説明

熱可塑性樹脂用改質剤

【課題】熱可塑性樹脂にバイオマスを配合するにあたり、バイオマスと樹脂との結合を促進して相溶性を改善し、樹脂中へのバイオマスの分散性を高めるための改質剤を提供する。
【解決手段】バイオマスを含む熱可塑性樹脂の改質剤であって、スチレン−無水マレイン酸共重合体30〜75重量%、該スチレン−無水マレイン酸共重合体のガラス転移点より25℃以上高い沸点を有する一価の直鎖又は分枝鎖アルコール10〜30重量%、及び金属水酸化物2〜10重量%の反応生成物を含む改質剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は木粉などのバイオマスを配合した熱可塑性樹脂用の改質剤に関する。さらに詳しくは、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、又はポリブチレンサクシネート等の熱可塑性樹脂に木粉、紙粉、又は澱粉等のバイオマスを配合するにあたり、バイオマスと熱可塑性樹脂との結合を促進して相溶性を改善するとともに、熱可塑性樹脂中へのバイオマスの分散性を高めることができる改質剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化防止等の地球環境保全のたの、省資源や低炭素化の一環として循環型社会への変革が命題になっている。循環型社会実現のために、再生可能なバイオマスを活用することが極めて有用であり、このような観点から木粉などのバイオマスを熱可塑性樹脂に配合した組成物を含む複合材料が種々提案され実用化されている。
【0003】
木粉などのバイオマスを熱可塑性樹脂に配合するにあたっては、バイオマスと熱可塑性樹脂との結合力を高めて相溶性を改善する必要があり、一般的にはその目的で改質剤が使用されている。例えば、熱可塑性樹脂のポリプロピレンに木粉を配合した組成物の改質剤として、無水マレイン酸で変性されたポリプロピレン(三菱化学株式会社の「モディックシリーズ」、三洋化成工業株式会社の「ユーメックスシリーズ」等が例示できる)や、高密度ポリエチレン(三井化学工業株式会社の「アドマーシリーズ」等が例示できる)が使用されており、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の変性品からなる改質剤も提案されている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、これらの改質剤は木粉を配合したポリオレフィン系樹脂組成物においては木粉に対する分散効果が十分ではないという問題がある。また、ポリオレフィン系以外の熱可塑性樹脂においては、木粉の分散効果が低いという問題に加えて、木粉と熱可塑性樹脂との結合効果が弱いために複合材料の性能改善効果が小さい等の問題がある。また、これらの改質剤は木粉以外のバイオマスに対してはほとんど利用されていない。従って、多様なバイオマスを利用して複合材料を製造するにあたり、種々の熱可塑性樹脂に対してバイオマスの結合力を高めることができ、かつ熱可塑性樹脂中へのバイオマスの分散性を改善することができる改質剤の提供が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−263852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、ポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂に木粉、紙粉、又は澱粉等のバイオマスを配合するにあたり、バイオマスと熱可塑性樹脂との結合を促進して相溶性を改善するとともに、熱可塑性樹脂中へのバイオマスの分散性を高めることができる改質剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、スチレン−無水マレイン酸共重合体を特定の一価の直鎖又は分枝鎖アルコール及び金属水酸化物で変性させることにより得られる改質剤が上記の所望の性質を有しており、木粉のみならず紙粉や澱粉などのバイオマスに対して熱可塑性樹脂との結合を促進して相溶性を改善することができ、熱可塑性樹脂中にバイオマスを高度かつ均一に分散させることができることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明により、バイオマスを含む熱可塑性樹脂の改質剤であって、スチレン−無水マレイン酸共重合体30〜75重量%、該スチレン−無水マレイン酸共重合体のガラス転移点より25℃以上高い沸点を有する一価の直鎖又は分枝鎖アルコール10〜30重量%、及び金属水酸化物2〜10重量%の反応生成物を含む改質剤が提供される。
【0009】
上記発明の好ましい態様によれば、バイオマスを含む熱可塑性樹脂が、木粉、竹粉、紙粉、炭類、籾柄、お茶柄、米ぬか、ふすま、おから、コーヒー豆・酒・焼酎・ビール・ワイン・醤油の絞り滓、澱粉、蒟蒻副産物、果樹類の皮若しくは実の絞り滓、稲・麦・蕎麦を含む草類、海草若しくは藻類、綿繊維、パーム繊維、あるいはそれらの混合物を含むポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、又はポリブチレンサクシネートである上記の改質剤が提供される。また、バイオマスが木粉、紙粉、又は澱粉、あるいはそれらの混合物である上記の改質剤;熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、又はポリブチレンサクシネート等である上記の改質剤が提供される。
【0010】
上記の改質剤は、例えばペレットなどに成型すると流通、保存、及び使用などにおける取り扱い性を改善することができる。このような観点から、本発明により、上記反応生成物と熱可塑性樹脂(ただし熱可塑性樹脂は融点230℃以下の熱可塑性樹脂又はビカット軟化点160℃以下の熱可塑性樹脂である)とを含む混合物の成型品の形態である改質剤が提供される。上記熱可塑性樹脂を上記反応生成物に対して60重量%以下の割合で混合して270℃以下で混練した後に直径3〜5mmのノズルを有する金型から押し出し、押し出された棒状品(ストランド)を冷却して切断することにより、例えばペレット状の成型品を作成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の改質剤を用いると、木粉、紙粉、又は澱粉などの多様なバイオマスを熱可塑性樹脂中に均一に分散することができ、バイオマスと熱可塑性樹脂との結合を促進して相溶性を改善することができる。本発明の改質剤は特に木粉に対して熱可塑性樹脂との結合力を改善し、かつ分散性を高めることができるという特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の改質剤は、バイオマスを含む熱可塑性樹脂の改質剤であって、スチレン−無水マレイン酸共重合体30〜75重量%、該スチレン−無水マレイン酸共重合体のガラス転移点より25℃以上高い沸点を有する一価の直鎖又は分枝鎖アルコール10〜30重量%、及び金属水酸化物2〜10重量%の反応生成物を含むことを特徴としている。
【0013】
スチレン−無水マレイン酸共重合体の構造、分子量、重合度などは特に限定されないが、例えばGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した分子量が5,000〜15,000程度のスチレン−無水マレイン酸共重合体を用いることができる。共重合体としてはランダム共重合体、交差共重合体、周期的共重合体、又はブロック共重合体などのいずれであってもよい。スチレン−無水マレイン酸共重合体のガラス転移点は特に限定されないが、例えば90〜160℃の範囲、好ましくは100〜150℃程度である。2種以上のスチレン−無水マレイン酸共重合体を組み合わせて用いてもよい。
【0014】
スチレン−無水マレイン酸共重合体としては、例えば、サートマー・ジャパン(株)の商品名「SMAレジン」のうちの下記の一般式で表されるベースレジンを好ましく用いることができる。
【化1】

【0015】
SMAレジンのベースレジンとしては、例えば商品番号1000(155℃)、2000(135℃)、3000(125℃)、EF30(125℃)、EF40(115℃)、EF60(106℃)、及びEF80(104℃)(カッコ内はガラス転移点)を用いることができるが、これらに限定されることはない。上記の特定のベースレジンと類似の分子量、化学構造、及びガラス転移点を有する任意のスチレン−無水マレイン酸共重合体を好ましく用いることができる。
【0016】
スチレン−無水マレイン酸共重合体は、一価の直鎖又は分枝鎖アルコール及び金属水酸化物との反応により、マレイン酸成分由来の酸無水物結合部分の一部を変性させる必要がある。上記反応には、スチレン−無水マレイン酸共重合体を30〜75重量%、一価の直鎖又は分枝鎖アルコールを10〜30重量%、及び金属水酸化物を2〜10重量%の割合で反応させることができる。マレイン酸成分由来の酸無水物結合部分にアルコールが導入されることによって、熱可塑性樹脂に対するバイオマスの分散性が改善され、バイオマスの分散性も改善することができる。スチレン−無水マレイン酸共重合体の割合が30重量%未満だと結合力又は分散性が十分に改善されない場合がある。
【0017】
反応に用いる一価の直鎖又は分枝鎖アルコールとしては、スチレン−無水マレイン酸共重合体のガラス転移点より25℃以上高い沸点を有するアルコールを使用することができる。沸点がそれよりも低いと変性反応時にアルコールが蒸気となって飛散しやすく、反応効率が低下する場合がある。一価の直鎖又は分枝鎖アルコールの添加量が10重量%未満の場合には分散改善効果が不十分になる場合がある。
【0018】
一価の直鎖又は分枝鎖アルコールの種類は特に限定されないが、例えば、炭素数が5以上、好ましくは炭素数が10以上で、かつ炭素数が30以下程度のアルコールを用いることができる。好ましくは炭素数8〜26の範囲であり、さらに好ましくは炭素数10〜25の範囲である。特に好ましいのは炭素数15〜20の範囲である。一価の直鎖又は分枝鎖アルコールは2種以上を組み合わせて用いてもよい。直鎖又は分枝鎖アルコールの炭素鎖には、1個又は2個以上の不飽和結合が含まれていてもよいが、好ましくは飽和の直鎖又は分枝鎖アルコールを用いることができる。
【0019】
一価アルコールに換えて他のアルコールを用いると結合力又は分散性が十分に改善されない場合があるが、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で少量の二価アルコール又は三価アルコールや他のアルコール類を用いることができる場合もある。例えば、エチレングリコール等の二価アルコールやグリセリン等の三価アルコール、コレステリン等の環式アルコール、ポリエチレングリコール等の高分子アルコール、ヘキシルメルカプタン等のチオアルコール、2−(ジエチルアミノ)エタノール等のアミノアルコールなどを用いてもよい。
【0020】
金属水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、又は水酸化バリウム等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。金属水酸化物を2種以上組み合わせて用いることもできる。スチレン−無水マレイン酸共重合体のマレイン酸成分由来の酸無水物結合部分は熱可塑性樹脂とバイオマスとを結合させる作用を有するが、酸無水物の酸素を金属水酸化物の金属と置換することにより、上記の結合を促進させることができる。金属水酸化物の使用量が2重量%を下回ると上記の結合促進効果が十分に達成されない場合がある。
【0021】
一価アルコール及び金属水酸化物とスチレン−無水マレイン酸共重合体との反応条件は特に限定されないが、例えば、溶媒の非存在下において一価アルコール、金属水酸化物、及びスチレン−無水マレイン酸共重合体を混合して、100〜270℃程度の温度範囲で5分程度以上反応させればよい。
【0022】
スチレン−無水マレイン酸共重合体のうち、サートマー・ジャパン(株)の「SMAベースレジン1000」を炭素数が5〜26の一価の直鎖又は分枝鎖アルコール及び金属水酸化物として水酸化カルシウムを用いて変性した場合の反応生成物を下記式(2)に例示する。式中、X=1〜8、I=5〜7、m=1〜1.5、Z=2〜3.5、及びr=5〜26である。
【0023】
【化2】

【0024】
本発明の改質剤は、例えばペレットなどの形状に成型することができ、このような成型品は流通、保存、及び使用などにおける取り扱い性に優れているので好ましい態様である。例えば、上記反応生成物と熱可塑性樹脂とを含む混合物の形態の改質剤を成型することができる。上記熱可塑性樹脂を上記反応生成物に対して60重量%以下、好ましくは25〜60重量%の割合で混合して、例えば270℃以下の温度で混練した後に例えばペレット状に成型することができる。ペレットの大きさは特に限定されないが、例えば、直径が2〜5mm、長さが3〜7mm程度の円柱形状とすることができる。
【0025】
上記の成型品の製造に使用可能な熱可塑性樹脂としては、例えば、融点230℃以下の熱可塑性樹脂又はビカット軟化点160℃以下の熱可塑性樹脂を挙げることができる。2種以上の熱可塑性樹脂を用いてもよい。融点が230℃を上回る熱可塑性樹脂又はビカット軟化点が160℃を上回る熱可塑性樹脂を用いて混練を行うと、混練及び反応温度が270℃を越える場合があり、スチレン−無水マレイン酸共重合体の分解が加速される場合がある。
【0026】
成型品の製造に有用な熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイオノマー、ポリプロピレン、エチレン酢ビコポリマー、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、ポリアセタール、ナイロン6及び12、ポリブチレンテレフタレート、容リ樹脂(容器リサイクル法で回収された樹脂で、主成分はポリエチレンとポリプロピレンの混合物)、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等の生分解性樹脂などの融点230℃以下の熱可塑性樹脂、及びポリスチレン、ABS、塩化ビニル、メタクリル、ポリカーボネートなどビカット軟化点が160℃以下の樹脂を例示することができるが、これらに限定されることはない。
【0027】
成型品の製造にあたっては、例えば、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アルコール、及び金属水酸化物、及び熱可塑性樹脂を混合し、混合物を押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等に投入して混合物が十分可塑化する温度まで加熱混練して変性反応を行った後、得られた混練物を適宜の方法で冷却固化させる方法が挙げられる。
【0028】
本発明の改質剤はバイオマスを含む熱可塑性樹脂の改質剤として用いることができる。バイオマスの種類は限定されないが、例えば、木粉、竹粉、紙粉、炭類、籾柄、お茶柄、米ぬか、ふすま、おから、コーヒー豆・酒・焼酎・ビール・ワイン・醤油等の絞り滓、澱粉、蒟蒻副産物(一般的には「飛粉」と呼ばれる)、果樹類の皮や実の絞り滓、稲・麦・蕎麦等を含む草類、海草や藻類、綿繊維、パーム繊維等を挙げることができる。バイオマスは粉体として使用することが好ましく、例えば、粒径50〜300μm程度の粉体として調製されていることが好ましい。バイオマスとともに、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、カラス繊維等の無機材料の粉末を配合することもできる。無機材料の粉末を配合することにより熱可塑性樹脂組成物の分散性や強度を改善することができる場合がある。
【0029】
改質剤を添加すべき熱可塑性樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、又はポリブチレンサクシネート等の熱可塑性樹脂を用いることができ、なかでもポリオレフィン樹脂は好ましい対象である。改質剤を添加すべき熱可塑性樹脂に含まれるバイオマスの割合は特に限定されず、バイオマスの種類などに応じて適宜選択可能であるが、例えば25〜85重量%程度であり、好ましくは50〜60重量%程度の範囲である。また、改質剤の添加量も特に限定されず、熱可塑性樹脂の種類、バイオマスの種類及び添加量などに応じて適宜選択可能であるが、例えば、熱可塑性樹脂とバイオマスの合計重量に対して0.5〜5.0重量%程度である。
【0030】
本発明の改質剤、熱可塑性樹脂、及びバイオマスを含む組成物には、樹脂組成物に一般的に使用されている酸化防止剤、金属石鹸、高級脂肪酸のモノグリセライド等の界面活性剤、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、多価アルコール、高分子系アルコール、不飽和アルコール、チオアルコール、アミルアルコール等のアルコール類、流動パラフィン、ポリオレフィンワックス等のワックス類、可塑剤、EPR等の合成エラストマー類、顔料、タルクや炭酸カルシウム等の無機質系粉末、耐候剤、香料、殺鼠剤、殺虫剤、防腐剤、殺菌剤等などを1種又は2種以上添加することができる。
【0031】
本発明の改質剤、熱可塑性樹脂、及びバイオマスを含む組成物は射出成形や異型・中空・フィルム・シート・プレート等の押出成形、コンプレッション等の圧縮成型によって加工することができ、例えば、建築資材、土木資材、自動車部品、電気関例製品の筐体や部品、コンテナ・パレットや通い箱等の輸送資材、農業・林業資材、机や椅子・書類整理棚・筆記用具等の事務用品部材、合成紙、育苗容器・植木鉢・プランター及びガーデニング用資材等の農業・園芸製品、各種ラックや収納箱等の生活用品等の製造に供することができるが、組成物の用途は上記の特定の用途に限定されることはない。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例により限定されることはない。
例1
スチレン−無水マレイン酸共重合体としてサートマー・ジャパン(株)のSMAベースレジン3000を用い、1価の直鎖又は分枝鎖アルコールとしてステアリルアルコール(日本油脂株式会社品)を使用し、金属水酸化物として水酸化カルシウム(丸尾カルシウム株式会社品)を使用した。熱可塑性樹脂としてはポリプロピレン(日本ポリプロ株式会社のMA3、融点165℃)、ポリブチレンサクシネート(ダイアケミカル株式会社のAZ91TN、融点110℃)、ナイロン12(宇部興産株式会社の3012U、融点180℃)を使用した。また、比較例としてナイロン66(宇部興産株式会社の2020B、融点255〜265℃)を使用した。
【0033】
性能評価用として上記のポリプロビレン、ポリブチレンサクシネート、及びナイロン12の他に、木粉として平均粒径が100メッシュ品(株式会社島田商会品)を使用し、分散補助剤としてステアリン酸カルシウム(日本油脂株式会社品)を使用した。
【0034】
反応生成物は材料をタンブラーで混合した後、混練・造粒機であるシィーティーイー(株)のHTM50を使用して反応を行い、混練及び造粒を140〜220℃で行った。比較例は180〜290℃で行った。表1に示す配合と混練・造粒条件で反応生成物の調製とペレット化を行った。熱可塑性樹脂を45重量%配合した実施例3、4、及び5では良好なペレットが得られたが、熱可塑性樹脂を配合しない実施例1ではストランドの切断時に反応品の約95%が砕けて微粒子化し、熱可塑性樹脂の配合が18%の実施例2ではストランドの切断時に反応品の約20%が砕けて微粒子化した。
【0035】
表1の配合で調製した組成物の性能評価を行った。性能評価は射出成型機で500ml植物育成用の容器を作成することにより行った。成型品の評価は、表面性は目視で行い、引張試験、剛性、及び衝撃試験は機器試験で行った。結果を表1に示す。本発明の改質剤を添加した組成物から得た成型品は何れも良好な特性を有していた。
【0036】
【表1】

【0037】
比較例として表2に示す配合と混練・造粒条件で反応生成物の調製及びペレット化を行った。熱可塑性樹脂としてポリプロピレンを使用し、添加量が39〜60重量%の比較例1、3、及び5では良好なペレットが得られたが、添加量が5〜10重量%の比較例2及び4はストランドの切断時に砕けが発現し微粒子化が生じた。ナイロン66を使用した実施例5ではSMA3000が分解・発泡して反応品が得られなかった。
【0038】
表2の配合で得た比較用の反応性生物の性能を上記と同様にして評価した。結果を表2に示す。いずれの比較例においても製品特性に何らかの問題が発生することが明かである。
【0039】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスを含む熱可塑性樹脂の改質剤であって、スチレン−無水マレイン酸共重合体30〜75重量%、該スチレン−無水マレイン酸共重合体のガラス転移点より25℃以上高い沸点を有する一価の直鎖又は分枝鎖アルコール10〜30重量%、及び金属水酸化物2〜10重量%の反応生成物を含む改質剤。
【請求項2】
バイオマスを含む熱可塑性樹脂が、木粉、竹粉、紙粉、炭類、籾柄、お茶柄、米ぬか、ふすま、おから、コーヒー豆・酒・焼酎・ビール・ワイン・醤油の絞り滓、澱粉、蒟蒻副産物、果樹類の皮若しくは実の絞り滓、稲・麦・蕎麦を含む草類、海草若しくは藻類、綿繊維、パーム繊維、あるいはそれらの混合物を含むポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、又はポリブチレンサクシネートである請求項1に記載の改質剤。
【請求項3】
反応生成物と熱可塑性樹脂(ただし熱可塑性樹脂は融点230℃以下の熱可塑性樹脂又はビカット軟化点160℃以下の熱可塑性樹脂である)とを含む混合物の成型品の形態である請求項1又は2に記載の改質剤。

【公開番号】特開2012−17426(P2012−17426A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156412(P2010−156412)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(510190602)サザンワークス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】