説明

熱源と天然鉱石水のみにての水PHコントロール

【課題】脱臭及び制菌効果を上げるために、化学薬品、又は電気分解水、磁気水等を必要とせず、即ち周囲環境に悪影響を与えることなく、又、電気や磁気などの刺激を与えることなく、且つ液体で、その取り扱い及び使用勝手が不向きではあるが飲用も出来、使用用途が広く、低コストで容易に製造・使用することが出来る、脱臭・制菌・収れん作用のある酸性水と、洗浄性を持つ塩基性水の製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】本発明の有効性は、従来より遠赤外線生ずる事が認められている黒鉛珪石からなる。0.1ミリメートル以下の黒鉛珪石と5〜100ミリメートル程度の形状の黒鉛珪石を材料に、直接水道水又は、湧水等を容器に満たす。この割合は水100に対し、鉱石は20%〜30%とする。水は温水とし、40〜99度を保持させることを最良とするが、このことにより0.1ミリメートル以下の黒鉛珪石を使用して塩基性水、5〜100ミリメートル程度の形状の黒鉛珪石の仕様で酸性水を生成することが出来る方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然鉱石として産出する黒鉛珪石の組成分子である炭素、並びに二酸化チタンの特性を利用し、この鉱石を水中に浸し加熱する事により、溶媒である水に何も加える事なくPHの変動をもたらし、かつ石本体も溶出する事なしに触媒として働きかけ、酸性水・塩基性水を生成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱臭剤や制菌剤及び収れん剤、洗浄液、その他液体のものは、その用途を問わず、成分として化学薬品、或いは他の物質を含有させた構成、又は電気分解や磁気などの作用による効果を基本としたものが提供されている。
【0003】
消臭、殺菌、制菌、洗浄作用のある生活雑貨や液剤は多く流通しているが、その殆どはアルコール系、又は界面活性剤を利用しており、空中散布には不向きと考えられ、化学薬品過敏による、アレルギー症などが問題となっており、全く別の方法によるものの開発が望まれている。
【0004】
これらの消臭、除菌や酸性の大きな特徴である収れん作用のあるものが、例えば特許開示2005−124898や特許第3320042号にあげられる方式が実施されている。
【0005】
特許文献1の開示技術は、特許開示2005−124898に提案されているように、電解槽内を隔膜で2室に仕切り、その両室に電極を設け、これらの電極を直流電源に接続して陽極室と陰極室を形成し、陽極室と陰極室とに、電解液として食塩(塩化ナトリウム)を混入した水を供給し、この電解質を電気分解することで陽極室から酸性水を、陰極室からは塩基性水を生成されることが行われていた。
【0006】
特許第332004号などに提案されているように磁力線を透時された水道水からなる磁気処理水が入れてある密閉状態の水槽内に所定量の珪藻岩の化石の体積土を投入して、磁気処理水を酸性水に改質できるようにした酸性水の生成方法である。
【特許文献1】特開2005−124898
【特許文献2】特許第3320042号
【0007】
以上に述べた酸性水生成方法は、生成するための設備が過大となり、設備投資に負担がかかるものであり、且つメンテナンスも頻繁に行う必要があった。又、得られた生成水も経時変化をおこしやすいというものである。
【0008】
天然鉱石の黒鉛珪石は、別名ブラックシリカ、あるいはシリカブラックの名の通り、組成する分子の大多数は硅素であるが、炭素を多く含むため色が黒く、加熱により遠赤外線を放射する。
【0009】
黒鉛珪石の標準的成分組成例は、シリカ81.4%、アルミニウム6.4%、炭素5.0%、カリウム1.7%、チタン1.2%、二酸化鉄0.5%、マグネシウム0.5%、ナトリウム0.08%、カルシウム0.02%である。
【0010】
黒鉛珪石中に含まれるチタンは酸化した状態で存在しており、この酸化チタンは光触媒として使用されている。
【0011】
遠赤外線の放射により、ダイポール形状を持つ分子は方向を変える。水はダイポール分子である。
【0012】
遠赤外線を放射された水分子は、ある方向に揃った状態で黒鉛珪石中の酸化チタンと接する。
【0013】
酸化チタンは光をエネルギー源として、イオン交換と言う触媒作用を発揮する。水に対してイオン交換を行った場合、水の中の水素、あるいは酸素イオンのどちらかが同種のイオンと結びつき、気体となって析出する。
【0014】
通常、水を電気分解などによって水素と酸素に分解しても、そのバランスが崩れる事はなく、中性である性質が変わる事は無いが、遠赤外線によって分子方向が決定された状態の水であれば、水素・酸素の析出割合に偏りが出る。
【0015】
中性の水の中から、水素が多く析出した場合は水酸基イオンが水中に残り、酸素が多く析出した場合は水素イオンが水中に残る。この状態はそれぞれ塩基性と酸性である。
【0016】
光触媒である酸化チタンの色が無色であり、粉末化した時も白く見えるのみで、これにより光触媒がその効果を発揮するのは波長の短い紫外線が理想とされている。
【0017】
黒鉛珪石中においては、炭素含有によって黒色となった同鉱石中に酸化チタンが存在している事になる。
通常であれば酸化チタンを通過する遠赤外線が、放射源から零距離の場所に存在し、かつ酸化チタン自体の組成割合よりも炭素・硅素の組成割合が圧倒的に多いことから、酸化チタンが遠赤外線を受けた背後にまた炭素・硅素による黒い壁が存在することとなり、本来エネルギー源として不敵とされる遠赤外線でも、その大量のエネルギー量をもって光触媒効果を発揮する。
【0018】
水中に浸した黒鉛珪石に熱を与えた場合、熱をエネルギーとして黒鉛珪石は遠赤外線を放射を始めて、まず水分子の方向が揃う。また酸化チタンは遠赤外線をエネルギー源として、水のイオン交換を行う。このとき、個体体積が大きな黒鉛珪石は水分子の1極のイオンに対して働きかけ、この結果酸素が多く析出し、水中に水素イオンが多く残留する。
【0019】
同じ条件下でも、黒鉛珪石が粉末状の時は、光触媒は水分子の両極のイオンに対してイオン交換を行い、水素が析出。水中に水酸基が多く残留する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、従来技術の課題である界面活性剤やアルコール系等の化学薬品を使用することなく、又電気分解や磁気を接触することなく酸性水・塩基性水を提供することを目的としたものであり、構造が簡単で、安価に生成することにある。
【0021】
本発明者は、黒鉛珪石の作用や効果に関する一連の研究の結果、黒鉛珪石自らが熱を電磁波である遠赤外線に変換し、鉱石中に含まれる酸化チタンが光触媒として働き、接する分子のイオン交換を行い、水のPHをコントロールすることを見出し、本発明を成した。
【0022】
具体的に本発明は、黒鉛珪石をジュラルミンやステンレス等の容器、すなわち腐食に対して強い素材を用い、水10に対し鉱石(塩基性水を求める場合大きさは0.1ミリメートル以下、酸性水を求める場合は5〜100ミリメートル)を2〜3とし、水を40〜99度の温水を用い、温度を保持することを最良とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、黒鉛珪石を触媒として利用しており、特別な方法ではなく、温水の温度管理と水との配分のみにて生成できることで、安価に生産が可能である。
【0024】
酸性水の効用効果としては、すでに判明しているが、設備投資や、複雑な装置を設置することなく、従って安価で比較的簡単に生成できることを特徴とする方法である。
塩基性水も洗浄効果を目的に化学的に生成し売られているが、原料が化学物質であり、資源を消費する事に比し、触媒として水のみの原料で生産可能と言う利点がある。
【0025】
本発明は、遠赤外線を放射する天然鉱石である黒鉛珪石を主成分とする触媒を、40〜99度の温水を腐食に強いジュラルミンやステンレスの容器を用い、温水10に対し、鉱石2〜3の割合で固着させ、温度を維持し、約6時間温めることにより酸性水を得ることができる。
【0026】
塩基性水の生成には、粉末状に砕いた黒鉛珪石を同じ条件下で触媒として用いる。
【0027】
更に本発明は、簡単に生成でき、又添加物や電気、磁気を一切必要としないため、環境にも安全で、時間を経ても変化を起こさない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を最良の形態にもとづいて説明する。
【0029】
本発明による酸性水生成方法は、天然鉱石である黒鉛珪石触媒として、粒径が5〜100ミリメートルとした。
【0030】
本発明による塩基性水生成方法は、黒鉛形成触媒として粒径が0.1ミリメートル以下とした。
【0031】
本発明の酸性水生成実施形態では、5〜100ミリメートルの大きさのものを使用したが、天然で産する鉱石なので、成分のばらつきによって変成はしない。
【0032】
黒鉛珪石とは、黒色硬質泥岩で、石英、斜長石、絹雲母、カオリン等の粘土鉱物、炭酸塩鉱物、黄鉄鉱ガラスなど平行及びクロスニクル下で完全に暗色な黒色物質が観察され、遠赤外線を輻射する特徴を有する。
黒鉛珪石の標準的成分組成例は、シリカ81.4%、アルミニウム6.4%、炭素5.0%、カリウム1.7%、チタン1.2%、二酸化鉄0.5%、マグネシウム0.5%、ナトリウム0.08%、カルシウム0.02%である。
【0033】
次に、上述した生成方法について説明する。容器は、酸や塩基に強いガラス製のものが最良である。また40〜99度の温水を使用し、水温を長時間保持させる必要があるために容器の外側には、断熱の役割を成す材料として、繊維状のもので包む必要がある。
【0034】
温水100lに対して、鉱石は20〜30kgとし、大きさも塩基性水を求める場合0.1ミリメートル以下、酸性水を求める場合は5〜100ミリメートル程度のものを使用するものとする。小さすぎ、大きすぎの物が混じる場合、上手くいかない場合もある。
【0035】
生成作業を終えた後、水温が急速に低下しないように保温に努めるが、場合によっては、底や側面から面状や線状の発熱体により6時間程保温する。
【0036】
生成水は、水道水、湧水等調達しやすいもので、特に水道水に含まれる塩素も反応により分解され含まれていない。
【0037】
生成された酸性水は、消臭性、殺菌・制菌性に優れ、酸性水の一つの大きな性質である収れん性もある。
【0038】
生成された塩基性水は、洗浄力を持ち、環境を汚染しない洗浄液として使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
学術名黒鉛珪石(グラファイトシリカ)を触媒として用い、熱源と天然鉱石のみの使用で水のPHをコントロールする方法。
【請求項2】
PH調整触媒として直径5ミリメートル程度以上の黒鉛珪石を直接40〜99度の温水に固着、又は当着保持させることで水のPHを下降させ、酸性水を得る。
又、PHの下降を妨げる要因となる5ミリメートル以下の微粉末状物を取り除く。
【請求項3】
PH調整触媒として直径0.1ミリメートル程度以下の黒鉛珪石粉末を直接40〜99度の温水に固着、又は当着保持させることで水のPHを上昇させ、塩基性水を得る。

【公開番号】特開2010−269295(P2010−269295A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138666(P2009−138666)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(509162137)
【Fターム(参考)】