説明

照明装置

【課題】ユーザーの思い通りに使い易くできる照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置10は、記憶部24に記憶されている設定値にて光源12を点灯させる複数の点灯モードをユーザーが選択、操作できる手段と、調光制御部22が、点灯回路部17の出力を消灯から点灯する際にフェードインして点灯するように見せるための手段と、点灯モードのいずれかが調光操作手段であるアップスイッッチ28,ダウンスイッチ29によって調整された光出力の設定値に応じて、光出力設定部25が記憶部24に記憶されていた光出力の設定値を随時書き換え設定する手段とを備え、調光制御部22が、記憶部24に記憶されていた光出力の設定値を随時書き換え設定する点灯モードにフェードイン点灯している際に、光源12を消灯する手段があったとき、光出力の設定値を書き換えずに消灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば住宅の居室等において、床面、机上面などの被照射面への光出力を変更できる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、1つ若しくは複数の光源と、光源を点灯させるための1つ若しくは複数の点灯回路部と、光源を点灯させる光出力の設定値を複数記憶するための記憶部とを備える照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1は、点灯回路部の出力を制御し、光源の光出力を記憶部に記憶された設定値に切り替えるための調光制御部と、光源を略連続的に調光操作するための調光操作手段と、記憶部に記憶された光出力の設定値を書き換えるための光出力設定部とを備える。
特許文献1は、記憶部に記憶されている設定値にて光源を点灯させる複数の点灯モードを選択する選択操作手段を備える。
特許文献1は、点灯モードとして、調光操作手段によって調整された光出力の設定値に応じて光出力設定部が記憶部に記憶されていた光出力の設定値を随時書き換え設定する点灯モードを備える。
特許文献1は、記憶部に固定の光出力の設定値を記憶設定させておく点灯モードを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−352967号公報(図1、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、複数の点灯モードを用い、光出力の設定値をユーザーの好みや使用環境に応じて変更できる。
ところが、特許文献1は、消灯もしくは電源を切ることを一旦行っても、次回点灯時には消灯もしくは電源切り直前の光出力を事前に記憶し、その記憶した光出力で照明を点灯させてしまう。
従って、特許文献1は、ユーザーの思い通りの明るさが得られない。
【0005】
ところで、突然の点灯時に、ユーザーの目が明るい状態に慣れていない状態が多く、それに伴い、目に負担がかかりやすいことを鑑みて、時間をかけて少しずつ明るくするフェードイン機能で点灯する照明装置が提案されている。
ところが、このような従来の照明装置100は、図4に示すように、時点T101において、フェードイン最中に消灯もしくは電源を切ることを行った場合、フェード途中の点Bの光出力値を制御部が記憶してしまう。
しかし、このような従来の照明装置100は、ユーザーにより使い勝手が良いと感じていた明るさは、時点T100のときの点Aの光出力である。
従って、このような従来の照明装置100は、時点T102における次回の点灯時にユーザーが丁度よいと思っていた点Aの明るさよりも暗い点Cの明るさで点灯されてしまう。
加えて、このような従来の照明装置100は、停電、復電が頻繁に起こった場合においても、消灯、フェードイン、フェードイン動作中に記憶を繰り返す。
従って、このような従来の照明装置100は、記憶している光出力が暗くなってしまう。
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ユーザーの思い通りに使い易くできる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照明装置は、光源と、前記光源を点灯させるための点灯回路部と、前記光源を点灯させる光出力の設定値を再現するための点灯モード情報を複数記憶している記憶部と、前記点灯回路部の出力を制御し、前記光源の光出力を前記記憶部に記憶された設定値に切り替えるための調光制御部と、前記光源を略連続的に調光操作するための調光操作手段と、前記記憶部に記憶された光出力の設定値を書き換えるための光出力設定部と、前記記憶部に記憶されている設定値にて前記光源を点灯させる複数の点灯モードをユーザーが選択、操作できる手段と、前記調光制御部が、前記点灯回路部の出力を消灯から点灯する際にフェードインして点灯するように見せるための手段と、前記点灯モードのいずれかが前記調光操作手段によって調整された光出力の設定値に応じて、前記光出力設定部が前記記憶部に記憶されていた光出力の設定値を随時書き換え設定する手段とを備え、前記調光制御部が、前記記憶部に記憶されていた光出力の設定値を随時書き換え設定する前記点灯モードにフェードイン点灯している際に、前記光源を消灯する手段があったとき、光出力の設定値を書き換えずに消灯する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る照明装置によれば、ユーザーの思い通りに使い易くできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る一実施形態の照明装置の基本的ブロック構成図
【図2】本発明に係る一実施形態の照明装置の具体的ブロック構成図図
【図3】本発明に係る一実施形態の照明装置のタイミングチャート
【図4】従来の照明装置のタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る一実施形態の照明装置について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明に係る一実施形態の照明装置10は、住宅用シーリングタイプの照明器具11を備える。
照明器具11は、光源である例えばLED12を備える。
照明器具11は、商用電源ACの交流電圧を入力フィルタ(図2参照)13および整流回路(図2参照)14を経て、制御IC(図2参照)15を動かすための電源を生成する電源生成部(図2参照)16からなる点灯回路部17を備える。
【0011】
点灯回路部17は、整流回路14から得られた直流電圧を昇圧する昇圧チョッパ(図2参照)18と、制御IC15によりLED12に流れる電流が一定になるように降圧する降圧チョッパ19とを備える。
点灯回路部17は、降圧チョッパ19の出力をフィードバック制御することによりLED12を点灯させる。
【0012】
照明器具11は、リモコン装置(図2参照)20から送信されたリモコン信号を、受光部(図2参照)21を介して受信する調光制御部22を備える。
調光制御部22は、リモコン信号にて送信されてきたユーザーの好みが反映している操作データに応じた調光制御信号または点灯制御信号を発生する。
調光制御部22から出力される調光制御信号は、点灯回路部17の制御IC15に入力されることにより、点灯回路部17の出力を変化させて、LED12の光出力を変化させる。
調光制御部22は、マイクロコンピュータ(図2参照)23から構成され、LED12を点灯させる光出力の設定値を複数記憶する記憶部24と、記憶部24に記憶された光出力の設定値を書き換える光出力設定部25とを備える。
調光制御部22は、LED12の光出力が記憶部24に記憶された設定値となるように点灯回路部17の出力を変化させる調光制御信号を出力する。
この調光制御信号は、PWM出力であり、Low部とHigh部との割合で光出力値を示す。
照明器具11は、ユーザーにより点灯モードを任意に選択されるユーザー操作手段26を備える。
【0013】
図2に示すように、照明装置10は、赤外線を信号媒体として照明器具11を遠隔操作するリモコン信号を発信するリモコン装置20を備える。
リモコン装置20は、ユーザーの好みの調光制御や、点灯制御が得られるように操作されるスイッチ手段を備え、このスイッチ手段の操作に応じた操作データをリモコン信号により照明器具11に送信する。
リモコン装置20は、器体27が、片手で持って操作することができる程度の大きさで、かつ偏平な形状に形成されている。
【0014】
リモコン装置20は、器体27の上面に、スイッチ手段としての、LED12の光出力を略連続的に増加させるために押操作されるアップスイッチ28と、LED12の光出力を略連続的に減少させるために押操作されるダウンスイッチ29とを備える。
リモコン装置20は、器体27の上面に、複数の点灯モードを選択できる第1スイッチ30と、第2スイッチ31と、第3スイッチ32と、第4スイッチ33とを備える。
リモコン装置20は、器具本体11の受光部21に受信されるリモコン信号を送信する赤外線LED34を備える。
【0015】
アップスイッチ28およびダウンスイッチ29は、LED12の光出力を調整するための調光操作手段を構成する。
第1スイッチ30は、ある固定されている光出力の設定値でLED12を点灯させる第1点灯モードの選択操作手段を構成する。
第2スイッチ31は、随時更新書き換えされる光出力の設定値でLED12を点灯させる第2点灯モードの選択操作手段を構成する。
第4スイッチ33は、LED12を全消灯させる消灯スイッチである。
【0016】
照明器具11は、調光制御部22内の記憶部24に、第1点灯モードに対応した光出力の設定値(例えば光束最大値に対応する値)が固定的に記憶される。
また、記憶部24には、アップスイッッチ28やダウンスイッチ29の操作によって調整された光出力に対応する光出力設定部25からの光出力の設定値に応じて随時書き換えられる第2点灯モードに対応した光出力の設定値が記憶されている。
【0017】
そのため、電源遮断(消灯)の前後にて使用状況が変化せず、前回点灯していた光出力が欲しい場合、第2スイッチ31を操作すればよい。
そして、この場合、リモコン装置20から操作データを含むリモコン信号が照明器具11側に送信される。
さらに、受光部21により受信されたリモコン信号に含まれる操作データに基づいて調光制御部22が記憶部24に現在記憶されている第2点灯モードに対応する光出力の設定値を読み出す。
そして、この設定値に対応する調光制御信号を点灯回路部17に出力してLED12の光出力を前回点灯していた光出力になるように出力を一定時間ごとに一定量ずつ増しながら制御する。
つまり、前回点灯時において電源遮断(消灯)されたときの最後の光出力のレベルがフェードインして再生されることになる。
ただし、このフェードインを行っている最中は、第2点灯モードに対応する光出力の設定値を更新(記憶)しない。
もちろん、この再生された光出力をアップスイッチ28やダウンスイッチ29の操作によって変化調整させることができる。
そして、この変化に対応する光出力設定部25から出力される光出力の設定値により、記憶部24に記憶する第2点灯モードの光出力の設定値が随時更新される。
さらに、消灯させた後や点灯モードを第1点灯モードに切り替えた後に、アップスイッチ28やダウンスイッチ29の操作があっても、設定値が保持される。
【0018】
第1スイッチ30を操作して第1点灯モードを選択すると、リモコン装置20から操作データを含むリモコン信号が照明器具11側に送信される。
そして、受光部21により受信されたリモコン信号に含まれる操作データに基づいて、調光制御部22は、記憶部24に記憶されている第1点灯モードに対応する光出力の設定値を読み出す。
さらに、調光制御部22は、この光出力の設定値に対応する調光制御信号を点灯回路部17に出力してLED12を点灯させる。
つまり、第1スイッチ30を操作することにより、第1点灯モードにより所定のレベルの光出力でLED12を点灯できる。
この第1点灯モード下でアップスイッチ28やダウンスイッチ29が操作された際に光出力を調整することができる。しかし、第1点灯モードに対応する光出力の設定値の記憶内容は更新されない。
【0019】
図3に示すように、照明装置10は、時点T10において、記憶部24が点Aにおける明るさを記憶し、消灯制御出力となる。
次に、時点T11において点灯指示があり、調光制御部22がフェードインを行う。
そして、フェードイン動作中の時点T12おいて消灯指示(この消灯指示はユーザーによるものでも、停電発生によるものでも、どちらでもかまわない)がある。
すると、記憶部24は、現在の点Bの出力制御値を記憶せずに、消灯制御出力となる。
そのため、次回点灯指示が時点T13において与えられた場合は、記憶部24に記憶されている出力が、時点T10での値になるために、時点T10と同じ点Cの出力までフェードイン動作することになる。
なお、本実施形態では操作部としてリモコン装置20を例として挙げているが、光出力を調整する調光操作が可能で、また、点灯モードを選択できる操作部であれば、その伝送方式は特にこだわらない。
【0020】
以上、説明したように一実施形態の照明装置10によれば、フェードイン最中にリモコン装置20によりLED12を全消灯させ消灯指示があった場合に、第2点灯モードに対応する光出力の設定値更新が行わない。
そして、一実施形態の照明装置10によれば、次回の第2点灯モードへの移行時に、前回使用していた明るさでLED12を点灯させる。
従って、一実施形態の照明装置10によれば、ユーザーの好みや使用状況により点灯モードを選択することにより、ユーザーの思い通りに使い易くできる。
【0021】
なお、本発明の照明装置においてLED,入力フィルタ,整流回路,制御IC,電源生成部等は、前述した一実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0022】
10 照明装置
12 LED(光源)
17 点灯回路部
22 調光制御部
24 記憶部
25 光出力設定部
28 アップスイッッチ(調光操作手段)
29 ダウンスイッチ(調光操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を点灯させるための点灯回路部と、
前記光源を点灯させる光出力の設定値を再現するための点灯モード情報を複数記憶している記憶部と、
前記点灯回路部の出力を制御し、前記光源の光出力を前記記憶部に記憶された設定値に切り替えるための調光制御部と、
前記光源を略連続的に調光操作するための調光操作手段と、
前記記憶部に記憶された光出力の設定値を書き換えるための光出力設定部と、
前記記憶部に記憶されている設定値にて前記光源を点灯させる複数の点灯モードをユーザーが選択、操作できる手段と、
前記調光制御部が、前記点灯回路部の出力を消灯から点灯する際にフェードインして点灯するように見せるための手段と、
前記点灯モードのいずれかが前記調光操作手段によって調整された光出力の設定値に応じて、前記光出力設定部が前記記憶部に記憶されていた光出力の設定値を随時書き換え設定する手段とを備え、
前記調光制御部が、前記記憶部に記憶されていた光出力の設定値を随時書き換え設定する前記点灯モードにフェードイン点灯している際に、前記光源を消灯する手段があったとき、光出力の設定値を書き換えずに消灯する照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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