説明

熱源ユニット

【課題】熱源ユニットにおいて、熱交換器の伝熱管の細径化による圧力損失を抑制しつつ、冷媒量を削減することを目的とする。
【解決手段】熱源側熱交換器23のサブ熱交換部23bは、凝縮時の過冷却を効率よく得るために、1パスだけ設けられている。それゆえ、熱源側熱交換器23が蒸発器として機能する暖房運転においては、サブ熱交換部23bで冷媒に圧力損失が生じる。そこで、メイン熱交換部23aとサブ熱交換部23bとの間には気液分離器21が接続されている。これによって、冷媒はメイン熱交換部23aの手前で液冷媒とガス冷媒とに分離され、ガス冷媒はバイパス25を通って圧縮機13の吸い込み側へ送られる。その結果、メイン熱交換部23aを流れる冷媒量が減少し圧力損失も減少し、その分、伝熱管の径を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源ユニットに関し、特に、空気調和機において暖房運転時に蒸発器となる熱交換器を備えた熱源ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用ルームエアコンにおいて、一般的に、室内熱交換器が凝縮器として機能する暖房運転時に室内熱交換器に溜めることができる冷媒量は、室外熱交換器が凝縮器として機能する冷房運転時に室外熱交換器に溜めることができる液冷媒量に比べて少ない。また、冷媒回路内には冷房運転時に必要な冷媒量が封入されるので、暖房運転時に室内熱交換器に溜めきれずに余った冷媒は、特許文献1(実開平4−39652号公報)に開示されているようなレシーバに一時的に溜められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、近年、室内ユニットの小型化にともない室内熱交換器が小さくなる一方で、室外熱交換器は大型化する傾向にあり、室外熱交換器の大型化はレシーバの大型化を招くことになる。このレシーバの大型化を解消するためには、室外熱交換器の伝熱管径を細くすることが有効であるが、細径化は室外熱交換器が特に蒸発器として機能する際に圧力損失の増大を招く。
【0004】
本発明は、伝熱管の細径化による圧力損失を抑制しつつ、冷媒量を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る熱源ユニットは、利用ユニットとともに、冷房運転および暖房運転を行うことが可能な冷媒回路を構成する熱源ユニットであって、圧縮機と、膨張機構と、熱交換器とを備える。熱交換器は、圧縮機に接続されるメイン熱交換部、および膨張機構に接続されるサブ熱交換部を有する。メイン熱交換部とサブ熱交換部との間には、気液分離器が配置されている。さらに、メイン熱交換部をバイパスするため、バイパス路が気液分離器からメイン熱交換部の圧縮機側の冷媒配管へと設けられている。また、メイン熱交換部の伝熱管の径は、サブ熱交換部の伝熱管の径よりも小さい。そして、暖房運転時、メイン熱交換部およびサブ熱交換部は共に蒸発器として機能する。
【0006】
この熱源ユニットでは、メイン熱交換部をバイパスするためバイパス路が気液分離器からメイン熱交換部の圧縮機側の冷媒配管へと延ばされている場合、サブ熱交換部で生じたガス冷媒はメイン熱交換部の入口手前で分離されて出口に迂回する。そうすると、熱交換器が蒸発器として機能するとき、メイン熱交換部を循環する冷媒量が減少するので、メイン熱交換部器での冷媒の圧力損失が抑制される。これは、圧力損失の増大を伴う伝熱管径の細径化に有効である。つまり、冷媒の圧力損失が抑制される程度を見越して、メイン熱交換部の伝熱管の径をサブ熱交換部の伝熱管の径よりも小さくすることができるので、冷媒の圧力損失を増大させることなく、冷媒量を削減することができる。
【0007】
本発明の第2観点に係る熱源ユニットは、第1観点に係る熱源ユニットであって、メイン熱交換部の伝熱管およびサブ熱交換部の伝熱管は、共通の放熱用フィンに固定されている。この熱源ユニットでは、放熱用フィンの共通化によって、製造コストの低減が図られる。
【0008】
本発明の第3観点に係る熱源ユニットは、第1観点または第2観点に係る熱源ユニットであって、サブ熱交換部が、冷媒が通過する1つの冷媒パスを有する。気液分離器を使用する目的は、蒸発に利用されないガス冷媒を蒸発器に流さないようにすることであるので、冷媒の乾き度が小さい状態では気液分離器の十分な効果が得られない。それゆえ、冷媒は、その乾き度が高い状態で気液分離器に入るのが好ましい。
【0009】
この熱源ユニットでは、サブ熱交換部が1つの冷媒パスであるので、通過する冷媒の圧力を損失させ、サブ熱交換部入口の冷媒乾き度は低くなるが、サブ熱交換部出口(メイン熱交換部の入口)では冷媒乾き度が高くなり、気液分離器が有効に作用する。
【0010】
本発明の第4観点に係る熱源ユニットは、第1観点または第2観点に係る熱源ユニットであって、メイン熱交換部が、冷媒が通過する複数の冷媒パスを有する。
【0011】
この熱源ユニットでは、気液分離器によってメイン熱交換部を循環する冷媒量が減少すること、及びメイン熱交換部が複数の冷媒パスを有することによって、メイン熱交換部における冷媒の圧力損失が抑制される。
【0012】
本発明の第5観点に係る熱源ユニットは、第1観点に係る熱源ユニットであって、サブ熱交換部が、過冷却用である。気液分離器を使用する目的は、蒸発に利用されないガス冷媒を蒸発器に流さないようにすることであるので、冷媒の乾き度が小さい状態では気液分離器の十分な効果が得られない。それゆえ、冷媒は、その乾き度が高い状態で気液分離器に入るのが好ましい。
【0013】
この熱源ユニットでは、熱交換器が凝縮器として機能する際、サブ熱交換部が過冷却用として使用される。そうすると、熱交換器が蒸発器として機能するときは、メイン熱交換部の入口における冷媒乾き度を高くするので、気液分離器が有効に作用する。
【0014】
本発明の第6観点に係る熱源ユニットは、第1観点に係る熱源ユニットであって、バイパス路が流量調整弁を有する。
【0015】
この熱源ユニットでは、バイパス路を流れる冷媒量だけでなく、バイパス路に圧力損失を付けてメイン熱交換部を流れる冷媒量をも調整することができる。
【0016】
本発明の第7観点に係る熱源ユニットは、第6観点に係る熱源ユニットであって、流量調整弁が電動弁である。
【0017】
この熱源ユニットでは、電動弁であることによって、圧縮機の運転周波数に応じて弁開度の制御が可能となるので、バイパス路を流れる冷媒量が運転状態に応じて調節される。
【0018】
本発明の第8観点に係る熱源ユニットは、第1観点に係る熱源ユニットであって、利用ユニットが利用側熱交換器を備えている。メイン熱交換部の伝熱管の径は、利用側熱交換器の伝熱管の径以上、φ6.35以下である。
【0019】
この熱源ユニットでは、一般にメイン熱交換部の伝熱管径はφ7〜φ8であるので、伝熱管の細径化によって必要冷媒量を低減することができる。なお、細径化による圧力損失は、気液分離器によってメイン熱交換部を循環する冷媒量を減少させることによって抑制される。
【0020】
本発明の第9観点に係る熱源ユニットは、第1観点に係る熱源ユニットであって、利用ユニットが利用側熱交換器を備えている。利用側熱交換器と膨張機構との間にレシーバが接続されている。この熱源ユニットでは、利用側熱交換器が凝縮器として機能するとき、余った液冷媒はレシーバに貯められる。
【0021】
本発明の第10観点に係る熱源ユニットは、第1観点に係る熱源ユニットであって、利用ユニットが利用側熱交換器を備えている。利用側熱交換器の一部が凝縮器と機能し他が蒸発器として機能する再熱除湿運転のとき、圧縮機から吐出された冷媒がバイパス路を経て利用側熱交換器へ流される。
【0022】
この熱源ユニットでは、再熱除湿運転時、圧縮機から吐出された冷媒の大部分はメイン熱交換部およびサブ熱交換部を通らないので、熱を放出することがなく利用側熱交換器に流れるので、再熱除湿運転の再熱能力が向上する。
【0023】
本発明の第11観点に係る熱源ユニットは、利用ユニットとともに冷媒回路を構成する熱源ユニットであって、圧縮機と、膨張機構と、熱交換器と、気液分離器と、バイパス路とを備えている。熱交換器は、圧縮機側に接続されるメイン熱交換部と、膨張機構側に接続されるサブ熱交換部とを有する。気液分離器は、メイン熱交換部とサブ熱交換部との間に配置される。バイパス路は、メイン熱交換部をバイパスするため、気液分離器からメイン熱交換部の圧縮機側の冷媒配管へ延びる。また、サブ熱交換部の伝熱管の径が、メイン熱交換部の伝熱管の径より大きく形成されている。
【0024】
この熱源ユニットでは、気液分離器がメイン熱交換部とサブ熱交換部との間に配置されることによって、メイン熱交換部の圧力損失が抑制され、サブ熱交換部の伝熱管の径がメイン熱交換部の伝熱管の径より大きいことによって、サブ熱交換部の圧力損失が過度になることが回避される。
【0025】
本発明の第12観点に係る熱源ユニットは、第11観点に係る熱源ユニットであって、
メイン熱交換部とサブ熱交換部とは別体である。この熱源ユニットでは、冷房運転時に過冷却が得られ易い。
【発明の効果】
【0026】
本発明の第1観点に係る熱源ユニットでは、メイン熱交換部を循環する冷媒量が減少するので、メイン熱交換部での冷媒の圧力損失が抑制される。
【0027】
本発明の第2観点に係る熱源ユニットでは、放熱用フィンの共通化によって、製造コストの低減が図られる。
【0028】
本発明の第3観点に係る熱源ユニットでは、サブ熱交換部が1つの冷媒パスであるので、通過する冷媒の圧力を損失させ、サブ熱交換部入口の冷媒乾き度は低くなるが、サブ熱交換部出口(メイン熱交換部の入口)では冷媒乾き度が高くなり、気液分離器が有効に作用する。
【0029】
本発明の第4観点に係る熱源ユニットでは、気液分離器によってメイン熱交換部を循環する冷媒量が減少すること、及びメイン熱交換部が複数の冷媒パスを有することによって、メイン熱交換部における冷媒の圧力損失が抑制される。
【0030】
本発明の第5観点に係る熱源ユニットでは、熱交換器が蒸発器として機能するとき、メイン熱交換部の入口における冷媒乾き度が高く、気液分離器が有効に作用する。
【0031】
本発明の第6観点に係る熱源ユニットでは、バイパス路を流れる冷媒量だけでなく、バイパス路に圧力損失を付けてメイン熱交換部を流れる冷媒量をも調整することができる。
【0032】
本発明の第7観点に係る熱源ユニットでは、電動弁であることによって、圧縮機の運転周波数に応じて弁開度の制御が可能となるので、バイパス路を流れる冷媒量が運転状態に応じて調節される。
【0033】
本発明の第8観点に係る熱源ユニットでは、一般にメイン熱交換部の伝熱管径はφ7〜φ8であるので、伝熱管の細径化によって必要冷媒量を低減することができる。なお、細径化による圧力損失は、気液分離器によってメイン熱交換部を循環する冷媒量が減少することによって抑制される。
【0034】
本発明の第9観点に係る熱源ユニットでは、利用側熱交換器が凝縮器として機能するとき、余った液冷媒はレシーバに貯められる。
【0035】
本発明の第10観点に係る熱源ユニットでは、再熱除湿運転時、圧縮機から吐出された冷媒の大部分はメイン熱交換部およびサブ熱交換部を通らないので、熱を放出することがなく利用側熱交換器に流れるので、再熱除湿運転の再熱能力が向上する。
【0036】
本発明の第11観点に係る熱源ユニットでは、気液分離器がメイン熱交換部とサブ熱交換部との間に配置されることによって、メイン熱交換部の圧力損失が抑制され、サブ熱交換部の伝熱管の径がメイン熱交換部の伝熱管の径より大きいことによって、サブ熱交換部の圧力損失が過度になることが回避される。
【0037】
本発明の第12観点に係る熱源ユニットでは、冷房運転時に過冷却が得られ易い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱源ユニットを使用した空気調和装置の暖房運転時の冷媒の流れを示す冷媒回路図。
【図2】図1の空気調和装置の冷房運転時の冷媒の流れを示す冷媒回路図。
【図3】変形例に係る熱源ユニットを使用した空気調和装置の暖房運転時の冷媒の流れを示す冷媒回路図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る熱源ユニットを使用した空気調和装置の再熱除湿運転時の冷媒の流れを示す冷媒回路図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0040】
<第1実施形態>
(1)空気調和装置の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る熱源ユニットを使用した空気調和装置の冷媒回路図である。図1において、空気調和装置1は、冷房運転及び暖房運転が可能な空気調和装置であり、利用ユニット2と、熱源ユニット3と、利用ユニット2と熱源ユニット3とを接続するための液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とを備えている。
【0041】
(1−2)利用ユニット
利用ユニット2は、利用側熱交換器15を有している。利用側熱交換器15は、内部を流れる冷媒を蒸発又は凝縮させることによって室内の空気を冷却又は加熱する熱交換器である。
【0042】
(1−3)熱源ユニット
熱源ユニット3は、主に、圧縮機13、四路切換弁14、レシーバ17、膨張弁19、気液分離器21、熱源側熱交換器23、液側閉鎖弁37、及びガス側閉鎖弁38を有している。
【0043】
(1−3−1)圧縮機と四路切換弁
圧縮機13は、ガス冷媒を吸入して圧縮するための機器である。四路切換弁14は、冷房運転と暖房運転との切換時に、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁である。冷房運転時、四路切換弁14は、圧縮機13の吐出側と熱源側熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機13の吸入側とガス側閉鎖弁38とを接続する。また、暖房運転時、四路切換弁14は、圧縮機13の吐出側とガス側閉鎖弁38とを接続するとともに圧縮機13の吸入側と熱源側熱交換器23のガス側とを接続する。
【0044】
(1−3−2)レシーバ
レシーバ17は、熱源側熱交換器23又は利用側熱交換器15において凝縮された冷媒を溜めることが可能な機器である。例えば、利用熱交換器15が凝縮器として機能する暖房運転時に利用熱交換器15に溜めることができる液冷媒量は1100ccであり、熱源側熱交換器23が凝縮器として機能する冷房運転時に熱源側熱交換器23に溜めることができる液冷媒量は1400である場合、暖房運転時に利用熱交換器に溜めきれずに余った液冷媒300ccは、レシーバ17に一時的に溜められる。
【0045】
(1−3−3)膨張弁
膨張弁19は、冷媒圧力や冷媒流量の調節を行うために、レシーバ17から熱源側熱交換器23に向う配管に接続され、冷房運転時及び暖房運転時のいずれにおいても、冷媒を膨張させる機能を有している。
【0046】
(1−3−4)気液分離器
気液分離器21は、膨張弁19から熱源側熱交換器23に向う配管に接続され、膨張弁19を通過するときに発生したガス成分を分離する。気液分離器21で分離されたガス冷媒は、バイパス25を通って圧縮機13の吸い込み側へ流れる。また、気液分離器21で分離された液冷媒は、メイン熱交換部23aへ流れる。なお、バイパス25の途中には、流量調整弁27が接続されている。
【0047】
(1−3−5)熱源側熱交換器
熱源側熱交換器23は、空気又は水を熱源として内部を流れる冷媒を凝縮又は蒸発させることができる。熱源側熱交換器23は、圧縮機13に接続されるメイン熱交換部23aと、膨張弁19に接続されるサブ熱交換部23bとを有している。メイン熱交換部23aの伝熱管およびサブ熱交換部23bの伝熱管は、共通の放熱用フィンに固定されている。メイン熱交換部23aには冷媒が通過する複数の冷媒パスが形成され、サブ熱交換部23bには1つの冷媒パスが形成されている。メイン熱交換部23aの伝熱管の径は、φ5(又は、利用側熱交換器15の伝熱管の径)以上で、φ6.35以下に設定されている。一般にメイン熱交換部23aの伝熱管径はφ7〜φ8であることを鑑みれば、伝熱管の細径化によって必要冷媒量を低減することができる。また、サブ熱交換部23bの伝熱管の径は、φ7以上に設定されている。
【0048】
(1−3−6)閉鎖弁および冷媒連絡配管
液側閉鎖弁37及びガス側閉鎖弁38は、それぞれ、液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7に接続されている。液冷媒連絡配管6は、利用ユニット2の利用側熱交換器15の液側と熱源ユニット3の液側閉鎖弁37との間を接続している。ガス冷媒連絡配管7は、利用ユニット2の利用側熱交換器15のガス側と熱源ユニット3のガス側閉鎖弁38との間を接続している。
【0049】
(2)暖房運転時の冷媒の流れ
図1において、暖房運転時、四路切換弁14は、圧縮機13の吐出側とガス側閉鎖弁38とを接続するとともに圧縮機13の吸入側と熱源側熱交換器23のガス側とを接続する。また、膨張弁19は開度を絞る。その結果、熱源側熱交換器23が冷媒の蒸発器として機能し、かつ、利用側熱交換器15が冷媒の放熱器として機能する。
【0050】
このような状態の冷媒回路において、低圧の冷媒は、圧縮機13に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機13から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁14、ガス側閉鎖弁38及びガス冷媒連絡配管7を通じて、利用側熱交換器15に送られる。利用側熱交換器15に送られた高圧の冷媒は、そこで室内空気と熱交換を行って放熱する。これにより、室内空気は加熱される。利用側熱交換器15で放熱した高圧の冷媒は、液冷媒連絡配管6及び液側閉鎖弁37を通じて、レシーバ17に送られる。レシーバ17の働きについては既に説明しているのでここでは省略する。
【0051】
レシーバ17を出た冷媒は、膨張弁19に送られて低圧に減圧され、その後、サブ熱交換部23bに送られる。低圧の冷媒は、サブ熱交換部23bにおいて蒸発するが、サブ熱交換部23bの伝熱管径はメイン熱交換部23aの伝熱管より大きいφ7に設定されているので、蒸発時の圧力損失は抑制される。
【0052】
サブ熱交換部23bを出た冷媒は、気液分離器21に送られる。膨張弁19及びサブ熱交換部23を通過してきた冷媒は、液とガスとの混合状態であるので、気液分離器19では、液冷媒とガス冷媒とに分離され、ガス冷媒のほとんどがバイパス25を通って圧縮機13の吸い込み側へ送られる。
【0053】
他方、液冷媒は、メイン熱交換部23aに送られ、そこで、ファン(図示せず)によって供給される室外空気と熱交換を行って蒸発する。メイン熱交換部23aの入口からはガス冷媒がほとんど入らないので、メイン熱交換部23aを流れる冷媒量が減った分、圧力損失が抑制される。メイン熱交換部23aで蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁14を通じて、再び、圧縮機13に吸入される。
【0054】
(3)冷房運転時の冷媒の流れ
図2は、図1の空気調和装置の冷房運転時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。図2において、冷房運転時、四路切換弁14が、圧縮機13の吐出側と熱源側熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機13の吸入側とガス側閉鎖弁38とを接続する。また、膨張弁19は開度を絞る。その結果、熱源側熱交換器23が冷媒の放熱器として機能し、かつ、利用側熱交換器15が冷媒の蒸発器として機能する。
【0055】
このような状態の冷媒回路において、低圧の冷媒は、圧縮機13に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機13から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁14を通じて、熱源側熱交換器23のメイン熱交換部23aに送られる。
【0056】
メイン熱交換部23aに送られた高圧の冷媒は、そこで室外空気と熱交換を行って放熱する。メイン熱交換部23aにおいて放熱した高圧の冷媒は、膨張弁19に送られて、低圧に減圧される。
【0057】
なお、冷媒は、膨張弁19に送られる途中で気液分離器21を通過するが、バイパス25の流量調整弁27が閉じているので、ガス冷媒が圧縮機13の吸い込み側に送られることはない。
【0058】
膨張弁19で減圧された低圧の冷媒は、液側閉鎖弁37及び液冷媒連絡配管6を通じて、利用側熱交換器15に送られる。
【0059】
なお、冷媒は、利用側熱交換器15へ送られる途中でレシーバ17を通過するが、冷房運転時ではほとんどの液冷媒が凝縮器(熱源側熱交換器23)に溜まるので、レシーバ17が液冷媒で満たされていることはなく、一配管として機能するのみである。
【0060】
利用熱交換器15に送られた低圧の冷媒は、そこで室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、室内空気は冷却される。利用側熱交換器15において蒸発した低圧の冷媒は、ガス冷媒連絡配管7、ガス側閉鎖弁38及び四路切換弁14を通じて、再び、圧縮機13に吸入される。
【0061】
(4)特徴
(4−1)
熱源側熱交換器23のサブ熱交換部23bは、熱源側熱交換器23が凝縮器として機能する冷房運転において、凝縮時の過冷却を効率よく得るために、1パスだけ設けられている。それゆえ、熱源側熱交換器23が蒸発器として機能する暖房運転においては、メイン熱交換部23a入口の冷媒乾き度が高く、冷媒がメイン熱交換部23aで有効に蒸発することができない。
【0062】
そこで、メイン熱交換部23aとサブ熱交換部23bとの間には気液分離器21が接続されている。これによって、冷媒はメイン熱交換部23aの手前で液冷媒とガス冷媒とに分離され、ガス冷媒はバイパス25を通って圧縮機13の吸い込み側へ送られる。その結果、メイン熱交換部23aを流れる冷媒量が減少し圧力損失も減少し、その分、伝熱管の径を小さくすることができる。
【0063】
したがって、メイン熱交換部23aの伝熱管の径が一般より小さいφ6.35に設定されても、従来品以上に圧力損失が生じることはない。
【0064】
(4−2)
また、冷媒のサブ熱交換部23bでの圧力損失が大きいほど、気液分離器21の入口での冷媒乾き度が低下し、バイパス25へ送くられるガス冷媒が減少する。これでは、気液分離器21の効果が十分に発揮されないので、サブ熱交換部23bの伝熱管の径はφ7以上に設定されている。
【0065】
(5)変形例
第1実施形態では、凝縮器(冷房運転時のメイン熱交換部23a)の出口にサブ熱交換部23bが設けられた構成であるが、それに限定されるのではなく、サブ熱交換部23bがない構成でもよい。
【0066】
図3は、変形例に係る熱源ユニットを使用した空気調和装置の暖房運転時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。図3において、熱源側熱交換器23は凝縮器として機能するときの過冷却性能を高めるため、熱源側熱交換器23の出口に1つの冷媒パス231が設けられている。1つの冷媒パス231は、熱源側熱交換器23が蒸発器として機能するときは冷媒に圧力損失を生じさせるので、蒸発器(暖房運転時の熱源側熱交換器23)の入口における冷媒乾き度が低下する。
【0067】
それゆえ、冷媒パス231の入口付近に気液分離器21を配置して液冷媒が冷媒パス231に入るようにしても、冷媒パス231で圧力損失が生じ、冷媒が膨張されガス成分が発生するので、冷媒パス231後の複数の冷媒パスの部分での圧力損失を低減しようとする気液分離器21の目的が達成されない。
【0068】
そこで、図3に示すように、変形例に係る熱源ユニット3では、冷媒が冷媒パス231を通過した後に気液分離器21によって液冷媒とガス冷媒とに分離され、液冷媒は熱源側熱交換器23に入り、ガス冷媒はバイパス25を通って圧縮機13の吸い込み側へ送られる。
【0069】
<第2実施形態>
(1)空気調和装置の構成
図4は、本発明の第2実施形態に係る熱源ユニットを使用した空気調和装置の再熱除湿運転時の冷媒の流れを示す冷媒回路図である。図4において、空気調和装置1は、冷房運転及び暖房運転が可能な空気調和装置であり、利用ユニット2と、熱源ユニット3と、利用ユニット2と熱源ユニット3とを接続するための液冷媒連絡配管6及びガス冷媒連絡配管7とを備えている。なお、第1実施形態との差異は、利用ユニット2の構成が異なるだけであるので、ここでは、利用ユニット2についてのみ説明する。
【0070】
(1−2)利用ユニット
利用ユニット2は、第1熱交換器15a、と第2熱交換部15bと、第2膨張弁16を有している。第2膨張弁16は、第1熱交換部15aと第2熱交換部15bとの間に接続され、暖房運転時および冷房運転時は全開となり、第1熱交換部15aと第2熱交換部15bとが1つの利用側熱交換器として機能し、内部を流れる冷媒を蒸発又は凝縮させることによって室内の空気を冷却又は加熱する。したがって、暖房運転時および冷房運転時の冷媒の流れは、第1実施形態と同じである。
【0071】
他方、再熱除湿運転は、蒸発器で空気を結露させることによる除湿と、蒸発器によって冷えた空気を凝縮器で暖めることによって除湿による冷え過ぎを解消する運転である。再熱除湿運転時、冷媒回路内の冷媒は冷房運転と同じように循環するが、冷媒は第2膨張弁16で減圧されるので、第1熱交換部15aは凝縮器として機能し、第2熱交換部15bは蒸発器として機能する。以下、再熱除湿運転時の冷媒の流れについて説明する。
【0072】
(2)再熱除湿運転時の冷媒の流れ
図4において、再熱除湿運転では、四路切換弁14が、圧縮機13の吐出側と熱源側熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機13の吸入側とガス側閉鎖弁38とを接続する。また、膨張弁19は全開となり、第2膨張弁16は開度を絞る。その結果、熱源側熱交換器23および利用側熱交換器15の第1熱交換部15aが冷媒の放熱器として機能し、かつ、利用側熱交換器15の第2熱交換部15bが冷媒の蒸発器として機能する。また、バイパス25の流量調整弁27は開いている。
【0073】
このような状態の冷媒回路において、低圧の冷媒は、圧縮機13に吸入され、高圧に圧縮された後に吐出される。圧縮機13から吐出された高圧の冷媒は、四路切換弁14を通じて、熱源側熱交換器23のメイン熱交換部23a側に送られる。なお、高圧の冷媒は、バイパス25との分岐点Pを通る際、メイン熱交換部23aに流れる冷媒と、バイパス25に流れる冷媒とに分かれる。流通抵抗は、バイパス25に比べてメイン熱交換部23aのほうが大きいので、大部分の冷媒はバイパス25を通り、気液分離器21、全開の膨張弁19、及びレシーバ17を通過して第1熱交換部15aに入る。
【0074】
また、メイン熱交換部23aにも冷媒が流れ、室外空気と熱交換を行って放熱するので、メイン熱交換部23aには液冷媒が溜まる。この液冷媒が流れるように、バイパス25に流通抵抗を付けるのが好ましい。例えば、バイパス25に設けられている流量調整弁27によってバイパス25に圧力損失を付けてメイン熱交換部23aを流れる冷媒量をも微調整することも考えられる。なお、流量調整弁27は電動弁であるので、圧縮機13の運転周波数に応じて弁開度が制御が可能であり、バイパス25を流れる冷媒量が運転状態に応じて調節される。
【0075】
第1熱交換部15aに入った冷媒は、そこで室内空気と熱交換を行って凝縮し、室内空気を加熱する。第1熱交換部15aから出た冷媒は第2膨張弁16で減圧され、その後、第2熱交換部15bに入り蒸発する。これにより、室内空気は冷却され除湿されるが、第1熱交換部15aで加熱された空気と混合され暖められる。第2熱交換部15bにおいて蒸発した低圧の冷媒は、ガス冷媒連絡配管7、ガス側閉鎖弁38及び四路切換弁14を通じて、再び、圧縮機13に吸入される。
(3)第2実施形態の特徴
メイン熱交換部23aとサブ熱交換部23bとの間に気液分離器21が接続されることによって、メイン熱交換部23aの伝熱管径を細くすることはできるが、再熱除湿運転時にメイン熱交換部23aが凝縮器として機能したとき、伝熱管の細径化によって必然的に生じる圧力損失が再熱能力を低下させる可能性がある。
【0076】
しかし、第2実施形態では、圧縮機13から吐出された高温高圧のガス冷媒が、バイパス25を経て利用ユニット2の第1熱交換部15aに直接送られるので、再熱能力はむしろ向上する。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上のように、本発明によれば、熱源側熱交換器の伝熱管径を小さくすることができ、熱源ユニットの小型化が可能となるので、空気調和装置の室外ユニットを含め、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用した冷凍装置の熱源側に有用である。
【符号の説明】
【0078】
3 熱源ユニット
13 圧縮機
15 利用側熱交換器
17 レシーバ
19 膨張弁(膨張機構)
21 気液分離器
23 熱源側熱交換器
23a メイン熱交換部
23b サブ熱交換部
25 バイパス
27 流量調整弁
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】実開平4−39652号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用ユニットとともに、冷房運転および暖房運転を行うことが可能な冷媒回路を構成する熱源ユニットであって、
圧縮機(13)と、
膨張機構(19)と、
前記圧縮機(13)に接続されるメイン熱交換部(23a)、および前記膨張機構(19)に接続されるサブ熱交換部(23b)を有する前記熱交換器(23)と、
を備え、
前記メイン熱交換部(23a)と前記サブ熱交換部(23b)との間に気液分離器(21)が配置され、前記メイン熱交換部(23a)をバイパスするためバイパス路(25)が前記気液分離器(21)から前記メイン熱交換部(23a)の前記圧縮機(13)側の冷媒配管へと設けられており、
前記メイン熱交換部(23a)の伝熱管の径は、前記サブ熱交換部(23b)の伝熱管の径よりも小さく、
暖房運転時、前記メイン熱交換部(23a)及び前記サブ熱交換部(23b)は共に蒸発器として機能する、
熱源ユニット(3)。
【請求項2】
前記メイン熱交換部(23a)の前記伝熱管および前記サブ熱交換部(23b)の前記伝熱管は、共通の放熱用フィンに固定されている、
請求項1に記載の熱源ユニット(3)。
【請求項3】
前記サブ熱交換部(23b)は、冷媒が通過する1つの冷媒パスを有する、
請求項1又は請求項2に記載の熱源ユニット(3)。
【請求項4】
前記メイン熱交換部(23a)は、冷媒が通過する複数の冷媒パスを有する、
請求項1又は請求項2に記載の熱源ユニット(3)。
【請求項5】
前記サブ熱交換部(23b)は、過冷却用である、
請求項1に記載の熱源ユニット(3)。
【請求項6】
前記バイパス路(25)は流量調整弁(27)を有する、
請求項1に記載の熱源ユニット(3)。
【請求項7】
前記流量調整弁(27)が電動弁である、
請求項6に記載の熱源ユニット(3)。
【請求項8】
前記利用ユニットは、利用側熱交換器(15)を備えており、
前記メイン熱交換部(23a)の伝熱管の径は、前記利用側熱交換器(15)の伝熱管の径以上、φ6.35以下である、
請求項1に記載の熱源ユニット(3)。
【請求項9】
前記利用ユニットは、利用側熱交換器(15)を備えており、
前記利用側熱交換器(15)と前記膨張機構(19)との間にレシーバ(17)が接続されている、
請求項1に記載の熱源ユニット(3)。
【請求項10】
前記利用ユニットは、利用側熱交換器(15)を備えており、
前記利用側熱交換器(15)の一部が凝縮器と機能し他が蒸発器として機能する再熱除湿運転のとき、前記圧縮機(13)から吐出された冷媒が前記バイパス路(25)を経て前記利用側熱交換器(15)へ流される、
請求項1に記載の熱源ユニット(3)。
【請求項11】
利用ユニットとともに冷媒回路を構成する熱源ユニットであって、
圧縮機(13)と、
膨張機構(19)と、
前記圧縮機(13)側に接続されるメイン熱交換部(23a)と、前記膨張機構(19)側に接続されるサブ熱交換部(23b)とを有する熱交換器(23)と、
前記メイン熱交換部(23a)と前記サブ熱交換部(23b)との間に配置される気液分離器(21)と、
前記メイン熱交換部(23a)をバイパスするため、前記気液分離器(21)から前記メイン熱交換部(23a)の前記圧縮機(13)側の冷媒配管へ延びるバイパス路(25)と、
を備え、
前記サブ熱交換部(23b)の伝熱管の径が、前記メイン熱交換部(23a)の伝熱管の径より大きく形成されている、
熱源ユニット(3)。
【請求項12】
前記メイン熱交換部(23a)と前記サブ熱交換部(23b)とは別体である、
請求項11に記載の熱源ユニット(3)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−63083(P2012−63083A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207806(P2010−207806)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)