熱交換器ユニット及びそれを備えた空気調和機
【課題】補助熱交換器の取り付けを容易にする。
【解決手段】熱交換器ユニット12は、複数のフィン22、及び複数のフィン22の両端に配置された第1端板23を有する本体熱交換器21と、複数のフィン25、及び複数のフィン25の一端に配置された第2端板26を有する補助熱交換器24とを備えている。第1端板23には、複数のフィン22の一部を覆うように突出している第1突出部23aが形成されている。本体熱交換器21と補助熱交換器24とを積層したときに、第1突出部23aがスペーサとして機能し、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成される。
【解決手段】熱交換器ユニット12は、複数のフィン22、及び複数のフィン22の両端に配置された第1端板23を有する本体熱交換器21と、複数のフィン25、及び複数のフィン25の一端に配置された第2端板26を有する補助熱交換器24とを備えている。第1端板23には、複数のフィン22の一部を覆うように突出している第1突出部23aが形成されている。本体熱交換器21と補助熱交換器24とを積層したときに、第1突出部23aがスペーサとして機能し、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体熱交換器と補助熱交換器とを有する熱交換器ユニット及びそれを備えた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、本体熱交換器と補助熱交換器とを備えており、高い熱交換効率を実現可能な熱交換器ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、本体熱交換器及び補助熱交換器としては、いずれも薄板状の複数のフィンが厚み方向に等間隔で配置されていると共に伝熱管が貫通しているものが用いられる。かかる熱交換器ユニットにおいては、補助熱交換器は、積層された状態で本体熱交換器に取り付けられている。
【特許文献1】特開2001−59628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、補助熱交換器を本体熱交換器に取り付ける際に、フィン同士が接触すると損傷する虞があるため、本体熱交換器のフィンと補助熱交換器のフィンとの間に隙間が形成されることが多い。従って、上述のような熱交換器ユニットにおいて補助熱交換器を本体熱交換器に取り付ける際には、本体熱交換器のフィンと補助熱交換器のフィンとの間に隙間が形成されるように、補助熱交換器を本体熱交換器から浮かせた状態で手で支えながら取り付け作業を行う必要がある。よって、補助熱交換器を本体熱交換器に取り付ける作業が非常に煩雑である。
【0004】
この本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、補助熱交換器を本体熱交換器に容易に取り付けることができる熱交換器ユニット及びそれを備えた空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明にかかる熱交換器ユニットは、複数の第1薄板と、前記複数の第1薄板の一端または両端に配置された第1端板とを有する本体熱交換器と、複数の第2薄板と、前記複数の第2薄板の一端または両端に配置された第2端板とを有し、前記本体熱交換器に積層される補助熱交換器とを備え、前記第1端板及び前記第2端板の少なくとも一方は、前記本体熱交換器と前記補助熱交換器とが積層されたときに前記第1薄板と前記第2薄板との間に隙間が形成されるように構成されている。
【0006】
この熱交換器ユニットでは、第1薄板と第2薄板との間に隙間が形成されるように本体熱交換器と補助熱交換器とを積層することができる。したがって、本体熱交換器と補助熱交換器とを積層したときに、補助熱交換器を手で支えて本体熱交換器から浮かせなくても、本体熱交換器の第1薄板と補助熱交換器の第2薄板との間に隙間が形成された状態で保持される。よって、例えば、補助熱交換器を本体熱交換器に積層した状態で取り付ける際に、本体熱交換器の第1端板と補助熱交換器の第2端板とをネジ等で固定するときでも、本体熱交換器との間の隙間を形成しつつ容易に補助熱交換器を取り付けることができる。
【0007】
第2の発明にかかる熱交換器ユニットは、第1の発明にかかる熱交換器ユニットにおいて、前記第1端板は、前記複数の第1薄板の一部を覆うように突出する第1突出部を有している。
【0008】
この熱交換器ユニットでは、第1薄板と第2薄板との間に隙間を形成しつつ本体熱交換器に補助熱交換器を積層する構成を簡略化できる。また、本体熱交換器に補助熱交換器が取り付けられない場合に、第1突出部をアース端子として利用できる。
【0009】
第3の発明にかかる熱交換器ユニットは、第2の発明にかかる熱交換器ユニットにおいて、前記第2端板は、前記本体熱交換器とは反対側において前記複数の第2薄板の一部を覆うように突出する第2突出部を有しており、前記本体熱交換器と前記補助熱交換器とが積層された状態において、前記第1突出部と前記第2突出部とは積層方向に関して重なり合う位置に配置されている。
【0010】
この熱交換器ユニットでは、第1突出部または第2突出部のいずれかをアース端子として利用する際に、補助熱交換器の有無に拘わらず、アース端子に接続されるアース線の長さがほぼ同一となるので、複数種類のアース線を準備する必要がない。また、補助熱交換器の有無に拘わらず、アース端子が他の部品の陰になることがない位置に配置できるので、アース端子へのアース線の接続作業が容易となる。
【0011】
第4の発明にかかる空気調和機は、第1〜3のいずれかの発明にかかる熱交換器ユニットを備えている。
【0012】
この空気調和機では、本体熱交換器の第1薄板と補助熱交換器の第2薄板との間に隙間を形成しつつ容易に補助熱交換器を本体熱交換器に取り付けることができるので、組み立て作業を簡易にできる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0014】
第1の発明では、第1薄板と第2薄板との間に隙間が形成されるように本体熱交換器と補助熱交換器とを積層することができる。従って、本体熱交換器と補助熱交換器とを積層したときに、補助熱交換器を手で支えて本体熱交換器から浮かせなくても、本体熱交換器の第1薄板と補助熱交換器の第2薄板との間に隙間が形成された状態で保持される。よって、例えば、補助熱交換器を本体熱交換器に積層した状態で取り付ける際に、本体熱交換器の第1端板と補助熱交換器の第2端板とをネジ等で固定するときでも、本体熱交換器との間の隙間を形成しつつ容易に補助熱交換器を取り付けることができる。
【0015】
さらに、第2の発明では、第1薄板と第2薄板との間に隙間を形成しつつ本体熱交換器に補助熱交換器を積層する構成を簡略化できる。また、本体熱交換器に補助熱交換器が取り付けられない場合に、第1突出部をアース端子として利用できる。
【0016】
また、第3の発明では、第1突出部または第2突出部のいずれかをアース端子として利用する際に、補助熱交換器の有無に拘わらず、アース端子に接続されるアース線の長さがほぼ同一となるので、複数種類のアース線を準備する必要がない。また、補助熱交換器の有無に拘わらず、アース端子が他の部品の陰になることがない位置に配置できるので、アース端子へのアース線の接続作業が容易となる。
【0017】
加えて、第4の発明では、本体熱交換器の第1薄板と補助熱交換器の第2薄板との間に隙間を形成しつつ容易に補助熱交換器を本体熱交換器に取り付けることができるので、組み立て作業を簡易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明にかかる空気調和機の一実施形態について説明する。
【0019】
〔基本構成〕
図1は、本発明の実施形態にかかる空気調和機の室内機1を前方斜め上から見た模式的斜視図である。図2は、図1に示す室内機1を前方から見た模式図である。図3は、図2に示す室内機1のIII−III断面模式図である。図4は、図2に示す室内機1の後述する前面パネル20、前面グリル17、及びフィルタユニット15を取り外した模式図である。なお、ここでは室内機1についてのみ説明するが、空気調和機はこの室内機1に室外機などが接続されることにより構成されている。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の室内機1は、全体として一方向に細長い形状を有しており、その長手方向が水平となるように室内の壁面に取り付けられるものである。なお、以下の説明において、室内機1の長手方向を単に「長手方向」と称する。また、室内機1が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」とし、その反対の方向を「後方」とする。
【0021】
この室内機1は、本体ユニット10と、本体ユニット10の前面に取り付けられる前面パネル20とを有して構成される。図3に示すように、本体ユニット10は、本体ケーシング11と、熱交換器ユニット12と、クロスフローファン13と、電装品ユニット14と、フィルタユニット15と、清掃ユニット16と、前面グリル17とを含んでいる。
【0022】
熱交換器ユニット12、クロスフローファン13、電装品ユニット14、及び、フィルタユニット15は、本体ケーシング11に取り付けられている。前面グリル17は、これら熱交換器ユニット12等の構成部材を覆うように本体ケーシング11の前面に取り付けられている。清掃ユニット16は、フィルタユニット15に当接した状態で保持されるように、前面グリル17の外側から、当該前面グリル17の前面に嵌め込まれている。
【0023】
図1に示すように、前面グリル17には、天井部分に天面吸込口17aが形成されている。当該天面吸込口17aは前面グリル17の天井部分を格子状にして形成されている。また、前面グリル17の天井部分と前面パネル20の上端との間には、長手方向に沿って延びる細長形状の隙間である前側吸込口20aが形成されている。そして、これら天面吸込口17a及び前側吸込口20aから、外部の空気が当該前面グリル17の内部へ吸い込まれる。
【0024】
図3に示すように、天面吸込口17a及び前側吸込口20aに対向する位置には、フィルタユニット15によって支持されたエアフィルタ51が配置されている。エアフィルタ51は、天面吸込口17aと対向する部分の途中まではほぼ水平になっており、そこから前方に向かって外側に湾曲しつつ下方に延びている。このエアフィルタ51によって、天面吸込口17a又は前側吸込口20aを通過する空気に混在する埃等が取り除かれる。
【0025】
なお、エアフィルタ51は、フィルタユニット15に備えられており、且つ図3に示すエアフィルタ51の下端部近傍に位置するピニオン52の駆動により移動可能である。すなわち、エアフィルタ51は、通常運転時には、図3に示す天面吸込口17a及び前側吸込口20aに対向する位置にあるが、エアフィルタ51を清掃する清掃運転時にはピニオン52が駆動され、ピニオン52の周囲を通って後方に折り返すように移動する。
【0026】
清掃ユニット16は、長手方向に延びるブラシ61を備えている。そして、清掃ユニット16は、ブラシ61がピニオン52の駆動により移動するエアフィルタ51の折り返し部分に当接するように、フィルタユニット15の下方に嵌め込まれている。したがって、清掃運転時にピニオン52を駆動してエアフィルタ51を移動させることによって、エアフィルタ51に付着した埃等をブラシ61で除去できる。
【0027】
熱交換器ユニット12は、図3及び図4に示すように、本体熱交換器21と本体熱交換器21に積層される補助熱交換器24とを有している。補助熱交換器24は、冷媒と空気との熱交換を助長するためのものであり、これを備えていることで熱交換器ユニット12は、高い熱交換効率を実現できる。なお、補助熱交換器24を本体熱交換器21に積層するか否かは、必要とされる能力などによって機種毎に異なる。
【0028】
図3に示すように、本体熱交換器21は、前側部分21aと後側部分21bとを逆V字状に配置して構成されている。そして、本体熱交換器21の前側部分21aの前面に補助熱交換器24の前側部分24aが取り付けられている。また、本体熱交換器21の後側部分21bの後面に補助熱交換器24の後側部分24bが取り付けられている。
【0029】
ここで、補助熱交換器24の前側部分24aの上下方向に沿う長さは、本体熱交換器21の前側部分21aの上下方向に沿う長さに比べて短い。そして、補助熱交換器24の前側部分24aは、本体熱交換器21の前側部分21aの前面をその上端部及び下端部を残して覆うように取り付けられている。図3に示すように、本体熱交換器21の前側部分21aの前面における補助熱交換器24で覆われていない下端部に対向する位置には、電装品ユニット14が配置されている。
【0030】
熱交換器ユニット12の逆V字状の内側には、クロスフローファン13が設けられている。このクロスフローファン13は軸流ファンと呼ばれているもので、その軸方向が室内機1の長手方向に沿うように配置されている。本体ケーシング11には、クロスフローファン13の背後において、湾曲した壁面を有して構成されるスクロール部11aが形成されている。当該スクロール部11aにより、クロスフローファン13から前面グリル17の前面側下部に開口する吹出口17bへ空気を滑らかに導くことができる。
【0031】
本体ケーシング11は、吹出口17bの上側に位置するように上側壁面11bを有する。当該上側壁面11bは、前側熱交換器12aの下方に位置するドレンパン11cと一体に成形されている。ドレンパン11cと前面パネル20との間の位置には、電装品ユニット14が配置されている。また、後側熱交換器12bの下方には、後側ドレンパン11dが配置されている。
【0032】
本体ケーシング11、前面グリル17、及び前面パネル20は、横長のものである。また、吹出口17bは、前面グリル17の長手方向(横方向)に沿って延びるように形成されている。
【0033】
室内機1においては、上面の天面吸込口17a及び前側吸込口20aからクロスフローファン13によって吸い込まれた室内空気を熱交換器ユニット12に通過させ冷媒との間で熱交換させることにより、当該空気の冷却又は加熱が行われる。熱交換後の当該空気は、下面の吹出口17bから室内へと吹出される。
【0034】
〔熱交換器ユニット〕
ここで、図5及び図6をさらに参照しつつ熱交換器ユニット12の構成について、より詳細に説明する。図5は、図4に示す熱交換器ユニット12の右側端部近傍の斜視図である。図6は、熱交換器ユニット12の分解斜視図である。なお、図6においては、説明の都合上後述する伝熱管27の図示を一部省略している。また、以降の説明において、図4に示す熱交換器ユニット12の右側端を「右端」、左側端を「左端」と称する。
【0035】
本体熱交換器21は、図5及び図6に示すように、長手方向に沿って等間隔で配置されている薄板状の複数のフィン22を有するプレートフィン形の熱交換器である。そして、複数のフィン22の端部には第1端板23が配置されている。なお、第1端板23は、複数のフィン22の両端にそれぞれ配置されている。また、補助熱交換器24は、本体熱交換器21と同様に、長手方向に等間隔で配置された薄板状の複数のフィン25と、複数のフィン25の端部に配置された第2端板26とを有している。なお、第2端板26は、長手方向に沿って配置された複数のフィン25の右端側にのみ配置されている。
【0036】
そして、図5に示すように、本体熱交換器21の複数のフィン22及び第1端板23と、補助熱交換器24の複数のフィン25及び第2端板26とは、冷媒の流路となる伝熱管27の複数の直線部分27aが長手方向に貫通している。伝熱管27の複数の直線部分27aは、その端部において接続部分27bによって互いに接続されている。
【0037】
本体熱交換器21の右端側の第1端板23には、図6に示すように、前方側の端部において90°折り曲げられており、複数のフィン22の一部を覆うように突出している第1突出部23aが形成されている。したがって、補助熱交換器24が本体熱交換器21の前面に積層された場合には、第1突出部23aが、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25と間に隙間を形成するスペーサとして機能する。
【0038】
なお、第1突出部23aは、補助熱交換器24を設けない機種である場合に、アース端子として機能する。したがって、第1突出部23aには、アース線を固定するためのネジを止める切欠き23bが形成されている。
【0039】
補助熱交換器24の第2端板26には、前方側の端部において90°折り曲げられており、複数のフィン25の一部を覆うように突出している第2突出部26aが形成されている。すなわち、第2突出部26aは、本体熱交換器21とは反対側において複数のフィン25の一部を覆っている。ここで、第2突出部26aは、本体熱交換器21と補助熱交換器24とが積層された状態で、本体熱交換器21に形成された第1突出部23aと積層方向に重なり合う位置に形成されている。この第2突出部26aは、アース端子として機能するものであり、アース線を固定するためのネジ30を止める切欠き26bが形成されている。
【0040】
ここで、補助熱交換器24を設ける機種にも設けない機種にも対応できるように、本体熱交換器21の前面における補助熱交換器24で覆われない領域、すなわち本実施形態においては上端部や下端部にアース端子を設けることも考えられる。しかしながら、上述のように、本体熱交換器21の前面の下端部に対向する位置には、電装品ユニット14が配置されている。したがって、この位置にアース端子を設けると、アース線の接続作業ができなくなる。また通常、室内機1は室内の天井近傍の壁面に取り付けられるので、本体熱交換器21の前面の上端部にアース端子を設けた場合には、アース線の接続作業が困難となる。
【0041】
図4に示すように、本実施形態においてアース端子として機能する第2突出部26aは、前面パネル20、前面グリル17、及びフィルタユニット15を取り外した状態において、他の部品等に覆われることなく前面に露出する位置にある。また、第2突出部26aは、上下方向に関して室内機1の略中央に位置している。したがって、第2突出部26aにアース線を接続するための作業を容易に行うことができる。さらに、上述のように、補助熱交換器24を設けない機種である場合にアース端子として機能する第1突出部23aは、正面視において第2突出部26aと同じ位置に設けられている。したがって、補助熱交換器24を設けない機種である場合でも、アース線の接続作業を容易に行うことが可能である。
【0042】
本体熱交換器21と補助熱交換器24とは、その右端側において2本のネジ28によって固定される。具体的には、第1端板23には、前方に突出しており且つネジ受入孔23cが形成されたネジ止部23dが、第1突出部23aを挟んで上下に2つ形成されている。また、第2端板26には、ネジ受孔26cが2つ形成されている。2本のネジ28は、これらネジ受入孔23c、26cにそれぞれ挿通される。したがって、本体熱交換器21と補助熱交換器24とは、スペーサである第1突出部23aによって、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成された状態で固定される。
【0043】
さらに、図4に示すように、本体熱交換器21と補助熱交換器24との左端側には、固定部材29が嵌め込まれている。固定部材29は、熱交換器ユニット12を本体ケーシング11に固定するためのものである。なお、本体熱交換器21と補助熱交換器24との左端側においては、本体熱交換器21及び補助熱交換器24に固定部材29を取り付けることで、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成された状態で、本体熱交換器21及び補助熱交換器24が位置決めされる。
【0044】
〔熱交換器ユニットの組み立て手順〕
ここで、図7〜図11をさらに参照しつつ、熱交換器ユニット12の組み立て手順について説明する。図7〜図11は、いずれも組み立て途中の熱交換器ユニット12を示す図である。図7は、補助熱交換器24が取り付けられる前の状態を示す斜視図であり、図8は、図7の状態の側面図である。図9は、固定部材29の取り付け工程を示す斜視図である。図10は、本体熱交換器21及び補助熱交換器24が固定された状態を示す斜視図であり、図11は、図10の状態の側面図である。
【0045】
まず、図7及び図8に示すような本体熱交換器21と、補助熱交換器24とを準備する。なお、本体熱交換器21の右端側の伝熱管27及び補助熱交換器24の右端側の伝熱管27には接続部分27bは取り付けられていない。
【0046】
次に、補助熱交換器24を本体熱交換器21に積層させるが、このとき、本体熱交換器21の左端部と補助熱交換器24の左端部とを固定部材29に嵌め込み、固定部材29を本体熱交換器21の第1端板23にネジ止めする。ここで、図9に示すように、固定部材29には、本体熱交換器21の伝熱管27の接続部分27bが嵌め込まれる挿入孔29aと、補助熱交換器24の伝熱管27の接続部分27bが嵌め込まれる挿入凹部29bとが形成されている。したがって、これら挿入孔29a及び挿入凹部29bに伝熱管27を嵌め込むことで、本体熱交換器21の左端部及び補助熱交換器24の左端部近傍においては、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成された状態となる。
【0047】
また、このとき、本体熱交換器21の右端部及び補助熱交換器24の右端部近傍においては、第1端板23の第1突出部23aがスペーサとして機能することで、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成される。従って、補助熱交換器24を本体熱交換器21から浮かせなくても、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成された状態で保持される。
【0048】
最後に、図10及び図11に示すように、第1突出部23aによって隙間が形成されている本体熱交換器21及び補助熱交換器24の右端部をネジ28によって固定することで、熱交換器ユニット12が完成する。
【0049】
以上のように、本実施形態の熱交換器ユニット12は、複数のフィン22、及び複数のフィン22の両端に配置された第1端板23を有する本体熱交換器21と、複数のフィン25、及び複数のフィン25の一端に配置された第2端板26を有する補助熱交換器24とを備えている。本体熱交換器21と補助熱交換器24とを積層したときに、第1端板23に形成された第1突出部23aがスペーサとして機能し、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成される。したがって、熱交換器ユニット12を組み立てる際において、本体熱交換器21と補助熱交換器24とを積層したときに、補助熱交換器24を手で支える必要がないので、補助熱交換器24を本体熱交換器21に積層した状態で取り付けるべく、本体熱交換器21の第1端板23と補助熱交換器24の第2端板26とをネジ28で固定する作業を容易に行うことができる。
【0050】
また、本実施形態の熱交換器ユニット12では、第1突出部23aは、複数のフィン22の一部を覆うように突出している。したがって、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間を形成しつつ本体熱交換器21に補助熱交換器24を積層する構成を簡略化できる。さらに、本体熱交換器21に補助熱交換器24が取り付けられない場合に、第1突出部23aをアース端子として利用できる。
【0051】
加えて、本実施の形態の熱交換器ユニット12では、第2端板26に、本体熱交換器21とは反対側において複数のフィン25の一部を覆うように突出する第2突出部26aが形成されている。そして、本体熱交換器21と補助熱交換器24とが積層された状態において、第1突出部23aと第2突出部26aとは積層方向に関して重なり合う位置に配置されている。したがって、第1突出部23aまたは第2突出部26aのいずれかをアース端子として利用する際に、補助熱交換器24の有無に拘わらず、アース端子に接続されるアース線の長さがほぼ同一となるので、複数種類のアース線を準備する必要がない。また、補助熱交換器24の有無に拘わらず、アース端子が他の部品の陰になることがない位置に配置できるので、アース端子へのアース線の接続作業が容易となる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0053】
例えば、上述の実施形態では、本体熱交換器21の第1端板23は、複数のフィン22の両端に配置されており、補助熱交換器24の第2端板26は、複数のフィン25の一端のみに配置されている場合について説明したが、これには限定されない。従って、本体熱交換器21及び補助熱交換器24においては、複数のフィンの少なくとも一方の端部に端板が設けられていればよい。
【0054】
加えて、上述の実施形態では、本体熱交換器21の第1端板23に、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間のスペーサとして機能する第1突出部23aが形成されている場合について説明したが、これには限定されない。従って、例えば、補助熱交換器24の第2端板26に、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間のスペーサとして機能する部分が形成されていてもよいし、これらの両方に形成されていてもよい。また、本体熱交換器21の第1端板23及び補助熱交換器24の第2端板26の少なくとも一方に、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間のスペーサとして機能する部分が形成されていればよく、その形状は変更できる。従って、上記のスペーサとして機能する部分は、フィンの一部を覆うように突出する形状のものに限られない。
【0055】
さらに、上述の実施形態では、熱交換器ユニット12は、その左端に固定部材29に嵌め込むことで、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成されるので、本体熱交換器21の右端の第1端板23のみにスペーサとして機能する第1突出部23aが形成されているが、両端の第1端板23に第1突出部23aが形成されていてもよい。
【0056】
加えて、上述の実施形態では、本体熱交換器21に形成された第1突出部23aと、補助熱交換器24に形成された第2突出部26aとが積層方向に重なり合う場合について説明したが、これらは積層方向に重なっていなくてもよい。
【0057】
また、上述の実施の形態では、補助熱交換器24を設けない機種である場合に、第1突出部23aがアース端子として機能する場合について説明したが、補助熱交換器24を設けない機種である場合のアース端子が、第1突出部23aとは別に設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明を利用すれば、補助熱交換器を容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態にかかる空気調和機の室内機を前方斜め上から見た模式的斜視図である。
【図2】図1に示す室内機を前方から見た模式図である。
【図3】図2に示す室内機のIII−III断面模式図である。
【図4】図2に示す室内機の前面パネル、前面グリル、及びフィルタユニットを取り外した模式図である。
【図5】図4に示す熱交換器ユニットの右側端部近傍の斜視図である。
【図6】図4に示す熱交換器ユニットの分解斜視図である。
【図7】図4に示す熱交換器ユニットの組み立て途中であって、補助熱交換器が取り付けられる前の状態を示す斜視図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】図4に示す熱交換器ユニットの組み立て途中であって、固定部材の取り付け工程を示す斜視図である。
【図10】図4に示す熱交換器ユニットの組み立て途中であって、体熱交換器及び補助熱交換器が固定された状態を示す斜視図である。
【図11】図10の側面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 室内機(空気調和機)
12 熱交換器ユニット
21 本体熱交換器
22 フィン(第1薄板)
23 第1端板
23a 第1突出部
24 補助熱交換器
25 フィン(第2薄板)
26 第2端板
26a 第2突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体熱交換器と補助熱交換器とを有する熱交換器ユニット及びそれを備えた空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、本体熱交換器と補助熱交換器とを備えており、高い熱交換効率を実現可能な熱交換器ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、本体熱交換器及び補助熱交換器としては、いずれも薄板状の複数のフィンが厚み方向に等間隔で配置されていると共に伝熱管が貫通しているものが用いられる。かかる熱交換器ユニットにおいては、補助熱交換器は、積層された状態で本体熱交換器に取り付けられている。
【特許文献1】特開2001−59628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、補助熱交換器を本体熱交換器に取り付ける際に、フィン同士が接触すると損傷する虞があるため、本体熱交換器のフィンと補助熱交換器のフィンとの間に隙間が形成されることが多い。従って、上述のような熱交換器ユニットにおいて補助熱交換器を本体熱交換器に取り付ける際には、本体熱交換器のフィンと補助熱交換器のフィンとの間に隙間が形成されるように、補助熱交換器を本体熱交換器から浮かせた状態で手で支えながら取り付け作業を行う必要がある。よって、補助熱交換器を本体熱交換器に取り付ける作業が非常に煩雑である。
【0004】
この本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、補助熱交換器を本体熱交換器に容易に取り付けることができる熱交換器ユニット及びそれを備えた空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明にかかる熱交換器ユニットは、複数の第1薄板と、前記複数の第1薄板の一端または両端に配置された第1端板とを有する本体熱交換器と、複数の第2薄板と、前記複数の第2薄板の一端または両端に配置された第2端板とを有し、前記本体熱交換器に積層される補助熱交換器とを備え、前記第1端板及び前記第2端板の少なくとも一方は、前記本体熱交換器と前記補助熱交換器とが積層されたときに前記第1薄板と前記第2薄板との間に隙間が形成されるように構成されている。
【0006】
この熱交換器ユニットでは、第1薄板と第2薄板との間に隙間が形成されるように本体熱交換器と補助熱交換器とを積層することができる。したがって、本体熱交換器と補助熱交換器とを積層したときに、補助熱交換器を手で支えて本体熱交換器から浮かせなくても、本体熱交換器の第1薄板と補助熱交換器の第2薄板との間に隙間が形成された状態で保持される。よって、例えば、補助熱交換器を本体熱交換器に積層した状態で取り付ける際に、本体熱交換器の第1端板と補助熱交換器の第2端板とをネジ等で固定するときでも、本体熱交換器との間の隙間を形成しつつ容易に補助熱交換器を取り付けることができる。
【0007】
第2の発明にかかる熱交換器ユニットは、第1の発明にかかる熱交換器ユニットにおいて、前記第1端板は、前記複数の第1薄板の一部を覆うように突出する第1突出部を有している。
【0008】
この熱交換器ユニットでは、第1薄板と第2薄板との間に隙間を形成しつつ本体熱交換器に補助熱交換器を積層する構成を簡略化できる。また、本体熱交換器に補助熱交換器が取り付けられない場合に、第1突出部をアース端子として利用できる。
【0009】
第3の発明にかかる熱交換器ユニットは、第2の発明にかかる熱交換器ユニットにおいて、前記第2端板は、前記本体熱交換器とは反対側において前記複数の第2薄板の一部を覆うように突出する第2突出部を有しており、前記本体熱交換器と前記補助熱交換器とが積層された状態において、前記第1突出部と前記第2突出部とは積層方向に関して重なり合う位置に配置されている。
【0010】
この熱交換器ユニットでは、第1突出部または第2突出部のいずれかをアース端子として利用する際に、補助熱交換器の有無に拘わらず、アース端子に接続されるアース線の長さがほぼ同一となるので、複数種類のアース線を準備する必要がない。また、補助熱交換器の有無に拘わらず、アース端子が他の部品の陰になることがない位置に配置できるので、アース端子へのアース線の接続作業が容易となる。
【0011】
第4の発明にかかる空気調和機は、第1〜3のいずれかの発明にかかる熱交換器ユニットを備えている。
【0012】
この空気調和機では、本体熱交換器の第1薄板と補助熱交換器の第2薄板との間に隙間を形成しつつ容易に補助熱交換器を本体熱交換器に取り付けることができるので、組み立て作業を簡易にできる。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0014】
第1の発明では、第1薄板と第2薄板との間に隙間が形成されるように本体熱交換器と補助熱交換器とを積層することができる。従って、本体熱交換器と補助熱交換器とを積層したときに、補助熱交換器を手で支えて本体熱交換器から浮かせなくても、本体熱交換器の第1薄板と補助熱交換器の第2薄板との間に隙間が形成された状態で保持される。よって、例えば、補助熱交換器を本体熱交換器に積層した状態で取り付ける際に、本体熱交換器の第1端板と補助熱交換器の第2端板とをネジ等で固定するときでも、本体熱交換器との間の隙間を形成しつつ容易に補助熱交換器を取り付けることができる。
【0015】
さらに、第2の発明では、第1薄板と第2薄板との間に隙間を形成しつつ本体熱交換器に補助熱交換器を積層する構成を簡略化できる。また、本体熱交換器に補助熱交換器が取り付けられない場合に、第1突出部をアース端子として利用できる。
【0016】
また、第3の発明では、第1突出部または第2突出部のいずれかをアース端子として利用する際に、補助熱交換器の有無に拘わらず、アース端子に接続されるアース線の長さがほぼ同一となるので、複数種類のアース線を準備する必要がない。また、補助熱交換器の有無に拘わらず、アース端子が他の部品の陰になることがない位置に配置できるので、アース端子へのアース線の接続作業が容易となる。
【0017】
加えて、第4の発明では、本体熱交換器の第1薄板と補助熱交換器の第2薄板との間に隙間を形成しつつ容易に補助熱交換器を本体熱交換器に取り付けることができるので、組み立て作業を簡易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明にかかる空気調和機の一実施形態について説明する。
【0019】
〔基本構成〕
図1は、本発明の実施形態にかかる空気調和機の室内機1を前方斜め上から見た模式的斜視図である。図2は、図1に示す室内機1を前方から見た模式図である。図3は、図2に示す室内機1のIII−III断面模式図である。図4は、図2に示す室内機1の後述する前面パネル20、前面グリル17、及びフィルタユニット15を取り外した模式図である。なお、ここでは室内機1についてのみ説明するが、空気調和機はこの室内機1に室外機などが接続されることにより構成されている。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の室内機1は、全体として一方向に細長い形状を有しており、その長手方向が水平となるように室内の壁面に取り付けられるものである。なお、以下の説明において、室内機1の長手方向を単に「長手方向」と称する。また、室内機1が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」とし、その反対の方向を「後方」とする。
【0021】
この室内機1は、本体ユニット10と、本体ユニット10の前面に取り付けられる前面パネル20とを有して構成される。図3に示すように、本体ユニット10は、本体ケーシング11と、熱交換器ユニット12と、クロスフローファン13と、電装品ユニット14と、フィルタユニット15と、清掃ユニット16と、前面グリル17とを含んでいる。
【0022】
熱交換器ユニット12、クロスフローファン13、電装品ユニット14、及び、フィルタユニット15は、本体ケーシング11に取り付けられている。前面グリル17は、これら熱交換器ユニット12等の構成部材を覆うように本体ケーシング11の前面に取り付けられている。清掃ユニット16は、フィルタユニット15に当接した状態で保持されるように、前面グリル17の外側から、当該前面グリル17の前面に嵌め込まれている。
【0023】
図1に示すように、前面グリル17には、天井部分に天面吸込口17aが形成されている。当該天面吸込口17aは前面グリル17の天井部分を格子状にして形成されている。また、前面グリル17の天井部分と前面パネル20の上端との間には、長手方向に沿って延びる細長形状の隙間である前側吸込口20aが形成されている。そして、これら天面吸込口17a及び前側吸込口20aから、外部の空気が当該前面グリル17の内部へ吸い込まれる。
【0024】
図3に示すように、天面吸込口17a及び前側吸込口20aに対向する位置には、フィルタユニット15によって支持されたエアフィルタ51が配置されている。エアフィルタ51は、天面吸込口17aと対向する部分の途中まではほぼ水平になっており、そこから前方に向かって外側に湾曲しつつ下方に延びている。このエアフィルタ51によって、天面吸込口17a又は前側吸込口20aを通過する空気に混在する埃等が取り除かれる。
【0025】
なお、エアフィルタ51は、フィルタユニット15に備えられており、且つ図3に示すエアフィルタ51の下端部近傍に位置するピニオン52の駆動により移動可能である。すなわち、エアフィルタ51は、通常運転時には、図3に示す天面吸込口17a及び前側吸込口20aに対向する位置にあるが、エアフィルタ51を清掃する清掃運転時にはピニオン52が駆動され、ピニオン52の周囲を通って後方に折り返すように移動する。
【0026】
清掃ユニット16は、長手方向に延びるブラシ61を備えている。そして、清掃ユニット16は、ブラシ61がピニオン52の駆動により移動するエアフィルタ51の折り返し部分に当接するように、フィルタユニット15の下方に嵌め込まれている。したがって、清掃運転時にピニオン52を駆動してエアフィルタ51を移動させることによって、エアフィルタ51に付着した埃等をブラシ61で除去できる。
【0027】
熱交換器ユニット12は、図3及び図4に示すように、本体熱交換器21と本体熱交換器21に積層される補助熱交換器24とを有している。補助熱交換器24は、冷媒と空気との熱交換を助長するためのものであり、これを備えていることで熱交換器ユニット12は、高い熱交換効率を実現できる。なお、補助熱交換器24を本体熱交換器21に積層するか否かは、必要とされる能力などによって機種毎に異なる。
【0028】
図3に示すように、本体熱交換器21は、前側部分21aと後側部分21bとを逆V字状に配置して構成されている。そして、本体熱交換器21の前側部分21aの前面に補助熱交換器24の前側部分24aが取り付けられている。また、本体熱交換器21の後側部分21bの後面に補助熱交換器24の後側部分24bが取り付けられている。
【0029】
ここで、補助熱交換器24の前側部分24aの上下方向に沿う長さは、本体熱交換器21の前側部分21aの上下方向に沿う長さに比べて短い。そして、補助熱交換器24の前側部分24aは、本体熱交換器21の前側部分21aの前面をその上端部及び下端部を残して覆うように取り付けられている。図3に示すように、本体熱交換器21の前側部分21aの前面における補助熱交換器24で覆われていない下端部に対向する位置には、電装品ユニット14が配置されている。
【0030】
熱交換器ユニット12の逆V字状の内側には、クロスフローファン13が設けられている。このクロスフローファン13は軸流ファンと呼ばれているもので、その軸方向が室内機1の長手方向に沿うように配置されている。本体ケーシング11には、クロスフローファン13の背後において、湾曲した壁面を有して構成されるスクロール部11aが形成されている。当該スクロール部11aにより、クロスフローファン13から前面グリル17の前面側下部に開口する吹出口17bへ空気を滑らかに導くことができる。
【0031】
本体ケーシング11は、吹出口17bの上側に位置するように上側壁面11bを有する。当該上側壁面11bは、前側熱交換器12aの下方に位置するドレンパン11cと一体に成形されている。ドレンパン11cと前面パネル20との間の位置には、電装品ユニット14が配置されている。また、後側熱交換器12bの下方には、後側ドレンパン11dが配置されている。
【0032】
本体ケーシング11、前面グリル17、及び前面パネル20は、横長のものである。また、吹出口17bは、前面グリル17の長手方向(横方向)に沿って延びるように形成されている。
【0033】
室内機1においては、上面の天面吸込口17a及び前側吸込口20aからクロスフローファン13によって吸い込まれた室内空気を熱交換器ユニット12に通過させ冷媒との間で熱交換させることにより、当該空気の冷却又は加熱が行われる。熱交換後の当該空気は、下面の吹出口17bから室内へと吹出される。
【0034】
〔熱交換器ユニット〕
ここで、図5及び図6をさらに参照しつつ熱交換器ユニット12の構成について、より詳細に説明する。図5は、図4に示す熱交換器ユニット12の右側端部近傍の斜視図である。図6は、熱交換器ユニット12の分解斜視図である。なお、図6においては、説明の都合上後述する伝熱管27の図示を一部省略している。また、以降の説明において、図4に示す熱交換器ユニット12の右側端を「右端」、左側端を「左端」と称する。
【0035】
本体熱交換器21は、図5及び図6に示すように、長手方向に沿って等間隔で配置されている薄板状の複数のフィン22を有するプレートフィン形の熱交換器である。そして、複数のフィン22の端部には第1端板23が配置されている。なお、第1端板23は、複数のフィン22の両端にそれぞれ配置されている。また、補助熱交換器24は、本体熱交換器21と同様に、長手方向に等間隔で配置された薄板状の複数のフィン25と、複数のフィン25の端部に配置された第2端板26とを有している。なお、第2端板26は、長手方向に沿って配置された複数のフィン25の右端側にのみ配置されている。
【0036】
そして、図5に示すように、本体熱交換器21の複数のフィン22及び第1端板23と、補助熱交換器24の複数のフィン25及び第2端板26とは、冷媒の流路となる伝熱管27の複数の直線部分27aが長手方向に貫通している。伝熱管27の複数の直線部分27aは、その端部において接続部分27bによって互いに接続されている。
【0037】
本体熱交換器21の右端側の第1端板23には、図6に示すように、前方側の端部において90°折り曲げられており、複数のフィン22の一部を覆うように突出している第1突出部23aが形成されている。したがって、補助熱交換器24が本体熱交換器21の前面に積層された場合には、第1突出部23aが、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25と間に隙間を形成するスペーサとして機能する。
【0038】
なお、第1突出部23aは、補助熱交換器24を設けない機種である場合に、アース端子として機能する。したがって、第1突出部23aには、アース線を固定するためのネジを止める切欠き23bが形成されている。
【0039】
補助熱交換器24の第2端板26には、前方側の端部において90°折り曲げられており、複数のフィン25の一部を覆うように突出している第2突出部26aが形成されている。すなわち、第2突出部26aは、本体熱交換器21とは反対側において複数のフィン25の一部を覆っている。ここで、第2突出部26aは、本体熱交換器21と補助熱交換器24とが積層された状態で、本体熱交換器21に形成された第1突出部23aと積層方向に重なり合う位置に形成されている。この第2突出部26aは、アース端子として機能するものであり、アース線を固定するためのネジ30を止める切欠き26bが形成されている。
【0040】
ここで、補助熱交換器24を設ける機種にも設けない機種にも対応できるように、本体熱交換器21の前面における補助熱交換器24で覆われない領域、すなわち本実施形態においては上端部や下端部にアース端子を設けることも考えられる。しかしながら、上述のように、本体熱交換器21の前面の下端部に対向する位置には、電装品ユニット14が配置されている。したがって、この位置にアース端子を設けると、アース線の接続作業ができなくなる。また通常、室内機1は室内の天井近傍の壁面に取り付けられるので、本体熱交換器21の前面の上端部にアース端子を設けた場合には、アース線の接続作業が困難となる。
【0041】
図4に示すように、本実施形態においてアース端子として機能する第2突出部26aは、前面パネル20、前面グリル17、及びフィルタユニット15を取り外した状態において、他の部品等に覆われることなく前面に露出する位置にある。また、第2突出部26aは、上下方向に関して室内機1の略中央に位置している。したがって、第2突出部26aにアース線を接続するための作業を容易に行うことができる。さらに、上述のように、補助熱交換器24を設けない機種である場合にアース端子として機能する第1突出部23aは、正面視において第2突出部26aと同じ位置に設けられている。したがって、補助熱交換器24を設けない機種である場合でも、アース線の接続作業を容易に行うことが可能である。
【0042】
本体熱交換器21と補助熱交換器24とは、その右端側において2本のネジ28によって固定される。具体的には、第1端板23には、前方に突出しており且つネジ受入孔23cが形成されたネジ止部23dが、第1突出部23aを挟んで上下に2つ形成されている。また、第2端板26には、ネジ受孔26cが2つ形成されている。2本のネジ28は、これらネジ受入孔23c、26cにそれぞれ挿通される。したがって、本体熱交換器21と補助熱交換器24とは、スペーサである第1突出部23aによって、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成された状態で固定される。
【0043】
さらに、図4に示すように、本体熱交換器21と補助熱交換器24との左端側には、固定部材29が嵌め込まれている。固定部材29は、熱交換器ユニット12を本体ケーシング11に固定するためのものである。なお、本体熱交換器21と補助熱交換器24との左端側においては、本体熱交換器21及び補助熱交換器24に固定部材29を取り付けることで、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成された状態で、本体熱交換器21及び補助熱交換器24が位置決めされる。
【0044】
〔熱交換器ユニットの組み立て手順〕
ここで、図7〜図11をさらに参照しつつ、熱交換器ユニット12の組み立て手順について説明する。図7〜図11は、いずれも組み立て途中の熱交換器ユニット12を示す図である。図7は、補助熱交換器24が取り付けられる前の状態を示す斜視図であり、図8は、図7の状態の側面図である。図9は、固定部材29の取り付け工程を示す斜視図である。図10は、本体熱交換器21及び補助熱交換器24が固定された状態を示す斜視図であり、図11は、図10の状態の側面図である。
【0045】
まず、図7及び図8に示すような本体熱交換器21と、補助熱交換器24とを準備する。なお、本体熱交換器21の右端側の伝熱管27及び補助熱交換器24の右端側の伝熱管27には接続部分27bは取り付けられていない。
【0046】
次に、補助熱交換器24を本体熱交換器21に積層させるが、このとき、本体熱交換器21の左端部と補助熱交換器24の左端部とを固定部材29に嵌め込み、固定部材29を本体熱交換器21の第1端板23にネジ止めする。ここで、図9に示すように、固定部材29には、本体熱交換器21の伝熱管27の接続部分27bが嵌め込まれる挿入孔29aと、補助熱交換器24の伝熱管27の接続部分27bが嵌め込まれる挿入凹部29bとが形成されている。したがって、これら挿入孔29a及び挿入凹部29bに伝熱管27を嵌め込むことで、本体熱交換器21の左端部及び補助熱交換器24の左端部近傍においては、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成された状態となる。
【0047】
また、このとき、本体熱交換器21の右端部及び補助熱交換器24の右端部近傍においては、第1端板23の第1突出部23aがスペーサとして機能することで、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成される。従って、補助熱交換器24を本体熱交換器21から浮かせなくても、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成された状態で保持される。
【0048】
最後に、図10及び図11に示すように、第1突出部23aによって隙間が形成されている本体熱交換器21及び補助熱交換器24の右端部をネジ28によって固定することで、熱交換器ユニット12が完成する。
【0049】
以上のように、本実施形態の熱交換器ユニット12は、複数のフィン22、及び複数のフィン22の両端に配置された第1端板23を有する本体熱交換器21と、複数のフィン25、及び複数のフィン25の一端に配置された第2端板26を有する補助熱交換器24とを備えている。本体熱交換器21と補助熱交換器24とを積層したときに、第1端板23に形成された第1突出部23aがスペーサとして機能し、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成される。したがって、熱交換器ユニット12を組み立てる際において、本体熱交換器21と補助熱交換器24とを積層したときに、補助熱交換器24を手で支える必要がないので、補助熱交換器24を本体熱交換器21に積層した状態で取り付けるべく、本体熱交換器21の第1端板23と補助熱交換器24の第2端板26とをネジ28で固定する作業を容易に行うことができる。
【0050】
また、本実施形態の熱交換器ユニット12では、第1突出部23aは、複数のフィン22の一部を覆うように突出している。したがって、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間を形成しつつ本体熱交換器21に補助熱交換器24を積層する構成を簡略化できる。さらに、本体熱交換器21に補助熱交換器24が取り付けられない場合に、第1突出部23aをアース端子として利用できる。
【0051】
加えて、本実施の形態の熱交換器ユニット12では、第2端板26に、本体熱交換器21とは反対側において複数のフィン25の一部を覆うように突出する第2突出部26aが形成されている。そして、本体熱交換器21と補助熱交換器24とが積層された状態において、第1突出部23aと第2突出部26aとは積層方向に関して重なり合う位置に配置されている。したがって、第1突出部23aまたは第2突出部26aのいずれかをアース端子として利用する際に、補助熱交換器24の有無に拘わらず、アース端子に接続されるアース線の長さがほぼ同一となるので、複数種類のアース線を準備する必要がない。また、補助熱交換器24の有無に拘わらず、アース端子が他の部品の陰になることがない位置に配置できるので、アース端子へのアース線の接続作業が容易となる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0053】
例えば、上述の実施形態では、本体熱交換器21の第1端板23は、複数のフィン22の両端に配置されており、補助熱交換器24の第2端板26は、複数のフィン25の一端のみに配置されている場合について説明したが、これには限定されない。従って、本体熱交換器21及び補助熱交換器24においては、複数のフィンの少なくとも一方の端部に端板が設けられていればよい。
【0054】
加えて、上述の実施形態では、本体熱交換器21の第1端板23に、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間のスペーサとして機能する第1突出部23aが形成されている場合について説明したが、これには限定されない。従って、例えば、補助熱交換器24の第2端板26に、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間のスペーサとして機能する部分が形成されていてもよいし、これらの両方に形成されていてもよい。また、本体熱交換器21の第1端板23及び補助熱交換器24の第2端板26の少なくとも一方に、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間のスペーサとして機能する部分が形成されていればよく、その形状は変更できる。従って、上記のスペーサとして機能する部分は、フィンの一部を覆うように突出する形状のものに限られない。
【0055】
さらに、上述の実施形態では、熱交換器ユニット12は、その左端に固定部材29に嵌め込むことで、本体熱交換器21のフィン22と補助熱交換器24のフィン25との間に隙間が形成されるので、本体熱交換器21の右端の第1端板23のみにスペーサとして機能する第1突出部23aが形成されているが、両端の第1端板23に第1突出部23aが形成されていてもよい。
【0056】
加えて、上述の実施形態では、本体熱交換器21に形成された第1突出部23aと、補助熱交換器24に形成された第2突出部26aとが積層方向に重なり合う場合について説明したが、これらは積層方向に重なっていなくてもよい。
【0057】
また、上述の実施の形態では、補助熱交換器24を設けない機種である場合に、第1突出部23aがアース端子として機能する場合について説明したが、補助熱交換器24を設けない機種である場合のアース端子が、第1突出部23aとは別に設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明を利用すれば、補助熱交換器を容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態にかかる空気調和機の室内機を前方斜め上から見た模式的斜視図である。
【図2】図1に示す室内機を前方から見た模式図である。
【図3】図2に示す室内機のIII−III断面模式図である。
【図4】図2に示す室内機の前面パネル、前面グリル、及びフィルタユニットを取り外した模式図である。
【図5】図4に示す熱交換器ユニットの右側端部近傍の斜視図である。
【図6】図4に示す熱交換器ユニットの分解斜視図である。
【図7】図4に示す熱交換器ユニットの組み立て途中であって、補助熱交換器が取り付けられる前の状態を示す斜視図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】図4に示す熱交換器ユニットの組み立て途中であって、固定部材の取り付け工程を示す斜視図である。
【図10】図4に示す熱交換器ユニットの組み立て途中であって、体熱交換器及び補助熱交換器が固定された状態を示す斜視図である。
【図11】図10の側面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 室内機(空気調和機)
12 熱交換器ユニット
21 本体熱交換器
22 フィン(第1薄板)
23 第1端板
23a 第1突出部
24 補助熱交換器
25 フィン(第2薄板)
26 第2端板
26a 第2突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1薄板と、前記複数の第1薄板の一端または両端に配置された第1端板とを有する本体熱交換器と、
複数の第2薄板と、前記複数の第2薄板の一端または両端に配置された第2端板とを有し、前記本体熱交換器に積層される補助熱交換器とを備え、
前記第1端板及び前記第2端板の少なくとも一方は、前記本体熱交換器と前記補助熱交換器とが積層されたときに前記第1薄板と前記第2薄板との間に隙間が形成されるように構成されていることを特徴とする熱交換器ユニット。
【請求項2】
前記第1端板は、前記複数の第1薄板の一部を覆うように突出する第1突出部を有していることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器ユニット。
【請求項3】
前記第2端板は、前記本体熱交換器とは反対側において前記複数の第2薄板の一部を覆うように突出する第2突出部を有しており、
前記本体熱交換器と前記補助熱交換器とが積層された状態において、前記第1突出部と前記第2突出部とは積層方向に関して重なり合う位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器ユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器ユニットを備えた空気調和機。
【請求項1】
複数の第1薄板と、前記複数の第1薄板の一端または両端に配置された第1端板とを有する本体熱交換器と、
複数の第2薄板と、前記複数の第2薄板の一端または両端に配置された第2端板とを有し、前記本体熱交換器に積層される補助熱交換器とを備え、
前記第1端板及び前記第2端板の少なくとも一方は、前記本体熱交換器と前記補助熱交換器とが積層されたときに前記第1薄板と前記第2薄板との間に隙間が形成されるように構成されていることを特徴とする熱交換器ユニット。
【請求項2】
前記第1端板は、前記複数の第1薄板の一部を覆うように突出する第1突出部を有していることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器ユニット。
【請求項3】
前記第2端板は、前記本体熱交換器とは反対側において前記複数の第2薄板の一部を覆うように突出する第2突出部を有しており、
前記本体熱交換器と前記補助熱交換器とが積層された状態において、前記第1突出部と前記第2突出部とは積層方向に関して重なり合う位置に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器ユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器ユニットを備えた空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−65903(P2010−65903A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−231513(P2008−231513)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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