説明

熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品

【課題】 機械的特性を損なうことなく、極めて良好な艶消し外観の成形品を広い成形条件で安定に得ることが可能な熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品を提供すること。
【解決手段】 質量平均粒子径が0.6μm以上、かつ0.4μm以下が10質量%以下のアクリル系ゴム質重合体(a)の存在下で芳香族ビニル単量体(b)、シアン化ビニル単量体(c)、必要に応じて共重合可能な他の単量体(d)を共重合してなるグラフトゴム共重合体(A)5〜95質量部と、芳香族ビニル単量体(b’)、シアン化ビニル単量体(c’)、必要に応じて共重合可能な他の単量体(d’)を共重合してなるビニル共重合体(B)95〜5質量部とを含有し、
グラフトゴム共重合体(A)中に占めるシアン化ビニル単量体(c)の含有量(GA)とビニル共重合体(B)中のシアン化ビニル単量体(c’)の含有量(RA)との差が10質量%以上である熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性と耐候性が良好で、かつ極めて艶消し外観に優れた成形品を、広い成形条件(成形温度等)で安定に得ることが可能な熱可塑性樹脂組成物及びその樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にABS樹脂等の熱可塑性樹脂は良好な表面光沢を有し、種々の用途に使用されているが、自動車内装部品やOA機器のなかには光沢のない成形表面が求められるものがある。従来の成形品の艶消しの方法としては、(1)金型面にシボ加工を施す方法、(2)タルクや炭酸カルシウム等の無機充填材を添加する方法、(3)架橋粒子重合粒子を添加する方法(引用文献1)、(4)官能基含有モノマーを用いて三次元化する方法(引用文献2)、が挙げられる。
【0003】
しかしながら、(1)の金型面にシボ加工を施す方法については、シボ面の作製、保守管理が難しく、光沢ムラの発生等の問題がある。(2)については、製品表面の粗さや衝撃強度の低下等の問題がある。(3)については機械的強度の低下、耐熱性の低下、耐候性の低下等の問題がある。(4)については安定した成形性が得られず、著しい機械的強度の低下や成形品表面に光沢ムラを生じるという問題がある。
【0004】
特に、押出成形やブロー成形等の溶融加工法による成形品は射出成形品と異なり、圧力による金型転写がないことから、ポリシングロールや金型の温度や樹脂温度等の影響により光沢が変化し、成形条件のコントロールが難しく従来の方法では光沢ムラが発生する。
【特許文献1】特開平8−199027号公報
【特許文献2】特開2002−167492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決することであり、特に機械的特性を損なうことなく、極めて良好な艶消し外観の成形品を、広い成形条件(成形温度等)で安定に得ることが可能な熱可塑性樹脂組成物及びその樹脂成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従って、質量平均粒子径が0.6μm以上、かつ質量平均粒子径0.4μm以下が10質量%以下のアクリル系ゴム質重合体(a)の存在下で芳香族ビニル単量体(b)、シアン化ビニル単量体(c)及び必要に応じて共重合可能な他の単量体(d)を共重合してなるグラフトゴム共重合体(A)5〜95質量部と、芳香族ビニル単量体(b’)、シアン化ビニル単量体(c’)及び必要に応じて共重合可能な他の単量体(d’)を共重合してなるビニル共重合体(B)95〜5質量部とを含有し、
該グラフトゴム共重合体(A)中に占めるシアン化ビニル単量体(c)の含有量(GA)と該ビニル共重合体(B)中のシアン化ビニル単量体(c’)の含有量(RA)との差(SA=RA−GA)が10質量%以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物が提供される。
【0007】
また、本発明に従って、上記熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする樹脂成形品が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、押出し成形後のシート表面が極めて艶消し性に優れ、なおかつ高いレベルの耐衝撃性や流動性に優れた樹脂組成物、及びこの樹脂組成物を用いた成型品を提供することが可能となった。
【0009】
特に押出し成形後の艶消し性と、外観のバランスは、従来知られている熱可塑性樹脂組成物では得られない非常に高いレベルであり、各種工業用材料としての利用価値は極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で使用されるグラフトゴム共重合体(A)は、アクリル系ゴム質重合体(a)の存在下で芳香族ビニル単量体(b)とシアン化ビニル単量体(c)及び必要に応じて共重合可能な他の単量体(d)とをグラフト重合してなるグラフト重合体である。
【0011】
本発明で使用されるアクリル系ゴム質重合体(a)のゴム成分には、アクリル酸エステル、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及びアクリル酸オクチル等が挙げられる。
【0012】
アクリル系ゴム質重合体(a)の質量平均粒子径は0.6μm以上、かつ質量平均粒子径0.4μm以下が10質量%以下であることが必須であり、質量平均粒子径が0.6μm未満、及び/又は、質量平均粒子径0.4μm以下が10質量%を超えると成形条件により光沢が変化し実用に乏しくなる。
【0013】
芳香族ビニル単量体(b)の成分としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−又はp−メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン及びビニルナフタレン等が挙げられるが、好ましくはスチレン及びα−メチルスチレンであり、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0014】
シアン化ビニル単量体(c)の成分としては、例えば、アクリロニトリル及びメタアクリロニトリル等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
【0015】
本発明で用いるグラフトゴム共重合体(A)の製造において、上記の芳香族ビニル単量体(b)成分とシアン化ビニル単量体(c)成分の他に、これらと共重合可能な単量体(d)を本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。このような共重合可能な単量体(d)の成分としては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート(「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレート」を示す)、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のα,β−不飽和カルボン酸エステル類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸無水物類;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類等を挙げることができ、これらの単量体の1種又は2種以上を使用することができる。
【0016】
また、グラフトゴム共重合体(A)の製造方法としては、特に制限はなく、例えば過硫酸塩又はクメンハイドロパーオキサイド−ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等のレドックス系の重合開始剤を用い、乳化重合させることができる。
【0017】
なお、グラフトゴム共重合体(A)中のアクリル系ゴム質重合体(a)の含有量は、好ましくは30〜80質量%となるように、芳香族ビニル単量体(b)とシアン化ビニル単量体(c)及び必要に応じて共重合可能な他の単量体(d)とをグラフト重合してなるグラフト重合体である。
【0018】
本発明で使用されるビニル共重合体(B)は、芳香族ビニル単量体(b’)、シアン化ビニル単量体(c’)及び必要に応じて共重合可能な他の単量体(d’)を共重合してなる。
【0019】
ビニル共重合体(B)に使用される芳香族ビニル単量体(b’)、シアン化ビニル単量体(c’)及び必要に応じて共重合可能な他の単量体(d’)は、グラフトゴム共重合体(A)の製造に使用した単量体と同様な単量体を使用することができる。
【0020】
ビニル共重合体(B)中のシアン化ビニル単量体(c’)の質量%は、耐薬品性を上げることから、30〜50質量%であることが好ましい。30質量%未満だと、耐薬品性の効果が十分に発揮されず、50質量%を超えると熱安定性が悪くなる可能性が高い。
【0021】
上記、グラフトゴム共重合体(A)とビニル共重合体(B)の混合比率は、グラフトゴム共重合体(A)を5〜95質量部配合し、好ましくは40〜70質量部、更に好ましくは40〜60質量部である。5質量部未満では艶消し効果が小さくなり、衝撃性も低下する。また、95質量部を超えると、成形性が悪くなる。
【0022】
本発明の良好な艶消し表面を与える熱可塑性樹脂組成物及びその樹脂成形品は、グラフトゴム共重合体(A)中のアクリル系ゴム質重合体(a)にグラフトした単量体全体に占めるシアン化ビニル単量体(c)の含有量(GA)とビニル共重合体(B)中のシアン化ビニル単量体(c’)の含有量(RA)との差(SA=RA−GA)が10質量%以上であることが必須である。SAが10質量%未満であると成形条件により光沢が容易に変化し、艶消しの効果が十分発揮できない。
【0023】
尚、本発明に於いては、アクリル系ゴム質重合体(a)の質量平均粒子径は0.6μm以上、尚かつ質量平均粒子径0.4μm以下が10質量%以下とすることにより、シアン化ビニル単量体(c)の含有量(GA)とビニル共重合体(B)中のシアン化ビニル単量体(c’)の含有量(RA)との差(SA=RA−GA)が10質量%以上と、少ない範囲で極めて良好な艶消し性を付与出来、幅広い熱可塑性樹脂組成物及びその樹脂成形品を得ることが可能となった。
【0024】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその樹脂成形品には、本効果を損なわない範囲で炭酸カルシウムやタルク等の無機充填材を配合し、成形品の改質や成形性の改良を行うことができる。
【0025】
本発明の樹脂組成物を混合する方法として、特に制限はないが、溶融混練りが好ましい。例えば、押出機やバンバリーミキサー等が挙げられる。本発明の樹脂組成物には、必要に応じて顔料、染料、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、補強剤及び難燃剤等をその物性等を損なわない範囲内で配合することができる。
【0026】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物から樹脂成形品を成形する方法としては、異形押出成形、ブロー成形、シート成形、シート成形後の真空成形及び圧空成形等の各種の溶融樹脂を加工する成形方法を採用できる。
【実施例】
【0027】
以下に実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何らその範囲を限定するものではない。尚、以下において「部」は質量部を表すものとする。
【0028】
また、アクリル系ゴム質重合体(a)の質量平均粒子径は、日機装(株)製Microtrac Model:9230UPAを用いて動的光散乱法より求めた。また、得られたグラフトゴム共重合体(A)中のアクリル系ゴム質重合体(a)にグラフトした単量体全体に占めるシアン化ビニル単量体(c)含有量(GA)は、熱分解ガスクロマトグラフィーにより求めた。更に、ビニル共重合体(B)中のシアン化ビニル単量体(c’)の含有量(RA)は、C.H.N.コーダーを用いて、元素分析値より算出した。
【0029】
(合成例1)・・・グラフトゴム共重合体(A)の製造
耐圧容器に以下の材料を仕込み、
半硬化牛脂ソーダ石鹸 1.5部
ピロリン酸ナトリウム 0.3部
脱イオン水 200部
窒素気流下で、80℃まで昇温し、
ブチルアクリレート 100部
過硫酸カリウム 0.3部
トリアリルシアヌレート 0.3部
を4時間に亘って滴下し、重合させた。滴下終了後、1時間放置後、冷却して反応を終了させた。得られたポリブチルアクリレートラテックスは、質量平均粒子径0.1μm、固形分33.4%であった。
【0030】
次に、このポリブチルアクリレートラテックス100部(固形分換算)にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.15部添加し、穏やかに撹拌している中に、ポリブチルアクリレートラテックスの固形分100部(固形分換算)に対して、表1に示すような濃度、添加量、添加時間の酢酸水溶液を添加した。添加終了後に5分間撹拌した後、10質量%水酸化ナトリウムを滴下して肥大化を終了させて、(a1)〜(a6)の6種類の肥大化ポリブチルアクリレートラテックスを得た。さらに、得られた肥大化ラテックスの質量平均粒子径(μm)及び質量平均粒子径0.4μm以下の割合(質量%)を表1に示した。
【0031】
【表1】

【0032】
次に、(a1)〜(a6)の6種類の肥大化粒子のポリブチルアクリレートラテックスを用いて、ラテックス60部(固形分換算)にスチレン28部、アクリロニトリル12部を配合し、60〜70℃で3時間乳化重合を行い、硫酸凝固、水洗、脱水・乾燥し、表1のグラフトゴム共重合体(A)(A1〜A4及びA6)を得た。
【0033】
また、スチレン31部、アクリロニトリル9部と混合比を変更し、同様に重合することで、グラフトゴム共重合体(A5)を得た。
【0034】
得られたグラフトゴム共重合体(A)中のアクリル系ゴム質重合体にグラフトした単量体全体に占めるシアン化ビニル単量体の含有量(GA)を求め表2に示した。
【0035】
【表2】

【0036】
(合成例2)・・・ビニル共重合体(B)の製造
窒素置換した反応器に水120部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.02部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部と、アクリロニトリル48部、スチレン15部を加え、反応開始温度60℃に達した1時間経過後、残りのスチレン37部を6時間掛けて滴下し、更に反応開始5時間後、120℃に昇温し、その後4時間反応を継続させた。最終的に得られたビニル共重合体(B)のシアン化ビニル単量体(c’)の含有量(RA)は43質量%であった(B1)。
【0037】
また、アクリロニトリルとスチレンの混合比を変更し、同様に重合することで、RAが39質量%(B2)、35質量%(B3)及び25質量%(B4)を得た。これらをまとめたものを表3に示した。
【0038】
【表3】

【0039】
合成例1〜2で得られたグラフトゴム共重合体(A)(A1〜A6)とビニル共重合体(B)(B1〜B4)を表4及び表5に記載の割合で滑剤と共に混合し、この混合物をバレル温度230℃に加熱した脱気式二軸押出機(池貝鉄工(株)製「PCM−30」)で賦形し、ペレットを作製した。
【0040】
得られたペレットを、中央機械(株)製40mmφ単軸押出機を用い、バレル温度190℃及び250℃、冷却ロール温度50℃で、幅60mmTダイから樹脂をシート状に吐出させ、巻き取り速度を調節することによって厚みを0.9mm〜1.1mmに調節した幅200mmのシートを押出成形した。
【0041】
実施例及び比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物を下記の評価試験によって評価した。なお、評価の結果を表4及び表5に示す。
【0042】
(i)成形光沢度、その温度依存性
光沢度は入射光60°の反射率として測定した。バレル温度190℃と250℃条件下おける成形シートの温度依存性は、以下の式(1)にて求めた;
光沢差(%)=(250℃成形での光沢度)−(190℃成形での光沢度)・・・式(1)
【0043】
(ii)成形外観
目視判定より、その艶消し性、フィッシュアイやダイラインの発生状態、表面のきめの細かさを判定し、問題なく良好なシートと認められたものを○、問題が多く実用に耐えないものを×、その中間を△と評価した。
【0044】
(iii)耐薬品性
射出成形にて作製した短冊状試験片形状150×10×2mmをベンディングホーム法試験治具に沿わせて固定後、試験片に薬液を塗布し、23℃の環境下で48時間放置後、クレーズ及びクラックの発生有無を確認し、試験治具の曲率から限界歪み(%)を求めた(測定値は試験治具の都合上最大限界歪みは1.6%)。薬液としては、エステー化学(株)製パワーズを使用した。
【0045】
(iv)シャルピー衝撃強度
ISO 179に準拠した方法により行い、ノッチ有り試片を用い、23℃雰囲気下で12時間以上試験片を放置した後に測定を行った。
【0046】
(v)メルトボリュームレート(流動性)
ISO 1133に準拠する方法で、バレル温度220℃、加重98Nの条件で測定した。
【0047】
【表4】

【0048】
【表5】

【0049】
実施例及び比較例より、次のことが明らかとなった。
【0050】
1)実施例1〜実施例9のグラフトゴム共重合体(A2)〜(A5)を含む熱可塑性樹脂組成物は、押出し成形後の表面光沢率が低く極めて艶消し性に優れるものであった。更に、耐衝撃性と押出し性においてもバランス良く高い性能を示した。
【0051】
2)一方、比較例1は、グラフトゴム共重合体(A)を構成するビニル系単量体混合物のシアン化ビニル系単量体(c)とビニル共重合体(B)を構成するビニル系単量体混合物のシアン化ビニル系単量体(c’)の差(SA)は13質量%と高いが、アクリル系ゴム質重合体(a)の質量平均粒子径は0.4μmと小さいために、押出し成形温度依存性が大きいものとなった。
【0052】
3)比較例2〜4は、グラフトゴム共重合体(A)とビニル共重合体(B)を構成するビニル系単量体混合物のシアン化ビニル系単量体の差(SA)が9質量%以下と本発明で規定した範囲を下回っているため、成形条件による光沢の依存性が大きく、更に、押出しシートの外観が劣るものとなった。
【0053】
4)比較例5は、グラフトゴム共重合体(A6)を使用した例であるが、質量平均粒子径は0.6μm以上であるが、0.4μm以下の割合が10質量%を超えているため、押出し成形温度依存性が大きいものとなった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の艶消しの熱可塑性樹脂組成物は、成形条件に依存しないため無駄なく容易に目的とする成形品を得ることができ、更に、耐薬品性や耐候性にも優れるため、ダッシュボードやインストルメントパネル等の自動車内装用部品、住宅用の建材等の分野に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量平均粒子径が0.6μm以上、かつ質量平均粒子径0.4μm以下が10質量%以下のアクリル系ゴム質重合体(a)の存在下で芳香族ビニル単量体(b)、シアン化ビニル単量体(c)及び必要に応じて共重合可能な他の単量体(d)を共重合してなるグラフトゴム共重合体(A)5〜95質量部と、芳香族ビニル単量体(b’)、シアン化ビニル単量体(c’)及び必要に応じて共重合可能な他の単量体(d’)を共重合してなるビニル共重合体(B)95〜5質量部とを含有し、
該グラフトゴム共重合体(A)中に占めるシアン化ビニル単量体(c)の含有量(GA)と該ビニル共重合体(B)中のシアン化ビニル単量体(c’)の含有量(RA)との差(SA=RA−GA)が10質量%以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物からなることを特徴とする樹脂成形品。

【公開番号】特開2006−176583(P2006−176583A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−369447(P2004−369447)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(502163421)ユーエムジー・エービーエス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】