説明

熱収縮性フィルムによる熱収縮包装方法及び熱収縮性フィルムの加熱装置、並びに熱収縮包装装置

【課題】熱媒体の単位体積当たりの熱量が高い熱媒体を用いて、熱収縮性フィルムを均一に加熱収縮させて被包装物に安定して密着させることが可能であり、且つ、被包装物や熱収縮性フィルムに水分を付着させずに、被包装物を短時間で簡単に包装することが可能な被包装物の熱収縮包装方法を提供する。
【解決手段】被包装物(7,49)の少なくとも一部を熱収縮性フィルム(8,50)で被覆し、前記熱収縮性フィルム(8,50)を加熱収縮させて前記被包装物(7,49)の周面に密着させることによって、前記被包装物(7,49)を前記熱収縮性フィルム(8,50)により包装する熱収縮包装方法であって、前記被包装物(7,49)を被覆した熱収縮性フィルム(8,50)に過熱蒸気を噴射して前記熱収縮性フィルム(8,50)を加熱収縮させることを特徴とする熱収縮性フィルム(8,50)による熱収縮包装方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物に被覆した熱収縮性フィルムを加熱収縮させることにより、被包装物を包装する熱収縮包装方法及びその装置に関し、特に、被包装物へ水滴を付着させることなく、短時間で均一に熱収縮性フィルムを加熱収縮させることが可能な熱収縮包装方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、包装用プラスチックフィルムとして熱収縮性のフィルムが多く用いられている。この熱収縮性フィルムを用いた包装方法として、熱収縮性フィルムによって被包装物の周面を被覆し、熱収縮性フィルムを被包装物の形状や寸法に合わせて溶断するとともに、その溶断した端縁を溶着した後、熱収縮性フィルムを加熱収縮させて被包装物の周面に密着させることによって被包装物を包装する技術が広く知られている。
【0003】
このような熱収縮性フィルムを加熱収縮させることによって被包装物を包装することに関する発明が、特開平10−194242号公報(特許文献1)に開示されている。この特許文献1に記載されている熱収縮性フィルムによる熱収縮包装方法は、幅広の熱収縮性フィルムを長手方向に沿って二つ折りにして開口装置に導入し、同開口装置により反転させながら断面コ字状に開口して、その開口に被包装物品を導入する。続いて、熱収縮性フィルムの開口内に導入された被包装物が、搬送手段となるベルトコンベアによってL字型のヒートシーラの下に搬送された後、このL字型のヒートシーラによって被包装物の2周面に沿って存在する熱収縮性フィルムを溶断すると同時に溶着する。その後、熱収縮性フィルムに被覆された被包装物は、熱収縮性フィルムの加熱収縮装置であるヒートトンネルに送られて、熱収縮性フィルムを加熱して収縮させることにより被包装物の周面に密着させて、被包装物の熱収縮包装が終了する。
【0004】
このような熱収縮性フィルムによる被包装物の熱収縮包装において、前記加熱収縮装置(ヒートトンネル)としては、熱風を用いて熱収縮性フィルムを加熱収縮させる装置が広く用いられている。例えば図8及び図9に示すように、熱風による熱収縮性フィルムの加熱収縮装置51は、熱収縮性フィルム59で被覆された被包装物58を室内に導入して、その熱収縮性フィルム59を加熱収縮させる加熱収縮室52と、被包装物58を搬送するベルトコンベア53と、加熱収縮室52内で空気を連続的に送風して循環させる送風手段54と、加熱収縮室52内を循環する空気を加熱する加熱ヒーター55と、加熱収縮室52の内壁面に形成されており、加熱ヒーター55により加熱された熱風を被包装物58に向けて噴射する複数の熱風噴射ノズル56とを有している。なお、図8及び図9に示されている矢印は、加熱ヒーター55により加熱された熱風の流れを示しており、加熱ヒーター55により加熱された熱風は、熱風噴射ノズル56によって加熱収縮室52の室内に噴射された後、加熱収縮室52の室内上面に設けられた流出口57から送風手段54を介して再び加熱ヒーター55に流れるように循環させている。
【0005】
このような加熱収縮装置51によれば、熱収縮性フィルム59で被覆された被包装物58がベルトコンベア53により加熱収縮室52内を通過する際に、加熱収縮室52の左右内壁面及び底面に配した複数の熱風噴射ノズル56から熱風を被包装物58に噴射することによって、熱収縮性フィルム59を熱風により加熱収縮させて被包装物58を包装することができる。また、水分を用いずに熱収縮性フィルム59を加熱できるため、紙類や粉類、及び食品衛生の点で水分や湿気を嫌う被包装物(例えば、食品用蓋など)を包装する際に好適に利用することができる。
【0006】
しかしながら、熱風によって加熱収縮を行う前記加熱収縮装置51は、熱風の単位体積当たりの熱量が低く、それを補うために空気をフィルム加熱温度よりも高温に加熱することが必要となるため、熱効率が低いという欠点があった。また、空気を熱媒体としているために熱風に温度むらが生じ易く、熱収縮性フィルムを均一に加熱することが難しい。従って、熱収縮性フィルムに収縮むらが生じたり、更には、加熱された空気が局部的に高温になることにより熱収縮性フィルムに破袋が発生したりする問題があり、これらの問題を解消して被包装物を体裁よく包装するためには、熱風噴射ノズルの配設を被包装物の形状等に応じて精密に調整するといった高い技術力が必要とされた。
【0007】
近年において、熱収縮性フィルムによる熱収縮包装は様々な分野に用途が拡大してきているが、大別すると被包装物の全体を熱収縮性フィルムで包装するものと、被包装物の一部のみを包装するものとに分けられる。例えば、被包装物の全体を熱収縮性フィルムで包装する熱収縮包装は、熱収縮性フィルムとして二軸延伸フィルムが用いられており、カップラーメン等の容器を代表とする被包装物の包装に利用されている。
【0008】
また、カップラーメン等の容器は、ごみのリサイクル等の問題により、文字や模様等の印刷を容器には行わず、包装する熱収縮性フィルム自体に印刷を行うものが増えている。更に、水滴の残留による雑菌繁殖の懸念から、熱収縮性フィルムの加熱収縮を行う際には、前述のような熱風を噴射する加熱収縮装置が一般的に用いられている。しかし、熱風を噴射する加熱収縮装置は、前述のように熱収縮性フィルムに収縮むらが生じて印刷に歪みが生じ易いことから、このような印刷の歪みを防ぐためにも熱風噴射ノズルの配設を調整する高い技術力が必要とされており、コストアップを招く要因の一つとなっていた。
【0009】
一方、熱収縮性フィルムを加熱収縮させる加熱収縮装置には、熱風を噴射する前記加熱収縮装置51の他に、蒸気(水蒸気)を被包装物及び熱収縮性フィルムに噴射することによって、熱収縮性フィルムを加熱収縮させる加熱収縮装置も知られている。このような蒸気による熱収縮性フィルムの加熱収縮装置は、熱媒体として水蒸気が用いられているため、熱風を噴射する前記加熱収縮装置51に比べて単位体積当たりの熱量が高く、熱収縮性フィルムを均一に収縮させて安定した包装仕上りを得ることができる。
【0010】
しかしながら、水蒸気を噴射する加熱収縮装置は、水蒸気の温度が1気圧の条件下で100℃以下となるため、熱収縮性フィルムの収縮応力が小さく、例えば被包装物が複雑な形状を有していたり、また、その周面に大きな凹凸が形成されていたりすると、熱収縮性フィルムを被包装物に十分に密着させることができなくなる等の不具合が生じる。また、水蒸気が被包装物や熱収縮性フィルムに直接接触するため、前述のような水分や湿気を嫌う被包装物などに対しては利用することが難しいという問題があり、適用可能な被包装物の範囲が大幅に制限されていた。更に、蒸気の水滴化による熱損失が大きいという欠点がある上に、例えば熱収縮性フィルムによって包装した包装品を後工程にてダンボールに梱包する場合等では、ダンボールへの梱包前に乾燥等の処理を行う必要があるため、作業の煩雑化やコストの増大を招くといった問題もあった。
【0011】
そこで、熱風を噴射する加熱収縮装置、及び水蒸気を噴射する加熱収縮装置における前述のような種々の問題を解決するために、特開2001−48128号公報(特許文献2)には、熱収縮性フィルムが被覆された被包装物に対して、熱風と蒸気(又は加湿空気)との混合体を用いて熱収縮性フィルムを加熱収縮させることによって、被包装物を包装する熱収縮包装が開示されている。この特許文献2に開示されているような熱風と蒸気との混合体を用いた熱収縮包装によれば、熱収縮性フィルムが湿潤状態の熱風により加熱されて収縮するため、熱収縮性フィルムを被包装物の周面にむらなく密着させて被包装物を包装することが可能となり、また、被包装物や熱収縮性フィルムへの水分の付着も少量であるため、後工程において水分を除去するための乾燥等の処理を要しないとしている。
【特許文献1】特開平10−194242号公報
【特許文献2】特開2001−48128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、前記特許文献2に開示されているような熱風と蒸気との混合体によって熱収縮性フィルムを加熱収縮させる場合、例えば、混合する蒸気の割合を増大させて加熱収縮装置内の水分を高めると、熱風に比べて単位体積当たりの熱量を高めることができるものの、被包装物に噴射する前記混合体の温度が必然的に低下するため、熱収縮性フィルムの収縮応力が不足し易くなる。これにより、複雑な形状を有する被包装物や周面に大きな凹凸を有する被包装物に対しては、熱収縮性フィルムを十分に密着させることが難しく、安定した包装を行うことができないという問題が依然として残っていた。
【0013】
また一方、蒸気の割合を減少させて前記混合体の温度を高めた場合、単位体積当たりの熱量が低下し、また、混合体の温度に温度むらが生じて熱収縮性フィルムを均一に加熱することが難しいため、熱収縮性フィルムの収縮むらや破袋が生じ易くなる。従って、熱風と蒸気との混合体により熱収縮性フィルムの加熱収縮を行っても、単位体積当たりの熱量と混合体の温度とを同時に高めることが困難であるため、従来の問題点を完全に解消できるほどの大きな効果は期待できなかった。
【0014】
ところで、例えばペットボトルや一升瓶等のような縦方向に細長い形状を有する被包装物を熱収縮性フィルムによって包装する場合、従来では、熱収縮性フィルムとして、印刷を施した一軸延伸フィルムが一般的に用いられている。また、このような印刷を施した一軸延伸フィルムを用いて縦長状の被包装物の包装を行う場合には、熱風や水蒸気による熱収縮性フィルムの加熱収縮が利用されており、特に近年では、包装処理の高速化に伴って単位体積当たりの熱量が高い水蒸気による加熱収縮を行う方式が主流となってきている。
【0015】
また、例えば一升瓶等の被包装物を熱収縮性フィルムによって全体的に包装する場合、図7(b)に示したように、被包装物49の部位によってその横断面の断面積が大きく異なるため、熱収縮性フィルム50の収縮比率に大きな差を与えなければならない。しかしながら、熱収縮性フィルム50を熱風や水蒸気により加熱収縮させる従来の包装では、収縮むらが生じたり、或いは収縮応力が不足したりするため、被包装物49の全体を1枚の熱収縮性フィルム50で体裁よく包装することが困難であった。このため、熱収縮性フィルム50を被包装物49の胴部49aとキャップ部49bとに分割して被覆し、それぞれの熱収縮性フィルム50を加熱収縮させて熱収縮包装を行うことが必要とされ、包装作業の煩雑化や作業時間の増加を招く上に、包装のデザイン性も制限されるという欠点があった。
【0016】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、熱媒体の単位体積当たりの熱量が高い熱媒体を用いて、熱収縮性フィルムを均一に加熱収縮させて、フィルムの収縮むらや破袋を生じさせずに熱収縮性フィルムを被包装物に安定して密着させることが可能であり、且つ、被包装物や熱収縮性フィルムに水分を付着させずに、被包装物を短時間で簡単に包装することが可能な被包装物の熱収縮包装方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明により提供される被包装物の熱収縮包装方法は、基本的な構成として、被包装物の少なくとも一部を熱収縮性フィルムで被覆し、前記熱収縮性フィルムを加熱収縮させて前記被包装物の周面に密着させることによって、前記被包装物を前記熱収縮性フィルムにより包装する熱収縮包装方法であって、前記被包装物を被覆した熱収縮性フィルムに過熱蒸気を噴射して前記熱収縮性フィルムを加熱収縮させることを最も主要な特徴とするものである。
【0018】
特に、本発明に係る熱収縮包装方法は、前記過熱蒸気として、1気圧を基準としたときに100℃よりも高く300℃以下となる過熱水蒸気を用いることが好ましい。
【0019】
次に、本発明により提供される熱収縮性フィルムの加熱収縮装置は、室内に導入された被包装物の少なくとも一部を被覆した熱収縮性フィルムを加熱収縮させる加熱収縮室と、前記加熱収縮室内を通過させて前記被包装物を搬送する被包装物搬送部と、前記熱収縮性フィルムを加熱収縮させる過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成装置と、前記過熱蒸気生成装置で生成した前記過熱蒸気を前記加熱収縮室の室内に案内する過熱蒸気案内路と、前記加熱収縮室の内壁面に配され、前記過熱蒸気案内路により案内された前記過熱蒸気を前記加熱収縮室の室内に向けて噴射する過熱蒸気噴射ノズルと、を備えていることを最も主要な特徴とするものであり、更に、前記過熱蒸気案内路内で前記過熱蒸気を前記過熱蒸気噴射ノズルに向けて強制的に送り出す送風装置も備えていることが好ましい。
【0020】
また、本発明の加熱収縮装置においては、前記過熱蒸気が過熱水蒸気であり、前記過熱蒸気生成装置は、水蒸気発生源と前記過熱蒸気案内路との間に配され、水蒸気を加熱手段を用いて過熱する過熱部と、前記加熱手段の加熱温度を調整する加熱温度調整手段とを備えていることが好ましい。更に、前記過熱部の下流側に、生成した前記過熱蒸気の流量を調整する流量制御バルブが配されていることがより好ましい。
【0021】
更に、本発明により提供される熱収縮包装装置は、被包装物を連続的に又は間歇的に供給する被包装物供給手段と、前記被包装物の供給に合わせて熱収縮性フィルムを供給するフィルム供給手段と、供給された前記被包装物に、前記熱収縮性フィルムを被覆するフィルム被覆手段と、前記フィルム被覆手段にて前記熱収縮性フィルムが被覆された前記被包装物を搬送する搬送手段と、前記被包装物に被覆した前記熱収縮性フィルムを加熱収縮するための前述の本発明の構成を有する加熱収縮装置とを備えていることを主要な特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る被包装物の熱収縮包装方法は、被包装物を被覆している熱収縮性フィルムを加熱収縮させる熱媒体として、従来のような熱風、蒸気(飽和蒸気)、或いは熱風と蒸気との混合体を利用するものではなく、飽和蒸気を更に加熱することにより得られる過熱蒸気を利用するものである。このように過熱蒸気を用いて熱収縮性フィルムを加熱収縮させることにより、単位体積当たりの熱量を従来用いられていた熱媒体よりも大幅に高めることができ、しかも、熱収縮性フィルムを飽和蒸気よりも高い温度で加熱収縮させることができる。
【0023】
従って、本発明における第1の効果として、熱収縮性フィルムを均一に加熱し且つ十分な収縮応力で収縮させることができるため、熱収縮性フィルムに収縮むらや破袋が生じ難く、また、被包装物が複雑な形状やその周面に大きな凹凸を有していても、熱収縮性フィルムを被包装物に安定して密着させることができ、包装品の美観を従来よりも大きく向上させることが可能となる。また、熱収縮性フィルムに収縮むらが発生し難いことから、過熱蒸気を被包装物に向けて噴射する噴射ノズルの高精度な調整技術も必要とされないため、熱収縮包装を簡便に行うことができる。
【0024】
また、本発明における第2の効果として、過熱蒸気は単位体積当たりの熱量が大きいため、熱収縮性フィルムの加熱収縮を短時間で迅速に、且つ確実に行うことができる。このため、単位時間当たりの包装処理数の増加が図れるだけでなく、装置の縮小化や省エネルギー化を図ることも可能となる。
【0025】
更に、本発明では、過熱蒸気として、1気圧を基準としたときに100℃よりも高く300℃以下となる過熱水蒸気、好ましくは120℃以上となる過熱水蒸気を用いることにより、前述の第1及び第2の効果がより顕著に得られるとともに、熱収縮性フィルムの加熱温度が100℃よりも高いため、本発明の第3の効果として、被包装物や熱収縮性フィルムに水滴が付着することを防止できる。このため、水分や湿気を嫌う被包装物を包装する場合にも、本発明を好適に用いることができる。また、過熱水蒸気であれば環境への悪影響がなく、被包装物の包装を安全に行うことができる。なお、本発明において、過熱水蒸気は、1気圧のときの温度が100℃よりも高く300℃以下であれば良く、大気の圧力が1気圧よりも低い場合は、過熱水蒸気の温度は100℃よりも小さくなる。
【0026】
次に、本発明に係る熱収縮性フィルムの加熱収縮装置は、過熱蒸気生成装置で生成した過熱蒸気を、過熱蒸気案内路を介して過熱蒸気噴射ノズルに案内し、同過熱蒸気噴射ノズルから加熱収縮室の室内に向けて噴射するように構成されている。これにより、前述のように被包装物を被覆している熱収縮性フィルムを過熱蒸気(特に、過熱水蒸気)によって加熱収縮させて被包装物を安定して包装することができる。
【0027】
また、本発明の加熱収縮装置が、過熱蒸気を過熱蒸気噴射ノズルに向けて強制的に送り出す送風装置を更に備えていることにより、過熱蒸気を過熱蒸気噴射ノズルへ円滑に流通させることができ、過熱蒸気噴射ノズルからの過熱蒸気の噴射を安定して行うことができる。
【0028】
特に、本発明では、前記過熱蒸気生成装置が、加熱手段を用いて水蒸気を過熱する過熱部と、加熱手段の加熱温度を調整する加熱温度調整手段とを備えていることにより、過熱蒸気を安定して生成できるとともに、過熱蒸気の温度を高精度に調整することができる。これにより、被包装物の性質や形状、及び熱収縮性フィルムの材質等に応じた適切な温度の過熱蒸気を供給することが可能となるので、熱収縮性フィルムによる熱収縮包装を適切な条件で行うことが可能となる。しかも、本発明の加熱収縮装置は、過熱部の下流側に過熱蒸気の流量を調整する流量制御バルブが配されていることにより、過熱蒸気の流量も制御することが可能となり、熱収縮性フィルムによる熱収縮包装を一層適切に行うことが可能となる。
【0029】
そして、上述のような本発明の構成を有する加熱収縮装置を備えた熱収縮包装装置は、被包装物を被覆している熱収縮性フィルムを過熱蒸気(過熱水蒸気)によって加熱収縮させることができるため、熱収縮性フィルムを均一に加熱収縮させて被包装物に安定して密着させ、被包装物や熱収縮性フィルムに水分を付着させることなく、被包装物を短時間で簡単に包装することが可能な熱収縮包装装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する各実施例に限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。例えば、本発明において、被包装物を供給する被包装物供給手段、熱収縮性フィルムを供給するフィルム供給手段、及び、被包装物に熱収縮性フィルムを被覆するフィルム被覆手段は、下記実施例の構成に何ら限定されるものではなく、被包装物の性質や形状等に応じて適宜変更することができる。
【実施例1】
【0031】
図1は、本発明の実施例1に係る熱収縮包装装置の構成を模式的に示した斜視図である。また、図2及び図3は、図1にII−II線で示した加熱収縮装置の縦断面、及びIII−III線で示した加熱収縮装置の横断面であり、図4は、過熱蒸気生成装置の構成を示した模式図である。
【0032】
本実施例1の熱収縮包装装置1は、被包装物7を供給する被包装物供給手段2と、熱収縮性フィルム8を供給するフィルム供給手段3と、被包装物7に熱収縮性フィルム8を被覆するフィルム被覆手段4と、フィルム被覆手段4で熱収縮性フィルム8を被覆した被包装物7を搬送する搬送手段5と、熱収縮性フィルム8を加熱収縮させる加熱収縮装置6とを備えている。なお、本実施例1において、前記被包装物供給手段2、前記フィルム供給手段3、前記フィルム被覆手段4、及び前記搬送手段5は、前記特許文献1に記載されているものと実質的に同様のものを使用することができ、熱収縮包装装置1の特徴は主に加熱収縮装置6の構成にある。以下、熱収縮包装装置1を構成する各手段及び装置について詳細に説明する。
【0033】
前記被包装物供給手段2は、フィルム供給手段3の後述するフィルム開口部13間を通り抜けるように配された第1ベルトコンベア2aにより構成されており、被包装物7をフィルム被覆手段4に向けて連続的に又は間歇的に供給することが可能である。
【0034】
前記フィルム供給手段3は、幅広の熱収縮性フィルム8を二つ折りにして巻き回したフィルム巻ロール体11と、同フィルム巻ロール体11から熱収縮性フィルム8を繰り出すフィルム繰出部12と、フィルム繰出部12から繰り出された二つ折りの熱収縮性フィルム8を開口して被包装物供給手段2の搬送方向に沿って送り出すフィルム開口部13とを備えている。前記フィルム巻ロール体11及び前記フィルム繰出部12は、被包装物供給手段2の側方で、その軸方向が被包装物供給手段2の搬送方向と平行になるように配されている。
【0035】
前記フィルム開口部13は、第1ベルトコンベア2aの上方に配された上部案内板14と裏側に配された下部案内板15とを有しており、それらの間を被包装物7がくぐり抜けるように、上部及び下部案内板14,15が互いに所定の間隔をあけて第1ベルトコンベア2aを挟んだ状態で設置されている。また、これらの上部及び下部案内板14,15は、図示を省略した左右一対の支杆により一体的に連結されている。更に、上部及び下部案内板14,15の幅方向の寸法が第1ベルトコンベア2aの下流側に向けて漸増するように、被包装物導入口16をフィルム繰出部12の反対側で斜めに開口させている。
【0036】
即ち、前記上部及び下部案内板14,15は、両部材共に同じ大きさの略直角三角形状をなしており、直角部に対向する斜辺として、被包装物導入口16の導入側縁部17,18を形成している。従って、フィルム開口部13では、フィルム繰出部12から繰り出された二つ折りの熱収縮性フィルム8の上面側を上部案内板14の上面に当接させると共に、熱収縮性フィルム8の下面側を下部案内板15の下に差し入れながら、それぞれ案内板14,15の導入側縁部17,18で折り返すことにより、二つ折りの熱収縮性フィルム8を被包装物導入口16にて裏返して開口させ、且つ、その開口した状態でフィルム被覆手段4に向けて送り出すことができる。
【0037】
前記フィルム被覆手段4には、熱収縮性フィルム8をその長手方向及び幅方向の2つの方向で溶断して溶着することが可能なL型シーラ19が、シール受け台20の上に支点を中心にして回動可能に設けられている。前記L型シーラ19は、コ字型の基枠19aの1つのコーナー部を挟む2辺をなす枠材(即ち、基枠19aの上流側枠材と熱収縮性フィルム8が開口している側の枠材)の下面にL字型のヒートバーが固定されており、このヒートバーの幅方向の略中央部から下方に向けて、熱伝導性の良好な金属からなるシール用カッター刃が突出している。
【0038】
また、前記シール受け台20は、その上面にはシリコンゴムからなるクッション体が配されており、このクッション体には、L型シーラ19が有するシール用カッター刃に対応する部位に凹溝が形成されている。従って、フィルム被覆手段4は、L型シーラ19を閉じるように回動させてシール受け台20に当接させることにより、ヒートバーで加熱したシール用カッター刃によって熱収縮性フィルム8を長手方向と幅方向の2方向で溶断するとともに、その溶断した箇所で熱収縮性フィルム8を溶着することが可能である。
【0039】
前記搬送手段5は、被包装物供給手段2から供給されて熱収縮性フィルム8の開口内に導入された被包装物7を受け入れて、その被包装物7を熱収縮性フィルム8とともに搬送する第2ベルトコンベア5aにより構成されている。この第2ベルトコンベア5aは、熱収縮性フィルム8の開口内に導入された被包装物7を所定の位置まで搬送したら一旦停止させ、更に、フィルム被覆手段4により熱収縮性フィルム8の溶断溶着が行われた後に被包装物7を次の加熱収縮装置6に搬送するように、その駆動が不図示の駆動制御装置により制御されている。
【0040】
前記加熱収縮装置6は、図2及び図3に示したように、熱収縮性フィルム8を加熱収縮させる加熱収縮室21を有しており、この加熱収縮室21には、過熱蒸気生成装置23で生成した過熱蒸気を流入する過熱蒸気流入口27と、加熱収縮室21の内壁面に配された過熱蒸気噴射ノズル24と、過熱蒸気流入口27から過熱蒸気噴射ノズル24に向けて過熱蒸気を案内する過熱蒸気案内路25と、熱蒸気噴射ノズル24から噴射した過熱蒸気を排出する過熱蒸気排出口28とが形成されている。
【0041】
本実施例1において、過熱蒸気流入口27は加熱収縮室21の上面に突出した突出部21aの側面に配されている。また、この突出部21aには、送風ファン26aと送風ファン26aを回転させる駆動部26bとを有する送風装置26が配されており、この送風装置26によって、過熱蒸気流入口27から流入した過熱蒸気を過熱蒸気噴射ノズル24に向けて送風して、過熱蒸気を円滑に流通させている。
【0042】
前記過熱蒸気噴射ノズル24は、加熱収縮室21の左右側方の内壁面及び底部の内壁面に複数形成されている。なお、本発明において、過熱蒸気噴射ノズル24を形成する位置や数、及び過熱蒸気噴射ノズル24の形状や寸法等は特に限定されず、適宜変更することができる。
【0043】
また、前記加熱収縮装置6は、前記第2ベルトコンベア5aによって搬送されてきた被包装物7を載置して、加熱収縮室21内を通過させるように搬送する被包装物搬送部22を有している。この被包装物搬送部22は、被包装物7を載置する載置面がメッシュ状に形成された第3ベルトコンベア22aにより構成されている。
【0044】
更に、前記過熱蒸気流入口27には、過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成装置23が接続されている。この過熱蒸気生成装置23は、図4に示したように、過熱部32と、過熱部32の外周面に配された電磁誘導加熱コイル33と、調整手段34とを有しており、蒸気発生源31にて水を加熱して発生させた水蒸気を配管36を介して過熱部32に導入し、この過熱部32内で水蒸気を加熱コイル33により更に加熱することによって過熱蒸気を生成している。
【0045】
また、過熱蒸気生成装置23は、生成した過熱蒸気を熱収縮室21に供給する際に過熱蒸気の流量を調整可能なように過熱部32の下流側に流量制御バルブ35を配している。更に、前記調整手段34は、加熱コイル33の加熱温度と、流量制御バルブ35の開度とを調整可能に構成されており、熱収縮室21に供給する過熱蒸気の温度や流量を制御している。なお、本発明における過熱蒸気生成装置は、上述のような電磁誘導加熱コイル33によって水蒸気を加熱する方式を利用するものではなく、例えばバーナーの燃焼によって水蒸気を加熱する方式やその他の加熱方式などを利用して、水蒸気を加熱するものであっても良い。
【0046】
次に、上述のような本実施例1の熱収縮包装装置1を用いて、熱収縮性フィルム8を熱収縮させることにより被包装物7を熱収縮包装する熱収縮包装方法について、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、本実施例1では、例えばカップラーメン等の容器を包装するときのように、被包装物7の全周面を熱収縮性フィルム8によって包装する場合について説明する。
【0047】
先ず、被包装物7を被包装物供給手段2の第1ベルトコンベア2aに載置してフィルム被覆手段4に向けて搬送するとともに、二つ折りされた熱収縮性フィルム8をフィルム巻ロール体11から供給してフィルム開口部13で開口させてフィルム被覆手段4に向けて送り出す。このとき、第1ベルトコンベア2aは、フィルム開口部13の上部及び下部案内板14,15間を通り抜けるように配されているため、被包装物7をフィルム被覆手段4に搬送する際に、フィルム開口部13で開口された熱収縮性フィルム8内に被包装物7を安定して導入することができる。なお、本発明において、熱収縮性フィルム8の材質は特に限定されず、従来から一般的に市販されているポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱収縮性フィルムを使用することができる。
【0048】
次に、フィルム開口部13にて熱収縮性フィルム8内に導入された被包装物7は、第1ベルトコンベア2aから搬送手段5の第2ベルトコンベア5aに移され、この第2ベルトコンベア5aによって、フィルム被覆手段4による熱収縮性フィルム8の溶断溶着を行うことが可能な所定の位置まで被包装物7を搬送して、その位置で停止させる。
【0049】
熱収縮性フィルム8で覆われた被包装物7が所定の位置で停止した後、フィルム被覆手段4のL型シーラ19を下方に回動させて、L型シーラ19をシール受け台20に当接させる。このとき、L型シーラ19に設けられている加熱されたシール用カッター刃によって、熱収縮性フィルム8の上下両面を長手方向と幅方向の2方向で溶断するとともに、その溶断した熱収縮性フィルム8の上下両面の溶断縁を互いに溶着してシールすることができる。これにより、被包装物7の周面全体が熱収縮性フィルム8によって被覆された状態となる。そして、フィルム被覆手段4によって熱収縮性フィルム8の溶断溶着が行われた後、第2ベルトコンベア5aを再び駆動して、被包装物7を加熱収縮装置6に向けて搬送する。一方、上述のような熱収縮性フィルム8の溶断によって切り落とされた熱収縮性フィルム8の切落し片8’は、巻取りローラー9によって巻き取られる。
【0050】
続いて、加熱収縮装置6に搬送された被包装物7は、第2ベルトコンベア5aから第3ベルトコンベア22aに移され、更に、第3ベルトコンベア22aによって加熱収縮室21内に搬送される。また、加熱収縮装置6は、過熱蒸気生成装置23で過熱蒸気を連続的に生成するとともに、その生成した過熱蒸気を過熱蒸気流入口27から流入させ、且つ送風ファン26aを回転させている。これにより、過熱蒸気を過熱蒸気案内路25を介して、加熱収縮室21の内壁面に配した複数の過熱蒸気噴射ノズル24に向けて流通させ、更に、各過熱蒸気噴射ノズル24から加熱収縮室21の室内に向けて過熱蒸気を噴射している。
【0051】
このとき、過熱蒸気生成装置23では、調整手段34で加熱コイル33の加熱温度とを調整することによって、100℃よりも高く300℃以下となる過熱水蒸気を生成している。なお、本発明はこれに限定されず、熱収縮性フィルム8の材質によっては、例えば300℃よりも高い過熱水蒸気や、加熱収縮装置6内全体を減圧して100℃未満の温度の過熱水蒸気、或いは、水以外の液体を蒸発させて得られるその他の過熱蒸気などを過熱蒸気生成装置23で生成して用いることも可能である。
【0052】
そして、第3ベルトコンベア22aによって、熱収縮性フィルム8が被覆された被包装物7を搬送して、過熱水蒸気が過熱蒸気噴射ノズル24から噴射されている加熱収縮室21内を被包装物7が通過することにより、その通過中に熱収縮性フィルム8を過熱水蒸気によって加熱して収縮させる。これにより、熱収縮性フィルム8を被包装物7の周面に密着させて、被包装物7を熱収縮性フィルム7により包装することができる。その後、熱収縮性フィルム8によって包装された包装品7’は、熱収縮包装装置1から搬出されて作業が終了する。
【0053】
以上のように本実施例1の熱収縮包装装置1を用いて被包装物7を包装することにより、熱収縮性フィルム8を過熱水蒸気によって加熱収縮させることができるため、単位体積当たりの熱量を大幅に高めることができ、しかも、熱収縮性フィルム8を100℃よりも高い温度で加熱収縮させることができる。これにより、熱収縮性フィルム8を均一に且つ十分な収縮応力で加熱収縮させることができるため、熱収縮性フィルム8に収縮むらや破袋が発生せず、包装品7’の美観を大きく向上させることが可能となる。また、熱収縮性フィルム8に収縮むらが発生しないことから、前記過熱蒸気噴射ノズル24の高精度な調整技術がなくても、熱収縮性フィルム8に歪みを生じさせずに熱収縮包装を簡便に行うことができる。従って、例えば熱収縮性フィルム8自体に印刷を施して被包装物7を包装する場合であっても、印刷に歪みを生じることを確実に防ぐことができる。
【0054】
更に、本実施例1のように熱収縮包装を行うことにより、熱収縮性フィルム8の加熱収縮を短時間で迅速に、且つ確実に行うことができるため、単位時間当たりの被包装物の処理数の増加が図れるだけでなく、装置の縮小化や省エネルギー化を図ることも可能となる。特に、本実施例1では、100℃よりも高い過熱水蒸気によって熱収縮性フィルム8の加熱収縮を行っているため、被包装物や熱収縮性フィルムに水滴が付着することがなく、水分や湿気を嫌う被包装物を包装する際にも好適に利用することができる。
【実施例2】
【0055】
次に、本発明の実施例2に係る熱収縮包装について図面を参照しながら説明する。ここで、図5及び図6は、本実施例2の加熱収縮装置の縦断面と横断面を模式的に示した断面図である。なお、本実施例2においては、例えばペットボトルや一升瓶等のような高さ方向(縦方向)に細長い形状を有する被包装物の周面に熱収縮性フィルムを被覆する作業を手作業で行った後、本発明に係る加熱収縮装置を用いて熱収縮性フィルムを加熱収縮させて被包装物を包装する場合について説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、縦長状の被包装物に熱収縮性フィルムを被覆する作業を手作業で行うのではなく、例えば前記実施例1の装置等のように自動的に行うことによって被包装物を熱収縮性フィルムで被覆することも可能である。
【0056】
本実施例2の加熱収縮装置40は、熱収縮性フィルム50が被覆された縦長状の被包装物49を室内に導入して、熱収縮性フィルム50を加熱収縮させる加熱収縮室41と、被包装物49を載置して同被包装物49が加熱収縮室41内を通過するように搬送する被包装物搬送部42と、過熱蒸気を生成する図示を省略した過熱蒸気生成装置とを有している。また、前記加熱収縮室41には、過熱蒸気生成装置で生成した過熱蒸気を流入する過熱蒸気流入口47と、過熱蒸気流入口47から流入した過熱蒸気を加熱収縮室41の室内に案内する過熱蒸気案内路45と、前記加熱収縮室41の内壁面に配された複数の過熱蒸気噴射ノズル44と、熱蒸気噴射ノズル44から噴射した過熱蒸気を排出する過熱蒸気排出口48とが形成されている。更に、過熱蒸気案内路45の上流部には、送風ファン46aと送風ファン46aを回転させる駆動部46bとを有する送風装置46が配されており、過熱蒸気噴射ノズル44に向けて過熱蒸気が円滑に流れるようにその流通を促している。
【0057】
本実施例2において、前記被包装物搬送部42は、前記実施例1と同様にベルトコンベアで構成されている。また、不図示の前記過熱蒸気生成装置についても、前記実施例1で用いた過熱蒸気生成装置23(図4を参照)と同様の装置が過熱蒸気流入口47に接続されており、熱収縮室41に供給する過熱蒸気の温度や流量を制御している。一方、本実施例2の前記過熱蒸気噴射ノズルは、加熱収縮室41の左右側方の内壁面にのみ形成されており、また、各ノズル先端部は、過熱蒸気案内路45を介して案内されてきた過熱蒸気を加熱収縮室41内に向けて拡散させるように噴射する構造を有している。
【0058】
そして、本実施例2では、上述のような熱収縮包装装置40を用いることにより、以下のようにして被包装物49を熱収縮性フィルム50で包装することができる。
即ち、先ず縦長状の被包装物49の周面に熱収縮性フィルム50を手作業で被覆し、その熱収縮性フィルム50を被覆した被包装物49を加熱収縮装置40の被包装物搬送部42に載置する。このとき、被包装物49を被覆する熱収縮性フィルム50の材質は特に限定されるものではないが、本実施例2では、フィルム端部同士を接合して筒状にした、又は、筒状に成形された熱収縮性フィルムを用いており、熱収縮性フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレートやポリスチレン等が挙げられる。
【0059】
熱収縮性フィルム50を被覆した前記被包装物49は、被包装物搬送部42に載置された後、同被包装物搬送部42によって加熱収縮室41内に搬送されて、加熱収縮室41内を通過する。このとき、本実施例2の加熱収縮装置40は、過熱蒸気生成装置において100℃よりも高く300℃以下となる過熱水蒸気を連続的に生成し、その生成した過熱水蒸気を各過熱蒸気噴射ノズル44から加熱収縮室41の内部に向けて噴射している。従って、被包装物49が加熱収縮室21内を通過することにより、熱収縮性フィルム50が過熱水蒸気によって加熱収縮するため、熱収縮性フィルム50を被包装物49の周面に密着させて、被包装物49を熱収縮性フィルム50で包装することができる。
【0060】
これにより、前記実施例1と同様に、熱収縮性フィルム50を均一に且つ十分な収縮応力で加熱収縮させることができるため、熱収縮性フィルム50に収縮むらが発生せず、包装品の美観を大きく向上させることができる。また、熱収縮性フィルム50自体に印刷を施して被包装物49を包装する場合であっても、印刷に歪みを生じることを確実に防ぐことができる。
【0061】
更に、熱収縮性フィルム50の加熱収縮を短時間で迅速に、且つ確実に行うことができるため、単位時間当たりの被包装物49の処理数の増加が図れるだけでなく、装置の縮小化や省エネルギー化を図ることも可能となり、その上、被包装物49や熱収縮性フィルム50に水滴が付着することがなく、被包装物49が水分や湿気を嫌うものであっても好適に利用することができる。
【0062】
またその他に、本実施例2では、以下のような顕著な効果を得ることができる。即ち、従来では、例えば一升瓶等のように、切断面の断面積が部位によって大きく異なる被包装物を全体的に熱収縮包装する場合、図7(b)を参照しながら前述したように、分割した熱収縮性フィルム50で被包装物49の胴部49aとキャップ部49bとをそれぞれ被覆した後に、各熱収縮性フィルム50を加熱収縮させることが必要とされた。
【0063】
これに対して、本実施例2のように、単位体積当たりの熱量が大きく、且つ、温度が100℃よりも高い過熱水蒸気を用いて熱収縮性フィルム50の加熱収縮を行うことにより、熱収縮性フィルム50を大きな収縮応力で短時間のうちに確実に収縮させることができるため、図7(a)に示したように、一升瓶等の被包装物49を1枚の大きな熱収縮性フィルム50で被覆しても、熱収縮性フィルム50を被包装物49の周面全体に安定して密着させて、被包装物49を体裁よく包装することが可能となる。これにより、従来に比べて包装作業の簡略化や作業時間の短縮化を図ることができるとともに、包装品49’の周面全体に印刷を施すことが可能となるため、包装のデザイン性を大幅に拡大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例1に係る熱収縮包装装置の構成を模式的に示した斜視図である。
【図2】図1にII−II線で示した加熱収縮装置の縦断面である。
【図3】図1にIII−III線で示した加熱収縮装置の横断面である。
【図4】過熱蒸気生成装置の構成を模式的に示した模式図である。
【図5】実施例2に係る加熱収縮装置の縦断面を模式的に示した断面図である。
【図6】同加熱収縮装置の横断面を模式的に示した断面図である。
【図7】(a)は、実施例2の熱収縮包装方法による一升瓶の熱収縮包装を説明した説明図であり、(b)は、従来の包装方法による一升瓶の熱収縮包装を説明した説明図である。
【図8】熱風による熱収縮性フィルムの加熱収縮装置の縦断面を模式的に示した断面図である。
【図9】同加熱収縮装置の横断面を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 熱収縮包装装置
2 被包装物供給手段
2a 第1ベルトコンベア
3 フィルム供給手段
4 フィルム被覆手段
5 搬送手段
5a 第2ベルトコンベア
6 加熱収縮装置
7 被包装物
7’ 包装品
8 熱収縮性フィルム
8’ 切落し片
9 巻取りローラー
11 フィルム巻ロール体
12 フィルム繰出部
13 フィルム開口部
14 上部案内板
15 下部案内板
16 被包装物導入口
17,18 導入側縁部
19 L型シーラ
19a 基枠
20 シール受け台
21 加熱収縮室
21a 突出部
22 被包装物搬送部
22a 第3ベルトコンベア
23 過熱蒸気生成装置
24 過熱蒸気噴射ノズル
25 過熱蒸気案内路
26 送風装置
26a 送風ファン
26b 駆動部
27 過熱蒸気流入口
28 過熱蒸気排出口
31 蒸気発生源
32 過熱部
33 加熱コイル
34 調整手段
35 流量制御バルブ
36 配管
40 加熱収縮装置
41 加熱収縮室
42 被包装物搬送部
44 過熱蒸気噴射ノズル
45 過熱蒸気案内路
46 送風装置
46a 送風ファン
46b 駆動部
47 過熱蒸気流入口
48 過熱蒸気排出口
49 被包装物
49’ 包装品
49a 胴部
49b キャップ部
50 熱収縮性フィルム
51 加熱収縮装置
52 加熱収縮室
53 ベルトコンベア
54 送風手段
55 加熱ヒーター
56 熱風噴射ノズル
57 流出口
58 被包装物
59 熱収縮性フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物(7,49)の少なくとも一部を熱収縮性フィルム(8,50)で被覆し、前記熱収縮性フィルム(8,50)を加熱収縮させて前記被包装物(7,49)の周面に密着させることによって、前記被包装物(7,49)を前記熱収縮性フィルム(8,50)により包装する熱収縮包装方法であって、
前記被包装物(7,49)を被覆した熱収縮性フィルム(8,50)に過熱蒸気を噴射して前記熱収縮性フィルム(8,50)を加熱収縮させることを特徴とする熱収縮性フィルム(8,50)による熱収縮包装方法。
【請求項2】
前記過熱蒸気として、1気圧を基準としたときに100℃よりも高く300℃以下となる過熱水蒸気を用いる請求項1記載の熱収縮包装方法。
【請求項3】
室内に導入された被包装物(7,49)の少なくとも一部を被覆した熱収縮性フィルム(8,50)を加熱収縮させる加熱収縮室(21,41)と、
前記加熱収縮室(21,41)内を通過させて前記被包装物(7,49)を搬送する被包装物搬送部(22,42)と、
前記熱収縮性フィルム(8,50)を加熱収縮させる過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成装置(23)と、
前記過熱蒸気生成装置(23)で生成した前記過熱蒸気を前記加熱収縮室(21,41)の室内に案内する過熱蒸気案内路(25,45)と、
前記加熱収縮室(21,41)の内壁面に配され、前記過熱蒸気案内路(25,45)により案内された前記過熱蒸気を前記加熱収縮室(21,41)の室内に向けて噴射する過熱蒸気噴射ノズル(24,44)と、
を備えてなる熱収縮性フィルム(8,50)の加熱収縮装置。
【請求項4】
前記過熱蒸気案内路(25,45)内で前記過熱蒸気を前記過熱蒸気噴射ノズル(24,44)に向けて強制的に送り出す送風装置(26,46)を備えてなる請求項3記載の熱収縮性フィルム(8,50)の加熱収縮装置。
【請求項5】
前記過熱蒸気が過熱水蒸気であり、
前記過熱蒸気生成装置(23)は、水蒸気発生源(31)と前記過熱蒸気案内路(25,45)との間に配され、水蒸気を加熱手段を用いて過熱する過熱部(32)と、前記加熱手段(33)の加熱温度を調整する加熱温度調整手段(34)とを備えてなる、
請求項3又は4記載の熱収縮性フィルム(8,50)の加熱収縮装置。
【請求項6】
前記過熱部(32)の下流側に、生成した前記過熱蒸気の流量を調整する流量制御バルブ(35)が配されてなる請求項4記載の熱収縮性フィルム(8,50)の加熱収縮装置。
【請求項7】
被包装物(7,49)を連続的に又は間歇的に供給する被包装物供給手段(2)と、
前記被包装物(7,49)の供給に合わせて熱収縮性フィルム(8,50)を供給するフィルム供給手段(3)と、
供給された前記被包装物(7,49)に、前記熱収縮性フィルム(8,50)を被覆するフィルム被覆手段(4)と、
前記フィルム被覆手段(4)にて前記熱収縮性フィルム(8,50)が被覆された前記被包装物(7,49)を搬送する搬送手段(5)と、
前記被包装物(7,49)に被覆した前記熱収縮性フィルム(8,50)を加熱収縮する請求項3〜6のいずれかに記載の前記加熱収縮装置(6,40)と、
を備えてなる、前記被包装物(7,49)を前記熱収縮性フィルム(8,50)により包装する熱収縮包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−50041(P2008−50041A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−229225(P2006−229225)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000135575)株式会社ハナガタ (8)