説明

照明装置

【課題】光源の配置可能範囲が狭まることを防止することができる照明装置を提供する。
【解決手段】カバー10は、一側端側が開口した中空の円筒状をなす。カバー10の周端部には、カバー10を絶縁部30に取り付けるための係合機構としての突部11を2つ対設してある。絶縁部30の端面33の縁辺には、カバー10の突部11が係合する係合機構としての切欠部31を径方向に対して対設してある。係合した状態で突部11と切欠部31とをLEDモジュール60の実装面21に対向する非実施面側の位置に設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源部と、光源部を覆うカバーと、光源部及びカバーが取り付けられる本体部と、カバーを本体部に係合して取り付ける係合機構とを備える照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の白熱灯用の照明器具をそのまま用いながら消費電力を低減するため、点灯回路を内蔵した電球形蛍光ランプが用いられ、白熱電球からの置き換えが行われている。
【0003】
また、発光ダイオード(LED)の高輝度化に伴い、白熱電球や蛍光灯などの光源に代えて、低消費電力、長寿命等の特性を有するLEDが光源として照明装置などに用いられるようになり、例えば、白熱電球の代わりに電球形LEDランプが用いられている。
【0004】
従来の電球形の照明器具の一例として、蛍光管などの光源を覆うグローブと、蛍光管を点灯する点灯回路を収容する点灯回路収容部とを備えるとともに、グローブの開口付近の内面に係合し、グローブを点灯回路収容部に保持する係合爪を備える蛍光ランプが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−59557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の蛍光ランプにあっては、係合爪がグローブ内側の蛍光管側に突出して設けられるため、係合爪が位置する箇所において光源である蛍光管を配置することができない。すなわち、光源の配置可能範囲を狭めるため、所望の配光を得るための光源の配置位置を選択できないという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、光源の配置可能範囲が狭まることを防止することができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る照明装置は、光源部と、該光源部を覆うカバーと、前記光源部及び前記カバーが取り付けられる本体部と、前記カバーを前記本体部に係合して取り付ける係合機構とを備える照明装置であって、前記係合機構は、前記本体部の前記光源部を実装する実装面に対向する非実装面側の位置にて係合するように構成してあることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、光源部と、光源部を覆うカバーと、光源部及びカバーが取り付けられる本体部と、カバーを本体部に係合して取り付ける係合機構とを備える。係合機構は、本体部の光源部を実装する実装面に対向する非実装面側の位置にて係合する。係合機構を非実装面側の位置に設けてあるので、所望の配光を得るために光源の位置を自由に選択することができ、光源の配置可能範囲が狭まることを防止することができる。
【0010】
本発明に係る照明装置は、前記係合機構は、前記カバーに設けられた突部と、前記本体部に設けられ、前記突部が係合する切欠部とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、係合機構は、カバーに設けられた突部と、本体部に設けられ、当該突部が係合する切欠部とを備える。すなわち、カバーに設けられた突部と本体部に設けられた切欠部とが係合することによりカバーと本体部とが係合される。例えば、カバーの端部に設けられた突部を係合機構としているので、光源を覆うカバーの内側には、係合機構が存在しないので、光源を覆うカバーの内側のどの位置にでも光源を配置することが可能となる。また、従来であれば、カバーと本体部とのガタツキを防止するため比較的多くの接着剤を用いる必要があったが、カバーと本体部とは、突部と切欠部とで係合するので、接着剤の量を減らすことができ、接着剤による光ムラ、接着剤のはみ出しによる外観不良を無くすことができる。また、例えば、筒状のカバー又は本体部が周方向にずれる力(回転移動の力)が作用した場合でも、突部と切欠部との係合機構で力を分散させることが可能となり、カバーと本体部との取り付け強度を増加し、カバーの肉厚を抑えたまま回転強度を維持することができる。
【0012】
本発明に係る照明装置は、前記切欠部に設けられた係止片と、前記突部に設けられ、前記係止片が係止する被係止穴とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、切欠部に設けられた係止片と、突部に設けられ、係止片が係止する被係止穴とを備える。本体部側の係止片がカバー側の被係止穴に係止するので、カバーと本体部とを確実に取り付けることができる。
【0014】
本発明に係る照明装置は、前記突部に設けられた係止片と、前記切欠部に設けられ、前記係止片が係止する被係止穴とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、突部に設けられた係止片と、切欠部に設けられ、係止片が係止する被係止穴とを備える。カバー側の係止片が本体部側の被係止穴に係止するので、カバーと本体部とを確実に取り付けることができる。
【0016】
本発明に係る照明装置は、前記本体部は、前記切欠部が設けられ、前記光源部に電力を供給する電源部を収容する収容部と、前記実装面を有し、前記収容部に外嵌されるヒートシンクとを備え、該ヒートシンクは、前記実装面に前記カバーの突部を挿通させる挿通孔を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、本体部は、切欠部が設けられ、光源部に電力を供給する電源部を収容する収容部と、実装面を有し、収容部に外嵌されるヒートシンクとを備える。そして、ヒートシンクは、実装面にカバーの突部を挿通させる挿通孔を備える。すなわち、カバーの突部を収容部の切欠部に係合させる場合、突部はヒートシンクの挿通孔を挿通して、ヒートシンク内側に配置した収容部の切欠部に係合するので、係合機構がヒートシンクの内側に配置され、ヒートシンクの外側からは係合機構が見えない。したがって、光源部を実装する実装面上には係合機構が存在しないので、所望の配光を得るために光源の位置を自由に選択することができる。また、光源からの光が遮られることを防止することができ、カバーに影が生じることも防止することができる。また、突部をヒートシンクの挿通孔に挿通させるので、さらにカバーと収容部(本体部)との取り付け強度を増加させることができ、カバーと収容部(本体部)との回転ズレに対する強度を高めることができる。
【0018】
本発明に係る照明装置は、前記カバー内に配置され、前記光源部からの光を反射及び透過させるレンズと、該レンズを前記実装面に固定するための固定部とを備え、該固定部の縁辺に前記カバーの突部を挿通させる切り込みを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、カバー内に配置され、光源部からの光を反射及び透過させるレンズと、レンズを実装面に固定するための固定部とを備え、固定部の縁辺にカバーの突部を挿通させる切り込みを備える。突部を固定部の切り込みに挿通させるので、さらにカバーと収容部との取り付け強度を増加させることができ、カバーと収容部との回転ズレに対する強度を高めることができる。
【0020】
本発明に係る照明装置は、前記係合機構を複数備えることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、係合機構を複数備えることにより、カバーと収容部との取り付け強度をさらに増加させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、光源の配置可能範囲が狭まることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態の照明装置の外観の一例を示す外観図である。
【図2】本実施の形態の照明装置の要部分解斜視図である。
【図3】本実施の形態のカバーと絶縁部とを係合させた状態を示す外観斜視図である。
【図4】本実施の形態のカバーの突部の構成の一例を示す外観図である。
【図5】本実施の形態の絶縁部の切欠部の構成の一例を示す外観図である。
【図6】本実施の形態の係合機構の係合状態の一例を示す要部断面図である。
【図7】本実施の形態の係合機構の係合状態の他の例を示す要部断面図である。
【図8】本実施の形態の照明装置の構成の一例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の照明装置100の外観の一例を示す外観図であり、図2は本実施の形態の照明装置100の要部分解斜視図である。照明装置100は、例えば、40W、60Wなどの白熱電球等に代えて使用することができる照明装置である。
【0025】
図1に示すように、照明装置100は、外部のソケットに嵌めて商用電源に電気的に接続するための口金40、後述の光源部で発生する熱を放熱するため中空(円筒状)の金属製(例えば、アルミニウムなど)のヒートシンク20、口金40とヒートシンク20とを連結するとともに両者を電気的に絶縁する円筒状の絶縁部30、ヒートシンク20に装着されるとともに光源部を覆う円筒状のカバー10などを備える。また、ヒートシンク20及び絶縁部30などにより本体部80を構成する。すなわち、本体部80には、後述の光源部及びカバー10が取り付けられる。
【0026】
図1に示すように、カバー10、ヒートシンク20、絶縁部30、口金40は、それぞれ略同寸法の外径を有し、従来の電球型の形状に比べて、ヒートシンク20の外径が小さくなっている。また、ヒートシンク20の長さも口金40の長さと同程度若しくは若干の寸法だけ長く、従来のヒートシンクに比べて短くなっている。なお、カバー10、ヒートシンク20、絶縁部30、口金40の形状は一例であって、図1の例に限定されるものではない。
【0027】
より具体的には、図2に示すように、照明装置100は、カバー10、ヒートシンク20、絶縁部30、口金40の他に、カバー10の内側に配置されるレンズ部50、光源部としてのLEDモジュール60、絶縁部30の内側に配置され、LEDモジュール60に電力を供給する電源部70などを備える。絶縁部30は、電源部70を収容する収容部としての機能を有する。なお、電源部70を収容する絶縁部30は、ヒートシンク20と一体であってもよく、電源部70は、絶縁部30ではなくヒートシンク20内に収容される構成でもよい。また、電源部70の形状等に応じて、電源部70の一部を口金40の内側に配置することもできる。
【0028】
カバー10は、一側端側が開口した中空の円筒状をなす。カバー10の周端部には、カバー10を絶縁部30(本体部80)に取り付けるための係合機構としての突部11を2つ対設してある。なお、突部11の数は2つに限定されない。突部11の詳細は後述する。
【0029】
カバー10は、例えば、ガラス製であって、透光性を有する。ガラス製のカバー10を用いることにより、合成樹脂製のカバーに比べて発熱による色の変色を抑制することができるのみならず、照明装置100に高級感を持たせることができ、外観デザイン上優れた面を有する。なお、カバー10はガラス製に限らず、例えば、アクリル又はポリカーボネート等の合成樹脂製であってもよい。合成樹脂を用いることにより、軽量化を図ることができる。
【0030】
レンズ部50は、LEDモジュール60からの光を透過及び反射させる略円柱状のレンズ51、レンズ51をヒートシンク20の実装面21に固定するための円板状の固定部52などを備える。レンズ51は、LEDモジュール60を覆うように中実のプリズム(不図示)を備え、プリズムの一面はハーフミラー(不図示)を構成してある。これにより、LEDモジュール60からの光は、レンズ51のプリズムにより広範囲に拡散され、広い配光特性を得ることができる。また、LEDモジュール60からの光は、ハーフミラーにより、ヒートシンク20、口金40の方向へ反射される。これにより、従来の白熱電球に近い配光特性を得ることができる。
【0031】
固定部52の縁辺には、カバー10の突部11を挿通させる切り込み53を備える。なお、切り込み53に代えて挿通孔でもよい。
【0032】
ヒートシンク20は、一側端(カバー10側)が閉塞し、他側端(口金40側)が開口した円筒状をなし、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金などの熱伝導性に優れた金属製である。なお、ヒートシンク20の材料はアルミニウム又はアルミニウム合金に限定されるものではなく、熱伝導性に優れた金属であれば、他の金属を用いることもできるが、アルミニウム等を用いることにより、軽量化を図ることができる。
【0033】
ヒートシンク20の一側端は実装面21をなす。実装面21には、LEDモジュール60を装着してある。また、実装面21には、カバー10の突部11を挿通させる挿通孔211を設けてある。
【0034】
絶縁部30は、一側端(カバー10側)が閉塞し、他側端(口金40側)が開口した円筒状をなす。絶縁部30の外径寸法は、ヒートシンク20の内径寸法に略等しく、絶縁部30の一側端の端面33及び側壁34の一部がヒートシンク20に内接してある。
【0035】
絶縁部30は、例えば、高熱伝導性を有する合成樹脂製である。高熱伝導性の詳細について後述する。
【0036】
絶縁部30の端面33の縁辺には、カバー10の突部11が係合する係合機構としての切欠部31を径方向に対して対設してある。突部11と切欠部31との係合の詳細については後述する。
【0037】
ヒートシンク20に内接された絶縁部30のうちヒートシンク20から露出した絶縁部30の他側端には、口金40を螺合するためのねじ山32を形成してある。
【0038】
絶縁部30の一端側を、LEDモジュール60を装着したヒートシンク20の内側に挿入し、ヒートシンク20の実装面21にレンズ部50の固定部52を当接させ、絶縁部30の内側からネジ91を締めることにより、絶縁部30、ヒートシンク20(本体部80)、レンズ部50を固定することができる。電源部70を絶縁部30の内側に配置し、口金40をねじ山32に螺合させることで口金40を取り付けることができる。カバー10の突部11を切り込み53、挿通孔211に挿通させ、絶縁部30の切欠部31に係合させることにより、カバー10を絶縁部30(本体部80)に固定することができる。
【0039】
次に、カバー10と絶縁部30(本体部80)とを係合する係合機構の詳細について説明する。図3は本実施の形態のカバー10と絶縁部30とを係合させた状態を示す外観斜視図である。図3の例は、係合機構としての突部11及び切欠部31の係合状態がわかるように、ヒートシンク20を省略している。
【0040】
図3からわかるように、LEDモジュール60を覆うカバー10と、LEDモジュール60に電力を供給する電源部70を収容する収容部としての絶縁部30とを係合する係合機構としての突部11及び切欠部31が、本体部80のLEDモジュール60を実装する実装面に対向する非実装面側の位置にて係合する。突部11及び切欠部31を非実装面側の位置に設けてあるので、所望の配光を得るためにLEDモジュール60の位置を自由に選択することができ、LEDモジュール60の配置可能範囲が狭まることを防止することができる。また、突部11及び切欠部31が、LEDモジュール60からの光を遮らない位置に設けられているので、LEDモジュール60からの光が遮られることを防止することができ、また、カバー10に影が生じることも防止することができる。
【0041】
図4は本実施の形態のカバー10の突部11の構成の一例を示す外観図であり、図5は本実施の形態の絶縁部30の切欠部31の構成の一例を示す外観図であり、図6は本実施の形態の係合機構の係合状態の一例を示す要部断面図である。なお、係合機構は、突部11及び切欠部31を含む。
【0042】
図4に示すように、突部11は、円筒状のカバー10の開口した一側端側の周端部に設けられ、長さL、幅W、厚みDの略板状をなす。なお、突部11の形状又は寸法は適宜決めることができる。突部11には、長さL及び幅Wで画定される面に略矩形状の被係止穴111を設けてある。
【0043】
図5に示すように、切欠部31は、絶縁部30の端面33の縁辺に設けられている。切欠部31は、対向する側壁311、周壁314及び底壁312で画定され、側壁311同士の間隔Wは、突部11の幅Wと略同寸法である。すなわち、突部11を切欠部31に係合させた場合、突部11は、対向する側壁311によりカバー10の周方向の移動(回転移動)が規制され、回転ズレがしないようになっている。
【0044】
端面33には、絶縁部30、ヒートシンク20、レンズ部50を固定するためのネジ91を挿通する挿通孔331を設けてある。
【0045】
周壁314には、突部11に設けられた被係止穴111に係合する板状の係止片313を外側に向かって傾斜させて設けてある。係止片313の先端部が被係止穴111に係合(係止)することにより、突部11と切欠部31とが係合し、カバー10を絶縁部30に係合させて取り付けることができる。
【0046】
図6はカバー10を絶縁部30に取り付けた状態を示す。図6に示すように、絶縁部30は、ヒートシンク20に内接した状態で固定されている。カバー10の突部11は、固定部52に形成された切り込み(不図示)を挿通し、ヒートシンク20の実装面21に設けられた挿通孔211を挿通し、絶縁部30の切欠部31に係合している。切欠部31に設けられた係止片313は、突部11に設けられた被係止穴111に係合(係止)している。
【0047】
実装面21には、LEDモジュール60を装着してあり、LEDモジュール60を覆うようにしてレンズ51を配置してある。また、実装面21に対向する非実装面22には絶縁部30の端面33を当接してある。
【0048】
カバー10を絶縁部30に係合させる場合に、挿通孔211を介して突部11を切欠部31に挿入し、突部11の先端部で係止片313を内側に押圧し、さらに突部11を挿入して突部11に設けられた被係止穴111が係止片313の先端部に到達したとき、係止片313が元の形状に戻って被係止穴111に係合(係止)するように、係止片313は所要の弾性力を有する。係止片313の寸法、板厚は、適度な弾性力を有するように適宜決定することができる。
【0049】
上述のように、本実施の形態にあっては、カバー10の端部に設けられた突部11と絶縁部30の端部に設けられた切欠部31とが係合することによりカバー10と絶縁部30とが係合される。カバー10の端部に設けられた(カバー10の端部から延設あるいは突出するように設けられた)突部11を係合機構としている。すなわち、突部11及び切欠部31を、LEDモジュール60を実装する実装面21に対向する非実装面22側の位置に設けてカバー10と本体部80(ヒートシンク20及び絶縁部30)とを係合するようにしてある。非実装面22側の位置とは、例えば、本体部80(ヒートシンク20、絶縁部30)の内部である。すなわち、係合機構としての突部11及び切欠部31を本体部80(ヒートシンク20、絶縁部30)の内部に設けてある。これにより、実装面21に係合機構が突出することがなく、所望の配光を得るためにLEDモジュール60の位置を実装面21上で自由に選択することができ、LEDモジュール60の配置可能範囲が狭まることを防止することができる。
【0050】
別言すれば、本実施の形態にあっては、ヒートシンク20の実装面21には、カバー10と絶縁部30(本体部80)とを係合する係合機構が存在しないので、LEDモジュール60を覆うカバー10の内側のどの位置(実装面21のどの位置)にでもLEDモジュール60を配置することが可能となり、光源の種類又は形状等に応じて光源を自由に配置することができ光源の配置に関する設計の自由度を高くすることができる。また、LEDモジュール60を覆うカバーの内側には、係合機構が存在しないので、LEDモジュール60からの光が遮られることがない。
【0051】
また、従来であれば、カバーと絶縁部とのガタツキを防止するため、カバーとヒートシンクとの接合面に比較的多くの接着剤を用いる必要があったが、本実施の形態のカバー10と絶縁部30とは、突部11と切欠部31とで係合するので、接着剤の量を減らすことができ、接着剤による光ムラ、接着剤のはみ出しによる外観不良を無くすことができる。
【0052】
また、本実施の形態にあっては、筒状をなすカバー10又は絶縁部30が周方向にずれる力(回転移動の力)が作用した場合でも、突部11と切欠部31との係合機構、より具体的には、突部11は、対向する側壁311によりカバー10の周方向の移動(回転移動)が規制され、回転ズレがしないようになっているので、回転ズレを生じさせる力を突部11と切欠部31との係合機構で分散させることが可能となり、カバー10と絶縁部30との取り付け強度を増加し、カバー10の肉厚を抑えたまま回転強度を維持することができる。
【0053】
また、本実施の形態にあっては、切欠部31に設けられた係止片313と、突部11に設けられた被係止穴111とを備え、絶縁部30の係止片313がカバー10の被係止穴111に係合するので、カバー10と絶縁部30とを確実に取り付けることができる。
【0054】
また、本実施の形態にあっては、LEDモジュール60を実装する実装面21を有し、絶縁部30に外嵌されるヒートシンク20を備える。そして、ヒートシンク20は、実装面21にカバー10の突部11を挿通させる挿通孔211を備える。すなわち、カバー10の突部11を絶縁部30の切欠部31に係合させる場合、突部11はヒートシンク20の挿通孔211を挿通して、ヒートシンク20内側に配置した絶縁部30の切欠部31に係合するので、係合機構がヒートシンク20の内側に配置され、ヒートシンク20の外側(すなわち、照明装置100の外観)からは係合機構が見えない。したがって、LEDモジュール60を実装する実装面21上には係合機構が存在しないので、所望の配光を得るためにLEDモジュール60の位置を自由に選択することができる。また、LEDモジュール60からの光が遮られることを防止することができ、カバー10に影が生じることも防止することができる。
【0055】
また、突部11をヒートシンク20の挿通孔211に挿通させるので、さらにカバー10と、ヒートシンク20に固定された絶縁部30との取り付け強度を増加させることができ、カバー10と絶縁部30との回転ズレに対する強度を高めることができる。
【0056】
また、本実施の形態では、ヒートシンク20に固定された固定部52の縁辺にカバー10の突部11を挿通させる切り込み53を備える。突部11を固定部52の切り込み53に挿通させるので、さらにカバー10と絶縁部30との取り付け強度を増加させることができ、カバー10と絶縁部30との回転ズレに対する強度を高めることができる。
【0057】
また、本実施の形態では、突部11と切欠部31とをそれぞれ複数備えることにより、カバー10と絶縁部30との取り付け強度をさらに増加させることができる。
【0058】
図7は本実施の形態の係合機構の係合状態の他の例を示す要部断面図である。図6との違いは、カバー10の突部11に係止片112を設け、切欠部31に係止片112と係合(係止)する被係止穴315を設けた点である。図7の場合も図6の場合と同様の作用効果を奏する。また、カバー10の係止片112が絶縁部30の被係止穴315に係合するので、カバー10と絶縁部30とを確実に取り付けることができる。
【0059】
次に、絶縁部30の高熱伝導性について説明する。図8は本実施の形態の照明装置100の構成の一例を示す要部断面図である。図8はLEDモジュール60で発生する熱の放熱構造の一例を示すものである。
【0060】
図8に示すように、照明装置100は、口金40と、実装面21にLEDモジュール60を装着したヒートシンク20とを備えるとともに、高熱伝導性であって、口金40とヒートシンク20とを絶縁する絶縁部30を備える。本実施の形態において、高熱伝導性とは、絶縁部30の熱伝導率が、例えば、略1W/(m・K)〜数十W/(m・K)の範囲内にあることを意味するが、例えば、3W/(m・K)程度であれば、所要の放熱効率を得ることができる。
【0061】
絶縁部30は、熱伝導性フィラーを含む合成樹脂であり、絶縁部30の光源部側である一側端側(LEDモジュール60側)から口金側である他端側(口金40側)に沿って合成樹脂の流動方向を有する。熱伝導性フィラーは、例えば、カーボン(炭素)、黒鉛(グラファイト)、アルミナ、鉄粉、窒化ケイ素などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
合成樹脂の流動方向とは、例えば、絶縁部30を射出成形して作成する場合、硬化前の合成樹脂が射出成形用の金型内を流れる方向を意味する。すなわち、絶縁部30は、一側端側(端面33側、すなわちLEDモジュール60側)から他端側(開口端321側、すなわち口金40側)に沿って硬化前の合成樹脂を流すことにより射出成形される。熱伝導性フィラーは、流動方向に沿って配向される傾向があるため、熱伝導率は、流動方向に沿って高くなる。なお、流動方向は、図8中、模式的に符号Aで示す矢印の方向であり、端面33の略中心から周縁へ向かって径方向に向き、端面33の周縁からは側壁を一側端側(LEDモジュール60側)から他端側(口金40側)に向かう方向である。なお、符号Aで示す矢印の方向と逆の方向、すなわち絶縁部30の他端側(開口端321側、すなわち口金40側)から一側端側(端面33側、すなわちLEDモジュール60側)に沿った方向も上述の流動方向に含まれる。
【0063】
絶縁部30の内側には、電源部70を配置して収容してある。
【0064】
LEDモジュール60で発生した熱はヒートシンク20から放熱されるだけではなく、ヒートシンク20から高熱伝導性の絶縁部30を介して口金40からも放熱されるので、放熱効率を向上させることができる。また、口金40からも放熱されるので、ヒートシンク20を小型化、軽量化することも可能となる。
【0065】
本実施の形態の照明装置100は、例えば、E26口金、E17口金などの口金を備える照明装置に適用することができるが、特にE26口金の場合には、口金40からの放熱効果により、口金40の表面積に対して、ヒートシンク20の表面積を1〜1.5倍程度まで小さくしても所望の放熱効果を得ることができるので、ヒートシンク20を小さくすることができ、照明装置100の小型、軽量化を図ることができる。
【0066】
本実施の形態にあっては、ヒートシンク20及び絶縁部30それぞれは、光源部側の一側端が閉塞した筒状をなし、絶縁部30の一側端である端面33及び側壁の一部がヒートシンク20に内接してある。筒状をしたヒートシンク20の一側端である実装面21には、LEDモジュール60を装着してある。そして、絶縁部30の端面33及び側壁の一部をヒートシンク20に内接してあるので、絶縁部30とヒートシンク20との接触面積が大きくなり、LEDモジュール60からの熱がヒートシンク20から絶縁部30へも伝導しやすくなるので、口金40へ熱を伝導しやすくすることができ、さらに放熱効率を向上させることができる。
【0067】
また、ヒートシンク20から露出した絶縁部30のねじ山に口金40を螺合してある。これにより、絶縁部30から口金40へ熱が伝導しやすくなるので、さらに放熱効率を向上させることができる。
【0068】
また、絶縁部30は、一側端側(LEDモジュール60側)から他端側(口金40側)に沿って合成樹脂の流動方向を有するので、絶縁部30の一側端側(すなわちLEDモジュール60が設けられている箇所)から他端側(すなわち口金40が設けられている箇所)へ向かって熱伝導率が高くなるので、LEDモジュール60の熱を口金40へ効率良く伝導させることができる。
【0069】
また、絶縁部30は、電源部70を収容してあり、絶縁部30の流動方向の熱伝導率を絶縁部30の肉厚方向の熱伝導率より高くしてある。なお、肉厚方向は、流動方向と垂直であって、図8中、模式的に符号Bで示す矢印の方向である。絶縁部30の流動方向の熱伝導率を絶縁部30の肉厚方向の熱伝導率より高くするためには、熱伝導性フィラーの配向を流動方向に揃えること、あるいは鱗片状又は扁平状等の熱伝導性フィラーを用いて、熱伝導異方性を持たせることにより実現することができる。例えば、肉厚方向の熱伝導率は、流動方向の熱伝導率の約1/3から1/20の範囲にすることができる。
【0070】
絶縁部30の流動方向の熱伝導率を、肉厚方向の熱伝導率より高くすることにより、絶縁部30を伝導する熱は口金40の方へ伝導し、電源部70の方への伝導を抑制して、電源部70の温度上昇を抑制することができる。
【0071】
上述の実施の形態では、光源としてLEDモジュールを備える照明装置について説明したが、光源はLEDモジュールに限定されるものではなく、面発光を有する発光素子であれば、EL(Electro Luminescence)などでもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 カバー
11 突部
111、315 被係止穴
20 ヒートシンク
21 実装面
211 挿通孔
30 絶縁部
31 切欠部
313、112 係止片
32 ねじ山
33 端面
40 口金
50 レンズ部
51 レンズ
52 固定部
53 切り込み
60 LEDモジュール
70 電源部
80 本体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
該光源部を覆うカバーと、
前記光源部及び前記カバーが取り付けられる本体部と、
前記カバーを前記本体部に係合して取り付ける係合機構と
を備える照明装置であって、
前記係合機構は、
前記本体部の前記光源部を実装する実装面に対向する非実装面側の位置にて係合するように構成してあることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記係合機構は、
前記カバーに設けられた突部と、
前記本体部に設けられ、前記突部が係合する切欠部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記切欠部に設けられた係止片と、
前記突部に設けられ、前記係止片が係止する被係止穴と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記突部に設けられた係止片と、
前記切欠部に設けられ、前記係止片が係止する被係止穴と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記本体部は、
前記切欠部が設けられ、前記光源部に電力を供給する電源部を収容する収容部と、
前記実装面を有し、前記収容部に外嵌されるヒートシンクと
を備え、
該ヒートシンクは、
前記実装面に前記カバーの突部を挿通させる挿通孔を備えることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記カバー内に配置され、前記光源部からの光を反射及び透過させるレンズと、
該レンズを前記実装面に固定するための固定部と
を備え、
該固定部の縁辺に前記カバーの突部を挿通させる切り込みを備えることを特徴とする請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記係合機構を複数備えることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−230825(P2012−230825A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98404(P2011−98404)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】