説明

熱交換器用スペーサ

【課題】スペーサを介在させることに伴う圧損の低減や異物の堆積の低減を図ることができる熱交換器用スペーサを提供する。
【解決手段】縦横複数列に並べたセラミックフィルタ群12を多段に積層した熱交換器の各段間に挿入される熱交換器用スペーサであって、1個のセラミックフィルタ11の外径と同一形状を有する四角状の枠体1aを縦方向および/または横方向に整列させて複数個連結した構造とし、前記枠体1aの四隅には、角部の内側を斜めに横切って連結する補強部材2を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサを介在させることに伴う圧損の低減や異物の堆積の低減を図ることができる熱交換器用スペーサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃焼時に臭気を発生させる廃棄物等の処理炉として脱臭炉が広く用いられている。また、この脱臭炉においては、特許文献1や特許文献2に示されるように、臭気ガスを加熱する熱源として熱交換器が使用されているのが普通である。一方、このような熱交換器として、角柱状多孔体からなる高温用セラミックフィルタを、縦横複数列に並べてセラミックフィルタ群を構成し、このフィルタ群をスペーサを介して多段に積層したものも知られている。なお、前記スペーサとしては、スノコ状、ハニカム状、リング状のもの等が使用されていた。
【0003】
ところで、最近では設備のコンパクト化やコスト低減等の点から、高価なセラミックフィルタの使用個数を極力減らす方向で設計を要求される傾向にある。また一方では、セラミックフィルタの個数が減ったとしても、熱交換器の能力としては最大に引き出せることが要求されている。
【0004】
その結果、圧力損失等が生じないことが厳格に要求されることになり、特に、スペーサを介在させることに起因する圧力損失や、スペーサ部での異物の堆積等の技術的課題が重要な項目となってきた。また、それに加えて熱交換器を多段に積層するに際して、熟練者でなくても正確に、しかも容易に施工できることも要求されるようになってきた。更には、スペーサを簡単に製作できることも要求されている。
【特許文献1】特開2004−69164号公報
【特許文献2】特開平8−134823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような問題点を解決して、スペーサを介在させることに起因する熱交換器の圧力損失の低減や異物の堆積の低減を図ることができ、また多段に積層するに際し、熟練者でなくても誰もが正確かつ容易に施工することができ、更には簡単な構造で例えば現場等でも短時間かつ安価に製作することができる熱交換器用スペーサを提供することを目的として完成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の熱交換器用スペーサは、縦横複数列に並べたセラミックフィルタ群を多段に積層した熱交換器の各段間に挿入される熱交換器用スペーサであって、1個のセラミックフィルタの外径と同一形状を有する四角状の枠体を縦方向および/または横方向に整列させて複数個連結連結し、また前記枠体の四隅には、角部の内側を斜めに横切って連結する補強部材を取り付けたことを特徴とするものである。
【0007】
また前記枠体は、1列に整列させて直線状に連結することや、縦横複数列に整列させて四角状に連結することが好ましく、これを請求項2および請求項3に係る発明とする。
【0008】
更に枠体は、帯状の耐熱鋼材またはセラミックで形成されていることが好ましく、これを請求項4に係る発明とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の熱交換器用スペーサは、縦横複数列に並べたセラミックフィルタ群を多段に積層した熱交換器の各段間に挿入される熱交換器用スペーサであって、1個のセラミックフィルタの外径と同一形状を有する四角状の枠体を縦方向および/または横方向に整列させて複数個連結し、また前記枠体の四隅には、角部の内側を斜めに横切って連結する補強部材を取り付けたので、枠体は十分な強度を有しており、各セラミックフィルタを所定の位置へ確実に載置できることは勿論のこと、セラミックフィルタを外枠と補強部材の端面で支持するので圧力損失を発生させることがない。
【0010】
請求項2に係る発明では、前記枠体を1列に整列させて直線状に連結したものとし、また、請求項3係る発明では、縦横複数列に整列させて四角状に連結したものとしたので、優れた取扱性を発揮でき、また製作も容易である。
【0011】
更に、請求項4に係る発明では、枠体は、帯状の耐熱鋼材またはセラミックで形成されているものとしたので、現場においても短時間で容易に製作できることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1は、縦横複数列に並べたセラミックフィルタ群を多段に積層した熱交換器の正面図、図2は本発明のスペーサを並べた状態を示す平面図、図3は図1の要部の斜視図である。図において、11は軸方向に多数の連通孔が形成されている四角柱状のセラミックフィルタ、12はこのセラミックフィルタ11を縦横複数列(図示のものでは16×16)に並べたセラミックフィルタ群であり、図示のものではセラミックフィルタ群12を4段積層してある。なお、13は熱交換器のケースである。
【0013】
熱交換器の各段間には、スペーサ1が挿入されている。このスペーサ1は、1個のセラミックフィルタ11の外径と同一形状を有する四角状の枠体1aを縦方向および/または横方向に整列させて複数個連結した構造となっている。
実施例のものでは、図4に示すように、8個の枠体1aを、1列に整列させて直線状に連結したものとなっている。その他、枠体1aを縦横複数列に整列させて四角状に連結したものとすることもできる。この連結する枠体1aの個数や、形状については、重量等の関係や設置スペース等から任意に選択することができるものである。
【0014】
このようなスペーサ1は、例えばSUS310SやSUS304等のステンレス鋼のような帯状の耐熱鋼材や、コージライトやムライト等のセラミックで形成することができる。実施例では、帯状の耐熱鋼材で1個のセラミックフィルタ11の外径と同一形状を有する四角状の枠体1aを形成し、これを1列に整列させて直線状に溶接した構造となっている。この他に、帯状の耐熱鋼材を梯子状に組み合わせて溶接し、直線状のスペーサ1とすることもできる。また、セラミックで形成する場合は、前記枠体1aが1列に整列されて直線状に連結したものや、縦横複数列に整列されて四角状に連結したものを一体的に成形することができる。
【0015】
また、図4に示されるように、枠体1aの四隅には、角部の内側を斜めに横切って連結する補強部材2が取り付けてある。これにより、枠体1aの強度を大幅に向上させることができ、またセラミックフィルタ11を載置した場合にも安定性が増し、かつ重量にも十分に耐えられるという効果を発揮する。この補強部材2は、枠体1aと同材質、同じ厚み(約5mm)で形成されており、製作が容易となっている。なお、セラミックで形成する場合は、斜めに横切って連結した部分が中実体となる。
【0016】
このように構成したスペーサ1は、縦横複数列に並べたセラミックフィルタ群12の各段間に挿入されて使用に供せられるものである点は従来と同様である。そして本発明では、多段に積層した熱交換器の1個のセラミックフィルタ11と外径が同じ四角状の枠体1aを複数個連結した構造であるので、セラミックフィルタ11を所定の位置へ確実に載置できることとなる。また、セラミックフィルタ11を外枠と補強部材の端面で支持しており、各セラミックフィルタ11のガス流通部には何ら抵抗を生じさせない構造であるから、圧力損失を発生させることもない。しかも、熱衝撃や化学アタック等でセラミックフィルタが破損されて破壊粉が生じたとしても、スペーサ上に蓄積されることもなくなる。
【0017】
以上の説明からも明らかなように、本発明はセラミックフィルタ群を多段に積層した熱交換器の各段間に挿入される熱交換器用スペーサであって、1個のセラミックフィルタの外径と同一形状を有する四角状の枠体を縦方向および/または横方向に整列させて複数個連結した構造であり、スペーサを介在させることに起因する熱交換器の圧力損失の低減や異物の堆積の低減を図ることができることとなる。しかも、多段に積層するに際しては、熟練者でなくても誰もがセラミックフィルタをスペーサ上に正確かつ容易に載置することができるという利点や、更には簡単な構造であり、例えば現場等でも帯状の耐熱鋼材さえあれば短時間かつ安価に製作することができ、メンテナンス等も簡単にできるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のスペーサを使用した熱交換器を示す正面図である。
【図2】本発明のスペーサを並べた状態を示す平面図である。
【図3】図1の要部の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0019】
1 スペーサ
1a 枠体
2 補強部材
11 セラミックフィルタ
12 セラミックフィルタ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横複数列に並べたセラミックフィルタ群を多段に積層した熱交換器の各段間に挿入される熱交換器用スペーサであって、1個のセラミックフィルタの外径と同一形状を有する四角状の枠体を縦方向および/または横方向に整列させて複数個連結し、また前記枠体の四隅には、角部の内側を斜めに横切って連結する補強部材を取り付けたことを特徴とする熱交換器用スペーサ。
【請求項2】
枠体を、1列に整列させて直線状に連結してある請求項1に記載の熱交換器用スペーサ。
【請求項3】
枠体を、縦横複数列に整列させて四角状に連結してある請求項1に記載の熱交換器用スペーサ。
【請求項4】
枠体は、帯状の耐熱鋼材またはセラミックで形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器用スペーサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−229043(P2009−229043A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78494(P2008−78494)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】