁電変換して電源供給部に出力する磁電変換部と、
磁電変換部にてパワーユニットとの電磁結合が可能となるようにパワーユニットに対して直接的又は間接的に発光ユニットを結合するための磁石を備えた発光ユニット側結合部と、を有し、
パワーユニットは、
外部電源を受電するための受電部と、
受電力を電磁波に変換し発光ユニットの磁電変換部に送出するための電磁変換部と、
電磁変換部にて発光ユニットとの電磁結合が可能となるように発光ユニットに対して直接的又は間接的に結合するための磁石を備えたパワーユニット側結合部と、を有する照明装置。
【請求項2】
発光ユニットの磁電変換部は、
コイルを備えた発光ユニット側内部磁芯と、
外部磁芯であって、発光ユニット側結合部の磁石の少なくとも一部を収容し、パワーユニットとの着脱境界面に伏せられるカップ状の第一外部磁芯と、さらに第一外部磁芯と発光ユニット側内部磁芯とを内部に収容して前記境界面に伏せられるカップ状の第二外部磁芯と、を有し、
パワーユニットの電磁変換部は、
コイルを備えたパワーユニット側内部磁芯と、
外部磁芯であって、パワーユニット側結合部の磁石の少なくとも一部を収容し、発光ユニットとの着脱境界面に伏せられるカップ状の第三外部磁芯と、さらに第三外部磁芯とパワーユニット側内部磁芯とを内部に収容して前記境界面に伏せられるカップ状の第四外部磁芯と、を有する請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記外部磁芯を境界面に伏せられるカップ状に代えて、境界面に立てられ内部磁芯を挟むサンドイッチ状とした請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
パワーユニットは、
発光ユニットを制御するためのパワーユニット側制御部と、
発光ユニットと通信するために発光ユニットとの着脱境界面から入出力を行う赤外線通信手段を有するパワーユニット側送受信部と、を有し、
発光ユニットは、
パワーユニットと通信するためにパワーユニットとの着脱境界面から入出力を行う赤外線通信手段を有する発光ユニット側送受信部と、
を有する請求項1から3のいずれか一に記載の照明装置。
【請求項5】
前記発光ダイオードの輝度劣化を示す指標である劣化値を取得する劣化値取得手段と、
取得した劣化値に基づいて電源供給部を制御する制御手段と、
を有する発光ユニット側制御部を発光ユニットにさらに備えた請求項1から4のいずれか一に記載の照明装置。
【請求項6】
パワーユニット側制御部は、
前記発光ダイオードの輝度劣化を示す指標である劣化値を取得する劣化値取得手段と、
取得した劣化値に基づいて発光ユニットの電源供給部を制御する制御手段と、
をさらに有する請求項4または請求項4に従属する請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記複数配列された発光ダイオードから生じる熱によって昇温される高温部材と、
室温や水温などの環境温度によって相対的に低温の低温部材と、
高温部材と低温部材との温度差を用いて発電する熱発電素子と、
熱発電素子にて生まれた電力を電源供給部に対して送出する回生電力送出手段と、を有する熱回収部を発光ユニットにさらに有する請求項1から6のいずれか一に記載の照明装置。
【請求項8】
熱回収部は、低温部材の温度を相対的に低温に保つための放熱フィンをさらに有する請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
発光ユニットの発光部と、電源供給部と、磁電変換部と、発光ユニット側結合部とは、防水構造を有する一の筐体に一体に収納されている請求項1から8のいずれか一に記載の照明装置。
【請求項10】
発光ユニットの電源供給部と磁電変換部と発光ユニット側結合部とは防水構造を有する一の筐体に一体に収納されており、さらに発光部がヒンジを利用して直接的に連結されている請求項1から8のいずれか一に記載の照明装置。
【請求項11】
発光ユニットの防水構造は、ポリウレア樹脂の吹き付けにてなされている請求項9又は10に記載の照明装置。
【請求項12】
発光ユニットの発光ユニット側結合部の磁石又はパワーユニットのパワーユニット側結合部の磁石のいずれか一方を磁性金属に代替した請求項1から11のいずれか一に記載の照明装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一に記載の照明装置を利用した水槽構造体であって、
水槽の内側に発光ユニットを配置し、
前記配置された発光ユニットとの電磁結合が可能となるように水槽の水密壁の外側にパワーユニットを配置し、電力ラインが直接的に水槽内に配置されないようにした水槽構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−65974(P2011−65974A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218201(P2009−218201)
【出願日】平成21年9月19日(2009.9.19)
【出願人】(509266468)
【Fターム(参考)】