説明

熱可塑性エラストマーコポリマーとポリオレフィンフィラメントとを含むヤーン

【課題】望ましい特性の組み合わせを示す編組マルチフィラメント縫合糸を提供すること。
【解決手段】少なくとも1つのフィラメントを備えているコアと、コアの周りに配置されたシースであって、シースは、熱可塑性エラストマーを含む第1のヤーンと、ポリオレフィン材料を含む第2のヤーンとを含む、シースとを備えている外科用デバイスが提供される。少なくとも1つのフィラメントを備えているコアと、コアの周りに配置されたシースであって、シースは、ポリエステルエーテルコポリマーを含む第1のヤーンを、超高分子量ポリエチレンを含む第2のヤーンと組み合わせて含む、シースとを備えている外科用デバイスもまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、米国特許出願第12/189,845号の利益と優先権とを主張し、該米国特許出願公開の開示全体が、本明細書において参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、熱可塑性エラストマーコポリマーから作られた少なくとも1つのヤーンと、ポリオレフィン材料から作られた少なくとも1つのヤーンとを含む外科用デバイス、すなわち、縫合糸に関する。外科用デバイスとしての使用のために適切に適合され、かつ、かかるヤーンで作られた編組マルチフィラメントがまた、開示されている。
【背景技術】
【0003】
編組マルチフィラメントは、多くの場合に、モノフィラメントの同等物と比べると、柔軟性の向上と、結び目の安全性と、引張強度との組み合わせを提供する。編組マルチフィラメントの柔軟性の向上は、1つの大きい直径のモノフィラメントと比べて、極細フィラメントの束の曲げに対する抵抗が小さいという直接的な結果をもたらす。しかしながら、編組強度と柔軟性との間のトレードオフが、従来の編組マルチフィラメントの設計の際に存在する。
【0004】
体の組織の修復のために意図された編組マルチフィラメントは、一定の要件を満たすべきであり、すなわち、編組マルチフィラメントは、実質的に非毒性で、容易に殺菌されることが可能であるべきであり、編組マルチフィラメントは、充分な引張強度と充分な柔軟性とを有するべきであり、編組マルチフィラメントはまた、許容可能な結び目を結ぶ特性と許容可能な結び目を保持する特性と有するべきであり、そして、編組マルチフィラメントが、生体分解可能な種類である場合には、編組マルチフィラメントの分解が、予測可能であり、かつ、しっかりと制御されるべきである。固定デバイス(例えば、骨ねじなど)と組み合わせて使用されるときには、縫合糸は、縫合糸が固定デバイスに接触したときに生成される熱に耐えることができなければならない。
【0005】
望ましい特性の組み合わせを示す編組マルチフィラメント縫合糸を提供することが、有利である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、少なくとも1つのフィラメントを備えているコアと、コアの周りに配置されたシースとを有する外科医用デバイスを記述しており、該シースは、熱可塑性エラストマーを含む第1のヤーンを、ポリオレフィンを含む第2のヤーンと組み合わせて含む。熱可塑性エラストマーは、好適には、ポリエステルエーテルブロックコポリマーである。ポリエステルエーテルブロックコポリマーのポリエステルブロックは、ポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、またはポリブチレンテレフタレートを含み得る。ポリエステルエーテルブロックコポリマーのポリエーテルブロックは、長鎖ポリエーテルグリコール、ポリアルキレンエーテルグリコール、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(1、2−ブチレンエーテル)グリコール、ポリ(ペンタメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール、ポリ(へプタメチレンエーテル)グリコール、ポリ(オクタメチレンエーテル)グリコール、またはポリ(ノナメチレンエーテル)グリコールであり得る。熱可塑性エラストマーは、ポリ(エステルエーテル)ブロックであり得、該ポリ(エステルエーテル)ブロックは、ポリブチレンテレフタレートとポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールとを含む。さらに、ポリオレフィンは、超高分子ポリエチレンであり得る。
【0007】
別の実施形態において、外科用デバイスは、少なくとも1つのフィラメントを含むコアと、コアの周りに配置されたシースとを含み、該シースは、ポリエステルエーテルコポリマーを含む第1のヤーンを、超高分子ポリエチレンを含む第2のヤーンと組み合わせて含む。
【0008】
一部の実施形態において、シースの第1のヤーンと第2のヤーンとは、編組構成である。さらに、第1のヤーンと第2のヤーンとはそれぞれ、マルチフィラメントヤーンであり得る。
【0009】
一実施形態において、コアは、約100重量%のポリオレフィンであり得る。あるいは、コアは、約100重量%のポリブトエステルを含み得る。シースは、約35重量%〜約98重量%のポリオレフィンであり得、特定の実施形態においては、約40重量%〜約94重量%のポリオレフィンであり得る。さらに、シースは、約2重量%〜約65重量%の熱可塑性エラストマーであり得、特定の実施形態においては、約6重量%〜約60重量%の熱可塑性エラストマーであり得る。
【0010】
一部の実施形態において、外科用デバイスは、縫合糸アンカーと組み合わせて縫合糸を含む。
【0011】
したがって、本開示は、以下を提供する。
【0012】
(項目1)
少なくとも1つのフィラメントを備えているコアと、
該コアの周りに配置されたシースであって、該シースは、熱可塑性エラストマーを含む第1のヤーンと、ポリオレフィン材料を含む第2のヤーンとを含む、シースと
を備えている外科用デバイス。
【0013】
(項目2)
上記熱可塑性エラストマーは、ポリエステルエーテルブロックコポリマーである、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0014】
(項目3)
上記ポリエステルエーテルブロックコポリマーは、ポリエステルブロックを備え、該ポリエステルブロックは、ポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートからなる群から選択される、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス
(項目4)
上記ポリエステルエーテルブロックコポリマーは、ポリエーテルブロックを備え、該ポリエーテルブロックは、長鎖ポリエーテルグリコール、ポリアルキレンエーテルグリコール、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(1、2−ブチレンエーテル)グリコール、ポリ(ペンタメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール、ポリ(へプタメチレンエーテル)グリコール、ポリ(オクタメチレンエーテル)グリコール、またはポリ(ノナメチレンエーテル)グリコールからなる群から選択される、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0015】
(項目5)
上記熱可塑性エラストマーは、ポリ(エステルエーテル)ブロックを備え、該ポリ(エステルエーテル)ブロックは、ポリブチレンテレフタレートとポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールとを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0016】
(項目6)
上記ポリオレフィン材料は、超高分子量ポリエチレンを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0017】
(項目7)
上記第1のヤーンと上記第2のヤーンとは、編組構成である、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0018】
(項目8)
上記第1のヤーンと上記第2のヤーンとは、マルチフィラメントヤーンである、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0019】
(項目9)
上記コアは、約100重量%のポリオレフィンを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0020】
(項目10)
上記コアは、約100重量%のポリブトエステルを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0021】
(項目11)
上記シースは、約35重量%〜約98重量%のポリオレフィンを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0022】
(項目12)
上記シースは、約40重量%〜約94重量%のポリオレフィンを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0023】
(項目13)
上記シースは、約2重量%〜約65重量%の熱可塑性エラストマーを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0024】
(項目14)
上記シースは、約6重量%〜約60重量%の熱可塑性エラストマーを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0025】
(項目15)
上記外科用デバイスは、縫合糸アンカーと組み合わせて縫合糸を備えている、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0026】
(項目16)
着色された識別子をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス
(項目17)
少なくとも1つのフィラメントを備えているコアと、
該コアの周りに配置されたシースであって、該シースは、ポリエステルエーテルコポリマーを含む第1のヤーンを、超高分子量ポリエチレンを含む第2のヤーンと組み合わせて含む、シースと
を備えている外科用デバイス。
【0027】
(項目18)
上記第1のヤーンと上記第2のヤーンとは、マルチフィラメントヤーンである、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0028】
(項目19)
上記ポリエステルエーテルブロックコポリマーは、ポリブトエステルを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス
(項目20)
上記コアは、約100重量%の超高分子ポリエチレンを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0029】
(項目21)
上記コアは、約100重量%のポリブトエステルを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0030】
(項目22)
上記シースは、約35重量%〜約98重量%の超高分子ポリエチレンを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0031】
(項目23)
上記シースは、約40重量%〜約94重量%の超高分子ポリエチレンを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0032】
(項目24)
上記シースは、約2重量%〜約65重量%のポリエステルエーテルコポリマーを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0033】
(項目25)
上記シースは、約6重量%〜約60重量%のポリエステルエーテルコポリマーを含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス。
【0034】
(項目26)
着色された識別子をさらに含む、上記項目のいずれか一項に記載の外科用デバイス
(摘要)
編組および外科用デバイスが、ヤーンから作られ、該ヤーンは、熱可塑性エラストマーから作られた少なくとも1つのヤーンと、ポリオレフィン材料から作られた少なくとも1つのヤーンとを有するコアシース構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
上記の目的、上記の特徴、および上記の利点、ならびに他の目的、他の特徴、および他の利点は、以下の記述からさらに容易に明らかとなり、添付の図面に参照が行われる。
【図1】図1は、本開示の一実施形態に従った異種ヤーンの概略図である。
【図2A】図2A、図2B、および図2Cは、本開示の一実施形態に従った編組の例示的な実施形態を示す。
【図2B】図2A、図2B、および図2Cは、本開示の一実施形態に従った編組の例示的な実施形態を示す。
【図2C】図2A、図2B、および図2Cは、本開示の一実施形態に従った編組の例示的な実施形態を示す。
【図3】図3は、本開示の一実施形態に従った異種編組で作られた縫合糸を含む針縫合糸の組み合わせを示す。
【図4】図4は、本明細書に記述される一実施形態におけるような縫合糸、縫合糸アンカー、および関連の縫合糸アンカードライバの斜視図である。
【図5】図5は、図4の拡大された範囲の詳細である。
【図6】図6は、本開示の縫合糸と共に組み立てられた2部分の縫合糸アンカーの斜視図である。
【図7】図7は、アンカードライバに配置されている、図6の縫合糸アンカーの斜視図である。
【図8】図8は、本開示に従った縫合糸を担持する縫合糸アンカーを骨の中に駆動するために回転される縫合糸ドライバの、部分的に断面で示された斜視図である。
【図9】図9は、縫合糸アンカーと、組織を通って骨の中に設置される関連の縫合糸との、部分的に斜視図で示された断面図である。
【図10】図10は、本開示に従った縫合糸の一実施形態のコアシース構成の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
熱可塑性エラストマーコポリマーから作られたフィラメントと、ポリオレフィン材料から作られたフィラメントとが、ヤーンを調製するために、本開示に従って使用され、該ヤーンが、編組された構造、編まれた構造、織られた構造、または他の構造に組み込まれて、外科用デバイスを提供し得る。
【0037】
複数のフィラメントが、使用されて、ヤーンを形成する。複数のヤーンが使用されて、編組、編物、または織物を形成する。
【0038】
「異種ヤーン」は、少なくとも2つの異なるフィラメントを含む構成であり、該少なくとも2つの異なるフィラメントが、互いに機械的に束ねられることにより、ヤーンを形成する。フィラメントは、連続的であり、かつ、独立しているので、各フィラメントは、実質的にヤーンの全長に沿って延び、そして、ヤーンの調製、処理、および使用の間、その個々の完全性を維持している。
【0039】
異種ヤーンとは異なり、「同種」ヤーンは、実質的に同様なヤーンを含む構成である。フィラメントはまた、連続的であり、かつ、独立している。したがって、各フィラメントは、実質的にヤーンの全長に沿って延び、そして、ヤーンの調製、処理、および使用の間、その個々の完全性を維持している。
【0040】
「異種編組」は、少なくとも2つの異なるヤーンを含む構成である。2つのタイプのヤーンが、編組構成で互いに絡み合っている。ヤーンは、連続的であり、かつ、独立しているので、各ヤーンは、実質的に編組の全長に沿って延び、そして、編組の調製、処理、および使用の間、その個々の完全性を維持している。
【0041】
最も広い意味で、本開示は、熱可塑性エラストマーコポリマーから作られた少なくとも1つのヤーンと、ポリオレフィン材料から作られた少なくとも1つのヤーンとを含むヤーンを企図している。本開示はさらに、これらのヤーンから作られた、コアシース構成の医療デバイスと、外科手術におけるそれらの使用とを企図している。
【0042】
当業者に公知であり、かつ、連続的なフィラメントに紡績されることができる任意の熱可塑性エラストマーコポリマーが、使用され得ることが、想定されている。特に、有用な熱可塑性エラストマーコポリマーは、ポリエステルエーテルブロックコポリマーを含み、該ポリエステルエーテルブロックコポリマーは少なくとも、ポリエステルの硬い部分と、ポリエーテルの軟らかい部分とを含む。これらのポリエステルエーテルブロックコポリマーは、様々な構成、すなわち、AB、ABA、またはBABで形成され得、ここで、Aは、ポリエステルであり、そして、Bは、ポリエーテルである。
【0043】
適切なポリエステルの一部の例は、限定するものではないが、ポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートを含む。適切なポリエーテルの一部の例は、限定するものではないが、長鎖ポリエーテルグリコール、ポリアルキレンエーテルグリコール、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(1、2−ブチレンエーテル)グリコール、ポリ(ペンタメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール、ポリ(へプタメチレンエーテル)グリコール、ポリ(オクタメチレンエーテル)グリコール、およびポリ(ノナメチレンエーテル)グリコールを含む。特に有用なポリエステルエーテルブロックコポリマーは、ポリブチレンテレフタレートと、長鎖ポリエーテルグリコールとを含み、そして、DSM、The Netherlandsから商標ARNITEL(登録商標)という名で市販されている。特定の実施形態において、熱可塑性エラストマーは、長鎖エーテルグリコールとポリブチレンテレフタレートとから構成されており、該熱可塑性エラストマーは、本明細書において使用される場合、「ポリブトエストル」と呼ばれる。
【0044】
当業者に公知であり、かつ、連続的なフィラメントに紡績されることができる任意のポリオレフィンが、使用され得ることが、想定されている。有用な実施形態において、ポリオレフィン材料は、ポリエチレンから作られる。特に有用な実施形態において、ポリエチレン材料は、ゲル紡糸の超高分子量ポリエチレンである。超高分子量ポリエチレン(「UHMWP」)は、約400,000を上回る平均分子量を有し、一般的には、約500,000〜約600,000の範囲の平均分子量である鎖状ポリマーである。ゲル紡糸のUHMWPは、高い靭性と低い伸び率とを有するので、非常に増加された強度と、非常に減少された伸びとを有する物品を提供する。
【0045】
ゲル紡糸であり得る超高分子ポリエチレンは、一般的に、かなりの程度の結晶配列(95〜99%)と結晶含有量(60〜85%)とを示す。UHMWPの高い強度と高い安定性とが、通常、高度の分子配向によってもたらされる。結果として、フィラメントは、約375kpsi(一平方インチ当たり数千ポンド)〜約560kpsiの強度と、約15msi(一平方インチ当たり数百万ポンド)〜約30msiの引張弾性率とを示す。ゲル紡糸UHMWPは、Allied−Signal Technologies、Petersberg、Vaから商標SPECTRA(登録商標)という名で市販され、そして、DSM、High Performance Fibers、JH Heerlen、The Netherlandsから商標DYNEEMA(登録商標)という名で市販されている。
【0046】
ヤーンは、任意的に、他の材料で作られたフィラメントを含み得る。これら任意のフィラメントを構成するために使用される材料は、縫合糸、メッシュ、胸骨閉鎖デバイス、ケーブル、テープ、およびテザーの構成として既に公知の任意の材料などの多種多様な天然材料および合成材料を含み得る。かかる材料は、生体吸収性ポリマー材料、非生体吸性ポリマー材料、生体分解性ポリマー材料、非生体分解性ポリマー材料および生体腐食性ポリマー材料を含み得る。さらに、カーボンファイバ、スチールファイバ、形状記憶合金、絹、綿、リネン、および他の繊維材料がまた、利用され得る。
【0047】
代表的な天然の生体分解性ポリマーは、アルギナート、デキストラン、セルロース、コラーゲン、およびそれらの化学的誘導体(例えば、アルキル基、アルキレン基、ヒドロキシル化基、酸化基などの化学基の置換されたもの、添加されたもの、および当業者によって通常行われる他の改変をされたもの)などの多糖類と、アルブミン、ゼインなどのタンパク質と、それらのコポリマーおよび混合物とを含む。
【0048】
代表的な合成ポリマーブロックは、ポリホスファゼン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリ(アミノ酸)、合成(ポリアミノ酸)、ポリアンヒドリド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアルキレン、ポリアクリルアミド、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ハロゲン化ポリビニル、ポリビニルピロリドン、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン、およびそれらのコポリマーを含む。
【0049】
適切なポリアクリレートの例は、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、(ポリヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、およびポリ(オクタデシルアクリレート)を含む。
【0050】
合成的に改変された天然ポリマーは、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、およびキトサンなどのセルロース誘導体を含む。適切なセルロース誘導体の例は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース、セルローストリアセテート、および硫酸セルロースのナトリウム塩を含む。これらは、本明細書において、ひとまとめにして「セルロース」と呼ばれる。
【0051】
代表的な合成分解性ポリマーは、ポリ乳酸、ポリグリコリド、およびそれらのコポリマーなどのポリヒドロキシ酸、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(乳酸−共−(ε−カプロラクトン))、ポリ(グリコリド−共−(ε−カプロラクトン))、ポリカーボネート、ポリ(擬似アミノ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、およびそれらの混合物およびコポリマーを含む。
【0052】
非生体分解性ポリマーの例は、エチレン酢酸ビニル、ポリ(メタ)クリル酸、ポリアミド、ポリスチレンポリ塩化ビニル、ポリビニルフェノール、およびそれらのコポリマーおよび混合物を含む。
【0053】
ポリマーの平滑な表面が腐食するにつれて外表面に露出されるカルボキシル基を有する、ポリ(乳酸−共−グリコリド)、ポリアンヒドリド、およびポリオルトエステルなどの急速に生体腐食可能なポリマーがまた、使用され得る。
【0054】
一実施形態において、異種ヤーン10は、図1に示されているように、2種類の異なる複数のフィラメントを含む。第1のフィラメント12は、熱可塑性エラストマーコポリマーから作られ、そして、第2のフィラメント13は、ポリオレフィン材料から作られる。2種類の異なる複数のフィラメントが、混ぜ合わされて、異種ヤーンを形成する。
【0055】
図2Aに示された別の実施形態において、異種編組20は、2種類の異なるヤーンを含む。第1のヤーン22は、熱可塑性エラストマーコポリマーから作られた複数のフィラメントを含む。第2のヤーン24は、ポリオレフィン材料から作られた複数のフィラメントを含む。第1のヤーンと第2のヤーンとは、絡み合わされて、異種編組を形成する。
【0056】
図2Bに示されたさらに別の実施形態において、異種編組120は、異種ヤーン122と、同種ヤーン124とを含む。上記のように、異種ヤーンは、2種類の異なる複数のフィラメントを含む。好適には、第1のフィラメントは、熱可塑性エラストマーコポリマーから作られ、そして、第2のフィラメントは、ポリオレフィン材料から作られる。同種ヤーンは、フィラメントに紡績されることができる任意の材料から作られた複数のフィラメントを含む。異種ヤーンと同種ヤーンとが、絡み合わされて、異種編組を形成する。
【0057】
図2Cに示されたさらに別の実施形態において、編組210は、2つの同様な異種ヤーン222Aおよび222Bを含む。各異種ヤーンは、2種類の異なる複数のフィラメントを含む。好適には、第1のフィラメントは、熱可塑性エラストマーコポリマーから作られ、そして、第2のフィラメントは、ポリオレフィン材料から作られる。異種ヤーンが、絡み合わされて、編組を形成する。
【0058】
異種編組および/または異種ヤーンは、織物業界において一般的に使用されている従来の編組技術および編組機器と、マルチフィラメント縫合糸を調製するために医療業界において一般的に使用されている従来の編組技術および編組機器とを使用して調製され得る。適切な編組構成が、例えば、米国特許第3,187,752号、同第3,565,077号、同第4,014,973号、同第4,043,344号、同第4,047,533号、同第5,019,093号、および同第5,059,213号に開示されており、それらの開示は、本明細書において参考として援用される。本開示の異種ヤーンを使用して形成され得る(例えば、腱の修復に適した)例示的な平坦な編組構造は、米国特許第4,792,336号および同第5,318,575号に記述されたものを含む。適切なメッシュ構造は、例えば、米国特許第5,292,328号(Hainら)に示され、かつ、記述されている。さらに、形状記憶繊維が、フェルトなどの不織構造に組み込まれ得る。1つの適切な不織構造が、米国特許第5,393,534号(Koyfman)に示され、かつ、記述されている。
【0059】
一部の実施形態においては、コアシース構成が、好ましい。例えば、編組構成に関する上記の米国特許のいくつかが、コアシース構造を考察している。例えば、米国特許第5,019,093号は、編組縫合糸と、コアコンポーネントとを開示しており、該コアコンポーネントの周りに、編組が、構成されている。
【0060】
一部の実施形態において、コアシース編組は、コアを含み、該コアは、マルチフィラメントヤーン、複数のマルチフィラメントヤーン、または単一のフィラメントであり得る。コアを含むヤーンとフィラメントとは、異種または同種のいずれかであり得る。特定の実施形態においては、コアは、第1のヤーンと第2のヤーンとを含み得、第1のヤーンと第2のヤーンとは、異なるが、他の実施形態においては、第1のヤーンと第2のヤーンとは、同様であり得る。第1のヤーンと、第2のヤーンとは、マルチフィラメントヤーンであり得、該マルチフィラメントヤーンは、同種または異種のいずれかであり得る。本開示のマルチフィラメントヤーンは、個々のフィラメントを一体に編組すること、撚ること、織ること、または捻ることによって構成され得る。あるいは、コアは、少なくとも2つのマルチフィラメントヤーンを含み得、そして、マルチフィラメントヤーンは共に、織られるか、編組されるか、または絡ませられるかであり得る。
【0061】
一部の実施形態において、コアシース編組は、シースを含み、該シースは、マルチフィラメントヤーン、または複数のマルチフィラメントヤーンであり得る。上に記述されたコアと同様に、シースを含むヤーンは、異種または同種のいずれかであり得る。特定の実施形態においては、シースは、異なる第1のヤーンと第2のヤーンとを含むが、他の実施形態においては、第1のヤーンと第2のヤーンとは、同じ材料のものであり得る。さらに、第1のヤーンは、UHMWPを含み得、そして、第2のヤーンは、着色された識別子、すなわち、絹またはナイロンなどの追跡子であり得る。第1のヤーンと第2のヤーンとは、マルチフィラメントヤーンであり得、該マルチフィラメントヤーンは、同種または異種であり得る。本開示のマルチフィラメントヤーンは、個々のヤーンを一体に編組すること、撚ること、織ること、または捻ることによって構成され得る。あるいは、シースは、複数のマルチフィラメントヤーンを含み得、該複数のマルチフィラメントヤーンは一体に、織られるか、編組されるか、または絡まされるかであり得る。例えば、縫合糸は、捻られた同種ヤーンであるコアと、第1の熱可塑性エラストマーヤーンと第2のポリオレフィンヤーンとがコアの周りに配置された編組マルチフィラメントシースとを含み得る。
【0062】
別の例において、コアシース構成は、図10に示されているように、マルチフィラメントシースと組み合わせたマルチフィラメントコアヤーンを含み得る。縫合糸30は、コア36を含み、該コア36は、マルチフィラメントヤーンであるが、モノフィラメントであり得ることが、企図されている。縫合糸30は、マルチフィラメントシース38を含み、該マルチフィラメントシース38は、2種類の異なる複数のヤーン32および34を含み、該2種類の異なる複数のヤーン32および34は、コア36の周りに配置されている。
【0063】
コアは、約100%のポリオレフィン材料を含み得る。コアは、約0重量%〜約30重量%の縫合糸であり、特定の実施形態においては、約5重量%〜約25重量%の縫合糸であり得る。シースヤーンは、約70重量%〜約100重量%の縫合糸を含み、特定の実施形態においては、約75重量%〜約95重量%の縫合糸を含む。
【0064】
上に記述されたように、シースは、2種類の異なるヤーンを含み得、第1のヤーンは、熱可塑性エラストマーコポリマーであり、そして、第2のヤーンは、ポリオレフィンである。さらに詳細には、一部の実施形態において、シースは、約35重量%〜約98重量%のポリオレフィンであり、特定の実施形態においては、約40重量%〜約94重量%のポリオレフィンである。さらに、シースは、約2重量%〜約65重量%の熱可塑性エラストマーであり、特定の実施形態においては、約6重量%〜約60重量%の熱可塑性エラストマーであり得る。
【0065】
全体的に、縫合糸の組成は、約2重量%〜約75重量%の熱可塑性エラストマーを含み得、一部の実施形態においては、5重量%〜約65重量%の熱可塑性エラストマーを含み得る。縫合糸中のポリオレフィンの組成は、約25重量%〜約98重量%であり、特定の実施形態においては、約35重量%〜約95重量%である。
【0066】
特に有用なシース材料は、ARNITEL(登録商標)などの熱可塑性エラストマーと、DYNEEMA(登録商標)のような超高分子ポリウレタン(UHMWP)などのポリオレフィンとを含み得る。特に有用なコア材料は、DYNEEMA(登録商標)のような超高分子ポリウレタンなどのポリオレフィンであり得る。あるいは、コア材料は、ARNITEL(登録商標)などの熱可塑性エラストマーを含み得る。
【0067】
さらに、本開示の縫合糸は、着色された識別子、例えば、追跡子を含み得る。本明細書において定義されるように、「追跡子」は、外科手術領域などの周囲の環境に対して縫合糸または医療デバイスと対照的に目立たせる色を提供するフィラメントなどの識別可能な痕跡を含む。例えば、追跡子は、ポリブトエステルまたはナイロンなどの材料の染色ポリマーフィラメント、彩色ポリマーフィラメント、またはカラーコーティングポリマーフィラメントであり得る。
【0068】
追跡子が、他のヤーンと混ぜ合わされるか、または編組されることにより、マルチフィラメントヤーンを作り出し得る。縫合糸の全長または一部が、追跡子を含み得、言い換えると、追跡子が、縫合糸の全長を延び得る。追跡子が、縫合糸の表面に特定のパターンを示すように、縫合糸に編組され、このことが、外科医が外科手術領域において特定のストランドを識別することを助け得る。
【0069】
所望の場合には、フィラメント、ヤーン、または編組の表面が、生体吸収性コーティングまたは非生体吸収性コーティングでコーティングされることにより、編組の性能をさらに改善し得る。例えば、編組は、有機溶媒における所望のコーティングポリマーの溶液に浸漬され得、次に、乾燥させられて、溶媒を取り除き得る。
【0070】
フィラメント、ヤーン、または編組の表面が、コーティングされた場合、コーティングの組成は、生体活性材料を含むことが望ましいことがあり得る。一部の例は、血管作用剤、神経刺激剤、ホルモン、成長因子、サイトカイン、麻酔剤、ステロイド、抗凝固剤、抗炎症剤、免疫調節剤、細胞障害剤、予防薬、抗生物質、抗菌剤、抗ウイルス剤、アンチセンス、抗原、および抗体を含む。
【0071】
異種編組が、多数の医療用途、特に、外科用縫合糸、外科用ケーブル、外科用テザー、外科用テープ、および胸骨閉鎖デバイスとしての用途に使用され得るように、好適には、針、縫合糸アンカー、または骨アンカーに取り付けられ得るように、異種編組は、殺菌される。例えば、図3に示されているように、針−縫合糸の組み合わせ100は、本開示に従った異種ヤーンから作られた縫合糸101を含み、該縫合糸101は、針102に取り付けられている。編組は、当該分野において周知の従来技術の任意のものを使用して殺菌され得る。
【0072】
殺菌されると、編組マルチフィラメント外科用デバイスは、本明細書に記述されるように、2つ以上の軟組織の間、2つ以上の硬組織の間、または少なくとも1つの軟組織と少なくとも1つの硬組織との間に位置する創傷を修復するために使用され得る。編組マルチフィラメント外科用デバイスは、組織を通過させられるか、組織の周りに巻かれるか、または組織に固定され、次に、例えば、結び目を結ぶこと、デバイスを締めること、バックルを適用することなどによって編組マルチフィラメント外科用デバイスを操作することによって、組織が、接近させられる。
【0073】
上記の記述に従って作られた縫合糸は、摩擦に対して優れた強度と優れた耐性とを示し、そして、心臓外科手術と整形外科手術とにおいて特定の用途を見出し得る。特に、整形外科手術に関して、縫合糸は、高い応力と強い摩擦との下で骨を固定するのに有用である。本マルチフィラメント編組縫合糸は、有利なことに、固定デバイスと組み合わせて使用され得、該固定デバイスは、限定するものではないが、例えば、縫合糸アンカーを含む。
【0074】
特に有用な実施形態において、本開示に従った縫合糸が、縫合糸アンカー送達システムと連携して送達され得、そして、関節鏡縫合器具を使用して組織を通過させられ得ることが企図されている。ここで、図4および図5を参照すると、1つの適切な縫合糸アンカー送達システム310が示され、該縫合糸アンカー送達システム310は、細長いシャフト316を有するハンドル314を有し、該細長いシャフト316は、ハンドル314から離れた、シャフト316の遠位端318に、ねじを切られた縫合糸アンカー320を支持している。図5に示されるように、本開示に従って作られた縫合糸322は、縫合糸アンカー320に取り付けられ、そして、ハンドル316内のトラフ317(およびシャフト316の反対側の対応するトラフ317(図示せず))を通ってハンドル314に導かれる。ここで、図6および図7を参照すると、一対の縫合糸322、323を縫合糸アンカーに事前に取り付ける1つの方法が、示されている。示されているように、縫合糸アンカー320は、2つの部分、すなわち、ねじを切られた中空の本体部分410と、先端部分420とからなり、該先端部分420は、示されているように、中空の本体部分410に挿入可能なシャフト422を有し、そして、横断方向アパーチャ425A、425Bを通る2つの縫合糸322、323を受け入れ、そして、保持するように構成されている。拡大した先端のビーズ部分426は、中空の本体部分410の中に入らず、またはそれを通過せず、それにより、縫合糸322、323が、近位端322A、322B、323A、323Bを引張ることによって張力の下に置かれたときに、縫合糸アンカーに対して縫合糸を保持する。当然、多数の他のタイプの縫合糸アンカーと、縫合糸を取り付ける方法とを、本開示に従って、当業者は、見出す。例として、代替的に、縫合糸は、ねじ込み式アンカーではなく押し込み式アンカーに取り付けられ得る。例えば、米国特許第5,993,459号(Larsen)を参照されたい。好適には、縫合糸の近位端は、外科手術の間の使用に適した針(図示せず)に取り付けられることにより、縫合糸に組織を通過させ、そして、適切な操作(例えば、結び目を結ぶこと、および/または結び目を縛ること)を介してアンカーに対して組織を固定する。
【0075】
関節鏡処置の間の使用において、カニューレ300が、関節包に挿入され、そして、縫合糸アンカー送達システムのシャフト316が、縫合糸アンカーを受け入れることに適した調製された部位にカニューレ300を通って挿入される。図8は、カニューレ430を通って挿入される器具のシャフトを示し、縫合糸アンカー320が、骨Bに挿入されている。縫合糸アンカー320が、送達システム310から解放され、縫合糸322、323が、軟組織Tを骨Bに固定するための操作に利用可能なままにしておく。さらなる実施形態において、縫合糸は、軟組織を通過することに適した針(図示せず)に取り付けられる。針は、関節鏡縫合器具と共に使用することに適した従来の縫合針であり得る。1つのかかる器具は、Arthrosew器具(U.S.S.Sports Medicine、North Haven、CT)であり、該Arthrosew器具は、両頭の外科用切開部材を利用する。最も好ましくは、縫合糸アンカー送達システムのハンドル部分は、解放可能な縫合糸管理部材(図示せず)を含み、該解放可能な縫合糸管理部材は、使用する縫合針を保持する。縫合針が、縫合デバイスと共に使用される場合には、縫合管理部材は、縫合器具に針の制御を伝達するために適した方法で縫合器具を係合するように構成されている。針と縫合糸とは、軟組織を通過させられ、そして、縫合糸が、例えば、縫合糸に結び目を形成することによって処理されることにより、縫合糸アンカーに対して軟組織を固定する。その後、処置が、開窓手法、小開窓手法、または閉鎖関節鏡手法として行われたか否かに従って適切な方法で、患者は、閉鎖される。
【0076】
縫合糸アンカーに関して、縫合糸アンカーの縫合糸アイレットを通って縫合糸を引くこと、縫合糸において結び目を形成すること、および骨に対する組織の安全な接近のためにしっかりと結び目を縛ることを含む操作が、縫合糸に行われると、本開示に従って構成された縫合糸は、摩擦に対する耐性のかなりの向上を提供する。
【実施例】
【0077】
実施例1
USPサイズ2
複合縫合糸は、超高分子量ポリウレタン(UHMWP)マルチフィラメントヤーンとポリブトエステルマルチフィラメントヤーンとのシースを有する。ポリブトエステルマルチフィラメントヤーンは、青色であり、ポリブトエステルは、BASFから市販されているHeliogen(登録商標)Blue K7090色素の添加を含む。縫合糸は、従来のRatera編組機で作られる。シースは、約76重量%のUHMWPと、約24重量%のポリブトエステルとを含む。縫合糸のコアは、約100重量%のUHMWPヤーンからなる。編組機には、110dtexの超高分子量ポリエチレンマルチフィラメントヤーンの8つのキャリヤが時計回り方向に装填され、110dtexのUHMWPマルチフィラメントヤーンの4つのキャリヤが反時計回り方向に装填され、そして、106dtexのポリブトエステルマルチフィラメントヤーンの4つのキャリヤが反時計回り方向に装填されている。反時計回り方向のボビンは、2x2x2x2の方式で装填され、UHMWPの2つの連続するキャリヤが、ポリブトエステルヤーンの2つの連続するキャリヤと交互になっている。編組は、1層の220dtexのUHMWPのコア構成を有する。組機のピックカウントは、51ppi〜55ppiの間に設定され、コアの張力は、70グラム〜90グラムの間に設定され、そして、巻き取り張力は、約300グラムに設定される。
【0078】
縫合糸全体に関して、シース中のポリブトエステルは、縫合糸の約22重量%を構成し、そして、シース中のUHMWPは、縫合糸の約68重量%を構成している。コア中のUHMWPは、縫合糸の約10重量%を構成している。
【0079】
実施例2
USPサイズ2
複合縫合糸は、超高分子量ポリウレタン(UHMWP)マルチフィラメントヤーンとポリブトエステルモノフィラメントヤーンとのシースを有する。縫合糸は、従来のRatera組機で作られた。シースは、約94重量%のUHMWPと、約6重量%のポリブトエステルとを含み、ポリブトエステルは、BASFから市販されているHeliogen(登録商標)Blue K7090色素の添加を含むことによって、青色に着色された。縫合糸のコアは、約100重量%のUHMWPヤーンからなっていた。組機には、110dtexのUHMWPマルチフィラメントヤーンの8つのキャリヤを時計回り方向に装填し、110dtexのUHMWPマルチフィラメントヤーンの6つのキャリヤを反時計回り方向に装填し、そして、50dtexのポリブトエステルモノフィラメントヤーンの2つのキャリヤを反時計回り方向に装填した。反時計回り方向のボビンを、3x1x3x1の方式で装填し、UHMWPの3つの連続するキャリヤを、ポリブトエステルヤーンの1つのキャリヤと互い違いにした。編組は、1層の220dtexのUHMWPのコア構成を有していた。組機のピックカウントを、51ppi〜55ppiの間に設定し、コアの張力を、70グラム〜90グラムの間に設定し、そして、巻き取り張力を、約300グラムに設定した。
【0080】
縫合糸全体に関して、シース中のポリブトエステルは、縫合糸の約6重量%を構成し、そして、シース中のUHMWPは、縫合糸の約84重量%を構成している。コア中のUHMWPは、縫合糸の約10重量%を構成している。
【0081】
ヤーン、編組、およびデバイスの様々な改変および変形例と、それらの使用とは、上記の詳細な記述から当業者には明らかである。かかる改変およびかかる変形例は、以下の特許請求の範囲に該当することが意図されている。
【符号の説明】
【0082】
10 異種ヤーン
12 第1のフィラメント
13 第2のフィラメント
100 針−縫合糸の組み合わせ
101 縫合糸
102 針

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのフィラメントを備えているコアと、
該コアの周りに配置されたシースであって、該シースは、熱可塑性エラストマーを含む第1のヤーンと、ポリオレフィン材料を含む第2のヤーンとを含む、シースと
を備えている外科用デバイス。
【請求項2】
前記熱可塑性エラストマーは、ポリエステルエーテルブロックコポリマーである、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項3】
前記ポリエステルエーテルブロックコポリマーは、ポリエステルブロックを備え、該ポリエステルブロックは、ポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポリブチレンテレフタレートからなる群から選択される、請求項2に記載の外科用デバイス
【請求項4】
前記ポリエステルエーテルブロックコポリマーは、ポリエーテルブロックを備え、該ポリエーテルブロックは、長鎖ポリエーテルグリコール、ポリアルキレンエーテルグリコール、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(1、2−ブチレンエーテル)グリコール、ポリ(ペンタメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール、ポリ(へプタメチレンエーテル)グリコール、ポリ(オクタメチレンエーテル)グリコール、またはポリ(ノナメチレンエーテル)グリコールからなる群から選択される、請求項2に記載の外科用デバイス。
【請求項5】
前記熱可塑性エラストマーは、ポリ(エステルエーテル)ブロックを備え、該ポリ(エステルエーテル)ブロックは、ポリブチレンテレフタレートとポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールとを含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項6】
前記ポリオレフィン材料は、超高分子量ポリエチレンを含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項7】
前記第1のヤーンと前記第2のヤーンとは、編組構成である、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項8】
前記第1のヤーンと前記第2のヤーンとは、マルチフィラメントヤーンである、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項9】
前記コアは、約100重量%のポリオレフィンを含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項10】
前記コアは、約100重量%のポリブトエステルを含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項11】
前記シースは、約35重量%〜約98重量%のポリオレフィンを含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項12】
前記シースは、約40重量%〜約94重量%のポリオレフィンを含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項13】
前記シースは、約2重量%〜約65重量%の熱可塑性エラストマーを含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項14】
前記シースは、約6重量%〜約60重量%の熱可塑性エラストマーを含む、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項15】
前記外科用デバイスは、縫合糸アンカーと組み合わせて縫合糸を備えている、請求項1に記載の外科用デバイス。
【請求項16】
着色された識別子をさらに含む、請求項1に記載の外科用デバイス
【請求項17】
少なくとも1つのフィラメントを備えているコアと、
該コアの周りに配置されたシースであって、該シースは、ポリエステルエーテルコポリマーを含む第1のヤーンを、超高分子量ポリエチレンを含む第2のヤーンと組み合わせて含む、シースと
を備えている外科用デバイス。
【請求項18】
前記第1のヤーンと前記第2のヤーンとは、マルチフィラメントヤーンである、請求項17に記載の外科用デバイス。
【請求項19】
前記ポリエステルエーテルブロックコポリマーは、ポリブトエステルを含む、請求項17に記載の外科用デバイス
【請求項20】
前記コアは、約100重量%の超高分子ポリエチレンを含む、請求項17に記載の外科用デバイス。
【請求項21】
前記コアは、約100重量%のポリブトエステルを含む、請求項17に記載の外科用デバイス。
【請求項22】
前記シースは、約35重量%〜約98重量%の超高分子ポリエチレンを含む、請求項17に記載の外科用デバイス。
【請求項23】
前記シースは、約40重量%〜約94重量%の超高分子ポリエチレンを含む、請求項17に記載の外科用デバイス。
【請求項24】
前記シースは、約2重量%〜約65重量%のポリエステルエーテルコポリマーを含む、請求項17に記載の外科用デバイス。
【請求項25】
前記シースは、約6重量%〜約60重量%のポリエステルエーテルコポリマーを含む、請求項17に記載の外科用デバイス。
【請求項26】
着色された識別子をさらに含む、請求項17に記載の外科用デバイス

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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