説明

熱制御マトリクス装置および反応処理装置

【課題】温度制御を高精度で行うことができるヒータマトリクス装置および反応処理装置を提供する。
【解決手段】ヒータユニット110は、スイッチSW111,SW112が、走査線WSLが選択された状態においてデータ線DTLに与えられた発熱量情報を取り込む受け入れ部として機能し、キャパシタC111が、走査線が非選択となった後も発熱量情報を保持する保持部として機能し、トランジスタT111およびスイッチSW113が、書き込まれた発熱量情報に基づいて電流を流し、それに応じた熱量を発生する駆動部として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子増幅を行うPCR法に適用可能なヒータマトリクス装置および反応処理装置に関するものである。より詳しくは、高精度の温度制御が可能な熱制御マトリクス装置および反応処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
温度条件に基づいて反応を制御する必要がある場合には、その温度条件をより高精度に制御できることが望まれる。液体、固体、気体に関わらず反応を行う反応処理装置において高精度に温度制御可能であることが望まれる。たとえば、遺伝子解析等の技術分野でもこのような要請はある。
【0003】
一例として、遺伝子増幅を行うPCR法(polymerase chain reaction;ポリメラーゼ連鎖反応)を用いる場合が挙げられる。PCR法は、微量核酸の定量分析の標準的手法ともいえる。
【0004】
PCR法は、「熱変性→プライマーとのアニーリング→ポリメラーゼ伸長反応」という増幅サイクルを連続的に行うことで、DNA等を数十万倍にも増幅させることができる。
このようにして得られるPCR増幅産物をリアルタイムでモニタリングして前記微量核酸の定量分析を行うこともできる。
【0005】
しかし、PCR法では前記増幅サイクルを正確に制御することが必要である。そのためには高精度の温度制御が必要となる。
温度制御が不十分である場合には、無関係なDNA配列を増幅してしまったり、増幅が全く見られなかったりする。
【0006】
一般的なリアルタイムPCRは、以下の問題点を有する。
1.一度に解析できるサンプル数が少なく、網羅的な解析ができない。
2.現在商品化されているサーマルサイクラーの温度制御は、グラディエント機構であるため、各サンプルの温度制御が個別にできない。さらに、増幅時の時間制御も個別にできない。その結果、各サンプルの増幅量を一定にすることができず、副産物を生じることがある。
【0007】
このように、前記した装置等については、いずれも反応処理装置として高精度の熱制御ができることが重要となる。これに関する技術として、特許文献1や特許文献2には前記反応処理装置の温度制御に関する技術が開示されている。
これらの文献に開示された技術においては、微小領域の発熱制御として半導体素子等を用いることも行われている。具体的には、発熱用の電流駆動素子としてMOSトランジスタを利用して、微小領域の発熱制御に適用可能とされている。
【0008】
【特許文献1】特開2003−298068号公報
【特許文献2】特開2004−025426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
提案されている反応処理装置において半導体素子等を用いて温度制御を行う場合であっても、以下の不利益がある。
【0010】
半導体素子は一般に製造上のばらつきがあるため、各反応領域で同じ温度制御を行った場合であっても、基板ごとに、あるいは同一基板上であっても加熱部ごとに、加熱量のばらつきが生じてしまう。その結果、反応処理装置としての高精度の温度制御が困難となってしまう。
【0011】
また、半導体素子は、一般に温度によって特性が変化する性質がある。たとえば、単結晶シリコンを用いたMOSトランジスタは負の温度特性を持ち、同じ電圧値を印加しても、温度が高くなると流れる電流が減少する。
したがって、同じ電圧値であっても温度によって加熱量が変化する結果となり、高精度の温度制御が困難となっていた。
【0012】
本発明は、温度制御を高精度で行うことができる熱制御マトリクス装置および反応処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の観点は、DNA増幅反応を行う反応処理装置における熱制御マトリクス装置であって、マトリクス状に配置された複数のヒータユニットと、前記各ヒータユニットを選択するための走査線と、前記ヒータユニットに発熱量情報を与えるためのデータ線と、を有し、前記各ヒータユニットは、前記走査線が選択された状態において前記データ線に与えられた発熱量情報を取り込む受け入れ部と、前記走査線が非選択となった後も発熱量情報を保持する保持部と、前記発熱量情報に基づいて電流を流し、それに応じた熱量を発生する駆動部と、を含む。
【0014】
好適には、前記各ヒータユニットは、前記データ線から電流レベルの形で与えられた発熱量情報を示す信号電流を一旦電圧レベルの形に変換する変換部と、変換された電圧レベルを保持する前記保持部と、保持された電圧レベルを電流レベルの形に変換して駆動する前記駆動部と、を含む。
【0015】
好適には、前記保持部は、少なくとも一つのキャパシタを含み、前記駆動部は、電源電位と基準電位間に直列に接続されたスイッチおよびゲートに前記キャパシタが接続された少なくとも一つの電界効果トランジスタを含み、前記受け入れ部は、前記データ線の発熱量情報を上記キャパシタに転送し、電荷を蓄積させるスイッチを含み、前記駆動部のスイッチと前記受け入れ部のスイッチは相補的にオン、オフされる。
【0016】
本発明の第2の観点は、DNA増幅反応を行う反応処理装置における熱制御マトリクス装置であって、マトリクス状に配置された複数の温度検出ユニットと、前記各温度検出ユニットを選択するための走査線と、前記温度検出ユニットに電流を供給するための電流駆動線と、前記温度検出ユニットの電流を検出する検出線と、を有し、前記各温度検出ユニットは、前記電流駆動線による電流が供給され順方向電流が流れるPINダイオードと、前記電流駆動線の電流を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる電流を前記検出線に転送する転送部と、を含む。
【0017】
好適には、前記転送部は、温度検出時にオン状態に保持されるスイッチを含む。
【0018】
本発明の第3の観点は、DNA増幅反応を行う反応処理装置における熱制御マトリクス装置であって、マトリクス状に配置された複数の蛍光検出ユニットと、前記各蛍光検出ユニットに逆方向電圧を供給するための逆方向電圧線と、前記蛍光検出ユニットの逆電流を検出する検出線と、を有し、前記各蛍光検出ユニットは、前記逆方向電圧線による逆方向電圧が供給されるPINダイオードと、前記逆方向電圧線の逆方向電圧を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる逆電流を前記検出線に転送する転送部と、を含む。
【0019】
本発明の第4の観点は、DNA増幅反応を行う反応処理装置における熱制御マトリクス装置であって、マトリクス状に配置された複数のヒータユニットと、上記各ヒータユニットに対応してマトリクス状に配置され、前記ヒータユニットにより加熱された温度を検出する複数の温度検出ユニットと、前記各ヒータユニットを選択するための第1の走査線と、前記ヒータユニットに発熱量情報を与えるためのデータ線と、前記各温度検出ユニットを選択するための第2の走査線と、前記温度検出ユニットに電流を供給するための電流駆動線と、前記温度検出ユニットの電流を検出する検出線と、を有し、前記各ヒータユニットは、前記走査線が選択された状態において前記データ線に与えられた発熱量情報を取り込む受け入れ部と、前記走査線が非選択となった後も発熱量情報を保持する保持部と、前記発熱量情報に基づいて電流を流し、それに応じた熱量を発生する駆動部と、を含み、前記各温度検出ユニットは、前記電流駆動線による電流が供給され順方向電流が流れるPINダイオードと、前記電流駆動線の電流を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる電流を前記検出線に転送する転送部と、を含む。
【0020】
好適には、前記検出線で検出された情報に基づき上記ヒータユニットの発熱量が上記発熱量情報により制御される。
【0021】
本発明の第5の観点は、DNA増幅反応を行う反応処理装置における熱制御マトリクス装置であって、マトリクス状に配置された複数の温度検出ユニットと、前記温度検出ユニットに対応してマトリクス状に配置された複数の蛍光検出ユニットと、前記各温度検出ユニットおよび前記蛍光検出ユニットを選択するための少なくとも一つの走査線と、前記温度検出ユニットに電流を供給するための電流駆動線と、前記温度検出ユニットの電流を検出する第1の検出線と、前記各蛍光検出ユニットに逆方向電圧を供給するための逆方向電圧線と、前記蛍光検出ユニットの逆電流を検出する第2の検出線と、を有し、前記各温度検出ユニットは、前記電流駆動線による電流が供給され順方向電流が流れるPINダイオードと、前記電流駆動線の電流を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる電流を前記検出線に転送する第1の転送部と、を含み、前記各蛍光検出ユニットは、前記逆方向電圧線による逆方向電圧が供給されるPINダイオードと、前記逆方向電圧線の逆方向電圧を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる逆電流を前記検出線に転送する第2の転送部と、を含む。
【0022】
好適には、前記温度検出ユニットと前記蛍光検出ユニットとは、前記PINダイオードを共用している。
【0023】
好適には、前記PINダイオードにて暗電流をセンシングすることで温度制御補正を行い、並びに蛍光受光時に発生する受光電流をセンシングすることで、増幅反応を検出する機能を有する。
【0024】
本発明の第6の観点は、DNA増幅反応を行う反応処理装置における熱制御マトリクス装置であって、マトリクス状に配置された複数のヒータユニットと、上記各ヒータユニットに対応してマトリクス状に配置され、前記ヒータユニットにより加熱された温度を検出する複数の温度検出ユニットと、前記温度検出ユニットに対応してマトリクス状に配置された複数の蛍光検出ユニットと、前記各ヒータユニットを選択するための第1の走査線と、前記ヒータユニットに発熱量情報を与えるためのデータ線と、前記各温度検出ユニットおよび前記蛍光検出ユニットを選択するための少なくとも一つの第2の走査線と、前記温度検出ユニットに電流を供給するための電流駆動線と、前記温度検出ユニットの電流を検出する第1の検出線と、前記各蛍光検出ユニットに逆方向電圧を供給するための逆方向電圧線と、前記蛍光検出ユニットの逆電流を検出する第2の検出線と、を有し、前記各ヒータユニットは、前記走査線が選択された状態において前記データ線に与えられた発熱量情報を取り込む受け入れ部と、前記走査線が非選択となった後も発熱量情報を保持する保持部と、前記発熱量情報に基づいて電流を流し、それに応じた熱量を発生する駆動部と、を含み、前記各温度検出ユニットは、前記電流駆動線による電流が供給され順方向電流が流れるPINダイオードと、前記電流駆動線の電流を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる電流を前記検出線に転送する第1の転送部と、を含み、前記各蛍光検出ユニットは、前記逆方向電圧線による逆方向電圧が供給されるPINダイオードと、前記逆方向電圧線の逆方向電圧を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる逆電流を前記検出線に転送する第2の転送部と、を含む。
【0025】
好適には、前記温度検出ユニットに検出結果にて発熱制御をリアルタイムにフィードバックする段階で、反応増幅検出のシグナルとして、蛍光検出を温度検出デバイスであるPINダイオードにて、蛍光量にて増幅反応をリアルタイムに検出を行う。
【0026】
本発明の第7の観点は、複数の反応領域を有する反応処理装置であって、熱制御を行うための熱制御マトリクス装置を有し、前記熱制御マトリクス装置は、前記反応領域に対応してマトリクス状に配置された複数のヒータユニットと、上記各ヒータユニットに対応してマトリクス状に配置され、前記ヒータユニットにより加熱された温度を検出する複数の温度検出ユニットと、前記温度検出ユニットに対応してマトリクス状に配置された複数の蛍光検出ユニットと、前記各ヒータユニットを選択するための第1の走査線と、前記ヒータユニットに発熱量情報を与えるためのデータ線と、前記各温度検出ユニットおよび前記蛍光検出ユニットを選択するための少なくとも一つの第2の走査線と、前記温度検出ユニットに電流を供給するための電流駆動線と、前記温度検出ユニットの電流を検出する第1の検出線と、前記各蛍光検出ユニットに逆方向電圧を供給するための逆方向電圧線と、前記蛍光検出ユニットの逆電流を検出する第2の検出線と、を有し、前記各ヒータユニットは、前記走査線が選択された状態において前記データ線に与えられた発熱量情報を取り込む受け入れ部と、前記走査線が非選択となった後も発熱量情報を保持する保持部と、前記発熱量情報に基づいて電流を流し、それに応じた熱量を発生する駆動部と、を含み、前記各温度検出ユニットは、前記電流駆動線による電流が供給され順方向電流が流れるPINダイオードと、前記電流駆動線の電流を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる電流を前記検出線に転送する第1の転送部と、を含み、前記各蛍光検出ユニットは、前記逆方向電圧線による逆方向電圧が供給されるPINダイオードと、前記逆方向電圧線の逆方向電圧を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる逆電流を前記検出線に転送する第2の転送部と、を含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、温度制御を高精度で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を添付図面に関連付けて説明する。
添付図面に示された各実施形態は、本発明に係る代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0029】
本実施形態においては、PCR法を採用する反応処理装置に適用可能な熱制御マトリクス装置について説明する。
PCR法を採用する反応処理装置としては、たとえば遺伝子発現量を検出するリアルタイムPCR装置がある。
【0030】
図1は、本発明の実施形態に係る反応処理装置としてのリアルタイムPCR装置の一構成例を示す概念図である。
【0031】
PCR装置1は、図1に示すように、複数の反応領域A1を有するウェル基板11と、光源12と、光源12より発せられた励起光L1,L2を導く励起光走査板13とを備えている。そして、フィルター14と、蛍光L3を検出する蛍光検出部15と、前記反応領域A1を加熱する加熱部16と、が測定基板17に設けられている。
【0032】
PCR装置1では、光源12より発せられた励起光L1が、励起光走査板13を経て、励起光L2として各反応領域A1に照射される。そして、反応領域A1内から発せられた蛍光L3を蛍光検出部15により検出・測定される。
【0033】
PCR装置1では、特に、加熱部16を反応領域A1ごとに設け、かつ加熱部16の熱源近傍の温度を検出して電気的信号に変換する温度検出部を備え、予め得られた電気的信号と熱源の加熱量との相関関係に基づいて加熱量を決定する機能を有することで、各々の反応領域A1を個別に、かつ高精度に温度制御することもできる。
PCR装置1については、本実施形態に係る熱制御マトリクス装置について説明した後、さらに詳述する。
【0034】
PCR装置においては、反応信号として加熱部であるTFT基板の上部あるいは下部などの近傍にて積層する別の機能部にて信号検出する構成をとる場合に、反応信号である蛍光を検出するにあたり、直接検出する際には、蛍光検出を遮断する弊害のない光透過性を有し、かつ比較的大型の透明絶縁基板(たとえばガラス)上にヒータマトリクスを構成することが望ましい。
この場合、半導体素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFTと称することがある)を使用することがコスト面、製造プロセスなどから好適である。
ただし、TFTは一般に、単結晶の半導体素子と比較して、より製造ばらつきや経時変化が大きいことが知られている。
【0035】
より具体的には、PCR装置におけるヒータとしては、大型のガラス基板上に電流駆動能力が比較的高いTFTを形成できる、低温ポリシリコンプロセスを利用するのが好適である。低温ポリシリコンプロセスでは通常、ガラス基板上にアモルファスシリコン膜を形成した後、基板の熱変形を避けるため、レーザアニール法によって結晶化が行われる。
ただし、大きなガラス基板に均一にレーザエネルギーを照射することは容易ではなく、ポリシリコンの結晶化の状態が基板内の場所によってばらつきを生ずることが避けられない。この結果、同一基板上に形成したTFTでも、そのVth(しきい値)が場所によって数百mV、場合によっては1V以上ばらつくこともまれではない。このようなTFTを使用する場合、既存の技術では高精度かつ高信頼なPCR反応装置を構成することが困難である。
そこで、本実施形態においては、透明絶縁基板上の形成された薄膜トランジスタを用いて高精度な温度制御な可能なPCR装置を実現するための、熱制御マトリクス装置を実現している。
【0036】
具体的には、以下に説明する実施形態においては、TFTによりカレントコピーあるいはカレントミラーによりヒータユニットを構成することで、高精度な温度制御を可能とし、さらには、いわゆるPINダイオードを温度センサとして用いて、フィードバックを行うことで、かつ並行PINダイオードにて増幅反応信号として蛍光検出を実現することにより、高精度な網羅解析を可能とする。
【0037】
本実施形態に係る熱制御マトリクス装置は、たとえば上述したPCR1の加熱部16、温度検出部、および蛍光検出部15として適用可能である。
以下、熱制御マトリクス装置の実施形態として、発熱量が制御可能な加熱部(発熱部)として適用可能なヒータマトリクス装置、温度検出部として適用可能な温度検出マトリクス、蛍光検出部として適用可能な蛍光検出マトリクス装置、温度検出マトリクス装置の機能と蛍光検出部としての機能を併せ持つ温度蛍光検出マトリクス装置、ヒータマトリクス装置の機能と温度検出マトリクス装置の機能とを併せ持つヒータ温度検出マトリクス装置、およびヒータマトリクス装置の機能と温度蛍光マトリクス装置としての機能を併せ持つヒータ温度蛍光検出マトリクス装置、を例にとり順を追って説明する。
【0038】
まず、ヒータマトリクス装置について説明する。
【0039】
<ヒータマトリクス装置>
図2は、本発明の実施形態に係るヒータマトリクス装置の一構成例を示す図である。
【0040】
このヒータマトリクス装置100は、図2に示すように、ヒータユニット110がm×nのマトリクス状に配列されたセルアレイ部101、データ線駆動回路(DTDRV)102、走査線駆動回路(WSDRV)103、ヒータユニット110に発熱量情報を与えるためのデータ線DTL101〜DTL10m、およびヒータユニット110を選択し、発熱力情報を書き込み、書き込まれた発熱量情報に応じた電流を流すための走査線WSL101〜WSL10mを有する。
【0041】
データ線駆動回路102は、走査線駆動回路103の走査線WSL101〜WSL10mの駆動タイミングに同期して、各データ線DTL101〜DTL10nに信号電流を印加することで、各加熱部としてのヒータユニット110に対して行単位で発熱量情報を書き込む。
走査線駆動回路103は、走査線WSL101〜WSL10mを順次選択してパルス駆動する。走査線駆動回路103は、走査線WSL101〜WSL10mを駆動することにより、ヒータユニット110が発熱量情報を取得するタイミングを制御する。
走査線駆動回路103は、ヒータユニット110における発熱量情報の書き込み終了後、走査線WSL101〜WSL10mを非選択にすることで、信号電流と同じ電流値の駆動電流を各発熱部(ヒータユニット)に流し続けることができる。
このようにして、前記各ヒータユニット110に所望の大きさの電流を流すことができ、その結果、所望の熱量を発生させることができる。
【0042】
なお、データ線駆動回路102は、図示しない温度検出制御系により供給される制御信号CTLに応じた発熱量情報を信号電流として各データ線DTL101〜DTL10nに転送することにより、各ヒータユニット110の発熱量を制御可能である。
換言すれば、ヒータユニット110の発熱量は、書き込まれる発熱量情報により制御される。
【0043】
次に、ヒータユニット110の具体的な構成例について説明する。
【0044】
図3は、本実施形態に係るヒータマトリクス装置におけるヒータユニットの第1の構成例を示す回路図である。図4は、図3の回路動作の一状態を示す回路図である。図5は、図3の回路動作の別の一状態を示す回路図である。
【0045】
図3のヒータユニット110は、nチャネル絶縁ゲート型トランジスタにより形成されるトランジスタT111、スイッチSW111,SW112,SW113、キャパシタC111、およびノードND111,ND112,ND113を有する。
なお、図において、符号gはトランジスタのゲートを、符号dはドレインを、符号sはソースを示している。符号CsはキャパシタC111の容量を示している。
【0046】
ヒータユニット110において、駆動トランジスタとして機能するトランジスタT111のドレインdがノードND111に接続され、ゲートgがノードND112に接続され、ソースsがノードND113に接続されている。そして、ノードND113が接地電位GNDに接続されている。
スイッチSW111が、信号電流Isigが伝搬されるデータ線DTLとノードND113との間に接続されている。スイッチSW112がノードND111とノードND112との間に接続されている。スイッチSW113がノードND111と電源電位VDDとの間に接続されている。
キャパシタC111は、第1電極がノードND112に接続され、第2電極がノードND113(または接地電位GND)に接続されている。
【0047】
ヒータユニット110において、スイッチSW111およびSW112は走査線WSL101〜WSL10mのレベルに応じて同相でオン、オフされる。
スイッチSW113は、走査線WSL101〜WSL10mのレベルに応じて、スイッチSW111,SW112と相補的にオン、オフされる。
【0048】
これらの構成要素のうち、スイッチSW111,SW112が、走査線WSLが選択された状態においてデータ線DTLに与えられた発熱量情報を取り込む受け入れ部として機能する。
キャパシタC111が、走査線が非選択となった後も発熱量情報を保持する保持部として機能する。
そして、トランジスタT111およびスイッチSW113が、書き込まれた発熱量情報に基づいて電流を流し、それに応じた熱量を発生する駆動部として機能する。
【0049】
ヒータユニット110において、駆動電流は、電源電位VDDと接地電位GNDとの間を、トランジスタT111、スイッチSW113を介して流れる。
そして、トランジスタT111とスイッチSW113の抵抗成分によって発生するジュール熱を熱源として使用することができる。
なお、トランジスタT111をnチャネルとしたのは一例であり、本発明ではpチャネルのトランジスタも適宜使用することができる。
【0050】
本実施形態においては、データ線DTLから伝達される加熱量情報は信号電流Isigであり、この信号電流を信号電圧に変換して熱制御する回路構成とすることが望ましい。以下、図3の回路の動作について、図4および図5に関連付けて説明する。
【0051】
図4は、ヒータユニット110に電流レベルの形の加熱量情報(すなわち、信号電流)を書き込む動作を示している。この書き込み動作においては、スイッチSW111,SW112がオン状態であり、スイッチSW113がオフ状態である。
【0052】
トランジスタT111は、ドレインdとゲートgがスイッチSW2によって短絡された状態であり信号電流Isigが流れる(図4参照)。
その結果、信号電流Isigの値に応じたゲート・ソース間の信号電圧Vgsが発生する。
【0053】
そして、トランジスタT111がエンハンスメント型トランジスタ(即ち、しきい値Vth>0)であれば、飽和領域で動作し、信号電流Isigと信号電圧Vgsとの間にはよく知られた下記の式(1)が成立する。
【0054】
[数1]
Isig = μ・Cox・W/L/2・(Vgs−Vth) (1)
【0055】
ここで、μはキャリアの移動度、COXは単位面積当たりのゲート容量、Wはチャネル幅、Lはチャネル長をそれぞれ示している。
【0056】
回路が安定した時点でスイッチSW112をオフ状態とすると、ゲート・ソース間電圧VgsがキャパシタC111に保持されるので、スイッチSW111をオフ状態とすることで信号書き込み動作が完了する。
【0057】
その後、任意のタイミングで、図5に示すように、スイッチSW113をオン状態とすると、電源電圧VDDから接地電位GNDに向かって電流が流れる。このとき、トランジスタT111が飽和領域で動作するように、電源電圧VDDを十分に高く、スイッチSW113のオン抵抗を十分に低く設定すれば、トランジスタT111に流れる駆動電流Idrvは、ドレイン・ソース間電圧Vdsには依存せず下記式(2)で与えられる。そして、この駆動電流Idrvは、前記信号電流Isigに一致する。
【0058】
[数2]
Idrv = μ・Cox・W/L/2・(Vgs−Vth) (2)
【0059】
すなわち、前記式(1)、(2)の右辺に表れる各パラメータは、一般に基板毎に、あるいは同一基板内であっても場所ごとにばらつくが、図4や図5に示した駆動を行うことで、これらの各パラメータの値に関係なく、信号電流Isigと駆動電流Idrvとが一致する。
【0060】
そして、前記信号電流Isigはヒータマトリクス装置外部の制御回路等によって、正確な値で生成することが可能であるから、図3のヒータユニット回路から発生するジュール熱は、トランジスタの特性のばらつき等に影響を受けず、電源電圧VDDと信号電流Isigとの積(VDD×Isig)で決まる正確な値とすることができる。
【0061】
図6は、図3に示す回路構成の変形例を示す回路図である。
【0062】
図6に示す回路は、図3とスイッチSW112の接続関係等が相違する。具体的には、スイッチSW112は、ノードND111とノードND112との間ではなく、データ線DTLとノードND112との間に接続されている。
図6の回路の場合、ノードND112とデータ線DTLとの接続関係は、図3の場合と、スイッチSW111、ノードND111を介するか否かで、回路動作的には、図3と等価である。
図6に示す回路は、図3に示す回路と同様に、信号書き込み時にはスイッチSW111とスイッチSW112をオン状態にし、スイッチSW113をオフ状態とする。
そして、発熱動作時には、スイッチSW111とスイッチSW112をオフ状態にし、スイッチSW113をオン状態とする。
図6の回路も図3の回路と同様の機能を発揮することができる。
【0063】
図7は、図3に示す回路構成の別の変形例を示す回路図である。
【0064】
図7では、トランジスタT111としてpチャネルトランジスタを用いており、電流の向きが逆転している点等で図3の回路と相違する。
図7の回路の場合、トランジスタT111のソースsが電源電位VDD(ノードND113)に接続され、ドレインdがノードND111に接続され、スイッチSW113がノードND111と接地電位GNDとの間に接続されている。
図7の回路は、原理的には図3の回路と共通するものであり、同様の機能を発揮することができる。
【0065】
本発明において、低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(低温ポリシリコンTFT)ではpチャネル絶縁ゲート型トランジスタ(PMOS)を用いることが好適である。低温ポリシリコンTFTでは、PMOSの方が、特性が安定している点で望ましい。
【0066】
図8は、図3に示す回路構成の更に別の変形例を示す回路図である。
【0067】
図8の回路では、各スイッチSW111,SW112,SW113の制御は図3の回路と共通するが、トランジスタT111のソース側から信号電流Isigを引き出す点等で相違する。
図8の回路の場合、トランジスタT111はnチャネルトランジスタであるが、トランジスタT111のドレインdが電源電位VDDに接続され、ドレインdがノードND111に接続され、スイッチSW113がノードND111と接地電位GNDとの間に接続されている。
図8の回路は、ゲート・ドレイン間を短絡した状態で信号電流Isigを流し、それに応じて発生したゲート・ソース間電圧VgsをキャパシタC111に保持させるという動作原理は、図3の回路と共通するものであり、同様の機能を発揮することができる。
【0068】
図9は、図3に示す回路構成の更に別の変形例を示す回路図である。
【0069】
図9の回路では、図3の回路構成に、トランジスタT112、スイッチSW114、キャパシタ112を追加した点等で相違する。スイッチSW114は、スイッチSW112と同様にオン、オフが制御される。
トランジスタT114のゲートがノードND114に接続され、ドレインがノードND113に接続され、ソースが接地電位GNDに接続されている。そして、スイッチSW114はノードND113とノードND114との間に接続され、キャパシタC112の第1電極がノードND114に接続され、第2電極が接地電位GNDに接続されている。
この回路の動作を以下に説明する。
【0070】
図3の回路において、信号電流Isigは式(1)によって与えられ、駆動電流Idrvは式(2)によって与えられ、信号電流Isigと駆動電流Idrvが一致することは既に述べた。このことは、たとえば、MOSトランジスタに流れる電流が、飽和領域動作においてはドレイン・ソース間電圧Vdsにはよらず、ゲート・ソース間電圧Vgsによってのみ決定されるという基本動作に沿うものである。
【0071】
しかるに、現実のトランジスタでは、ドレイン・ソース間電圧Vdsが増加すると、ドレイン・ソース間電流Idsも多少増加するのが普通である。この現象は、ドレインの電位がチャネルの導電状態に影響を与えるバックゲート効果や、ドレイン端の空乏層(欠乏層)がソース側に伸びることで実効的なチャネル長Lが短くなるショートチャネル効果等が原因であると考えられる。
【0072】
図3の回路を例にして説明すると、比較的小さな信号電流Isigを書き込む場合には、式(1)によって発生するゲート・ソース間電圧Vgsは比較的小さな値となり、ドレイン・ソース間電圧Vdsはゲート・ソース間電圧Vgsと等しい小さな値となる。
【0073】
一方、駆動時には、駆動電流Idrvが小さいためにスイッチSW113での電圧降下が小さく、トランジスタT111のドレイン・ソース間電圧Vdsは書き込み時より大きな値となる。このように、書き込み時と駆動時でのトランジスタT111のドレイン・ソース間電圧Vdsは一般に一致しない。したがって、信号電流Isigと駆動電流Idrvも厳密には一致しない。このことが、所望の加熱量が得られない原因となる場合がある。
【0074】
これに対して、図9に示す回路構成の動作を考える。
たとえば、トランジスタT111については、図3の回路と同様に、書き込み時と駆動時とでトランジスタT111のドレイン・ソース間電圧Vdsは一般に一致しない。
しかし、たとえば駆動時のドレイン・ソース間電圧Vdsが大きい場合、信号電流Isigよりも駆動電流Idrvの方が大きくはなるものの、トランジスタT112が飽和状態で動作していれば(言い換えれば、定電流源に近い動作をしていれば)、その微分抵抗は非常に大きい値となる。
【0075】
これによって、駆動電流Idrvが僅かに増加しただけでもトランジスタT111のソース電位が大きく上昇する。これは、トランジスタT111のゲート・ソース間電圧Vgsを減少させ、駆動電流Idrvを減少させる方向に作用する。結果として、駆動電流Idrvは信号電流Isigに対してあまり増加することができず、信号電流Isigと駆動電流Idrvとの一致性は図3の例よりも良好になる。
【0076】
図10は、図3の具体的な構成例を示す回路図である。
【0077】
図10の回路は、3個のスイッチSW111,112はpチャネルトランジスタT113,114により形成され、スイッチSW113はnチャネルトランジスタT115により構成されている。
これら3個のトランジスタT113〜T115のゲートが走査線WSLに共通に接続される。そして、この走査線WSLが低レベルのときに信号書き込み動作を行い、高レベルのときに駆動動作を行うようにさせることができる。
後述するように、本発明において、トランジスタT113,T114,T115の各ゲートを共通接続しない形態とすることもできるが、構造が簡易である点で図10の回路図とすることが好適である。
【0078】
図11は、図10の回路構成の別の変形例を示す回路図である。
【0079】
図11に示す回路構成はトランジスタT114a,T114bを有する点等が、図10に示す回路構成と相違する。
【0080】
一般にTFTは製造過程等で欠陥が生じやすく、たとえば、スイッチトランジスタがオフ状態において微小なリーク電流を流す不具合が確率的に発生する。
図10の回路では、トランジスタT4にリーク電流が生じた場合、リーク電流によってキャパシタC111に保持された電圧が変化する。そのため、正しい発熱状態を維持することができない状況が発生する場合がある。
【0081】
これに対して、図11に示す回路では、図10に用いる1つのトランジスタT114を、直列に接続した2個のトランジスタT114a,T114bで構成しているため、一方に不具合が生じたとしても、全体としては、リーク電流を抑えることができる。
同様に、3個以上のトランジスタを直列に接続することや、トランジスタT113,T115について複数のトランジスタを接続する構成とすることも可能である。
【0082】
図12は、図3の回路構成の更に別の変形例を示す回路図である。
図13は、図12のヒータユニットを有するヒータマトリクス装置の構成例を示す図である。
【0083】
図12に示す回路図は、トランジスタT115の制御をトランジスタT113,T114の制御と独立させた構成例である。
ヒータマトリクス装置100Aは、図2の構成に加えて、トランジスタT115を駆動するための駆動走査線DSL101〜DSL10mおよび駆動線駆動回路104を有する。
【0084】
この場合、信号書き込み時は、書き込み走査線WSL101〜WSL10mと駆動走査線DSL101〜でSL10mとをともに低レベルとする。
書き込み終了後(即ち、書き込み走査線を高レベルとした後)は、任意のタイミングで駆動走査線DSL101〜DSL10mを高レベルとすることで、発熱動作させることができる。
【0085】
逆に、駆動走査線DSL101〜DSL10mを低レベルにすれば、発熱動作を簡便に停止することができるので、速やかに温度を低下させたい場合等に好適である。また、発熱動作時間を調節することも可能であるので、たとえば、信号電流源が小さな電流を正確に生成することが困難である場合であっても、正確な微小発熱動作をさせることができる。
なお、このような動作によって発熱が間欠的になるのを避けたい場合は、発熱量情報が書き込まれてから次の発熱量情報が書き込まれるまでの期間内で、発熱・発熱の停止を複数回繰り返せば、より時間的に安定な発熱が可能である。
【0086】
図14は、図3の回路構成の更に別の変形例を示す回路図である。
【0087】
図14では、電源電位線LVDDは走査線WSLと平行に配置されており、図3のスイッチSW113をダイオードD111で形成していること等が特徴である。
信号書き込み時は電源電圧VDDを低レベルにすればダイオードD111がオフ状態となり、駆動時は電源電圧VDDを高レベルにすればダイオードD111がオン状態となるので、ダイオードD111はスイッチとして動作させることができる。
したがって、図14に示す回路構成は、図12に示す回路構成等とも同様の機能を有することができる。
【0088】
図15は、図3の回路構成の更に別の変形例を示す回路図である。
【0089】
図15に示す回路では、信号電流Isigを電圧の形に変換するトランジスタT116と、発熱のための電流を流すトランジスタT111とが別に設けられている点等で図3に示す回路構成と異なる。
トランジスタT116のドレインとゲート同士が接続され、その接続点がノードND111、ND112に接続され、トランジスタT116のソースが接地電位GNDに接続されている。
【0090】
信号書き込み時は、スイッチSW111,SW112がオン状態となり信号電流IsigをトランジスタT116に流す。このとき、下記式(3)が成立する。
【0091】
[数3]
Isig = μ・Cox・W1/L/2・(Vgs−Vth) (3)
【0092】
また、式(3)において、各パラメータの意味は、前記式(1)に準ずるが、トランジスタT116のチャネル幅をWとした。駆動時は、2つのスイッチSW111,SW112はオフ状態となる。
一方、キャパシタC111には、書き込み動作で生じたゲート・ソース間電圧Vgsが保持されているので、トランジスタT111に流れる駆動電流Idrvについては下記式(4)が成立する。
【0093】
[数4]
Idrv = μ・Cox・W2/L/2・(Vgs−Vth) (4)
【0094】
ここで、トランジスタT111のチャネル幅はWであり、トランジスタT116,T111は、微小な加熱部内に形成されるため、パラメータμ、COX、VthはトランジスタT116,T111について事実上等しいものと考える。また、チャネル長Lは等しい値に設計することができる。その結果、式(3),(4)により下記式(5)を導出することができる。
【0095】
[数5]
Idrv/Isig = W2/W1 (5)
【0096】
式(3),(4)の右辺に現れる各パラメータは一般に基板ごとに、あるいは同一基板内であっても場所ごとにばらつく場合があるが、これらのパラメータの値に関係なく、信号電流Isigと駆動電流Idrvの比は、トランジスタT111とトランジスタT116のチャネル幅の比に一致することがわかる。
【0097】
この回路の特徴は、図3の回路とは異なり、信号電流Isigと駆動電流Idrvの比を任意に調節できることにある。たとえば、微小な発熱をさせたい場合、外部回路が微小な電流を発生させることが困難であれば、式(5)の右辺が小さくなるようにチャネル幅を設計すればよい。逆に、微小な信号電流Isigによって、大きな駆動電流Idrvを制御できるよう設計することも容易である。
【0098】
以上、ヒータマトリクス装置について説明した。
次に、温度検出マトリクス装置について説明する。
【0099】
<温度検出マトリクス装置>
図16は、本発明の実施形態に係る温度検出マトリクス装置の一構成例を示す図である。
【0100】
この温度検出マトリクス装置200は、図16に示すように、温度検出ユニット210がm×nのマトリクス状に配列されたセルアレイ部201、電流駆動回路(IDRV)202、走査線駆動回路(WSDRV)203、電圧検出器(V)204−1〜204−n、電流駆動線IDL201〜IDL20m、温度検出線TSL(Temperature Sense Line)201〜TSL20m、および検出ユニット210を選択し、温度検出ユニット210の検出信号を温度検出線TSL201〜TSL20mに転送するための走査線SSL201〜SSL20mを有する。
【0101】
図17は、本実施形態に係る温度検出ユニットの構成例を示す回路図である。
【0102】
温度検出ユニット210は、図17に示すように、PINダイオードD211、スイッチとしてのnチャネルのトランジスタT211,T212、およびノードND211を有する。
【0103】
PINダイオード211のアノード側がノードND211に接続され、カソード側が接地電位GNDに接続されている。
トランジスタT211のソース、ドレインがノードND211および電流駆動線IDLに接続されている。トランジスタT212のソース、ドレインがノードND211および温度検出線TSLに接続されている。
そして、トランジスタT211とT212のゲートが走査線SSLに共通に接続されている。
【0104】
この例では、走査線SSLが高レベルのときにトランジスタT211,T212がオン状態、走査線SSLが低レベルのときトランジスタT211,T212がオフ状態となる。
【0105】
ここで、温度検出ユニット210の基本動作について説明する。
電流駆動線IDLに電流Idetを供給する電流源I211を接続させ、走査線SSLが高レベルのとき、電流駆動線IDLに接続された電流源I211からPINダイオードD211に対して順方向電流Idetが流れる。
これと並行して、温度検出線TSLに電圧検出器204を接続することにより、PINダイオードD211に発生する順方向電圧を検知することができる。電圧検出器204としてはたとえばアナログディジタルコンバータ等を適用可能である。
【0106】
温度検出ユニット210にいては、PINダイオードD211にて暗電流をセンシングすることで温度検出を行い、この検出温度に応じて温度、たとえばヒータマトリクス装置における各ヒータユニットの発熱量が制御される。
【0107】
図18は、暗電流の温度依存性を示している。
この特性を利用して検出電流から温度を認識することが可能となる。
【0108】
ここでPINダイオードD211に一定の順方向電流Idetを流したときにPINダイオードD211の順方向電圧(FORWARD VOLTAGE)と温度の間には、図19に示すような関係が得られる。
すなわち順方向電圧は温度と直線的に変化しており、PINダイオードD211に接続された温度検出線TSLの順方向電圧を検知することで温度情報を得ることができる。
【0109】
次に、蛍光検出マトリクス装置について説明する。
【0110】
<蛍光検出マトリクス装置>
図20は、本発明の実施形態に係る蛍光検出マトリクス装置の一構成例を示す図である。
【0111】
この蛍光検出マトリクス装置300は、図20に示すように、蛍光検出ユニット310がm×nのマトリクス状に配列されたセルアレイ部301、走査線駆動回路(WSDRV)303、逆方向電圧線(Reverse Voltage line)RVL301、蛍光検出線LSL301〜TSL30m、および検出ユニット310を選択し、蛍光検出ユニット310の検出信号を蛍光検出線LSL301〜LSL30mに転送するための走査線SSL301〜SSL30mを有する。
【0112】
図21は、本実施形態に係る蛍光検出ユニットの構成例を示す回路図である。
【0113】
蛍光検出ユニット310は、図21に示すように、PINダイオードD311、スイッチとしてのpチャネルのトランジスタT311,T312、およびノードND311を有する。
【0114】
PINダイオード311のアノード側がノードND311に接続され、カソード側が接地電位GNDに接続されている。
トランジスタT311のソース、ドレインがノードND311および逆方向電圧線RVLに接続されている。トランジスタT312のソース、ドレインがノードND311および蛍光検出線LSLに接続されている。
そして、トランジスタT311とT312のゲートが走査線SSLに共通に接続されている。
【0115】
この例では、走査線SSLが低レベルのときにトランジスタT311,T312がオン状態、走査線SSLが高レベルのときトランジスタT311,T312がオフ状態となる。
【0116】
ここで、蛍光検出ユニット310の基本動作について説明する。
逆方向電圧線RVLに負の電圧源を接続させ、走査線SSLが低レベルのとき、逆方向電圧線RVLに印加された負の電圧によりPINダイオードD311は逆方向にバイアスされ、逆方向電流IRが流れる。
この逆方向電流Ioutを、蛍光検出線LSLを介して検知することにより蛍光検出することができる。
【0117】
次に、ヒータ温度検出マトリクス装置について説明する。
【0118】
<ヒータ温度検出マトリクス装置>
図22は、本発明の実施形態に係るヒータ温度検出マトリクス装置の一構成例を示す図である。
【0119】
図22のヒータ温度検出マトリクス装置400は、図2のヒータマトリクス装置100と図16の温度検出マトリクス装置200を合成した構成を有している。したがって、図22においては、理解を容易にするために、図2および図16と同一構成部分は同一符号をもって表している。
【0120】
このヒータ温度検出マトリクス装置400は、図22に示すように、ヒータ温度検出ユニット410がm×nのマトリクス状に配列されたセルアレイ部401、データ線駆動回路(DTDRV)102、走査線駆動回路(WSDRV)103、ヒータユニット110に発熱量情報を与えるためのデータ線DTL101〜DTL10m、ヒータユニット110を選択し、発熱量情報を書き込み、書き込まれた発熱量情報に応じた電流を流すための走査線WSL101〜WSL10m、電流駆動回路(IDRV)202、走査線駆動回路(WSDRV)203、電圧検出器(V)204−1〜204−n、電流駆動線IDL201〜IDL20m、温度検出線TSL(Temperature Sense Line)201〜TSL20m、および温度検出ユニット210を選択し、温度検出ユニット210の検出信号を温度検出線TSL201〜TSL20mに転送するための走査線SSL201〜SSL20mを有する。
【0121】
図23は、本実施形態に係るヒータ温度検出ユニットの構成例を示す回路図である。
【0122】
図23のヒータ温度検出ユニット410は、図10のヒータユニット110と図17の温度検出ユニット210を用いて形成されている。
したがって、図23においては、理解を容易にするために図2および図17と同一構成部分は同一符号をもって表している。
【0123】
図22のヒータ温度検出マトリクス装置400によれば、カレントコピアにて発熱量情報として、書き込まれた後に実際の発生熱をセンシングすることで、カレントコピアに対して、発熱量情報書込み量に対して、PINダイオードにて暗電流をセンシングすることで温度制御補正することができる。
【0124】
この場合、ヒータユニット110のヒータ電流と温度検出ユニット210のPINダイオードD211の電流に応じた検出電圧の関係から、PINダイオードD211による温度検出を行うことができる。
【0125】
図24は、ヒータユニットのヒータ電流と温度検出ユニットのPINダイオードの電流に応じた検出電圧の関係を示す図である。
図24において、横軸がヒータ電流を、縦軸がダイオードの電圧を示している。
図中、IF1はダイオード電流が10μAの電圧値、IF2はダイオード電流が100μAの電圧値を表している。
【0126】
ダイオード電流が10μAと100μAのときの、次式で与えられる電圧値の差(ΔV)より温度に換算することができる。
【0127】
[数6]
ΔV=η(kT/q)ln(IF1/IF2) (6)
Temp(C)=5.0072×ΔV+273.15
【0128】
次に、温度蛍光検出マトリクス装置について説明する。
【0129】
<温度蛍光検出マトリクス装置>
図25は、本発明の実施形態に係る温度蛍光検出マトリクス装置の一構成例を示す図である。
【0130】
図25の温度蛍光検出マトリクス装置500は、図16の温度検出マトリクス装置200と図20の蛍光検出マトリクス装置300を合成した構成を有している。したがって、図25においては、理解を容易にするために、図16および図20と同一構成部分は同一符号をもって表している。
【0131】
この温度蛍光検出マトリクス装置500は、図25に示すように、温度蛍光検出ユニット510がm×nのマトリクス状に配列されたセルアレイ部501、電流駆動回路(IDRV)202、走査線駆動回路(WSDRV)203、電圧検出器(V)204−1〜204−n、電流駆動線IDL201〜IDL20m、温度検出線TSL(Temperature Sense Line)201〜TSL20m、検出ユニット210を選択し、温度検出ユニット210の検出信号を温度検出線TSL201〜TSL20mに転送するための走査線SSL201〜SSL20m、蛍光検出ユニット210を選択するための走査線SSL301〜SSL30n、走査線駆動回路(WSDRV)303、逆方向電圧線(Reverse Voltage line)RVL301、および蛍光検出線LSL301〜TSL30mを有する。
【0132】
図26は、本実施形態に係る温度蛍光検出ユニットの構成例を示す回路図である。
【0133】
図26の温度蛍光検出ユニット510は、図17の温度検出ユニット210のPINダイオードD211およびノードND211と、図21の蛍光検出ユニット310のPINダイオードD311およびノードND311とを共用して構成されている。
したがって、図26においては、理解を容易にするために図17および図21と同一構成部分は同一符号をもって表している。
【0134】
この温度蛍光検出ユニット510は、1つのPINダイオードD211(D311)と2つのnチャネルトランジスタT211,T212と2つのpチャネルトランジスタT311,T312により構成されている。
【0135】
図27は、本実施形態に係る温度蛍光検出ユニットおいて、温度検出と蛍光検出時のスイッチとしての各トランジスタの状態を示す図である。
【0136】
走査線SSLには高レベル−低レベルを周期的に変化するスイッチ信号が印加される。nチャネルトランジスタT211とT212およびpチャネルトランジスタT311とT312はゲートが共通に走査線SSLに接続されている。
これにより、走査線SSLが高レベルのときにトランジスタT211,T212がON状態、トランジスタT311,T312がOFF状態となる。
一方、走査線SSLが低レベルのときトランジスタT211,T212がOFF状態、トランジスタT311,T312がON状態となる。
【0137】
図28は、本実施形態に係る温度蛍光検出ユニットの温度検出動作を説明するための図である。図29は、本実施形態に係る温度蛍光検出ユニットの蛍光検出動作を説明するための図である。
【0138】
温度検出時には、電流駆動線IDLに電流Idetを供給する電流源I211を接続させ、走査線SSLが高レベルのとき、図28に示すように、電流駆動線IDLに接続された電流源I211からPINダイオードD211に対して順方向電流Idetが流れる。
これと並行して、温度検出線TSLに電圧検出器204を接続することにより、PINダイオードD211に発生する順方向電圧を検知することができる。
【0139】
ここでPINダイオードD211に一定の順方向電流Idetを流したときにPINダイオードD211の順方向電圧(FORWARD VOLTAGE)と温度の間には、図19に示すような関係が得られる。
すなわち順方向電圧は温度と直線的に変化しており、PINダイオードD211に接続された温度検出線TSLの順方向電圧を検知することで温度情報を得ることができる。
【0140】
蛍光検出時には、逆方向電圧線RVLに負の電圧源を接続させ、走査線SSLが低レベルのとき、逆方向電圧線RVLに印加された負の電圧によりPINダイオードD311は逆方向にバイアスされ、図29に示すように、逆方向電流IRが流れる。
この逆方向電流Ioutを、蛍光検出線LSLを介して検知することにより蛍光検出することができる。
【0141】
図25の温度蛍光マトリクス装置500においては、走査線駆動回路203は走査線SSL201〜SSL20mを順次高レベルにし、それに同期して電流駆動線駆動回路202が各電流駆動線IDL201〜IDL20nに定電流を印加し、温度検出線TSL201〜TSL20nの電圧をモニタすることで、各PINダイオードD211に対して行単位で温度情報を検出することができる。
温度検出終了後は走査線を順次低レベルすれば、各PINダイオードD211に逆方向電圧が印加され、各PINダイオードD211に対して行単位で蛍光情報を検出することができる。
このようにしてユニット各々に温度検出および蛍光を交互に検出させることができる。
【0142】
なお、蛍光検出処理においては、たとえば図30に示すように、まずPINダイオードD211(D311)の暗(ダーク)電流を検出し、それを2値化してV1を得る。V1を2〜3回スキャンして平均値をとる(ST101)。
次に、上述した蛍光検出を行って検出電流を2値化してV2を得る。V2を2〜3回スキャンして平均値をとる(ST102)。
そして、V2とV1の差分をとる(ST103)。
このような処理を行うことにより、精度の高い蛍光検出を実現することが可能となる。
【0143】
次に、ヒータ温度蛍光検出マトリクス装置について説明する。
【0144】
<ヒータ温度蛍光検出マトリクス装置>
図31は、本発明の実施形態に係るヒータ温度検出マトリクス装置の一構成例を示す図である。
【0145】
図31のヒータ温度蛍光検出マトリクス装置600は、図2のヒータマトリクス装置100と、図16の温度検出マトリクス装置200と、図20の蛍光検出マトリクス装置300とを合成した構成を有している。したがって、図31においては、理解を容易にするために、図2、図16、および図20と同一構成部分は同一符号をもって表している。
【0146】
このヒータ温度検出マトリクス装置600は、図31に示すように、ヒータ温度蛍光検出ユニット610がm×nのマトリクス状に配列されたセルアレイ部601、データ線駆動回路(DTDRV)102、走査線駆動回路(WSDRV)103、ヒータユニット110に発熱量情報を与えるためのデータ線DTL101〜DTL10m、ヒータユニット110を選択し、発熱力情報を書き込み、書き込まれた発熱量情報に応じた電流を流すための走査線WSL101〜WSL10m、電流駆動回路(IDRV)202、走査線駆動回路(WSDRV)203、電圧検出器(V)204−1〜204−n、電流駆動線IDL201〜IDL20m、温度検出線TSL(Temperature Sense Line)201〜TSL20m、温度検出ユニット210を選択し、温度検出ユニット210の検出信号を温度検出線TSL201〜TSL20nに転送するための走査線SSL201〜SSL20n、電流駆動回路(IDTC)302、走査線駆動回路(WSDRV)303、逆方向電圧線(Reverse Voltage line)RVL301、および蛍光検出線LSL301〜TSL30mを有する。
【0147】
ただし、データ線駆動回路102と電流駆動回路202を共用化することも可能である。
この場合、データ線DTLと温度検出線TSLが共用化できる。
【0148】
図32は、本実施形態に係るヒータ温度蛍光検出ユニットの構成例を示す回路図である。
【0149】
図32のヒータ温度蛍光検出ユニット600は、図10のヒータユニット110と図26の温度蛍光検出ユニット510を用いてヒータ温度蛍光検出ユニット610が形成されている。
したがって、図32においては、理解を容易にするために図10および図26と同一構成部分は同一符号をもって表している。
この例では、データ線DTLと温度検出線TSLが共用化されている。
【0150】
図31のヒータ温度蛍光検出マトリクス装置600によれば、カレントコピアにて発熱量情報として、書き込まれた後に実際の発生熱をセンシングすることで、カレントコピアに対して、発熱量情報書込み量に対して、PINダイオードにて暗電流をセンシングすることで温度制御補正することができる。
そして、蛍光受光時に発生する受光電流をセンシングすることで、増幅反応を検出することができる。
より具体的には、カレントコピア(ヒータユニット)および温度検出ユニットの回路構成にて発熱制御をリアルタイムにフィードバックする段階で、反応増幅検出のシグナルとして、蛍光検出を温度検出デバイスであるPINダイオードD211にて、蛍光量にて増幅反応をリアルタイムに検出を実現することができる。
【0151】
以上説明したように、DNA増幅反応を行う反応処理装置に適用可能な熱制御マトリクス装置は、次のような効果を得ることができる。
【0152】
アクティブマトリクス制御を行うことで、ウェル毎の個別温度制御が可能で、その結果網羅的に遺伝子の発現量を短時間で解析することができる。
半導体素子の特性にばらつきや温度特性があっても温度検出回路構成を有することで、フィードバック構成によって正確な発熱量を得ることができ、結果として効率の良いPCR制御が可能である。
半導体素子の特性に経時変化があっても温度検出回路構成を有することで、フィードバック構成によって正確な発熱量を得ることができ、信頼性の高いPCR制御装置を提供可能である。
発熱動作を走査線単位で停止する機能を有することで、簡便かつ速やかに温度を下げるこが可能であり、また発熱時間の制御が可能なため、微小な発熱制御が容易である。
書き込まれた発熱情報に対して、実際の発熱量に対して、センシングを高精度に行い、発熱書込み量を補正することで、高精度な発熱量を提供することが可能である。
温度センシングしている温度検出回路構成にて、並行して、増幅反応のシグナルである蛍光検出を同一構成にて実現することが可能である。
【0153】
このように、本実施形態によれば、高精度にかつ個別に熱制御できる反応処理装置とすることができる。この反応処理装置は、精密な熱制御を要する反応に用いる装置として、幅広い用途に用いることができる。そのなかでも、たとえば、遺伝子増幅反応等を行うPCR装置として好適に使用することができる。以下、PCR装置として用いた場合について説明する。
【0154】
一般的なPCR装置では、サーマルサイクラーの温度制御が確かに行われているが、グラディエント機構であるため、各サンプルごとの個別の温度制御は困難である。また、遺伝子増幅反応時の温度制御も個別に行うことができない。その結果、各サンプルの遺伝子増幅量を一定にすることができない等の問題が顕著であった。
【0155】
このようなPCR装置について、本発明に係る反応処理装置を応用することで、前記問題等を解決でき、かつ網羅的解析も可能となるPCR装置とすることができる。以下、本発明のPCR装置の形態について図1および図33に関連付けて説明する。
【0156】
図1は、本発明の実施形態に係る反応処理装置としてのリアルタイムPCR装置の一構成例を示す概念図である。
以下に使用する図面では、説明の便宜上、装置の構成等については簡素化して示している。
【0157】
PCR装置1は、複数の反応領域A1を有するウェル基板11と、光源12と、該光源12より発せられた励起光L1,L2を導く励起光走査板13とを備えている。そして、フィルター14と、蛍光L3を検出する蛍光検出部15と、前記反応領域A1を加熱する加熱部16と、が測定基板17に設けられている。この加熱部16について、前記した回路構成を用いることができるのは勿論である。
【0158】
PCR装置1では、光源12より発せられた励起光L1が、励起光走査板13を経て、励起光L2として各反応領域A1に照射される。そして、反応領域A1内から発せられた蛍光L3を蛍光検出部15により検出・測定される。
【0159】
PCR装置1では、特に、加熱部16を反応領域A1ごとに設け、かつ加熱部16の熱源近傍の温度を検出して電気的信号に変換する温度検出手段を備え、予め得られた前記電気的信号と熱源の加熱量との相関関係に基づいて加熱量を決定する手段を備えることで、各々の反応領域A1を個別に、かつ高精度に温度制御することもできる。
【0160】
各反応領域A1の温度情報を考慮した加熱量情報とすることで、より精度の高い温度制御を行うこともできる。その結果、遺伝子発現量を高精度に解析することができる。以下、PCR装置1の各構成について詳細に説明する。
【0161】
ウェル基板11は、複数の反応領域(ウェル)A1を備えている。この反応領域A1で所定の反応を行う。たとえば、このウェル基板11は、低蛍光発光プラスチック材料やガラスで形成し、人の遺伝子数に匹敵する数の反応領域A1をマトリクス状に配置することができる。
【0162】
本実施形態では、PCR反応のための反応領域(ウェル)A1はマイクロ空間であることが望ましい。たとえば、ウェルを300μm×300μm×300μm(約30nL容量)とし、約4万個のウェルを並べるとすると、約6cm角の面積を有するデバイスとなる。
【0163】
ここで、個々の反応領域A1の形状は特に限定されず、反応溶液を保持できる形状であれば、どのような形状でもよい。励起光L1,L2を照射・導入する光路や、蛍光L3を検出する光路等を考慮して適宜好適な形状を選択することができる。PCR装置1では、反応領域A1内で前記蛍光L3を反射させるため、反応領域A1は曲面部分を有している。
【0164】
光散乱や外光の影響による検出感度の低下を抑制するために、反応領域A1は、遮光する材質(たとえば、ダイヤモンドライクカーボン等)にてコーティングされていることが望ましい。
【0165】
本実施形態では、前記複数の反応領域A1全てに特定波長の励起光を照射可能な光学手段として、光源12や、励起光L1を各反応領域A1に導入するための励起光走査板13を用いることができる。
【0166】
光源12は、特定波長の光を発光するものであればよく、その種類は特に限定されないが、好適には、白色もしくは単色の発光ダイオード(LED)を用いることが望ましい。発光ダイオードを用いることで、不要な紫外線や赤外線を含まない光を簡便に得ることができる。
【0167】
本実施形態では、光源12の設置場所や光源数については特に限定されない。図示はしないが、各反応領域A1に対応するように光源12を複数設け、各光源12が対応する各反応領域A1に向かって励起光を直接照射する構造としてもよい。
これにより、各反応領域A1を光源12で直接照射できるため、励起光量をより多く採取でき、かつ励起光L1,L2の光量を個別に制御することができ、各反応領域A1に均一に励起光L1,L2を照射できる。
【0168】
励起光走査板13は、光源12から発せられる励起光L1をウェル基板11内の各反応領域A1に導くものである。前記励起光走査板13内部のスペーサ131に光源12から発せられる励起光L1が導入される。
そして、前記励起光走査板13の底部には反射膜132が設けられており、ウェル基板11へ励起光L2を導入することができる。これにより、各反応領域A1内の反応液中の蛍光物質を均一な光量で励起させることができる。前記反射膜132の材料等については特に限定されないが、好適には、ダイクロックミラーを用いることが望ましい。
【0169】
また、本実施形態では、励起光走査板13の上部に、前記励起光L1,L2の波長光のみを透過するフィルター133を設けることが望ましい。
これにより、光源12から発せられる光から励起光L2を効率よく取り出し、反応領域A1へ導くことができる。このフィルター133としては、たとえば偏光フィルター等を用いることができる。
【0170】
反応領域A1に照射された励起光L2は、反応領域A1内の反応液中のプローブの蛍光物質等に照射されることで蛍光L3を発する。この蛍光L3は反応領域A1内の壁面で反射して、反応領域A1下方に設けられた蛍光検出部15で検出・測定される。
【0171】
また、本実施形態では、特定波長の光を取り出すことができるように、反応領域A1と蛍光検出部15との間にもフィルター14を配置できる。前記フィルター14は特定波長の光(蛍光L3等)を取り出すことができればよく、その材料は限定されないが、たとえば、ダイクロイックミラーを用いることができる。
【0172】
蛍光検出部15は、反応領域A1に照射された励起光L2に応答して、インターカレートしたプローブ中の蛍光色素が励起することで発せられる蛍光を検出・測定する。
【0173】
PCR装置1では、加熱部16を各反応領域A1にそれぞれ設けている。加熱部16は温度制御機構を備えており、これにより加熱部16の反応領域A1の温度制御を行う。これにより、たとえば、PCRサイクルを行う場合、熱変性→アニーリング→伸長反応のステップについてより高精度の温度制御を行うことができる。
【0174】
図33は、本発明の実施形態に係る反応処理装置としてのリアルタイムPCR装置の他の構成例を示す概念図である。
以下、図1に示す形態との相違点を中心に説明し、共通する部分についてはその説明を割愛する。
【0175】
このPCR装置2は、反応領域(ウェル)A2ごとに蛍光検出部25や加熱部26を測定基板27上に備えている点では、第1の実施形態と共通する。しかし、励起光L2をウェル基板21の上方から照射して、反応領域A2内を透過した蛍光L3を検出する点等で相違する。
【0176】
PCR装置2では、光源22から発せられる励起光L1が、励起光走査板23によって反応領域A2に導かれる。励起光走査板23では、スペーサ231を励起光L1が通過し、反射膜232とフィルター233によりウェル基板21に励起光L2が導入される。
【0177】
そして、励起光L2は、反応領域A2内の反応液中のプローブの蛍光物質等に照射されることで蛍光L3を発する。この蛍光L3は、反応領域A1の下方に設けられた蛍光検出部25で検出・測定される。
【0178】
また、温度制御は、反応領域A2下方に設けられた加熱部26により行われ、ペルチェ素子28等によって加熱サイクル等の温度制御を行うことができる。
【0179】
一般的なPCR装置では、「熱変性→アニーリング→伸長反応」からなるサイクルを30サイクル程度行うために25〜30分の反応時間を要する。その際、約2℃/秒の温度制御を行っている。
これに対して、本実施形態のPCR装置では、20℃以上/秒の温度制御が可能であるため、1サイクルあたり40秒程度の時間短縮が可能となり、30サイクル全体ではおよそ25分以下の反応時間が達成できる。
【0180】
また、プライマーの設計に応じて、アニーリング時間、伸長反応時間をコントロールすることができるため、増幅率を一定倍率(たとえば2倍等)に揃えることができるため、遺伝子発現量の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】本発明の実施形態に係る反応処理装置としてのリアルタイムPCR装置の一構成例を示す概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係るヒータマトリクス装置の一構成例を示す図である。
【図3】本実施形態に係るヒータマトリクス装置におけるヒータユニットの第1の構成例を示す回路図である。
【図4】図3の回路動作の一状態を示す回路図である。
【図5】図3の回路動作の別の一状態を示す回路図である。
【図6】図3に示す回路構成の変形例を示す回路図である。
【図7】図3に示す回路構成の別の変形例を示す回路図である。
【図8】図3に示す回路構成の更に別の変形例である回路図である。
【図9】図3に示す回路構成の更に別の変形例である回路図である。
【図10】図3の具体的な構成例を示す回路図である。
【図11】図10の回路構成の別の変形例を示す回路図である。
【図12】図3の回路構成の更に別の変形例を示す回路図である。
【図13】図12のヒータユニットを有するヒータマトリクス装置の構成例を示す図である。
【図14】図3の回路構成の更に別の変形例を示す回路図である。
【図15】図3の回路構成の更に別の変形例を示す回路図である。
【図16】本発明の実施形態に係る温度検出マトリクス装置の一構成例を示す図である。
【図17】本実施形態に係る温度検出ユニットの構成例を示す回路図である。
【図18】暗電流の温度依存性を示す図である。
【図19】PINダイオードに一定の順方向電流を流したときにPINダイオードの順方向電圧と温度との関係を示す図である。
【図20】本発明の実施形態に係る蛍光検出マトリクス装置の一構成例を示す図である。
【図21】本実施形態に係る蛍光検出ユニットの構成例を示す回路図である。
【図22】本発明の実施形態に係るヒータ温度検出マトリクス装置の一構成例を示す図である。
【図23】本実施形態に係るヒータ温度検出ユニットの構成例を示す回路図である。
【図24】ヒータユニットのヒータ電流と温度検出ユニットのPINダイオードの電流に応じた検出電圧の関係を示す図である。
【図25】本発明の実施形態に係る温度蛍光検出マトリクス装置の一構成例を示す図である。
【図26】本実施形態に係る温度蛍光検出ユニットの構成例を示す回路図である。
【図27】本実施形態に係る温度蛍光検出ユニットおいて、温度検出と蛍光検出時のスイッチとしての各トランジスタの状態を示す図である。
【図28】本実施形態に係る温度蛍光検出ユニットの温度検出動作を説明するための図である。
【図29】本実施形態に係る温度蛍光検出ユニットの蛍光検出動作を説明するための図である。
【図30】蛍光検出処理の一例を説明するための図である。
【図31】本発明の実施形態に係るヒータ温度検出マトリクス装置の一構成例を示す図である。
【図32】本実施形態に係るヒータ温度蛍光検出ユニットの構成例を示す回路図である。
【図33】本発明の実施形態に係る反応処理装置としてのリアルタイムPCR装置の他の構成例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0182】
1,2・・・PCR装置(反応処理装置)、100・・・ヒータマトリクス装置、110・・・ヒータユニット、200・・・温度検出マトリクス装置、210・・・温度検出ユニット、200・・・蛍光検出マトリクス装置、310・・・蛍光検出ユニット、400・・・ヒータ温度検出マトリクス装置、410・・・ヒータ温度検出ユニット、500・・・温度蛍光検出マトリクス装置、510・・・温度蛍光検出ユニット、600・・・ヒータ温度検出マトリクス装置、610・・・ヒータ温度蛍光検出ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNA増幅反応を行う反応処理装置における熱制御マトリクス装置であって、
マトリクス状に配置された複数のヒータユニットと、
前記各ヒータユニットを選択するための走査線と、
前記ヒータユニットに発熱量情報を与えるためのデータ線と、を有し、
前記各ヒータユニットは、
前記走査線が選択された状態において前記データ線に与えられた発熱量情報を取り込む受け入れ部と、
前記走査線が非選択となった後も発熱量情報を保持する保持部と、
前記発熱量情報に基づいて電流を流し、それに応じた熱量を発生する駆動部と、を含む
熱制御マトリクス装置。
【請求項2】
前記各ヒータユニットは、
前記データ線から電流レベルの形で与えられた発熱量情報を示す信号電流を一旦電圧レベルの形に変換する変換部と、
変換された電圧レベルを保持する前記保持部と、
保持された電圧レベルを電流レベルの形に変換して駆動する前記駆動部と、を含む
請求項1記載の熱制御マトリクス装置。
【請求項3】
前記保持部は、
少なくとも一つのキャパシタを含み、
前記駆動部は、
電源電位と基準電位間に直列に接続されたスイッチおよびゲートに前記キャパシタが接続された少なくとも一つの電界効果トランジスタを含み、
前記受け入れ部は、
前記データ線の発熱量情報を上記キャパシタに転送し、電荷を蓄積させるスイッチを含み、
前記駆動部のスイッチと前記受け入れ部のスイッチは相補的にオン、オフされる
請求項1記載の熱制御マトリクス装置。
【請求項4】
DNA増幅反応を行う反応処理装置における熱制御マトリクス装置であって、
マトリクス状に配置された複数の温度検出ユニットと、
前記各温度検出ユニットを選択するための走査線と、
前記温度検出ユニットに電流を供給するための電流駆動線と、
前記温度検出ユニットの電流を検出する検出線と、を有し、
前記各温度検出ユニットは、
前記電流駆動線による電流が供給され順方向電流が流れるPINダイオードと、
前記電流駆動線の電流を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる電流を前記検出線に転送する転送部と、を含む
熱制御マトリクス装置。
【請求項5】
前記転送部は、
温度検出時にオン状態に保持されるスイッチを含む
請求項4記載の熱制御マトリクス装置。
【請求項6】
DNA増幅反応を行う反応処理装置における熱制御マトリクス装置であって、
マトリクス状に配置された複数の蛍光検出ユニットと、
前記各蛍光検出ユニットに逆方向電圧を供給するための逆方向電圧線と、

前記蛍光検出ユニットの逆電流を検出する検出線と、を有し、
前記各蛍光検出ユニットは、
前記逆方向電圧線による逆方向電圧が供給されるPINダイオードと、
前記逆方向電圧線の逆方向電圧を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる逆電流を前記検出線に転送する転送部と、を含む
熱制御マトリクス装置。
【請求項7】
前記転送部は、
温度検出時にオン状態に保持されるスイッチを含む
請求項6記載の熱制御マトリクス装置。
【請求項8】
DNA増幅反応を行う反応処理装置における熱制御マトリクス装置であって、
マトリクス状に配置された複数のヒータユニットと、
上記各ヒータユニットに対応してマトリクス状に配置され、前記ヒータユニットにより加熱された温度を検出する複数の温度検出ユニットと、
前記各ヒータユニットを選択するための第1の走査線と、
前記ヒータユニットに発熱量情報を与えるためのデータ線と、
前記各温度検出ユニットを選択するための第2の走査線と、
前記温度検出ユニットに電流を供給するための電流駆動線と、
前記温度検出ユニットの電流を検出する検出線と、を有し、
前記各ヒータユニットは、
前記走査線が選択された状態において前記データ線に与えられた発熱量情報を取り込む受け入れ部と、
前記走査線が非選択となった後も発熱量情報を保持する保持部と、
前記発熱量情報に基づいて電流を流し、それに応じた熱量を発生する駆動部と、を含み、
前記各温度検出ユニットは、
前記電流駆動線による電流が供給され順方向電流が流れるPINダイオードと、
前記電流駆動線の電流を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる電流を前記検出線に転送する転送部と、を含む
熱制御マトリクス装置。
【請求項9】
前記検出線で検出された情報に基づき上記ヒータユニットの発熱量が上記発熱量情報により制御される
請求項8記載の熱制御マトリクス装置。
【請求項10】
DNA増幅反応を行う反応処理装置における熱制御マトリクス装置であって、
マトリクス状に配置された複数の温度検出ユニットと、
前記温度検出ユニットに対応してマトリクス状に配置された複数の蛍光検出ユニットと、
前記各温度検出ユニットおよび前記蛍光検出ユニットを選択するための少なくとも一つの走査線と、
前記温度検出ユニットに電流を供給するための電流駆動線と、
前記温度検出ユニットの電流を検出する第1の検出線と、
前記各蛍光検出ユニットに逆方向電圧を供給するための逆方向電圧線と、
前記蛍光検出ユニットの逆電流を検出する第2の検出線と、を有し、
前記各温度検出ユニットは、
前記電流駆動線による電流が供給され順方向電流が流れるPINダイオードと、
前記電流駆動線の電流を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる電流を前記検出線に転送する第1の転送部と、を含み、
前記各蛍光検出ユニットは、
前記逆方向電圧線による逆方向電圧が供給されるPINダイオードと、
前記逆方向電圧線の逆方向電圧を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる逆電流を前記検出線に転送する第2の転送部と、を含む
熱制御マトリクス装置。
【請求項11】
前記温度検出ユニットと前記蛍光検出ユニットとは、前記PINダイオードを共用している
請求項10記載の熱制御マトリクス装置。
【請求項12】
前記PINダイオードにて暗電流をセンシングすることで温度制御補正を行い、並びに蛍光受光時に発生する受光電流をセンシングすることで、増幅反応を検出する機能を有する
請求項11記載の熱制御マトリクス装置。
【請求項13】
DNA増幅反応を行う反応処理装置における熱制御マトリクス装置であって、
マトリクス状に配置された複数のヒータユニットと、
上記各ヒータユニットに対応してマトリクス状に配置され、前記ヒータユニットにより加熱された温度を検出する複数の温度検出ユニットと、
前記温度検出ユニットに対応してマトリクス状に配置された複数の蛍光検出ユニットと、
前記各ヒータユニットを選択するための第1の走査線と、
前記ヒータユニットに発熱量情報を与えるためのデータ線と、
前記各温度検出ユニットおよび前記蛍光検出ユニットを選択するための少なくとも一つの第2の走査線と、
前記温度検出ユニットに電流を供給するための電流駆動線と、
前記温度検出ユニットの電流を検出する第1の検出線と、
前記各蛍光検出ユニットに逆方向電圧を供給するための逆方向電圧線と、
前記蛍光検出ユニットの逆電流を検出する第2の検出線と、を有し、
前記各ヒータユニットは、
前記走査線が選択された状態において前記データ線に与えられた発熱量情報を取り込む受け入れ部と、
前記走査線が非選択となった後も発熱量情報を保持する保持部と、
前記発熱量情報に基づいて電流を流し、それに応じた熱量を発生する駆動部と、を含み、
前記各温度検出ユニットは、
前記電流駆動線による電流が供給され順方向電流が流れるPINダイオードと、
前記電流駆動線の電流を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる電流を前記検出線に転送する第1の転送部と、を含み、
前記各蛍光検出ユニットは、
前記逆方向電圧線による逆方向電圧が供給されるPINダイオードと、
前記逆方向電圧線の逆方向電圧を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる逆電流を前記検出線に転送する第2の転送部と、を含む
熱制御マトリクス装置。
【請求項14】
前記第1の検出線で検出された情報に基づき上記ヒータユニットの発熱量が上記発熱量情報により制御される
請求項13記載の熱制御マトリクス装置。
【請求項15】
前記温度検出ユニットと前記蛍光検出ユニットとは、前記PINダイオードを共用している
請求項13記載の熱制御マトリクス装置。
【請求項16】
前記PINダイオードにて暗電流をセンシングすることで温度制御補正を行い、並びに蛍光受光時に発生する受光電流をセンシングすることで、増幅反応を検出する機能を有する
請求項15記載の熱制御マトリクス装置。
【請求項17】
前記温度検出ユニットに検出結果にて発熱制御をリアルタイムにフィードバックする段階で、反応増幅検出のシグナルとして、蛍光検出を温度検出デバイスであるPINダイオードにて、蛍光量にて増幅反応をリアルタイムに検出を行う
請求項15記載の熱制御マトリクス装置。
【請求項18】
複数の反応領域を有する反応処理装置であって、
熱制御を行うための熱制御マトリクス装置を有し、
前記熱制御マトリクス装置は、
前記反応領域に対応してマトリクス状に配置された複数のヒータユニットと、
上記各ヒータユニットに対応してマトリクス状に配置され、前記ヒータユニットにより加熱された温度を検出する複数の温度検出ユニットと、
前記温度検出ユニットに対応してマトリクス状に配置された複数の蛍光検出ユニットと、
前記各ヒータユニットを選択するための第1の走査線と、
前記ヒータユニットに発熱量情報を与えるためのデータ線と、
前記各温度検出ユニットおよび前記蛍光検出ユニットを選択するための少なくとも一つの第2の走査線と、
前記温度検出ユニットに電流を供給するための電流駆動線と、
前記温度検出ユニットの電流を検出する第1の検出線と、
前記各蛍光検出ユニットに逆方向電圧を供給するための逆方向電圧線と、
前記蛍光検出ユニットの逆電流を検出する第2の検出線と、を有し、
前記各ヒータユニットは、
前記走査線が選択された状態において前記データ線に与えられた発熱量情報を取り込む受け入れ部と、
前記走査線が非選択となった後も発熱量情報を保持する保持部と、
前記発熱量情報に基づいて電流を流し、それに応じた熱量を発生する駆動部と、を含み、
前記各温度検出ユニットは、
前記電流駆動線による電流が供給され順方向電流が流れるPINダイオードと、
前記電流駆動線の電流を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる電流を前記検出線に転送する第1の転送部と、を含み、
前記各蛍光検出ユニットは、
前記逆方向電圧線による逆方向電圧が供給されるPINダイオードと、
前記逆方向電圧線の逆方向電圧を前記PINダイオードに供給し、前記PINダイオードに流れる逆電流を前記検出線に転送する第2の転送部と、を含む
反応処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2009−254258(P2009−254258A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105839(P2008−105839)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】