説明

熱溶融耐火断熱塗料の製造方法及びその利用方法

【課題】 地球温暖化が進行している現在、いかに世界中で化石燃料の使用を減少させなければならない今日、特に高エネルギーを利用する分野では無駄な放熱を減少させ、またセラミック化するための燃料の使用を減少させることが重要な課題である。
【解決手段】 上述の高エネルギー使用分野、セラミック化するための化石燃料を使用しないで、本発明は設備、部品から発する放熱または火災、衝撃熱を利用してセラミック化し、耐火断熱効果を達成することが確立された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高耐火断熱性を必要とする装置の設備、部品、外部からの火災、衝撃熱の耐火断熱材として利用する分野で、高耐火断熱性素材を塗料化することで、利用目的部分に塗布または成形品を装備した後、設備基材から発する熱または外部熱を利用して、塗料中の成分が熱変化し、生死溶融(リレー溶融)を繰返し最終目的温度に達した時、高耐火断熱性の効果が発揮できる、高耐火断熱性塗料の製造方法及びその利用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球の温暖化が進行している今日、化石燃料の利用を減少させ、地球温暖化の原因であるCOを如何に少なくしていくかが世界のテーマである。現状工業用として高熱分野で利用されている耐火断熱素材は、すべて化石燃料を使用して焼成したものであることから、本発明は、焼成しないで設備及び部材から発する熱または外部熱を利用して焼成する、省エネルギーの耐火断熱塗料工法である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高熱を発する装置分野で耐火断熱効果目的に利用されている素材は、耐火塗料が主体で断熱効果は全く望めない。また断熱を主体とした素材は、焼成品が多く熱エネルギーを多量に使用しているのが現状である。
【0004】
本発明は、熱エネルギーを使用しないで基材または外部から発する他熱を利用して焼成する、耐火断熱性塗料を提供しようとするものである。
【0005】
本発明は、電気発熱基材から発する電磁波を、耐火断熱塗料を塗布または成形部材を装備することにより、電磁波を吸収できる耐火断熱塗料を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するため、耐火断熱性を有する素材を塗料化して、耐熱断熱基材に直接塗布またはデッピング、または成形することのできる塗料である。その概要は次の通りである。
1)溶液と粉体を分離して、使用前に混合する。
2)溶液は水性無機質系で低温固化剤としての役割。
3)粉体は熱溶融して中温高温超高温固化の役割。
4)利用目的温度により、固化役割の溶融材を熱温度差で生死(リレー)させながら、最終目的温度で完全固化する、耐火断熱性の粉体を使用する。
5)溶液と粉体を混合した素材は、普通一般塗料と同じく溶液と粉体の混合比を変えることにより、スプレー塗布、デッピング、コテ塗り等ができるよう簡易にする。
6)耐火断熱塗料を使用して塗布または成形を施すとき、より一層の断熱性を高めるため、塗料中間層に、不織布、デンプン質化成品マットを挿入する。
7)断熱効果を高めるため、混合された耐火断熱塗料に、500℃以下で燃焼して消滅する発泡性ビーズを混入する。
8)電気発熱基材から発する電磁波を吸収するため、粉体に稀元素鉱物を添加して、人体に対する有害性を極限まで減少させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の耐火断熱塗料を使用して、厚塗り塗布(3mm〜10mm)、デッピング、コテ塗り等の施工をして自然乾燥させたが、全く異状が見られなかった。
【0008】
本発明で塗布、成形して常温乾燥させた後、それぞれ電気炉で焼成溶融したところ、溶融材の比率を変更することにより550℃〜2,000℃までリレー式溶融で最終目的温度に達しても、塗布された塗膜及び成形品が崩壊することなく固化され、冷却しても変形、亀裂、剥離等もなく、耐火断熱性を有していることが確認された。
【0009】
本発明の耐火断熱塗料を塗布、または成形の中間層に不織布、デンプン質化成品マットを挿入し、500℃の熱を加えたところ、マットが燃焼して消滅し、空気層ができることにより、断熱効果が著しく向上された。
【0010】
本発明の耐火断熱塗料に、500℃以下で熱消滅する1mm球の発泡性ビーズを添加して塗布または成形したところ、熱消滅した空気孔で断熱効果が著しく向上した。
【0011】
電磁波基材から発する電磁波を吸収するため、耐火断熱塗料の粉体に10%の稀元素鉱物を添加することにより、電磁波を吸収することが確認された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のポイントは、耐火断熱塗料中の固形素材は、500℃以下の温度領域(A領域)では溶液成分で固化されているが、500℃以上の温度領域(B領域)に入ると粉体素材中の溶融粉元素が溶けて固化し、溶液固化成分は死滅され、粉体溶融元素にリレーされる。
【0013】
粉体素材中の溶融元素は、100℃〜400℃単位で生成と死滅を繰り返し、塗膜及び成形材の固化をA領域からF領域(500℃〜2,000℃)の間で溶融元素の領域役割を区分させて、物性が崩壊しないよう維持させている。
【0014】
耐火断熱塗料中の溶液のA領域素材は、珪酸、シリカ、酸化ジリコニウムの水系化合物、紛体のB〜F領域素材は、耐火素材、溶融素材、断熱素材の組み合わせで、耐火素材は酸化ジルコニウム、アルミナ、セシウム、稀元素鉱物、溶融素材はソーダガラス、硼珪酸ガラス、石灰石、長石、珪石、マグネサイト、カオリン、炭酸バリウム、断熱素材は20〜125μmの珪酸アルミニウム、硼珪酸ガラス、アルミノシリケートガラス、セラミック等の中空ビーズ、不織布、デンプン質化成品マット、発泡性ビーズを使用した、高耐火断熱塗料である。
【0015】
耐火断熱塗料の全体配合容積比率は、溶液が20〜40%、耐火素材が30〜20%、溶融素材が10〜20%、断熱素材は40〜20%の範囲であるが、好ましくは溶液26.4%、耐火素材22.9%、溶融素材18.3%、断熱素材32.4%が最も好ましい。また発泡性ビーズは、外枠で30%の添加が最も好ましい。
【0016】
配合中の溶融素材は18.3%使用されるが利用目的別温度により配合比が変わり、例えば2,000℃の場合、1,700℃まではつなぎ溶融のため、B〜E領域は各2.9%、最終F領域は6.7%で死滅しない固化状態にすることが最も好ましい。
【0017】
溶融の温度領域は、A領域0〜550℃、B領域550℃〜750℃、C領域750℃〜1,000℃、D領域1,000℃〜1,300℃、E領域1,300℃〜1,600℃、F領域1,600℃以上で区分された溶融素材を利用することが最も好ましい。
【0018】
粉体の耐火素材中に稀元素鉱物を添加することにより、電磁波が吸収されることが確認されたが、添加置は全重量の10〜20%が目安になるが、好ましくは18.2%が最も好ましい。
【実施例1】
【0019】
耐火断熱塗料をアスベストの代替、鉄骨被覆材として、1.5mm厚の鉄板に3mm塗布して、鉄骨の軟化を守る被覆材として実験した。火災時の温度450℃〜500℃であるが、650℃の直火で塗膜が燃焼しなかった。また3mm厚の塗膜面に直火をあてて裏面の鉄板の熱伝導温度は299℃となり、54%低減していることを確認した。更に、耐火断熱塗料に300℃で熱消滅する1mm球の発泡ビーズを30%添加して3mm厚に塗布したところ、熱消滅した空気孔で熱伝導温度は168℃となり、更に56%低減していることを確認した。
【0020】
現状、ボイラー等の外部面放熱を減少するため、多種の断熱材を利用しているが、肉厚が必要なことから、当発明品を3mm厚で塗布して外部面温度を測定したところ、通常断熱材10mm厚と同じ断熱性を有することを確認した。また塗布面の中間に、500℃以下で熱消滅する不織布、またはデンプン質化成品マット5mm厚を挿入して積層し、ボイラを加熱したところ、熱消滅した空気層で熱伝導が下がり、著しい断熱効果が確認された。
【0021】
最近、自動車エンジンを利用して発電する装置の駆動部、排気部(650℃)に3mm厚で塗布し、外面温度が約50%減少していることが確認された。
【0022】
電気発熱体である電子レンジ周囲の断熱素材を、本発明の耐火断熱塗料に稀元素鉱物を添加して、10mm厚成形品を周囲5面に装置したところ、電磁波50mw/cmが0.5mw/cmに低減した。
【0023】
アスベスト使用の燃料電池用断熱素材(耐火温度800℃)に変えて実験したところ、アスベストの代替として使用できることが確認された。
【0024】
従来使用の焼成セラミック耐火断熱板を発明の成形板に置き換えて実験したところ、代替として利用できることが確認された。
【0025】
耐火断熱塗料を塗布または成形を施すとき、中間層に3mm厚の不織布、デンプン質化成品等のマットを挿入して自然乾燥後、300℃、60分間加熱したところ、そのマットが溶けて3mmの空気層ができた。本発明の塗布または成形品と断熱性を比較した結果、断熱率62%の著しい効果を発現した。また耐火断熱塗料に、熱消滅する発泡性ビーズを添加することにより、薄膜、薄部品で超断熱効果が発揮できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の耐火断熱塗料は、地球環境を守るCO削減による地球温暖化防止の一役として、いかに化石燃料の利用を減らすかをテーマに開発された耐火断熱塗料である。
現状世界中で耐火断熱を必要とする工業用用途は大変幅広くあるが、設備機あるいは部品または外部から発する熱を利用して溶融セラミック化できる塗料は類がなく、利用が簡易で安く、省エネルギー対策として期待できる可能性は大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の発熱を利用して、熱溶融によりセラミック化することを特徴とする、耐火断熱塗料の製造方法。
【請求項2】
塗布した塗膜が、火災及び衝撃熱で、熱溶融によりセラミック化する、請求項1記載の耐火断熱塗料。
【請求項3】
熱溶融によりセラミック化する耐火断熱塗料を、成形し、発熱基材に装着することのできる請求項1,2記載の耐火断熱塗料。
【請求項4】
耐火断熱塗料は、使用時に溶液と粉体を混合して利用する、請求項1〜3記載の耐火断熱塗料。
【請求項5】
耐火断熱塗料の溶液は、水あるいは水性無機質溶液からなり、粉体は耐火性無機質微粉からなる。溶液は粉体が熱溶融されるまでの固着剤、粉体は基材熱に合わせ段階的に熱溶融する固着剤である、請求項1〜4記載の耐火断熱塗料。
【請求項6】
耐火断熱塗料の粉体に、500℃以下で燃焼して消滅する発泡性ビーズを混入して超断熱性を発現することのできる、請求項1〜5記載の耐火断熱塗料。
【請求項7】
耐火断熱塗料の粉体に、稀元素鉱物粉を添加して、電気発熱基材より出る、電磁波を吸収することのできる、請求項1〜6記載の耐火断熱塗料。
【請求項8】
耐火断熱塗料の利用範囲は、500℃以上、2,000℃以内の耐火性断熱性を必要とする放熱設備機、及び部材、または火災、衝撃熱等に耐えることのできる請求項1〜7記載の利用範囲とする。
【請求項9】
耐火断熱塗料を塗布または成形する中間層に、不織布、デンプン質化成品等マットを、挿入することのできる請求項1〜8記載の利用範囲とする。

【公開番号】特開2007−297257(P2007−297257A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150621(P2006−150621)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【出願人】(505332299)
【Fターム(参考)】