説明

熱可塑性容器を製造するために用いられる型用の型ベース、およびそのようなベースを有する少なくとも1つの型を備えた成形装置

本発明は、花弁状のベースを有する熱可塑性容器(2)を、ブロー成形またはストレッチブロー成形するのに使用される型用の型ベースに関する。型ベース(1)は、凹状頂部(14)を有する放射状の山部(13)によって分離されたキャビティ(11)であって、ベース(15)が円形の輪郭に沿って分布した複数のキャビティ(11)を含む。各キャビティ(11)は、その最も深い点で放射の各側を見ると分かるように、外側の方に向かって、円弧状の半径方向断面を有する曲面部(18)によって定められており、内側の方に向かって、直線状の縁部(20)の所で曲面部(18)と交差する少なくとも2つの勾配を有する曲げられた平面状の表面部(19)によって定められている。上述の縁部(2)を含み、曲面部(18)の接線方向に配置された平面(T)は、型ベースの軸(12)に垂直である。さらに、平面(21)の、曲面部(18)に隣接する部分は、接面(T)に対して12°から8°の間の勾配(α)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、PETなどの熱可塑性材料からなる容器、特にボトルを、ブロー成形またはストレッチブロー成形によって製造する分野に関する。
【0002】
さらに具体的には、本発明は、PETなどの熱可塑性材料からなる容器、特にボトルを、ブロー成形またはストレッチブロー成形によって製造するための型用の型ベースであって、容器が本体を有し、容器が、等角度で分布する複数の足部であって、容器の軸に略平行に延び、凸状の底部を含む放射状の谷部によって互いに分離された足部、を含む「花弁状」と呼ばれるタイプのベースを有し、型ベースは、互いに等間隔で分布した複数のキャビティであって、型ベースの軸と略平行に延び、凹状の頂部を含んだ放射状の山部によって互いに分離されたキャビティ、を含む容器のベースを成形するための成形キャビティを有し、キャビティの底部が、略円形の輪郭に沿って分布しており、各キャビティは、その最も深い位置で放射方向の各側を見たときに、
外側の方に向かって、放射方向断面において略円弧状である曲面部によって定められており、
内側の方に向かって、平面状の表面部であって、該平面状の表面部内の、曲面部に隣接した平面部が、曲面部に接する平面であって成形キャビティの軸に略垂直な平面に対して12°から8°の間の勾配を有している、平面状の表面部によって定められている、
型ベースの構成の改良に関する。
【0003】
「山部」なる用語は、成形された容器のベースに上述の「谷部」を形成する型ベースの、略放射方向に延びた突出部に対して用いられる。
【背景技術】
【0004】
容器の機械的に最も脆弱な部分はベースである。実際、容器に含まれる柱状の液体の重量を支持するのはベースであり、容器を取り巻く保存の条件(温度、湿度、絶縁など)に応じて変化する期間中、ベースの形状(特にベースの中央部のたるみ)が失われる。その場合、容器はもはや支持体上に安定にのせることができなくなる。
【0005】
容器ベースの中央部のたるみは、容器の軸の方向で足部を定めている壁の位置かつ/または傾斜を変化させる。したがって、容器の軸に略平行な足部の向きは失われる。そして、足部が放射方向断面において湾曲した輪郭を有するため、支持体上に位置する足部の領域は表面上を動き回る。容器は、もはや平面状の支持体に安定して位置することができなくなる。
【0006】
厳しい気候条件(高温、高湿度レベル)を有する国で、PETなどの熱可塑性材料からなる容器に詰められた炭酸液体を供給している小売業者は、容器の安定性を失わずに、十分長い期間容器を保存できることを望んでいる。
【0007】
さらに、容器の製造業者は、容器の生産率を低下させることなく小売業者の要求を満足させること、それどころか、もし可能であれば生産率をさらに高めることも望んでいる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の明確な目的は、圧力を受けて充填され、高温および高湿雰囲気で保存される容器の長期的な安定性を、生産率に悪影響を与えずに向上させるという課題を解決する、改良された技術的解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、第1の態様によれば、本発明は、前文で述べたようなPETなどの熱可塑性材料からなる容器、特にボトルを、ブロー成形またはストレッチブロー成形によって製造するための型用の型ベースであって、表面部が、少なくとも2つの勾配を有する曲げられた平面状の表面部であり、平面に含まれる略周方向に延びた直線状の縁部で曲面部と交差し、キャビティの底部に形成された直線状の縁部は、略周方向に延びる突出した支持山部を、容器ベースの各足部に構成することを特徴とする、型ベースを提供する。
【0010】
この構成によると、このようにキャビティのベースに形成された直線状の縁部は、容器ベースの各足部に、略周方向に延びる突出した支持山部を形成する。容器ベースの中央部のたるみの影響によって足部が受ける変形かつ/または傾斜にかかわらず、この山部は、足部を平面状の支持体に支持接触したままにする。
【0011】
曲面部に隣接する平面部の勾配が険しすぎる場合、容器ベースの成形が困難になり、逆にこの勾配が緩やか過ぎる場合、容器ベースの中央が足部の端部に対して十分に持ち上げられず、容器の安定性が急速に失われるため、この勾配は注意して選択されなければならない。約12°から8°の間の上述の範囲内に構成された勾配は、概ね満足いくものであるように思われるが、好ましい解決策では、勾配は約10°である。
【0012】
容易に実現可能であるため好ましい実施態様においては、曲げられた平面状の表面部が2つの勾配を有している。この場合に有利なことには、成形キャビティのベースの内側に位置する平面部の勾配は約17°から23°の間であり、好ましくは約20°から21°の間であり、典型的には約20.5°である。
【0013】
第2の態様によれば、本発明は、PETなどの熱可塑性材料からなる容器、特にボトルを、ブロー成形またはストレッチブロー成形によって製造する成形装置であって、容器が本体を有し、容器が、等角度で分布する複数の足部であって、容器の軸に略平行に延び、凸状の底部を含む放射状の谷部によって互いに分離された足部、を含む「花弁状」と呼ばれるタイプのベースを有し、成形装置が、容器の前記ベースを成形するために、互いに等角度で分布した複数のキャビティであって、型ベースの軸と略平行に延び、凹状の頂部を含んだ放射状の山部によって互いに分離された複数のキャビティ、を含んだ成形キャビティを有する型ベースを含む少なくとも3つの部分で構成された少なくとも1つの型を有し、キャビティの底部が、略円形の輪郭に沿って分布している、成形装置において、型ベースが上述した本発明によって構成されることを特徴とする成形装置も提供する。本発明の構成の重要な用途は、本発明によって構成されたそれぞれのベースを有する複数の型を備えたカルーセル型の回転ブロー成形機またはストレッチブロー成形機に関する。
【0014】
本発明は、単に実施例として与えられた本発明の好ましい一実施形態の以下の詳細な説明によって、よりよく理解されよう。本説明においては、添付の図面が参照される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜4を参照すると、PETなどの熱可塑性材料からなる容器、特にボトルを、ブロー成形またはストレッチブロー成形によって製造するための型に備えられる型ベース1が示されている。
【0016】
図5に示されているように、この型によって製造すべき容器2は、本体3を有している。そして、容器2は、足部5を形成する複数の突起を有する「花弁状」と呼ばれるタイプのベース4を有している。足部5は、一般には3つから7つの間の数であり、実際には4つから6つの間である(図示された例では5つ)。足部5を形成する複数の突起は、等角度で分布しており、容器の軸6に略平行に延び、湾曲した凸状の底部8を有する放射状の谷部7によって互いに分離されている。外側に突出した円形台部10の形状の突起が中心に配置された円形の輪郭、を有するぎざぎざのへこみ10aが構成されているベースの中央部の方向に、すべての谷部7が向けられている。容器のベース4は、円筒をほぼ一周する接続ゾーン9によって、容器の本体3に接続されている。
【0017】
型ベース1は、容器のベース4の足部5の数に等しい複数のキャビティ11であって、一般に3つから7つの間であり、実際には4つから6つの間であり(図1〜4の例では5つ)、等角度(この例では、72°ごとの相互角度)で分布し、容器の軸6に略平行に延び、型ベース1の軸12(成形キャビティCの軸でもある)に略平行に延び、放射状の山部13(すなわち、成形された容器のベース4において、谷部7を形成する成形キャビティCから略放射方向に延びる突出部)によって互いに分離された複数のキャビティ11を有する、容器2のベース4を成形するための成形キャビティCを備えている。
【0018】
各山部13は、中央へこみ10aの縁部から延びる円弧の形をした凹状の湾曲頂部14を有している。
【0019】
キャビティ11の底部15は、一定のベース直径Dを有する略円形の輪郭16に沿って分布している。この直径は、容器のベース4のシートの直径(容器が平面状支持体上に位置するための足部5の各ゾーンが分布した円形の輪郭の直径)に相当する。
【0020】
成形キャビティCの中央は、容器ベース4のへこみ10aおよび台部10を形成するように、中央に浅い円形のくぼみ17が形成された中央台17aを有している。
【0021】
図2の断面図を見るとよく分かり、図3の部分拡大断面図を見るとさらによく分かるように、各キャビティ11は、その最も深い位置で放射方向の各側を見たときに、
外側の方に向かって、放射方向断面において略円弧状である曲面部18によって定められており、
内側の方に向かって、曲面部18に隣接した平面部21が、曲面部18に接する平面Tであって成形キャビティCの軸12に略垂直な平面Tに対して12°から8°の間、好ましくは約10°の勾配αを有している、平面状の表面部19によって定められている。
【0022】
本発明によれば、表面部19は、少なくとも2つの勾配を有する曲げられた平面部である。そして、略周方向に延びた直線状の縁部20であって、平面Tに含まれる直線状の縁部20において、表面部19が曲面部18と交差している。
【0023】
この型の構成では、足部が平面状の支持体に位置するための突出した支持山部22が、容器ベース4の各足部5に形成される。山部形状によって剛性を与えられた当該支持体は、時間の経過による容器ベースのたるみの影響によって生じる足部の変形かつ/または傾斜にかかわらず、与えられる。したがって、容器のベースのたるみが存在する場合に、容器の足場は平面状の支持体上で安定した状態のままとなる。
【0024】
曲面部18に隣接する平面部21の勾配は、上記の範囲内の場合、容器ベース4の中央を、足部5の突出した支持山部22に対して十分正確に持ち上げるとともに、ブロー成形工程時に成形を十分容易にする。
【0025】
添付の図に示されている好ましい実施形態では、曲げられた平面部19は、少なくとも2つの勾配を有している。少なくとも2つの勾配によれば、経時的な容器の安定性を改良することに関する要求を満たし、その一方で、成形を容易にすることを妨げる容器ベースの形状の複雑化を避けることができる。これらの条件を考慮して、成形キャビティCのベースの内側の方に位置する平面部23の勾配βを、約17°から23°の間、好ましくは約20°から21°の間、典型的には約20.5°に設定する。
【0026】
2つの平面部がそれぞれ約10°および20.5°の勾配を有している代表的な例において、2つの平面部21および23が交差することによって形成される山部は、約55mmの直径Φを有する円形の輪郭に沿って位置する。
【0027】
これらの条件の下では、図5を見ると分かるように、容器ベース4の各足部5は、(型ベース1の成形キャビティCの曲面部18に接触するように成形された)湾曲した外壁24、ならびに(型ベース1の成形キャビティCの上述の2つの勾配を有する曲げられた平面状の表面部19と接触するように成形された)2つの勾配25aおよび25bを有する内壁25によって、突出した支持山部22の各側に定められている。
【0028】
本発明による構成は、PETなどの熱可塑性材料からなる容器2、特にボトルを、ブロー成形またはストレッチブロー成形によって製造する成形装置であって、容器2が本体3を有し、容器2が、等角度で分布する複数の足部5であって、容器の軸6に略平行に延び、凸状の底部8を含む放射状の谷部7によって互いに分離された足部5、を含む「花弁状」と呼ばれるタイプのベース4を有し、成形装置が、容器のベース4を成形するために、互いに等角度で分布した複数のキャビティ11であって、型ベース1の軸12と略平行に延び、凹状の頂部14を含んだ放射状の山部13によって互いに分離された複数のキャビティ11、を含んだ成形キャビティCを有する型ベース1を含む少なくとも3つの部分で構成された少なくとも1つの型を有し、キャビティ11の底部15が一定のベース直径Dを有する略円形の輪郭に沿って分布している、成形装置において、成形装置の少なくとも1つの型の型ベース1が上記に開示された構成のうちの一の構成かつ/または他の構成になっている成形装置、に適用して特に好ましい。特に、このような成形装置は、本発明によって構成されたそれぞれのベースを有する複数の型を備えた、カルーセル型の回転ブロー成形またはストレッチブロー成形機の構成であってよい。
【0029】
本発明によって提供された特定の構成によって、ベースのたるみにかかわらず、特に熱可塑性材料に悪影響を与える雰囲気(高温、湿度)において、長時間にわたって高い安定性を有する、PETなどの熱可塑性材料からなる容器、特にボトルを、製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る型ベースの上面図である。
【図2】図1の型ベースのII−II線に沿った径方向断面図である。
【図3】図2の型ベースの成形キャビティの外形の一部の部分拡大図である。
【図4】図1の型ベースの4分の3に対する上からの斜視図である。
【図5】図1〜4に示す型ベースを有している成形された容器のベースの4分3に対する下からの等角斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PETなどの熱可塑性材料からなる容器(2)、特にボトルを、ブロー成形またはストレッチブロー成形によって製造するための型用の型ベース(1)であって、
前記容器(2)が本体(3)を有し、
前記容器(2)が、等角度で分布する複数の足部(5)であって、前記容器の軸(6)に略平行に延び、凸状の底部(8)を含む放射状の谷部(7)によって互いに分離された前記足部(5)、を含む「花弁状」と呼ばれるタイプのベース(4)を有し、
前記型ベース(1)は、互いに等間隔で分布した複数のキャビティ(11)であって、前記型ベース(1)の前記軸(12)と略平行に延び、凹状の頂部(14)を含んだ放射状の山部(13)によって互いに分離された前記キャビティ(11)を含む、前記容器(2)の前記ベース(4)を成形するための成形キャビティ(C)を有し、
前記キャビティ(11)の前記底部(15)が、略円形の輪郭(16)に沿って分布しており、
各キャビティ(11)は、その最も深い位置で放射方向の各側を見たときに、
外側の方に向かって、放射方向断面において略円弧状である曲面部(18)によって定められており、
内側の方に向かって、平面状の表面部(19)であって、該平面状の表面部(19)内の、前記曲面部(18)に隣接した平面部(21)が、前記曲面部(18)に接する平面(T)であって前記成形キャビティ(C)の軸(12)に略垂直な前記平面(T)に対して12°から8°の間の勾配(α)を有している、前記平面状の表面部(19)によって定められている、
型ベースにおいて、
前記表面部(19)は、少なくとも2つの勾配を有する曲げられた平面状の表面部であり、前記平面(T)に含まれる略周方向に延びた直線状の縁部(20)で前記曲面部(18)と交差し、
前記キャビティ(11)の底部に形成された前記直線状の縁部(20)は、略周方向に延びる突出した支持山部(22)を、前記容器ベース(4)の各足部(5)に構成することを特徴とする型ベース。
【請求項2】
前記曲面部(18)に隣接した前記平面部(21)の前記勾配(α)は約10°であることを特徴とする、請求項1に記載の型ベース。
【請求項3】
前記曲げられた平面状の表面部(18)は2段の勾配を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の型ベース。
【請求項4】
前記成形キャビティ(C)の前記ベースの内側の方に位置する前記平面部(23)の前記勾配(β)は、約17°から23°の間であることを特徴とする、請求項3に記載の型ベース。
【請求項5】
前記勾配(β)は約20°から21°の間であることを特徴とする、請求項4に記載の型ベース。
【請求項6】
PETなどの熱可塑性材料からなる容器(2)、特にボトルを、ブロー成形またはストレッチブロー成形によって製造する成形装置であって、
前記容器(2)が本体(3)を有し、
前記容器(2)が、等角度で分布する複数の足部(5)であって、前記容器の軸(6)に略平行に延び、凸状の底部(8)を含む放射状の谷部(7)によって互いに分離された足部(5)、を含む「花弁状」と呼ばれるタイプのベース(4)を有し、
前記成形装置が、前記容器の前記ベース(4)を成形するために、互いに等角度で分布した複数のキャビティ(11)であって、前記型ベース(1)の前記軸(12)と略平行に延び、凹状の頂部(14)を含んだ放射状の山部(13)によって互いに分離された前記複数のキャビティ(11)、を含んだ成形キャビティ(C)を有する型ベース(1)を含む少なくとも3つの部分で構成された少なくとも1つの型を有し、
前記キャビティ(11)の底部(15)が、略円形の輪郭に沿って分布している、成形装置において、
前記型ベース(1)が、請求項1から5のいずれか1項に記載の型ベースによって構成されていることを特徴とする、成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−526671(P2009−526671A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554803(P2008−554803)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000215
【国際公開番号】WO2007/093686
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(504102770)シデル パルティシパション (46)
【氏名又は名称原語表記】SIDEL PARTICIPATIONS
【Fターム(参考)】