説明

熱安定性が改善されたポリイミドフィルム

温度変化による変化の度合いが最小化されている、熱安定性に優れたポリイミドフィルムが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱安定性が改善されたポリイミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリイミド(PI)樹脂とは、芳香族二無水物と芳香族ジアミンまたは芳香族ジイソシアネートとを溶液重合してポリアミド酸誘導体を製造した後、高温で閉環脱水させてイミド化することにより得られる高耐熱樹脂をいう。ポリイミド樹脂を製造するために用いられる芳香族二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)またはビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)などが挙げられ、芳香族ジアミンとしてはオキシジアニリン(ODA)、p−フェニレンジアミン(p−PDA)、m−フェニレンジアミン(m−PDA)、メチレンジアニリン(MDA)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(HFDA)などが挙げられる。
【0003】
ポリイミド樹脂は、不溶、不融の超高耐熱性樹脂であって、耐熱酸化性、耐熱特性、耐放射線性、耐寒性、耐薬品性などに優れた特性を持っているため、例えば自動車材料、航空素材、宇宙船素材などの耐熱先端素材、および例えば絶縁コーティング剤、絶縁膜、半導体、TFT−LCDの電極保護膜などの電子材料などの広範囲な分野に使用されている。最近では、ポリイミド樹脂は、光ファイバーまたは液晶配向膜などの表示材料、および導電性フィラーがフィルム内に含有された、或いはフィルムの表面にコートされた透明電極フィルムなどにも使われている。
【0004】
ところが、ポリイミド樹脂で作られるポリイミドフィルムは、高温で温度変化を与えた場合、フィルムの特性上、膨張または収縮が起こるが、このような変化は履歴現象(Hysteresis)として現れるので、常に一定の変化幅を持つのではない。よって、変化の幅を確認するためには多数回の温度変化を与えなければならないが、その手続きが煩雑である。また、ポリイミドフィルムは、熱的寸法安定性を必要とする分野では使用し難い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、熱安定性に優れたポリイミドフィルムを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、熱安定性に優れた表示素子用基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好適な一態様によれば、熱膨張係数(CTE;Coefficient of Thermal Expansion)をTMA法(TMA-Method)によって50〜200℃で2n+1回(ここで、nは1〜3の整数である)測定したとき、下記数式1から計算されたD(%)は−20≦D≦0であり、数式2から計算されたI(%)は0≦I≦20である、ポリイミドフィルムを提供する。
【0008】
数式1
D=(最小CTE値−平均CTE値)/平均CTE値×100
数式2
I=(最大CTE値−平均CTE値)/平均CTE値×100
本発明の一態様に係るポリイミドフィルムは、前記数式1から計算されたD(%)は−15≦D≦0であってもよく、前記数式2から計算されたI(%)は0≦I≦15であってもよい。
【0009】
本発明の一態様に係るポリイミドフィルムは、ジアミンと二無水物とを重合して得たポリアミド酸溶液から製膜工程を介してポリイミドフィルムを収得した後、得られたポリイミドフィルムを100〜500℃で1分〜3時間熱処理することにより得られる。
【0010】
本発明の一態様に係るポリイミドフィルムは、50〜200℃におけるCTEが50ppm/℃以下であってもよい。
【0011】
前記ポリイミドフィルムは、フィルムの一面または両面に、無機物および有機物の中から選ばれた1種または2種以上の混合物を用いて形成された遮断膜を含んでもよい。
【0012】
また、本発明の好適な他の態様によれば、前記ポリイミドフィルムを含む表示素子用基板を提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、熱安定性に優れたポリイミドフィルムを提供することができる。
【0014】
また、本発明は、熱安定性に優れた表示素子用基板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0016】
本発明のポリイミドフィルムは、ジアミン成分と二無水物成分との共重合体を、イミド化することにより形成される。熱的寸法安定性が要求される分野でポリイミドフィルムを使用するためには、製造されたポリイミドフィルムの熱膨張係数をTMA法によって50〜200℃の温度範囲で2n+1回(ここで、nは1〜3の整数)繰返し測定した後、平均値を求めたとき、下記数式1から計算されたD(%)は−20≦D≦0であり、数式2から計算されたI(%)は0≦I≦20である必要がある。前記数式1から計算されたD(%)は−15≦D≦0であり、前記数式2から計算されたI(%)は0≦I≦15であることが好ましい。
【0017】
数式1
D=(最小CTE値−平均CTE値)/平均CTE値×100
数式2
I=(最大CTE値−平均CTE値)/平均CTE値×100
本発明では、前記数式1から計算されたD(%)および前記数式2から計算されたI(%)の範囲、すなわちD〜Iの範囲をCTEの履歴現象範囲と定義することができる。
【0018】
前記熱膨張係数の履歴現象範囲が±20%を超過する場合、すなわち、Dが−20%未満の場合またはIが20%超過の場合、後続のTFTアレイ工程の温度に依存してポリイミド基板の寸法変化量が非常に大きくなり、その変化度合いが引き続き変動するので、該当工程において、基板の寸法変化を予測してアラインメントを行い難くなる。
【0019】
本発明で使用することが可能な二無水物成分としては、特に限定されるないが、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸二無水物(TDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビスカルボキシフェニルジメチルシラン二無水物(SiDA)、ビスジカルボキシフェノキシジフェニルスルフィド二無水物(BDSDA)、スルホニルジフタル酸無水物(SODPA)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、イソプロピリデンジフェノキシビスフタル酸無水物(6HBDA)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。二無水物成分は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0020】
一方、本発明で使用されるジアミン成分としては、特に限定されるないが、オキシジアニリン(ODA)、p−フェニレンジアミン(pPDA)、m−フェニレンジアミン(mPDA)、p−メチレンジアミン(pMDA)、m−メチレンジアミン(mMDA)、ビスアミノフェノキシベンゼン(133APB、134APB)、ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(4BDAF)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(33−6F、44−6F)、ビスアミノフェニルスルホン(4DDS、3DDS)、ビストリフルオロメチルベンジジン(TFDB)、シクロヘキサンジアミン(13CHD、14CHD)、ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(6HMDA)、ビスアミノヒドロキシフェニルヘキサフルオロプロパン(DBOH)、ビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(DBSDA)などが挙げられる。ジアミン成分は単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
前記二無水物成分とジアミン成分は、同モル量となるようにして第1溶媒中に溶解させて反応させ、ポリアミド酸溶液を製造する。
【0022】
反応時の条件は特に限定されないが、反応温度は−20〜80℃であることがが好ましく、反応時間は2〜48時間であることが好ましい。また、反応の際にアルゴンや窒素などの不活性雰囲気であることが好ましい。
【0023】
前記単量体の溶液重合のための第1溶媒は、ポリアミド酸を溶解させる溶媒であれば特に限定されない。公知の反応溶媒としてm−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、ジエチルアセテートの中から選ばれた一つ以上の極性溶媒を使用する。この他にも、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルムなどの低沸点溶液またはγ−ブチロラクトンなどの低吸収性溶媒を使用することができる。
【0024】
第1溶媒の含量については特に限定されないが、適切なポリアミド酸溶液の分子量と粘度を得るために、第1溶媒の含量はポリアミド酸溶液全体の量の50〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは70〜90重量%である。
【0025】
このように製造されたポリアミド酸溶液をイミド化して製造されたポリイミド樹脂は、熱安定性を考慮してガラス転移温度が200〜400℃であることが好ましい。
【0026】
また、ポリアミド酸溶液を用いてポリイミドフィルムに製造する際、ポリイミドフィルムの摺動性、熱伝導性、導電性、耐コロナ性などの様々な特性を改善させる目的で、ポリアミド酸溶液に充填剤を添加することができる。充填剤のタイプは、特に限定されないが、具体的には、シリカ、酸化チタン、層状シリカ、カーボンナノチューブ、アルミナ、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などを挙げることができる。
【0027】
前記充填剤の粒径は、改質すべきフィルムの特性や添加する充填剤の種類によって異なり、特に限定されないが、一般には平均粒径が0.001〜50μmであることが好ましく、0.005〜25μmであることがより好ましい。さらに好ましくは0.01〜10μmである。この場合、ポリイミドフィルムの改質効果が現れ易く、ポリイミドフィルムにおいて良好な表面性、導電性および機械的特性を得ることができる。
【0028】
また、前記充填剤の添加量も、改質すべきフィルム特性や充填剤の粒径などによって異なり、特に限定されない。一般に、充填剤の含量は、高分子樹脂の結合構造を妨害せずに、改質しようとする特性を実現するためには、ポリアミド酸溶液100重量部に対して0.001〜20重量部であり、好ましくは0.01〜10重量部である。
【0029】
充填剤の添加方法は、特に限定されないが、例えば、重合の前または後にポリアミド酸溶液に添加する方法、ポリアミド酸重合の完了後に3本ロールなどを用いて充填剤を混練する方法、充填剤を含む分散液をポリアミド酸溶液と混合する方法などを挙げることができる。
【0030】
前記ポリアミド酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法としては、従来公知の方法が挙げられる。すなわち、ポリアミドフィルムは、ポリアミド酸溶液を支持体にキャスティングしてイミド化することにより得ることができる。
【0031】
この際、適用されるイミド化法としては、熱イミド化法、化学イミド化法、または熱イミド化法と化学イミド化法との併用が挙げられる。化学イミド化法は、ポリアミド酸溶液に、酢酸無水物のような酸無水物などの脱水剤と、イソキノリン、β−ピコリン、ピリジンのような3級アミン類などのイミド化触媒を投入する方法である。熱イミド化法を使用する場合、または熱イミド化法と化学イミド化法を併用する場合、ポリアミド酸溶液の加熱条件はポリアミド酸溶液の種類、製造されるポリイミドフィルムの厚さなどによって異なる。
【0032】
熱イミド化法と化学イミド化法とを併用する場合のポリイミドフィルムの製造をより具体的に説明すると、ポリアミド酸溶液に脱水剤およびイミド化触媒を投入して支持体上にキャスティングした後、80〜200℃、好ましくは100〜180℃で加熱して脱水剤およびイミド化触媒を活性化することにより部分的に硬化および乾燥させ、ゲル状態のポリアミド酸フィルムを支持体から剥離する。その後、前記ゲル状態のフィルムをフレームに固定させて200〜400℃で5〜400秒間加熱することにより、ポリイミドフィルムを得ることができる。ゲル状態のフィルムは、ピン型またはクリップ型のフレームを使用して固定することができる。前記支持体としてはガラス板、アルミニウム箔、循環ステンレスベルト、ステンレスドラムなどを使用することができる。
【0033】
また、本発明では、前記ポリアミド酸溶液から次のようにポリイミドフィルムを製造することもできる。すなわち、ポリアミド酸溶液をイミド化した後、イミド化した溶液を第2溶媒に投入し、濾過および乾燥させてポリイミド樹脂の固形分を得る。次いで、当該ポリイミド樹脂の固形分を、第1溶媒に溶解させ、得られたポリイミド溶液を製膜工程に付して、ポリイミドフィルムを得る。
【0034】
前記ポリアミド酸溶液をイミド化する際には、前述と同様に、熱イミド化法、化学イミド化法、または熱イミド化法と化学イミド化とを併用して適用することができる。熱イミド化法と化学イミド法とを併用する場合、具体的には、例えば、前記ポリアミド酸溶液に脱水剤およびイミド化触媒を添加し、20〜180℃で1〜12時間加熱してイミド化することができる。
【0035】
前記第1溶媒は、ポリアミド酸溶液の重合の際に使用した溶媒と同一の溶媒を使用することができ、前記第2溶媒は、ポリイミド樹脂の固形分を収得するために第1溶媒より極性が低いものを使用し、具体的には水、アルコール類、エーテル類およびケトン類の中から選ばれた1種以上であり得る。
【0036】
この際、前記第2溶媒の含量は、特に限定されないが、ポリアミド酸溶液の重量に対して5〜20重量部であることが好ましい。
【0037】
濾過後のポリイミド樹脂を乾燥させる条件は、例えば、第2溶媒の沸点を考慮して、温度が50〜120℃、時間は3時間〜24時間である。
【0038】
製膜工程では、ポリイミド樹脂の固形分が溶解されているポリイミド溶液を支持体上にキャスティングして40〜400℃の温度範囲で徐々に昇温させながら1分〜8時間加熱してポリイミドフィルムを得る。
【0039】
本発明では、こうして得られたポリイミドフィルムに対してもう1回熱処理工程を施すことができる。追加の熱処理工程は、例えば、温度100〜500℃、熱処理時間1分〜30分で実施することができる。
【0040】
熱処理を済ませたフィルムの残留揮発成分は5%以下であり、好ましくは3%以下である。
【0041】
本発明の一態様では、ポリイミドフィルムにおける熱膨張係数の履歴現象範囲を減少させるために、製造されたポリイミドフィルムを一定の張力下で再び熱処理する方法を行うことができる。製膜工程で発生したフィルム内部の収縮しようとする力である残留応力がフィルム内に存在する場合、フィルムの熱膨張を減少させて熱膨張係数の値が減少できるが、製造されたフィルムに対してもう1回熱処理を施すことにより、残留応力による熱膨張係数の履歴現象範囲を減らすことができる。この際、張力および温度条件は互いに相関関係を持つので、温度に応じて張力条件は異なる。例えば、フィルム製造の際、温度は100〜500℃の範囲内に維持し、フィルムを固定することが可能な一定の張力範囲で異なり得る。熱処理は、1分〜3時間の時間実施することが好まし。また、前記熱処理には、ポリイミドフィルムの熱処理に用いられる一般な方法を使用することができる。
【0042】
得られるポリイミドフィルムの厚さは、特に限定されないが、10〜250μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは25〜150μmである。
【0043】
代案的に、本発明の他の態様では、ポリイミドフィルムにおける熱膨張係数の履歴現象範囲を減少させるために、ポリイミドフィルムを収得した後、前述した熱処理を行わず遮断膜を形成することもできる。この際、遮断膜として使用する物質としては、SiN、SiOなどの無機物;例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂のような重合体、または単量体などの有機物を挙げることができ、それぞれ単独で使用し或いはこれらの2種以上を混用してフィルムの片面または両面に蒸着またはコートして遮断膜を形成することができる。このように遮断膜を形成すると、熱膨張係数と熱膨張係数の履歴現象範囲を減少させることができるうえ、酸素透過度および水分透過度などの物性も改善させることができる。
【0044】
本発明のポリイミドフィルムは50〜200℃における熱膨張係数(CTE)が50ppm/℃以下であることが好ましい。フィルム上に薄膜トランジスタ(TFT)をのせるTFTアレイ工程などにおいてポリイミドフィルムを使用する場合、その熱膨張係数が50ppm/℃を超過すると、工程温度の変化に応じてフィルムが膨張/収縮する度合いが大きくなるので、電極ドーピング工程でアラインメントが達成されないか、或いはフィルムが水平(平坦化)性を維持しないためフィルムの撓みが発生するおそれがある。よって、CTE値が小さければ小さいほど、精密なTFT工程が可能である。
【0045】
本発明のポリイミドフィルムをフレキシブルディスプレイなどの表示素子用基板に適用することにより、熱安定性に優れた表示素子用基板を提供することができる。
【0046】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、これらの実施例は説明のために記載されるものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0047】
<実施例1>
攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1Lの反応器に窒素を通過させながらN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)599gを投入し、その後、反応器の温度を25℃に合わせた後、その中でTFDB64.046g(0.2mol)を溶解させてこの溶液を25℃に維持した。ここにBPDA5.8544g(0.02mol)を添加し、1時間攪拌してBPDAを完全に溶解させた。この際、溶液の温度は25℃に維持した。そして、6FDA79.96g(0.18mol)を添加し、固形分の含量が20重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0048】
ポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、ピリジン31.64g、無水酢酸40.91gを投入して30分間攪拌した後、さらに80℃で2時間攪拌して常温に冷し、これを20Lのメタノールが入っている容器に徐々に投入して沈殿させ、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空で6時間乾燥させて126gの固形分粉末を得た。こうして得られた固形分粉末をさらに504gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして20wt%の溶液(粘度70poise)を得た。
【0049】
反応終了の後に得られた溶液をステンレス板に塗布した後、700μmの厚さにキャスティングし、150℃の熱風によって1時間乾燥させた後、フィルムをステンレス板から剥離してピンでフレームに固定した。
【0050】
フィルムの固定されたフレームを真空オーブンに入れて100℃から300℃まで2時間ゆっくり加熱した後、徐々に冷却してフレームから分離してポリイミドフィルムを収得した。その後、最終熱処理工程として、さらに300℃で30分間熱処理した(厚さ100μm)。
【0051】
<実施例2>
実施例1と同様にして、反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)587.5gを投入し、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解させ、この溶液を25℃に維持した。ここにBPDA11.768g(0.04mol)を添加し、1時間攪拌してBPDAを完全に溶解させた。同様に、溶液の温度は25℃に維持した。そして、6FDA71.08g(0.16mol)を添加し、固形分の濃度が20重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0052】
ポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、ピリジン31.64g、無水酢酸40.91gを投入して30分間攪拌した後、さらに80℃で2時間攪拌して常温に冷し、これを20Lのメタノールが入っている容器に徐々に投入して沈殿させ、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空で6時間乾燥させて124.1gの粉末を得た。こうして得られた粉末をさらに496gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして20wt%の溶液(粘度82poise)を得た。
【0053】
以後、実施例1と同一の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0054】
<実施例3>
実施例1と同様にして、反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)575gを投入し、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解させ、この溶液を25℃に維持した。ここにBPDA17.65g(0.06mol)を添加し、1時間攪拌してBPDAを完全に溶解させた。この際、溶液の温度は25℃に維持した。そして、6FDA62.19g(0.14mol)を添加し、固形分の濃度が20重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0055】
ポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、ピリジン31.64g、無水酢酸40.91gを投入して30分間攪拌した後、さらに80℃で2時間攪拌して常温に冷し、これを20Lのメタノールが入っている容器に徐々に投入して沈殿させ、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空で6時間乾燥させて119gの粉末を得た。こうして得られた粉末をさらに476gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして20wt%の溶液(粘度95poise)を得た。
【0056】
以後、実施例1と同一の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0057】
<実施例4>
実施例1と同様にして、反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)563gを投入し、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解させ、この溶液を25℃に維持した。ここにBPDA23.53g(0.08mol)を添加し、1時間攪拌してBPDAを完全に溶解させた。この際、溶液の温度は25℃に維持した。そして、6FDA53.31g(0.12mol)を添加し、固形分の濃度が20重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0058】
ポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、ピリジン31.64g、無水酢酸40.91gを投入して30分間攪拌した後、さらに80℃で2時間攪拌して常温に冷し、これを20Lのメタノールが入っている容器に徐々に投入して沈殿させ、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空で6時間乾燥させて116.2gの粉末を得た。こうして得られた粉末をさらに464.8gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして20wt%の溶液(粘度104poise)を得た。
【0059】
以後、実施例1と同一の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0060】
<実施例5>
実施例1と同様にして、反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)551.5gを投入し、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解させ、この溶液を25℃に維持した。ここにBPDA29.422g(0.1mol)を添加し、1時間攪拌してBPDAを完全に溶解させた。この際、溶液の温度は25℃に維持した。そして、6FDA44.425g(0.1mol)を添加し、固形分の濃度が20重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0061】
ポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、ピリジン31.64g、無水酢酸40.91gを投入して30分間攪拌した後、さらに80℃で2時間攪拌して常温に冷し、これを20Lのメタノールが入っている容器に徐々に投入して沈殿させ、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空で6時間乾燥させて110gの粉末を得た。こうして得られた粉末をさらに440gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして20wt%の溶液(粘度132poise)を得た。
【0062】
以後、実施例1と同一の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0063】
<実施例6>
実施例1と同様にして、反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)593.4gを投入し、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解させ、この溶液を25℃に維持した。ここにPMDA4.36g(0.02mol)を添加し、1時間攪拌してPMDAを完全に溶解させた。この際、溶液の温度は25℃に維持した。そして、6FDA79.96g(0.18mol)を添加し、固形分の濃度が20重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0064】
ポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、ピリジン31.64g、無水酢酸40.91gを投入して30分間攪拌した後、さらに80℃で2時間攪拌して常温に冷し、これを20Lのメタノールが入っている容器に徐々に投入して沈殿させ、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空で6時間乾燥させて131gの粉末を得た。こうして得られた粉末をさらに524gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして20wt%の溶液(粘度73poise)を得た。
【0065】
以後、実施例1と同一の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0066】
<実施例7>
実施例1と同様にして、反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)575gを投入し、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解させ、この溶液を25℃に維持した。ここにPMDA8.72g(0.04mol)を添加し、1時間攪拌してPMDAを完全に溶解させた。この際、溶液の温度は25℃に維持した。そして、6FDA71.08g(0.16mol)を添加し、固形分の濃度が20重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0067】
ポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、ピリジン31.64g、無水酢酸40.91gを投入して30分間攪拌した後、さらに80℃で2時間攪拌して常温に冷し、これを20Lのメタノールが入っている容器に徐々に投入して沈殿させ、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空で6時間乾燥させて124gの粉末を得た。こうして得られた粉末をさらに496gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして20wt%の溶液(粘度86poise)を得た。
【0068】
以後、実施例1と同一の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0069】
<実施例8>
実施例1と同様にして、反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)556.9gを投入し、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解させ、この溶液を25℃に維持した。ここにPMDA13.08g(0.06mol)を添加し、1時間攪拌してPMDAを完全に溶解させた。この際、溶液の温度は25℃に維持した。そして、6FDA62.19g(0.14mol)を添加し、固形分の濃度が20重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0070】
ポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、ピリジン31.64g、無水酢酸40.91gを投入して30分間攪拌した後、さらに80℃で2時間攪拌して常温に冷し、これを20Lのメタノールが入っている容器に徐々に投入して沈殿させ、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空で6時間乾燥させて117gの粉末を得た。こうして得られた粉末をさらに468gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして20wt%の溶液(粘度90poise)を得た。
【0071】
以後、実施例1と同一の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0072】
<実施例9>
実施例1と同様にして、反応器にN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を609.54g投入した。反応器の温度を25℃にした後、ジアミンの一種、p−フェニレンジアミン(p−PDA)9.46gを入れて溶解させた後、ここにPMDA76.34gを投入し、温度を25℃に維持して30分間攪拌した後、4,4’−ジアミノフェニレンエーテル(ODA)を52.56g入れた。その後、温度を維持しながら2時間攪拌した。
【0073】
攪拌後、反応器の温度を40℃に昇温して温度を維持し、1時間攪拌した。反応完了後に得られたポリアミド酸溶液は、18.5wt%の固形分含量および2300poiseの粘度を有した。投入された単量体のモル比はPMDA100%、ODA75%、p−PDA25%である。
【0074】
このポリアミド酸溶液100gと触媒溶液(イソキノリン7.2g、無水酢酸22.4g)50gとを混合し、均一に攪拌してステンレス板に塗布した後、100μmの厚さにキャスティングし、150℃の熱風によって5分間乾燥させた後、フィルムをステンレス板から剥離してピンでフレームに固定した。
【0075】
フィルムの固定されたフレームを熱風オーブンに入れて100℃から350℃まで30分間ゆっくり加熱した後、徐々に冷却させてフィルムをフレームから分離した。その後、最終熱処理工程として、さらに350℃で30分間熱処理した(厚さ25μm)。
【0076】
<実施例10>
実施例1と同様にして、反応器にN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を609.54g投入した。反応器の温度を25℃にし、ジアミンとしての4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を70.084g入れて溶解させた後、ここにPMDAを76.34g投入し、投入が完了すると、温度を25℃に維持しながら2時間攪拌した。
【0077】
攪拌が完了すると、反応器の温度を40℃に昇温して温度を維持し、1時間攪拌した。反応済みのポリアミド酸溶液は18.5wt%の固形分含量および2570poiseの粘度を有する。投入された単量体のモル比はPMDA100%、ODA100%である。
【0078】
このポリアミド酸溶液100gと触媒溶液(イソキノリン7.2g、無水酢酸22.4g)50gとを混合し、均一に攪拌してステンレス板に塗布した後、100μmの厚さにキャスティングし、150℃の熱風によって5分間乾燥させた後、フィルムをステンレス板から剥離してピンでフレームに固定した。
【0079】
フィルムの固定されたフレームを熱風オーブンに入れて100℃から350℃まで30分間ゆっくり加熱した後、徐々に冷却させてフィルムをフレームから分離した。その後、最終熱処理工程として、さらに350℃で30分間熱処理した(厚さ25μm)。
【0080】
<実施例11>
実施例1と同様にして、反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を611g投入した。反応器の温度を25℃にした後、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解させ、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA88.85g(0.2mol)を添加し、固形分の濃度が20重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0081】
このポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、ピリジン31.64g、無水酢酸40.91gを投入して30分間攪拌した後、さらに80℃で2時間攪拌して常温に冷し、これを20Lのメタノールが入っている容器に徐々に投入して沈殿させ、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空で6時間乾燥させて136gの粉末を得た。こうして得られた粉末をさらに496gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして20wt%の溶液(粘度71poise)を得た。
【0082】
以後、実施例1と同一の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0083】
<実施例12>
実施例1と同様にして、反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)604.88gを投入し、反応器の温度を25℃にした後、TFDB44.83g(0.14mol)を溶解させ、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA88.85g(0.2mol)を添加し、1時間攪拌して6FDAを完全に溶解させた。この際、溶液の温度は25℃に維持した。そして、133APB17.54g(0.06mol)を添加し、固形分の濃度が20重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0084】
このポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、ピリジン31.64g、無水酢酸40.91gを投入して30分間攪拌した後、さらに80℃で2時間攪拌して常温に冷し、これを20Lのメタノールが入っている容器に徐々に投入して沈殿させ、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空で6時間乾燥させて134.6gの粉末を得た。これをさらに536gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして20wt%の溶液(粘度62poise)を得た。
【0085】
以後、実施例1と同一の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0086】
<実施例13>
実施例1と同様にして、反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)665.4gを投入し、反応器の温度を25℃にした後、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解させ、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA71.08g(0.14mol)を添加し、1時間攪拌して6FDAを完全に溶解させた。この際、溶液の温度は25℃に維持した。そして、6HBDA31.23g(0.06mol)を添加し、固形分の濃度が20重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0087】
このポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、ピリジン31.64g、無水酢酸40.91gを投入して30分間攪拌した後、さらに80℃で2時間攪拌して常温に冷し、これを20Lのメタノールが入っている容器に徐々に投入して沈殿させ、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、80℃で真空で6時間乾燥させて151.2gの粉末を得た。こうして得られた粉末をさらに604gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして20wt%の溶液(粘度55poise)を得た。
【0088】
以後、実施例1と同一の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0089】
<比較例1>
実施例3と同一の方法でポリイミドフィルムを製造するが、フレームから分離した後、最終熱処理工程を実施していない。
【0090】
<比較例2>
実施例8と同一の方法でポリイミドフィルムを製造するが、フレームから分離した後、最終熱処理工程を実施していない。
【0091】
(1)透過度および50%遮断波長
前記実施例のポリイミドフィルムを、UV分光光度計(Varian社、Cary100)を用いて、380〜780nmの範囲および550nmにおける透過度および50%遮断波長を測定した。
【0092】
(2)黄変度
ASTM E313規格によって黄変度を測定した。
【0093】
(3)熱膨張係数(CTE)、DおよびI
TMA(Perkin Elmer社、Diamond TMA)を用いてTMA法によって第1操作、第2操作、および第3操作の3回にわたって50〜200℃におけるCTEを測定した。具体的には、この3回の温度の違いは、30℃から230℃への温度上昇と、230℃から30℃への温度低下から構成される。
【0094】
測定されたCTE値を平均化して、平均CTE値を求めた。更に、下記数式2のように、最大CTE値と平均CTE値との差を平均CTE値で割って百分率で換算した増加量を示すI値を求め、また、下記数式2のように、測定された最小CTE値と平均CTE値との差を平均CTE値で割って百分率で換算した減少量を示すD値を求めた。
【0095】
数式1
D=(最小CTE値−平均CTE値)/平均CTE値×100
数式2
I=(最大CTE値−平均CTE値)/平均CTE値×100
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
前記物性評価結果、本発明の実施例では前記数式1およびス式2によるDおよびI値がそれぞれ−20≦D≦0、0≦I≦20であることが分かる。
【0099】
使用される単量体が柔軟な基を含む実施例12および13の場合、CTEが大きいことが分かる。また、履歴現象の範囲も他の実施例に比べてさらに広いことが分かる。これは、他の実施例に比べて柔軟な基により自由体積が増加し且つ配列の規則性が低下して、熱と一定量の張力のもとで、変化する度合いがさらに大きいためである。
【0100】
一方、柔軟な基を含まない剛直な単量体の含量が増加すればするほどCTEが減少し、履歴現象の範囲も減少することが分かる。しかし、この場合、透過度が低下し、黄変度は多少増加した。これは剛直な単量体から、分子内、分子間の電荷移動錯体(Charge Transfer Complex)が生産されるためである。
【0101】
比較例1および比較例2の場合、それぞれ実施例3および実施例8と比較して組成は同一であるが、最終熱処理工程を行わなかったので、光学特性または黄変度はあまり差異がなかったが、その一方で、CTEの履歴現象の範囲が著しく広かった。これは、最終熱処理工程を経なかったので、フィルムの内部に残っている残留応力により熱膨張値が歪む現象が起こったためであると思われる。
【0102】
よって、比較例で製造されたポリイミドフィルムの場合、熱膨張係数の変化が非常に大きく、また高い熱的寸法安定性が要求される分野には適用することが難しいことが示された。
【0103】
<実施例14>
実施例1と同一の方法でポリアミド酸溶液を得、同様の方法で固形分粉末を得た後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして20wt%の溶液(粘度70poise)を得た。
【0104】
反応終了の後に得られた溶液をステンレス板に700μmの厚さでキャスティングし、150℃の熱風によって1時間乾燥させた後、フィルムをステンレス板から剥離してピンでフレームに固定した。
【0105】
フィルムの固定されたフレームを真空オーブンに入れて100℃から300℃まで2時間ゆっくり加熱した後、徐々に冷却して得られたポリイミドフィルムをフレームから分離することにより、ポリイミドフィルムを得た。
【0106】
得られたポリイミドフィルム(100μm)の両面にアクリル樹脂を各層の厚さが100nmとなるようにコートして遮断膜を形成した。
【0107】
製造されたポリイミドフィルムに対して前述の実施例と同一の方法で380〜780nmおよび550nmにおける透過度、50%遮断波長、黄変度、CTE、DおよびI値を測定した。その結果、実施例1と同等の値を示した。
【0108】
しかも、酸素透過率および水分透過率は遮断膜形成前のポリイミドフィルムに比べてそれぞれ10%および12%が改善された。
【0109】
<実施例15>
遮断膜を形成したフィルムにSiOxをさらに蒸着した以外は実施例14と同様にして、ポリイミドフィルムを製造した。
【0110】
製造されたポリイミドフィルムに対して前述の実施例らと同一の方法で380〜780nmおよび550nmにおける透過度、50%遮断波長、黄変度、CTE、DよびI値を測定した。その結果、実施例2と同等の値を示した。
【0111】
しかも、酸素透過率および水分透過率は、遮断膜形成前のポリイミドフィルムに比べてそれぞれ21%および25%改善された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱膨張係数をTMA法によって50〜200℃で2n+1回(ここで、nは1〜3の整数である)し測定したとき、下記数式1から計算されるD(%)は−20≦D≦0であり、数式2から計算されるI(%)は0≦I≦20であることを特徴とする、ポリイミドフィルム:
数式1
D=(最小CTE値−平均CTE値)/平均CTE値×100
数式2
I=(最大CTE値−平均CTE値)/平均CTE値×100。
【請求項2】
前記数式1から計算されたD(%)は−15≦D≦0であり、前記数式2から計算されたI(%)は0≦I≦15であることを特徴とする、請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項3】
ジアミンと二無水物とを重合してポリアミド酸溶液を調製し、当該ポリアミド酸溶液を製膜工程に付し、得られたポリイミドフィルムを100〜500℃で1分〜3時間熱処理することにより得られることを特徴とする、請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項4】
50〜200℃における熱膨張係数が50ppm/℃以下であることを特徴とする、請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項5】
フィルムの一面または両面に、無機物および有機物から選ばれる1種または2種以上の混合物を用いて形成された遮断膜を含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムを含む表示素子用基板。

【公表番号】特表2010−535266(P2010−535266A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519146(P2010−519146)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際出願番号】PCT/KR2008/004334
【国際公開番号】WO2009/017330
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(507190961)コーロン インダストリーズ,インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】