説明

照明装置

【目的】 被写体に陰影を発生させることもでき、検査物の形状をその陰影によって判定するときなどにも使用できるようにする。
【構成】 入力端1iが1つとされ、6つの出力端11o〜16oに分割された入力ファイバ束1と、6つの小束31〜36を束ね、各入力端31i〜36iを各出力端11o〜16oと一対一で所定間隔をおいて対向させた出力ファイバ束3と、円を6等分した各円弧A〜F毎に出力端31o〜36oを露出させて配列したリング体5と、各出力端11o〜16oから各入力端31i〜36iへ供給する光をそれぞれに制御するシャッタ機構7と、このシャッタ機構7の状態を指定する操作部8と、この操作部8の出力に基づいてシャッタ機構7を動作させる制御部とを備える。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、例えば被写体を撮影したり、検査物を検査するときなどに使用して好適な照明装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の上記した照明装置は、複数の光ファイバの入力端側を一つに束ね、各光ファイバの出力端を露出させて所定形状で周回する輪に配列してリング体に取り付けた構成とされている。
上述したように構成した照明装置の光ファイバの入力端に所定の光源から光を供給すると、光源の光は光ファイバで案内され、リング体に配列した出力端から出射される。
【0003】
したがって、リング体を、例えばカメラのレンズ筒の周囲に配設し、光ファイバの出力端から出射される光を被写体に照射すると、被写体に一様な光を照射することができるので、陰影を発生させない状態で被写体を撮影することができる。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
従来の照明装置は、一様に光を照射する機能しか有していないので、被写体に陰影を発生させ、陰影を付けた被写体を撮影することができなかった。
また、陰影を発生させることができないので、例えば検査物の凹凸を、光を照射した陰影によって正常であるか否かを判定することもできなかった。
【0005】
この考案は、上記したような不都合を解消するためになされたもので、被写体に陰影を発生させることもでき、検査物の形状をその陰影によって判定するときなどにも使用することのできる照明装置を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この考案にかかる照明装置は、複数の光ファイバの入力端側を1つに束ね、出力端側を複数の小束に束ねた入力ファイバ束と、複数の光ファイバを入力ファイバ束の出力端側の小束と同じ数の小束に束ね、この各小束の入力端を入力ファイバ束の各出力端と一対一で所定間隔をおいて対向させた出力ファイバ束と、所定形状で周回する輪を、出力ファイバ束を構成する小束と同じ数に区画するとともに、この区画した各部分毎に出力ファイバ束を構成する1つの小束の出力端を露出させて輪に配列したリング体と、入力ファイバ束の各出力端から出力ファイバ束の各入力端へ供給する光をそれぞれに制御するシャッタ機構と、このシャッタ機構の状態を指定する操作部と、この操作部の出力に基づいてシャッタ機構を動作させる制御部とを備えるものである。
そして、暗箱の表面に操作部を配設するとともに、暗箱に入力ファイバ束の各出力端、出力ファイバ束の各入力端、シャッタ機構および制御部を収容させたり、出力ファイバ束を構成する小束の各入力端側を口金に固定し、この口金を暗箱に対して着脱可能に取り付けるのが望ましい。
【0007】
【作用】
この考案における照明装置は、入力ファイバ束の入力端に所定の光源から光を供給している状態で、操作部を操作してシャッタ機構を所望の状態に動作させることにより、リング体の所望の部分に位置する出力ファイバ束の出力端から光が出射し、残りの部分から光が出射しなくなる。
【0008】
【実施例】
以下、この考案の実施例を図に基づいて説明する。
図1はこの考案の一実施例である照明装置の概略構成図、図2(a),(b)
はシャッタ機構の構成を示す正面図と側面図である。
【0009】
これらの図において、1は入力ファイバ束を示し、複数の光ファイバを束ねたものであり、入力端1iは一つに束ねられ、出力端側は複数、例えば6つの小束11〜16に束ねられている。
2は入力側口金を示し、6つの貫通した装着孔21〜26が設けられている。
そして、装着孔21に小束11が出力端11oを面一で露出する状態で装着され、装着孔22に小束12が出力端12oを面一で露出する状態に装着され、装着孔23に小束13が出力端13oを面一で露出する状態に装着され、装着孔24に小束14が出力端14oを面一で露出する状態に装着され、装着孔25に小束15が出力端15oを面一で露出する状態に装着され、装着孔26に小束16が出力端16oを面一で露出する状態に装着されている。
【0010】
3は出力ファイバ束を示し、複数の光ファイバを束ねた6つの小束31〜36を、束ねたものである。
4は出力側口金を示し、6つの貫通した装着孔41〜46と、後述するピン64,65が嵌合する2つの取付穴47,48とが設けられている。
そして、装着孔41に小束31が入力端31iを面一で露出させた状態に装着され、装着孔42に小束32が入力端32iを面一で露出させた状態に装着され、装着孔43に小束33が入力端33iを面一で露出させた状態に装着され、装着孔44に小束34が入力端34iを面一で露出させた状態に装着され、装着孔45に小束35が入力端35iを面一で露出させた状態に装着され、装着孔46に小束36が入力端36iを面一で露出させた状態に装着されている。
なお、各入力端31i〜36iは、取付穴47,48の開放側に露出している。
【0011】
5はリング体を示し、例えばカメラのレンズ筒を挿入可能な孔51が中心に設けられ、この孔51に臨むように3つの固定ねじ52が等間隔で同一円周上に取り付けられ、後述するように、前面に小束31〜36の出力端31o〜36oが面一で露出する状態に配列されている。
6は暗箱として機能する筺体を示し、前面に出力側口金4を出し入れするための開口61が設けられ、後述するシャッタ機構7の一部を取り付けるブラケット62と、入力側口金2、出力側口金4およびシャッタ機構7の一部を取り付けるブラケット63とが設けられ、図示は省略されているが、制御部を構成する電気部品が内蔵されている。
そして、ブラケット63には、出力側口金4の取付穴47,48に嵌合するピン64,65が開口61に向けて植設され、小束11〜16の出力端11o〜16oからの光を小束31〜36の入力端31i〜36iへ一対一の対応で通過させる6つの孔63a〜63fが開設されている。
【0012】
7はシャッタ機構を示し、ブラケット62に取り付けられ、制御部によって制御されるソレノイド71s〜76sと、このソレノイド71s〜76sのプランジャ71u〜76uの先端に一対一の対応で上端が取り付けられ、小束11〜16の出力端11o〜16oからの光を小束31〜36の入力端31i〜36iへ一対一の対応で通過させる孔71h〜76hが設けられたシャッタ71t〜76tと、このシャッタ71t〜76tの下端とブラケット63とに張架され、ソレノイド71s〜76sの非通電時に出力端11o〜16oからの光を入力端31i〜36iへ通過させる状態に孔71h〜76hを位置させるスプリング71p〜76pとで構成されている。
【0013】
8は筺体6の前面に配設された操作部を示し、プッシュ・プッシュ式の電源釦81と、非常釦82と、シャッタ機構7の動作させるソレノイド71s〜76sを指定するプッシュ・プッシュ式の指定釦83〜88とで構成され、指定釦83がソレノイド71sに対応し、指定釦84がソレノイド72sに対応し、指定釦85がソレノイド73sに対応し、指定釦86がソレノイド74sに対応し、指定釦87がソレノイド75sに対応し、指定釦88がソレノイド76sに対応している。
【0014】
図3は出力ファイバ束の出力端のリング体への配列を示す説明図である。
図3において、A〜Eは円を中心角で60度ずつに等分割した円弧を示し、円弧Aに小束31の出力端31oが配列され、円弧Bに小束32の出力端32oが配列され、円弧Cに小束33の出力端33oが配列され、円弧Dに小束34の出力端34oが配列され、円弧Eに小束35の出力端35oが配列され、円弧Fに小束36の出力端36oが配列されている。
【0015】
次に、出力ファイバ束の入力側の筺体への取り付けについて説明する。
まず、出力ファイバ束3を構成する各小束31〜36の入力側を装着した出力側口金4を筺体6の開口61へ挿入し、取付穴47,48にピン64,65を嵌合させるとともに、出力側口金4を押し込むことにより、出力ファイバ束3の入力側の筺体6への取付が完了する。
このように 出力側口金4を押し込むと、図2(b)に示すように、各小束31〜36の入力端31i〜36iがブラケット63およびシャッタ71s〜76sを挟んで小束11〜16の出力端11o〜16oと一対一で対向する。
【0016】
次に、動作について説明する。
まず、入力ファイバ束1の入力端1iに所定の光源から光を供給すると、入力端1iから入射した光は、各小束11〜16の出力端11i〜16iから出射され、シャッタ71t〜76tの孔71t〜76tおよびブラケット63の孔63a〜63fを通過し、各小束31〜36の入力端31i〜36iに入射する。
したがって、リング体5の前面に、図3に示すように、配列した出力端31o〜36oから光が出射される。
【0017】
そして、光を出力端31o〜36oから出射している状態で、電源釦81を操作して電源を投入し、指定釦83を操作すると、図示を省略した制御部が指定釦83の出力に基づいてソレノイド71sに通電するので、スプリング71pの付勢力に抗してプランジャ71uおよびシャッタ71tが上昇し、出力端11iから入力端31iへの光をシャッタ71tが遮断するため、図3に示す円弧Aに配列された出力端31oから光が出射しなくなる。
さらに、指定釦83を再度操作すると、制御部が指定釦83の出力に基づいてソレノイド71sに通電しなくなるので、スプリング71pの付勢力によってプランジャ71uおよびシャッタ71tが下降し、出力端11iから入力端31iへの光が孔71hを通過するため、円弧Aに配列された出力端31oから光が出射するようになる。
【0018】
なお、指定釦84を操作することによって円弧Bに配列された出力端32oから光が出射しなくなり、指定釦85を操作することによって円弧Cに配列された出力端33oから光が出射しなくなり、指定釦86を操作することによって円弧Dに配列された出力端34oから光が出射しなくなり、指定釦87を操作することによって円弧Eに配列された出力端35oから光が出射しなくなり、指定釦88を操作することによって円弧Fに配列された出力端36oから光が出射しなくなる。
そして、各指定釦84〜88を再度操作すると、各円弧B〜Fに配列された出力端32o〜36oから光が出射するようになる。
【0019】
上述したように、この考案の一実施例によれば、所望の指定釦83〜88を操作することにより、シャッタ機構7を動作させてリング体5の所望の円弧A〜F部分から光を出射させることができるので、リング体5の挿入孔51に、例えばカメラのレンズ筒を挿入し、固定ねじ52によってリング体5をレンズ筒に固定することにより、被写体に一様に光を照射させたり、所望の方向から光を照射して被写体に陰影を発生させることができる。
【0020】
したがって、被写体に陰影を発生させ、陰影を付けた被写体を撮影することができる。
また、検査物に光を照射した場合、検査物の凹凸を、光を照射した陰影によって正常であるか否かを判定することもできる。
【0021】
そして、入力ファイバ束1の出力端11o〜16o、出力ファイバ束3の入力端31i〜36iおよびシャッタ機構7を筺体6に内蔵させたので、シャッタ機構7部分から外光が入力端31i〜36iに入射しなくなるので、入力ファイバ束1の入力端1iから入射させた所期の光量に基づいて照明することができる。
【0022】
さらに、出力ファイバ束3の入力側を取り付けた出力側口金4を筺体6に対して着脱可能としたので、出力端31o〜36oを露出させる形状を変化させた複数のリング体5を用意することにより、さらに変化のある陰影を付けて被写体を撮影したり、検査物の形状に合わせて光を照射することができる。
【0023】
なお、上記した実施例では、出力ファイバ束3を構成する小束31〜36の出力端31o〜36oの配列を好ましい形状である円形とした例で説明したが、円形以外の環状に配列してもよいことは言うまでもない。
さらに、入力ファイバ束1の出力側を6つの小束11〜16とし、出力ファイバ束3を6つの小束31〜36とした例で説明したが、他の数であってもよいことは言うまでもない。
【0024】
【考案の効果】
以上のように、この考案によれば、操作部を操作することにより、シャッタ機構を動作させてリング体の所望部分から光を出射させることができるので、リング体を、例えばカメラのレンズ筒の周囲に配設することにより、被写体に一様に光を照射させたり、所望の方向から光を照射して被写体に陰影を発生させることができる。
【0025】
したがって、被写体に陰影を発生させ、陰影を付けた被写体を撮影することができる。
また、検査物に光を照射した場合、検査物の凹凸を、光を照射した陰影によって正常であるか否かを判定することもできる。
【0026】
そして、入力ファイバ束の出力端、出力ファイバ束の入力端およびシャッタ機構を暗箱に内蔵させたので、シャッタ機構部分から外光が出力ファイバ束の入力端に入射しなくなるので、入力ファイバ束の入力端から入射させた所期の光量に基づいて照明することができる。
【0027】
さらに、出力ファイバ束の入力側を取り付けた口金を暗箱に対して着脱可能としたので、出力ファイバ束の出力端を露出させる形状を変化させた複数のリング体を用意することにより、さらに変化のある陰影を付けて被写体を撮影したり、検査物の形状に合わせて光を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施例である照明装置の概略構成図である。
【図2】(a)はシャッタ機構の構成を示す正面図、(b)はシャッタ機構の構成を示す側面図である。
【図3】図3は出力ファイバ束の出力端のリング体への配列を示す説明図である。
【符号の説明】
1 入力ファイバ束
1i 入力端
11〜16 小束
11o〜16o 出力端
2 入力側口金
21〜26 装着孔
3 出力ファイバ束
31〜36 小束
31i〜36i 入力端
31o〜36o 出力端
4 出力側口金
41〜46 装着孔
47,48 取付穴
5 リング体
51 挿入孔
52 固定ねじ
A〜E 円弧
6 筺体
61 開口
62,63 ブラケット
63a〜63f 孔
64,65 ピン
7 シャッタ機構
71s〜76s ソレノイド
71u〜76u プランジャ
71t〜76t シャッタ
71h〜76h 孔
71p〜76p スプリング
8 操作部
81 電源釦
82 非常釦
83〜88 指定釦

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 複数の光ファイバの入力端側を1つに束ね、出力端側を複数の小束に束ねた入力ファイバ束と、複数の光ファイバを前記入力ファイバ束の出力端側の小束と同じ数の小束に束ね、この各小束の入力端を前記入力ファイバ束の各出力端と一対一で所定間隔をおいて対向させた出力ファイバ束と、所定形状で周回する輪を、前記出力ファイバ束を構成する小束と同じ数に区画するとともに、この区画した各部分毎に前記出力ファイバ束を構成する1つの小束の出力端を露出させて前記輪に配列したリング体と、前記入力ファイバ束の各出力端から前記出力ファイバ束の各入力端へ供給する光をそれぞれに制御するシャッタ機構と、このシャッタ機構の状態を指定する操作部と、この操作部の出力に基づいて前記シャッタ機構を動作させる制御部と、を備える照明装置。
【請求項2】 請求項1に記載の照明装置において、前記操作部が暗箱の表面に配設され、前記入力ファイバ束の各出力端、前記出力ファイバ束の各入力端、前記シャッタ機構および前記制御部が前記暗箱に収容されている、ことを特徴とする照明装置。
【請求項3】 請求項2に記載の照明装置において、前記出力ファイバ束を構成する小束の各入力端側が口金に固定され、この口金が前記暗箱に対して着脱可能に取り付けられている、ことを特徴とする照明装置。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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