説明

照明装置

照明装置は、複数の発光素子1と、入口開口部6を持つビーム成形光学部品7とを有する。各発光素子は、各々が、前記発光素子からのコリメート光を前記ビーム成形光学部品7に案内するために、前記発光素子に光学的に接続される第1端部と、前記入口開口部6に光学的に接続される第2端部とを持つ光ファイバ5のセットに光学的に接続される。前記発光素子は、前記入口開口部6より大きな領域にわたって分布している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、とりわけ、エンターテイメント照明用途のためのスポット照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
劇場、TVスタジオ照明、及び例えばロックコンサートのようなイベントにおける照明などの様々なエンターテイメント照明用途のための照明器具を含む様々な照明装置において、点状光放射を備える発光素子、とりわけ、固体発光素子(例えば、LED)が、より頻繁に用いられるようになっている。
【0003】
固体発光素子は、エネルギ効率及び重さに関して、従来のランプに比べて大きな利点を持つ。特に、ツアー及びイベント中に用いられる照明器具などの一時的な用途においては、総重量の削減は、固体照明システムの重要な利点である。
【0004】
各LEDが、狭いビームを形成する個々のレンズを持つ、赤色、緑色及び青色LEDを備える多くの市販LEDシステムがある。これらのシステムにおいては光は十分には混合されないことから、対象となる物は、多数の影を作成する。更に、このシステムアーキテクチャでは、エンターテイメントにおいてしばしば用いられるような、ハードエッジスポットを作成することができない。
【0005】
これらの制限のない照明システムは、1つの光学系に接続される100乃至200個のLEDのアレイをベースにして作成されることができることが明らかになっている。この光学系は、LEDからのランバート光分布を、必要とされるビーム形状(10°乃至40°のFWHMで、好ましくは拡大可能で、辺縁の明瞭な輪郭)に変換するのに重要である。このようなシステムは、US 6,200,002に開示されている。
【0006】
LEDのランバート光分布を例えばエンターテイメント用途において使用可能なビームに変換する光学系は、一般に、入口開口部と、入口開口部より大きい出口開口部とを持ち、且つ出口開口部直径と入口開口部直径との間の比が6乃至10の範囲内である管状反射器を有する。光学系の全直径は、数十cmより大きくなるべきではないことから、発光素子は、ほぼ数cmの直径を持つ領域に限定されなければならない。
【0007】
数cmの直径を持つLEDアレイの出力光束は、環境への伝熱によって制限される。更に、LEDの総数は、既存の効率的なLEDのパッケージサイズによっても制限される。60lm/W前後の現在のLED効率において例えば10.000ルーメンに達するためには、約150Wが、数cm2から取り除かれる必要がある。これが金属ヒートシンクによってなされる場合には、器具の重さが重くなるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記の問題を解決、又は少なくとも軽減し、エンターテイメント用途における使用に適しているが、過大な重さを持たない固体ベースの照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この及び他の目的は、複数の発光素子と、入口開口部を持つビーム成形光学部品とを有する照明装置で達成される。各発光素子は、各々が、前記発光素子からのコリメート光を前記ビーム成形光学部品に案内するために、前記発光素子に光学的に接続される第1端部と、前記入口開口部に光学的に接続される第2端部とを持つ光ファイバのセットに光学的に接続される。前記発光素子は、前記入口開口部より大きな領域にわたって分布している。
【0010】
光ファイバを用いて前記発光素子を前記ビーム成形光学部品に接続することによって、前記発光素子は、前記ビーム成形光学部品の前記入口開口部より大きい表面にわたって分散され得る。結果として、前記発光素子からの熱は、相対的に軽量なヒートシンクを用いても、より容易に放散され得る。
【0011】
冷却の向上、及び配線のために利用可能なスペースの増大は、更に、LEDに大きな電流を流すことを可能にする。結果として、単位面積当たりの大光束が達成されることができ、従って、小さなシステムからの大光束が達成されることができる。
【0012】
前記発光素子を分離することによって、発光素子の修理及び交換は容易になる。これは、特に、エンターテイメント固体照明システムにとって重要である。なぜなら、発光素子の数の多さ及び極端な動作電流により、発光素子の故障リスクは比較的大きくなり得るからである。
【0013】
LEDから光学部品に光を案内するのに光ファイバを用いることは、当業界では知られており、例えば、JP 2006004862に記載されている。しかしながら、従来技術の解決策においては、前記ファイバは、より大きな領域にわたって分散されている発光素子からの光を、より小さな入口開口部に集束させるためには用いられていない。
【0014】
本発明による照明装置は、100個より多くの発光素子を有してもよく、前記発光素子は、少なくとも1センチメートルの距離だけ互いから分離されてもよい。
【0015】
前記発光素子は、異なる色の光を放射するよう適合された発光素子を含み得る。一般的なエンターテイメントシステムにおいては、4乃至8個の異なる色が用いられる。この場合には、前記ビーム成形光学部品の入口開口部において、各セットの前記光ファイバが、他のセットの光ファイバと混在させられ得る。これは、色混合を改善する。好ましくは、前記ビーム成形光学部品の前記入口開口部において、前記光ファイバは、同じLED色を案内するファイバがほぼ均等に分布しているようにして、配設される。
【0016】
前記照明装置は、前記発光素子の光束を制御するための制御器と、前記制御器に接続される光センサとを更に有してもよく、ここで、光ファイバの各セットは、前記発光素子に光学的に接続される第1端部と、前記光センサに光学的に接続される第2端部とを持つ光ファイバを少なくとも1つ更に有する。前記光センサは、発光素子からの光束、又は発光素子のグループからの光束を検出することができ、この情報は、光束制御器にフィードバックされ得る。
【0017】
詳細には、このようなフィードバックは、カラーシステムにおいて、異なる色の相対光束を検出するために用いられ得る。この場合には、前記光センサは、時間的に順次に異なる色を検出するよう制御され得る。この解決策の利点は、前記フィードバックが、前記光センサの経年劣化又は劣化の影響を受けないことである。他の例においては、複数の光センサがあってもよく、各光センサは、同じ色を持つ発光素子に接続されている光ファイバにだけ接続されることができる。
【0018】
各発光素子は、前記発光素子から放射される光をコリメートするよう構成されるコリメータを更に有してもよい。この場合には、各光ファイバの前記第1端部は、前記コリメータに光学的に接続される。前記コリメータは、前記光ファイバへのインカップリングを容易にする前記光の第1コリメーションを供給するだろう。
【0019】
或る実施例によれば、前記ビーム成形光学部品は、管状反射器であって、反射性内面と、前記入口開口部を形成する前記反射器の第1端部と、前記入口開口部より大きい出口開口部を形成する前記反射器の第2端部とを備える管状反射器を有する。
【0020】
本発明は、請求項において列挙されている特徴の全てのあり得る組み合わせに関することに注意されたい。
【0021】
ここで、本発明の実施例を示す添付図面を参照して、本発明のこの及び他の態様をより詳細に説明する。図面全体を通じて、同様の符号は同様の特徴を指す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施例による照明装置の概略図を示す。
【図2】本発明の第2実施例による照明装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、様々なタイプの照明システムに適用できるが、例えばエンターテイメント用途に適している照明装置に関して説明する。このような照明装置は、一般に、例えば10000ルーメンと100000ルーメンとの間の、比較的大きな光出力を供給するよう適合され、好ましくは、ビームの成形を可能にする光学部品を有する。
【0024】
図1の照明装置は、複数の発光素子、一般には固体発光素子を含み、図示されている事例においては、基板2上に配設されるLED1を含む。LEDは、AlInGaPのLEDなどの多くの他のLEDより高い温度(電流)で動作され得るInGaNのLEDであり得る。
【0025】
基板2には、LEDに電力及び任意の制御信号を供給する回路(図示せず)が設けられ、LEDが熱的に接続されるヒートシンク3も設けられる。ヒートシンクは、LEDによって生成される熱を放散するよう適合される。図示されている事例においては、ヒートシンク3は、基板2の背面に配設される相対的に薄いアルミニウム冷却フィンによって形成される。
【0026】
一般的な用途においては、装置は、100乃至200個のLEDを有するが、この数は、この範囲を外れて変更してもよい。LEDは、ヒートシンク3による十分な熱放散を可能にするのに十分に大きな距離だけ互いから分離される。例として、LEDは、cmのオーダーの距離、例えば1cmだけ分離され得る。装置が、例えば、矩形(正方形)の11個×11個のアレイに配設される121個のLEDを有する場合には、これは、10cm×10cmのサイズをもたらし得る。
【0027】
装置は、各発光素子の上に配設される複数のコリメータ4を更に有する。各コリメータ4は、対応するLED1からの光を、一般に±30°未満の適切な角度範囲、及び一般に数mmの直径を持つ適切な領域にコリメートするよう構成される。例として、コリメータは、単一セルLED集光レンズであり得る。標準的なLEDに適しているこのような集光レンズは、例えばPolymer Optics社から容易に入手可能である。
【0028】
幾つかの、光ファイバ5のような可撓性の光導波路が、各コリメータレンズ4に接続され、各光ファイバは、レンズ4の焦点面に第1端部を持つ。適切な本数は、PMMAファイバの場合には、各LEDに対して10乃至100本であることができ、又は約50μmの直径を持つガラスファイバの場合には、各LEDに対して10000本前後であることができる。
【0029】
各ファイバ5の第2端部は、ビーム成形光学部品7の入口開口部6に配設され、故に、全LEDからの光が、十分な品質の光ビームを供給するために、ファイバによって、ビーム成形光学部品に案内される。ビーム成形光学部品7は、発光素子からの光を、(コリメータ4によって供給される任意のコリメーションに加えて)更にコリメートするよう構成され得る。例として、放射される光ビームは、10°乃至40°前後の半値全幅を持ち得る。ビーム成形光学部品7は、光ビームの拡大、及び(例えば「ウォッシュ」ビーム、「ハードエッジスポット」ビームなどへの)光ビームの成形も可能にし得る。
【0030】
このような光学部品の例は、参照により本願明細書に盛り込まれるUS 6,200,002によって示されている。この事例においては、ビーム成形光学部品7は、入口開口部6を形成する第1端部と、より大きい出口開口部13を形成する他の端部とを備える管状反射器である。管状反射器の断面は、多角形、例えば、六角形、七角形又は八角形であり得る。各壁部の表面は、光軸から見て凸状であり得る。
【0031】
エンターテイメント用途のための従来のビーム成形光学部品は、一般に、入口直径(入口開口部6の直径)と出口直径(出口開口部13の直径)との間で、約6乃至10の比を持つ。照明装置の全直径は、通常、約30cmまでに制限され、これは、光学部品の出口直径を制限する。従って、入口開口部は、3乃至5センチメートル程度の直径を持つだろう。本発明によれば、基板2の、発光素子1によって占められる領域は、ビーム成形光学部品7の入口開口部6より大きくてもよい。換言すれば、ファイバ5は、より大きな領域から光を集めて、入口開口部6のより小さい領域に集束させる。
【0032】
或る実施例によれば、発光素子は、白色光の生成を可能にするために、異なる色の素子、例えば、赤色、緑色及び青色のLEDを有する。一般的なエンターテイメント照明用途においては、可変着色光の生成を可能にするために、4乃至8個の異なる色が必要とされる。色制御器8は、装置の色混合を制御するよう構成され得る。この事例においては、様々なLEDからのファイバが、好ましくは、色の異なるLEDからのファイバと混在させられ、故に、ファイバによって第1色混合が供給される。これは、図1において、2つのLED1a及び1bと、ファイバ5a及び5bとによって図示されており、これは、2つのLEDからの光が、既に、ビーム成形光学部品7の入口開口部6において、互いと混合されることを確実にする。混合は、ランダム化されてもよく、即ち、全LEDからの多数のファイバは、入口開口部においてランダムに混在させられてもよい。ビーム成形光学部品は、混在ファイバによって供給される色混合を更に改善するよう適合され得る。
【0033】
或る実施例によれば、装置は、色制御器が、寿命にわたって、温度の関数として、異なる色のLEDの相対光束を較正値と等しいように保つことを可能にするために、色フィードバックを更に有する。フィードバックは、ここでは、各LEDからのファイバ10a、10bのうちの1つが接続されるカラーセンサ、例えば、フォトダイオード9を有する。その場合、フォトダイオード9の光束は、色制御器8にフィードバックされることができ、LEDを流れる電流を色ごとに制御するのに用いられることができる。
【0034】
これは、少なくとも2つの異なる方法で実施されることができる。図1に図示されている第1手法によれば、各LEDからの1つのファイバ10a、10bが、時間的に順次に各色の出力を測定するよう構成される単一の光センサ9に接続される。この実施例には、光センサの経年劣化に影響されないという利点を持つ。フォトダイオードの場合には、2つの異なるセンサには、異なる経年劣化特性があり得る。全ての色に対して同じセンサが用いられるので、波長依存経年劣化がなければ、相対強度は変わらないだろう。
【0035】
図2に図示されている第2手法によれば、各色に対して1つのセンサ9a、9bが配設され、連続的な光束監視を可能にする。同じ色のLEDに接続される全てのファイバ11a、11bが、同じセンサ9a、9bに接続される。この実施例は、順次的なタイミング制御を必要としないので、より少ない制御回路しか必要としない。
【0036】
当業者には、本発明が、決して、上記の好ましい実施例に限定されないことは分かるであろう。逆に、添付の請求項の範囲内で多くの修正及び変更が可能である。例えば、1つ又は2つのダイクロイックミラーを介して1つのファイバに2色又は3色を挿入することによって、入口開口部6における光束/mm2を更に増大させることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子と、
入口開口部を持つビーム成形光学部品とを有する照明装置であり、
各発光素子が、各々が、前記発光素子からのコリメート光を前記ビーム成形光学部品に案内するために、前記発光素子に光学的に接続される第1端部と、前記入口開口部に光学的に接続される第2端部とを持つ光ファイバのセットに光学的に接続される照明装置であって、
前記発光素子が、前記入口開口部より大きな領域にわたって分布している照明装置。
【請求項2】
前記発光素子が熱的に接続されるヒートシンクを更に有する請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記発光素子が、隣接する発光素子から、少なくとも1cmの距離だけ分離される請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
100個より多くの発光素子を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記発光素子が、異なる色、好ましくは、少なくとも4つの異なる色の光を放射するよう適合される発光素子のセットを含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記ビーム成形光学部品の入口開口部において、各セットの前記光ファイバが、色混合を供給するために、他のセットの光ファイバと混在させられる請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記発光素子の光束を制御するための制御器と、
前記制御器に接続される光センサとを更に有し、
光ファイバの各セットが、前記発光素子に光学的に接続される第1端部と、前記光センサに光学的に接続される第2端部とを持つ光ファイバを少なくとも1つ更に有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記制御器が、異なる色を持つ発光素子の相対光束を制御するよう構成される請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記光センサが、時間的に順次に異なる色を検出するよう構成される請求項8に記載の照明装置。
【請求項10】
複数の光センサを有し、特定の光センサに接続される全ての光ファイバが、同じ色を持つ発光素子に接続される請求項8に記載の照明装置。
【請求項11】
各発光素子が、前記発光素子から放射される光をコリメートするよう構成されるコリメータを有し、各光ファイバの前記第1端部が、前記コリメータに光学的に接続される請求項1乃至10のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記ビーム成形光学部品が、管状反射器であって、反射性内面と、前記入口開口部を形成する前記反射器の第1端部と、前記入口開口部より大きい出口開口部を形成する前記反射器の第2端部とを備える管状反射器を有する請求項1乃至11のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項13】
前記光ファイバが、前記ファイバを囲む媒体の屈折率より少なくとも0.5大きい屈折率nを持つ請求項1乃至12のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項14】
前記光ファイバが、PMMAファイバ及びガラスファイバのうちの少なくとも1つを有する請求項1乃至13のいずれか一項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−510387(P2013−510387A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535999(P2012−535999)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054892
【国際公開番号】WO2011/055281
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】