説明

熱交換器の配置構造

【課題】構成の複雑化、高コスト化することなく、室外熱交換器の凍結を極力防止できる熱交換器の配置構造を提供する。
【解決手段】蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成し、外気との間で熱交換を行う室外熱交換器20と、車両搭載機器の冷却サイクルを構成し、外気との間で熱交換を行うラジエータ10とを共に車両のエンジンルーム2内に配置する熱交換器の配置構造であって、ラジエータ10は、外気導入口4の対向位置に配置され、室外熱交換器20は、外気導入口4に対向しない位置で、ラジエータ10より上位置に配置された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成する室外熱交換器と、車両搭載機器の冷却サイクルを構成するラジエータとの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンを搭載する車両では、エンジンの冷却水を車両空調装置の暖房源として使用する。そのため、蒸気圧縮式冷凍サイクルの室内熱交換器を車両空調装置の冷却源としてのみ使用すれば良く、蒸気圧縮式冷凍サイクルの室外熱交換器はコンデンサとして機能させるだけで良かった。
【0003】
ところが、電気自動車等のように熱源がほとんど得られない車両では、蒸気圧縮式冷凍サイクルの室内熱交換器を車両用空調装置の冷却源と暖房源の両方に使用する場合がある。そのため、蒸気圧縮式冷凍サイクルの室外熱交換器は、冷房時にはコンデンサとして機能させ、暖房時にはエバポレータとして機能させる必要がある。
【0004】
このように機能させる蒸気圧縮式冷凍サイクルの室外熱交換器と、車両搭載機器の冷却サイクルのラジエータとの配置構造の従来例が図7に示されている(特許文献1参照)。
【0005】
図7において、車両100の前部にはエンジンルーム101が設けられている。エンジンルーム101の前部で、且つ、バンパー102の上方位置には外気導入口103が設けられている。この外気導入口103よりエンジンルーム101内に外気が導入される。エンジンルーム101内には、外気の通過方向に沿ってメッシュ110と、電子機器冷却用のラジエータ111と、蒸気圧縮式冷凍サイクルの室外熱交換器112と、燃料電池冷却用のラジエータ113と、送風ファン114がこの順で配置されている。
【0006】
電子機器冷却用のラジエータ111は、外気導入口103に対向しない位置に配置されている。蒸気圧縮式冷凍サイクルの室外熱交換器112と燃料電池冷却用のラジエータ113は、その上半分が外気導入口103に対向する位置に配置されている。
【0007】
メッシュ110は、前方から見て蒸気圧縮式冷凍サイクルの室外熱交換器112の全域をカバーする大きさに設定されている。
【0008】
上記構成において、エンジンルーム101内に外気導入口103から導入される外気は、メッシュ110を通って蒸気圧縮式冷凍サイクルの室外熱交換器112を通過する。車両用空調装置の冷房時には、室外熱交換器112がコンデンサとして機能し、冷媒が外気に放熱する。車両用空調装置の暖房時には、室外熱交換器112がエバポレータとして機能し、冷媒が外気より吸熱する。
【0009】
ここで、車両用空調装置の暖房時は外気温が通常低いため、外気と共に氷雪が外気導入口103よりエンジンルーム101内に導入される場合がある。しかし、氷雪はメッシュ110によって捕捉されるため、室外熱交換器112に氷雪が付着することがなく、室外熱交換器112の凍結を極力防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−126919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来の熱交換器の配置構造では、室外熱交換器112の上流にメッシュ110を設置する必要があるため、構成が複雑で、コストも高くなるという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、構成の複雑化、高コスト化することなく、室外熱交換器の凍結を極力防止できる熱交換器の配置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成し、外気との間で熱交換を行う室外熱交換器と、車両搭載機器の冷却サイクルを構成し、外気との間で熱交換を行うラジエータとを共に車両の収容スペース内に配置する熱交換器の配置構造であって、外気導入口から導入される外気の主流がダイレクトに通過する位置に前記ラジエータを、前記外気導入口から導入される外気の主流以外の送風が通過する位置に前記室外熱交換器とそれぞれ配置したことを特徴とする。
【0014】
前記室外熱交換器は、前記ラジエータより上方位置に配置することが好ましい。
【0015】
前記ラジエータと前記室外熱交換器は、一直線上に配置することが好ましい。
【0016】
前記ラジエータと前記室外熱交換器は、垂直方向に傾斜して配置しても良い。
【0017】
前記ラジエータは、前記外気導入口の対向位置に配置され、前記室外熱交換器は、前記外気導入口に対向しない位置に配置されることが好ましい。
【0018】
前記ラジエータと前記室外熱交換器は、共に前記外気導入口の対向位置に配置し、且つ、前記ラジエータは、前記外気導入口に近い位置に、前記室外熱交換器は、前記外気導入口から遠い位置にそれぞれ配置しても良い。
【0019】
前記ラジエータは、前記外気導入口から導入される外気の通過量が多く、前記室外熱交換器は、前記外気導入口から導入される外気の通過量が少ないように設置しても良い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、外気導入口より収容スペース内に導入される外気は、その主流がラジエータを通過し、外気の主流以外の送風が室外熱交換器を通過する。そのため、外気温が低く室外熱交換器をエバポレータとして機能させる場合には、外気と共に導入される雨、雪などが室外熱交換器に直接当たらないため、室外熱交換器の凍結を極力防止できる。そして、従来例のようにメッシュ等の凍結防止部材を何ら付設しないため、構成が複雑化、高コスト化することがない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、熱交換器の配置構造の概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示し、熱交換器の配置構造の概略構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態を示し、熱交換器の配置構造の概略構成図である。
【図4】本発明の第4実施形態を示し、熱交換器の配置構造の概略構成図である。
【図5】本発明の第5実施形態を示し、熱交換器の配置構造の概略構成図である。
【図6】本発明の第6実施形態を示し、熱交換器の配置構造の概略構成図である。
【図7】従来例における熱交換器の配置構造の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1は本発明にかかる熱交換器の配置構造の第1実施形態を示す。図1において、車両1は、電気自動車である。車両1の前部には、収容スペースであるエンジンルーム2が配置されている。エンジンルーム2の前面側で、且つ、バンパー3の下方位置には外気導入口4が設けられている。この外気導入口4よりエンジンルーム2内に外気が導入される。
【0024】
エンジンルーム2内には、車両搭載機器(駆動モータ、インバータ等)の冷却サイクルを構成するラジエータ10と、蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成する室外熱交換器20と、送風ファン30と、送風ガイド板32とが配置されている。
【0025】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、上下2段に積層され、垂直方向に一直線上に配置されている。ラジエータ10は、下位置であり、外気導入口4の対向位置に配置されている。つまり、ラジエータ10には、外気導入口4からの外気の主流がダイレクトに供給される。室外熱交換器20は、上位置であり、外気導入口4に対向しない位置に配置されている。つまり、室外熱交換器20には、外気導入口4からの外気の主流以外の送風が供給される。
【0026】
冷却サイクルは、ラジエータ10の他に、車両搭載機器(駆動モータ、インバータ等)の冷却部と、ラジエータ10と冷却部間を連通する往復の配管とを有し、冷却水がラジエータ10と冷却部間を循環する。ラジエータ10は、循環する冷却水と外気との間で熱交換を行い、冷却水を冷却する。
【0027】
蒸気圧縮式冷凍サイクルは、室外熱交換器20の他に、冷媒を圧縮するコンプレッサと、冷媒を減圧させる減圧手段と、車室内に供給する空気との間で熱交換する室内熱交換器と、これらを接続する配管等を備え、冷媒がこれら各機器間を循環する。室外熱交換器20は、循環する冷媒と外気との間で熱交換を行う。室外熱交換器20は、車両空調装置の冷房時にはコンデンサとして機能して冷媒の熱を外気に放熱する。室外熱交換器20は、車両空調装置の暖房時にはエバポレータとして機能して冷媒が外気より吸熱する。
【0028】
上記構成において、車両1の走行時のラム圧や送風ファン30の吸引力によって、外気が外気導入口4よりエンジンルーム2内に導入される。導入される外気は、ラジエータ10及び室外熱交換器20を通過し、熱交換に供される。
【0029】
ラジエータ10は、外気導入口4の対向位置に配置されているため、外気の主流がダイレクトに通過する。室外熱交換器20は、外気導入口4に対向しない位置に配置されているため、外気の主流以外の送風が通過する。そのため、外気温が低く室外熱交換器20をエバポレータとして機能させる場合には、外気と共に導入される雨、雪などが室外熱交換器20に直接当たったりしないため、室外熱交換器20の凍結を極力防止できる。そして、従来例のようにメッシュ等の凍結防止部材を何ら付設しないため、構成が複雑化、高コスト化することがない。以上より、構成の複雑化、高コスト化することなく、室外熱交換器20の凍結を極力防止できる。
【0030】
ラジエータ10には、外気の主流、つまり、新鮮な外気がダイレクトに通過するため、ラジエータ10の熱交換性能が向上する。従って、ラジエータ10を小型化できる。その上、この第1実施形態にように電気自動車では、エンジンからの吹き返し風による吸気温度上昇がないため、熱交換性能が低下するアイドリング時においても所望の熱交換性能を確保し易く、この点からもラジエータ10の小型化を図ることができる。
【0031】
室外熱交換器20が上位置で、ラジエータ10が下位置であるので、ラジエータ10からの水滴が室外熱交換器20に落下して付着することがない。従って、ラジエータ10からの水滴による室外熱交換器20の凍結を防止できる。
【0032】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、一直線状に配置されているので、熱交換器の配置構造の幅方向Dの設置スペースをコンパクト化できる。
【0033】
また、電気自動車は、航続距離を延ばすため走行抵抗値の低下が要望される。走行抵抗値の低下を図るため、この第1実施形態にように、外気導入口4は、その開口面積を極力小さく、且つ、バンパー3の下方に設置されることが多い。従って、この第1実施形態に係る熱交換器の配置構造は、このような外気導入口4の設置条件に適合した構造である。
【0034】
(第2実施形態)
図2は本発明にかかる熱交換器の配置構造の第2実施形態を示す。図2において、車両1は、電気自動車である。車両1の前部には、収容スペースであるエンジンルーム2が配置されている。エンジンルーム2の前面側で、且つ、バンパー3の上方位置には外気導入口4が設けられている。この外気導入口4よりエンジンルーム2内に外気が導入される。
【0035】
エンジンルーム2内には、車両搭載機器(駆動モータ、インバータ等)の冷却サイクルを構成するラジエータ10と、蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成する室外熱交換器20と、送風ファン30と、送風ガイド板32とが配置されている。
【0036】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、上下2段に積層され、垂直方向に対し後方に傾斜する方向に一直線上に配置されている。ラジエータ10は、上位置であり、外気導入口4の対向位置に配置されている。室外熱交換器20は、下位置であり、外気導入口4に対向しない位置に配置されている。
【0037】
冷却サイクル、蒸気圧縮式冷凍サイクル等の構成は、前記第1実施形態のものと同様であるため、説明を省略する。
【0038】
上記構成において、車両1の走行時のラム圧や送風ファン30の吸引力によって、外気が外気導入口4よりエンジンルーム2内に導入される。導入される外気は、ラジエータ10及び室外熱交換器20を通過し、熱交換に供される。
【0039】
ラジエータ10は、外気導入口4の対向位置に配置されているため、外気の主流がダイレクトに通過する。室外熱交換器20は、外気導入口4に対向しない位置に配置されているため、外気の主流以外の送風が通過する。そのため、外気温が低く室外熱交換器20をエバポレータとして機能させる場合には、外気と共に導入される雨、雪などが室外熱交換器20に直接当たったりしないため、室外熱交換器20の凍結を極力防止できる。そして、従来例のようにメッシュ等の凍結防止部材を何ら付設しないため、構成が複雑化、高コスト化することがない。以上より、構成の複雑化、高コスト化することなく、室外熱交換器20の凍結を極力防止できる。
【0040】
ラジエータ10には、外気の主流、つまり、新鮮な外気がダイレクトに通過するため、ラジエータ10の熱交換性能が向上し、ラジエータ10の小型化になる。
【0041】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、一直線状に配置されているので、熱交換器の配置構造の幅方向Dの設置スペースをコンパクト化できる。
【0042】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、垂直方向に傾斜して配置されているので、熱交換器の配置構造の高さHを低く設置できる。従って、エンジンルーム2の高さが低い車両1への設置に適した配置構造である。
【0043】
(第3実施形態)
図3は本発明にかかる熱交換器の配置構造の第3実施形態を示す。図3において、車両1は、電気自動車である。車両1の前部には、収容スペースであるエンジンルーム2が配置されている。車両1の前部は、高さが低いため、エンジンルーム2も高さが低い。エンジンルーム2の前面側には、外気導入口4が設けられている。この外気導入口4よりエンジンルーム2内に外気が導入される。
【0044】
エンジンルーム2内には、車両搭載機器(駆動モータ、インバータ等)の冷却サイクルを構成するラジエータ10と、蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成する室外熱交換器20と、送風ファン30と、送風ガイド板32とが配置されている。
【0045】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、上下2段に積層され、垂直方向に対し後方に傾斜する方向に一直線上に配置されている。ラジエータ10は、下位置であり、外気導入口4の対向位置に配置されている。室外熱交換器20は、上位置であり、外気導入口4に対向しない位置に配置されている。
【0046】
冷却サイクル、蒸気圧縮式冷凍サイクル等の構成は、前記第1実施形態のものと同様であるため、説明を省略する。
【0047】
上記構成において、車両1の走行時のラム圧や送風ファン30の吸引力によって、外気が外気導入口4よりエンジンルーム2内に導入される。導入される外気は、ラジエータ10及び室外熱交換器20を通過し、熱交換に供される。
【0048】
ラジエータ10は、外気導入口4の対向位置に配置されているため、外気の主流がダイレクトに通過する。室外熱交換器20は、外気導入口4に対向しない位置に配置されているため、外気の主流以外の送風が通過する。そのため、外気温が低く室外熱交換器20をエバポレータとして機能させる場合には、外気と共に導入される雨、雪などが室外熱交換器20に直接当たったりしないため、室外熱交換器20の凍結を極力防止できる。そして、従来例のようにメッシュ等の凍結防止部材を何ら付設しないため、構成が複雑化、高コスト化することがない。以上より、構成の複雑化、高コスト化することなく、室外熱交換器20の凍結を極力防止できる。
【0049】
ラジエータ10には、外気の主流、つまり、新鮮な外気が通過するため、ラジエータ10の熱交換性能が向上し、ラジエータ10の小型化になる。
【0050】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、一直線状に配置されているので、熱交換器の配置構造の幅方向Dの設置スペースをコンパクト化できる。
【0051】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、垂直方向に傾斜して配置されているので、熱交換器の配置構造の高さHを低く設置できる。従って、第3実施形態のように、エンジンルーム2の高さが低い車両1への設置に適した配置構造である。
【0052】
(第4実施形態)
図4は本発明にかかる熱交換器の配置構造の第4実施形態を示す。図4において、車両1は、トラック、ワンボックスカーの様に前部の高さが高いものである。車両1の前部で、且つ、その下方位置には、収容スペースであるエンジンルーム2が配置されている。エンジンルーム2は、高さが低い。エンジンルーム2の前面側で、且つ、バンパー3の上方位置には外気導入口4が設けられている。この外気導入口4よりエンジンルーム2内に外気が導入される。
【0053】
エンジンルーム2内には、車両搭載機器(駆動モータ、インバータ等)の冷却サイクルを構成するラジエータ10と、蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成する室外熱交換器20と、送風ファン30と、送風ガイド板32とが配置されている。
【0054】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、上下2段に積層され、垂直方向に対し大きく後方に傾斜する方向(水平方向に近い方向)に一直線上に配置されている。ラジエータ10は、下位置であり、室外熱交換器20は、上位置であるが、ほぼ水平方向に近い方向に寝かせて配置されているため、共に外気導入口4の対向位置に配置されている。しかし、ラジエータ10は、室外熱交換器20に較べて外気導入口4に近い位置で、且つ、配風プレート31によって多量の外気が導入されるようになっている。室外熱交換器20は、ラジエータ10に較べて外気導入口4より遠い位置で、且つ、配風プレート31によって少量の外気が導入されるようになっている。このような構成によって、ラジエータ10には外気の主流が、室外熱交換器20には外気の主流以外の送風が導入されるようになっている。
【0055】
冷却サイクル、蒸気圧縮式冷凍サイクル等の構成は、前記第1実施形態のものと同様であるため、説明を省略する。
【0056】
上記構成において、車両1の走行時のラム圧や送風ファン30の吸引力によって、外気が外気導入口4よりエンジンルーム2内に導入される。導入される外気は、ラジエータ10及び室外熱交換器20を通過し、熱交換に供される。
【0057】
ラジエータ10は、外気導入口4の対向位置で、しかも、外気導入口4の近傍に配置されていると共に、配風プレート31によって多量の外気が導かれるので、外気の主流がダイレクトに通過する。室外熱交換器20は、外気導入口4の対向位置であるが、外気導入口4より離間した位置に配置されていると共に、配風プレート31によって少量の外気しか導かれないので、外気の主流以外の送風が通過する。そのため、外気温が低く室外熱交換器20をエバポレータとして機能させる場合には、外気と共に導入される雨、雪などが室外熱交換器20に直接当たったりすることを極力防止できるため、室外熱交換器20の凍結を極力防止できる。そして、従来例のようにメッシュ等の凍結防止部材を何ら付設しないため、構成が複雑化、高コスト化することがない。以上より、構成の複雑化、高コスト化することなく、室外熱交換器20の凍結を極力防止できる。
【0058】
ラジエータ10には、外気の主流、つまり、新鮮な外気がダイレクトに通過するため、ラジエータ10の熱交換性能が向上し、ラジエータ10の小型化になる。
【0059】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、一直線状に配置されているので、熱交換器の配置構造の幅方向Dの設置スペースをコンパクト化できる。
【0060】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、垂直方向に傾斜して配置されているので、熱交換器の配置構造の高さHを低く設置できる。従って、第4実施形態のように、エンジンルーム2の高さが低い車両1への設置に適した配置である。
【0061】
(第5実施形態)
図5は本発明にかかる熱交換器の配置構造の第5実施形態を示す。図5において、車両1は、リア駆動であり、その後部側に収容スペースであるエンジンルーム2を有する。エンジンルーム2には駆動モータMが配置されている。エンジンルーム2には、後輪より後方に外気導入口4が開口されている。この外気導入口4よりエンジンルーム2内に外気が導入される。
【0062】
エンジンルーム2内の外気導入口4の後方位置には、車両搭載機器(駆動モータ、インバータ等)の冷却サイクルを構成するラジエータ10と、蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成する室外熱交換器20と、送風ファン30と、送風ガイド板32とが配置されている。
【0063】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、上下2段に積層され、垂直方向に一直線上に配置されている。ラジエータ10は、下位置であり、外気導入口4の対向位置に配置されている。室外熱交換器20は、上位置であり、外気導入口4に対向しない位置に配置されている。
【0064】
冷却サイクル、蒸気圧縮式冷凍サイクル等の構成は、前記第1実施形態のものと同様であるため、説明を省略する。
【0065】
上記構成において、車両1の走行時のラム圧や送風ファン30の吸引力によって、外気が外気導入口4よりエンジンルーム2内に導入される。導入される外気は、ラジエータ10及び室外熱交換器20を通過し、熱交換に供される。
【0066】
ラジエータ10は、外気導入口4の対向位置に配置されているため、外気の主流がダイレクトに通過する。室外熱交換器20は、外気導入口4に対向しない位置に配置されているため、外気の主流以外の送風が通過する。そのため、外気温が低く室外熱交換器20をエバポレータとして機能させる場合には、外気と共に導入される雨、雪などが室外熱交換器20に直接当たったりしないため、室外熱交換器20の凍結を極力防止できる。そして、従来例のようにメッシュ等の凍結防止部材を何ら付設しないため、構成が複雑化、高コスト化することがない。以上より、構成の複雑化、高コスト化することなく、室外熱交換器20の凍結を極力防止できる。
【0067】
ラジエータ10には、外気の主流、つまり、新鮮な外気がダイレクトに通過するため、ラジエータ10の熱交換性能が向上し、ラジエータ10の小型化になる。
【0068】
室外熱交換器20が上位置で、ラジエータ10が下位置であるので、ラジエータ10からの水滴が室外熱交換器20に落下して付着することがない。従って、ラジエータ10からの水滴による室外熱交換器20の凍結を防止できる。
【0069】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、一直線状に配置されているので、熱交換器の配置構造の幅方向Dの設置スペースをコンパクト化できる。
【0070】
(第6実施形態)
図6は本発明にかかる熱交換器の配置構造の第6実施形態を示す。図6において、車両1は、その前部にエンジンルーム2が配置されている。エンジンルーム2の上方には、ボンネットバルジ5が突設されている。このボンネットバルジ5の前面部に外気導入口4が開口されている。この外気導入口4よりエンジンルーム2内に外気が導入される。
【0071】
エンジンルーム2内には、車両搭載機器(駆動モータ、インバータ等)の冷却サイクルを構成するラジエータ10と、蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成する室外熱交換器20と、送風ファン30と、送風ガイド板32とが配置されている。
【0072】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、上下2段に積層され、垂直方向に対し大きく後方に傾斜する方向(水平方向に近い方向)に一直線上に配置されている。ラジエータ10は、下位置であり、室外熱交換器20は、上位置であるが、ほぼ水平方向に近い方向に寝かせて配置されているため、共に外気導入口4の対向位置に配置されている。しかし、ラジエータ10は、室外熱交換器20に較べて外気導入口4に近い位置で、且つ、ボンネットバルジ5の送風ガイド機能によって多量の外気が導入されるようになっている。室外熱交換器20は、ラジエータ10に較べて外気導入口4より遠い位置で、且つ、ボンネットバルジ5の形状によって少量の外気が導入されるようになっている。このような構成によって、ラジエータ10には外気の主流が、室外熱交換器20には主流以外の外気が導入される。
【0073】
冷却サイクル、蒸気圧縮式冷凍サイクル等の構成は、前記第1実施形態のものと同様であるため、説明を省略する。
【0074】
上記構成において、車両1の走行時のラム圧や送風ファン30の吸引力によって、外気が外気導入口4よりエンジンルーム2内に導入される。導入される外気は、ラジエータ10及び室外熱交換器20を通過し、熱交換に供される。
【0075】
ラジエータ10は、外気導入口4の対向位置で、しかも、外気導入口4の近傍に配置されていると共に、ボンネットバルジ5の形状によって多量の外気が導かれるので、外気の主流がダイレクトに通過する。室外熱交換器20は、外気導入口4の対向位置であるが、外気導入口4より離間した位置に配置されていると共に、ボンネットバルジ5の形状によって少量の外気しか導かれないので、外気の主流以外の送風が通過する。そのため、外気温が低く室外熱交換器20をエバポレータとして機能させる場合には、外気と共に導入される雨、雪などが室外熱交換器20に直接当たったりするのを極力防止できるため、室外熱交換器20の凍結を極力防止できる。そして、従来例のようにメッシュ等の凍結防止部材を何ら付設しないため、構成が複雑化、高コスト化することがない。以上より、構成の複雑化、高コスト化することなく、室外熱交換器20の凍結を極力防止できる。
【0076】
ラジエータ10には、外気の主流、つまり、新鮮な外気がダイレクトに通過するため、ラジエータ10の熱交換性能が向上し、ラジエータ10の小型化になる。
【0077】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、一直線状に配置されているので、熱交換器の配置構造の幅方向Dの設置スペースをコンパクト化できる。
【0078】
ラジエータ10と室外熱交換器20は、垂直方向に傾斜して配置されているので、熱交換器の配置構造の高さを低く設置できる。
【0079】
(その他)
前記各実施形態では、車両1が電気自動車の場合を説明したが、本発明に係る熱交換器の配置構造は、電気自動車以外で、熱源がほとんど得られない車両に適用可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0080】
2 エンジンルーム(収容スペース)
4 外気導入口
10 ラジエータ
20 室外熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気圧縮式冷凍サイクルを構成し、外気との間で熱交換を行う室外熱交換器(20)と、車両搭載機器の冷却サイクルを構成し、外気との間で熱交換を行うラジエータ(10)とを共に車両の収容スペース(2)内に配置する熱交換器の配置構造であって、
外気導入口(4)から導入される外気の主流がダイレクトに通過する位置に前記ラジエータ(10)を、前記外気導入口(4)から導入される外気の主流以外の送風が通過する位置に前記室外熱交換器(20)とそれぞれ配置したことを特徴とする熱交換器の配置構造。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器の配置構造であって、
前記室外熱交換器(20)は、前記ラジエータ(10)より上方位置に配置されたことを特徴とする熱交換器の配置構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の熱交換器の配置構造であって、
前記ラジエータ(10)と前記室外熱交換器(20)は、一直線上に配置されたことを特徴とする熱交換器の配置構造。
【請求項4】
請求項3に記載の熱交換器の配置構造であって、
前記ラジエータ(10)と前記室外熱交換器(20)は、垂直方向に傾斜して配置されたことを特徴とする熱交換器の配置構造。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱交換器の配置構造であって、
前記ラジエータ(10)は、前記外気導入口(4)の対向位置に配置され、前記室外熱交換器(20)は、前記外気導入口(4)に対向しない位置に配置されたことを特徴とする熱交換器の配置構造。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱交換器の配置構造であって、
前記ラジエータ(10)と前記室外熱交換器(20)は、共に前記外気導入口(4)の対向位置に配置され、且つ、前記ラジエータ(10)は、前記外気導入口(4)に近い位置に、前記室外熱交換器(20)は、前記外気導入口(4)から遠い位置にそれぞれ配置されたことを特徴する熱交換器の配置構造。
【請求項7】
請求項6に記載の熱交換器の配置構造であって、
前記ラジエータ(10)は、前記外気導入口(4)から導入される外気の通過量が多く、前記室外熱交換器(20)は、前記外気導入口(4)から導入される外気の通過量が少ないようにされたことを特徴とする熱交換器の配置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−255720(P2011−255720A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129833(P2010−129833)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】