説明

熱交換装置

【課題】 熱交換装置の交換熱の利用効率を向上させる。
【解決手段】下水を貯留する下水タンクと、前記下水の温度を検出する温度センサと、前記下水の温度に応じて、前記下水を前記下水タンクに供給する分岐バルブと、前記下水タンク内の貯留水と熱交換を行った交換熱に基づいて、熱交換対象を加熱又は冷却する熱交換器と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、建物又は建物群で利用されて排出された下水は熱交換装置(例えばヒートポンプ)の熱源として再利用される。
下水を熱交換装置の熱源として再利用する装置として、例えば特許文献1に開示される下水熱回収装置が知られている。
下水熱回収装置は、熱回収熱交換器、揚水管及び戻し管を備えて構成される。熱回収熱交換器は、熱回収熱交換器の冷媒と下水との間で熱交換を行わせる装置である。熱回収熱交換器は、熱回収熱交換器の冷媒と下水との間で熱交換が行われるように例えば下水管のマンホールの近傍に設けられる。熱回収熱交換器は、熱交換が行われる下水を下水管から揚水管を介して汲み上げるように揚水管に接続される。熱回収熱交換器は、熱回収熱交換器で熱交換が行われた下水を下水管へ戻し管を介して戻すように戻し管に接続される。
よって、下水熱回収装置は、下水と熱回収熱交換器の冷媒との間で熱交換された交換熱で熱交換対象を加熱又は冷却することにより、下水を熱交換装置の熱源として再利用していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−310533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される下水熱回収装置は、下水の温度に関わらず汲み上げられた下水と熱回収熱交換器の冷媒との間で熱交換された交換熱によって、熱交換対象を加熱又は冷却していた。よって、上記の下水熱回収装置では、熱交換対象を加熱する際に低い温度の下水が熱交換装置の熱源として利用されると熱交換対象を効率良く加熱できず、熱交換対象を冷却する際に高い温度の下水が熱交換装置の熱源として利用されると熱交換対象を効率良く冷却できない虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した課題を解決する主たる本発明は、下水を貯留する下水タンクと、前記下水の温度を検出する温度センサと、前記下水の温度に応じて、前記下水を前記下水タンクに供給する分岐バルブと、前記下水タンク内の貯留水と熱交換を行った交換熱に基づいて、熱交換対象を加熱又は冷却する熱交換器と、を備えたことを特徴とする熱交換装置である。
【0006】
本発明の他の特徴については、添付図面及び本明細書の記載により明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、熱交換対象を効率良く加熱又は冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱交換装置を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る熱交換装置を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に用いられる制御装置の機能を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に用いられる制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に用いられる制御装置の機能を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2実施形態に用いられる制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
[第1実施形態]
===熱交換装置の全体構成===
図1は、本実施形態に係る熱交換装置を示す図である。
熱交換装置8は、熱交換回路100、貯湯装置200及び下水貯留装置300を備えて構成される。
熱交換装置8は、熱交換回路100が下水貯留装置300との間で熱交換を行った交換熱を利用して貯湯装置200の貯湯槽T2の水温を調整する。尚、熱交換回路100、貯湯装置200及び下水貯留装置300の詳細については後述する。
【0011】
===下水貯留装置===
下水貯留装置300は、例えば排水口(住宅における浴槽の排水口、キッチンの排水口等)(不図示)から排出された下水を下水タンクT1に貯留する装置である。
下水貯留装置300は、下水タンクT1、分岐バルブV1、排出バルブV2、制御装置Vc1及び分散型電源Gを備えて構成される。
【0012】
下水タンクT1は、下水を貯留する。下水タンクT1は、例えば排水口から排出された下水を下水タンクT1に貯留するように、例えば配管D1を介して排水口に接続される。配管D1における下水タンクT1と排水口との間に分岐バルブV1が設けられている。配管D3は、例えば排水口から排出された下水が下水管(不図示)に排出されるように、配管D3の一端が分岐バルブV1に接続され、配管D3の他端が下水管に接続される。下水タンクT1は、下水タンクT1に貯留された下水が下水管に排出されるように、例えば配管D4を介して配管D3に接続される。尚、配管D4が配管D3に接続される地点をe地点とする。
【0013】
分岐バルブV1は、配管D1における排水口が接続されている側(以下、配管D1の上流側という)から排出された下水を下水タンクT1に供給するか、配管D1の上流側から排出された下水を下水管に排出するかを選択して下水の流路を切替るためのバルブである。ここで、配管D1の上流側から排出された下水が下水タンクT1に供給される下水の流路を流路Aとし、配管D1の上流側から排出された下水が下水管に排出される下水の流路を流路Bとする。
【0014】
排出バルブV2は、配管D4における下水タンクT1とe地点との間に設けられる。排出バルブV2は、下水タンクT1に貯留された下水を排出するためのバルブである。
【0015】
ここで、配管D1における下水の温度を測定するための温度センサSe1が、配管D1内における分岐バルブV1の近傍に設けられる。下水タンクT1に貯留された下水が下水タンクT1に貯留することができる最大量に達したか否かを確認するための水量計(不図示)が下水タンクT1内に設けられる。
【0016】
分散型電源Gは、下水タンクT1に貯留された下水を加熱するための電熱線C1に電力を供給するための、例えば太陽電池である。電熱線C1は、下水タンクT1に貯留された下水を加熱するように下水タンクT1の例えば底部に設けられる。電熱線C1には、スイッチSWが設けられる。スイッチSWは、電熱線C1に分散型電源Gから電力を供給するためのスイッチであり、例えば作業員によって開閉されるものとする。
【0017】
制御装置Vc1は、分岐バルブV1及び排出バルブV2を制御する装置であり、例えば下水タンクT1の近傍に設けられる。尚、制御装置Vc1の詳細については後述する。
【0018】
よって、例えば、分岐バルブV1が下水の流路を流路Aとするように制御装置Vc1によって制御された場合、配管D1の上流側から排出された下水は、下水タンクT1に貯留される。一方、例えば、分岐バルブV1が下水の流路を流路Bとするように制御装置Vc1によって制御された場合、配管D1の上流側から排出された下水は、下水タンクT1に貯留されずに下水管へ排出される。
【0019】
又、例えば、排出バルブV2が制御装置Vc1によって開とされた場合、下水タンクT1に貯留された下水は下水管へ排出される。一方、例えば、排出バルブV2が制御装置Vc1によって閉とされた場合、下水タンクT1に貯留された下水は排出されない。
【0020】
又、例えば、スイッチSWが作業員によって閉とされた場合、分散型電源Gの電力が電熱線C1に供給されて、下水タンクT1の下水は電熱線C1によって加熱される。一方、例えば、スイッチSWが作業員によって開とされた場合、分散型電源Gの電力は電熱線C1に供給されないで、下水タンクT1の下水は電熱線C1によって加熱されない。
【0021】
===制御装置===
図3は、本実施形態に用いられる制御装置の機能を示すブロック図である。
制御装置Vc1は、温度センサSe1で測定された下水の温度に基づいて、下水の流路が流路A、又は流路Bとなるように分岐バルブV1を制御する。制御装置Vc1は、排出バルブV2の開閉を制御する。
制御装置Vc1は、温度センサSe1で測定された配管D1における下水の温度を示す温度情報を温度センサSe1から受信できるように、例えば通信ケーブルTc1を介して温度センサSe1に接続される。制御装置Vc1は、下水タンクT1に貯留された下水が下水タンクT1に貯留することができる最大量に達したか否かを示す水量情報を水量計から受信できるように、例えば通信ケーブル(不図示)を介して水量計に接続される。
【0022】
制御装置Vc1は、送受信部301、判断部302、記憶部303、制御部304及び入力部305を備えて構成される。
【0023】
送受信部301は、温度センサSe1及び水量計から夫々、温度情報及び水量情報を取得する。
記憶部303は、例えば第1の領域303a及び第2の領域303bを有する。第1の領域303aは、分岐バルブV1及び排出バルブV2を制御するためのプログラムが記憶されている。第2の領域303bは、配管D1における下水の所定温度(以下、閾値温度Tth1という)を示す情報が記憶される。尚、閾値温度Tth1は、熱交換器7における熱交換回路100の冷媒の温度よりも高い温度とする。熱交換器7の詳細については後述する。
判断部302は、温度センサSe1から受信した温度情報に示された配管D1における下水の温度が、第2の領域303bに記憶された情報に示された閾値温度Tth1よりも高いか否かを判断する。
入力部305は、例えば作業員が閾値温度Tth1を第2の領域303bに入力して記憶させるための例えばキーボードである。
制御部304は、判断部302の判断に基づいて、下水の流路が流路A、又は流路Bとなるように分岐バルブV1を制御する。制御部304は、判断部302の判断に基づいて、排出バルブV2の開閉を制御する。
【0024】
===熱交換回路===
熱交換回路100は、下水貯留装置300との間で熱交換を行った交換熱を利用して貯湯装置200の貯湯槽T2(上水タンク)の水温を調整する。
熱交換回路100は、圧縮機1、熱交換器4、熱交換器5(第2の熱交換器)、熱交換器7(第1の熱交換器)及び減圧器3を備えて、圧縮機1から吐出された冷媒が再び圧縮機1に戻るように配管W1で環状に構成される。尚、熱交換回路100で用いられる冷媒は例えば二酸化炭素とする。
【0025】
圧縮機1は、吸込んだ冷媒を圧縮して熱交換器5に吐出する。
熱交換器5は、圧縮機1から吐出された冷媒の熱を貯湯装置200の上水(熱交換対象)に放熱するための例えば銅管である。尚、貯湯装置200の詳細については後述する。
減圧器3は、熱交換器5で貯湯装置200の上水に放熱して冷却された冷媒を減圧して熱交換器7に出力する例えばキャピラリチューブである。
熱交換器7は、下水タンクT1に貯留された下水の熱を減圧器3から出力された冷媒に吸熱させるための例えば下水タンクT1内に配置された銅管である。
熱交換器4は、熱交換器7から出力された冷媒に外気の熱を吸熱させるための例えば銅管である。熱交換器4の近傍には、熱交換器4に外気を供給するためのファン2が設けられる。
【0026】
===貯湯装置===
貯湯装置200は、熱交換回路100が下水貯留装置300との間で熱交換を行った交換熱を利用して貯湯槽T2の水温を調整する。
【0027】
貯湯装置200は、ポンプP1、P2及び貯湯槽T2を備えて構成される。貯湯槽T2は、上水を貯留する。貯湯槽T2は、貯湯槽T2に貯留された上水を例えば住宅における浴槽及びキッチン(不図示)で利用できるように、例えば配管W3を介して住宅における浴槽及びキッチンの蛇口(不図示)に接続される。ポンプP2は、貯湯槽T2に貯留された上水を住宅における浴槽及びキッチンの蛇口へ供給する。配管W4は、例えば上水管(不図示)から供給された上水が貯湯槽T2に貯留されるように、配管W4の一端が上水管に接続され、配管W4の他端が貯湯槽T2に接続される。配管W2は、貯湯槽T2に貯留された上水が熱交換器5を介して再度貯湯槽T2に供給されるように、貯湯槽T2と熱交換器5とを環状に接続する。ポンプP1は、貯湯槽T2の上水が熱交換器5を介して再度貯湯槽T2に供給されるように、貯湯槽T2に貯留された上水を循環させる。
【0028】
例えば貯湯槽T2に貯留された上水は熱交換器5に供給されて、熱交換回路100の冷媒の熱を例えば吸熱する。そして、熱交換回路100の冷媒によって加熱された上水は、再度貯湯槽T2に貯留される。
【0029】
例えば住宅における浴槽の蛇口が開とされた場合、貯湯槽T2に貯留された上水は、ポンプP2によって貯湯槽T2から住宅における浴槽の蛇口に供給される。ポンプP2によって貯湯槽T2から住宅における浴槽の蛇口に供給された上水と同量の上水が、上水管から貯湯槽T2へ供給される。尚、住宅におけるキッチンの蛇口が開とされた場合の貯湯槽T2に貯留された上水の流れは、住宅における浴槽の蛇口が開とされた場合の貯湯槽T2に貯留された上水の流れと同様であるので、その説明は省略する。
【0030】
===熱交換装置の動作===
図4は、本実施形態に用いられる制御装置の動作を示すフローチャートである。
以下、図1、図3及び図4を参照して、本実施形態に係る熱交換装置8の動作について説明する。
【0031】
熱交換装置8は、熱交換回路100が下水貯留装置300との間で熱交換を行った交換熱を利用して貯湯装置200の貯湯槽T2に貯留された上水の水温を調整する。
【0032】
制御装置Vc1の第1の領域303aに記憶されたプログラムの実行が開始されて下水タンクT1に下水が貯留される動作から説明する。
【0033】
閾値温度Tth1が、例えば作業員により制御装置Vc1に設けられた例えばキーボードから入力されて、閾値温度Tth1を示す情報が第2の領域303bに記憶されているものとする。制御装置Vc1は、下水タンクT1の水量計から水量情報を受信する(ステップS11)。制御装置Vc1は、下水タンクT1に貯留された下水が下水タンクT1に貯留することができる最大量に達したか否かを水量計より受信した水量情報から判断する(ステップS12)。例えば、下水タンクT1に貯留された下水は下水タンクT1に貯留することができる最大量に達していないと制御装置Vc1に判断された場合(ステップS12のNO)、制御装置Vc1は、下水が下水タンクT1に貯留されるように分岐バルブV1及び排出バルブV2を制御する。制御装置Vc1は、下水の流路が流路Aとなるように分岐バルブV1を制御し、排出バルブV2を閉とする(ステップS13)。配管D1の上流側から排出された下水は、下水タンクT1に貯留される。制御装置Vc1は、上記ステップS11の制御を行った後、上記ステップS12の判断を再度行う。一方、例えば、下水タンクT1に貯留された下水は下水タンクT1に貯留することができる最大量に達していると制御装置Vc1に判断された場合(ステップS12のYES)、制御装置Vc1は、後述するように分岐バルブV1及び排出バルブV2を制御する。
【0034】
制御装置Vc1は、温度センサSe1から配管D1における下水の温度を示す温度情報を受信する(ステップS14)。制御装置Vc1は、温度情報に示された配管D1における下水の温度が、第2の領域303bに記憶された情報に示される閾値温度Tth1よりも高いか否かを判断する(ステップS15)。例えば、温度情報に示された配管D1における下水の温度が閾値温度Tth1よりも高くないと制御装置Vc1に判断された場合(ステップS15のNO)、制御装置Vc1は、下水の流路が流路Bとなるように分岐バルブV1を制御する(ステップS17)。配管D1の上流側から排出された下水は、配管D3を介して下水管へ排出される。制御装置Vc1は、上記ステップS14の制御を行った後、上記ステップS15の判断を再度行う。一方、例えば、温度情報に示された配管D1における下水の温度が閾値温度Tth1よりも高いと制御装置Vc1に判断された場合(ステップS15のYES)、制御装置Vc1は、下水が下水タンクT1に貯留されるように分岐バルブV1及び排出バルブV2を制御する。制御装置Vc1は、下水の流路が流路Aとなるように分岐バルブV1を制御する。下水が分岐バルブV1を介して下水タンクT1に流入する流量と同様の流量の下水が排出バルブV2を介して下水タンクT1から下水管へ排出されるように、制御装置Vc1は排出バルブV2を開とする(ステップS16)。配管D1の上流側から排出された下水は、分岐バルブV1を介して下水タンクT1に貯留される。制御装置Vc1は、上記ステップS14の制御を行った後、上記ステップS15の判断を再度行う。
【0035】
次に、熱交換回路100は、下水貯留装置300との間で熱交換を行った交換熱を利用して貯湯装置200の貯湯槽T2に貯留された上水の水温を調整する。熱交換器7は、減圧器3から出力された冷媒に下水タンクT1に貯留された下水の熱を例えば吸熱させて、下水タンクT1に貯留された下水の熱を例えば吸熱した冷媒を熱交換器4へ出力する。熱交換器4は、熱交換器7から出力された冷媒に外気の熱を例えば吸熱させて、外気の熱を例えば吸熱した冷媒を圧縮機1へ出力する。圧縮機1は、熱交換器4から出力された冷媒を圧縮して熱交換器5に吐出する。熱交換器5は、圧縮機1から吐出された冷媒の熱を配管W2内を循環する貯湯装置200の上水に放熱させる。貯湯装置200の上水は、熱交換器5の冷媒から放出された熱で加熱されて貯湯槽T2に貯留される。減圧器3は、熱交換器5から出力された冷媒を減圧する。熱交換器7は、再度、減圧器3から出力された冷媒に下水タンクT1に貯留された下水の熱を例えば吸熱させて、下水タンクT1に貯留された下水の熱を例えば吸熱した冷媒を熱交換器4へ出力する。
【0036】
前述したように、下水タンクT1は、配管D1の上流側から排出された下水を貯留する。熱交換器7は、下水タンクT1に貯留された下水との間で熱交換する。熱交換器5は、熱交換器7の交換熱を利用して貯湯槽T2に貯留された上水との間で熱交換を行う。よって、熱交換装置8は、熱交換装置8の交換熱の利用効率を向上することができる。
【0037】
又、温度センサSe1は、配管D1内における分岐バルブV1の近傍に設けられ、配管D1における下水の温度を測定する。下水の温度が閾値温度Tth1よりも高い場合、下水の流路が流路Aとなるように分岐バルブV1が制御される。下水の温度が閾値温度Tth1よりも高くない場合、下水の流路が流路Bとなるように分岐バルブV1が制御される。よって、熱交換装置8は、閾値温度Tth1よりも高い温度の下水を下水タンクT1に貯留することができる。従って、熱交換装置8は、熱交換装置8における下水タンクT1に貯留された下水との間の熱交換効率を向上することができる。
【0038】
又、排出バルブV2は、下水タンクT1に貯留された下水を下水管に排出する。下水の流路が流路Aとされた場合、分岐バルブV1を介して下水タンクT1に流入する下水の流量と同様の流量の下水が排出バルブV2を介して下水タンクT1から下水管へ排出されるように、制御装置Vc1は排出バルブV2を制御する。よって、下水タンクT1に貯留される下水の量を、例えば下水タンクT1に下水を貯水することができる最大量とすることができる。従って、熱交換装置8は、配管D1の上流側から排出された下水を熱交換装置8の熱源として有効に利用することができる。
【0039】
[第2実施形態]
===熱交換装置の全体構成===
図2は、本実施形態に係る熱交換装置を示す図である。尚、図1に示された構成と同じ構成については同じ番号を付すのみで、その説明は省略する。
熱交換装置8aは、熱交換回路100a及び下水貯留装置300aを備えて構成される。
熱交換装置8aは、熱交換回路100aが下水貯留装置300aとの間で熱交換を行った交換熱を利用して熱交換器5aから排出される空気の温度を調整する。尚、熱交換回路100a及び下水貯留装置300aの詳細については後述する。
【0040】
===下水貯留装置、制御装置===
下水貯留装置300aは、例えば排水口(住宅における浴槽の排水口、キッチンの排水口等)(不図示)から排出された下水を下水タンクT1に貯留する装置である。
下水貯留装置300aは、下水タンクT1、分岐バルブV1、排出バルブV2、制御装置Vc2及び分散型電源Gを備えて構成される。
【0041】
図5は、本実施形態に用いられる制御装置の機能を示すブロック図である。
制御装置Vc2は、温度センサSe1で測定された下水の温度に基づいて、下水の流路が流路A、又は流路Bとなるように分岐バルブV1を制御する。制御装置Vc2は、排出バルブV2の開閉を制御する。制御装置Vc2は、熱交換回路100aにおける暖房動作モード及び冷房動作モードの切替を行うための流路切替器6を制御する。尚、流路切替器6の詳細については後述する。
【0042】
制御装置Vc2は、温度センサSe1で測定された配管D1における下水の温度を示す温度情報を温度センサSe1から受信できるように、例えば通信ケーブルTc11を介して温度センサSe1に接続される。制御装置Vc2は、下水タンクT1に貯留された下水が下水タンクT1に貯留することができる最大量に達したか否かを示す水量情報を水量計(不図示)から受信できるように、例えば通信ケーブル(不図示)を介して水量計に接続される。
【0043】
制御装置Vc2は、送受信部311、判断部312、記憶部313、制御部314及び入力部315を備えて構成される。
【0044】
送受信部311は、温度センサSe1及び水量計から夫々、温度情報及び水量情報を取得する。
【0045】
記憶部313は、例えば第1の領域313a、第2の領域313b及び第3の領域313cを有する。第1の領域313aは、分岐バルブV1、排出バルブV2及び流路切替器6を制御するためのプログラムが記憶されている。第2の領域313bは、閾値温度Tth1を示す情報及び閾値温度Tth1よりも低い所定温度(以下、閾値温度Tth1aという)を示す情報が記憶される。尚、閾値温度Tth1aは、熱交換器7aにおける熱交換回路100aの冷媒の温度よりも低い温度とする。第3の領域313cは、暖房動作モード又は冷房動作モードの何れのモードで熱交換回路100aを動作させるかを示す動作情報が記憶される。
【0046】
判断部312は、温度センサSe1から受信した温度情報に示された配管D1における下水の温度が、第2の領域313bに記憶された情報に示された閾値温度Tth1よりも高いか否かを判断する。判断部312は、温度センサSe1から受信した温度情報に示された配管D1における下水の温度が、第2の領域313bに記憶された情報に示された閾値温度Tth1aよりも低いか否かを判断する。
【0047】
入力部315は、例えば作業員が閾値温度Tth1、Tth1aを第2の領域313bに入力して記憶させ、動作情報を第3の領域313cに入力して記憶させるための例えばキーボードである。
【0048】
制御部314は、判断部312の判断に基づいて、下水の流路が流路A、又は流路Bとなるように分岐バルブV1を制御する。制御部314は、判断部312の判断に基づいて、排出バルブV2の開閉を制御する。制御部314は、第3の領域313cに記憶された動作情報に基づいて、流路切替器6を制御する。
【0049】
===熱交換回路===
熱交換回路100aは、下水貯留装置300aとの間で熱交換を行った交換熱を利用して熱交換器5aから排出される空気の温度を調整する。
熱交換回路100aは、圧縮機1、熱交換器4a、熱交換器5a(第2の熱交換器)、熱交換器7a(第1の熱交換器)、減圧器3及び流路切替器6を備えて、圧縮機1から吐出された冷媒が再び圧縮機1に戻るように配管W1aで環状に構成される。
【0050】
熱交換器7aは、熱交換器7a内の冷媒と下水タンクT1に貯留された下水との間で熱交換させるための例えば下水タンクT1内に配置された銅管である。
熱交換器4aは、熱交換器4a内の冷媒と外気との間で熱交換させるための例えばエアコンの室外機である。熱交換器4aの近傍には、熱交換器4aに外気を供給するためのファン21aが設けられる。
【0051】
流路切替器6は、熱交換回路100aの冷媒が配管W1aを流れる方向を調整する例えば四方弁である。例えば、熱交換回路100aにおける冷媒の流れる方向がA2方向の場合、流路切替器6内で冷媒出入口6a及び冷媒出入口6bが接続され、流路切替器6内で冷媒出入口6c及び冷媒出入口6dが接続される。一方、例えば、熱交換回路100aにおける冷媒の流れる方向がB2方向の場合、流路切替器6内で冷媒出入口6a及び冷媒出入口6cが接続され、流路切替器6内で冷媒出入口6b及び冷媒出入口6dが接続される。
【0052】
熱交換器5aは、熱交換回路100aの冷媒によって熱交換器5aの近傍の空気を加熱又は冷却する例えばエアコンの室内機である。熱交換器5aの近傍には、熱交換器5aによって加熱又は冷却された空気を排出するためのファン22aが設けられる。
【0053】
===熱交換装置の動作===
図6は、本実施形態に用いられる制御装置の動作を示すフローチャートである。尚、図4に示されたステップと同じステップについては同じ番号を付すのみで、その説明は省略する。
【0054】
以下、図2、図5及び図6を参照して、本実施形態に係る熱交換装置8aの動作について説明する。
熱交換装置8aは、熱交換回路100aが下水貯留装置300aとの間で熱交換を行った交換熱を利用して熱交換器5aから排出される空気の温度を調整する。
【0055】
制御装置Vc2の第1の領域313aに記憶されたプログラムの実行が開始されて下水タンクT1に下水が貯留される動作から説明する。
【0056】
閾値温度Tth1、Tth1aが、例えば作業員により制御装置Vc2に設けられた例えばキーボードから入力されて、閾値温度Tth1、Tth1aを示す情報が第2の領域313bに記憶されているものとする。暖房動作モード又は冷房動作モードの何れのモードで熱交換回路100aを動作させるかを示す動作情報が、例えば作業員により制御装置Vc2に設けられたキーボードから入力されて、動作情報が第3の領域313cに記憶されているものとする。
【0057】
制御装置Vc2は、図4に示されたステップS11乃至ステップS13と同様な制御を実行する(ステップS11乃至ステップS13)。制御装置Vc2は、第3の領域313cに記憶された動作情報が暖房動作モードを示すか否かを判断する(ステップS21)。例えば、第3の領域313cに記憶された動作情報が暖房動作モードを示すと制御装置Vc2に判断された場合(ステップS21のYES)、制御装置Vc2は、熱交換回路100aの冷媒がA2方向へ流されるように流路切替器6を制御する。制御装置Vc2は、流路切替器6内で冷媒出入口6a及び冷媒出入口6bが接続され、流路切替器6内で冷媒出入口6c及び冷媒出入口6dが接続されるように流路切替器6を制御する(ステップS22)。制御装置Vc2は、図4に示されたステップS14乃至ステップS17と同様な制御を実行する(ステップS14乃至ステップS17)。一方、例えば、第3の領域313cに記憶された動作情報が暖房動作モードを示すと制御装置Vc2に判断されずに冷房動作モードを示すと判断された場合(ステップS21のNO)、制御装置Vc2は、熱交換回路100aの冷媒がB2方向へ流されるように流路切替器6を制御する。制御装置Vc2は、流路切替器6内で冷媒出入口6a及び冷媒出入口6cが接続され、流路切替器6内で冷媒出入口6b及び冷媒出入口6dが接続されるように流路切替器6を制御する(ステップS23)。制御装置Vc2は、温度センサSe1から配管D1における下水の温度を示す温度情報を受信する(ステップS24)。制御装置Vc2は、温度情報に示された配管D1における下水の温度が、第2の領域313bに記憶された情報に示される閾値温度Tth1aよりも低いか否かを判断する(ステップS25)。例えば、温度情報に示された配管D1における下水の温度が閾値温度Tth1aよりも低くないと制御装置Vc2に判断された場合(ステップS25のNO)、制御装置Vc2は、下水の流路が流路Bとなるように分岐バルブV1を制御する(ステップS26)。配管D1の上流側から排出された下水は、配管D3を介して下水管へ排出される。制御装置Vc2は、上記ステップS24の制御を行った後、上記ステップS25の判断を再度行う。一方、例えば、温度情報に示された配管D1における下水の温度が閾値温度Tth1aよりも低いと制御装置Vc2に判断された場合(ステップS25のYES)、制御装置Vc2は、下水が下水タンクT1に貯留されるように分岐バルブV1及び排出バルブV2を制御する。制御装置Vc2は、下水の流路が流路Aとなるように分岐バルブV1を制御する。下水が分岐バルブV1を介して下水タンクT1に流入する流量と同様の流量の下水が排出バルブV2を介して下水タンクT1から下水管へ排出されるように、制御装置Vc2は排出バルブV2を開とする(ステップS27)。配管D1の上流側から排出された下水は、分岐バルブV1を介して下水タンクT1に貯留される。制御装置Vc2は、上記ステップS24の制御を行った後、上記ステップS25の判断を再度行う。
【0058】
次に、熱交換回路100aは、下水貯留装置300aとの間で熱交換を行った交換熱を利用して熱交換器5aから排出される空気の温度を調整する。
例えば、熱交換回路100aの冷媒の流される方向をA2方向とするように流路切替器6が制御装置Vc2に制御された場合、熱交換回路100aは、暖房動作モードとなる。
【0059】
熱交換器7aは、減圧器3から出力された冷媒に下水タンクT1に貯留された下水の熱を例えば吸熱させて、下水タンクT1に貯留された下水の熱を例えば吸熱した冷媒を熱交換器4aへ出力する。熱交換器4aは、熱交換器7aから出力された冷媒に外気の熱を例えば吸熱させて、外気の熱を例えば吸熱した冷媒を流路切替器6を介して圧縮機1へ出力する。圧縮機1は、熱交換器4aから出力された冷媒を圧縮して熱交換器5aに吐出する。
【0060】
熱交換器5aは、圧縮機1から吐出された冷媒の熱を熱交換器5aの近傍の空気に放熱させて、熱交換器5aの近傍の空気に放熱した冷媒を減圧器3へ出力する。熱交換器5aの近傍の空気は、熱交換器5aから放熱された熱で加熱されてファン22aによって排出される。減圧器3は、熱交換器5aから出力された冷媒を減圧する。熱交換器7aは、再度、減圧器3から出力された冷媒に下水タンクT1に貯留された下水の熱を例えば吸熱させて、下水タンクT1に貯留された下水の熱を例えば吸熱した冷媒を熱交換器4aへ出力する。
【0061】
例えば、熱交換回路100aの冷媒の流される方向をB2方向とするように流路切替器6が制御装置Vc2に制御された場合、熱交換回路100aは、冷房動作モードとなる。
【0062】
熱交換器7aは、熱交換器4aから出力された冷媒の熱を下水タンクT1に貯留された下水に例えば放熱させて、下水タンクT1に貯留された下水に例えば放熱した冷媒を減圧器3へ出力する。減圧器3は、熱交換器7aから出力された冷媒を減圧する。熱交換器5aは、減圧器3から出力された冷媒に熱交換器5aの近傍の空気の熱を例えば吸熱させて、熱交換器5aの近傍の空気の熱を例えば吸熱した冷媒を流路切替器6を介して圧縮機1へ出力する。熱交換器5aの近傍の空気は、熱交換器5aの吸熱で冷却されてファン22aによって排出される。圧縮機1は、熱交換器5aから出力された冷媒を圧縮して熱交換器4aに吐出する。熱交換器4aは、圧縮機1から吐出された冷媒の熱を外気に例えば放熱させて、外気に熱を例えば放熱した冷媒を熱交換器7aへ出力する。熱交換器7aは、再度、熱交換器4aから出力された冷媒の熱を下水タンクT1に貯留された下水に例えば放熱させて、下水タンクT1に貯留された下水に例えば放熱した冷媒を減圧器3へ出力する。
【0063】
前述したように、下水タンクT1は、配管D1の上流側から排出された下水を貯留する。熱交換器7aは、下水タンクT1に貯留された下水との間で熱交換する。熱交換器5aは、熱交換器7aの交換熱を利用して熱交換器5aの近傍の空気との間で熱交換を行う。よって、熱交換装置8aは、熱交換装置8aの交換熱の利用効率を向上することができる。
【0064】
又、温度センサSe1は、配管D1内における分岐バルブV1の近傍に設けられ、配管D1における下水の温度を測定する。下水の温度が閾値温度Tth1aよりも低い場合、下水の流路が流路Aとなるように分岐バルブV1が制御される。下水の温度が閾値温度Tth1aよりも低くない場合、下水の流路が流路Bとなるように分岐バルブV1が制御される。よって、熱交換装置8aは、閾値温度Tth1aよりも低い温度の下水を下水タンクT1に貯留することができる。従って、熱交換装置8aは、熱交換装置8aにおける下水タンクT1に貯留された下水との間の熱交換効率を向上することができる。
【0065】
又、排出バルブV2は、下水タンクT1に貯留された下水を下水管に排出する。下水の流路が流路Aとされた場合、分岐バルブV1を介して下水タンクT1に流入する下水の流量と同様の流量の下水が排出バルブV2を介して下水タンクT1から下水管へ排出されるように、制御装置Vc2は排出バルブV2を制御する。よって、下水タンクT1に貯留される下水の量を、例えば下水タンクT1に下水を貯水することができる最大量とすることができる。従って、熱交換装置8aは、配管D1の上流側から排出された下水を熱交換装置8aの熱源として有効に利用することができる。
【0066】
尚、上記第1及び第2実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 圧縮機
2、21a、22a ファン
3 減圧器
4、4a、5、5a、7、7a 熱交換器
6 流路切替器
8、8a 熱交換装置
C1 電熱線
D1、D3、D4、W1、W1a、W2、W3、W4 配管
G 分散型電源
Se1 温度センサ
SW スイッチ
T1 下水タンク
T2 貯湯槽
V1 分岐バルブ
V2 排出バルブ
Vc1、Vc2 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水を貯留する下水タンクと、
前記下水の温度を検出する温度センサと、
前記下水の温度に応じて、前記下水を前記下水タンクに供給する分岐バルブと、
前記下水タンク内の貯留水と熱交換を行った交換熱に基づいて、熱交換対象を加熱又は冷却する熱交換器と、
を備えたことを特徴とする熱交換装置。
【請求項2】
前記温度センサは、
前記下水の温度が所定温度より高いか否かを検出し、
前記分岐バルブは、
前記下水の温度が前記所定温度より高い場合、前記下水を前記下水タンクに供給し、前記下水の温度が前記所定温度より低い場合、前記下水を下水管に排出し、
前記熱交換器は、
前記下水タンク内の貯留水と熱交換を行った交換熱に基づいて、前記熱交換対象を加熱する
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項3】
前記熱交換対象は、上水タンクに貯留される上水である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記温度センサは、
前記下水の温度が所定温度より高いか否かを検出し、
前記分岐バルブは、
前記下水の温度が前記所定温度より低い場合、前記下水を前記下水タンクに供給し、前記下水の温度が前記所定温度より高い場合、前記下水を下水管に排出し、
前記熱交換器は、
前記下水タンク内の貯留水と熱交換を行った交換熱に基づいて、前記熱交換対象を冷却する
ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記熱交換対象は、室内空調機から放出される空気である
ことを特徴とする請求項4に記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記下水タンク内の前記貯留水を前記下水管に排出する排出バルブと、
前記下水タンクへの前記下水の供給量と前記下水タンクからの前記貯留水の排出量とが等しくなるように、前記分岐バルブ及び前記排出バルブの開閉を制御する制御装置と、
を備えたことを特徴とする請求項2又は4に記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記熱交換器は、
前記下水タンク内の貯留水と熱交換を行う第1の熱交換器と、
前記第1の熱交換器による交換熱を利用して熱交換対象と熱交換を行う第2の熱交換器と、
を備え、
前記第1及び第2の熱交換器は、
前記熱交換対象を加熱する場合、前記第1の熱交換器が吸熱動作を行うとともに前記第2の熱交換器が放熱動作を行う第1のモードで動作し、
前記熱交換対象を冷却する場合、前記第1の熱交換器が放熱動作を行うとともに前記第2の熱交換器が吸熱動作を行う第2のモードで動作する
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の熱交換装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の熱交換器は、冷媒が循環する冷媒回路の循環路に配置される
ことを特徴とする請求項7に記載の熱交換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−42159(P2012−42159A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185211(P2010−185211)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)