説明

熱源機

【課題】 容易な組み立て性を損なわずに、組み立て時や各構成部材の寸法誤差や、運搬時の振動等に起因するずれ等に起因する遮断性能の劣化発生を回避して、複数の水路間での燃焼排ガスのリークを確実に防止した熱源機を提供する。
【解決手段】 第1バーナと第2バーナとを仕切るバーナ仕切り部材9の上端部91にガイド部92,92を形成して、両ガイド部間に寸法吸収体としてのパッキン12を設置する。第1熱交換器と第2熱交換器とを仕切る熱交換器仕切り部材10の下端部101に突起部102を形成し、突起部102がパッキン12の凹溝部121に内嵌するように、熱交換器仕切り部材10の下端部をバーナ仕切部材9の上端部に対し接合させ。寸法誤差等による上下方向の相対間隔のずれがパッキンにより吸収され、遮断状態が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の水路(例えば給湯回路)用の熱交換器及びこれを加熱するためのバーナと、第2の水路(例えば風呂追い焚き回路や、温水暖房回路)用の熱交換器及びこれを加熱するためのバーナとを含む複数の水路を共に単一の缶体内に設置して、1缶多水路式に構成した熱源機に関する。特に、複数の水路を構成する熱交換器等を含む各燃焼室間を確実に遮断して、一方の水路側の燃焼加熱運転により発生する燃焼排ガスが他方の水路側にリークする事態の発生を確実に回避し得るようにする技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の熱源機として、単一の缶体内において第1の水路用の熱交換器及びバーナと、第2の水路用の熱交換器及びバーナとの間に仕切り板を配設し、この仕切り板により第1水路用の部分と第2水路用の部分とを互いに仕切るようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−25979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の如き仕切り板を配設するようにすると、熱源機の組み立て誤差や、熱源機の各構成部材の寸法誤差等の影響を受けたり、熱源機の半製品又は完成品での運搬・横持ち等の振動の影響を受けたりすることにより、仕切り板に隙間が発生して、第1の水路と第2の水路との相互間で燃焼排ガスのリークが生じてしまうおそれがある。
【0005】
燃焼排ガスのリークが生じてしまうと、次のような種々の不都合を生じることになる。すなわち、リークした側の水路の運転開始初期に予期しない高温の湯の供給が生じる。つまり、一方の水路側が燃焼加熱運転され、その燃焼排ガスが運転停止状態の他方の水路側にリークして他方の水路側も加熱されてしまう結果、他方の水路側の運転初期に予期しない高温の湯が供給されるおそれがある。又、一般に、燃焼用空気の供給制御として、経年使用に伴う熱交換器のフィン詰まり対策のために、フィン詰まりに伴い排気抵抗が増大すると、送風ファンの回転数を増大させて所定量の燃焼用空気の供給を確保する制御を行うようにしているが、上記の如きリークが生じると、排気抵抗の増大を適切に検知することが困難となり、この結果、燃焼用空気の適切な供給制御に狂いが生じるおそれがある。さらに、リークが生じると、そのリーク経路近傍の仕切り板が火炎排ガスにより炙られて過度の高温になる結果、その耐久性に問題が生じるおそれもある。又、燃焼排ガスのリークが生じると、燃焼運転している側の水路の熱効率がリークに伴い低下するおそれがある。
【0006】
その一方、1缶多水路式の熱源機は、一般に、燃焼バーナを内蔵するバーナ部と、熱交換器を内蔵する熱交換器部となどの各構成部材を互いに接合させて一体化させることにより組み立てるように構成されているため、仕切り板による遮断性のみを追及すると、熱源機を組み立てて一体化する上で、組み立ての容易さを損なうことも考えられる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容易な組み立て性を損なわずに、組み立て時や各構成部材の寸法誤差や、運搬時の振動等に起因するずれ等に起因する遮断性能の劣化発生を回避して、複数の水路間での燃焼排ガスのリークが確実に生じないように遮断し得るようにした熱源機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、単一の缶体内の下位に第1バーナと第2バーナとが横並びに併設され、第1熱交換器がその第1バーナの上位に、第2熱交換器が上記第2バーナの上位にそれぞれ配設され、第1バーナの燃焼熱により第1熱交換器が熱交換加熱され、第2バーナの燃焼熱により第2熱交換器が熱交換加熱されるように構成され、第1バーナ及び第2バーナの両者間を互いに仕切るバーナ仕切部材と、第1熱交換器及び第2熱交換器の両者間を互いに仕切る熱交換器仕切部材とを備えた熱源機を対象にして次の特定事項を備えることとした。すなわち、上記バーナ仕切部材の上端部と、熱交換器仕切部材の下端部との上下間に介装され、そのバーナ仕切部材及び熱交換器仕切部材の上下間に挟まれることにより上下方向の押圧力を受けて弾性変形、弾塑性変形又は塑性変形する寸法吸収体を備えることとする。そして、上記バーナ仕切部材の上端部に対し上記熱交換器仕切部材の下端部を寸法吸収体を介して接合させることにより、上記バーナ仕切部材側と熱交換器仕切部材側との上下方向の相対間隔のずれを吸収可能に組み付けるようにした(請求項1)。
【0009】
この発明の場合、寸法吸収体がバーナ仕切部材の上端部と、熱交換器仕切部材の下端部との上下間に介装された状態で接合されるため、たとえ、組み立て時や各構成部材の寸法誤差や、運搬時の振動等に起因するずれ等が発生したとしても、それに伴う上下方向の相対間隔のずれが寸法吸収体により吸収され、バーナ仕切部材と熱交換器仕切部材とによる連続した仕切状態が維持されることになる。このため、バーナ仕切部材と熱交換器仕切部材との間に燃焼排ガスのリークの原因となる隙間発生を確実に防止して確実な遮断性能が維持されることになる。又、組み付け又は組み立て作業も、上記バーナ仕切部材の上端部に対し上記熱交換器仕切部材の下端部を寸法吸収体を介して接合させるだけであるため、組み付け又は組み立て作業の容易さを損なうこともない。
【0010】
本発明における寸法吸収体としては、弾性材により形成することができる(請求項2)。弾性材(例えばパッキン)により形成することで、弾性変形又は弾性復元に基づいてバーナ仕切部材側と熱交換器仕切部材側との上下方向の相対間隔のずれ吸収をより確実に実現させて、上記の請求項1に係る発明の作用を確実に実現させ得ることになる。
【0011】
又、上記バーナ仕切部材の上端部及び熱交換器仕切部材の下端部のいずれか一方に、上記寸法吸収体の水平方向両側位置から上下方向に突出するガイド部を形成することができる(請求項3)。このようにすることで、寸法吸収体の設置位置を案内して容易な位置決めが可能になる上に、両ガイド部間に設置することで寸法吸収体が位置ずれしないように保持する機能をも果たし得ることになる。加えて、両ガイド部によって寸法吸収体の水平方向へ扁平化することを抑制することが可能となり、熱交換器仕切部材の側からの押圧力を受けても寸法吸収体にへたりが生じることを抑制し得ることになる。
【0012】
さらに、上記バーナ仕切部材の上端部及び熱交換器仕切部材の下端部のいずれか一方に、上記寸法吸収体に向けて上下方向に突出する突起部を形成するようにすることができる(請求項4)。このようにすることで、寸法吸収体を間に挟んで熱交換器仕切部材をバーナ仕切部材に向けて上下方向から押圧気味に当接させた際に、突起部が寸法吸収体に先に当接して両者の接合の確実化が図られて遮断性能の向上が図られることになる。この場合、上記寸法吸収体に対し上記突起部に相対向する面に開口する凹溝部を形成することで(請求項5)、上記突起部が先に凹溝部に内嵌して食い込むことになるため、遮断性能をより一層向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
以上、説明したように、請求項1〜請求項5のいずれかの熱源機によれば、寸法吸収体をバーナ仕切部材の上端部と、熱交換器仕切部材の下端部との上下間に介装させた状態で接合せさるようにしているため、たとえ、各構成部材の寸法誤差や組み立て誤差、又は、運搬時の振動等に起因するずれ等が発生したとしても、それに伴う上下方向の相対間隔のずれを寸法吸収体により吸収することができ、バーナ仕切部材と熱交換器仕切部材とによる連続した仕切状態を維持することができるようになる。このため、バーナ仕切部材と熱交換器仕切部材との間に燃焼排ガスのリークの原因となる隙間発生を確実に防止することができ、確実な遮断性能を維持することができるようになる。又、組み付け又は組み立て作業も、上記バーナ仕切部材の上端部に対し上記熱交換器仕切部材の下端部を寸法吸収体を介して接合させるだけであるため、組み付け又は組み立て作業の容易さを損なうこともない。
【0014】
特に、請求項2によれば、寸法吸収体を弾性材により形成することにより、弾性変形又は弾性復元に基づいてバーナ仕切部材側と熱交換器仕切部材側との上下方向の相対間隔のずれ吸収をより確実に実現させることができ、上記の効果を確実に得ることができるようになる。
【0015】
請求項3によれば、ガイド部の形成により、寸法吸収体の設置位置を案内して容易な位置決めを実現させることができる上に、両ガイド部間に設置することで寸法吸収体が位置ずれしないように保持する機能をも実現させることができるようになる。加えて、両ガイド部によって寸法吸収体の水平方向へ扁平化することを抑制することができ、熱交換器仕切部材の側からの押圧力を受けても寸法吸収体にへたりが生じることを抑制することができるようになる。
【0016】
請求項4によれば、突起部の形成により、寸法吸収体を間に挟んで熱交換器仕切部材をバーナ仕切部材に向けて上下方向から押圧気味に当接させた際に、突起部が寸法吸収体に先に当接して両者の接合の確実化を図ることができ、遮断性能の向上を図ることができるようになる。この場合、さらに請求項5の如く寸法吸収体に凹溝部を形成することにより、上記突起部が先に凹溝部に内嵌して食い込むことになるため、遮断性能をより一層向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面説明図である。
【図2】図1の分解説明図である。
【図3】第2実施形態を示す一部切欠説明図である。
【図4】図3の分解説明図である。
【図5】図3の部分拡大図である。
【図6】図5の構成部材の分解斜視図である。
【図7】他の実施形態を示す図5対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
<第1実施形態>
図1は、本発明の基本原理を備える第1実施形態に係る熱源機の缶体を示す。この熱源機は、単一の缶体2に対し第1の水路(例えば給湯回路)用の第1バーナ31及び第1熱交換器32と、第2の水路(例えば風呂の追い焚き回路又は温水循環式の暖房回路)用の第2バーナ41及び第2熱交換器42との双方が内蔵されたものである。すなわち、缶体2は1缶2水路式に構成されたものである。
【0020】
上記缶体2は、バーナ部21と、熱交換器部22と、集合排気筒部23とをこの順に積み上げるようにして結合させたものである。バーナ部21は、下側位置等に送風ファン24が取り付けられ、ケース211の内部に予め第1バーナ31が水平方向一側(同図の右側)に、第2バーナ41が水平方向他側(同図の左側)の各位置にそれぞれ設置されたものである。熱交換器部22は、胴筒状のケース221の内部に予め第1熱交換器32が水平方向一側に、第2熱交換器42が水平方向他側の各位置にそれぞれ設置されたものである。そして、第1バーナ31と第1熱交換器32との間の空間に後述のバーナ仕切部材5等により仕切られて第1燃焼室33が区画形成され、第2バーナ41と第2熱交換器42との間の空間に上記のバーナ仕切部材5等により仕切られて第2燃焼室43が区画形成されている。各熱交換器32,42は多数のフィン321,421と、これらフィン321,421を貫通する水管322,422とからフィンアンドチューブ形式のもので構成されている。なお、第1バーナ31や第2バーナ41はそれぞれ単一又は複数の単位バーナ(燃焼管)の組み合わせにより構成されている。
【0021】
集合排気筒部23はケース231内の例えば水平方向一側位置に第1連通口232が形成され、他側位置に第2連通口233が形成されている。第1熱交換器32を通過した後の燃焼排ガスが上記第1連通口232を通して第1水路用の図外の潜熱回収用の二次熱交換器に送られ、第2熱交換器42を通過した後の燃焼排ガスが上記第2連通口233を通して第2水路用の図外の潜熱回収用の二次熱交換器に送られるようになっている。なお、本実施形態及び本発明は、上記の如き潜熱回収用の二次熱交換器を搭載しない熱源機に対しても適用することができる。
【0022】
そして、缶体2の内部が、下位のバーナ仕切部材5と、上下中間位置の熱交換器仕切部材6と、排気筒仕切部材25とによって水平方向一側部分と他側部分とに仕切られて分離されている。上記バーナ仕切部材5と、熱交換器仕切部材6と、排気筒仕切部材25とは、バーナ部21、熱交換器部22及び集合排気筒部23が上下方向に互いに結合されるように組み立てられて一体化された状態で、上下方向に隣接する端部がそれぞれ少なくとも当接した状態(好ましくは密接した状態)になっており、3つの仕切部材5,6,25が上下方向に連続して一体の仕切体を形成するようになっている。この際に、バーナ仕切部材5と、熱交換器仕切部材6との上下間に所定厚みを有する寸法吸収体7が介装された状態に組み立てられて一体化されるようになっている。
【0023】
上記バーナ仕切部材5は、図2に示すように、バーナ部21のケース211の内面に対し予め取り付けられて固定されている。すなわち、第1バーナ31と第2バーナ41との間に両バーナ31,41を互いに仕切って分離するように上から又は下から挿入された状態でケース211に対し固定され、上端が上方に突出した自由端とされている。図例のバーナ仕切部材5は板材を折り返して内部空間を有する板状に形成され、上端の上向き端面51が平坦面になるように形成されている。又、熱交換器仕切部材6は、第1熱交換器32と第2熱交換器42との間に両熱交換器32,42を互いに仕切って分離するように上から又は下から挿入された状態で両熱交換器32,42のフィン321,421に対し固定されるか、及び/又は、その両側端部がケース221の内面に対し固定されている。
【0024】
上記のバーナ仕切部材5や熱交換器仕切部材6は、図示のように金属製の薄板材(例えばステンレス製又は銅製の薄板材)を用いて横断面形状が略Uの字形等の形状に折曲形成したり、あるいは、同等の所定厚みを有する耐熱性の合成樹脂製板材により形成したりすることにより構成されている。又、上記の寸法吸収体7は、耐熱性を有し、かつ、弾性変形、弾塑性変形又は塑性変形することにより、バーナ部21や熱交換器部22等を積み上げて熱源機の缶体2を一体化させる場合の組み立て誤差や各缶体部21,22等の特に上下方向の製作上の寸法誤差を吸収するものである。弾性変形又は弾塑性変形により寸法誤差を吸収するものとしては弾性又は弾塑性を有する耐熱性パッキンを用いればよく、又、弾塑性変形又は塑性変形により寸法誤差を吸収するものとしては圧縮力を受けて塑性流動し得る軟質金属片を用いればよい。そして、寸法吸収体7は、予め、図示の如くバーナ仕切部材5の上端に対し仮置き又は接着したり、あるいは、熱交換器仕切部材6の下端に接着したりして、いずれか一方の仕切部材5,6に取り付けておく。
【0025】
そして、缶体2を組み付けるには次のようにする。先ず、バーナ部21に対しこのバーナ部21の上から熱交換器部22を取り付ける(図2参照)。この取り付けは、ケース211,221の両フランジ212,222同士をネジ止め等の手段を用いて行えばよい。これにより、熱交換器仕切部材6の下端がバーナ仕切部材5の上端に対し寸法吸収体8を間に挟んで若干押し付けられた状態に接合され、熱交換器仕切部材6とバーナ仕切部材5とが確実に当接又は密接した状態に一体化される。そして、熱交換器部22に対し集合排気筒部23を上から被せて取り付ける。この取り付けも、上記と同様に、両ケース221,231の両フランジ同士をネジ止め等の手段を用いて結合させればよい。この取り付けにより、排気筒仕切部材25の下端が熱交換器仕切部材6の上端に当接することになる。つまり、上記の組み付けにおいて、熱交換器仕切部材6の下端がバーナ仕切部材5の上端に対し寸法吸収体7を間に挟んで押圧側に接合されるように、製作上の寸法設定(較差設定)を行い、その寸法設定に伴う寸歩誤差を上記の寸法吸収体7により吸収させるようにしているのである。
【0026】
以上により、各部材の製作寸法誤差に起因して組み付け寸法誤差が生じていても、その寸法誤差を吸収して、バーナ仕切部材5と熱交換器仕切部材6を確実に当接させた状態に維持させることができる。従って、バーナ仕切部材5、熱交換器仕切部材6及び寸法吸収対7の組み合わせによって、組み付け作業の容易さを損なうことなく、缶体2の内部を第1水路用の構成要素31,32及び燃焼室33と、第2水路用の構成要素41,42及び燃焼室43とを完全分離して互いに遮断することができると共に、バーナ仕切部材5及び熱交換器仕切部材6の両者間に隙間が発生することを確実に防止して互いに密接した状態に維持することができる。これにより、第1バーナ31からの燃焼ガスや燃焼排ガスが第2水路側にリークしたり、逆に、第2バーナ41からの燃焼ガスや燃焼排ガスが第1水路側にリークしたりすることを確実に回避することができ、リークに伴う不都合発生を確実に阻止することができるようになる。
【0027】
<第2実施形態>
図3は、本発明をより具体化した第2実施形態に係る熱源機の缶体8を示す。この第2実施形態は、特に第1実施形態よりも具体的である点を除き、全体の基本構成自体は第1実施形態と同様である。第1実施形態と同様構成のものは第1実施形態と同じ符号を付して繰り返しの詳細説明を省略する。
【0028】
本実施形態の缶体8も、第1実施形態と同様に、1缶2水路式に構成されたものであり、バーナ部81と、熱交換器部82と、集合排気筒部83とをこの順に積み上げて結合し、さらに最上部に二次熱交換部84を結合させたものである(図4も併せて参照)。バーナ部81は、下側位置に送風ファン24が取り付けられ、ケース811の内部に予め第1バーナ31が水平方向一側(図3の右側)に、第2バーナ41が水平方向他側(同図の左側)の各位置にそれぞれ設置され、両バーナ31,41間がバーナ仕切部材9により互いに遮断されたものである。熱交換器部82は、胴筒状のケース821の内部に予め第1熱交換器32が水平方向一側に、第2熱交換器42が水平方向他側の各位置にそれぞれ設置され、両熱交換器32,42間が熱交換器仕切部材10により互いに遮断されたものである。そして、第1バーナ31と第1熱交換器32との間の空間に上記のバーナ仕切部材9等により仕切られて第1燃焼室33が区画形成され、第2バーナ41と第2熱交換器42との間の空間にバーナ仕切部材9等により仕切られて第2燃焼室43が区画形成されている。
【0029】
集合排気筒部83は、熱交換器部82の上面開口を覆うように下面が開口され、内部が排気筒仕切部材11により水平方向一側の第1集合部34と、水平方向他側の第2集合部44とに区画され、上面832が後方(図4の紙面に直交する方向の奥方)に向けて上り勾配に傾斜され、その上面832の最奥側位置にそれぞれ連通孔833,834が形成されている。二次熱交換部84は、内部空間が水平方向一側と他側とに仕切られた状態で区画され、水平方向一側に第1水路用の二次熱交換器35が収容され、水平方向他側に第2水路用の二次熱交換器45が収容されている。そして、第1熱交換器32を通過した後の燃焼排ガスが第1集合部34に集合されて連通孔833を通して二次熱交換器35に対し潜熱回収のために送られる一方、第2熱交換器42を通過した後の燃焼排ガスが第2集合部44に集合されて連通孔834を通して二次熱交換器45に対し潜熱回収のために送られるようになっている。潜熱回収後の燃焼排ガスは二次熱交換部84の前面排気口841から外部に排出される。
【0030】
そして、組み立てにより一体化された缶体8の内部が、バーナ部81内のバーナ仕切部材9と、熱交換器部82内の熱交換器仕切部材10と、集合排気筒部83内の排気筒仕切部材11とによって水平方向一側部分と他側部分とに仕切られて分離されている。上記バーナ仕切部材9と、熱交換器仕切部材10とは上下方向に隣接する端部が寸法吸収体としてのパッキン12を介して互いに当接した状態(好ましくは密接した状態)になっており、熱交換器仕切部材10と、排気筒仕切部材11とは水平方向に隣接する部分同士が互いに接触した状態になって、3つの仕切部材9,10,11が上下方向に連続して一体の仕切体を形成するようになっている。
【0031】
以下、かかる仕切体について詳細に説明すると、上記バーナ仕切部材9(図5又は図6参照)は、耐熱性の薄板材(例えばステンレス製の薄板材)をコの字状又は逆Uの字状に曲げ加工することにより全体として所定の厚みを有し、上端部91に所定幅の平坦面を有して下方の燃焼用空気の供給側に開口した形状に形成されたものである。そして、バーナ仕切部材9は、バーナ部81内の第1バーナ31と第2バーナ41との間の隙間に対し上から下に差し込まれることにより予め取り付けられて固定され、上端部91はバーナ部81の上側開口とほぼ同レベル位置まで突出して自由端とされている(図4参照)。この上端部91には幅方向(図5の左右方向)の両側位置からそれぞれ上方に突出するガイド部92,92が形成されている。両側のガイド部92,92の内幅の寸法は、パッキン12の外幅とほぼ対応してその外幅よりも僅かに大きくなるように設定され、又、ガイド部92,92の突出高さは、熱交換器仕切部材10が接合された状態において、その熱交換器仕切部材10と互いに干渉しないように設定されている。これらのガイド部92,92によって、パッキン12の設置位置を案内し両ガイド部92,92間に設置(単に載置又は接着)することでパッキン12が位置ずれしないように保持する機能を果たすことになる。加えて、両ガイド部92,92によってパッキン12の水平方向へ扁平化することを抑制することで、熱交換器仕切部材10の側からの押圧を受けてパッキン12にへたりが生じることを抑制するようにしている。
【0032】
熱交換器仕切部材10は、耐熱性の薄板材(例えばステンレス製の薄板材、あるいは銅製の薄板材)をコの字状又はUの字状に曲げ加工することにより全体として所定の厚みを有し、下端部101に所定形状部分を有して上方に開口した形状に形成されたものである。そして、熱交換器仕切部材10は、熱交換器部82内の第1熱交換器32と第2熱交換器42との間の隙間に対し下から上に差し込まれることにより予め取り付けられて固定され、これにより、下端部101が両熱交換器32,42から下向きに突出した状態にされる。下端部101には、下端面から下向きに突出する突起部102と、両側面の所定位置からそれぞれ側方に突出して上向きの段部を形成するための凸部103,103とが一体に形成されている。突起部102は熱交換器仕切部材10の全長に亘り連続して形成され、パッキン12の上面には突起部102に対応した形状で好ましくはその突出量より僅かに小さく下向きに凹んだ凹溝部121がその全長に亘り形成されている。これにより、熱交換器仕切部材10をバーナ仕切部材9及びパッキン12に向けて上から押圧気味に当接させた際に、突起部102が凹溝部121に食い込むことにより遮断性能をより向上させるようになっている。さらに、両凸部103,103は、熱交換器仕切部材10を両熱交換器32,42間に下から差し込んでいくと、両熱交換器32,42の下向きの角部(例えばフィン321,421の下端の角部)に当止して、それ以上差し込めなくなるようになっており、これにより、熱交換器仕切部材10と両熱交換器32,42との相対位置を位置決めるストッパの機能を果たすようになっている。
【0033】
排気筒仕切部材11は、耐熱性の薄板材により構成され、集合排気部83の内下面から斜め下方に延びた後に垂下し、集合排気部83の下面よりも所定量下方位置まで突出した下端部にレの字状の折返し片111が形成されたものである。組み付ける作業においては、集合排気部83を熱交換器部82に対し上から被せていった場合に、排気筒仕切部材11が熱交換器仕切部材10の上面開口から内部に挿入されて、熱交換器仕切部材10の内壁面に接触することにより、熱交換器仕切部材10から排気筒仕切部材11までの連続した仕切を実現させるようになっている。折返し片111の水平方向幅は、熱交換器仕切部材10の上面開口から内部に挿入可能で、かつ、熱交換器仕切部材10の内幅よりも僅かに小さく(例えば1mm程度小さく)設定されている。つまり、組み付け作業において、排気筒仕切部材11の下端部を熱交換器仕切部材10の上面開口から内部に挿入する際の挿入の容易性と、挿入された後の熱交換器仕切部材10の内壁面への接触の確実性との双方を折返し片111により実現させるようにしている。
【0034】
次に、缶体8の組み付け手順について説明すると、先ず、バーナ部81に対し熱交換器部82を上から被せて取り付ける(図4参照)。ケース811,821の両フランジ同士を、例えばネジ止め等の手段を用いて取り付ければよい。これにより、熱交換器仕切部材10の下端部101(の突起部102)がバーナ仕切部材9の上端に対しパッキン12を間に挟んで若干押し付けられた状態に接合され、熱交換器仕切部材10とバーナ仕切部材9とが確実に当接又は密接した状態に一体化される。この際、熱交換器仕切部材10の突起部102がパッキン12の凹溝部121に対し密に内嵌した状態、又は、バーナ部81や熱交換器部82等の製作上の寸法誤差を吸収して若干食い込んだ状態に接合され、熱交換器仕切部材10とバーナ仕切部材9との間が確実にシールされた状態に遮断される。そして、熱交換器部82に対し集合排気筒部83を上から被せて取り付ける。この取り付けも、上記と同様に、両ケース821,831の両フランジ同士をネジ止め等の手段を用いて結合させればよい。この取り付けにより、排気筒仕切部材11が熱交換器仕切部材10の内壁面に当接し、この当接は上下方向の相対位置が変化しても持続されるため、上記の寸法誤差等があってもそれを確実に吸収して遮断状態を維持し得ることになる。なお、この本実施形態においても、組み付け作業において、熱交換器仕切部材10の下端がバーナ仕切部材9の上端に対しパッキン12を間に挟んで押圧側に接合されるように、製作上の寸法設定(較差設定)を行い、その寸法設定に伴う寸歩誤差を上記のパッキン12により吸収させるようにしている。
【0035】
以上により、各部材の製作寸法誤差に起因して組み付け寸法誤差が生じていても、その寸法誤差を吸収して、バーナ仕切部材9と熱交換器仕切部材10を確実に当接させた状態に維持させることができる。組み付け作業の容易さを損なうことなく、缶体8の内部を第1水路用の構成要素31,32及び燃焼室33と、第2水路用の構成要素41,42及び燃焼室43とを完全分離して互いに遮断することができると共に、バーナ仕切部材9及び熱交換器仕切部材10の両者間に隙間が発生することを確実に防止して互いに密接した状態に維持することができる。これにより、第1バーナ31からの燃焼ガスや燃焼排ガスが第2水路側にリークしたり、逆に、第2バーナ41からの燃焼ガスや燃焼排ガスが第1水路側にリークしたりすることを確実に回避することができ、リークに伴う不都合発生を確実に阻止することができるようになる。
【0036】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1又は第2の実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記第2実施形態では、突起部102を熱交換器仕切部材10の側に形成し、パッキン12を凹溝部121が上向きに開口するように配置して凹溝部121に突起部102が内嵌するようにしているが、これに限らず、上下逆にしてもよい。例えば、図7に示すように、バーナ仕切部材9aの上端部91に突起部93を上向きに突出するように形成し、パッキン12を凹溝部121が下向きに開口するように熱交換器仕切部材10の下端部に接着等により固定し、組み付けの際に突起部93が凹溝部121内に上向きに内嵌するようにしてもよい。この場合であっても、ガイド部92,92は、両者間にパッキン12が内嵌した状態で、そのパッキン12のへたり発生を抑制する機能を果たすことになる。
【符号の説明】
【0037】
2,8 缶体
31 第1バーナ
32 第1熱交換器
41 第2バーナ
42 第2熱交換器
5,9,9a バーナ仕切部材
6,10,10a 熱交換器仕切部材
7 寸法吸収対
12 パッキン(弾性材,寸法吸収体)
31 第1バーナ
32 第1熱交換器
41 第2バーナ
42 第2熱交換器
92 ガイド部
93,102 突起部
121 凹溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の缶体内の下位に第1バーナと第2バーナとが横並びに併設され、第1熱交換器がその第1バーナの上位に、第2熱交換器が上記第2バーナの上位にそれぞれ配設され、第1バーナの燃焼熱により第1熱交換器が熱交換加熱され、第2バーナの燃焼熱により第2熱交換器が熱交換加熱されるように構成され、第1バーナ及び第2バーナの両者間を互いに仕切るバーナ仕切部材と、第1熱交換器及び第2熱交換器の両者間を互いに仕切る熱交換器仕切部材とを備えた熱源機において、
上記バーナ仕切部材の上端部と、熱交換器仕切部材の下端部との上下間に介装され、そのバーナ仕切部材及び熱交換器仕切部材の上下間に挟まれることにより上下方向の押圧力を受けて弾性変形、弾塑性変形又は塑性変形する寸法吸収体を備え、
上記バーナ仕切部材の上端部に対し上記熱交換器仕切部材の下端部を寸法吸収体を介して接合させることにより、上記バーナ仕切部材側と熱交換器仕切部材側との上下方向の相対間隔のずれを吸収可能に組み付けられている、
ことを特徴とする熱源機。
【請求項2】
請求項1に記載の熱源機であって、
上記寸法吸収体は弾性材により形成されている、熱源機
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の熱源機であって、
上記バーナ仕切部材の上端部及び熱交換器仕切部材の下端部のいずれか一方には、上記寸法吸収体の水平方向両側位置から上下方向に突出するガイド部が形成されている、熱源機。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の熱源機であって、
上記バーナ仕切部材の上端部及び熱交換器仕切部材の下端部のいずれか一方には、上記寸法吸収体に向けて上下方向に突出する突起部が形成されている、熱源機。
【請求項5】
請求項4に記載の熱源機であって、
上記寸法吸収体には、上記突起部に相対向する面に開口する凹溝部が形成されている、熱源機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−27352(P2011−27352A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174795(P2009−174795)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】