説明

熱交換装置

【課題】 熱交換器に装着される防塵ネットを地上から容易に着脱できるようにする。
【解決手段】 防塵ネット20は上部防塵ネット21と下部防塵ネット22とに分割され、オイルクーラ13は、上部旋回体2のフレームから立設した左右一対のポスト17,17に支持されており、ポスト17の上方位置に左右一対のフック23が設けられ、上部防塵ネット21のフレーム21aの上端位置に、両フック23が掛着される掛け金具24が左右一対装着され、また上部防塵ネット21の下端部には左右一対のフック25,25が設けられ、下部防塵ネット22のフレーム22aの上端部に掛け金具26が設けられ、さらに下部防塵ネット22の下部位置の左右両側部は蝶ねじ29によりポスト17に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に設けられる熱交換装置に関するものであり、特に熱交換器に装着される防塵ネットの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンにより駆動される油圧ポンプを備え、この油圧ポンプからの吐出油を油圧モータや油圧シリンダからなる油圧アクチュエータを作動させて、車両の走行、上部旋回体の旋回及び掘削作業等を行なう作業手段を駆動させる構成とした建設機械として、例えば油圧ショベルがある。このように、油圧ショベルはエンジン及び油圧系を有するものであるから、エンジン冷却水及び作動油の温度管理を行なわなければならない。このために、ラジエータ及びオイルクーラといった熱交換器が設けられる。熱交換器は、被冷却流体の流入用タンク,流出用タンク及び多数の細管とフィンとからなる熱交換器本体から構成される。
【0003】
ラジエータの場合には、エンジン冷却水が被冷却流体として、流入用タンクに流入して、熱交換器本体を通過する際に、この熱交換器に供給される冷却風と熱交換して冷却した後に、流出用タンクを介してエンジンに還流させる。これによって、運転中にエンジンがオーバーヒートしないように保持される。また、オイルクーラの場合には、作動油を被冷却流体とするものであって、油圧アクチュエータからの戻り油がこのオイルクーラを通過することによって、油圧回路を流れる作動油が適正な温度状態に保たれて、その粘度が異常に低下するのを防止している。通常、これらラジエータ及びオイルクーラは、上部旋回体の建屋を構成するエンジンルーム内に設置され、エンジンを駆動源とする冷却ファンの流路に臨むように配置される。そして、冷却ファンの小型化等の観点から、ラジエータとオイルクーラとは直列に設けられるようになっており、オイルクーラは冷却ファンによる冷却風の流れの上流側に、ラジエータは下流側に配置するのが一般的である。
【0004】
油圧ショベルは、一般的に、野外で稼動するものであり、冷却ファンの冷却風はエンジンルームの壁面に設けた外気取り入れ部から取り込まれる。外気を吸い込む際に、塵埃や樹脂シートや紙等の物体,虫等の異物がエンジンルーム内に吸い込まれる外気に搬送されることから、前述した熱交換器に流入することになる。熱交換器本体は、周知のように、比較的短いピッチ間隔で多数の細管が設けられ、かつこれら細管にはフィンが取り付けられており、熱交換効率を高めるために、フィンの表面積をできるだけ大きくしていることから、熱交換器本体における空気の流通部は多数の微小な空間に分割されることになる。従って、前述した異物が外気と共に吸い込まれると、フィンや細管に付着して、空気の流通部を塞ぐ、所謂目詰まり状態となって、通風量が低下することになり、熱交換効率が悪くなる。
【0005】
以上の点を考慮して、直列に配列した複数の熱交換器のうち、冷却風の上流側に位置するものに防塵ネットを装着することによって、熱交換器本体に異物が付着するのを最小限に抑制するようにしている。ただし、この防塵ネットに多量の異物が付着すると、やはり冷却風の風量ロスが増大することになり、また異物が防塵ネットを通過して、熱交換器本体に付着することもあるので、ある程度の期間が経過すると、防塵ネットが異物の付着により目詰まりが発生し、また長い期間の間には熱交換器もある程度の目詰まりが発生することになる。そこで、熱交換器に装着される防塵ネットを着脱可能となし、熱交換効率が低下すると、この防塵ネットの清掃を行なうことができ、また防塵ネットを取り外して熱交換器も清掃できるように構成したものは、例えば特許文献1に示されている。
【特許文献1】特開平7−189695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した特許文献1に示されている構成は、熱交換器の前部位置の左右にスライドガイドを設置して、防塵ネットをこのスライドガイドに挿通させて、上下の各2箇所でねじ止めしている。従って、防塵ネットを取り外す際には、まずねじを取り外した後に、作業者はエンジンルームの上部に登って、スライドガイドに沿って上方に引き上げるようにして取り出す必要がある。そして、防塵ネットを取り外した後、その清掃を行なう作業は、通常、地上において行なわれることから、一度引き上げた防塵ネットを車両から降ろさなければならず、また清掃後の防塵ネットを再装着するために、作業者が再度エンジンルームに登って、防塵ネットを引き上げなければならず、このために防塵ネットの着脱作業が面倒なものとなる等という問題点がある。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、熱交換器に装着される防塵ネットを地上から容易に着脱できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明は、建設機械の建屋内に設置され、冷却ファンからの冷却風で冷却される1またはユニット化された複数の熱交換器と、前記熱交換器の冷却ファンによる冷却風の最上流側の面に装着した防塵ネットとを備えた熱交換装置であって、前記防塵ネットは上下に2分割したものからなり、上部防塵ネットは、その上端部が前記熱交換器の上部位置に設けたフック部に掛着される掛け金具を設けると共に、その下部側にフック部を装着し、また、下部防塵ネットは、前記上部防塵ネットの下部位置に設けたフック部に掛着される掛け金具を設けると共に、この下部防塵ネットの下部位置を前記熱交換器の下部位置にねじ止めする構成としたことをその特徴とするものである。
【0009】
ここで、冷却ファンに単一の熱交換器を対向配設する場合と、複数の熱交換器が設けられる場合とがある。そして、熱交換器の種類としては、ラジエータとオイルクーラとが設けられるが、さらにインタークーラや空調機用のコンデンサも設けられる場合がある。ラジエータとオイルクーラとは、実質的に同じサイズのものから構成され、オイルクーラが上流側に、ラジエータが下流側に配置するのが一般的である。そして、これらを直列に配置したときに、オイルクーラとラジエータとの間の隙間から空気が流れることになるので、その間の間隔を狭くするか、または隙間を遮蔽板で覆うようにする。ユニット化された複数の熱交換器とは、このように構成したものを言うのであり、オイルクーラより上流側にインタークーラを配置する構成となっている場合には、このインタークーラはオイルクーラ等より小さい寸法となし、このインタークーラはオイルクーラ等とユニット化されないのが一般的である。また、コンデンサも同様である。従って、これらはオイルクーラとラジエータとは異なる部材となるので、ユニット化された熱交換器の最上流側に装着される防塵ネットは、オイルクーラに装着されることになる。なお、インタークーラ等も、ラジエータ,オイルクーラと同じサイズで実質的にユニット化されている場合には、インタークーラの上流側の面に防塵ネットを装着する。
【0010】
熱交換器を、その左右に設けたポストに支持させている場合には、これら両ポストに上部防塵ネットのフック部を掛着される掛け金具を設けると共に、下部防塵ネットの下部位置を止着するねじが螺挿されるねじ孔を設けるようにすることができる。また、ねじを格別の工具を用いることなく脱着できるようにするために、蝶ねじを使用するのがより望ましい。
【0011】
上部防塵ネット及び下部防塵ネットは、共に枠状フレームにネットを装着したものから構成するが、フック部、掛け金具及びねじ孔は、当然、枠状フレームに設けられる。上部防塵ネットと下部防塵ネットとは、ほぼ同じサイズとするか、または上下の防塵ネットのサイズを異ならせても良い。これら2つの防塵ネットのサイズは、その前面部に何らかの部材が配置されている場合、それと干渉することなく着脱できるように、それぞれのサイズを決定する。着脱の容易性という観点からは、上部防塵ネットより下部防塵ネットの方を大きくする方が有利である。また、装着位置が高所である場合には、上部防塵ネットの方を大きくすることによって、地上からの着脱作業を容易にすることもできる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、防塵ネットを上下2分割して、フック部を掛け金具に掛着する構成とすることによって、防塵ネットの着脱を建設機械のエンジンルームの上部に登らずに、地上から容易に行なうことができる等の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1に本発明の熱交換装置を搭載した建設機械の一例として、油圧ショベルの全体構成を示す。同図において、1は下部走行体、2は上部旋回体である。上部旋回体2は、旋回装置3を介して下部走行体1上に旋回可能に装着されている。そして、上部旋回体2にはブーム4a,アーム4b及びバケット4cからなる掘削作業手段4が装着されており、またこの掘削作業手段4と並ぶ位置にオペレータが機械を操作するための運転室5が設置されている。さらに、運転室5の後部位置には、機械室としての建屋を構成するエンジンルーム6が設けられており、最後部位置にはカウンタウエイト7が設けられている。
【0014】
図2及び図3にエンジンルーム6の内部構造の一例を示す。図中において、10はエンジン、11は油圧ポンプであり、エンジン10を動力源として油圧ポンプ11が駆動されて、この油圧ポンプ11からの吐出油によって、下部走行体1に設けた走行用油圧モータ、旋回装置3に設けた旋回用油圧モータが駆動され、また掘削作業手段4を構成するブーム4a,アーム4b及びバケット4cに設けた油圧シリンダが駆動される。
【0015】
また、12,13は、それぞれ熱交換器としてのラジエータ、オイルクーラであり、また14は冷却ファンである。冷却ファン14はエンジン10により駆動されるものであり、この冷却ファン14の回転によって、図中に矢印で示したように、エンジンルーム6の壁面に設けた外気取り入れ口15から外気が取り入れられて、オイルクーラ13及びラジエータ12に冷却風を順次供給した後、排出口16からエンジンルーム6の外部に放出される空気の流れが形成されることになる。
【0016】
図2の構成では、オイルクーラ13が冷却風の上流側に配置されており、外気取り入れ口15から取り込まれる外気には、塵埃やシート状の飛来物や虫等といった異物が搬送されて、エンジンルーム6に入り込むことになる。そして、これらの異物は冷却ファン14の作用でオイルクーラ13に吸引されることになる。このような異物によりオイルクーラ13に目詰まりが発生するのを防止するために、オイルクーラ13の吸い込み側に防塵ネット20が装着される。
【0017】
そこで、図4にオイルクーラ13に装着される防塵ネット20の構成を示す。まず、オイルクーラ13は、上部旋回体2のフレームから立設した左右一対のポスト17,17に支持されている。防塵ネット20は、上部防塵ネット21と、下部防塵ネット22との2部材に分割されている。これら上部及び下部の防塵ネット21,22は、それぞれ金属薄板等を枠状に形成したフレーム21a,22aと、このフレーム21a,22aの内部に装着したネット21b,22bとから構成されている。ここで、これら防塵ネット21,22は概略同じ寸法を有するものであり、オイルクーラ13における冷却風の上流側面13aの前部位置に装着されるようになっている。
【0018】
上部防塵ネット21はポスト17に装着されるようになっている。このために、ポスト17の上方位置にはL字状またはU字状の金属ロッドからなる左右一対のフック23が設けられており、また上部防塵ネット21のフレーム21aの上端位置に、両フック23が掛着されるループ状に形成した金属ロッドからなる掛け金具24が左右一対装着されている。従って、この上部防塵ネット21は、作業者によって地上から持ち上げるようにして、その掛け金具24をポスト17に設けたフック23に掛着することにより装着されることになる。
【0019】
上部防塵ネット21の下端部には左右一対のフック25,25が設けられている。そして、下部防塵ネット22には、そのフレーム22aの上端部における左右両側の位置に掛け金26が設けられ、この掛け金26はフック25に掛着される。これらフック25,掛け金具26はフック23,掛け金具24と同様の部材である。従って、上部防塵ネット21に下部防塵ネット22を連結するようにして装着されると、上部防塵ネット21のフレーム21aにおける下部側の部位と、下部防塵ネット22のフレーム22aにおける上部側の部位とがほぼ完全にオーバーラップするようになっている。これにより、上部防塵ネット21と下部防塵ネット22とからなる防塵ネット20は、オイルクーラ13の熱交換器本体となる部位において、その上流側面13aのほぼ全面を覆うことになる。
【0020】
さらに、下部防塵ネット22のフレーム22aにおける下側の部位の左右両側にはねじ挿通孔27,27が穿設されており、また両ポスト17における下部防塵ネット22のねじ挿通孔27に対応する位置には、それぞれねじ孔28が設けられている。従って、フレーム22aの表面側からねじ挿通孔27に蝶ねじ29を挿通させて、ポスト17に設けたねじ孔28に螺挿することによって、上部防塵ネット21と連結した下部防塵ネット22の下端部が固定されることになり、もって防塵ネット20はオイルクーラ13の上流側面13aに固定される。
【0021】
以上のように構成することによって、防塵ネット20に異物の付着による目詰まりが発生したときには、この防塵ネット20を容易に取り外して、その清掃を行なうことができるようになる。即ち、防塵ネット20を清掃する作業者は、地上において、エンジンルーム6の側部カバー(図示せず)を開いて、下部防塵ネット22をポスト17に止着している蝶ねじ29を脱着させる。この作業は、格別工具等を用いることなく容易に行なうことができる。蝶ねじ29を脱着した後、下部防塵ネット22を所定量持ち上げて、手前側に動かすことによって、その掛け金具26が上部防塵ネット21のフック25から離脱することになる。従って、この下部防塵ネット22がオイルクーラ13から分離して取り出すことができる。また、上部防塵ネット21を取り外すには、この上部防塵ネット21を持ち上げて、手前側に動かすようにすることによって、この上部防塵ネット21も容易に取り外すことができる。
【0022】
ここで、一般的な油圧ショベルの場合、地上から上部旋回体2のフレームまでの高さ寸法は、1.2m以下であるから、作業者が地上にいても、下部防塵ネット22は勿論のこと、上部旋回体2のフレームから上部防塵ネット21の下端部までの高さはほぼ50cm程度とすることによって、通常の作業者は上部防塵ネット21の掛け金具24をポスト17に設けたフック23から離脱させる程度まで持ち上げるのに何等支障を来たすおそれはない。
【0023】
このようにして取り出した上部及び下部の防塵ネット21,22を、例えば高圧エアを噴射させる清掃用具やブラシ等を用いて清掃することができる。また、必要に応じて、オイルクーラ13にも高圧エアを吹付けることによって、清掃することも可能である。そして、この清掃が終了すれば、上部防塵ネット21の掛け金具24をフック23に掛着し、次いで下部防塵ネット22の掛け金具26をフック25に掛着した後、蝶ねじ29を締め込むことにより防塵ネット20は安定した状態でオイルクーラ13に固定される。
【0024】
而して、上部防塵ネット21及び下部防塵ネット22はフックと掛け金具とにより連結する構成としているが、上部防塵ネット21の上部位置には掛け金具24が装着されている。また、下部位置にはフック25が設けられているが、このフック25はオイルクーラ13と対面する側とは反対面に設けられている。従って、上部防塵ネット21はオイルクーラ13に向いた面には何等の突起物が存在しておらず、また下部防塵ネット22にも、同様、オイルクーラ13への対向面には何等の突起物も存在していない。このために、上部及び下部の防塵ネット21,22を着脱する際に、オイルクーラ13を構成するフィンやチューブ等と引っ掛かることはないので、オイルクーラ13を損傷させたりすることなく、安全に着脱できることになる。
【0025】
前述した実施の形態では、エンジンルーム6内に設置される熱交換器として、ラジエータ12とオイルクーラ13としたが、図5及び図6に示したように、これらの熱交換器に加えて、インタークーラ30を冷却ファン14による冷却風の流れにおいて、オイルクーラ13より上流側に装着する構成としたものがある。さらに、インタークーラ30よりさらに上流側の位置に空調機用のコンデンサ31が装着され、またこその前方スペースにバッテリ32を配置する構成としたものもある。ここで、インタークーラ30は上方位置に配置され、またコンデンサ31は下方位置に配設されて、両者は冷却風の流れ方向から見たときに、オーバーラップしないようになっている。
【0026】
このように、オイルクーラ13の前方位置にインタークーラ30,コンデンサ31及びバッテリ32が配置されて、このオイルクーラ13のほぼ全面がこれらにより覆われている。従って、このように構成されている場合には、たとえ2枚に分割した防塵ネット20をこのオイルクーラ13に装着する際に、これらの各部材が干渉して、手前側に取り出し、また手前側から装着することができない。また、コンデンサ31の下方位置にはバッテリ32も配置されていることから、このバッテリ32も防塵ネット20の着脱時に邪魔になる。
【0027】
そこで、図7及び図8に示したように、左右のポスト17にそれぞれ支持板33を連結して設け、この支持板33にコンデンサ31を上下動可能に装着するように構成する。即ち、コンデンサ31の左右両側部に張り出すように作動板体34を連結し、この作動板体34に係合突起35を設けるように構成する。一方、支持板33には、作動板体34の係合突起35の通路を構成する長孔36が上下方向に向けて所定の長さを有するように形成されており、この長孔36の上部位置と下部位置とにはそれぞれストッパ部37a,37bを設けられている。これらストッパ部37a,37bは、長孔36の上下の両端部に連なる通路として構成される。上部側のストッパ部37aは長孔36の上端部を湾曲形状に折り返すようにした通路の端部であり、また下部側のストッパ部37bは長孔36の下端部を側方にずらすように曲げた通路の端部を構成するものである。そして、長孔36からストッパ部37aへの横シフトの間隔はストッパ部37bへの横シフトの間隔と同じであり、かつ左右両側の通路の形状及び寸法は完全に同一となっている。
【0028】
以上のように構成することによって、コンデンサ31は、その作動板体34に設けた係合突起35が支持板33の長孔36に沿って昇降可能となっている。係合突起35を下降させて、長孔36から下部側のストッパ部37bに係合すると、コンデンサ31は正規の位置に配置され、この位置がコンデンサ31としての作動位置である。また、コンデンサ31を持ち上げて、係合突起35が長孔36の上端からストッパ部37aに係合すると、このコンデンサ31はインタークーラ30の前部に重なり合う位置となって、下方部分が開放される開放位置となる。
【0029】
従って、防塵ネット20を取り外す際には、まずコンデンサ31を作動位置から開放位置にまで持ち上げて、コンデンサ31の係合突起35をストッパ部37bに係合させることによって、このコンデンサ31を固定的に保持させる。これによって、コンデンサ31はインタークーラ30とほぼ同じ高さ位置となり、熱交換器の配設位置における下部側が前方に向けて開放されるようになる。
【0030】
この状態で、蝶ねじ29を脱着させた状態で、下部防塵ネット22をバッテリ32の高さ位置より上方にまで持ち上げることによって、この下部防塵ネット22を上部防塵ネット21から分離する。そして、下部防塵ネット22を斜め下方に引き出すことにより、この下部防塵ネット22を外部に取り出すことができる。また、その後に、上部防塵ネット21を上方に持ち上げて、その掛け金具24をポスト17に設けたフック23から脱着させる。そして、上部防塵ネット21を斜め手前側に引き出すことによって、この上部防塵ネット21も取り外すことができる。従って、オイルクーラ13とインタークーラ30との間には、この上部防塵ネット21を引き出すことができる程度の間隔を空けておく。
【0031】
以上のように、下部防塵ネット22及び上部防塵ネット21の取り外しは、地上で行なうことができ、取り外した防塵ネット21,22の清掃を容易に行なうことができる。また、オイルクーラ13の清掃も同時に行なう場合には、オイルクーラ13とインタークーラ30との間に清掃用具を挿入することにより、このオイルクーラ13の全面を清掃することができる。そして、清掃が完了すると、取り出し時とは反対に、上部防塵ネット21,下部防塵ネット22の順に装着し、次いでコンデンサ31を下方に移動させて、作動位置に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る熱交換装置が装着される建設機械の一例としての油圧ショベルの正面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示すエンジンルームの内部構成図である。
【図3】エンジンルームのカバーを省略して示す図2の平面図である。
【図4】オイルクーラと、防塵ネットを構成する上部防塵ネットと下部防塵ネットとを分離した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明における他の実施の形態を示すエンジンルームの内部構成図である。
【図6】エンジンルームのカバーを省略して示す図5の平面図である。
【図7】コンデンサの上下動機構を示す正面図である。
【図8】図7の断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 下部走行体
2 上部旋回体
6 エンジンルーム
10 エンジン
12 ラジエータ
13 オイルクーラ
14 冷却ファン
17 ポスト
20 防塵ネット
21 上部防塵ネット
22 下部防塵ネット
21a,22a フレーム
21b,22b ネット
23,25 フック
24,26 掛け金具
27 ねじ挿通孔
28 ねじ孔
20 蝶ねじ
30 インタークーラ
31 コンデンサ
32 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の建屋内に設置され、冷却ファンからの冷却風で冷却される1またはユニット化された複数の熱交換器と、前記熱交換器の冷却ファンによる冷却風の最上流側の面に装着した防塵ネットとを備えた熱交換装置において、
前記防塵ネットは上下に2分割したものからなり、
上部防塵ネットは、その上端部が前記熱交換器の上部位置に設けたフック部に掛着される掛け金具を設けると共に、その下部側にフック部を装着し、
また、下部防塵ネットは、前記上部防塵ネットの下部位置に設けたフック部に掛着される掛け金具を設けると共に、この下部防塵ネットの下部位置を前記熱交換器の下部位置にねじ止めする
構成としたことを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記熱交換器は、その左右に設けたポストに支持されており、これら両ポストには、その上部位置に前記上部防塵ネットの掛け金具が掛着されるフック部を設けると共に、下部位置には前記下部防塵ネットの下部位置を止着するねじが螺挿されるねじ孔を設ける構成としたことを特徴とする請求項1記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記下部防塵ネットを止着するねじは蝶ねじであることを特徴とする請求項2記載の熱交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−37661(P2006−37661A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222919(P2004−222919)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】