熱交換器
【課題】組み付け時、ヘッダ部本体を形成する第1部材と第2部材との間に隙間が生じることを防止しうる熱交換器を提供する。
【解決手段】通風方向に並んだ2つのヘッダ部5,6は、両端が開口したヘッダ部本体21,22とヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップ23,24とからなる。ヘッダ部本体は第1および第2部材25,26を有する。通風方向に並んだ2つのキャップを連結部49,51によって1つのエンド部材48に一体に設ける。キャップは、ヘッダ部本体の第1および第2部材の外周面に沿う周壁部23a,24aと、周壁部に一体に形成されかつヘッダ部本体の端部開口を塞ぐ閉鎖壁部23b,24bとよりなる。キャップをヘッダ部本体の端部に外側から嵌め被せる。
【解決手段】通風方向に並んだ2つのヘッダ部5,6は、両端が開口したヘッダ部本体21,22とヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップ23,24とからなる。ヘッダ部本体は第1および第2部材25,26を有する。通風方向に並んだ2つのキャップを連結部49,51によって1つのエンド部材48に一体に設ける。キャップは、ヘッダ部本体の第1および第2部材の外周面に沿う周壁部23a,24aと、周壁部に一体に形成されかつヘッダ部本体の端部開口を塞ぐ閉鎖壁部23b,24bとよりなる。キャップをヘッダ部本体の端部に外側から嵌め被せる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車に搭載される冷凍サイクルであるカーエアコンのエバポレータに好適に使用される熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能化および小型軽量化の要求を満たすエバポレータに用いられる熱交換器として、本出願人は、先に、長手方向を同一方向に向けて配置された複数の熱交換管を有する熱交換コア部と、熱交換コア部における熱交換管の長手方向両側にそれぞれ配置されたヘッダタンクとを備えており、一方の第1ヘッダタンクが、冷媒入口ヘッダ部と、冷媒入口ヘッダ部の風上側に設けられた冷媒出口ヘッダ部とを備え、他方の第2ヘッダタンクが、冷媒入口ヘッダ部と対向するように設けられた第1中間ヘッダ部と、冷媒出口ヘッダ部と対向するように第1中間ヘッダ部の風上側に設けられた第2中間ヘッダ部とを備え、両ヘッダタンクの各ヘッダ部どうしの間に、それぞれ両ヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなる熱交換管群が1列ずつ設けられるとともに、各熱交換管群の熱交換管の両端部が、第1ヘッダタンクの各ヘッダ部および第2ヘッダタンクの各ヘッダ部に接続され、各ヘッダ部が、両端が開口したヘッダ部本体の両端部に、ヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップをろう付することにより形成され、冷媒入口ヘッダ部の一方のキャップに冷媒入口が設けられるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端部のキャップに冷媒出口が設けられ、第1および第2ヘッダタンクが、それぞれ2つのヘッダ部本体の熱交換コア部側の部分を一体に形成しかつ熱交換管が接続された第1部材と、2つのヘッダ部本体の残りの部分を一体に形成しかつ第1部材にろう付された第2部材とからなり、通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体にろう付された2つのキャップが、両ヘッダ部本体に跨ってろう付された1つのエンド部材に一体に設けられており、エンド部材の2つのキャップが、ヘッダ本体内に嵌る凹陥部を有しており、凹陥部の底壁がヘッダ本体の両端開口を閉鎖する閉鎖壁部となっている熱交換器を提案した(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の熱交換器は、両ヘッダタンクの2つのヘッダ部のヘッダ部本体部を形成する第1および第2部材、2つのキャップを有するエンド部材、熱交換管、フィン、サイドプレートなどを組み付けた後、適当な治具により仮止めし、炉内で全部品が一括してろう付されることにより製造される。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の熱交換器においては、全ての部品の組み付け時に、エンド部材のキャップの凹陥部を、ヘッダ部本体を形成する第1部材および第2部材の組み合わせ体の両端開口内に嵌め入れた際に、ヘッダ部本体を形成する第1部材と第2部材との間に隙間が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−298319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、製造時の全部品の組み付けの際に、ヘッダタンクのヘッダ部本体を形成する第1部材と第2部材との間に隙間が生じることを防止しうる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)長手方向を同一方向に向けて配置された複数の熱交換管を有する熱交換コア部と、熱交換コア部における熱交換管の長手方向両側のうち少なくともいずれか片側において通風方向に並んで設けられた2つのヘッダ部とを備え、通風方向に並んだ2つのヘッダ部が、それぞれ両端が開口したヘッダ部本体およびヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップからなり、各ヘッダ部本体が、熱交換コア部側の部分を形成しかつ熱交換管が接続された第1部材と、ヘッダ部本体の残りの部分を形成しかつ第1部材にろう付された第2部材とを有し、通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体の両端開口を閉鎖する2つのキャップが、両ヘッダ部本体に跨ってろう付された1つのエンド部材に一体に設けられている熱交換器であって、
エンド部材が、両キャップおよび両キャップを一体に連結する連結部を備え、エンド部材の各キャップが、ヘッダ部本体の端部に外側から嵌め被せられてヘッダ部本体の第1および第2部材にろう付され、エンド部材の連結部に、両キャップ間の間隔を調整する間隔調整部が設けられている熱交換器。
【0009】
2)エンド部材の各キャップが、ヘッダ部本体の第1および第2部材の外周面に沿う周壁部と、周壁部に一体に形成されかつヘッダ部本体の端部開口を塞ぐ閉鎖壁部とよりなる上記1)記載の熱交換器。
【0010】
3)熱交換コア部の片側に設けられて通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体を形成する第1部材どうしおよび第2部材どうしがそれぞれ連結壁により連結されており、エンド部材の両キャップの周壁部に、前記連結壁が通される切り欠きが形成されている上記2)記載の熱交換器。
【0011】
4)通風方向に並んだ2つのキャップの周壁部間に隙間が形成されている上記3)記載の熱交換器。
【0012】
5)通風方向に並んだ2つのヘッダ部の通風方向に並んだ2つのキャップの周壁部どうしが接触させられており、当該2つのキャップの閉鎖壁部における前記切り欠き内に存在する部分に、両キャップの閉鎖壁部に跨るような貫通穴が形成されている上記3)記載の熱交換器。
【0013】
6)エンド部材の両キャップ部が、両キャップ部における熱交換管の長さ方向の少なくとも片側において連結部により連結されており、エンド部材の間隔調整部が、連結部の中間部をヘッダ部の長さ方向外側に屈曲することにより設けられている上記1)〜5)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【0014】
7)エンド部材の各キャップに、ヘッダ部本体の第1および第2部材の外周面に係合する係合爪が設けられている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【0015】
8)熱交換コア部の片側に設けられて通風方向に並んだ2つのヘッダ部のうち一方が冷媒入口ヘッダ部であるとともに他方が冷媒出口ヘッダ部であり、冷媒入口ヘッダ部の一端部にろう付されたキャップに冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端部にろう付されたキャップに冷媒出口が形成され、冷媒入口および冷媒出口が形成された2つのキャップを有するエンド部材に、冷媒入口に通じる冷媒流入部および冷媒出口に通じる冷媒流出部を有するジョイントプレートがろう付されており、冷媒入口および冷媒出口が形成された2つのキャップを有するエンド部材に、ジョイントプレートに係合する係合部が設けられている上記1)〜7)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【0016】
9)係合部が、エンド部材の間隔調整部に設けられている上記8)記載の熱交換器。
【0017】
10)エンド部材が、通風方向に並んだ2つのヘッダ本体部の開口間の間隔よりも広い間隔をおいて配置された2つのキャップと、両キャップを一体に連結する連結部とよりなるエンド部材半製品を用いてつくられており、エンド部材半製品における連結部がエンド部材半製品の厚さ方向に屈曲させられて間隔調整部が設けられるとともに、エンド部材半製品が通風方向に短縮させられることによってエンド部材が形成されている上記1)〜9)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【発明の効果】
【0018】
上記1)〜10)の熱交換器によれば、通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体の両端開口を閉鎖する2つのキャップが設けられたエンド部材が、両キャップおよび両キャップを一体に連結する連結部を備え、エンド部材の各キャップが、ヘッダ部本体の端部に外側から嵌め被せられてヘッダ部本体の第1および第2部材にろう付されているので、熱交換器の製造時に全部品を組み付けるにあたって、通風方向に並んだヘッダ部のヘッダ部本体を形成する第1部材および第2部材と、エンド部材とを組み合わせる際にも、前記第1部材と第2部材との間に隙間が生じることを防止することができる。また、エンド部材の連結部に、両キャップ間の間隔を調整する間隔調整部が設けられているので、エンド部材を、通風方向に並んだ2つのヘッダ本体部の開口間の間隔よりも広い間隔をおいて配置された2つのキャップと、両キャップを一体に連結する連結部とよりなるエンド部材半製品を用いてつくることができる。すなわち、連結部をエンド部材半製品の厚さ方向に屈曲させて間隔調整部を設けるとともに、エンド部材半製品を通風方向に短縮させることによってエンド部材を形成することができる。したがって、通風方向に並んだ2つのヘッダ部におけるヘッダ本体部の開口間の間隔が小さい場合であっても、エンド部材に、2つのヘッダ部本体を構成する第1および第2部材の端部に外側から嵌め被せられる2つのキャップを設けることができる。通常、エンド部材は金属板にプレス加工を施すことにより形成されるが、通風方向に並んだ2つのヘッダ部におけるヘッダ本体部の開口間の間隔が小さい場合、プレス加工によっては2つのキャップを設けることができない。
【0019】
上記3)の熱交換器によれば、上記2)の熱交換器のように、エンド部材の各キャップが、ヘッダ部本体の第1および第2部材の外周面に沿う周壁部と、周壁部に一体に形成されかつヘッダ部本体の端部開口を塞ぐ閉鎖壁部とよりなる場合であっても、第1および第2部材を連結する連結壁と、キャップの周壁部とが干渉することはない。
【0020】
上記4)および5)の熱交換器によれば、上記3)の熱交換器のように、熱交換コア部の片側に設けられて通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体を形成する第1部材どうしおよび第2部材どうしがそれぞれ連結壁により連結されており、エンド部材に一体に設けられかつ両ヘッダ部本体の両端開口を閉鎖する2つのキャップの周壁部に、前記連結壁が通される切り欠きが形成されている場合であっても、通風方向に並んだ2つのヘッダ部間の短絡を防止することができる。
【0021】
上記6)の熱交換器によれば、エンド部材の連結部に比較的簡単に間隔調整部を設けることができる。
【0022】
上記7)の熱交換器によれば、熱交換器の製造時における全部品の組み付けの際に、エンド部材の各キャップ部材の係合爪によって、ヘッダ部本体の第1および第2部材を仮止めすることができる。
【0023】
上記8)および9)の熱交換器によれば、通風方向に並んだ2つのヘッダ部のうち一方が冷媒入口ヘッダ部であるとともに他方が冷媒出口ヘッダ部であり、冷媒入口ヘッダ部の一端部にろう付されたキャップに冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端部にろう付されたキャップに冷媒出口が形成され、冷媒入口および冷媒出口が形成された2つのキャップを有するエンド部材に、冷媒入口に通じる冷媒流入部および冷媒出口に通じる冷媒流出部を有するジョイントプレートがろう付されている場合には、製造時における全部品の組み付けの際に、エンド部材の係合部によって、ジョイントプレートをエンド部材に仮止めすることができる。
【0024】
上記10)の熱交換器によれば、通風方向に並んだ2つのヘッダ部におけるヘッダ本体部の開口間の間隔が小さい場合であっても、エンド部材に、2つのヘッダ部本体の端部に外側から嵌め被せられる2つのキャップを簡単に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の熱交換器を適用したエバポレータの全体構成を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】図1のエバポレータの後方から見た一部を省略した垂直断面図である。
【図3】一部を省略した図2のA−A線拡大断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】図2のC−C線拡大断面図である。
【図6】図1のエバポレータの第1ヘッダタンクの分解斜視図である。
【図7】図1のエバポレータの第1ヘッダタンクの右側部分を示す分解斜視図である。
【図8】図1のエバポレータの第2ヘッダタンクの分解斜視図である。
【図9】エンド部材を形成するエンドプレート半製品を示す斜視図である。
【図10】エンド部材を形成するエンドプレート半製品を示す正面図である。
【図11】エンド部材とジョイントプレートとを組み合わせる方法を示す斜視図である。
【図12】エンド部材の変形例を示す斜視図である。
【図13】図12のエンド部材を形成するエンドプレート半製品を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明による熱交換器を、カーエアコンのエバポレータに適用したものである。
【0027】
以下の説明において、隣接する熱交換管どうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1、図3および図4に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後といい、図2の上下、左右を上下、左右というものとする。
【0028】
また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0029】
図1〜図3はエバポレータの全体構成を示し、図4〜図11はエバポレータの要部の構成を示す。
【0030】
図1〜図4において、エバポレータ(1)は、上下方向に間隔をおいて配置されかつ左右方向にのびるアルミニウム製第1ヘッダタンク(2)およびアルミニウム製第2ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
【0031】
第1ヘッダタンク(2)は、前側(通風方向下流側)に位置しかつ左右方向にのびる冷媒入口ヘッダ部(5)と、後側(通風方向上流側)に位置しかつ左右方向にのびる冷媒出口ヘッダ部(6)と、両ヘッダ部(5)(6)を相互に連結一体化する連結部(7)とを備えている。第1ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)は右端部に冷媒入口(8)を有するとともに左端部が閉鎖され、同じく冷媒出口ヘッダ部(6)は右端部に冷媒出口(9)を有するとともに左端部が閉鎖されており、第1ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)にアルミニウム製冷媒入口管(11)が冷媒入口(8)に通じるように接続され、同じく冷媒出口ヘッダ部(6)にアルミニウム製冷媒出口管(12)が冷媒出口(9)に通じるように接続されている。第2ヘッダタンク(3)は、前側に位置しかつ左右方向にのびる第1中間ヘッダ部(13)と、後側に位置しかつ左右方向にのびる第2中間ヘッダ部(14)と、両ヘッダ部(13)(14)を相互に連結一体化する連結部(15)とを備えている。
【0032】
熱交換コア部(4)は、長手方向を上下方向に向けるとともに左右方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管(16)からなる熱交換管群(17)が、前後方向に並んで複数列、ここでは2列配置され、各熱交換管群(17)の隣接する熱交換管(16)どうしの間の通風間隙、および各熱交換管群(17)の左右両端の熱交換管(16)の外側にそれぞれコルゲートフィン(18)が配置されて熱交換管(16)にろう付され、さらに左右両端のコルゲートフィン(18)の外側にそれぞれアルミニウム製サイドプレート(19)が配置されてコルゲートフィン(18)にろう付されることにより構成されている。そして、前側熱交換管群(17)の熱交換管(16)の上下両端は冷媒入口ヘッダ部(5)および第1中間ヘッダ部(13)に接続され、後側熱交換管群(17)の熱交換管(16)の上下両端部は冷媒出口ヘッダ部(6)および第2中間ヘッダ部(14)に接続されている。
【0033】
熱交換管(16)はアルミニウム押出形材で形成されたベア材からなり、幅方向を前後方向に向けて配置されるとともに幅方向に並んだ複数の冷媒通路を有する扁平状である。コルゲートフィン(18)は、前後の熱交換管群(17)を構成する前後両熱交換管(16)に共有されており、その前後方向の幅は前側熱交換管(16)の前側縁と後側熱交換管(16)の後側縁との間隔をほぼ等しくなっている。なお、1つのコルゲートフィン(18)が前後両熱交換管群(17)に共有される代わりに、両熱交換管群(17)の隣り合う熱交換管(16)どうしの間にそれぞれコルゲートフィンが配置されていてもよい。
【0034】
第1ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)は、それぞれ両端が開口したヘッダ部本体(21)(22)と、両ヘッダ部本体(21)(22)の両端部に外側から嵌め被せられてろう付され、かつ両ヘッダ部本体(21)(22)の両端開口を閉鎖するキャップ(23)(24)とよりなる。
【0035】
各ヘッダ部本体(21)(22)は、熱交換コア部(4)側の部分(下側の部分)を形成しかつ前後の熱交換管群(17)の熱交換管(16)の上端部が接続された横断面略U字状の第1部材(25)(26)と、各ヘッダ部本体(21)(22)の残りの部分(上側の部分)を形成しかつ第1部材(25)(26)にろう付された横断面略逆U字状の第2部材(27)(28)と、第1部材(25)(26)と第2部材(27)(28)との間に配置されて両部材(25)(26)(27)(28)にろう付され、かつ各ヘッダ部本体(21)(22)内を上下に並んだ第1の空間(29)(31)および第2の空間(32)(33)に区画する第3部材(34)(35)とからなる。冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(21)(22)の第1部材(25)(26)に、それぞれ前後方向に長い複数の管挿通穴(36)が、左右方向に間隔をおきかつ左右方向に関して同一位置に来るように形成されており、熱交換管(16)の上端部が管挿通穴(36)に挿入されて第1部材(25)(26)にろう付されている。
【0036】
冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(21)(22)を形成する第1部材(25)(26)どうし、第2部材(27)(28)どうしおよび第3部材(34)(35)どうしは、それぞれ連結部(7)を構成する連結壁(37)(38)(39)により一体に連結されている。ここで、両ヘッダ部本体(21)(22)の第1部材(25)(26)および連結壁(37)が一体化された部材を第1タンク構成部材(41)といい、第2部材(27)(28)および連結壁(38)が一体化された部材を第2タンク構成部材(42)といい、第3部材(34)(35)および連結壁(39)が一体化された部材を第3タンク構成部材というものとする。第1および第2タンク構成部材(41)(42)は、それぞれ両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されている。なお、熱交換管(16)の上端部は第1タンク構成部材(41)のろう材層を利用して第1タンク構成部材(41)にろう付されている。第3タンク構成部材(43)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートまたはアルミニウムベア材にプレス加工を施すことにより形成されている。
【0037】
冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ部本体(21)を形成する第3部材(34)における左端部に配置された熱交換管(15)よりも左側の部分には、平面から見て前後方向に長くかつ冷媒入口ヘッダ部(5)内の2つの空間(29)(32)を通じさせる方形状の連通口(44)が形成されている。第3部材(34)における連通口(44)の左側縁部に、第2空間(32)側に突出し、かつ冷媒を右側に案内するガイド部(45)が一体に形成されている。また、第3部材(34)の前後方向の中央部でかつ左右方向の中央部および左右両側部分には、円形冷媒通過穴(46)が形成されている。
【0038】
冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(22)を形成する第3部材(35)の後側部分における左右両端寄りの部分を除いた部分には、冷媒出口ヘッダ部(6)の第1空間(31)と第2空間(33)とを通じさせる複数の長円形冷媒通過穴(47A)(47B)が、左右方向に間隔をおいて形成されている。
【0039】
図5〜図8に示すように、両ヘッダ部本体(21)(22)の両端部にろう付されたキャップ(23)(24)は、それぞれヘッダ部本体(21)(22)の第1および第2部材(27)(28)の外周面に沿う周壁部(23a)(24a)と、周壁部(23a)(24a)の左右方向外端に一体に形成されかつヘッダ部本体(21)(22)の端部開口を塞ぐ閉鎖壁部(23b)(24b)とよりなり、両ヘッダ部本体(21)(22)に跨って設けられた1つのエンド部材(48)に一体に設けられている。すなわち、エンド部材(48)は、前後方向に間隔をおいて配置された2つのキャップ(23)(24)と、幅方向を上下方向に向けて配置された帯板からなり、かつ両キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)の上下両側部分を一体に連結する上下両連結部(49)(51)とよりなる。両連結部(49)(51)には、それぞれ両キャップ(23)(24)間の間隔を調整する平面から見て略U字状の間隔調整部(52)(53)が、連結部(49)(51)の前後方向の中間部を左右方向外方(冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部の長さ方向外側)に屈曲することにより設けられている。また、エンド部材(48)の各キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)に、第1〜第3タンク構成部材(41)(42)(43)の連結壁(37)(38)(39)が通される切り欠き(54)(55)が形成されている。さらに、エンド部材(48)の各キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)に、ヘッダ部本体(21)(22)の第1および第2部材(25)(26)(27)(28)の外周面に係合する複数の係合爪(56)(57)が一体に設けられている。そして、エンド部材(48)の各キャップ(23)(24)は、ヘッダ部本体(21)(22)の両端部に、周壁部(23a)(24a)がヘッダ部本体(21)(22)の第1および第2部材(25)(26)(27)(28)の外周面に沿うとともに第1〜第3タンク構成部材(41)(42)(43)の連結壁(37)(38)(39)が切り欠き(54)(55)に通され、さらに係合爪(56)(57)がヘッダ部本体(21)(22)の第1および第2部材(25)(26)(27)(28)の外周面に係合するように、外側から嵌め被せられてヘッダ部本体(21)(22)の第1および第2部材(25)(26)(27)(28)にろう付されている。ここで、前後方向(通風方向)に並んだ2つのキャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)間に、冷媒入口ヘッダ部(5)と冷媒出口ヘッダ部との間での短絡を防止する隙間(58)が形成されている。
【0040】
右側のエンド部材(48)における前側キャップ(23)の閉鎖壁部(23b)に、冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ部本体(21)の第1空間(29)内に通じる冷媒入口(8)が形成され、同じく後側のキャップ(24)の閉鎖壁部(24b)に、冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(22)の第1空間(31)に通じる冷媒出口(9)が形成されている。また、右側のエンド部材(48)に、冷媒入口(8)に通じる冷媒流入部(61)および冷媒出口(9)に通じる冷媒流出部(62)を有するアルミニウムベア材製ジョイントプレート(59)がろう付されている。ジョイントプレート(59)における冷媒流入部(61)と冷媒流出部(62)との間の部分には、隙間(58)を外側から見ることができる縦長の貫通穴(68)が形成されている。右側のエンド部材(48)の上側の連結部(49)には、右方に突出してジョイントプレート(59)の上縁に形成された切り欠き(59a)内に通され、かつ下方に曲げられてジョイントプレート(59)の上縁部に係合する係合部(63)が設けられ、同じく下側の連結部(51)には、右方に突出してジョイントプレート(59)の下縁に形成された切り欠き(59b)内に通され、かつ上方に曲げられてジョイントプレート(59)の下縁部に係合する係合部(64)が設けられている。なお、係合部(63)(64)は、図6に示すように、ジョイントプレート(59)を右側エンド部材(48)に組み合わせる前には、右方に真っ直ぐに突出している。右方に真っ直ぐに突出した係合部を(63A)(64A)で示す。また、左側のエンド部材(48)における両キャップ(23)(24)の閉鎖壁部(23b)(24b)には穴は形成されていない。
【0041】
ジョイントプレート(59)の冷媒流入部(61)に、冷媒入口管(11)の一端部が差し込まれてろう付され、同じく冷媒流出部(62)に、冷媒出口管(12)の一端部が差し込まれてろう付されている。
【0042】
右側のエンド部材(48)は、図9および図10に示すようなエンド部材半製品(48A)を用いてつくられる。エンド部材半製品(48A)は、冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ本体部(21)と、冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ本体部(22)の両端開口間の間隔よりも広い間隔をおいて配置された2つのキャップ(23)(24)と、幅方向を上下方向に向けるとともに長さ方向を前後方向に向けた真っ直ぐな帯板状であり、かつ両キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)の上下両側部分を一体に連結する上下の連結部(49A)(51A)と、両キャップ(23)(24)に設けられた係合爪(56)(57)と、上連結部(49A)の上縁の長さ方向の中央部に上方突出状に一体に設けられた係合部用突出片(63B)と、下連結部(51A)の下縁の長さ方向の中央部に下方突出状に一体に設けられた係合部用突出片(64B)とよりなる部品を用意し(図9および図10鎖線参照)、この部品の係合部用突出片(63B)(64B)を左右方向外方に曲げて係合部(63A)(64A)を形成することによりつくられる。なお、前記部品は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからプレス成形されており、冷媒入口(8)、冷媒出口(9)および切り欠き(54)(55)を有している。そして、エンド部材半製品(48A)の上下両連結部(49)(51)がエンド部材半製品(48A)の厚さ方向に屈曲させられて間隔調整部(52)(53)が形成されるとともに、エンド部材半製品(48A)が通風方向に短縮させられることによってエンド部材(48)がつくられている。なお、エンド部材半製品(48A)を通風方向に短縮させる際に、両キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)どうしの間に、短絡防止用の隙間(58)を形成する。左側のエンド部材(48)は、キャップ(23)(24)の閉鎖壁部(23b)(24b)に冷媒入口および冷媒出口が形成されていないエンド部材半製品(48A)を用いて、右側のエンド部材(48)を同様にしてつくられる。
【0043】
第2ヘッダタンク(3)の第1中間ヘッダ部(9)および第2中間ヘッダ部(11)は、それぞれ両端が開口したヘッダ部本体(21)(22)と、両ヘッダ部本体(21)(22)の両端部に外側から嵌め被せられてろう付され、かつ両ヘッダ部本体(21)(22)の両端開口を閉鎖するキャップ(23)(24)とよりなり、第1ヘッダタンク(2)とほぼ同様な構成であるとともに、第1ヘッダタンク(2)とは上下逆向きに配置されたものであり、同一部分には同一符号を付す。
【0044】
なお、第2ヘッダタンク(3)の各ヘッダ部本体(21)(22)の第1部材(25)(26)は、ヘッダ部本体(21)(22)の熱交換コア部(4)側の部分(上側の部分)を形成するとともに前後の熱交換管群(17)の熱交換管(16)の下端部が接続され、同じく第2部材(27)(28)は、各ヘッダ部本体(21)(22)の残りの部分(下側の部分)を形成し、同じく第3部材(34)(35)は、各ヘッダ部本体(21)(22)内を下側の第1空間(29)(31)と上側の第2空間(32)(33)とに区画する。
【0045】
図2、図3および図8に示すように、第2ヘッダタンク(3)の第1ヘッダタンク(2)との相違点は、次の通りである。
【0046】
第1の相違点は、右側エンド部材(48)のキャップ(23)(24)に冷媒入口および冷媒出口が形成されていないとともに、ジョイントプレート(59)がろう付されておらず、さらにジョイントプレート(59)に係合する係合爪が設けられていないことにある。
【0047】
第2の相違点は、第1中間ヘッダ部(13)の第3部材(34)に、連通口(44)、ガイド部(45)および円形冷媒通過穴(46)は形成されておらず、第1中間ヘッダ部(13)の第1および第2空間(29)(32)を通じさせる前後方向に長い連通穴(65)が形成されていることにある。
【0048】
第3の相違点は、第2中間ヘッダ部(14)の第3部材(35)に長円形冷媒通過穴(47A)(47B)は形成されておらず、複数の円形冷媒通過穴(66)が左右方向に間隔をおいて貫通状に形成されていることにある。
【0049】
第4の相違点は、第1中間ヘッダ部(13)の第2部材(27)の後側壁、第2中間ヘッダ部(14)の第2部材(28)の前側壁および連結壁(38)に、両中間ヘッダ部(13)(14)の第1空間(29)(31)どうしを通じさせる複数の連通部(67)が、第1タンク構成部材(41)を変形させることによって左右方向に間隔をおいて設けられていることにある。
【0050】
上述したエバポレータ(1)は、入口管(11)および出口管(12)を除いたすべての部品を組み付けた後、適当な治具により仮止めし、炉内で全部品を一括してろう付することにより製造される。すべての部品を組み付けるにあたってのエンド部材(48)とジョイントプレート(59)と第1〜第3タンク構成部材(41)(42)(43)との組み合わせは、次のようにして行われる。すなわち、右方に真っ直ぐに突出した係合部(63A)(64A)を、ジョイントプレート(59)の切り欠き(59a)(59b)に通した後係合部(63A)(64A)を上下方向内方に曲げてジョイントプレート(59)に係合させることにより、エンド部材(48)およびジョイントプレート(59)を仮止めすることによって、エンド部材(48)とジョイントプレート(59)とが組み合わされる(図11参照)。そして、エンド部材(48)とジョイントプレート(59)との組み合わせ体におけるエンド部材(48)のキャップ(23)(24)を第1〜第3タンク構成部材(41)(42)(43)のヘッダ本体部(21)(22)の端部に外側から嵌め被せ、その後係合爪(56)(57)をかしめることにより、エンド部材(48)およびジョイントプレート(59)と、第1〜第3タンク構成部材(41)(42)(43)とを仮止めする。
【0051】
エバポレータ(1)は、圧縮機および冷媒冷却器としてのコンデンサとともに、フロン系冷媒を使用する冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
【0052】
上述したエバポレータ(1)においては、圧縮機のオン時には、圧縮機、コンデンサおよび膨張弁を通過した気液混相の2相冷媒は、冷媒入口管(11)からジョイントプレート(59)の冷媒流入部(61)を通り、右側エンド部材(48)の前側キャップ(23)の冷媒入口(8)を経て冷媒入口ヘッダ部(5)の第1空間(29)内に入る。第1空間(29)内に入った冷媒は、第1空間(29)内を冷媒入口ヘッダ部(5)の長さ方向に流れ、連通口(44)を通って第2空間(32)内に流入するとともに、円形冷媒通過穴(46)を通って第2空間(32)内に流入し、分流して前側熱交換管群(17)の熱交換管(16)内に流入する。
【0053】
熱交換管(16)内に流入した冷媒は、熱交換管(16)内を下方に流れて第2ヘッダタンク(3)の第1中間ヘッダ部(13)の第2空間(32)内に入る。第1中間ヘッダ部(13)の第2空間(32)内に入った冷媒は、第1中間ヘッダ部(13)の第3部材(34)の連通穴(65)を通って第1空間(29)内に入り、連通部(67)を通って第2中間ヘッダ部(14)の第1空間(31)内に入る。第2中間ヘッダ部(14)の第1空間(31)内に入った冷媒は、第3部材(35)の円形冷媒通過穴(66)を通って第2空間(33)内に入り、分流して後側熱交換管群(17)の熱交換管(16)の冷媒通路内に流入する。
【0054】
熱交換管(16)の冷媒通路内に流入した冷媒は、冷媒通路内を上方に流れて冷媒出口ヘッダ部(6)の第2空間(33)内に入り、第3部材(35)の長円形冷媒通過穴(47A)(47B)を通って第1空間(31)内に入る。
【0055】
冷媒出口ヘッダ部(6)の第1空間(31)内に入った冷媒は右方に流れ、右エンド部材(48)の後キャップ(24)の冷媒出口(9)およびジョイントプレート(59)の冷媒流出部(62)を通り、冷媒出口管(12)に流出する。
【0056】
そして、冷媒が前後両熱交換管群(17)の熱交換管(16)内を流れる間に、熱交換コア部(4)の通風間隙を通過する空気と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。
【0057】
図12および図13は冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(21)(22)の右端部にろう付される右側のエンド部材の変形例を示す。
【0058】
図12に示すエンド部材(70)の場合、通風方向に並んだ2つのキャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)どうしが接触させられており、両キャップ(23)(24)の閉鎖壁部(23b)(24b)における切り欠き(54)(55)内に存在する部分に、両キャップ(23)(24)の閉鎖壁部(23b)(24b)に跨りかつ冷媒入口ヘッダ部と冷媒出口ヘッダ部との間の短絡を防止する貫通穴(71)が形成されている。
【0059】
エンド部材(70)は、図13に示すようなエンド部材半製品(70A)を用いてつくられる。エンド部材半製品(70A)は、冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ本体部(21)と、冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ本体部(22)の両端開口間の間隔よりも広い間隔をおいて配置された2つのキャップ(23)(24)と、幅方向を上下方向に向けるとともに長さ方向を前後方向に向けた真っ直ぐな帯板状であり、かつ両キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)の上下両側部分を一体に連結する上下の連結部(49A)(51A)と、両キャップ(23)(24)に設けられた係合爪(56)(57)と、上連結部(49A)の上縁の長さ方向の中央部に左右方向外方に突出するように一体に設けられた係合部用突出片(63A)と、下連結部(51A)の下縁の長さ方向の中央部に左右方向外方に突出するように一体に設けられた係合部用突出片(64A)とよりなる。両キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)には連結壁(37)(38)(39)を通す切り欠き(54)(55)が形成され、閉鎖壁部(23b)(24b)における切り欠き(54)(55)内に存在する部分に、貫通穴(71)を形成するための貫通穴用切り欠き(72)(73)が形成されている。突出片(63A)(64A)は、エンド部材(48)をつくるエンド部材半製品(48A)の場合と同様に、アルミニウムブレージングシートからエンド部材半製品(70A)を成型する際には、上下方向外方に突出している。そして、エンド部材半製品(70A)の上下両連結部(49A)(51A)がエンド部材半製品(70A)の厚さ方向に屈曲させられて間隔調整部(52)(53)が形成されるとともに、エンド部材半製品(70A)が通風方向に短縮させられることによってエンド部材(70)がつくられている。
【0060】
なお、冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(21)(22)の左端部、ならびに第1中間ヘッダ部(13)および第2中間ヘッダ部(14)のヘッダ部本体(21)(22)の左右両端部にろう付されるエンド部材にも、図12に示すエンド部材(70)と同様に短絡防止用の貫通穴が形成されていてもよい。
【0061】
上記実施形態においては、通風方向に並んだ2つのヘッダ部の第1〜第3部材(25)(26)(27)(28)(34)(35)が、それぞれ連結壁(37)(38)(39)により一体に連結されているが、通風方向に並んだ2つのヘッダ部の第1〜第3部材(25)(26)(27)(28)(34)(35)(34)(35)は互いに独立していてもよい。この場合、エンド部材(48)(70)のキャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)には、連結壁(37)(38)(39)を通す切り欠き(54)(55)を形成する必要はない。さらに、上記実施形態においては、通風方向に並んだ2つのヘッダ部が第3部材(34)(35)を備えているが、第3部材(34)(35)は必ずしも必要としない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明による熱交換器は、カーエアコンを構成する冷凍サイクルのエバポレータとして好適に用いられる。
【符号の説明】
【0063】
(1):エバポレータ(熱交換器)
(2):第1ヘッダタンク
(4):熱交換コア部
(5):冷媒入口ヘッダ部
(6):冷媒出口ヘッダ部
(8):冷媒入口
(9):冷媒出口
(13):第1中間ヘッダ部
(14):第2中間ヘッダ部
(16):熱交換管
(21)(22):ヘッダ部本体
(23)(24):キャップ
(23a)(24a):周壁部
(23b)(24b):閉鎖壁部
(25)(26):第1部材
(27)(28):第2部材
(34)(35):第3部材
(37)(38)(39):連結壁
(48)(70):エンド部材
(48A)(70A):エンド部材半製品
(49)(51):連結部
(49A)(51A):連結部
(52)(53):間隔調整部
(54)(55):切り欠き
(56)(57):係合爪
(58):隙間
(59):ジョイントプレート
(61):冷媒流入部
(62):冷媒流出部
(63)(64):係合部
(71):貫通穴
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車に搭載される冷凍サイクルであるカーエアコンのエバポレータに好適に使用される熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能化および小型軽量化の要求を満たすエバポレータに用いられる熱交換器として、本出願人は、先に、長手方向を同一方向に向けて配置された複数の熱交換管を有する熱交換コア部と、熱交換コア部における熱交換管の長手方向両側にそれぞれ配置されたヘッダタンクとを備えており、一方の第1ヘッダタンクが、冷媒入口ヘッダ部と、冷媒入口ヘッダ部の風上側に設けられた冷媒出口ヘッダ部とを備え、他方の第2ヘッダタンクが、冷媒入口ヘッダ部と対向するように設けられた第1中間ヘッダ部と、冷媒出口ヘッダ部と対向するように第1中間ヘッダ部の風上側に設けられた第2中間ヘッダ部とを備え、両ヘッダタンクの各ヘッダ部どうしの間に、それぞれ両ヘッダタンクの長さ方向に間隔をおいて配置された複数の熱交換管からなる熱交換管群が1列ずつ設けられるとともに、各熱交換管群の熱交換管の両端部が、第1ヘッダタンクの各ヘッダ部および第2ヘッダタンクの各ヘッダ部に接続され、各ヘッダ部が、両端が開口したヘッダ部本体の両端部に、ヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップをろう付することにより形成され、冷媒入口ヘッダ部の一方のキャップに冷媒入口が設けられるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端部のキャップに冷媒出口が設けられ、第1および第2ヘッダタンクが、それぞれ2つのヘッダ部本体の熱交換コア部側の部分を一体に形成しかつ熱交換管が接続された第1部材と、2つのヘッダ部本体の残りの部分を一体に形成しかつ第1部材にろう付された第2部材とからなり、通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体にろう付された2つのキャップが、両ヘッダ部本体に跨ってろう付された1つのエンド部材に一体に設けられており、エンド部材の2つのキャップが、ヘッダ本体内に嵌る凹陥部を有しており、凹陥部の底壁がヘッダ本体の両端開口を閉鎖する閉鎖壁部となっている熱交換器を提案した(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載の熱交換器は、両ヘッダタンクの2つのヘッダ部のヘッダ部本体部を形成する第1および第2部材、2つのキャップを有するエンド部材、熱交換管、フィン、サイドプレートなどを組み付けた後、適当な治具により仮止めし、炉内で全部品が一括してろう付されることにより製造される。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の熱交換器においては、全ての部品の組み付け時に、エンド部材のキャップの凹陥部を、ヘッダ部本体を形成する第1部材および第2部材の組み合わせ体の両端開口内に嵌め入れた際に、ヘッダ部本体を形成する第1部材と第2部材との間に隙間が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−298319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、製造時の全部品の組み付けの際に、ヘッダタンクのヘッダ部本体を形成する第1部材と第2部材との間に隙間が生じることを防止しうる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)長手方向を同一方向に向けて配置された複数の熱交換管を有する熱交換コア部と、熱交換コア部における熱交換管の長手方向両側のうち少なくともいずれか片側において通風方向に並んで設けられた2つのヘッダ部とを備え、通風方向に並んだ2つのヘッダ部が、それぞれ両端が開口したヘッダ部本体およびヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップからなり、各ヘッダ部本体が、熱交換コア部側の部分を形成しかつ熱交換管が接続された第1部材と、ヘッダ部本体の残りの部分を形成しかつ第1部材にろう付された第2部材とを有し、通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体の両端開口を閉鎖する2つのキャップが、両ヘッダ部本体に跨ってろう付された1つのエンド部材に一体に設けられている熱交換器であって、
エンド部材が、両キャップおよび両キャップを一体に連結する連結部を備え、エンド部材の各キャップが、ヘッダ部本体の端部に外側から嵌め被せられてヘッダ部本体の第1および第2部材にろう付され、エンド部材の連結部に、両キャップ間の間隔を調整する間隔調整部が設けられている熱交換器。
【0009】
2)エンド部材の各キャップが、ヘッダ部本体の第1および第2部材の外周面に沿う周壁部と、周壁部に一体に形成されかつヘッダ部本体の端部開口を塞ぐ閉鎖壁部とよりなる上記1)記載の熱交換器。
【0010】
3)熱交換コア部の片側に設けられて通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体を形成する第1部材どうしおよび第2部材どうしがそれぞれ連結壁により連結されており、エンド部材の両キャップの周壁部に、前記連結壁が通される切り欠きが形成されている上記2)記載の熱交換器。
【0011】
4)通風方向に並んだ2つのキャップの周壁部間に隙間が形成されている上記3)記載の熱交換器。
【0012】
5)通風方向に並んだ2つのヘッダ部の通風方向に並んだ2つのキャップの周壁部どうしが接触させられており、当該2つのキャップの閉鎖壁部における前記切り欠き内に存在する部分に、両キャップの閉鎖壁部に跨るような貫通穴が形成されている上記3)記載の熱交換器。
【0013】
6)エンド部材の両キャップ部が、両キャップ部における熱交換管の長さ方向の少なくとも片側において連結部により連結されており、エンド部材の間隔調整部が、連結部の中間部をヘッダ部の長さ方向外側に屈曲することにより設けられている上記1)〜5)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【0014】
7)エンド部材の各キャップに、ヘッダ部本体の第1および第2部材の外周面に係合する係合爪が設けられている上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【0015】
8)熱交換コア部の片側に設けられて通風方向に並んだ2つのヘッダ部のうち一方が冷媒入口ヘッダ部であるとともに他方が冷媒出口ヘッダ部であり、冷媒入口ヘッダ部の一端部にろう付されたキャップに冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端部にろう付されたキャップに冷媒出口が形成され、冷媒入口および冷媒出口が形成された2つのキャップを有するエンド部材に、冷媒入口に通じる冷媒流入部および冷媒出口に通じる冷媒流出部を有するジョイントプレートがろう付されており、冷媒入口および冷媒出口が形成された2つのキャップを有するエンド部材に、ジョイントプレートに係合する係合部が設けられている上記1)〜7)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【0016】
9)係合部が、エンド部材の間隔調整部に設けられている上記8)記載の熱交換器。
【0017】
10)エンド部材が、通風方向に並んだ2つのヘッダ本体部の開口間の間隔よりも広い間隔をおいて配置された2つのキャップと、両キャップを一体に連結する連結部とよりなるエンド部材半製品を用いてつくられており、エンド部材半製品における連結部がエンド部材半製品の厚さ方向に屈曲させられて間隔調整部が設けられるとともに、エンド部材半製品が通風方向に短縮させられることによってエンド部材が形成されている上記1)〜9)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【発明の効果】
【0018】
上記1)〜10)の熱交換器によれば、通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体の両端開口を閉鎖する2つのキャップが設けられたエンド部材が、両キャップおよび両キャップを一体に連結する連結部を備え、エンド部材の各キャップが、ヘッダ部本体の端部に外側から嵌め被せられてヘッダ部本体の第1および第2部材にろう付されているので、熱交換器の製造時に全部品を組み付けるにあたって、通風方向に並んだヘッダ部のヘッダ部本体を形成する第1部材および第2部材と、エンド部材とを組み合わせる際にも、前記第1部材と第2部材との間に隙間が生じることを防止することができる。また、エンド部材の連結部に、両キャップ間の間隔を調整する間隔調整部が設けられているので、エンド部材を、通風方向に並んだ2つのヘッダ本体部の開口間の間隔よりも広い間隔をおいて配置された2つのキャップと、両キャップを一体に連結する連結部とよりなるエンド部材半製品を用いてつくることができる。すなわち、連結部をエンド部材半製品の厚さ方向に屈曲させて間隔調整部を設けるとともに、エンド部材半製品を通風方向に短縮させることによってエンド部材を形成することができる。したがって、通風方向に並んだ2つのヘッダ部におけるヘッダ本体部の開口間の間隔が小さい場合であっても、エンド部材に、2つのヘッダ部本体を構成する第1および第2部材の端部に外側から嵌め被せられる2つのキャップを設けることができる。通常、エンド部材は金属板にプレス加工を施すことにより形成されるが、通風方向に並んだ2つのヘッダ部におけるヘッダ本体部の開口間の間隔が小さい場合、プレス加工によっては2つのキャップを設けることができない。
【0019】
上記3)の熱交換器によれば、上記2)の熱交換器のように、エンド部材の各キャップが、ヘッダ部本体の第1および第2部材の外周面に沿う周壁部と、周壁部に一体に形成されかつヘッダ部本体の端部開口を塞ぐ閉鎖壁部とよりなる場合であっても、第1および第2部材を連結する連結壁と、キャップの周壁部とが干渉することはない。
【0020】
上記4)および5)の熱交換器によれば、上記3)の熱交換器のように、熱交換コア部の片側に設けられて通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体を形成する第1部材どうしおよび第2部材どうしがそれぞれ連結壁により連結されており、エンド部材に一体に設けられかつ両ヘッダ部本体の両端開口を閉鎖する2つのキャップの周壁部に、前記連結壁が通される切り欠きが形成されている場合であっても、通風方向に並んだ2つのヘッダ部間の短絡を防止することができる。
【0021】
上記6)の熱交換器によれば、エンド部材の連結部に比較的簡単に間隔調整部を設けることができる。
【0022】
上記7)の熱交換器によれば、熱交換器の製造時における全部品の組み付けの際に、エンド部材の各キャップ部材の係合爪によって、ヘッダ部本体の第1および第2部材を仮止めすることができる。
【0023】
上記8)および9)の熱交換器によれば、通風方向に並んだ2つのヘッダ部のうち一方が冷媒入口ヘッダ部であるとともに他方が冷媒出口ヘッダ部であり、冷媒入口ヘッダ部の一端部にろう付されたキャップに冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端部にろう付されたキャップに冷媒出口が形成され、冷媒入口および冷媒出口が形成された2つのキャップを有するエンド部材に、冷媒入口に通じる冷媒流入部および冷媒出口に通じる冷媒流出部を有するジョイントプレートがろう付されている場合には、製造時における全部品の組み付けの際に、エンド部材の係合部によって、ジョイントプレートをエンド部材に仮止めすることができる。
【0024】
上記10)の熱交換器によれば、通風方向に並んだ2つのヘッダ部におけるヘッダ本体部の開口間の間隔が小さい場合であっても、エンド部材に、2つのヘッダ部本体の端部に外側から嵌め被せられる2つのキャップを簡単に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の熱交換器を適用したエバポレータの全体構成を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】図1のエバポレータの後方から見た一部を省略した垂直断面図である。
【図3】一部を省略した図2のA−A線拡大断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】図2のC−C線拡大断面図である。
【図6】図1のエバポレータの第1ヘッダタンクの分解斜視図である。
【図7】図1のエバポレータの第1ヘッダタンクの右側部分を示す分解斜視図である。
【図8】図1のエバポレータの第2ヘッダタンクの分解斜視図である。
【図9】エンド部材を形成するエンドプレート半製品を示す斜視図である。
【図10】エンド部材を形成するエンドプレート半製品を示す正面図である。
【図11】エンド部材とジョイントプレートとを組み合わせる方法を示す斜視図である。
【図12】エンド部材の変形例を示す斜視図である。
【図13】図12のエンド部材を形成するエンドプレート半製品を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明による熱交換器を、カーエアコンのエバポレータに適用したものである。
【0027】
以下の説明において、隣接する熱交換管どうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1、図3および図4に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後といい、図2の上下、左右を上下、左右というものとする。
【0028】
また、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0029】
図1〜図3はエバポレータの全体構成を示し、図4〜図11はエバポレータの要部の構成を示す。
【0030】
図1〜図4において、エバポレータ(1)は、上下方向に間隔をおいて配置されかつ左右方向にのびるアルミニウム製第1ヘッダタンク(2)およびアルミニウム製第2ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
【0031】
第1ヘッダタンク(2)は、前側(通風方向下流側)に位置しかつ左右方向にのびる冷媒入口ヘッダ部(5)と、後側(通風方向上流側)に位置しかつ左右方向にのびる冷媒出口ヘッダ部(6)と、両ヘッダ部(5)(6)を相互に連結一体化する連結部(7)とを備えている。第1ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)は右端部に冷媒入口(8)を有するとともに左端部が閉鎖され、同じく冷媒出口ヘッダ部(6)は右端部に冷媒出口(9)を有するとともに左端部が閉鎖されており、第1ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)にアルミニウム製冷媒入口管(11)が冷媒入口(8)に通じるように接続され、同じく冷媒出口ヘッダ部(6)にアルミニウム製冷媒出口管(12)が冷媒出口(9)に通じるように接続されている。第2ヘッダタンク(3)は、前側に位置しかつ左右方向にのびる第1中間ヘッダ部(13)と、後側に位置しかつ左右方向にのびる第2中間ヘッダ部(14)と、両ヘッダ部(13)(14)を相互に連結一体化する連結部(15)とを備えている。
【0032】
熱交換コア部(4)は、長手方向を上下方向に向けるとともに左右方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の熱交換管(16)からなる熱交換管群(17)が、前後方向に並んで複数列、ここでは2列配置され、各熱交換管群(17)の隣接する熱交換管(16)どうしの間の通風間隙、および各熱交換管群(17)の左右両端の熱交換管(16)の外側にそれぞれコルゲートフィン(18)が配置されて熱交換管(16)にろう付され、さらに左右両端のコルゲートフィン(18)の外側にそれぞれアルミニウム製サイドプレート(19)が配置されてコルゲートフィン(18)にろう付されることにより構成されている。そして、前側熱交換管群(17)の熱交換管(16)の上下両端は冷媒入口ヘッダ部(5)および第1中間ヘッダ部(13)に接続され、後側熱交換管群(17)の熱交換管(16)の上下両端部は冷媒出口ヘッダ部(6)および第2中間ヘッダ部(14)に接続されている。
【0033】
熱交換管(16)はアルミニウム押出形材で形成されたベア材からなり、幅方向を前後方向に向けて配置されるとともに幅方向に並んだ複数の冷媒通路を有する扁平状である。コルゲートフィン(18)は、前後の熱交換管群(17)を構成する前後両熱交換管(16)に共有されており、その前後方向の幅は前側熱交換管(16)の前側縁と後側熱交換管(16)の後側縁との間隔をほぼ等しくなっている。なお、1つのコルゲートフィン(18)が前後両熱交換管群(17)に共有される代わりに、両熱交換管群(17)の隣り合う熱交換管(16)どうしの間にそれぞれコルゲートフィンが配置されていてもよい。
【0034】
第1ヘッダタンク(2)の冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)は、それぞれ両端が開口したヘッダ部本体(21)(22)と、両ヘッダ部本体(21)(22)の両端部に外側から嵌め被せられてろう付され、かつ両ヘッダ部本体(21)(22)の両端開口を閉鎖するキャップ(23)(24)とよりなる。
【0035】
各ヘッダ部本体(21)(22)は、熱交換コア部(4)側の部分(下側の部分)を形成しかつ前後の熱交換管群(17)の熱交換管(16)の上端部が接続された横断面略U字状の第1部材(25)(26)と、各ヘッダ部本体(21)(22)の残りの部分(上側の部分)を形成しかつ第1部材(25)(26)にろう付された横断面略逆U字状の第2部材(27)(28)と、第1部材(25)(26)と第2部材(27)(28)との間に配置されて両部材(25)(26)(27)(28)にろう付され、かつ各ヘッダ部本体(21)(22)内を上下に並んだ第1の空間(29)(31)および第2の空間(32)(33)に区画する第3部材(34)(35)とからなる。冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(21)(22)の第1部材(25)(26)に、それぞれ前後方向に長い複数の管挿通穴(36)が、左右方向に間隔をおきかつ左右方向に関して同一位置に来るように形成されており、熱交換管(16)の上端部が管挿通穴(36)に挿入されて第1部材(25)(26)にろう付されている。
【0036】
冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(21)(22)を形成する第1部材(25)(26)どうし、第2部材(27)(28)どうしおよび第3部材(34)(35)どうしは、それぞれ連結部(7)を構成する連結壁(37)(38)(39)により一体に連結されている。ここで、両ヘッダ部本体(21)(22)の第1部材(25)(26)および連結壁(37)が一体化された部材を第1タンク構成部材(41)といい、第2部材(27)(28)および連結壁(38)が一体化された部材を第2タンク構成部材(42)といい、第3部材(34)(35)および連結壁(39)が一体化された部材を第3タンク構成部材というものとする。第1および第2タンク構成部材(41)(42)は、それぞれ両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより形成されている。なお、熱交換管(16)の上端部は第1タンク構成部材(41)のろう材層を利用して第1タンク構成部材(41)にろう付されている。第3タンク構成部材(43)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートまたはアルミニウムベア材にプレス加工を施すことにより形成されている。
【0037】
冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ部本体(21)を形成する第3部材(34)における左端部に配置された熱交換管(15)よりも左側の部分には、平面から見て前後方向に長くかつ冷媒入口ヘッダ部(5)内の2つの空間(29)(32)を通じさせる方形状の連通口(44)が形成されている。第3部材(34)における連通口(44)の左側縁部に、第2空間(32)側に突出し、かつ冷媒を右側に案内するガイド部(45)が一体に形成されている。また、第3部材(34)の前後方向の中央部でかつ左右方向の中央部および左右両側部分には、円形冷媒通過穴(46)が形成されている。
【0038】
冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(22)を形成する第3部材(35)の後側部分における左右両端寄りの部分を除いた部分には、冷媒出口ヘッダ部(6)の第1空間(31)と第2空間(33)とを通じさせる複数の長円形冷媒通過穴(47A)(47B)が、左右方向に間隔をおいて形成されている。
【0039】
図5〜図8に示すように、両ヘッダ部本体(21)(22)の両端部にろう付されたキャップ(23)(24)は、それぞれヘッダ部本体(21)(22)の第1および第2部材(27)(28)の外周面に沿う周壁部(23a)(24a)と、周壁部(23a)(24a)の左右方向外端に一体に形成されかつヘッダ部本体(21)(22)の端部開口を塞ぐ閉鎖壁部(23b)(24b)とよりなり、両ヘッダ部本体(21)(22)に跨って設けられた1つのエンド部材(48)に一体に設けられている。すなわち、エンド部材(48)は、前後方向に間隔をおいて配置された2つのキャップ(23)(24)と、幅方向を上下方向に向けて配置された帯板からなり、かつ両キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)の上下両側部分を一体に連結する上下両連結部(49)(51)とよりなる。両連結部(49)(51)には、それぞれ両キャップ(23)(24)間の間隔を調整する平面から見て略U字状の間隔調整部(52)(53)が、連結部(49)(51)の前後方向の中間部を左右方向外方(冷媒入口ヘッダ部および冷媒出口ヘッダ部の長さ方向外側)に屈曲することにより設けられている。また、エンド部材(48)の各キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)に、第1〜第3タンク構成部材(41)(42)(43)の連結壁(37)(38)(39)が通される切り欠き(54)(55)が形成されている。さらに、エンド部材(48)の各キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)に、ヘッダ部本体(21)(22)の第1および第2部材(25)(26)(27)(28)の外周面に係合する複数の係合爪(56)(57)が一体に設けられている。そして、エンド部材(48)の各キャップ(23)(24)は、ヘッダ部本体(21)(22)の両端部に、周壁部(23a)(24a)がヘッダ部本体(21)(22)の第1および第2部材(25)(26)(27)(28)の外周面に沿うとともに第1〜第3タンク構成部材(41)(42)(43)の連結壁(37)(38)(39)が切り欠き(54)(55)に通され、さらに係合爪(56)(57)がヘッダ部本体(21)(22)の第1および第2部材(25)(26)(27)(28)の外周面に係合するように、外側から嵌め被せられてヘッダ部本体(21)(22)の第1および第2部材(25)(26)(27)(28)にろう付されている。ここで、前後方向(通風方向)に並んだ2つのキャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)間に、冷媒入口ヘッダ部(5)と冷媒出口ヘッダ部との間での短絡を防止する隙間(58)が形成されている。
【0040】
右側のエンド部材(48)における前側キャップ(23)の閉鎖壁部(23b)に、冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ部本体(21)の第1空間(29)内に通じる冷媒入口(8)が形成され、同じく後側のキャップ(24)の閉鎖壁部(24b)に、冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(22)の第1空間(31)に通じる冷媒出口(9)が形成されている。また、右側のエンド部材(48)に、冷媒入口(8)に通じる冷媒流入部(61)および冷媒出口(9)に通じる冷媒流出部(62)を有するアルミニウムベア材製ジョイントプレート(59)がろう付されている。ジョイントプレート(59)における冷媒流入部(61)と冷媒流出部(62)との間の部分には、隙間(58)を外側から見ることができる縦長の貫通穴(68)が形成されている。右側のエンド部材(48)の上側の連結部(49)には、右方に突出してジョイントプレート(59)の上縁に形成された切り欠き(59a)内に通され、かつ下方に曲げられてジョイントプレート(59)の上縁部に係合する係合部(63)が設けられ、同じく下側の連結部(51)には、右方に突出してジョイントプレート(59)の下縁に形成された切り欠き(59b)内に通され、かつ上方に曲げられてジョイントプレート(59)の下縁部に係合する係合部(64)が設けられている。なお、係合部(63)(64)は、図6に示すように、ジョイントプレート(59)を右側エンド部材(48)に組み合わせる前には、右方に真っ直ぐに突出している。右方に真っ直ぐに突出した係合部を(63A)(64A)で示す。また、左側のエンド部材(48)における両キャップ(23)(24)の閉鎖壁部(23b)(24b)には穴は形成されていない。
【0041】
ジョイントプレート(59)の冷媒流入部(61)に、冷媒入口管(11)の一端部が差し込まれてろう付され、同じく冷媒流出部(62)に、冷媒出口管(12)の一端部が差し込まれてろう付されている。
【0042】
右側のエンド部材(48)は、図9および図10に示すようなエンド部材半製品(48A)を用いてつくられる。エンド部材半製品(48A)は、冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ本体部(21)と、冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ本体部(22)の両端開口間の間隔よりも広い間隔をおいて配置された2つのキャップ(23)(24)と、幅方向を上下方向に向けるとともに長さ方向を前後方向に向けた真っ直ぐな帯板状であり、かつ両キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)の上下両側部分を一体に連結する上下の連結部(49A)(51A)と、両キャップ(23)(24)に設けられた係合爪(56)(57)と、上連結部(49A)の上縁の長さ方向の中央部に上方突出状に一体に設けられた係合部用突出片(63B)と、下連結部(51A)の下縁の長さ方向の中央部に下方突出状に一体に設けられた係合部用突出片(64B)とよりなる部品を用意し(図9および図10鎖線参照)、この部品の係合部用突出片(63B)(64B)を左右方向外方に曲げて係合部(63A)(64A)を形成することによりつくられる。なお、前記部品は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからプレス成形されており、冷媒入口(8)、冷媒出口(9)および切り欠き(54)(55)を有している。そして、エンド部材半製品(48A)の上下両連結部(49)(51)がエンド部材半製品(48A)の厚さ方向に屈曲させられて間隔調整部(52)(53)が形成されるとともに、エンド部材半製品(48A)が通風方向に短縮させられることによってエンド部材(48)がつくられている。なお、エンド部材半製品(48A)を通風方向に短縮させる際に、両キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)どうしの間に、短絡防止用の隙間(58)を形成する。左側のエンド部材(48)は、キャップ(23)(24)の閉鎖壁部(23b)(24b)に冷媒入口および冷媒出口が形成されていないエンド部材半製品(48A)を用いて、右側のエンド部材(48)を同様にしてつくられる。
【0043】
第2ヘッダタンク(3)の第1中間ヘッダ部(9)および第2中間ヘッダ部(11)は、それぞれ両端が開口したヘッダ部本体(21)(22)と、両ヘッダ部本体(21)(22)の両端部に外側から嵌め被せられてろう付され、かつ両ヘッダ部本体(21)(22)の両端開口を閉鎖するキャップ(23)(24)とよりなり、第1ヘッダタンク(2)とほぼ同様な構成であるとともに、第1ヘッダタンク(2)とは上下逆向きに配置されたものであり、同一部分には同一符号を付す。
【0044】
なお、第2ヘッダタンク(3)の各ヘッダ部本体(21)(22)の第1部材(25)(26)は、ヘッダ部本体(21)(22)の熱交換コア部(4)側の部分(上側の部分)を形成するとともに前後の熱交換管群(17)の熱交換管(16)の下端部が接続され、同じく第2部材(27)(28)は、各ヘッダ部本体(21)(22)の残りの部分(下側の部分)を形成し、同じく第3部材(34)(35)は、各ヘッダ部本体(21)(22)内を下側の第1空間(29)(31)と上側の第2空間(32)(33)とに区画する。
【0045】
図2、図3および図8に示すように、第2ヘッダタンク(3)の第1ヘッダタンク(2)との相違点は、次の通りである。
【0046】
第1の相違点は、右側エンド部材(48)のキャップ(23)(24)に冷媒入口および冷媒出口が形成されていないとともに、ジョイントプレート(59)がろう付されておらず、さらにジョイントプレート(59)に係合する係合爪が設けられていないことにある。
【0047】
第2の相違点は、第1中間ヘッダ部(13)の第3部材(34)に、連通口(44)、ガイド部(45)および円形冷媒通過穴(46)は形成されておらず、第1中間ヘッダ部(13)の第1および第2空間(29)(32)を通じさせる前後方向に長い連通穴(65)が形成されていることにある。
【0048】
第3の相違点は、第2中間ヘッダ部(14)の第3部材(35)に長円形冷媒通過穴(47A)(47B)は形成されておらず、複数の円形冷媒通過穴(66)が左右方向に間隔をおいて貫通状に形成されていることにある。
【0049】
第4の相違点は、第1中間ヘッダ部(13)の第2部材(27)の後側壁、第2中間ヘッダ部(14)の第2部材(28)の前側壁および連結壁(38)に、両中間ヘッダ部(13)(14)の第1空間(29)(31)どうしを通じさせる複数の連通部(67)が、第1タンク構成部材(41)を変形させることによって左右方向に間隔をおいて設けられていることにある。
【0050】
上述したエバポレータ(1)は、入口管(11)および出口管(12)を除いたすべての部品を組み付けた後、適当な治具により仮止めし、炉内で全部品を一括してろう付することにより製造される。すべての部品を組み付けるにあたってのエンド部材(48)とジョイントプレート(59)と第1〜第3タンク構成部材(41)(42)(43)との組み合わせは、次のようにして行われる。すなわち、右方に真っ直ぐに突出した係合部(63A)(64A)を、ジョイントプレート(59)の切り欠き(59a)(59b)に通した後係合部(63A)(64A)を上下方向内方に曲げてジョイントプレート(59)に係合させることにより、エンド部材(48)およびジョイントプレート(59)を仮止めすることによって、エンド部材(48)とジョイントプレート(59)とが組み合わされる(図11参照)。そして、エンド部材(48)とジョイントプレート(59)との組み合わせ体におけるエンド部材(48)のキャップ(23)(24)を第1〜第3タンク構成部材(41)(42)(43)のヘッダ本体部(21)(22)の端部に外側から嵌め被せ、その後係合爪(56)(57)をかしめることにより、エンド部材(48)およびジョイントプレート(59)と、第1〜第3タンク構成部材(41)(42)(43)とを仮止めする。
【0051】
エバポレータ(1)は、圧縮機および冷媒冷却器としてのコンデンサとともに、フロン系冷媒を使用する冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
【0052】
上述したエバポレータ(1)においては、圧縮機のオン時には、圧縮機、コンデンサおよび膨張弁を通過した気液混相の2相冷媒は、冷媒入口管(11)からジョイントプレート(59)の冷媒流入部(61)を通り、右側エンド部材(48)の前側キャップ(23)の冷媒入口(8)を経て冷媒入口ヘッダ部(5)の第1空間(29)内に入る。第1空間(29)内に入った冷媒は、第1空間(29)内を冷媒入口ヘッダ部(5)の長さ方向に流れ、連通口(44)を通って第2空間(32)内に流入するとともに、円形冷媒通過穴(46)を通って第2空間(32)内に流入し、分流して前側熱交換管群(17)の熱交換管(16)内に流入する。
【0053】
熱交換管(16)内に流入した冷媒は、熱交換管(16)内を下方に流れて第2ヘッダタンク(3)の第1中間ヘッダ部(13)の第2空間(32)内に入る。第1中間ヘッダ部(13)の第2空間(32)内に入った冷媒は、第1中間ヘッダ部(13)の第3部材(34)の連通穴(65)を通って第1空間(29)内に入り、連通部(67)を通って第2中間ヘッダ部(14)の第1空間(31)内に入る。第2中間ヘッダ部(14)の第1空間(31)内に入った冷媒は、第3部材(35)の円形冷媒通過穴(66)を通って第2空間(33)内に入り、分流して後側熱交換管群(17)の熱交換管(16)の冷媒通路内に流入する。
【0054】
熱交換管(16)の冷媒通路内に流入した冷媒は、冷媒通路内を上方に流れて冷媒出口ヘッダ部(6)の第2空間(33)内に入り、第3部材(35)の長円形冷媒通過穴(47A)(47B)を通って第1空間(31)内に入る。
【0055】
冷媒出口ヘッダ部(6)の第1空間(31)内に入った冷媒は右方に流れ、右エンド部材(48)の後キャップ(24)の冷媒出口(9)およびジョイントプレート(59)の冷媒流出部(62)を通り、冷媒出口管(12)に流出する。
【0056】
そして、冷媒が前後両熱交換管群(17)の熱交換管(16)内を流れる間に、熱交換コア部(4)の通風間隙を通過する空気と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。
【0057】
図12および図13は冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(21)(22)の右端部にろう付される右側のエンド部材の変形例を示す。
【0058】
図12に示すエンド部材(70)の場合、通風方向に並んだ2つのキャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)どうしが接触させられており、両キャップ(23)(24)の閉鎖壁部(23b)(24b)における切り欠き(54)(55)内に存在する部分に、両キャップ(23)(24)の閉鎖壁部(23b)(24b)に跨りかつ冷媒入口ヘッダ部と冷媒出口ヘッダ部との間の短絡を防止する貫通穴(71)が形成されている。
【0059】
エンド部材(70)は、図13に示すようなエンド部材半製品(70A)を用いてつくられる。エンド部材半製品(70A)は、冷媒入口ヘッダ部(5)のヘッダ本体部(21)と、冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ本体部(22)の両端開口間の間隔よりも広い間隔をおいて配置された2つのキャップ(23)(24)と、幅方向を上下方向に向けるとともに長さ方向を前後方向に向けた真っ直ぐな帯板状であり、かつ両キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)の上下両側部分を一体に連結する上下の連結部(49A)(51A)と、両キャップ(23)(24)に設けられた係合爪(56)(57)と、上連結部(49A)の上縁の長さ方向の中央部に左右方向外方に突出するように一体に設けられた係合部用突出片(63A)と、下連結部(51A)の下縁の長さ方向の中央部に左右方向外方に突出するように一体に設けられた係合部用突出片(64A)とよりなる。両キャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)には連結壁(37)(38)(39)を通す切り欠き(54)(55)が形成され、閉鎖壁部(23b)(24b)における切り欠き(54)(55)内に存在する部分に、貫通穴(71)を形成するための貫通穴用切り欠き(72)(73)が形成されている。突出片(63A)(64A)は、エンド部材(48)をつくるエンド部材半製品(48A)の場合と同様に、アルミニウムブレージングシートからエンド部材半製品(70A)を成型する際には、上下方向外方に突出している。そして、エンド部材半製品(70A)の上下両連結部(49A)(51A)がエンド部材半製品(70A)の厚さ方向に屈曲させられて間隔調整部(52)(53)が形成されるとともに、エンド部材半製品(70A)が通風方向に短縮させられることによってエンド部材(70)がつくられている。
【0060】
なお、冷媒入口ヘッダ部(5)および冷媒出口ヘッダ部(6)のヘッダ部本体(21)(22)の左端部、ならびに第1中間ヘッダ部(13)および第2中間ヘッダ部(14)のヘッダ部本体(21)(22)の左右両端部にろう付されるエンド部材にも、図12に示すエンド部材(70)と同様に短絡防止用の貫通穴が形成されていてもよい。
【0061】
上記実施形態においては、通風方向に並んだ2つのヘッダ部の第1〜第3部材(25)(26)(27)(28)(34)(35)が、それぞれ連結壁(37)(38)(39)により一体に連結されているが、通風方向に並んだ2つのヘッダ部の第1〜第3部材(25)(26)(27)(28)(34)(35)(34)(35)は互いに独立していてもよい。この場合、エンド部材(48)(70)のキャップ(23)(24)の周壁部(23a)(24a)には、連結壁(37)(38)(39)を通す切り欠き(54)(55)を形成する必要はない。さらに、上記実施形態においては、通風方向に並んだ2つのヘッダ部が第3部材(34)(35)を備えているが、第3部材(34)(35)は必ずしも必要としない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明による熱交換器は、カーエアコンを構成する冷凍サイクルのエバポレータとして好適に用いられる。
【符号の説明】
【0063】
(1):エバポレータ(熱交換器)
(2):第1ヘッダタンク
(4):熱交換コア部
(5):冷媒入口ヘッダ部
(6):冷媒出口ヘッダ部
(8):冷媒入口
(9):冷媒出口
(13):第1中間ヘッダ部
(14):第2中間ヘッダ部
(16):熱交換管
(21)(22):ヘッダ部本体
(23)(24):キャップ
(23a)(24a):周壁部
(23b)(24b):閉鎖壁部
(25)(26):第1部材
(27)(28):第2部材
(34)(35):第3部材
(37)(38)(39):連結壁
(48)(70):エンド部材
(48A)(70A):エンド部材半製品
(49)(51):連結部
(49A)(51A):連結部
(52)(53):間隔調整部
(54)(55):切り欠き
(56)(57):係合爪
(58):隙間
(59):ジョイントプレート
(61):冷媒流入部
(62):冷媒流出部
(63)(64):係合部
(71):貫通穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を同一方向に向けて配置された複数の熱交換管を有する熱交換コア部と、熱交換コア部における熱交換管の長手方向両側のうち少なくともいずれか片側において通風方向に並んで設けられた2つのヘッダ部とを備え、通風方向に並んだ2つのヘッダ部が、それぞれ両端が開口したヘッダ部本体およびヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップからなり、各ヘッダ部本体が、熱交換コア部側の部分を形成しかつ熱交換管が接続された第1部材と、ヘッダ部本体の残りの部分を形成しかつ第1部材にろう付された第2部材とを有し、通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体の両端開口を閉鎖する2つのキャップが、両ヘッダ部本体に跨ってろう付された1つのエンド部材に一体に設けられている熱交換器であって、
エンド部材が、両キャップおよび両キャップを一体に連結する連結部を備え、エンド部材の各キャップが、ヘッダ部本体の端部に外側から嵌め被せられてヘッダ部本体の第1および第2部材にろう付され、エンド部材の連結部に、両キャップ間の間隔を調整する間隔調整部が設けられている熱交換器。
【請求項2】
エンド部材の各キャップが、ヘッダ部本体の第1および第2部材の外周面に沿う周壁部と、周壁部に一体に形成されかつヘッダ部本体の端部開口を塞ぐ閉鎖壁部とよりなる請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
熱交換コア部の片側に設けられて通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体を形成する第1部材どうしおよび第2部材どうしがそれぞれ連結壁により連結されており、エンド部材の両キャップの周壁部に、前記連結壁が通される切り欠きが形成されている請求項2記載の熱交換器。
【請求項4】
通風方向に並んだ2つのキャップの周壁部間に隙間が形成されている請求項3記載の熱交換器。
【請求項5】
通風方向に並んだ2つのヘッダ部の通風方向に並んだ2つのキャップの周壁部どうしが接触させられており、当該2つのキャップの閉鎖壁部における前記切り欠き内に存在する部分に、両キャップの閉鎖壁部に跨るような貫通穴が形成されている請求項3記載の熱交換器。
【請求項6】
エンド部材の両キャップ部が、両キャップ部における熱交換管の長さ方向の少なくとも片側において連結部により連結されており、エンド部材の間隔調整部が、連結部の中間部をヘッダ部の長さ方向外側に屈曲することにより設けられている請求項1〜5のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【請求項7】
エンド部材の各キャップに、ヘッダ部本体の第1および第2部材の外周面に係合する係合爪が設けられている請求項1〜6のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【請求項8】
熱交換コア部の片側に設けられて通風方向に並んだ2つのヘッダ部のうち一方が冷媒入口ヘッダ部であるとともに他方が冷媒出口ヘッダ部であり、冷媒入口ヘッダ部の一端部にろう付されたキャップに冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端部にろう付されたキャップに冷媒出口が形成され、冷媒入口および冷媒出口が形成された2つのキャップを有するエンド部材に、冷媒入口に通じる冷媒流入部および冷媒出口に通じる冷媒流出部を有するジョイントプレートがろう付されており、冷媒入口および冷媒出口が形成された2つのキャップを有するエンド部材に、ジョイントプレートに係合する係合部が設けられている請求項1〜7のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【請求項9】
係合部が、エンド部材の間隔調整部に設けられている請求項8記載の熱交換器。
【請求項10】
エンド部材が、通風方向に並んだ2つのヘッダ本体部の開口間の間隔よりも広い間隔をおいて配置された2つのキャップと、両キャップを一体に連結する連結部とよりなるエンド部材半製品を用いてつくられており、エンド部材半製品における連結部がエンド部材半製品の厚さ方向に屈曲させられて間隔調整部が設けられるとともに、エンド部材半製品が通風方向に短縮させられることによってエンド部材が形成されている請求項1〜9のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【請求項1】
長手方向を同一方向に向けて配置された複数の熱交換管を有する熱交換コア部と、熱交換コア部における熱交換管の長手方向両側のうち少なくともいずれか片側において通風方向に並んで設けられた2つのヘッダ部とを備え、通風方向に並んだ2つのヘッダ部が、それぞれ両端が開口したヘッダ部本体およびヘッダ部本体の両端開口を閉鎖するキャップからなり、各ヘッダ部本体が、熱交換コア部側の部分を形成しかつ熱交換管が接続された第1部材と、ヘッダ部本体の残りの部分を形成しかつ第1部材にろう付された第2部材とを有し、通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体の両端開口を閉鎖する2つのキャップが、両ヘッダ部本体に跨ってろう付された1つのエンド部材に一体に設けられている熱交換器であって、
エンド部材が、両キャップおよび両キャップを一体に連結する連結部を備え、エンド部材の各キャップが、ヘッダ部本体の端部に外側から嵌め被せられてヘッダ部本体の第1および第2部材にろう付され、エンド部材の連結部に、両キャップ間の間隔を調整する間隔調整部が設けられている熱交換器。
【請求項2】
エンド部材の各キャップが、ヘッダ部本体の第1および第2部材の外周面に沿う周壁部と、周壁部に一体に形成されかつヘッダ部本体の端部開口を塞ぐ閉鎖壁部とよりなる請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】
熱交換コア部の片側に設けられて通風方向に並んだ2つのヘッダ部のヘッダ部本体を形成する第1部材どうしおよび第2部材どうしがそれぞれ連結壁により連結されており、エンド部材の両キャップの周壁部に、前記連結壁が通される切り欠きが形成されている請求項2記載の熱交換器。
【請求項4】
通風方向に並んだ2つのキャップの周壁部間に隙間が形成されている請求項3記載の熱交換器。
【請求項5】
通風方向に並んだ2つのヘッダ部の通風方向に並んだ2つのキャップの周壁部どうしが接触させられており、当該2つのキャップの閉鎖壁部における前記切り欠き内に存在する部分に、両キャップの閉鎖壁部に跨るような貫通穴が形成されている請求項3記載の熱交換器。
【請求項6】
エンド部材の両キャップ部が、両キャップ部における熱交換管の長さ方向の少なくとも片側において連結部により連結されており、エンド部材の間隔調整部が、連結部の中間部をヘッダ部の長さ方向外側に屈曲することにより設けられている請求項1〜5のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【請求項7】
エンド部材の各キャップに、ヘッダ部本体の第1および第2部材の外周面に係合する係合爪が設けられている請求項1〜6のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【請求項8】
熱交換コア部の片側に設けられて通風方向に並んだ2つのヘッダ部のうち一方が冷媒入口ヘッダ部であるとともに他方が冷媒出口ヘッダ部であり、冷媒入口ヘッダ部の一端部にろう付されたキャップに冷媒入口が形成されるとともに、冷媒出口ヘッダ部における冷媒入口と同一端部にろう付されたキャップに冷媒出口が形成され、冷媒入口および冷媒出口が形成された2つのキャップを有するエンド部材に、冷媒入口に通じる冷媒流入部および冷媒出口に通じる冷媒流出部を有するジョイントプレートがろう付されており、冷媒入口および冷媒出口が形成された2つのキャップを有するエンド部材に、ジョイントプレートに係合する係合部が設けられている請求項1〜7のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【請求項9】
係合部が、エンド部材の間隔調整部に設けられている請求項8記載の熱交換器。
【請求項10】
エンド部材が、通風方向に並んだ2つのヘッダ本体部の開口間の間隔よりも広い間隔をおいて配置された2つのキャップと、両キャップを一体に連結する連結部とよりなるエンド部材半製品を用いてつくられており、エンド部材半製品における連結部がエンド部材半製品の厚さ方向に屈曲させられて間隔調整部が設けられるとともに、エンド部材半製品が通風方向に短縮させられることによってエンド部材が形成されている請求項1〜9のうちのいずれかに記載の熱交換器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−251746(P2012−251746A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125952(P2011−125952)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
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